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明細書 :液晶表示素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3656103号 (P3656103)
公開番号 特開2003-091009 (P2003-091009A)
登録日 平成17年3月18日(2005.3.18)
発行日 平成17年6月8日(2005.6.8)
公開日 平成15年3月28日(2003.3.28)
発明の名称または考案の名称 液晶表示素子
国際特許分類 G02F  1/1337    
G02F  1/1343    
FI G02F 1/1337 505
G02F 1/1343
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2001-285342 (P2001-285342)
出願日 平成13年9月19日(2001.9.19)
審査請求日 平成13年9月19日(2001.9.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020948
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
発明者または考案者 【氏名】岡田 裕之
【氏名】大野 洋
【氏名】女川 博義
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦
【識別番号】100091351、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 哲
【識別番号】100088683、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 誠
【識別番号】100108855、【弁理士】、【氏名又は名称】蔵田 昌俊
【識別番号】100075672、【弁理士】、【氏名又は名称】峰 隆司
【識別番号】100109830、【弁理士】、【氏名又は名称】福原 淑弘
【識別番号】100084618、【弁理士】、【氏名又は名称】村松 貞男
【識別番号】100092196、【弁理士】、【氏名又は名称】橋本 良郎
審査官 【審査官】藤岡 善行
参考文献・文献 特開平06-324337(JP,A)
実開昭63-019880(JP,U)
特開平09-304757(JP,A)
特開平11-258605(JP,A)
特開平07-234414(JP,A)
特開2003-075851(JP,A)
調査した分野 G02F 1/1337
G02F 1/1343
特許請求の範囲 【請求項1】
ネマチック液晶材料を含む液晶層と、前記ネマチック液晶材料の液晶分子を所定方向に配向させて挟持する第1および第2光透過性基板と、前記第1および第2光透過性基板上にそれぞれ形成され前記液晶分子の配列を制御する電場を前記液晶層に印加する第1および第2円形電極とを備え、前記第1および第2円形電極は前記電場において前記液晶層を複数のドメインに分割しこれら複数のドメイン相互間で前記液晶分子のチルト方向を互いに異ならせるように対向する放射状および同心円状の遮光性電極線をそれぞれ含むことを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
前記第1および第2光透過性基板は前記第1および第2円形電極をそれぞれ覆い前記液晶分子を基板平面に対して略垂直および略水平のいずれかに配向させる配向膜をそれぞれ含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
【請求項3】
一対の偏光板が偏光軸を互いに直交させて前記第1および第2光透過性基板上にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示素子。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶層が一対の電極基板間に挟持される液晶表示素子に関し、特に液晶分子のチルト方向が互いに異なる複数のドメインに分割される液晶層を持つ液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネルは、軽量、薄型、低消費電力という特性からOA機器、情報端末、時計、テレビのような様々な分野で応用されている。特にアクティブマトリクス型液晶表示パネルは、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)を用いて画素のスイッチングを行うことにより優れた応答性を得ることができるため、多くの画像情報を表示しなくてはならない携帯テレビあるいはコンピュータの表示モニタとして利用されている。
