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明細書 :芳香族アルデヒドの選択的製造法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4079584号 (P4079584)
公開番号 特開2002-114735 (P2002-114735A)
登録日 平成20年2月15日(2008.2.15)
発行日 平成20年4月23日(2008.4.23)
公開日 平成14年4月16日(2002.4.16)
発明の名称または考案の名称 芳香族アルデヒドの選択的製造法
国際特許分類 C07C  45/36        (2006.01)
C07C  47/542       (2006.01)
B01J  31/02        (2006.01)
B01J  35/02        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 45/36
C07C 47/542
B01J 31/02 102X
B01J 35/02 J
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2000-309122 (P2000-309122)
出願日 平成12年10月10日(2000.10.10)
審査請求日 平成16年9月27日(2004.9.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】福住 俊一
個別代理人の代理人 【識別番号】100095832、【弁理士】、【氏名又は名称】細田 芳徳
審査官 【審査官】井上 千弥子
参考文献・文献 Journal of Molecular Catalysis (1994), 90(3), L225-9
調査した分野 C07C 45/00-47/58
CA(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
光触媒としてアクリジニウムイオン誘導体の存在下、酸化剤として酸素を用い、アルキルベンゼンに光線を照射し、アルキルベンゼンを酸素化させる芳香族アルデヒドの選択的製造法であって、前記アクリジニウムイオン誘導体が9-フェニル-10-メチルアクリジニウム過塩素酸塩であり、前記アルキルベンゼンをクロロホルム中で部分酸素化させる芳香族アルデヒドの選択的製造法
【請求項2】
アルキルベンゼンがp-キシレンである請求項1記載の製造法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族アルデヒドの選択的製造法に関する。さらに詳しくは、医薬品、染料、殺虫剤、香料などの種々の薬品の製造中間体として有用な芳香族アルデヒドをアルキルベンゼンから製造しうる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルキルベンゼンを芳香族アルデヒドに選択的に部分酸素化させる反応は、医薬品、染料、殺虫剤、香料などの種々の薬品の製造中間体として有用な芳香族アルデヒドを製造するうえで、工業化学の技術分野において重要な化学反応である。
【0003】
従来、アルキルベンゼンの部分酸素化には、クロム(IV)、コバルト(III) 、マンガン(III) 、セリウム(IV)、ベンゼンセレニン酸無水物、過酸化二硫酸塩/銅イオンなどの無機酸化剤が用いられている(Chem. Br. 1975, 11, 59、Tetrahedron Lett. 1978, 4561、U.S. Patent No.4,482,438、Electrochem. Sci. Technol. 1976, 11, 143、Tetrahedron Lett. 1985, 28, 3353、Tetrahedron Lett. 1966, 4493、Tetrahedron Lett. 1976, 3331、Tetrahedron Lett. 1981, 22, 2605など)。
【0004】
しかしながら、これらの酸化剤を用いてアルキルベンゼンの酸素化を行なった場合には、生成する芳香族アルデヒドの収率が低く、選択性が悪いという欠点がある。また、化学量論量の無機酸化剤を用いた場合には、環境汚染を招くおそれのある副生物を生じるという欠点がある。
