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明細書 :シガトキシンCTX3C合成用の新規化合物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3525132号 (P3525132)
公開番号 特開2003-238568 (P2003-238568A)
登録日 平成16年2月27日(2004.2.27)
発行日 平成16年5月10日(2004.5.10)
公開日 平成15年8月27日(2003.8.27)
発明の名称または考案の名称 シガトキシンCTX3C合成用の新規化合物
国際特許分類 C07F  7/18      
C07D493/22      
C07D519/00      
FI C07F 7/18 S
C07D 493/22
C07D 519/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 15
出願番号 特願2002-035075 (P2002-035075)
出願日 平成14年2月13日(2002.2.13)
審査請求日 平成14年2月13日(2002.2.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人 科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】平間 正博
【氏名】井上 将行
個別代理人の代理人 【識別番号】100110168、【弁理士】、【氏名又は名称】宮本 晴視
審査官 【審査官】爾見 武志
参考文献・文献 特開2003-212878(JP,A)
SCIENCE,(2001), VOL 294,p.1904-1907
調査した分野 C07F 7/18
C07D 493/22
C07D 519/00
特許請求の範囲 【請求項1】
式1で表される、7位、29位および44位の水酸基の保護基としてナフチルメチル基として用いたことを特徴とするシガトキシン類合成用中間体。
【化1】
JP0003525132B2_000002t.gif(式中略号に関しては、図1の略号集を参照)

【請求項2】
式2のABCDE環部を構成するA-E環部フラグメント形成化合物と式3のHIJKLM環部を構成するH-M環部フラグメント形成化合物との2つの環を結合する反応により前記式1の化合物の合成方法。
【化2】
【化3】JP0003525132B2_000003t.gif

【請求項3】
JP0003525132B2_000004t.gif 前記式2で表される式1の化合物を合成する中間体。

【請求項4】
前記式3で表される式1の化合物を合成する中間体。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、効率的な新規なシガトキシン類の全合成ルートとなりうる新規な前記合成用の中間体化合物類に関する。

【10】

【化6】
JP0003525132B2_000007t.gif【0011】この結果から、MPM基はCTX 3C全合成ルートの保護基として適さないことが推測された。

【12】
一方、NAP基で保護された化合物M2を同様のルイス酸条件下処理すると、望む化合物(M2‘)が高収率で得られ、NAP脱保護も進行しなかった。さらに、AB環のNAPエーテル(化合物M3)は、DDQを用いると室温で素早く脱保護される(M3’)ことがわかり、CTX 3C(前記前駆体の全てのBnを脱保護した化合物)全合成での脱保護反応の速度向上が期待された。そこで、NAPを保護基とするシガトキシンCTX 3Cの合成中間体として合成した。

【13】

【化7】
JP0003525132B2_000008t.gif【0014】
【化8】
JP0003525132B2_000009t.gif【0015】
【化9】
JP0003525132B2_000010t.gif【0016】前記モデル化合物類における保護基の特性の考察に基づいて、シガトキシン類のA-E環部フラグメントおよびH-M環部フラグメントを反応式1により合成した。

【17】

【化10】
JP0003525132B2_000011t.gif【0018】反応式1に示すように、各アルコールをNAP基で保護したA-E環部フラグメント(化合物32)、H-M環部フラグメント(化合物36)を合成した。すでに報告(前記文献1など)している化合物24の保護基を変換し、5工程を経て7位をNAP基で保護したジオール(化合物29)を合成した。化合物29の一級水酸基を選択的にトシル化して、ニトリル基を導入して化合物31とした。化合物31を段階的に還元することで、A-E環部フラグメント(化合物32)を得た。

【19】
一方H-M環部フラグメントは以下のように合成した。33の末端オレフィンを酸化開裂してできたアルデヒドにアリルスズ(AllySnBu3)を作用させてアリル化した。この際、MgBr2によるM環スピロケタールの異性化が観測されたことから、カンファースルホン酸(CSA)で処理することで単一ジアステレオマーである34を得た。34の二級水酸基をNAP基で保護し、オレフィンをアルデヒドへと変換し36を合成できた。

【2】

【従来の技術】本来無毒な魚類が毒化して起こる食中毒シガテラは、熱帯、亜熱帯の珊瑚礁域で広く発生し、年間の患者数は2万人を超える。死亡率は低いものの、知覚異常、下痢、倦怠感、関節痛、痒みなどの症状が場合によっては数ヶ月も続く。このシガテラの主要原因毒として単離・構造決定されたシガトキシン(CTX)類(化合物1など)は、13個のエーテル環が縮環する分子長3nmの巨大分子である。CTX類は渦鞭毛藻(Gambierdiscus toxicus)により生産され、食物連鎖を通じて魚類に蓄積する。400種類にも達する毒魚は、見た目、味、においなどが正常であることから、南方海域の魚類資源開発の大きな障害となっており、CTX類の簡便かつ高感度な免疫学的測定法による検出法の開発が待たれている。