【0003】
近年では、液晶表示パネルの精細度および表示速度の向上が情報量の増大に伴って要求され始めている。精細度の向上はTFTアレイ構造を微細化して画素数を増大することにより行われる。この場合、画素数の増大に伴って液晶分子の配列をより短い時間内に遷移させるために、現在の2倍から数十倍という液晶分子の応答速度を得られるような液晶表示モードが必要となる。この液晶表示モードとしては、例えばネマチック液晶を用いたOCB型、VAN型、HAN型、π配列型、スメチック液晶を用いた界面安定型強誘電性液晶(Surface Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)型、あるいは反強誘電性液晶型が利用できる。
【0004】
特にVAN型配向モードは、従来のツイストネマチック型(TN)型配向モードよりも速い応答速度が得られることや、静電気破壊のような不良発生の原因となる従来のラビング配向処理を垂直配向処理の採用により不要にできることから近年注目されている。さらに、VAN型配向モードは視野角の補償設計が容易であり、液晶分子のチルト方向が互いに異なる複数のドメインに各画素の液晶層を分割するマルチドメイン形式にすることにより視野角を広げることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のマルチドメイン形式では、例えば液晶層に電場を印加する電極の一部または周囲に電場の揺らぎをつくり、この揺らぎにより液晶材料の誘電率異方性に対応させてチルト方向を一律に規定することにより複数のドメインが得られる。しかしながら、従来においては電極形状に起因して電場の揺らぎに十分な多方向成分を持たせることができずに視野角特性の偏りを生じている。また、透過率変化の開始点であるしきい特性を制御することも難しかった。
【0006】
本発明の目的は、電極形状に起因する視野角特性の偏りを改善する一方でしきい特性を制御可能な液晶表示素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ネマチック液晶材料を含む液晶層と、ネマチック液晶材料の液晶分子を所定方向に配向させて挟持する第1および第2光透過性基板と、第1および第2光透過性基板上にそれぞれ形成され液晶分子の配列を制御する電場を液晶層に印加する第1および第2円形電極とを備え、第1および第2円形電極は電場において液晶層を複数のドメインに分割しこれら複数のドメイン相互間で液晶分子のチルト方向を互いに異ならせるように対向する放射状および同心円状の遮光性電極線をそれぞれ含む液晶表示素子が提供される。
【0008】
この液晶表示素子では、電場が放射状の遮光性電極線および同心円状の遮光性電極線から液晶層に印加され、この電場において液晶分子のチルト方向が互いに異なる複数のドメインに液晶層を分割する。この構成では、複数のドメインが円形電極の中心に対して対称的になることにより視野角特性の偏りを改善すると共に、ドメインサイズを円形電極の中心から外周へ向かう半径方向において順次変化させることによりしきい特性、すなわち透過率変化の開始点を制御することが可能である。また、円形電極の範囲を画素として画像を表示した場合には、この表示画像の曲線性劣化も防止できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示パネルについて図面を参照して説明する。
【0010】
図1は液晶表示パネルの平面構造を示し、図2はこの液晶表示パネルの画素の断面構造を示す。液晶表示パネルはマルチドメイン形式のVAN型配向モードで動作するもので、光透過性電極基板11および12、およびこれら電極基板11および12間に挟持されネマチック液晶材料を含む液晶層13を備える。
【0011】