【0005】
そこで、化学量論量で毒性のある無機酸化剤を使用することを回避するために、これらの酸化剤を電気化学的にリサイクルする方法が報告されている(Chem. Int. Ed. Engl. 1986, 25, 683、J. Org. Chem. 1989, 54, 1526、Tetrahedron Lett. 1986, 42, 553 、J. Org. Chem. 1985, 50, 539 、J.Synth. Org. Chem., Jpn. 1979, 37, 914)。
【0006】
しかし、近年、従来の無機酸化剤などを使用せずに、環境に優しい酸化剤である酸素などの酸化剤を用いたアルキルベンゼンから芳香族アルデヒドの製造法の開発が待ち望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、酸化剤として、従来の無機酸化剤を使用せずに、環境に優しい酸化剤である酸素を用いて選択性よくアルキルベンゼンから芳香族アルデヒドを選択的に製造しうる方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、光触媒としてアクリジニウムイオン誘導体の存在下、酸化剤として酸素を用い、アルキルベンゼンに光線を照射し、アルキルベンゼンを酸素化させる芳香族アルデヒドの選択的製造法であって、前記アクリジニウムイオン誘導体が9-フェニル-10-メチルアクリジニウム過塩素酸塩であり、前記アルキルベンゼンをクロロホルム中で部分酸素化させる芳香族アルデヒドの選択的製造法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の製造法によれば、前記したように、光触媒としてアクリジニウムイオン誘導体の存在下、酸化剤として酸素を用い、アルキルベンゼンに光線を照射し、アルキルベンゼンを部分酸素化させることにより、該アルキルベンゼンに対応する芳香族アルデヒドを選択的に製造することができる。
【0010】
本発明においては、光触媒としてアクリジニウムイオン誘導体が用いられている点に、1つの大きな特徴がある。このように、アクリジニウムイオン誘導体を用いた場合には、アルキルベンゼンから芳香族アルデヒドを選択性よく製造することができる。また、アクリジニウムイオン誘導体は、反応中においてほとんど失活しないので、反応終了後に回収することにより、繰り返し使用することができるという利点がある。
【0011】
アクリジニウムイオン誘導体の代表例としては、9-フェニル-10-メチルアクリジニウム過塩素酸塩、9-アルキル-10-アルキルアクリジニウム過塩素酸塩などが挙げられる。これらの中では、9-フェニル-10-メチルアクリジニウム過塩素酸塩は、得られる芳香族アルデヒドの選択性を高めることができるという利点があるので、好適に使用しうるものである。
【0012】
アクリジニウムイオン誘導体の量は、光吸収効率および触媒効率の観点から、アルキルベンゼン100重量部に対して、1~100重量部、好ましくは10~20重量部であることが望ましい。
【0013】
本発明においては、酸化剤として酸素が用いられる。このように、酸素が用いられるので、従来使用されている無機酸化剤のように環境汚染に関する問題を生じるおそれがない。
【0014】
アルキルベンゼンの酸素化を効率よく行なうために、アルキルベンゼンの酸素化は、溶媒中で行なうことが好ましい。
【0015】
溶媒としては、例えば、クロロホルム、アセトニトリル、メタノール、エタノールなどが挙げられる。これらの中では、クロロホルムは、得られる芳香族アルデヒドの選択性を向上させるので、好適に使用しうるものである。
【0016】
溶媒の量は、特に限定がないが、反応液の極性の制御および生成物の分離の効率化の観点から、アルキルベンゼン100重量部に対して、100~10000重量部、好ましくは100~1000重量部であることが望ましい。
【0017】
アルキルベンゼンを酸素化させるための酸素の量は、アルキルベンゼンを効率よく酸素化させるためには、できるだけ多いことが好ましい。アルキルベンゼンの酸素化を溶媒中で行なう場合には、酸素の量は、通常、アルキルベンゼンの酸素化を効率よく行なう観点から、溶媒における飽和量であることが好ましい。
