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明細書 :ボード内光インターコネクション方法と装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3968743号 (P3968743)
公開番号 特開2002-258079 (P2002-258079A)
登録日 平成19年6月15日(2007.6.15)
発行日 平成19年8月29日(2007.8.29)
公開日 平成14年9月11日(2002.9.11)
発明の名称または考案の名称 ボード内光インターコネクション方法と装置
国際特許分類 G02B   6/122       (2006.01)
G02B   6/12        (2006.01)
G02B   6/42        (2006.01)
G02B   6/293       (2006.01)
FI G02B 6/12 B
G02B 6/12 C
G02B 6/12 F
G02B 6/42
G02B 6/28 D
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2001-053866 (P2001-053866)
出願日 平成13年2月28日(2001.2.28)
審査請求日 平成16年5月14日(2004.5.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】裏 升吾
【氏名】西原 浩
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
審査官 【審査官】▲高▼ 芳徳
参考文献・文献 特開昭55-163505(JP,A)
特開昭64-025580(JP,A)
特開平02-087581(JP,A)
特開昭61-232424(JP,A)
特開昭62-89936(JP,A)
西田竜之 他,電子情報通信学会技術研究報告,2000年 1月19日,Vol.99, No.542 (PS99-76~90), p.1-6
調査した分野 G02B 6/00 - 6/43
JST7580(JDream2)
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
基板と該基板上に設けられた反射膜と該反射膜上に設けられた第1の導波コアの下部層と該第1の導波コアの下部層上に設けられた第1のグレーティング層と該第1のグレーティング層上に設けられた第1の導波コアの上部層と主光導波路として該第1の導波コアの上部層上に設けられた第2の導波コア層と該第2の導波コア層上に設けられた第2のグレーティング層とで積層構造の複合光導波路が構成され、
上記第1の導波コアの上部層及び下部層が同一の光学媒質でなり、
上記第1の導波コアの上部層及び下部層の屈折率n0 及び上記第2の導波コア層の屈折率n2 の関係がn0 <n2 であり、
上記複合光導波路を伝播するスーパーモード光の界が強い上記第1のグレーティング層に入力グレーティング及び出力グレーティングが設けられ、上記第2のグレーティング層に反射グレーティングが設けられ、
特定の波長を有する空間光を上記入力グレーティングで上記複合光導波路を伝播するスーパーモード光に結合させ、上記反射グレーティングにより反射させて上記主光導波路を伝播する基本モード導波光に結合させる一方、
上記主光導波路を伝播する基本モード導波光のうち特定の波長の基本モード導波光を上記反射グレーティングにより反射させて、上記複合光導波路を伝播する上記スーパーモード光に結合させ、上記出力グレーティングにより空間光に結合させて光検出器に入力させることを特徴とする、ボード内光インターコネクション装置
【請求項2】
基板と該基板上に設けられたクラッド層と該クラッド層上に設けられた第1のグレーティング層と該第1のグレーティング層上に設けられた第1の導波コア層と主光導波路として該第1の導波コア層上に設けられた第2の導波コア層と該第2の導波コア層上に設けられた第2のグレーティング層とで積層構造の複合光導波路が構成され、 上記クラッド層の屈折率n0 、上記第1の導波コア層の屈折率n1 及び上記第2の導波コア層の屈折率n2 の関係がn0 <n1 <n2 であり、
上記複合光導波路を伝播するスーパーモード光の界が強い上記第1のグレーティング層に入力グレーティング及び出力グレーティングが設けられ、上記第2のグレーティング層に反射グレーティングが設けられ、
特定の波長を有する空間光を上記入力グレーティングで上記複合光導波路を伝播するスーパーモード光に結合させ、上記反射グレーティングにより反射させて上記主光導波路を伝播する基本モード導波光に結合させる一方、
上記主光導波路を伝播する基本モード導波光のうち特定の波長の基本モード導波光を上記反射グレーティングにより反射させて、上記複合光導波路を伝播する上記スーパーモード光に結合させ、上記出力グレーティングにより空間光に結合させて光検出器に入力させることを特徴とする、ボード内光インターコネクション装置
