TOP > 国内特許検索 > 時間信号の空間信号への直接超高速変換方法および装置 > 明細書

明細書 :時間信号の空間信号への直接超高速変換方法および装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4044271号 (P4044271)
公開番号 特開2002-006356 (P2002-006356A)
登録日 平成19年11月22日(2007.11.22)
発行日 平成20年2月6日(2008.2.6)
公開日 平成14年1月9日(2002.1.9)
発明の名称または考案の名称 時間信号の空間信号への直接超高速変換方法および装置
国際特許分類 G02F   1/01        (2006.01)
G02F   3/00        (2006.01)
FI G02F 1/01 Z
G02F 3/00
請求項の数または発明の数 5
全頁数 6
出願番号 特願2000-182667 (P2000-182667)
出願日 平成12年6月19日(2000.6.19)
審査請求日 平成15年8月26日(2003.8.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小西 毅
【氏名】一岡 芳樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100087147、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 文廣
【識別番号】100111822、【弁理士】、【氏名又は名称】渡部 章彦
審査官 【審査官】佐藤 宙子
参考文献・文献 特開平05-100256(JP,A)
特開平04-333830(JP,A)
東京大学工学部総合試験所年報,1991年,第50巻,79-85
Opt.Lett.,1993年,Vol.18,No.24,2129-2131
第59回応用物理学会学術講演会講演予稿集,1998年,No.3,901,16a-A-9
OPTRONICS,1995年,No.9,148-152
調査した分野 G02F 1/01
G02F 1/35
G02F 3/00
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
空間的に所定の幅をもつ信号パルス光と参照極短パルス光とを用い、超高速光記憶素子の面にその光学軸を挟んで所定の角度で信号パルス光と参照極短パルス光とを同時に入射し、それら入射された信号パルス光と参照極短パルス光の各時間信号波形の移動する空間投影像の干渉によって生じた干渉縞を超高速光記憶素子に記憶させ、その記憶された干渉縞にもとづき参照極短パルス光から生じる自己回折光の空間分布を、元の信号パルス光の時間信号に対応する空間信号出力とする時間信号の空間信号への直接超高速変換方法において、
上記信号パルス光に対する参照極短パルス光の発生タイミングを変えて、超高速光記憶素子の面上に生成される干渉縞の位置と、出力面上の出力空間分布の位置を制御することを特徴とする時間信号の空間信号への直接超高速変換方法。
【請求項2】
請求項1において、信号パルス光と参照極短パルス光の空間的な幅は、超高速光記憶素子の面に入射された信号パルス光と参照極短パルス光の各時間信号波形の移動する空間投影像が超高速光記憶素子の面上で干渉して、干渉縞が十分に形成される大きさであることを特徴とする時間信号の空間信号への直接超高速変換方法。
【請求項3】
入射された光により透過特性あるいは屈折率を変化させるとともに、変化した状態を保持できる超高速光記憶素子と、超高速光記憶素子の面に、その光学軸に対して所定の角度で信号パルス光を入射させる信号パルス光入射手段と、超高速光記憶素子の面に、その光学軸を挟んで、信号パルス光に対向する方向から所定の角度で、参照極短パルス光を信号パルス光と同時的に入射させる参照極短パルス光入射手段とを備えて、信号パルス光入射手段から入射された信号パルス光と、参照極短パルス光入射手段から入射された参照極短パルス光の各時間信号波形が超高速光記憶素子の面で干渉して生じる干渉縞を超高速光記憶素子に記憶させ、記憶した干渉縞により生成される参照極短パルス光の自己回折光の空間分布を、元の信号パルス光の時間信号に対応する空間信号出力とする時間信号の空間信号への直接超高速変換装置において、
上記信号パルス光に対する参照極短パルス光の発生タイミングを変えて、超高速光記憶素子の面上に生成される干渉縞の位置と、出力面上の出力空間分布の位置を制御する手段を設けたことを特徴とする時間信号の空間信号への直接超高速変換装置。
【請求項4】