【0018】
出発物質として用いられるアルキルベンゼンには、特に限定がない。アルキルベンゼンの代表例としては、例えば、ο-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、トルエン、エチルベンゼンなどが挙げられる。これらの中では、p-キシレンは、選択性の観点から、好適に使用しうるものである。
【0019】
アルキルベンゼンの量は、反応効率および生成物の分離の効率化の観点から、通常、溶媒100重量部に対して、1~100重量部、好ましくは1~10重量部であることが望ましい。
【0020】
アルキルベンゼンの酸素化は、例えば、アルキルベンゼンおよびアクリジニウムイオン誘導体を、酸素を溶解させた溶媒中に溶解し、これに光線を照射することによって、容易に行なうことができる。
【0021】
光線としては、波長が300~450nm、好ましくは350~420nmである光線を使用することができる。光線の照射源としては、紫外線カットフィルタを備えたキセノンランプ、アセトフェノン-メタノールフィルタを備えた高圧水銀灯などが挙げられる。
【0022】
光線の照射時間は、アルキルベンゼンの種類、使用量などによって異なるので一概には決定することができない。通常、かかる照射時間は、アルキルベンゼンがそれに対応する芳香族アルデヒドに変換されるまでであればよい。
【0023】
また、光線を照射する際の温度(溶媒を用いる場合には溶媒の温度)には特に限定がないが、かかる温度は、通常、10~30℃程度であればよい。
【0024】
かくして、アルキルベンゼンを出発物質として、芳香族アルデヒドを効率よく製造することができる。
【0025】
反応終了後は、アクリジニウムイオン誘導体を回収することにより、繰り返して使用することができる。したがって、本発明の方法は、経済性にも優れた実用性が非常に高い方法である。
【0026】
ところで、本発明者は、ベンゼン環の水素原子がメチル基で置換された芳香族化合物から芳香族アルデヒドへの酸素化は、p-キシレンの場合を例にとれば、以下のスキーム1に示されるように、トルエンから10-メチルアクリジニウムイオン( 1AcrH+*)の一重項励起状態への光電子移動を介して進行することを報告している。
【0027】
【化1】
JP0004079584B2_000002t.gif
【0028】
酸素の非存在下では、p-キシレンから 1AcrH+*への光電子移動(ket)により、その基底状態への逆電子移動(kb )と競合して、p-キシレンラジカルカチオンの脱プロトン化が生じ、アクリジニルラジカル(AcrH・)と対となるp-キシレニルラジカルが生成し、付加物〔AcrH(CH2 6 4 CH3 -p)〕が生じる。
【0029】
酸素の存在下では、p-キシレニルラジカルは、酸素によって迅速に捕捉され、AcrH+ の再生成を伴ってAcrH・から逆電子移動によってp-キシレニルヒドロペルオキシドが得られる(スキーム1を参照)。そのヒドロパーオキシドが分解し、選択的にp-トルアルデヒドが生成する。
【0030】
p-キシレンを100%選択的に光触媒的に酸素化させることは、以下の蛍光消光試験で示されているように、p-キシレンと酸素化された生成物であるp-トルアルデヒドとの反応性の相違によって行なうことができる。
【0031】
キシレン、トルエンまたはそれに対応するアルデヒドの非存在下および存在下でのAcrH+ の蛍光(λem=488nm)の寿命(τ)は、時間分解蛍光分光光度計を用いて測定することができる。光電子移動による蛍光消光速度定数kq (=Kq τ-1)は、消光剤濃度に対するτ0 /τ(アセトアルデヒド中、τ0 =37ns)の直線状のスターン-ボルマープロット(Stern-Volmer plot)の傾きから測定される。このようにして測定したkq 値を表1に示す。
【0032】
【表1】
JP0004079584B2_000003t.gif
【0033】