【20】
前記反応式1で得られた化合物32と化合物36は、前記文献1に記載の従来技術と同様に、Sc(OTf)3の存在下室温でカップリングさせると(反応式2)、前記文献1に記載のアセタール(文献1の化合物20)のBn基をNAP基に代えたものに相当するアセタール(化合物37)を得ることが出来た。

【21】

【化11】
JP0003525132B2_000012t.gif【0022】化合物37以降のCTX 3Cの合成反応は、少なくとも前記文献1の化合物20の反応工程により進行させることが可能であり、前記モデル実験より脱保護反応はより効率的な酸化脱保護が可能と推測できる。以上検討の結果、前記課題を解決することがでる。

【23】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記文献1に記載の従来技術において7位、29位および44位のOH基の保護基としてBnを用いたことにより生じた不都合を取り除くために、Bnに代わる保護基としてNAPを用いて、シガトキシン類の全合成ルートをNAP保護基に代えた中間化合物類を利用するものに変換した、新規なシガトキシン類の全合成に有用な中間化合物類およびそれらの合成方法である。

【24】

【本発明の実施の態様】本発明をより詳細に説明する。
A.本発明の特徴は、モデル実験から、前記従来のシガトキシン類の全合成の反応条件をできるだけ維持しつつ前記Bn保護基の脱保護の問題を解決しようとする点にある。

【25】

【実施例】NAP保護基に代えた中間化合物類、および該中間体の合成工程については、前記反応式1および2、並びに該反応式の説明の中概略記載した。
実施例1
公知の化合物24からA-E環部フラグメントの最終化合物32までの化合物の合成の手法と得られた中間体の物性を示す。合成工程を反応式3(反応式1の前半)として示す。

【26】

【化12】
JP0003525132B2_000013t.gif【0027】化合物24の保護基TIPDSをTBSに変換し、7位のOHをNAP基で保護した化合物29の合成。
ジオール25の合成:TBSエーテル24(97 mg, 129 μmol)のTHF (4 mL)溶液にTBAF (283 μL, 1.0M THF溶液, 283 μmol)を加えた。室温で30分撹拌した後、濃縮し、シリカゲルカラムで精製して化合物25 (59 mg, 116 μmol, 90%)を得た。その物性を表1に示す。

【28】

【表1】
JP0003525132B2_000014t.gif【0029】ビスTBSエーテル26の合成:ジオール26(59 mg, 116 μmol)のDMF(6.0 mL)溶液に、TBSCl(261 mg, 1.7 mmol),イミダゾール(imidazole) (314 mg,4.6 mmol)を加え、30℃で15時間撹拌した。0℃に冷却し、MeOH(100μL)を滴下した。10分間撹拌後、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を停止した。有機層を飽和NaHCO3水溶液、飽和食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濃縮、シリカゲルカラムで精製し、化合物26(73 mg, 99 μmol, 85%)を得た。化合物26の物性を表2に示す。

【3】
CTX類は神経興奮膜の電位依存性Na+チャネルに特異的に結合し、これを活性化して毒性を発揮するが、その構造レベルでの活性発現機構は明らかにされていない。自然界のCTX類は微量成分であり、生産微細藻による培養生産も遅いことから、天然物による詳細な生物学的研究、抗CTX抗体調製は事実上不可能である。このような状況下、実用的な化学合成による天然物の量的供給が強く望まれている。今までに、本発明者らは既にシガトキシンの全合成を提案している(文献1;Masahiro Hirama et al.Science.Vol.294,p1904-1907)。しかしながら、前記全合成法において、最後のABCDE環部とHIJKLM環部との連結とFG環の形成反応による、シガトキシンCTX 3Cの前駆体であるトリベンジル-CTX3Cを合成する方法を経由するシガトキシンCTX 3Cの全合成において、前記前駆体の3つのベンジル保護基を、前記完成したA~Mまでの環を維持しつつ取り除く工程の反応が難しく、かつ、厳しい条件のために収率が悪いという、不都合があった。しかしながら、前記全合成は、広く魚類に含まれる代表的なシガトキシンであるCTX 3C(文献1、図3)の収束的全合成であり、最終脱保護が唯一の問題であった。

