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明細書 :マイクロバブル作製方法およびその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3881176号 (P3881176)
公開番号 特開2002-214225 (P2002-214225A)
登録日 平成18年11月17日(2006.11.17)
発行日 平成19年2月14日(2007.2.14)
公開日 平成14年7月31日(2002.7.31)
発明の名称または考案の名称 マイクロバブル作製方法およびその装置
国際特許分類 G01N  33/48        (2006.01)
A61M   1/00        (2006.01)
FI G01N 33/48 A
G01N 33/48 T
A61M 1/00 510
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2001-005857 (P2001-005857)
出願日 平成13年1月15日(2001.1.15)
審査請求日 平成16年4月20日(2004.4.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】千田 勝一
【氏名】佐々木 美香
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】加々美 一恵
参考文献・文献 特開平06-174602(JP,A)
J. Appl.Physiol., ,1977年,Vol.43,p198-203
調査した分野 G01N 33/48-33/98
特許請求の範囲 【請求項1】
羊水や胃液などの液状の検体を吸引・排出して泡立てるマイクロバブル作製方法において、注射器のシリンダをシリンダ支持具に固定し、ついで、前記注射器のピストンを複数回往復動させて、検体を吸引・排出して泡立てることを特徴とするマイクロバブル作製方法。
【請求項2】
前記ピストンの往復動を駆動装置により行うことを特徴とする請求項1に記載のマイクロバブル作製方法。
【請求項3】
羊水や胃液などの液状の検体を吸引・排出して泡立てるマイクロバブル作製装置であって、検体を吸引・排出するための注射針を有する注射器と、前記注射器のシリンダを支持するシリンダ支持具と、前記注射器のシリンダ内を往復動するピストンと、前記ピストンを往復動する駆動装置とを備えていることを特徴とするマイクロバブル作製装置。
【請求項4】
前記注射器のピストンの往復動の回数を設定する回数設定手段と、前記ピストンの往復動の回数を計数する回数計数手段と、この回数計数手段の計数した回数が、設定回数になった際に前記駆動装置を停止させる停止手段とを備えていることを特徴とする請求項3に記載のマイクロバブル作製装置。
【請求項5】
前記駆動装置の駆動速度を調整する速度調整手段を備えていることを特徴とする請求項3または4に記載のマイクロバブル作製装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、羊水や胃液などの液状の検体を吸引・排出して泡立てるマイクロバブル作製方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
早産の新生児には、肺が未熟で出生後に呼吸が上手くできない呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome 以下、「RDS」と呼ぶ)になり、低酸素血症による後遺症や死亡の発生が見られる。RDSの原因は、肺が未熟で肺胞表面に十分な肺サーファクタントがなく、肺胞が虚脱する事による。しかしながら、近年、日本で開発された人工サーファクタント治療(出生後に、人工サーファクタントを投与する治療)が導入され、肺サーファクタントの欠乏に起因するRDSの死亡率の低下が実証された。この結果、RDSの発症予知法の確立と普及が、新生児医療の重要な課題となってきた。マイクロバブルテストは肺サーファクタントの理論に基づく迅速・簡便なRDSの発症予知法である。このマイクロバブルテストにおけるマイクロバブル作製は、従来、用手法で行われている。
【0003】
この用手法を、図5を用いて説明する。図5は従来の用手法における正面図である。ピペット(図示しない)で、母体の羊水や出生後の新生児の胃液などの液状の検体1を所定量(たとえば、20ないし40μl〔マイクロリットル〕)採取して、カバーグラスやスライドグラス等の検査用グラス2に載せる。この検査用グラス2上の検体1を、スポイト3で吸引し、ついで、吸引した検体1を排出する。この吸引・排出を複数回(たとえば、6秒間に20回)リズミカルに繰り返すことを行う。すると、検体1が泡立つ。この様にして起泡させ、4分静止後に、直径15μm以下の泡の1mm2 当たりの数を顕微鏡で数え、その数量により、RDSの発症予知の判定を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、吸引・排出時のスポイト3への力の入れ具合や、吸引・排出の速度などに、個人差が生じる。そのため、泡立て手技の結果に影響する可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、測定者間の個人差が生じることを防止することができるマイクロバブル作製方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0006】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
羊水や胃液などの液状の検体を吸引・排出して泡立てるマイクロバブル作製方法において、注射器のシリンダをシリンダ支持具に固定し、ついで、前記注射器のピストンを複数回往復動させて、検体を吸引・排出して泡立てることを特徴とするマイクロバブル作製方法である。