【請求項3】
前記基板と前記クラッド層との間に反射膜を有することを特徴とする、請求項2に記載のボード内光インターコネクション装置。
【請求項4】
前記入力グレーティングが前記複合光導波路に搭載するMCMのE/O素子の位置に対応して設けられ、前記出力グレーティングが上記MCMのO/E素子の位置に対応して設けられることを特徴とする、請求項1又は3に記載のボード内光インターコネクション装置。
【請求項5】
基板と該基板上に設けられた反射膜と該反射膜上に設けられた第1の導波コアの下部層と該第1の導波コアの下部層上に設けられた第1のグレーティング層と該第1のグレーティング層上に設けられた第1の導波コアの上部層と主光導波路として該第1の導波コアの上部層上に設けられた第2の導波コア層と該第2の導波コア層上に設けられた第2のグレーティング層とで積層構造の複合光導波路が構成され、上記第1の導波コアの上部層及び下部層が同一の光学媒質でなり、上記第1の導波コアの上部層及び下部層の屈折率n0 及び上記第2の導波コア層の屈折率n2 の関係がn0 <n2 であり、上記複合光導波路を伝播するスーパーモード光の界が強い上記第1のグレーティング層に入力グレーティング及び出力グレーティングが設けられ、上記第2のグレーティング層に反射グレーティングが設けられてなるボード内光インターコネクション装置を用い、
特定の波長を有する空間光を上記入力グレーティングで上記複合光導波路を伝播するスーパーモード光に結合させ、上記反射グレーティングにより反射させて上記主光導波路を伝播する基本モード導波光に結合させる一方、
上記主光導波路を伝播する基本モード導波光のうち特定の波長の基本モード導波光を上記反射グレーティングにより反射させて、上記複合光導波路を伝播する上記スーパーモード光に結合させ、上記出力グレーティングにより空間光に結合させて光検出器に入力させることを特徴とする、ボード内光インターコネクション方法
【請求項6】
基板と該基板上に設けられたクラッド層と該クラッド層上に設けられた第1のグレーティング層と該第1のグレーティング層上に設けられた第1の導波コア層と主光導波路として該第1の導波コア層上に設けられた第2の導波コア層と該第2の導波コア層上に設けられた第2のグレーティング層とで積層構造の複合光導波路が構成され、上記クラッド層の屈折率n0 、上記第1の導波コア層の屈折率n1 及び上記第2の導波コア層の屈折率n2 の関係がn0 <n1 <n2 であり、上記複合光導波路を伝播するスーパーモード光の界が強い上記第1のグレーティング層に入力グレーティング及び出力グレーティングが設けられ、上記第2のグレーティング層に反射グレーティングが設けられてなるボード内光インターコネクション装置を用い、
特定の波長を有する空間光を上記入力グレーティングで上記複合光導波路を伝播するスーパーモード光に結合させ、上記反射グレーティングにより反射させて上記主光導波路を伝播する基本モード導波光に結合させる一方、
上記主光導波路を伝播する基本モード導波光のうち特定の波長の基本モード導波光を上記反射グレーティングにより反射させて、上記複合光導波路を伝播する上記スーパーモード光に結合させ、上記出力グレーティングにより空間光に結合させて光検出器に入力させることを特徴とする、ボード内光インターコネクション方法
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボード上に配列した電子集積回路(IC)チップ間の接続を光配線で接続する光インターコネクション技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報技術(IT)が急進展する近年、演算プロセッサの高速化・大容量化は極めて重要であるが、その性能向上は配線容量で律速され、その容量確保が、電気配線を使用する現状技術の延長では困難となることが予測されている。
例えば、演算プロセッサとメモリーの間は、データーバスと呼ばれる電気配線で結合されているが、演算プロセッサの高速化・大容量化のためには、データバスの配線容量、すなわち、データーバスを構成する配線本数を増やさなければならない。個々の配線を微細化して、本数を増やす従来法では、電気配線であるために、配線遅延、クロストーク、あるいは電気信号の反射といった問題が顕著になり、限界が生じる。
【0003】
このような状況の中で、光は、伝搬速度が大きく、同一空間を伝搬する光であっても波長が異なれば分離できる、といった光超並列性を有するため、装置間、電子集積回路(IC)チップを搭載したボード間、又は、ICチップ間の情報伝送を光によって行う、すなわち、光インターコネクト技術がこの課題を解決する手段として注目され、伝送距離の長い部分から開発・実用化されている。
