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明細書 :連続移動物体のリアルタイム形状計測方法及びシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3629532号 (P3629532)
公開番号 特開2002-286433 (P2002-286433A)
登録日 平成16年12月24日(2004.12.24)
発行日 平成17年3月16日(2005.3.16)
公開日 平成14年10月3日(2002.10.3)
発明の名称または考案の名称 連続移動物体のリアルタイム形状計測方法及びシステム
国際特許分類 G01B 11/25      
G01B 11/24      
FI G01B 11/24 E
G01B 11/24 A
G01B 11/24 K
請求項の数または発明の数 6
全頁数 9
出願番号 特願2001-089799 (P2001-089799)
出願日 平成13年3月27日(2001.3.27)
審査請求日 平成13年3月27日(2001.3.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145283
【氏名又は名称】国立大学法人 和歌山大学
発明者または考案者 【氏名】森本 吉春
【氏名】藤垣 元治
【氏名】矢部 正人
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
審査官 【審査官】山下 雅人
参考文献・文献 特開平07-218233(JP,A)
特開平11-211443(JP,A)
特開2001-004338(JP,A)
特開2002-148029(JP,A)
特開2002-162214(JP,A)
特開2002-257528(JP,A)
調査した分野 G01B 9/00 - 11/30
特許請求の範囲 【請求項1】
連続移動する物体に等間隔の余弦波格子を、前記物体の移動方向に対して垂直方向から所定の角度だけ傾けた方向において投影し、
前記余弦波格子が投影された物体を、前記余弦波格子の位相が前記物体の移動方向においてπ/2ずつずれる間隔のラインを撮影するように前記物体の移動方向に対して垂直かつ平行に配置された4本のラインセンサによって、前記格子投影角度と異なる角度から、前記物体が前記ラインセンサ間の距離を移動する移動時間に合わせた撮影タイミングで各々撮影し、ライン画像を得て、
前記余弦波格子が位相シフトされた4つの前記ライン画像を位相シフト法により位相解析し、前記物体の高さ分布を得ることを特徴とする連続移動物体形状計測方法。
【請求項2】
請求項1に記載の連続移動物体形状計測方法において、前記格子を余弦波格子としたことを特徴とする連続移動物体形状計測方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の連続移動物体形状計測方法において、前記位相シフト法による位相解析の際、予め求めておいた基準となる平面基準板における投影格子の位相分布と前記ライン画像の位相分布との位相差を求めることにより、前記物体の高さ分布を得ることを特徴とする連続移動物体形状計測方法。
【請求項4】
請求項3に記載の連続移動物体形状計測方法において、前記位相差を求める際、あらかじめ作成しておいた位相値の高速算出用テーブルを使用することを特徴とする連続移動物体形状計測方法。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載の連続移動物体形状計測方法において、前記ラインセンサの撮影方向を、前記物体の移動方向に対して垂直にしたことを特徴とする連続移動物体形状計測方法。
【請求項6】
連続移動する物体に等間隔の格子を、前記物体の移動方向に対して垂直方向からわずかに傾けた角度において投影する格子投影手段と、
前記物体を前記格子投影角度と異なる角度から、前記物体が前記ラインセンサ間の距離を移動する移動時間に合わせた撮影タイミングで各々撮影する、前記余弦波格子の位相が前記物体の移動方向においてπ/2ずつずれる間隔のラインを撮影するように前記物体の移動方向に対して垂直かつ平行に配置された4本のラインセンサと、
前記ラインセンサが撮影したライン画像を格納するメモリ手段と、