電極基板11は略マトリクス状に配置される複数の画素電極EL1、複数の画素電極EL1の行に沿って配置される複数の走査線Y(Y1~Ym)、複数の画素電極EL1の列に沿って配置される複数の信号線X(X1~Xn)、複数の走査線Yおよび複数の信号線Xの交差位置近傍にそれぞれ配置される複数のスイッチング素子SW、複数の走査線Yを駆動する走査線駆動回路YD、および複数の信号線Xを駆動する信号線駆動回路XDを有する。複数の画素電極EL1は、図2に示す絶縁基板G1上に配置され、電圧無印加状態で液晶層13の液晶分子を電極基板11平面に対して略垂直に配向する配向膜14により覆われる。複数のスイッチング素子SW、走査線駆動回路YD、および信号線駆動回路YDは、例えばアモルファスシリコンあるいはポリシリコン薄膜トランジスタにより構成される。各スイッチング素子SWは対応走査線Yを介して駆動されたときに対応信号線Xを対応画素電極EL1に電気的に接続する。尚、図2では省略されるが、複数の走査線Y、複数の信号線X、複数のスイッチング素子SW、走査線駆動回路YD、および信号線駆動回路YDも絶縁基板G1上に配置される。
【0012】
電極基板12は、絶縁基板G1上に形成されるカラーフィルタ15、複数の画素電極EL1に対向するようカラーフィルタ15上に形成される複数の対向電極EL2、これら対向電極EL2を覆って形成され電圧無印加状態で液晶層13の液晶分子を電極基板G2平面に対して略垂直に配向する配向膜16を含む。カラーフィルタ15は複数の電極EL1,EL2によって規定される画素領域に配置される赤(R),緑(G),青(B)という3色の着色層および複数の電極EL1,EL2によって規定される画素領域の周囲に配置される遮光層を含む。
【0013】
絶縁基板G1,G2はガラス、ポリシリコンカーボネート、シクロオレフィン系樹脂など、透明であることに加えて低吸湿性、耐熱性、低複屈折性、高寸法安定性というような性質を持つ材料で構成されることが好ましい。電極基板G1,G2、および液晶層13は電極基板11,12間で液晶層13を取り囲む周辺シール材により一体化される。液晶層13のセル厚は電極基板11,12に接触して画素領域の中央および画素領域の外部に配置される柱状スペーサSPによりほぼ一定に維持される。配向膜14,16による液晶分子のプレチルト角は90度であることが好ましい。さらにこの液晶表示パネルは液晶層13に対して反対側となる電極基板11,12の表面を覆う偏光板PL1,PL2を備える。これら偏光板PL1,PL2は偏光軸がクロスニコルとなるような向きで電極基板G1,G2にそれぞれ貼り付けられる。
【0014】
複数の画素電極EL1および複数の対向電極EL2は図3に示すような円形電極であり、これらによって規定される円形の画素を構成する液晶分子の配列を制御する電場を液晶層13に印加する。これら画素電極EL1および対向電極EL2はそれぞれ略マトリクス状の配置であるが、実際には画素間に無駄な領域を作らないために図3に示すように若干ずれた配置となっている。各画素電極EL1は図4に示すように画素領域において放射状に形成される遮光性電極線CM1により構成され、各対向電極EL2は図5に示すように画素領域の中心に対して同心円状に形成された遮光性電極線CM2により構成される。尚、遮光性電極線CM1は例えば画素領域の端部に沿って配置されるブリッジ細線BRに接続される。また、これら遮光性電極線CM2は例えば画素領域の中心を通って縦および横に伸びるように配置される十字のブリッジ細線BRに接続される。これら遮光性電極線CM1,CM2は電場を印加した画素に対応する領域において液晶層13を図6に示す複数のドメインDMに分割しこれら複数のドメインDM相互間で前記液晶分子のチルト方向を互いに異ならせるように対向する。上述の構造では、電極線CM1,CM2の対称性からこれら電極線CM1およびCM2に隣接する液晶分子の挙動は実質的に無いはずであるが、電界分布により発生するディスクリネーションラインでの光漏れについては防止する必要がある。このため、電極線CM1,CM2はこのディスクリネーションラインでの光漏れを防止するために遮光性の材料で構成される。ここで、電極EL1,EL2は例えば半径60μmに設定され、電極線CM1およびCM2はそれぞれ線幅2μm、3μmに設定される。
【0015】
実際の製造において、電極形成のためのステッパの精度は現在の技術水準で1.5μm程度であり、電極基板11および12を貼り合わせるときの位置合せ精度は現在の技術水準で2μm程度である。このようなステッパの精度および位置合せ精度があれば、各画素について液晶層13を10μm程度の間隔で正確に分割して図6に示すような複数のドメインDMを得ることができる。
【0016】
以下に、サンプルとして実際に製造された液晶表示パネルについて説明する。この液晶表示パネルでは、電極EL1,EL2が上述のように半径60μmに設定された。放射状の電極線CM1は電極EL1を円周方向に16等分するような線幅2μmのパターンに設定され、同心円状の電極線CM2は電極EL2を中心から半径方向に10,20,30,40,50,60μmの距離だけ離れた位置で分割するような線幅3μmのパターンに設定された。この結果として、ドメイン数は80個に設定される。液晶層13は誘電率異方性Δε=17.3,屈折率異方性Δn=0.286の液晶材料を用いて構成され、配向膜14,16は全面塗布されたシランカップリング材を垂直配向処理することにより構成された。