例えば、装置間の光インターコネクト技術の例として、面発光レーザー、マルチモードファイバ、及びフォトダイオードで構成した光モジュールがある。この光モジュールは、伝送距離100m、チャネル数10以上で、転送速度Gbpsから数十Gbpsを実現している。
また、ICチップを多数搭載したボード間の光インターコネクト技術の例としては、これらのボードを搭載するマザーボードに光導波路を形成し、ボード間の情報の受け渡しを光信号で行う例がある。
また、ボード間の情報の受け渡しを、ボード上部に設けた光送信部と光受信部を介した自由空間光で行う例もある。
また、ボード間の情報の受け渡しを、複数のボードの背後に設けたホログラムとミラーを介した自由空間光で行う例もある。
【0004】
一方、ボード内の電子集積回路チップ間の光配線は、伝送距離が短く、光の伝搬速度の優位性があまりないことからあまり注目されていない。
しかしながら、将来のペタFLOPSの演算速度やテラbpsのスループットを実現するためには、超並列演算プロセッサによるコンピュータシステムを必要とし、クロック周波数を大きくする必要がある。しかしながら、クロック周波数が数GHzを越えると、光であってもクロックあたりの伝送距離がcm程度となり、伝搬遅延時間差の問題が生じる。光の超並列性を利用すれば、クロック周波数をあまり大きくせずに、同等の演算速度を実現することができ、伝搬遅延時間差の問題を緩和することができる。
【0005】
ボード内のICチップ間を光配線する方法には、電気→光変換素子であるE/O素子と、光→電気変換素子であるO/E素子と、ICとからなるMCM(マルチチップ・モジュール)を基本単位とし、ボード上に配列した複数のMCM間を光配線する方法がある。
この方法においては、E/O素子及びO/E素子の光入出力方向は、一般に、MCMの表面に垂直方向である。このため、ボード面に配列したMCMのE/O素子部分において、E/O素子からの発光を90°曲げてボード面に沿った方向に伝搬させること(以後、アドと呼ぶ)、また、O/E素子部分において、ボード面に沿って伝搬してきた光を90°曲げてO/E素子に入射させること(以後、ドロップと呼ぶ)が必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のMCM間の光配線の例には、図に示したものがある。
(A)は、MCM間の相互の接続をプリズムを介して光結合する例を示している。この例では、光の進行方向を90°曲げるためにバルク型のプリズムを使用しているが、個別部品を後付するため、製造工程が複雑化し、また振動によって脱落しやすく、信頼性も低い。
また、図(B)は、光導波路を形成したボードの表面にMCMを搭載し、これらのMCMのE/O及びO/E間をボード表面に形成した光導波路を介して光結合する例を示している。この例では、光の進行方向を90°曲げるために、曲がり光導波路を使用しているが、光導波路の曲がり部分の放射損失が大きく、また、光配線用ボード上に、深さ方向で曲がる光導波路を形成することは、プロセス上、容易ではない。
【0007】
また、図(C)は、ボードに搭載したMCMの表面を平坦な透明光学媒質で覆い、光学媒質上に導波路を形成し、導波路の端面を斜めに形成したミラーによって、光の進行方向を90°曲げてMCM間の光配線を行う例を示している。
この例では、光導波路端面を斜めに形成しなければならず、十分制御された角度で、再現性良く形成することは難しい。
これらの従来技術においては、光の進行方向を90°曲げるために、すなわち、光アド及び光ドロップを行うために、プリズム等の個別部品を搭載したり、曲がり光導波路を形成したり、光導波路端面を斜めに形成したりするので、製造工程が複雑化し、製造歩留りが低く、また、信頼性に欠けるといった課題がある。 また、これらの従来例においては、比較的容易にかつ歩止まり良く作製するために、多モード光導波路を用いている。このため光導波路の幅が大きく、光導波路の集積度を上げることができない。
また、従来の光導波路を用いる光インターコネクション技術においては、任意の波長の光を選択してアド及びドロップする機能を有していない。このため光の超並列性を活用した波長多重ができず、従って高容量の光配線は不可能である。
【0008】