【30】

【表2】
JP0003525132B2_000015t.gif【0031】アルコール27の合成:MPMエーテル26(73 mg, 99 μmol)を1,2-ジクロロエタン(10 mL)-H2O(500 μL)に溶かし、DDQ(24 mg, 107 μmol)を加えた。42℃で3.5時間撹拌した後、0℃に冷却し、飽和Na223水溶液を加えた。酢酸エチルで希釈し、1時間室温で撹拌した。有機層を飽和NaHCO3水溶液、飽和食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濃縮、シリカゲルカラムで精製し、化合物26(39 mg, 53 μmol, 55%) および化合物27(20 mg, 31μmol, 32%)を得た。回収した化合物26(39 mg, 53 μmol)を1,2-ジクロロエタン(5 mL)-H2O(250μL)に溶かし,DDQ(13 mg, 58 μmol)を加えた。42℃で3時間撹拌した後、0℃に冷却し、飽和Na223水溶液を加えた。酢酸エチルで希釈し、1 時間室温で撹拌した。有機層を飽和NaHCO3水溶液、飽和食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濃縮、シリカゲルカラムで精製し、化合物26(17 mg, 23 μmol, 44%)および化合物27(17 mg, 50 μmol, 50%)を得た。回収した 化合物26(17 mg, 23 μmol)を1,2-ジクロロエタン(3 mL)-H2O(150μL)に溶かし、DDQ(6 mg, 26 μmol)を加えた。42℃で3時間撹拌した後、0 ℃に冷却し、飽和Na223水溶液を加えた。酢酸エチルで希釈し、1時間室温で撹拌した。有機層を飽和NaHCO3水溶液、飽和食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濃縮、シリカゲルカラムで精製し、化合物26(7 mg, 10 μmol,41%)および化合物27(6 mg, 9 μmol, 39%)を得た。回収した 化合物26(7 mg, 10 μmol) を 1,2-dichloroethane (2 mL)-H2O (100 μL) に溶かし、DDQ(2.4 mg, 11 μmol) を加えた。42℃で7時間撹拌した後、0℃に冷却し、飽和Na223水溶液を加えた。酢酸エチル で希釈し、1 時間室温で撹拌した。有機層を飽和NaHCO3水溶液、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮、シリカゲルカラムで精製し、化合物26(4 mg, 6 μmol, 59%)を得た。このように4回の脱ベンジル化反応を繰り返し、計47 mg (72 μmol)の化合物27を得た。化合物27の物性を表3に示す。

【32】

【表3】
JP0003525132B2_000016t.gif【0033】NAPエーテル28:アルコール27(47 mg, 72 μmol)のTHF(1 mL)-DMF(300 μL)溶液を0 ℃に冷却し、TBAI(1.3 mg, 3.6 μmol), NaH(3.5 mg, 144 μmol), NAPBr(24 mg, 108 μmol) を加え、30℃で4時間撹拌した。0℃に冷却し、MeOH(100 μL) を滴下し、飽和NH4Cl水溶液を加え反応を停止した。有機層を飽和NH4Cl水溶液、飽和食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濃縮、シリカゲルカラムで精製し、化合物28(58 mg, 72 μmol,quant)を得た。化合物28の物性を表4に示す。

【34】

【表4】
JP0003525132B2_000017t.gif【0035】ジオール29の合成:ビスTBSエーテル28(58 mg, 72 μmol)のTHF(2 mL)溶液に、TBAF(158 mL, 1.0 M THF 溶液, 158 μmol)を加えた。室温で2時間撹拌した後、濃縮し、シリカゲルカラムで精製し、化合物29(41 mg, 72 μmol, 99%)を得た。化合物29の物性を表5に示す。