請求項3において、前記超高速光記憶素子は、多重量子井戸構造を持つ半導体デバイスであることを特徴とする時間信号の空間信号への直接超高速変換装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4において、生成される参照極短パルス光の自己回折光の空間分布に沿って、複数の光検出素子または複数の光導波路が配設されていることを特徴とする時間信号の空間信号への直接超高速変換装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、極短光パルス時間信号を、フーリエ変換過程などを介することなく、空間信号に直接的かつ超高速に変換する方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信の分野においては、画像や音声、文字データなどを含むマルチメディア情報の実時間伝送を目ざして、時間多重や波長多重などの方法による伝送容量の大容量化が進められているが、その信号形態は基本的に時間信号となっている。そのため、伝送容量の大容量化が進むにつれて、伝送しようとする画像などの空間情報の時間信号化(符合化)と、時間信号化された情報の空間情報への展開(復号化)とを超高速に行うことが必要になってくる。
【0003】
この時間信号と空間情報との間で信号形態の超高速変換を実現する方法として、1984年に文献1〔 Opt. Spectrosc., Vol. 57, pp. 1-6〕において、分光技術を用いた間接的な方法が提案されている。この方法は、動的なデバイスを用いずに変換が実現できるという利点を持っているが、変換された信号がフーリエ変換された形でしか得られないという問題点がある。したがって、変換後に処理を行う場合、かならずフーリエ変換の関係を介して行う必要があり、時間信号の直接的な処理を行うことはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
時間信号と空間信号との間で信号形態の超高速変換を実現する方法としては、従来、種々の方法が提案されている。しかし、それら従来の方法では、時間信号の持つ周波数分布と空間信号の変換は可能であるが、時間信号そのものと空間信号との直接的な変換はできない。
【0006】
本発明の目的は、フーリエ変換過程を介さずに時間信号を完全な空間信号として、直接的に超高速変換する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するため、本発明は、空間的に適当な幅を持つ信号パルス光と参照極短パルス光とを光学軸を挟んだ適当な角度で超高速光記憶素子面に同時に入射し、信号パルス光と参照極短パルス光の時間信号波形を超高速光記憶素子空間面に投影して、信号パルス光と参照極短パルス光の相互相関波形に対応する移動する2つの光波の空間投影像の干渉によって生じた干渉縞を超高速光記憶素子に記憶し、この相互相関波形に対応する記憶された干渉縞の空間分布によって生じる参照極短パルス光の自己回折光の空間分布を求め、この空間分布を元の時間信号に対応する空間信号とみなすことにより、時間信号の空間信号への直接超高速変換を実現している。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例について添付図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、本発明による時間信号の空間信号への直接超高速変換方法を実施した時間→空間信号変換光学系の装置構成を示したものである。
【0010】
図1において、1は時間→空間信号変換光学系、2は超高速光記憶素子、3および3’は信号パルス光(それぞれPS1, PS2で表わす)、4は参照極短パルス光(Pr で表わす)、5および5’は干渉縞、6および6’は参照極短パルス光の透過光、7および7’は参照極短パルス光の自己回折による一次回折光、8は結像レンズ、9および9’は出力空間分布、100は入射面、101は出力面である。
【0011】
時間→空間信号変換光学系1は、入力された時間信号形態の信号パルス光3、3’を空間信号形態に変換し、出力空間分布9,9’として、出力面101上に出力する。
変換対象の信号パルス光3、3’は、本実施例では簡単化のために2個のみが示されているが、個々の信号パルス光が独立して、超高速光記憶素子2上で参照極短パルス光との間で干渉縞を形成できる範囲において、任意複数個の信号パルス光をバースト状に密集させて入射させることができる。このようなバースト状の信号パルス光の例としては、2値画像を超高速走査して得られる信号や、マルチチャンネルのデータを多重化した信号などが挙げられる。
【0012】
超高速光記憶素子2は、入射した光の強さにより、光の透過率(吸収率)や屈折率などの光学特性を変化させてその状態を保持する機能を備えた素子であり、多重量子井戸(MQW)構造をもつ半導体デバイスや液晶光空間変調素子などが利用できる。
【0013】