上記課題に鑑み本発明は、光導波路の集積度が高く、任意の波長の光を選択してアド及びドロップができ、光の超並列性を生かした波長多重ができ、したがって、演算プロセッサ等の高速化・大容量化に必要な配線容量を確保でき、かつ、製造工程が複雑化せず、信頼性が高い光インターコネクション方法を提供することを一目的している。また、本発明の他の目的は、この方法による光インターコネクション装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のボード内光インターコネクション装置の第1の構成は、基板と基板上に設けられた反射膜と反射膜上に設けられた第1の導波コアの下部層と第1の導波コアの下部層上に設けられた第1のグレーティング層と第1のグレーティング層上に設けられた第1の導波コアの上部層と主光導波路として第1の導波コアの上部層上に設けられた第2の導波コア層と第2の導波コア層上に設けられた第2のグレーティング層とで積層構造の複合光導波路が構成され、第1の導波コアの上部層及び下部層が同一の光学媒質でなり、第1の導波コアの上部層及び下部層の屈折率n0 及び第2の導波コア層の屈折率n2 の関係がn0 <n2 であり、複合光導波路を伝播するスーパーモード光の界が強い第1のグレーティング層に入力グレーティング及び出力グレーティングが設けられ、第2のグレーティング層に反射グレーティングが設けられ、特定の波長を有する空間光を入力グレーティングで複合光導波路を伝播するスーパーモード光に結合させ、反射グレーティングにより反射させて主光導波路を伝播する基本モード導波光に結合させる一方、主光導波路を伝播する基本モード導波光のうち特定の波長の基本モード導波光を反射グレーティングにより反射させて、複合光導波路を伝播するスーパーモード光に結合させ、出力グレーティングにより空間光に結合させて光検出器に入力させることを特徴とする
この構成によれば、反射膜の高い反射率を利用して導波光を複合導波路内に閉じ込めることができるので、第1の導波コア上部層と第1の導波コア下部層を同一の光学媒質で構成でき、製造プロセスが簡単になる。また、屈折率n0 <n2 の関係から、入力及び出力グレーティングを設けた第1のグレーティング層に大きな界を有するスーパーモード光が伝搬する。スーパーモード光の界が大きい第1のグレーティング層に入出力グレーティングを設けているから、スーパーモード光と空間光との結合効率が高くなると共に、第1のグレーティング層では主光導波路を伝搬する基本モード導波光の界がほとんど無視できるので、入出力グレーティングがこれらの基本モード導波光を減衰させることが無く、従って、低損失で通過させることができる。
【0010】
本発明のボード内光インターコネクション装置の第2の構成は、基板と基板上に設けられたクラッド層とクラッド層上に設けられた第1のグレーティング層と第1のグレーティング層上に設けられた第1の導波コア層と主光導波路として第1の導波コア層上に設けられた第2の導波コア層と第2の導波コア層上に設けられた第2のグレーティング層とで積層構造の複合光導波路が構成され、クラッド層の屈折率n0 、第1の導波コア層の屈折率n1 及び第2の導波コア層の屈折率n2 の関係がn0 <n1 <n2 であり、複合光導波路を伝播するスーパーモード光の界が強い第1のグレーティング層に入力グレーティング及び出力グレーティングが設けられ、第2のグレーティング層に反射グレーティングが設けられ、特定の波長を有する空間光を入力グレーティングで複合光導波路を伝播するスーパーモード光に結合させ、反射グレーティングにより反射させて主光導波路を伝播する基本モード導波光に結合させる一方、主光導波路を伝播する基本モード導波光のうち特定の波長の基本モード導波光を反射グレーティングにより反射させて、複合光導波路を伝播するスーパーモード光に結合させ、出力グレーティングにより空間光に結合させて光検出器に入力させることを特徴とする
この構成によれば、屈折率n0 <n1 <n2 の関係から、クラッド界面付近に大きな界を有するスーパーモード光が伝搬する。スーパーモード光の界が強いクラッド界面、すなわち第1のグレーティング層に入出力グレーティングを設けていることから、スーパーモード光と空間光との結合効率が高くなると共に、第1のグレーティング層では主光導波路を伝搬する基本モード導波光の界がほとんど無視できるので、入出力グレーティングがこれらの基本モード導波光を減衰させることが無く、従って、低損失で通過させることができる。
上記構成において、好ましくは、基板とクラッド層との間に反射膜を有する。この構成によれば、反射膜によって、基板方向に放射伝搬する光が無くなるから、空間光と導波路の結合を増大させることができる。
上記第1及び第2の構成において、好ましくは、入力グレーティング、出力グレーティングは、それぞれ、複合光導波路に搭載するMCMのE/O素子、O/E素子の位置に対応して設けられる。
【0011】
