TOP > 国内特許検索 > マルチスペクトル画像処理を用いた目標抽出装置 > 明細書

明細書 :マルチスペクトル画像処理を用いた目標抽出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3012927号 (P3012927)
登録日 平成11年12月17日(1999.12.17)
発行日 平成12年2月28日(2000.2.28)
発明の名称または考案の名称 マルチスペクトル画像処理を用いた目標抽出装置
国際特許分類 G06T  1/00      
FI G06F 15/62 380
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願平10-281471 (P1998-281471)
出願日 平成10年10月2日(1998.10.2)
審査請求日 平成10年10月2日(1998.10.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】岡村 壽洋
個別代理人の代理人 【識別番号】100067323、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 教光
審査官 【審査官】後藤 彰
参考文献・文献 特開 平2-284274(JP,A)
特開 平3-288277(JP,A)
特開 平10-260078(JP,A)
調査した分野 G06T 1/00
G06T 7/00 - 7/60
G01B 11/00
要約 【課題】 マルチスペクトル画像処理において、画像の明るさ(照度等)を測定しなくても、目標抽出を可能とし、またしきい値の設定を容易に行えることを実現する。
【解決手段】 n次元マルチスペクトル画像を(n-1)次元角度座標に変換し、目標抽出を行う。
特許請求の範囲 【請求項1】
任意の明るさで異なるn個の光の波長帯域を利用して撮影されたnバンドのマルチスペクトル画像と、既知である抽出したい目標物の色の比データをコンピュータに取り込み、前記nバンドのマルチスペクトル画像各点のn次元の色強度データを得る手段と、
前記n次元の色強度データを、(n-1)次元の角度データに変換する手段と、
角度0~π/2(rad )の範囲で定義された(n-1)次元角度座標上で、目標物の座標を中心に位置させる手段と、
(n-1)次元角度座標上で、目標物の座標の周囲にしきい値を設定する手段と、
(n-1)次元角度座標上で、任意の明るさで撮像された目標物を抽出し、マルチスペクトル画像上で、抽出結果を表示する手段と、
を具備することを特徴とするマルチスペクトル画像処理を用いた目標抽出装置。但し、n≧4とする。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【産業上の利用分野】この発明は人工衛星、航空機、地上車両等に搭載し、任意の明るさで撮影したマルチスペクトル画像と、目標物の色の比データから、マルチスペクトル画像内で雑音に埋もれた目標物の位置を確定することが可能なマルチスペクトル画像処理を用いた目標抽出装置に関する。

【0002】

【従来の技術】リモートセンシングなどに使われているマルチスペクトルセンシング技術で、最近代表的なものとしては、波長帯域で、0.4 ~0.5 μm(青)、0.5 ~0.6 μm(緑)、0.6 ~0.7 μm(赤)、0.75~0.9 μm(近赤外)等を用いた4バンドのマルチスペクトル撮像装置がある。このマルチスペクトル画像を用いて目標物を抽出するための手法として、従来のものは、撮像した画像の明るさ(照度等)を測定し、目標物の色データから目標物の光の反射強度を求めて、目標抽出を行っていた。

【0003】

【発明が解決しようとする課題】従来の方式では、撮像画面内に反射率が既知の反射板等を設置し、目標物と同時に撮像することで画像の明るさ(照度等)を知る必要があった。また画像の明るさ(照度)が変わるとしきい値設定のための目標物の座標が変化するため、しきい値の設定が複雑になり、マルチスペクトル処理のためのバンド数をむやみに増やすことができなかった。

【0004】
本発明は上記事情に艦みてなされたもので、画像の明るさ(照度等)を測定しなくても目標の抽出を可能とし、また画像の明るさが変化したりバンド数が増えたりしても、しきい値の設定が容易にできるマルチスペクトル画像処理を用いた目標抽出装置を提供することを目的としている。