【0017】
図7は実際に製造された液晶表示パネルの電圧-透過率特性を示す。透過率は2V程度のしきい値で緩やかに立ち上り、コントラスト比は210:1であった。画素電極EL1および対向電極EL2間に電圧を印加して液晶配向を偏光顕微鏡によって観察したところ、放射状の電極線CM1および同心円状の電極線CM2によって区切られた範囲で液晶配向が変化するマルチドメイン構造が確認された。
【0018】
図8はこの液晶表示パネルの視野角特性を示す。この視野角特性は、正面での透過率がそれぞれ100,80,60,40,20,0%となる電圧をそれぞれ印加した場合に得られた測定結果である。この測定結果によれば、画素は円周方向で22.5度単位に分割されているものの、透過率の変化が全方位の視野角についてほぼ対称的となることが確認された。
【0019】
本実施形態の液晶表示パネルでは、電場が放射状の遮光性電極線CM1および同心円状の遮光性電極線CM2から液晶層13に印加され、この電場において液晶分子のチルト方向が互いに異なる複数のドメインDMに液晶層13を分割する。この構成では、複数のドメインDMが電極EL1,EL2の中心に対して対称的になることにより視野角特性の偏りを改善すると共に、ドメインサイズを電極EL1,EL2の中心から外周へ向かう半径方向において順次変化させることによりしきい特性、すなわち透過率変化の開始点を制御することが可能である。また、電極EL1,EL2の範囲を画素として画像を表示した場合には、この表示画像の曲線性劣化も防止できる。
【0020】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で様々に変形可能である。
【0021】
上述の実施形態では、配向膜14,16が電圧無印加状態で液晶層13の液晶分子を電極基板11,12平面に対して略垂直に配向するように配向処理されているが、電圧無印加状態で液晶層13の液晶分子を電極基板11,12平面に対して略水平に配向するように配向処理されてもよい。この場合には、配向膜14,16による液晶分子のプレチルト角は0度であることが好ましい。
【0022】
また、上述の実施形態では、複数の画素電極EL1が走査線駆動回路YD、信号線駆動回路XD、およびスイッチング素子SWと共に電極基板11側に設けられ、複数の対向電極EL2がこれら画素電極EL1に対向して電極基板12側に設けられているが、液晶層13の透過率は画素電極EL1および対向電極EL2の電位差によって制御されることから、画素電極EL1および対向電極EL2の構造は可逆的である。すなわち、画素電極EL1が同心円状の遮光性電極線CM2で構成され、対向電極EL2が放射状の遮光性電極線CM1で構成されてもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電極形状に起因する視野角特性の偏りを改善する一方でしきい特性を制御可能な液晶表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示パネルの平面構造を示す図である。
【図2】図1に示す液晶表示パネルの画素の断面構造を示す図である。
【図3】図2に示す液晶表示パネルにおいて対向する画素電極および対向電極の配置を示す図である。
【図4】図3に示す画素電極の平面構造を示す図である。
【図5】図3に示す対向電極の平面構造を示す図である。
【図6】図4に示す画素電極と図5に示す対向電極との位置合せにより得られる複数のドメインを示す図である。
【図7】図6に示すマルチドメイン構造で実際に製造された液晶表示パネルの電圧-透過率特性を示す図である。
【図8】図6に示すマルチドメイン構造で実際に製造された液晶表示パネルの視野角特性を示す図である。
【符号の説明】
11,12…光透過性電極基板
13…液晶層
14,16…配向膜
EL1…画素電極
EL2…対向電極
CM1…放射状電極線
CM2…同心円状電極線
PL1,PL2…偏光板
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
6
【図8】
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