本発明のボード内光インターコネクション方法の第1の構成は、基板と基板上に設けられた反射膜と反射膜上に設けられた第1の導波コアの下部層と第1の導波コアの下部層上に設けられた第1のグレーティング層と第1のグレーティング層上に設けられた第1の導波コアの上部層と主光導波路として第1の導波コアの上部層上に設けられた第2の導波コア層と第2の導波コア層上に設けられた第2のグレーティング層とで積層構造の複合光導波路が構成され、第1の導波コアの上部層及び下部層が同一の光学媒質でなり、第1の導波コアの上部層及び下部層の屈折率n0 及び第2の導波コア層の屈折率n2 の関係がn0 <n2 であり、複合光導波路を伝播するスーパーモード光の界が強い第1のグレーティング層に入力グレーティング及び出力グレーティングが設けられ、第2のグレーティング層に反射グレーティングが設けられてなるボード内光インターコネクション装置を用い、特定の波長を有する空間光を入力グレーティングで複合光導波路を伝播するスーパーモード光に結合させ、反射グレーティングにより反射させて主光導波路を伝播する基本モード導波光に結合させる一方、主光導波路を伝播する基本モード導波光のうち特定の波長の基本モード導波光を反射グレーティングにより反射させて、複合光導波路を伝播するスーパーモード光に結合させ、出力グレーティングにより空間光に結合させて光検出器に入力させることを特徴とする
【0012】
本発明のボード内光インターコネクション方法の第2の構成は、基板と基板上に設けられたクラッド層とクラッド層上に設けられた第1のグレーティング層と第1のグレーティング層上に設けられた第1の導波コア層と主光導波路として第1の導波コア層上に設けられた第2の導波コア層と第2の導波コア層上に設けられた第2のグレーティング層とで積層構造の複合光導波路が構成され、クラッド層の屈折率n0 、第1の導波コア層の屈折率n1 及び第2の導波コア層の屈折率n2 の関係がn0 <n1 <n2 であり、複合光導波路を伝播するスーパーモード光の界が強い第1のグレーティング層に入力グレーティング及び出力グレーティングが設けられ、第2のグレーティング層に反射グレーティングが設けられてなるボード内光インターコネクション装置を用い、特定の波長を有する空間光を入力グレーティングで複合光導波路を伝播するスーパーモード光に結合させ、反射グレーティングにより反射させて主光導波路を伝播する基本モード導波光に結合させる一方、主光導波路を伝播する基本モード導波光のうち特定の波長の基本モード導波光を反射グレーティングにより反射させて、複合光導波路を伝播するスーパーモード光に結合させ、出力グレーティングにより空間光に結合させ、光検出器に入力させることを特徴とする
【0015】
これらの構成による本発明の光インターコネクション方法及びこの方法を使用した装置によれば、グレーティングの周期を選択することによって、選択した特定の光波長の空間光を、空間光と垂直な方向に伝搬方向を有する共通の光導波路に多重でき、また、共通の光導波路を伝搬する複数の導波光の内から、グレーティングの周期を選択することによって、選択した特定の波長の光を導波光と垂直方向に伝搬する空間光として取り出すことができるから、ボードに搭載する複数のMCM間の光入出力信号の受け渡しを共通の光導波路で行うことができる。すなわち、光の超並列性を生かせるので、光配線容量を極めて大きくでき、演算プロセッサ等の高速化・大容量化に必要な配線容量の拡大を可能にする。
また、この装置は、光学媒質、または、金属反射膜を基板上に積層し、通常のフォトリソグラフィで加工すれば形成できるので、MCM製造工程との整合性がよく、従って、製造工程を複雑化することがない。
さらに、個別部品を後付けすることがないので信頼性が高い。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、実質的に同一の部材には共通の符号を使用して説明する。
図1は本発明の光インターコネクション方法の第1の実施の形態を説明するための、ボードの導波光伝搬方向の断面模式図である。
図1に示すように、複合導波路は、基板1上に、順次、屈折率n0 を有するクラッド層2を積層し、クラッド層2に屈折率n1 を有する第1の導波コア層3を積層し、第1の導波コア層3に反射グレーティング4を有する第1のグレーティング層5を積層し、第1のグレーティング層5に屈折率n2 を有する第2の導波コア層6を積層し、そして、第2の導波コア層6に入力グレーティング7及び出力グレーティング8を有する第2のグレーティング層9を積層することによって構成され、かつ、各層の屈折率が、n0 <n2 <n1 の関係を満たすように光学媒質を選択して構成される。
【0017】
また、特定の波長の光のみを、アド及びドロップするために、入出力のグレーティング及び反射グレーティングの周期Λは、以下に示すように形成する。
スーパーモード光1の伝搬定数をβ(=2πN/λ、Nはスーパーモード光1の実効屈折率、λは真空中での光波長)、グレーティングベクトルの大きさをK(=2π/Λ)とすると、導波光と空間光(放射モード)との結合は、次式で表される。
i 0 sinθi =β-K (i=u ,d ) (1)
ここで、nu 及びnd は、それぞれ導波路層を挟む上下の層の屈折率であり、k0 は真空波数であり、θi は導波路層面に垂直な方向からの回折角度である。
【0018】
図2は(1)式のグレーティングによる空間光と導波光の結合関係を示すベクトル図である。
【0019】