1AcrH+*の蛍光は、キシレンから 1AcrH+*への電子の移動によって効率よく消光したのに対し、p-トルアルデヒドでは消光が観察されなかった(kq <<1×107 -1-1)。kq 値は、p-キシレン>ο-キシレン>m-キシレン>ο-トルアルデヒド>トルエン>m-トルアルデヒド>>p-トルアルデヒド(観察されず)の順に減少する。この順序は、表1における一酸素化および二酸素化の製造収率と一致する。したがって、光電子移動が速いほど、製造収率が高くなる。
【0034】
しかしながら、より極性の大きい溶媒であるアセトニトリルにおける製造収率と比較してクロロホルムにおける製造収率がより向上しているのに対し、クロロホルム(4.2×109 -1-1)中で測定したp-キシレンに対するkq 値は、表1におけるアセトニトリルの値よりも小さい。溶媒の極性の低下に伴う、電子移動のための再配列エネルギーの減少によってクロロホルムにおける製造収率が向上し、前記スキーム1におけるAcrH・からp-キシレンラジカルカチオンへの逆電子移動が遅延化する。酸素化生成物を導くp-キシレンラジカルカチオンの脱プロトン化が逆電子移動と競合するので、逆電子移動が遅いほど製造収率が高くなる。
【0035】
再配列エネルギーは、アセトニトリルおよびクロロホルムにおける9-フェニル-10-メチルアクリジニウムイオン(AcrPh+ )とその一電子還元体ラジカル(AcrPh・)との間の電子移動自己交換反応の速度定数を測定することにより、評価することができる。
【0036】
AcrPh・ラジカルは、テトラメチルセミキノリンラジカルアニオンによるAcrPh+ の電子移動還元によって得られる。AcrPh・のESRスペクトルは、脱気したアセトニトリル中で数時間維持した。超微細結合および最大傾斜線幅(ΔHmsl ) は、ESRスペクトルのコンピュータによるシミュレーションによって測定した。このようにして測定したΔHmsl 値は、アセトアルデヒド中において、AcrPh+ の濃度の増大に伴って直線的に増大する。
【0037】
ESRスペクトルの線幅の変動は、ラジカル種が関与する速度プロセスを調査するのに用いることができる。AcrPh+ とAcrPh・との間の電子移動交換反応の速度定数(kex) は、式(I):
ex=〔1.57×107 (ΔHmsl -ΔH0 msl )〕
÷〔(1-Pi )〔AcrPh+ 〕〕 (I)
(式中、ΔH0 msl は、AcrPh+ が存在していないときのESRスペクトルの最大傾斜線幅、Pi はほぼ0の値をとりうる統計学的な係数を示す)
を用いて決定することができる。
【0038】
電子移動反応の再編成エネルギー(λ)は、式(II):
〔(kex-1-(kdiff-1〕=Z-1exp(λ/4kB T) (II)
(式中、Zは1011-1-1を示す。kdiffは、アセトアルデヒド中において2.0×1010-1-1であり、クロロホルム中において1.2×1010-1-1である。kB はボルツマン定数を示す)
により、kex値から求められる。クロロホルムにおけるλ値は、アセトアルデヒドにおける値(0.34eV)よりも小さい0.27eVであると測定された。
【0039】
λ値(0.27,0.34eV)は、AcrH・(SCEによるE0 ox=-0.43V)からp-キシレンラジカルカチオン(E0 red =1.93V)までの逆電子移動の駆動力(-ΔG0 et=2.36eV)よりも非常に小さいので、逆電子移動は、マーカスの逆転領域にあり、λ値の減少に伴って低下することが予想される。
【0040】
溶媒の極性の低下に伴って逆電子移動速度が低下することにより、実験的に観察されるように製造収率が向上する。
【0041】
AcrH+ の代わりにAcrPh+ を用いることにより、製造収率がより一層向上することにより、後者よりも前者に対する逆電子移動速度が低下することにもなる。
【0042】
マーカス(Marcus)逆転領域においては、駆動力の増加に伴って逆電子移動が遅くなる。
【0043】
AcrPh・のE0 ox値(SCEによるE0 ox=-0.55V)は、AcrH・の値(SCEによるE0 ox=-0.43V)よりも負であるから、AcrPh・からの逆電子移動の駆動力(2.48eV)は、AcrH・からの逆電子移動の駆動力(2.36eV)よりも大きい。駆動力が大きくなるにしたがって逆電子移動速度が低下し、製造収率が向上する。
