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明細書 :ラドン濃度測定装置および方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3930234号 (P3930234)
公開番号 特開2002-071812 (P2002-071812A)
登録日 平成19年3月16日(2007.3.16)
発行日 平成19年6月13日(2007.6.13)
公開日 平成14年3月12日(2002.3.12)
発明の名称または考案の名称 ラドン濃度測定装置および方法
国際特許分類 G01T   1/16        (2006.01)
G01T   1/167       (2006.01)
G01T   1/20        (2006.01)
G01T   7/02        (2006.01)
FI G01T 1/16 A
G01T 1/167 B
G01T 1/20 B
G01T 7/02 B
請求項の数または発明の数 7
全頁数 7
出願番号 特願2000-255094 (P2000-255094)
出願日 平成12年8月25日(2000.8.25)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 神戸市立工業高等専門学校研究紀要第38-2号(平成12年3月)第7-11頁に発表
審査請求日 平成16年4月20日(2004.4.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】山本 誠一
【氏名】飯田 孝夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】青木 洋平
参考文献・文献 特開平08-075859(JP,A)
実開昭57-064683(JP,U)
特開昭53-023801(JP,A)
特公昭49-027071(JP,B1)
調査した分野 G01T 1/00-7/12
特許請求の範囲 【請求項1】
筒状の測定器本体の片側端部には、保護部材を配置し、さらにその保護部材の内側には気水分離膜を配置し、前記気水分離膜の内側に隣接して遮光材を配置し、筒状内部の内周にシンチレーション検出器を配置して同検出器内をα線発生空間とし、さらに前記α線発生空間に隣接して光電子倍増管を設置し、前記光電子倍増管からの出力に基づいてラドン濃度を解析するデータ収集装置とからなるラドン濃度測定装置。
【請求項2】
前記測定器本体は長尺のステンレスパイプで構成したことを特徴とする請求項1に記載のラドン濃度測定装置。
【請求項3】
前記ステンレスパイプの先端部に設ける保護部材と気水分離膜との間にはアルミパンチメタルを配置し、アルミパンチメタルにより前記気水分離膜が保護されていることを特徴とする請求項2に記載のラドン濃度測定装置。
【請求項4】
前記データ収集装置は、装置内にデータ蓄積用のシングルボードコンピュータを備えていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載のラドン濃度測定装置。
【請求項5】
前記シンチレーション検出器はZnS(Ag)で構成されていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載のラドン濃度測定装置。
【請求項6】
前記請求項1~5のいずれかに記載のラドン濃度測定装置によるラドン濃度測定方法において、地中空気を保護部材、気水分離膜を通して測定装置内のシンチレーション検出器内のα線発生空間に取り込み、前記α線発生空間内でラドンおよびラドン娘核種が崩壊して発生するα線をシンチレーション検出器で検出することにより地中ラドン濃度を測定することを特徴とするラドン濃度測定方法。
【請求項7】
前記ラドン濃度測定装置の先端を地中に埋め、地中ラドンを前記保護部材、気水分離膜を通して測定装置内のシンチレーション検出器内のα線発生空間に取り込み、前記気水分離膜を通り抜けた地中ラドンおよび測定本体内で生成したラドン娘核種が測定器本体内部で崩壊し発生したα線をシンチレーション検出器で検出し、検出したシンチレーションを光電子倍増管により電気信号に変換し、この電気信号をデータ収集装置に入力し、ラドン濃度を測定することを特徴とする請求項6に記載のラドン濃度測定方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線計測装置、特に地中ラドンの濃度を測定するために好適なラドン濃度測定装置および測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
人体は絶えず、自然放射環境中に存在する放射線(自然放射線)により放射線被曝を受けている。自然放射線には宇宙線、地中からのγ線などがあるが,最近これらのほかにラドン(Rn-222)というα線を放射する自然放射性元素が大きな問題として注目を集めている。