本実施例のように、スーパーモード光をスーパーモード光の伝搬方向とほぼ垂直方向に進行する空間光に結合する場合には、θu ≒0°であるから、(1)式より、β≒Kとなり、
Λ≒λ/N (2)
から、入出力グレーティング周期Λを定める。
【0020】
また、反射グレーティングの場合には、基本モード導波光の伝搬定数をβ0 、実効屈折率をN0 とすると、-2πN0 /λ=-β0 =β-Kであるから、
Λ=λ/(N+N0 ) (3)
から、反射グレーティング周期Λを定める。
【0021】
図1において、光線10,11は、この複合導波路表面上に搭載するMCMのE/Oから発光する空間光、及び、MCMのO/Eに入射する空間光を表している。
入力グレーティング7及び出力グレーティング8の位置は、MCMの搭載位置、及び、MCMのE/O及びO/Eの位置に合わせて形成する。
E/Oの発光素子は、例えば面発光ダイオードであり、O/Eの受光素子はフォトダイオードである。
【0022】
次に、上記構成の第1の実施の形態の作用を説明する。
最初にスーパーモードについて説明する。
光は周囲より屈折率の高い導波コアに閉じこめられて伝搬することが可能で、閉じこめられて伝搬する光を導波光、このような構造を導波路と呼ぶ。導波光は導波コアに閉じこめられるが周囲(クラッド)にも光の一部が浸みだしており、導波光の感じる実効的な屈折率(実効屈折率もしくはモード屈折率と呼ぶ)は、導波コアの屈折率とクラッドの屈折率との間の値をとり、導波コアの屈折率より低く、クラッドの屈折率より高くなる。
ところが、上記クラッド(第1のクラッド)よりさらに外側に、屈折率が第1のクラッドより低い第2のクラッドを設けると、第1のクラッドも導波コアと感じる導波光が伝搬できる場合がでてくる。このような導波路を、ここでは複合光導波路と呼び、実効屈折率が第1クラッドの屈折率より低く、第2クラッドのそれより高い導波光をスーパーモード光と呼ぶ。
【0023】
上記複合導波路の構成によれば、各層の屈折率n0 <n2 <n1 の関係から、導波コア層3と導波コア層6に大きな界を有するスーパーモード光12が伝搬する。入出力グレーティング7,8を設けた第2のグレーティング層9では、スーパーモード光12の界は十分大きく、空間光10もしくは11と結合し、主光導波路である導波コア層3を伝搬する基本モード導波光13の界がほとんど無視できるので、この基本モード導波光13を減衰させることが無く、従って、低損失で通過させることができる。
また、基板1とクラッド層2の間に、金属等の反射膜を設けても良い。金属等の反射膜を設けた場合には、反射膜によって、基板方向に放射伝搬する光が無くなるから、空間光と導波路の結合が増大する。
【0024】
次に、この構成における光インターコネクションの動作について説明する。
特定の波長を有する光源からの空間光10を、第2のグレーティング層9の入力グレーティング7により複合光導波路を伝搬するスーパーモード光に結合させ、第1のグレーティング層5に設けた反射グレーティング4により反射させると共に主光導波路である第1の導波コア層3を伝搬する基本モード導波光13に結合させる。
このようにして、E/O(光源)からの光信号は、導波コア層3の導波光13として他のMCMに伝送する。
【0025】
また、主光導波路である第1の導波コア層3を伝搬する複数の波長の基本モード導波光13の内、特定の波長を有する基本モード導波光13を、第1のグレーティング層5に設けた反射グレーティング4により反射させると共に複合光導波路を伝搬するスーパーモード光12に結合させ、第2のグレーティング層9に設けた出力グレーティング8により空間光11に結合し、光検出器に入射させる。
このようにして、他のMCMから伝送されてきた複数の光信号の内の特定の光信号を選択して、O/E(光検出器)に入力させる。
このことは、基本モード導波光13として、波長間隔の狭い光を多重することを可能にするものであり、光の超並列性をさらに有効にし、さらに光配線の容量を大きくしている。
【0026】
次に、本発明の光インターコネクション方法の第2の実施の形態を説明する。
図3は、本発明の光インターコネクション方法の第2の実施の形態を説明するための、ボードの導波光伝搬方向の断面模式図である。
本実施の形態は、上記第1の実施の形態とは、入出力グレーティング及び反射グレーティングの配置する位置が異なり、他の構成は同一である。
図3に示すように、複合導波路は、基板1上に、順次、屈折率n0 を有するクラッド層2を積層し、クラッド層2に入力グレーティング7及び出力グレーティング8を有する第1のグレーティング層5を積層し、第1のグレーティング層5に屈折率n1 を有する第1の導波コア層3を積層し、第1の導波コア層3に第2の導波コア層6を積層し、第2の導波コア層6に反射グレーティング4を有する第2のグレーティング層9を積層し、かつ、各層の屈折率が、n0 <n1 <n2 の関係を満たすように光学媒質を選択して、構成される。