【36】

【表5】
JP0003525132B2_000018t.gif【0037】化合物30から化合物32までの合成。
トシル体30の合成:ジオール29(41 mg, 72 μmol)のピリジン(2 mL)溶液にMS 4Å (20 mg)を入れ、室温で1時間撹拌した。TsCl(15 mg, 80 μmol) を加え、40℃で3時間撹拌した。0℃に冷却し、飽和NaHCO3水溶液を滴下して反応を停止した。有機層を飽和NH4Cl水溶液、飽和食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濃縮、シリカゲルカラムで精製し、化合物29(15 mg, 27 μmol, 37%)および化合物30(25 mg, 34 μmol, 47%)を得た。回収された化合物29(15 mg, 27 μmol)をピリジン(1 mL)に溶かし、MS 4Å(20 mg)を加えた。室温で1 時間撹拌後、TsCl(4 mg, 21 μmol)を加え、40℃で3時間撹拌した。0℃に冷却し、飽和NaHCO3水溶液を滴下して反応を停止した。有機層を飽和NH4Cl水溶液、飽和食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濃縮、シリカゲルカラムで精製し、化合物29(4 mg, 8 μmol, 30%)および化合物30(11 mg, 15 μmol, 62%) を得た。回収された化合物29(4 mg, 8 μmol)をピリジン(400 μL)に溶かし、MS 4Å(20 mg)を加えた。室温で1 時間撹拌後、TsCl(2 mg, 10 μmol)を加え、40℃で3時間撹拌した。0℃に冷却し、飽和NaHCO3水溶液を滴下して反応を停止した。有機層を飽和NH4Cl水溶液,飽和食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濃縮、シリカゲルカラムで精製し、化合物30(5 mg, 7 μmol, 87%) を得た。このようにトシル化反応を3回繰り替えし,計40 mg (56 μmol)の化合物30を得た。化合物30の物性を表6に示す。

【38】

【表6】
JP0003525132B2_000019t.gif【0039】ニトリル31の合成:トシル体30 (40 mg, 56 μmol)のDMF(2 mL)溶液に、NaCN(27 mg, 560 μmol)を加え、42℃で20時間撹拌した。0℃に冷却し、飽和NaHCO3水溶液を滴下して反応を停止した。有機層を飽和NH4Cl水溶液、飽和食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濃縮、シリカゲルカラムで精製し、化合物31(31 mg, 53 μmol, 95%)を得た。化合物31の物性を表7に示す。

【4】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題は、前記問題点を解決すべく、新ルートの化学合成法を確立することである。すなわち、最終脱保護の問題を解決した新ルートの化学合成法を確立することである。ところで、天然物の全合成において、中間化合物は最終化合物までの工程を想定しつつ設計しても、合成工程は最終段階に近づくほど、標的の反応位置へ影響する周辺の原子が多くなり、また、官能基の数や分子量が増すため、望む化学変換の条件設定には厳密さを要求される。とくに、合成過程に要求される様々な反応からある官能基を保護するために利用される保護基は、最終段階までの化学的安定性と最終段階での除去の容易さという2つの矛盾しうる性質を要求され、脱保護が全合成でもっとも困難な工程となる場合も多い。前記本発明者らが開発したCTX 3C前駆体(トリベンジルCTX 3C)の合成で用いられたベンジル保護基も、前記合成における有効な保護基となるであろうとの予想の下に採用されたにもかかわらず、最終工程で思わぬ困難に出会った。

【40】

【表7】
JP0003525132B2_000020t.gif【0041】ジオール32の合成:ニトリル31 (31 mg, 53 μmol)をCH2Cl2 (2 mL)に溶かし、-78℃に冷却した。DIBAL(84 μL, 0.95 M ヘキサン溶液, 80 μmol)をゆっくり滴下し、-53℃まで昇温しながら30分間撹拌した。酢酸エチルと飽和NH4Cl水溶液を滴下して反応を停止した。有機層を飽和NaHCO3水溶液、飽和食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濃縮、シリカゲルカラムで精製し、ヘミアセタール(29 mg, 51 μmol, 96%) を得た。ヘミアセタール(29 mg, 51 μmol)をMeOH(1 mL)-CH2Cl2(2 mL)に溶かし、-50℃まで冷却した。NaBH4(19 mg, 510 μmol)を加え、室温まで昇温しながら1時間撹拌した。0℃に冷却し,0.02N HClを500μL滴下し,反応を停止した。有機層を飽和NaHCO3水溶液,飽和食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ,濃縮,シリカゲルカラムで精製し,化合物32を得た。化合物32の物性を表8に示す。

【42】

【表8】
JP0003525132B2_000021t.gif【0043】実施例2
化合物33からH-M環部フラグメントの最終化合物である化合物36までの合成の手法と得られた中間体の物性を示す。合成工程を反応式4(反応式1の後半)として示す。