最近ラドンが話題になり出したのは、1982年末に出された国連化学委員会報告が契機となっていると考えられる。この報告によれば、γ線や宇宙線による被曝線量が1mSv、ラドンによる分が1mSvであるとされ、自然放射線による被曝のうち約半分がラドンによるものと見積もられている。
【0003】
ラドン(Rn-222)とはウラン系列のラジウム(Ra-226)から崩壊し発生する放射性核種であり、その半減期は約3.824日である。ラドンはもともと不活性な気体であって地殻中でラジウムから生まれた後,それらの地表面から空気中へと拡散する。そのため、大気中に広く存在している。ラドンから崩壊し発生するポロニウム(Po-218、Po-214)などの放射線核種をラドン娘核種といい,正または負に帯電しているため、大気中の様々な微粒子に付着して放射性エアロゾルを形成する。これらは自然に存在する放射性エアロゾルの大半を占めており、大気中での濃度レベル、性状そして状態は気象学の分野や断層調査、地震予知などに利用できる可能性があるが未解決の点も多く現在もラドンとラドン娘核種は多くの人の調査・研究対象となっている。
【0004】
その研究対象の1つに地中ラドン(土壌中のラドン)が挙げられる。地中ラドンを研究の対象にする背景として次の2つが挙げられる。電力エネルギーの大きな割合を占める原子力発電の燃料はウラン鉱山で産出されるが、ウラン鉱山では尾鉱(ウラン残土)がラドンの発生源として世界的に問題となっている。このため、尾鉱からのラドンの発生を押さえるために粘土のようなラドン拡散係数の小さい土壌でその尾鉱を覆う対策が考えられているが、どの程度の厚さで覆ったら十分であるか良くわかっていない。
また、ラドンの発生源が建物の下の土壌にある場合、そのラドンが屋内に侵入してくることによって人が体内被曝を受ける屋内被曝の問題もある。しかし、土壌中のラドンの挙動は複雑であり、十分に研究が行われていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ラドン濃度の連続測定方法としては、通気式電離箱やシンチレーションセル法、電場捕集型ラドン濃度測定法等があるが、その構造上、地中のラドン濃度の測定には利用できない。地中ラドン濃度を測定する方法としては、セルロース膜に記録されたフィッショントラックを検出、計数し、ラドン濃度を調べる方法が採用されているが、この方式では、連続的な測定は出来ず、また、計測に手間が係るという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は地中におけるラドン濃度を精度良く測定する簡便な地中ラドン測定装置および測定方法を提供することにより、地中のラドン濃度を容易に評価できるようにすることを目的とする。
本発明は、ラドンおよびラドン娘核種が崩壊して発生するα線をシンチレータによって検出することで地中のラドン濃度を容易に測定できるようにしている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
筒状の測定器本体の片側端部には、保護部材を配置し、さらにその保護部材の内側には気水分離膜を配置し、前記気水分離膜の内側に隣接して遮光材を配置し、筒状内部の内周にシンチレーション検出器を配置して同検出器内をα線発生空間とし、さらに前記α線発生空間に隣接して光電子倍増管を設置し、前記光電子倍増管からの出力に基づいてラドン濃度を解析するデータ収集装置とからなるラドン濃度測定装置である。
また、前記測定器本体は長尺のステンレスパイプで構成したことを特徴とするラドン濃度測定装置である。
また、前記ステンレスパイプの先端部に設ける保護部材と気水分離膜との間にはアルミパンチメタルを配置し、アルミパンチメタルにより前記気水分離膜が保護されていることを特徴とするラドン濃度測定装置である。
また、前記データ収集装置は、装置内にデータ蓄積用のシングルボードコンピュータを備えていることを特徴とするラドン濃度測定装置である。
また、前記シンチレーション検出器はZnS(Ag)で構成されていることを特徴とするラドン濃度測定装置である。
また、前記に記載のラドン濃度測定装置によるラドン濃度測定方法において、地中空気を保護部材、気水分離膜を通して測定装置内のシンチレーション検出器内のα線発生空間に取り込み、前記α線発生空間内でラドンおよびラドン娘核種が崩壊して発生するα線をシンチレーション検出器で検出することにより地中ラドン濃度を測定することを特徴とするラドン濃度測定方法。
である。
また、前記ラドン濃度測定装置の先端を地中に埋め、地中ラドンを前記保護部材、気水分離膜を通して測定装置内のシンチレーション検出器内のα線発生空間に取り込み、前記気水分離膜を通り抜けた地中ラドンおよび測定本体内で生成したラドン娘核種が測定器本体内部で崩壊し発生したα線をシンチレーション検出器で検出し、検出したシンチレーションを光電子倍増管により電気信号に変換し、この電気信号をデータ収集装置に入力し、ラドン濃度を測定することを特徴とするラドン濃度測定方法である。
【0008】
【実施の形態】
以下、本発明に係るラドン濃度測定装置について図面を参照して説明すると、図1はラドン濃度測定装置の要部拡大断面図、図2は地中ラドン濃度測定装置の全体側面図、図3は同測定装置内のデータ収集装置の構成図である。