【0027】
この構成の複合導波路によれば、n0 <n1 <n2 の関係から、第1のグレーティング層5に大きな界を有するスーパーモード光12が伝搬する。スーパーモード光12の界が強い第1のグレーティング層5に入出力グレーティング7,8を設けているから、スーパーモード光12と空間光10、11との結合効率が高くなると共に、第1のグレーティング層5では主光導波路6を伝搬する基本モード導波光13の界がほとんど無視できるので、この基本モード導波光13を減衰させることが無く、従って、低損失で通過させることができる。
また、基板1とクラッド層2の間に、金属等の反射膜を設けても良い。金属等の反射膜を設けた場合には、反射膜によって、基板方向に放射伝搬する光が無くなるから、空間光と導波路の結合が増大する。
【0028】
この構成による光インターコネクションの動作について説明する。
特定の波長を有する光源からの空間光10を、第1のグレーティング層5の入力グレーティング7により複合光導波路を伝搬するスーパーモード光12に結合させ、第2のグレーティング層9に設けた反射グレーティング4により反射させると共に主光導波路である第2の導波コア層6を伝搬する基本モード導波光13に結合させる。
このようにして、E/O(光源)からの光信号は、導波コア6の基本モード導波光13として他のMCMに伝送する。
また、主光導波路である第2の導波コア層6を伝搬する複数の波長の基本モード導波光13の内、特定の波長を有する基本モード導波光13を、第2のグレーティング層9に設けた反射グレーティング4により反射させると共に複合光導波路を伝搬するスーパーモード光12に結合させ、第1のグレーティング層5に設けた出力グレーティングにより空間光11に結合し光検出器に入射させる。
このようにして、他のMCMから伝送されてきた複数の光信号の内の特定の光信号を選択して、O/E(光検出器)に入力させる。
このことは、基本モード導波光13として、波長間隔の狭い光を多重することを可能にするものであり、光の超並列性をさらに有効にし、さらに光配線の容量を大きくしている。
【0029】
次に、第3の実施の形態を説明する。
図4は、第3の実施の形態を説明するための、ボードの導波光伝搬方向の断面模式図である。
第3の実施の形態は、図3に示す第2の実施の形態において、基板1とクラッド層2の間に金属等の反射膜14を設け、クラッド層2と第1の導波コア層3の屈折率を同じにした構成である。
この構成によれば、その高い反射率を利用して光波を構造内に閉じ込めることが可能になり、その結果、クラッド層2と第1の導波コア層3の屈折率をn0 <n1 の関係に形成する必要が無くなり、同一の光学媒質を使用できる。
【0030】
次に、本発明の実施例を示す。
図5は、第三の実施の形態による実施例である。図5(A)はボードの導波光伝搬方向の断面構成を示す図である。
図5(A)に示すように、基板としてSi単結晶基板1を使用し、Si単結晶基板上にAu反射膜14を蒸着し、Au反射膜14上に第1の導波コアの下層部15として屈折率1.46のSiO2 をスパッタ又はCVDで厚さ0.48μm積層し、SiO2 層2上に第1のグレーティング層5としてSiN膜をCVDで0.07μm積層し、電子ビーム描画露光で入出力グレーティング7,8を作製した。入出力グレーティングを作製した第1のグレーティング層5上に第1の導波コアの上部層16として屈折率1.46のSiO2 をスパッタ又はCVDで厚さ0.79μmに積層し、このSiO2 層上に第2のコア層6として屈折率1.54のコーニング#7059ガラスをスパッタで0.70μm積層し、コーニング#7059ガラス層上に第2のグレーティング層9としてSiN膜をCVDで0.10μm積層し、電子ビーム描画露光で反射グレーティング4を作製した。
基本モード導波光の中心波長は894nmであり、入出力、及び反射グレーティングの周期Λはこの波長に合わせて作製した。
なお、上記導波路はスラブ導波路である。
【0031】
図5(B)にこの構成における、基本モード導波光から空間出力光へのパワー変換効率の測定結果及び計算結果を示す。
図5(B)において、横軸は光波長を示し縦軸は光強度比で表した変換効率を示す。この図から明らかなように、約10nmの波長分解能が実現されているのが分かる。グレーティングの作製精度を向上すれば計算値に近づくことは明らかである。
【0032】
次に、本発明の光インターコネクション方法を用いたMCMの実装例を示す。 図6は、本発明の光インターコネクション方法を用いたMCMの実装例を示す図である。
図6(A)に示すように、MCM20は、E/OであるVCSEL(面発光ダイオード)アレイとO/Eであるフォトダイオードアレイを集積したE/O・O/E部21と、電子デバイスであるCPUとメモリーを集積したCPU・メモリー部22と、CPUとメモリー間を接続する配線23とを基板24上に集積して構成される。