前記メモリに記憶された前記格子が位相シフトされた4つの画像を位相シフト法により位相解析し、前記物体の高さ分布を発生する解析手段とを具えることを特徴とする連続移動物体形状計測システム。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体の形状及び変形量を計測する非接触形状計測方法に関し、特に、連続移動物体のリアルタイム形状計測方法に関する。本発明は、このような形状計測方法を実行するシステムにも関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば近年、高度経済成長期に造られたコンクリート建築物の崩壊が問題化している。特に新幹線のトンネル崩壊などは多数の人命にかかわる深刻な問題である。現在、トンネルの検査は時間がかかるために営業時間外しか行えず、新幹線の場合は2年に1回行うのが基準となっている。これでは、崩落の危険性を早急に察知し対処することができない。そこで営業時間内でも検査が行えるように検査装置を営業車両に搭載し、営業速度のままで高速にトンネル形状を検査するシステムが求められている。
【0003】
格子投影による形状計測をリアルタイムに高精度で行う方法として、例えば、本発明者による特願平11-179959号「積分型位相シフト法」がある。この方法は、CCDカメラの1フレームあたりの撮影時間(以下、フレームレートと呼ぶ)ごとに位相分布を計算して結果を表示するので、実時間解析に適し、検査結果を高速に表示するのに適している。また、この方法は、投影格子の位相を連続的にシフトさせて計測するため、計測装置の構造が簡単であるという利点もある。
【0004】
一方、連続的に移動する物体を形状計測する方法として光切断法がある。この方法はスリット光を物体に投影し、物体表面でゆがんだスリット光を2次元CCDカメラによって投影することにより、スリット光のゆがみ量から物体の形状を算出するが、高い空間分解能で高速に形状検査をすることは今のところ不可能である。光切断法については、三次元工学1.光三次元計測 吉澤徹編 (株)新技術コミュニケーションズ 1998 28-37ページを参照されたい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この方法による空間分解能はCCDカメラの画素数に依存するため、計測対象が大きい場合には分解能が低下するという欠点を有する。また、計測対象が長いものについては計測することができない。工場の生産ラインなどでは、製品の形状検査を行う場合に光切断法が多く用いられている。しかし、2次元のCCDカメラが用いられるため、必要とするメモリ量が多く、形状の算出に時間がかかるため、高速に形状測定ができないという問題があった。
【0006】
上述したことを鑑み、本発明は、実行するためのシステムの構成が簡単で、高速に検査することができる連続移動物体形状計測方法と、このような連続移動物体形状計測方法を実行するシステムとを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による連続移動物体形状計測方法は、連続移動する物体に等間隔の格子を、前記物体の移動方向に対して垂直方向から所定の角度だけ傾けた方向において投影し、前記格子が投影された物体を、複数の平行に配置されたラインセンサによって、前記格子投影角度と異なる角度から、前記物体が前記ラインセンサ間の距離を移動する移動時間に合わせた撮影タイミングで各々撮影し、ライン画像を得て、複数の位相シフトされた前記ライン画像を位相シフト法により位相解析し、前記物体の高さ分布を得ることを特徴とする。
【0008】
本発明による連続移動物体形状計測方法は、ラインセンサを用いるために必要なメモリ量が少なくて済み、また算出方法が簡単であるため、高速に形状計測することができる。したがって、高速に形状計測することが必要な分野への応用が期待できる。さらに本発明による連続移動物体形状計測方法は、物体全面に渡って一度に形状を計測することができるという利点もあり、高速に物体全面に渡って形状を計測する分野への応用が期待できる。本発明では、高速に検査できること以外に、システムの構造が簡単であるため、安価で構成することができるという利点を有する。また、アルゴリズムが簡単であるため、演算処理に時間がかからない。したがって、高性能な演算処理能力を必要としないという利点も有する。
【0009】
前記格子を余弦波格子とすれば、フーリエ変換法を用いなくても位相を求めることができ、解析がより簡単かつ高速になる。
【0010】
前記位相シフト法による位相解析の際、予め求めておいた基準となる平面基準板における投影格子の位相分布と前記ライン画像の位相分布との位相差を求めることにより、前記物体の高さ分布を得るようにすれば、解析がより簡単かつ高速になる。また、この際、あらかじめ作成しておいた位相値の高速算出用テーブルを使用すれば、構成がより簡単になり、解析もより簡単かつ高速になる。
【0011】
前記ラインセンサの撮影方向は、前記物体の移動方向に対して垂直にすれば、構成はより簡単になり、解析も容易になる。
【0012】