【0009】
図1において、ラドン濃度測定装置は、筒状をした測定器本体1を有しており、測定器本体1の片側端部にはスポンジラバー2、アルミパンチングメタル3等からなる保護部材を配置し、さらに、その保護部材の内側に筒状本体内部への水の侵入を防ぐと同時に空気だけを通すフィルター(気水分離膜)4を配置する。気水分離膜4の内側に隣接して遮光部材5を配置し、さらに本体の筒状内部の内周に薄膜シンチレータからなるシンチレーション検出器6を配置する。シンチレーション検出器6の内部はα線発生空間7となる。なお、この空間の容積は設計時において適宜設定する。前記シンチレーション検出器6の後方で、かつ内部空間7に隣接して光電子倍増管(PMT)を配置し、光電子倍増管(PMT)を後述するデータ収集装置に接続し、ラドン濃度測定装置が構成される。
【0010】
図3にデータ収集装置の構成図を示す。データ収集装置はPTMからのアナログパルス信号をオペアンプで増幅しアナログディジタル変換を行いシングルボードコンピュータに取り込み、1時間当たりの計数値を保存し液晶パネルに表示する。また、測定装置に必要な高電圧を供給する高電圧発生装置も内蔵した。
データ収集および処理の流れを説明すると、地中ラドン濃度測定装置からのアナログパルス信号をまずオペアンプで増幅し、コンパレータによって波高弁別し一定値以下はノイズとしてカットする。同時に一定値以上のアナログ信号はディジタル信号へと変換される。コンパレータによって変換したディジタル信号をワンショットマルチバイブレータによって遅延し、シングルボードコンピュータに割り込みトリガを受けたシングルボードコンピュータは1時間当たりの割り込みの数を加算し、その計数値を内臓メモリに保存する。また、シングルボードコンピュータの計数値を内臓メモリに保存する。また、シングルボードコンピュータの内臓メモリに保存した計数値は液晶パネルで表示する。メモリに保存されたデータは測定終了時にノートパソコンを接続し回収する。
【0011】
この装置によるラドンの測定方法を説明する。
測定装置の保護部材2、3側先端を地中に埋めると、気水分離膜4を通り抜けた地中ラドンおよび測定器本体内で生成したラドン娘核種は内部空間7で崩壊しα線を発する。発生したα線は薄膜シンチレータによってシンチレーションを発する。発生したシンチレーションはPMTにより電気信号に変換され増倍される。この電気信号はアナログパルス信号としてデータ収集装置に入力され解析される。そのとき、β線もシンチレータで電離、励起作用を起こすが、その透過力の強さからエネルギーすべてを薄膜のシンチレータに与えることなく透過する。β線の一部は小さい信号を発生するが、これらはノイズとして除去可能である。またγ線は透過力が高いので薄膜のシンチレータではほとんど検出されない。結果としてβ線やγ線は検出せずにラドンおよびラドン娘核種からのα線のみを検出でき、ラドン濃度を測定することができる。
【0012】
上記実施形態のラドン濃度測定装置を地中ラドン濃度連続測定システムとした例を図2を参照して説明する。
地中ラドン濃度測定装置は、長尺の筒状ステンレスパイプ11の先端に、上述したラドン濃度測定装置を取り付けて構成されている。この装置では、薄膜シンチレータにはZnS(Ag)シンチレータを用い、全体が細長い筒状とし、測定装置の先端部に切ったネジにアルミパンチメタル等からなる保護部材を螺合することにより、Oリングをつぶし気水分離膜と密着させ、測定器内部に地下水などが入らないようにしている。アルミパンチメタルは気水分離膜を石や砂から保護するために設けてある。PMTは高電圧で使用するために測定器先端部以外は高絶縁体のベークライトパイプ12を使用して構成し、測定装置のPMT用の電源はデータ収集装置の高圧発生装置により供給される構成となっている。
【0013】
本発明の実施の形態について説明してきたが、シンチレーション測定器、データ収集装置等は、上記実施例で説明した機能を達成できるものであれば、種々のものを使用することができることは当然であり、さらに本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0014】
【発明の効果】
以上の詳細に説明した如く、本発明によれば、
これまで測定が困難であった地中内部のラドン濃度を連続的に測定、モニターすることができ、環境保全への広範な応用が期待できる。また構成が簡単であり、小型化できるため扱いが容易であり、製造コストの安価である等の優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るラドン濃度測定装置の要部拡大断面図である。
【図2】地中ラドン濃度測定装置の全体側面図である。
【図3】同測定装置内のデータ収集装置の構成図である。
【符号の説明】
1 測定器本体
2 スポンジラバー
3 アルミパンチングメタル
4 気水分離膜
5 遮光部材
6 シンチレーション検出器
7 内部空間
11 ステンレスパイプ
12 ベークライトパイプ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2