【0005】

【課題を解決するための手段】本発明に係わるマルチスペクトル画像処理を用いた目標抽出装置は、n個の波長帯域で取得したデジタル化されたnバンドのマルチスペクトル画像と、既知である抽出したい目標物の色の比データから、マルチスペクトル画像各点のn次元の色強度データを(n-1)次元の角度データに変換する。(n-1)次元の角度座標の中心に目標物の座標を位置させ、目標物の色の比データの分散と雑音源の座標とその分散からしきい値を設定する。しきい値の内部空間に含まれる角度データを目標物と判定し、マルチスペクトル画像上で、抽出結果を表示する。

【0006】

【作用】画像の明るさ(照度等)を知る必要が無く、またしきい値の設定が容易である。

【0007】

【実施例】まず簡単のために、3バンドのマルチスペクトル画像処理について説明する。波長の感度帯域が図2で表される3つのセンサを用いて取得したマルチスペクトル画像を図3とする。マルチスペクトル画像データは、Xij=(B,R,N)で、表される。ここでXijは図4に示すように画像の中の任意の点の位置を示す。B、R、Nはその点の青(B)の信号強度、赤(R)の信号強度、近赤外(N)の信号強度である。従来の方法では、この強度データを図4の全画面にわたって計算し、ベクトルとして3次元座標上にプロットしていき、図5の様な結果を得る。目標の周りにしきい値を設定することにより、目標抽出を行う。しかしながらこの方法では、しきい値を設定するために画像の明るさ(照度等)に関する情報が必要で、またしきい値自体も明るさにより3次元座標の中で動いてしまう。

【0008】
本発明は、以下のような手法でこの問題を解決する。

【0009】
反射率計またはマルチスペクトル画像から直接求めた目標物の色の比データの平均値を(TB ,TR ,TN )とおく。この平均値は比データなので任意の比例定数kを用いて(kTB ,kTR ,kTN )と各要素をk倍したものを用いても構わない。画像の任意の点の画像データをXij=(B,R,N)とした時にY=(X1 , X2 , X3

【0010】

【数1】
JP0003012927B1_000002t.gif【0011】なるベクトルYを定義する。Yを3次元空間上で図示すると図6の様になるが、この時画像の明るさ(照度等)によって、Yの大きさは変化するが、向きは変わらないので、Y' =kY(kは比例定数)と定義されるベクトルY' は、同一物体を明るさを変えて撮像したときのベクトルと考えられる。そこで、ベクトルYを表すために図6に示される角度θ1 、θ2 を用いる。

【0012】
θ1 、θ2 は、式を用いて次のように計算される。

【0013】

【数2】
JP0003012927B1_000003t.gif【0014】
【数3】
JP0003012927B1_000004t.gif【0015】ここでθ1 、θ2 の値の範囲は、X1 , X2 , X3 ≧0であることから、0~π/2(rad )である。また式でX3 を√2倍しているのは、目標物をθ1 θ2 平面上で常に座標(π/4,π/4)に位置させるためである。

【0016】
この(θ1 ,θ2 )を2次元座標軸上でプロットすると、図7の様になる。この時、目標物の色データ平均値は、式から
Y(目標)=(X1 , X2 , X3

【0017】

【数4】
JP0003012927B1_000005t.gif【0018】となる。、、式よりθ1 =π/4(rad) 、θ2 =π/4(rad) となり、図7の座標上で、目標物の色データ平均値はθ1 θ2 平面上で常に座標(π/4,π/4)に位置する。そこで、改めてθ1 -π/4をθ1 、θ2 -π/4をθ2とおけば、目標物の色データ平均値は図8に示すように、θ1 θ2 平面上で常に(0,0)に位置し、座標の中心に位置させることができる。

【0019】
しきい値の設定は、以上の方法により、θ1 θ2 平面上で目標物色データ平均値が常に座標の中心にあり、明るさ(照度等)の変化でしきい値が動くことが無いため、設定が容易になる。図8の例では、目標物の色の比データの分散と雑音源の座標とその分散から、しきい値の集合が楕円を形成するように設定している。(θ1 ,θ2 )が楕円の内部に入った時に目標と判定する。