本発明による連続移動物体形状計測システムは、連続移動する物体に等間隔の格子を、前記物体の移動方向に対して垂直方向からわずかに傾けた角度において投影する格子投影手段と、前記物体を前記格子投影角度と異なる角度から、前記物体が前記ラインセンサ間の距離を移動する移動時間に合わせた撮影タイミングで各々撮影する、複数の平行に配置されたラインセンサと、前記ラインセンサが撮影したライン画像を格納するメモリ手段と、前記メモリに記憶された複数の位相シフトされた画像を位相シフト法により位相解析し、前記物体の高さ分布を発生する解析手段とを具えることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による連続移動物体形状計測システムの一実施形態の光学系の構成を示す図である。本光学系は、格子投影装置3及びカメラ4を具え、等速でx軸の向きに移動する物体1に、格子投影装置3から余弦波格子を入射角αで投影し、物体1に投影された余弦波格子を物体1の移動方向に対して垂直方向を向いたカメラ4によって撮影するような配置を有する。カメラ4は、等間隔において配置された4個のラインセンサを具え、各々のラインセンサは、物体1の移動方向に対して垂直な方向のラインを撮影する。
【0014】
図2は、物体1の移動と各ラインセンサが撮影するラインの撮影タイミングを示す図である。余弦波格子は、入射角αで物体1の表面に投影される。物体1は図2に示すようにx軸の向きに等速で移動し、また撮影するラインセンサは、その移動方向に対して垂直な方向のラインを撮影する。投影する格子と計測する4ラインの撮影位置関係は固定状態にある。したがって、図2に示すように物体がカメラの前を等速で移動すると、物体上の点Pは計測する4ラインでそれぞれ撮影されることになる。各ラインセンサの撮影タイミングは、物体の移動速度に同期させる。図2を用いて、撮影タイミングと物体の移動速度の関係を説明する。物体1上の点Pが、各ラインセンサが撮影するライン上を通過する瞬間ごとに、ラインセンサがライン画像を撮影する。このタイミングを維持することにより、4本の異なる位置にあるラインセンサがそれぞれ点Pを撮影することができるようになる。
【0015】
図3は、格子の位相と計測する4ラインの配置を示す図である。計測する4ライン間の距離は、図3に示すように、投影された格子模様のうち物体の移動方向成分における格子の位相がπ/2ずつずれた距離(すなわちD/4)とする。
【0016】
本発明の基本的な原理は、従来の格子投影形状計測と同様である。この原理を用いてより高精度に形状計測する方法として位相解析法がある。本発明は、位相解析法の1つである位相シフト法を応用したものである。余弦波状の光強度分布を持つ格子模様(以下、余弦波格子と呼ぶ)を投影し、位相シフト法を用いて4本のラインから位相解析する方法について説明する。
【0017】
余弦波格子と位相との関係について説明する。図4は、余弦波格子の光強度分布と位相との関係を示すグラフである。光強度分布上のある1点Pにおける光強度と位相との関係は、余弦波格子のピッチをD、点Pにおける光強度をIとし、位相値をφとすると、次式で表すことができる。
【数1】
JP0003629532B2_000002t.gifただし、光強度が最大であるときの位相を0と定め、IとIは光強度の最大値と最小値を表す。
【0018】
次に、位相変化から変形量を算出する方法について説明する。図5は、物体の凹凸変化量と投影する格子模様の位相変化の関係を示す図である。平面である基準板2の上に物体1がある。前記投影格子の基準板表面2上におけるピッチをDとし、前記投影格子の入射角をαとすると、前記投影格子のz軸方向成分のピッチDは次式で表すことができる。
【数2】
JP0003629532B2_000003t.gif物体1の表面上のある点Pと基準板2上の点P’との高さ変化hは、これら2点の位相差をΔφとして式(2)から次式で表すことができる。
【数3】
JP0003629532B2_000004t.gif【0019】
次に、位相シフト法を連続移動物体の形状計測に適用できることを説明する。図6は、ラインセンサが撮影する物体の格子の位相を示す図である。この図は、図5のx軸上について示したものである。物体がない状態であれば、各ラインセンサはP’~P’を見ているので、余弦波格子の位相が0、π/2、π及び3π/2での格子模様を撮影することになる。物体がある場合、物体上の点Pを撮影する各ラインセンサは、いずれもその高さ分だけの位相Δφだけずれた状態の格子模様(つまり、余弦波格子の位相が0+Δφ、(π/2)+Δφ、π+Δφ及び(3π/2)+Δφでの格子模様を撮影することになる。したがって、位相シフト法を適用することができる。以上のことから、計測する物体がどんな長い形状をしていても形状計測することができることがわかる。物体の形状を計測する前に、基準となる平面基準板の位相分布を求め、次に計測対象である凹凸形状をした物体の位相分布を求める。それぞれの位相差を求めることにより、物体の高さ分布すなわち形状を計測することができる。このために、あらかじめ位相値の高速算出用テーブルを作製しておき、位相シフト法による演算は、この高速算出用位相テーブルを用いて行うのが有利である。