【0044】
AcrH+ よりも光触媒としてAcrPh+ の安定性が高められることは、スキーム1における不活性プロセスである、脱プロトン化したラジカルのカップリングがAcrPh・のフェニル基の立体効果により、妨害されることに起因する。
【0045】
結論として、AcrPh+ をクロロホルム中で光触媒として使用すれば、他の異性体からそれに対応する芳香族アルデヒドに高選択的に光酸素化することができるとともに、p-キシレンからp-トルアルデヒドに100%選択的に光酸素化することができる。
【0046】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
実施例1
キセノンランプを用いて紫外線カットフィルタ(λ>310nm)を介してp-キシレン30mMを含む酸素が飽和したアセトニトリル0.6mL中で10-メチルアクリジニウム過塩素酸塩(AcrH+ ClO4 - :10mM)の吸収帯(λmax =358nmおよび417nm)の光線を照射したところ、p-キシレンの消失とともに、p-トルアルデヒドの生成が確認された。
【0048】
24時間光線を照射したところ、p-トルアルデヒドの収率は、37%であった。
【0049】
溶媒として、アセトニトリル0.6mLの代わりに、より極性が小さい溶媒であるクロロホルム-d0.6mLを用い、他の反応条件を同一にして光線を照射したところ、製造収率は、66%に向上した。
【0050】
光酸素化反応後には、光触媒であるアクリジニウムイオン(AcrH+ )は、ほとんど変化していなかったが、少量の付加物である9-p-キシレニル-10-メチル-9,10-ジヒドロアクリジン〔AcrH(CH2 6 4 CH3 -p)〕が生成していた。
【0051】
光酸素化による製造収率は、10-メチルアクリジニウムイオン(AcrH+ )を9-フェニル-10-メチルアクリジニウムイオン(AcrPh+ )と置換した場合には、表2に示すように、より一層向上した。
【0052】
なお、表2には、酸素が飽和したクロロホルム中で298Kの温度で、AcrPh+ を用い、キシレンおよびトルエンに光線を10時間照射することにより、光酸素化させたときの結果が示されている。
【0053】
【表2】
JP0004079584B2_000004t.gif
【0054】
さらに光線の照射を行なったが、二酸化物は存在しなかった。また、光触媒と、AcrPh+ と、p-キシレンとの間では付加物の生成がなかった。
【0055】
このことから、光触媒としてAcrPh+ をクロロホルム中で用いることにより、p-キシレンからp-トルアルデヒドに100%の選択率で光酸素化されていることがわかる。
【0056】
キセノンランプの代わりに高圧水銀灯を用い、アセトフェノン-メタノールフィルタ(λ>300nm)を介して光線を照射した場合には、p-トルアルデヒド3.0×10-2Mを100%の収率で得るための光線の照射時間は、24時間から10時間に短縮した。
【0057】
他の異性体として、ο-キシレンおよびm-キシレンを用いたところ、表2に示されるように、それぞれο-トルアルデヒドおよびベンズアルデヒドに変換することができた。
【0058】
次に、AcrPh+ (1.0×10-2M)を含むキシレン3.0×10-2Mおよびトルエン3.0×10-2Mの酸素が飽和したクロロホルム溶液0.6mLに、高圧水銀灯(λ>300nm)を用いて光線を10時間照射したところ、ο-、m-およびp-トルアルデヒドおよびベンズアルデヒドの製造収率は、p-キシレン>ο-キシレン>m-キシレン>トルエンの順に減少した。トルアルデヒドの選択率は、p-キシレン(100%)>m-キシレン(99%)>ο-キシレン(94%)の順に減少した。
【0059】
m-キシレンおよびο-キシレンをさらに酸素化させると、少量のそれに対応するフタルアルデヒドが生成した。p-キシレンの場合、出発物質としてp-トルアルデヒドを用いたときには、p-トルアルデヒドの光酸素化が起こらないことが確認された。
【0060】
【発明の効果】
本発明の製造法によれば、無機酸化剤を使用せずに、環境に優しい酸化剤である酸素を用いて選択性よくアルキルベンゼンから芳香族アルデヒドを製造することができる。