【0020】
抽出結果の表示は、図4で示される画面上で、任意の色で目標物と認識された位置に点を打つことにより行う。

【0021】
以上3バンドの場合について説明したが、次に一般的なnバンドのマルチスペクトル画像の処理法について説明する。反射率計またはマルチスペクトル画像から直接求めた目標物の色の比データの平均値を(T1 ,T2 ,T3 ,・・・,Tn )とおく。この平均値は比データなので任意の比例定数kを用いて(kT1 ,kT2 ,kT3 ,・・・,kTn )と各要素をk倍したものを用いても構わない。画像の任意の点の画像データをXij=(D1 ,D2 ,D3 ,・・・,Dn )とした時に
Y=(X1 , X2 , X3 , ・・・,Xn-1 ,Xn

【0022】

【数5】
JP0003012927B1_000006t.gif【0023】なるベクトルYを定義する。Yはn次元空間上のベクトルと考えられる。この時画像の明るさ(照度等)によって、Yの大きさは変化するが、向きは変わらないので、Y’=kY(kは比例定数)と定義されるベクトルY’は、同一物体を明るさを変えて撮像したときのベクトルと考えられる。そこで、n次元ベクトルYを表すのに(n-1)個の角度θ1 、θ2 、・・・、θn-1 を用いる。

【0024】
θ1 、θ2 、・・・、θn-1 は、式を用いて次のように計算される。

【0025】

【数6】
JP0003012927B1_000007t.gif【0026】
【数7】
JP0003012927B1_000008t.gif【0027】
【数8】
JP0003012927B1_000009t.gif【0028】ここでθ1 、θ2 、・・・、θn-1 の値の範囲は、X1 , X2 , X3 , ・・・,Xn ≧0であることから、0~π/2(rad )である。また式でX3 を√2倍、式でXn を√(n-1)倍しているのは、目標物をθ1 θ2 ・・・θn-1 空間面上で常に座標(π/4,π/4,・・・,π/4)に位置させるためである。

【0029】
この(θ1 ,θ2 ,・・・,θn-1 )は、(n-1)次元の直交空間を形作る。この時、目標物の色データ平均値は、式から
Y(目標)=(X1 , X2 , X3 , ・・・, Xn

【0030】

【数9】
JP0003012927B1_000010t.gif【0031】となる。、、、式よりθ1 =θ2 =・・・=θn-1 =π/4(rad) となり、目標物の色データ平均値は、(n-1)次元の直交空間上で常に座標(π/4,π/4,・・・,π/4)に位置する。そこで改めて、θ1 -π/4をθ1、θ2 -π/4をθ2 、・・・、θn-1 -π/4をθn-1 とおけば、目標物の色データ平均値は(n-1)次元の直交空間上で常に(0,0,・・・,0)に位置し、座標の中心に位置させることができる。

【0032】
しきい値の設定は、(θ1 ,θ2 ,・・・,θn-1 )が構成する(n-1)次元直交空間上で、θ1 =θ2 =・・・=θn-1 =0(rad) の点の周りに、しきい値空間を設定し、その内部に(θ1 ,θ2 ,・・・,θn-1 )が入ったときに目標と判断する。そのしきい値空間の設定法は、例えば目標物の色の比データの分散と雑音源の座標とその分散を考慮し、お互いをうまく分離するような(n-1)次元の楕円面を描いて、その内部に(θ1 ,θ2 ,・・・,θn-1 )が入った時に目標と判定する。これはコンピューター上で容易にプログラムが可能である。

【0033】
抽出結果の表示は、図4で示される画面上で、任意の色で目標物と認識された位置に点を打つことにより行う。

【0034】

【発明の効果】以上述べたように、本発明に係わるマルチスペクトル画像処理を用いた目標抽出装置によれば、従来の方式では成し得なかった画像の明るさ(照度等)の測定を行わずに目標の抽出を可能とし、また画像の明るさが変化したりバンド数が増えたりしても、しきい値を容易に設定することが可能となる。

【0035】

図面
【図2】
0
【図5】
1
【図1】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7