【0020】
図7は、本発明による連続移動物体形状計測システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。物体1に格子を投影し、撮影する格子投影装置3及びカメラ4から成る光学系は図3に示すものと同様である。本システムはさらに、速度検知センサ5と、速度検知センサの出力部に接続された入力部を有し、カメラ4の入力部に接続された出力部を有するコントローラ6と、カメラ4の出力部に接続された入力部を有するメモリ7と、メモリ7の出力部に接続された入力部を有する解析部8と、解析部8の出力部に接続された表示装置9とを具える。速度検知センサ5は、物体1の移動速度を検知し、この移動速度情報をコントローラ6に供給する。コントローラ6は、この移動速度情報を撮影タイミング信号としてカメラ4に供給する。カメラ4は、この撮影タイミング信号に従って各ラインセンサによって物体1のライン画像を撮影し、メモリ7に供給する。メモリ7は、前記ライン画像の輝度データを記憶する。メモリ7は、前記ライン画像の輝度データを解析部8に供給する。解析部8は、前記高速算出用位相テーブルを具え、前記輝度データを位相値に変換し、上述したような位相シフト法により物体1の高さ分布を表す信号を求め、表示装置8に供給する。表示装置8は、前記物体1の高さ分布を表す画像を表示する。
【0021】
ここで、メモリ7において前記ライン画像を記憶する方法について説明する。図8は、メモリ7の構造の一例を示す図である。等速で移動する物体上の点P~P(点P~Pの間隔は計測する4ラインの間隔に等しいものとする)の時刻tにおける位置をP(t)~P(t)とし、このときに各ラインセンサA~Dが瞬間的に点P~Pを撮影する輝度をIP1A(t)~IP4D(t)とする。また、点PがラインA~Dを通過する時刻をそれぞれt=0,T,2T,3Tとする。時刻t=0のとき、ラインAがライン画像IP1A(0)を撮影する。このとき、IP1A(0)をメモリ枠の左端に格納する。次に、時刻t=Tのとき、メモリのデータIP1A(0)を右に1つシフトする。これと同時に、ラインA及びBがライン画像IP2A(T)及びIP1B(T)を撮影する。IP2A(T)及びIP1B(T)をメモリ枠の左端に格納する。次に、時刻t=2Tのとき、再びメモリのデータIP1A(0)、IP2A(T)及びIP1B(T)を右に1つシフトする。これと同時に、ラインA~Cがライン画像IP3A(2T)、IP2B(2T)及びIP1C(2T)を撮影する。このとき、IP3A(2T)、IP2B(2T)及びIP1C(2T)をメモリ枠の左端に格納する。以下同様にして、IP4A(3T)、IP3B(3T)、IP2C(3T)及びIP1D(3T)をメモリ枠の左端に格納する。t=3Tの時点で、物体上の点Pにおける4ラインの輝度データIP1A(0)、IP1B(T)、IP1C(2T)及びIP1D(3T)がすべてそろう。破線で示した4つの輝度から位相シフト法により物体上の点Pの位相解析を行う。位相解析後は前記データを破棄し、t=4T以降も時間Tごとに次々と物体上の他の点の位相解析を行うことができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、実行するためのシステムの構成が簡単で、高速に検査することができる連続移動物体形状計測方法と、このような連続移動物体形状計測方法を実行するシステムとを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による連続移動物体形状計測システムの一実施形態の光学系の構成を示す図である。
【図2】物体1の移動と各ラインセンサが撮影するラインの撮影タイミングを示す図である。
【図3】格子の位相と計測する4ラインの配置を示す図である。
【図4】余弦波格子の光強度分布と位相との関係を示すグラフである。
【図5】物体の凹凸変化量と投影する格子模様の位相変化の関係を示す図である。
【図6】ラインセンサが撮影する物体の格子の位相を示す図である。
【図7】本発明による連続移動物体形状計測システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図8】メモリ7の構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 物体
2 基準板
3 格子投影装置
4 カメラ
5 速度検知センサ
6 コントローラ
7 メモリ
8 解析部
9 表示装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7