また、前記ピストンの往復動を駆動装置により行うことを特徴とするマイクロバブル作製方法である。
また、羊水や胃液などの液状の検体を吸引・排出して泡立てるマイクロバブル作製装置であって、検体を吸引・排出するための注射針を有する注射器と、前記注射器のシリンダを支持するシリンダ支持具と、前記注射器のシリンダ内を往復動するピストンと、前記ピストンを往復動する駆動装置とを備えていることを特徴とするマイクロバブル作製装置である。
また、前記注射器のピストンの往復動の回数を設定する回数設定手段と、前記ピストンの往復動の回数を計数する回数計数手段と、この回数計数手段の計数した回数が、設定回数になった際に前記駆動装置を停止させる停止手段とを備えていることを特徴とするマイクロバブル作製装置である。
また、前記駆動装置の駆動速度を調整する速度調整手段を備えていることを特徴とするマイクロバブル作製装置である。
【0007】
【実施の形態】
次に、本発明におけるマイクロバブル作製方法およびその装置の実施の一形態を図1ないし図4を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態のマイクロバブル作製装置の概略図である。図2はマイクロバブル作製装置の電気回路図である。図3はマイクロバブル作製方法のフローチャートである。図4はマイクロバブルの発泡状態を示す写真で、(a)が実施の形態のマイクロバブル作製方法による発泡状態の図、(b)が従来の用手法による発泡状態の図である。なお、図5の従来例と同じ構成要素には、同一の符号を付してその詳細な説明は省略されている。
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1において、マイクロバブル作製装置は、注射器支持装置11と制御ボックス12とから構成されている。注射器支持装置11は、カバーグラスやスライドグラスなどの検査用グラス2を載置する載置台16、および、注射器17を支持する支持板18を具備している。この支持板18に、シリンダ支持具19で注射器17のシリンダ17aが固定されて支持されている。このシリンダ17aの先端に注射針17bが取り付けられ、この注射針17bの先端から検査用グラス2上に検体1が排出されたり、また、シリンダ17a内に吸入されたりする。そして、シリンダ17aに摺動可能に取り付けられるピストン17cは、支持板18に設けられているガイド21で上下方向に案内される。なお、注射器17は1ml〔ミリリットル〕のディスポーザブル注射器であり、注射針17bとしては23Gの注射針を採用した。
【0009】
注射器17の上方には、駆動装置であるモータ23が支持板18に取り付けられて設けられている。モータ23の回転軸には偏心カム24が固定して取り付けられており、モータ23が稼働すると、偏心カム24が回転する。この偏心カム24の先端とピストン17cとは連動機構であるリンク26で連結されており、偏心カム24が回転すると、ピストン17cは上下方向に往復動する。また、支持板18にはカウンター28が設けられており、このカウンター28のレバー28aが、偏心カム24の周面に接触しており、偏心カム24の回転により上下に往復動する。レバー28aの往復動は、ピストン17cの往復動に連動しているとともに、このレバー28aの往復動によりカウンター28はON-0FF信号を出力する。
【0010】
モータ23およびカウンター28は、制御ボックス12に電線コード31で接続されている。制御ボックス12には、その正面盤に、実行回数を表示する実行回数表示器32、設定回数を表示する設定回数表示器33、設定回数を設定する設定ボタン34、スタートボタン36および速度調整ダイヤル37が設けられている。
【0011】
次に、マイクロバブル作製装置の電気回路を図2に基づいて説明する。
制御ボックス12の図示しないコンセントは、交流電源41に接続される。この電源41からの電気は、制御ボックス12内のスイッチ機構42に供給される。このスイッチ機構42は、スタートボタン36に連動しており、スタートボタン36が押圧などにより操作されると、ONとなり、自己保持回路などによりONの状態を維持する。そして、スイッチ機構42は、速度調整器43を介してモータ23に接続されている。速度調整器43は、供給された電気の電圧や周波数などを調整して、モータ23の回転速度を変更する。速度調整器43は速度調整ダイヤル37により作動されており、速度調整ダイヤル37を操作することにより、モータ23の回転速度を調整することができる。
【0012】
また、カウンター28からの信号は、積算器44に入力され、積算器44はカウンター28のON-OFFの回数を積算する。ところで、この積算器44は、スイッチ機構42に接続されており、スイッチ機構42がONとなった際に、スイッチ機構42からリセット信号が入力される。そのため、積算器44はスタートボタン36が操作された後のピストン17cの往復動の実行回数を生成する。そして、積算器44には実行回数表示器32が接続され、実行回数表示器32は往復動の回数を表示する。さらに、積算器44には比較器46が接続されている。また、設定ボタン34を操作すると、設定ボタン34に接続されている回数設定器47に設定回数が設定される。この設定回数は、回数設定器47に接続されている設定回数表示器33に出力されて表示されるとともに、回数設定器47に接続されている比較器46に出力される。そして、比較器46は積算器44からの実行回数と回数設定器47からの設定回数とを比較し、実行回数が設定回数になると、比較器46に接続されているスイッチ機構42にリセット信号を出力する。リセット信号がスイッチ機構42に入力されると、スイッチ機構42はONからOFFになり、モータ23への電気の供給を停止する。そして、モータ23は回転を停止する。この様にして、設定ボタン34および回数設定器47で回数設定手段が構成され、カウンター28および積算器44で回数計数手段が構成され、速度調整ダイヤル37および速度調整器43で速度調整手段が構成され、また、比較器46およびスイッチ機構42で停止手段が構成されている。