超高速光記憶素子2に対して、空間的に適当な幅を持つ信号パルス光3、3’と、同様に空間的に適当な幅を持つ参照極短パルス光4とを光学軸を挟んだ適当な角度で入射する。このとき超高速光記憶素子2の入射面100に到達した信号パルス光3、3’(PS1, PS2)と参照極短パルス光4(Pr )の波面は、入射面100をそれぞれ逆の方向に光速で走査する。
【0014】
入射面100上を逆方向に光速で走査するパルス光PS1とPr およびPS2とPr のそれぞれの組において、両パルス光の波面が同時に到達した空間的位置で干渉が生じ、干渉縞5、5’が順次生成される。得られた干渉縞5、5’の空間分布は、干渉した両パルス光の空間投影像の相互相関波形に対応している。図2に、干渉縞5、5’が生成される過程を示す。
【0015】
図2の(a)は、信号パルス光PS1の一端が超高速光記憶素子2の面空間に到達したが、信号パルス光PS2と参照極短パルス光Pr はまだ到達していない状態を示す。このときPS1, PS2とPr との干渉位置は、いずれも超高速光記憶素子2の面空間から離れたところにある。
【0016】
図2の(b)は、参照極短パルス光Pr の一端が超高速光記憶素子2の面空間に到達し、信号パルス光PS1との干渉により干渉縞5が生成されて超高速光記憶素子2に記憶された状態を示す。このとき、PS2はすでに超高速光記憶素子2の面空間に到達しているが、PS2とPr との干渉位置は、超高速光記憶素子2の面空間からまだ離れたところにある。
【0017】
図2の(c)は、信号パルス光PS2と参照極短パルス光Pr が超高速光記憶素子2の面空間で遭遇し、両パルス光の干渉により干渉縞5’が生成されて、超高速光記憶素子2に記憶された状態を示す。
【0018】
干渉縞5あるいは5’が超高速光記憶素子2の面空間に生成されたとき、その生成領域には、干渉縞のパターンに対応して透過率(吸収率)などの光学特性の変化が超高速で形成され、保持される。そのため、参照極短パルス光Pr は、干渉縞5あるいは5’を生成した時点でその干渉縞により自己回折されて、透過光6,6’と一次回折光7,7’を生じる。
【0019】
ここで、結像レンズ8 を用いて一次回折光7,7’のみを出力面101上に結像することにより、入力の信号パルス光3, 3’の時間信号波形に対応する出力空間分布9, 9’が、出力面101上に得られる。
【0020】
本発明による時間→空間信号変換光学系1の変換性能は、入力パルス光と参照パルス光の空間的な幅の大きさや、入力パルス光と参照パルス光のパルス幅、バースト中の入力パルス光の間隔と最大パルス数に依存するが、特に入力パルス光と参照パルス光の位相差により、超高速光記憶素子2の面上に生成される干渉縞の位置が変わり、出力面101上の出力空間分布9, 9’の位置も変化するので、参照パルス光の発生条件を種々の設計値で変更可能にし、超高速光記憶素子2の面上における干渉縞の生成状態を適切に制御できるようにする。
【0021】
なお図示省略されているが、出力面101上には、出力空間分布9, 9’に対応させて、フォトセルの配列あるいはCCDなどの撮像素子を配置し、出力面に分布出力された空間信号を電気的に取り出したり、多重化した光導波路や光ファイバーの受光端を配置して、空間信号を光学的に取り出すことができる。
【0022】
以上により、入力の信号パルス光の時間信号を空間信号に変換することが可能となる。たとえば、入力の信号パルス光が画像を走査して得られた時間信号であれば、出力面に元の画像を空間的に展開して出力することができる。また入力の信号パルス光がマルチチャンネルのデータを多重化した時間信号であれば、出力面に、個々のチャンネルのデータを空間的に分離して出力することができる。
【0023】
本発明は、上述した実施例にのみ限定されるものではなく、幾多の変更や変形が可能である。たとえば、上述した実施例では、結像のために一枚のレンズを用いたが、出力面を超高速光記憶素子2からもっと離す必要がある場合などには、2枚のレンズを用いたテレセントリック光学系を用いることもできる。
【0024】
【発明の効果】
上述したように、本発明による時間信号の空間信号への直接超高速変換方法および装置によれば、従来の方法のように間接的な分光技術を利用することなく、時間信号を空間信号に直接超高速に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例による時間→空間信号変換光学系の装置構成図である。
【図2】信号パルス光と参照極短パルス光の干渉による干渉縞生成過程の説明図である。
【符号の説明】
1: 時間→空間信号変換光学系
2: 超高速光記憶素子
3,3’: 信号パルス光
4: 参照極短パルス光
5,5’: 干渉縞
6,6’: 透過光
7,7’: 一次回折光
8: 結像レンズ
9,9’: 出力空間分布
100: 入射面
101: 出力面
図面
【図1】
0
【図2】
1