図6(B)に示すように、本発明の光インターコネクションボード30は、Si基板31と、Si基板31表面上に設けた光導波路配線部32からなり、光インターコネクション窓部33には、本発明の複合導波路とグレーティングからなるE/O及びO/Eとの結合部を有している。
【0033】
MCM20は、素子搭載面を下にして、光インターコネクションボード30の光インターコネクション窓部33に位置あわせしてボンディングする。
図6(C)に拡大して示すように、光インターコネクション窓部33は、ボードの表面内で互いに直交するX、Y方向にそれぞれ500本の光導波路34,35を有する2階積層構造光導波路で構成し、各導波路の幅は約20μmであり、合計1000本の導波路が占有する光インターコネクション窓部33の面積は約1cm2 である。各光導波路には、8波長の光を多重する。従って、単位面積あたりの配線容量は、
1000ch/(cm2 ・波長)×8波長=8000ch/cm2
となる。
【0034】
光インターコネクション窓部33は4分割し、それぞれ対角状に、X方向インターフェース領域36、及び、Y方向インターフェース領域37を分割して設ける。
図6(D)に拡大して示すように、光導波路34または35の各々の導波路は、出力グレーティング41、反射グレーティング43、入力グレーティング42の周期で配列し、かつ、隣り合う導波路間では、入力又は出力グレーティングが平行して並ばないように、一グレーティング長さずらして配列する。出力グレーティング41、反射グレーティング43、入力グレーティング42からなる一周期の長さは約600μmである。
図6(E)は、MCM20を本発明の光インターコネクションボード30に複数搭載したドーターボード51を、光電気配線混載マザーボード52に複数搭載した構成を示す。
上記の構成によれば、極めて配線容量が大きくなるので、演算プロセッサ等の高速化・大容量化に必要な配線容量を確保することができる。
【0035】
なお、本発明の光インターコネクション方法における空間光は、O/E又はE/Oに結合させているが、この空間光を、複数積層した他の任意の導波路に設けたグレーティングを介して他の導波路の導波光に結合すれば、光が一つの光導波路を伝搬し、途中から他の光導波路を伝搬する、いわゆる、光路スイッチング機能が実現できるのは明らかである。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明の光インターコネクション方法及び光インターコネクション装置を用いれば、光導波路の集積度が高く、任意の波長の光を選択してアド及びドロップができ、光の超並列性を生かした波長多重ができる。したがって、演算プロセッサ等の高速化・大容量化に必要な配線容量を確保でき、かつ、製造工程が複雑化せず、信頼性が高い光インターコネクションができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光インターコネクション方法の第1の実施の形態を説明するための、ボードの導波光伝搬方向の断面模式図である。
【図2】グレーティングによる空間光と導波光との結合関係を示す図である。
【図3】本発明の光インターコネクション方法の第2の実施の形態を説明するための、ボードの導波光伝搬方向の断面模式図である。
【図4】第3の実施の形態の構成を説明するためのボードの導波光伝搬方向の断面模式図である。
【図5】(A)は、本発明の第3の実施の形態に基づいた実施例の、ボードの導波光伝搬方向の断面構成を示す図である。(B)は基本モード導波光から空間光へのパワー移行率を示し、実線は計算値、○及び波線は実測値を表す。
【図6】本発明の光インターコネクション方法によるMCMの実装例を示す図である。
【図7】従来のMCM間の光配線技術を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 クラッド層
3 第1のコア層
4 反射グレーティング
5 第1のグレーティング層
6 第2のコア層
7 入力グレーティング
8 出力グレーティング
9 第2のグレーティング層
10 空間光
11 空間光
12 スーパーモード光
13 基本モード導波光
14 反射膜
15 第1の導波コアの下部層
16 第1の導波コアの上部層
20 MCM
21 VCSEL・PDアレイ
22 CPU・メモリ
23 電気配線
24 基板
30 本発明の光インターコネクションボード
31 Si基板
32 光導波路配線部
33 光インターコネクション窓
34,35 チャネル導波路
36 X方向伝送インターフェース領域
37 Y方向伝送インターフェース領域
41 出力グレーティング
42 入力グレーティング
43 反射グレーティング
51 ドーターボード
52 光電気配線混載マザーボード
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6