【0013】
この様に構成されているマイクロバブル作製装置を用いて、検体1を泡立てる際のフローを図3のフローチャートを用いて説明する。
まず始めに、図示しないピペットで、羊水や胃液などの液状の検体1を所定量(たとえば、20ないし40μl〔マイクロリットル〕)採取し、検査用グラス2上に載せる。この検査用グラス2を載置台16上に載置するとともに、注射針17bの先端が検査用グラス2上方に位置する様に、シリンダ17aをシリンダ支持具19で支持板18に固定してセットする。このセット時に、注射針17bの先端は検査用グラス2上の検体1に刺さる。ついで、ステップ1において、スタートボタン36を押す。そして、スタートボタン36が押されると、ステップ2において、スイッチ機構42がONとなる。そして、スイッチ機構42がONとなると、ステップ3において、積算器44がリセットされるとともに、モータ23が回転し、ピストン17cが往復動する。また、ステップ4において、モータ23の回転により、偏心カム24がレバー28aを往復動させ、カウンター28からON-OFF信号が積算器44に入力される。そして、積算器44がピストン17cの往復動の回数すなわち実行回数を生成する。この実行回数は、実行回数表示器32に表示されるとともに、ステップ5において、比較器46で回数設定器47からの設定回数と比較される。そして、実行回数が設定回数となると、ステップ6に行き、比較器46からスイッチ機構42にリセット信号が出力され、モータ23が停止する。この様にして、注射器17のピストン17cは設定回数(たとえば20回)往復動し、シリンダ17aに検体1を吸引したり、また、シリンダ17aから検体1を排出したりして泡立てる。この往復動の速度(たとえば、6秒間に20回)は速度調整ダイヤル37により調整することができる。そして、従来例と同様に、泡立った検体1における1mm2 当たりの15μm以下の泡の数を顕微鏡で数え、その数量により、RDSの発症予知の判定を行う。
【0014】
前述の様に、吸引・排出がモータ23などの駆動装置で行われており、泡立ちに個人差が生じることを防止することができる。この泡立ちの状態の写真は図4に示されており、図4(a)に実施の形態のマイクロバブル作製方法により作製されたマイクロバブルが、図4(b)に従来の用手法により作製されたマイクロバブルが示されている。なお、図4(a)のマイクロバブル作製方法および図4(b)の用手法の両者において、検体1は羊水(40μl〔マイクロリットル〕)、顕微鏡の倍率は100倍、最小目盛りは15μmである。そして、図4(a)のマイクロバブル作製方法では、注射針17bは23G注射針を用い、6秒間20回の吸引・排出を行った。図4(b)の用手法では、ピペットとスポイト3を用いて6秒間20回の吸引・排出を手動で行った。
【0015】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内で種々の形態を実施することが可能である。
たとえば、(1)検体1の量や種類は適宜変更可能である。
(2)往復動の回数や速度は適宜変更可能である。
(3)注射器17のシリンダ17aは、ピストン17cの往復動の際に、シリンダ支持具で移動不能に固定されていれば良く、ピストン17cの往復動の前後においては、移動可能にすることもできる。
(4)駆動装置やシリンダ支持具などの構造は、適宜選択可能である。
(5)検体1は、注射器17で採取することも可能であるし、また、ピペットで採取して検査用グラス2上に載せることも可能である。
(6)注射器17の形式、構造や容量などは適宜変更可能である。たとえば、1ml〔ミリリットル〕のディスポーザブル注射器のシリンダを、より短くかつ容量の小さな同型のシリンダに変更することも可能である。また、23Gの注射針17bの先端を加工し、尖った部分を削ることも可能である。
【0016】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、シリンダがシリンダ支持具に固定されている注射器のピストンを往復動させているので、往復動を円滑に行うことができる。そして、ピストンは駆動装置により行われており、測定者間の個人差が生じることを防止することができる。さらに、ピストンの往復動の回数設定手段および回数計数手段が設けられ、実行回数が設定回数になった際に駆動装置を停止させているため、往復動を自動的に所定回数行うことができる。そして、速度調整手段により、往復動の速度を簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のマイクロバブル作製装置の概略図である。
【図2】マイクロバブル作製装置の電気回路図である。
【図3】マイクロバブル作製方法のフローチャートである。
【図4】マイクロバブルの発泡状態を示す写真で、(a)が実施の形態のマイクロバブル作製方法による発泡状態の図、(b)が従来の用手法による発泡状態の図である。
【図5】従来の用手法における正面図である。
【符号の説明】
1 検体
17 注射器
17a シリンダ
17b 注射針
17c ピストン
19 シリンダ支持具
23 モータ(駆動装置)
28 カウンター(回数計数手段)
34 設定ボタン(回数設定手段)
37 速度調整ダイヤル(速度調整手段)
43 速度調整器(速度調整手段)
44 積算器(回数計数手段)
47 回数設定器(回数設定手段)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4