【44】

【化13】
JP0003525132B2_000022t.gif【0045】ホモアリルアルコール34の合成:オレフィン33(66.5 mg, 96.0 μmol)とNMO(0.2 mL, 50%水溶液, 0.96 mmol)をt-BuOMe(1.0 mL)-t-BuOH (3.0 mL)-H2O(1.0 mL)にとかし、OsO4(250 μL, 19 mM t-BuOH溶液, 4.8 μmol)を加えた。室温で3日間撹拌後、この溶液にpH 7リン酸緩衝液(1 mL)とNaIO4(109 mg, 0.51 mmol) を加え、室温で2時間撹拌した。反応を完結するためさらにNaIO4(101 mg, 0.47 mmol)を加えた後、飽和Na223水溶液(5 mL)で反応を停止した。溶液を酢酸エチルで3回抽出し、あわせた有機相を飽和食塩水で洗い、MgSO4で乾燥した。濃縮後、フロリジルカラムで精製し粗アルデヒドを得た。MgBr2は、Et2O(1.0 mL)中のMgターニング(47 mg, 1.9 mmol)を1,2-ジブロモエタン(0.17 mL, 1.9 mmol)で処理し、1時間0℃から室温で撹拌した後、溶媒を留去して調製した。このMgBr2に上記の粗アルデヒドのCH2Cl2 (1.5 mL)溶液を室温で加えた。室温で15分間撹拌後、溶液を-80℃に冷やし、アリルトリブチルスズ(90 μL, 0.29 mmol)を溶液に導入し、9時間かけて10℃にした。飽和NH4Cl水溶液を加え反応を停止し、酢酸エチルで3回抽出した。あわせた有機相を飽和食塩水で洗い、MgSO4で乾燥した。濃縮後、シリカゲルパッドで精製し、望む化合物をC29-とC49-のエピマー混合物として得た。上記の粗生成物の1,2-ジクロロエタン(2.0 mL)溶液にCSA(6.9 mg, 30 μmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO3水溶液を加え、さらに酢酸エチルで3回抽出した。あわせた有機相を飽和食塩水で洗い、MgSO4で乾燥した。濃縮後フラッシュカラムで精製し、化合物34をC29-エピマー混合物として得た(62.0 mg, 84.1 μmol, 29R-:29S=~10:1、88%, 3段階)。化合物34の物性を表9に示す。

【46】

【表9】
JP0003525132B2_000023t.gif【0047】ビスNAPエーテル35の合成:ジオール34(69.3 mg, 94.0 μmol)をTHF (1.8 mL)-DMF(0.6 mL)混合溶媒にとかし、0℃でNaH(36 mg, 60%オイル縣濁物, 0.9 mmol)、NAPBr(83 mg, 0.38 mmol)とTBAI(15 mg, 41 μmol)を順次加えた。室温で1日撹拌後、MeOHを反応液に加え、酢酸エチルで3回抽出した。あわせた有機相を飽和食塩水、飽和NH4Cl水溶液で洗い、MgSO4上で乾燥した。濃縮後、フラッシュカラムで精製し、化合物35(77.2 mg, 75.9 μmol, 81%)を得た。化合物35の物性を表10に示す。

【48】

【表10】
JP0003525132B2_000024t.gif【0049】アルデヒド36の合成:オレフィン35(17.9 mg, 17.6 μmol)とNMO (73 μL, 50%水溶液, 0.35 mmol)をt-BuOMe (0.45 mL)-t-BuOH (0.45 mL)-H2O (0.15 mL)の混合溶媒にとかし、室温でOsO4 (46 μL, 19 mM t-BuOH溶液, 0.88 μmol)を加えた。室温で1日間撹拌後、この溶液にpH 7リン酸緩衝液(1 mL)とNaIO4(36 mg, 0.17 mmol) を加え室温で1日間撹拌した。飽和Na223水溶液で反応を停止した。溶液をエーテルで3回抽出し、あわせた有機相を飽和食塩水で洗い、MgSO4で乾燥した。濃縮後、フロリジルパッドで精製し、粗アルデヒド36を得た。化合物36の物性を表11に示す。

【5】

【化4】
JP0003525132B2_000005t.gif【0006】前記脱ベンジル基(Bn基)での多くの実験から、本発明者らは、脱ベンジル基の困難さは、CTX 3C前駆体のBn基脱保護の反応速度が遅く、反応時間が長くなるに従って、A環部アリルエーテルが還元あるいは酸化される副反応が起こるためと考えた。そこでCTX 3C全合成の際の保護基を変えて、最終脱保護の収率向上を図ることとした。この際、最終脱保護まで反応図(前記文献1の図3)に示した全合成ルートを踏襲するため、新たな保護基としてはBn基に似た化学的性質を有しBn基より脱保護が容易なものを選ぶことを考えた。

【50】

【表11】
JP0003525132B2_000025t.gif【0051】実施例3
アセタール37の合成:ABCDE環ジオール32(7.7 mg, 13.4 μmol)とHIJKLM環アルデヒド36(17.6 μmol)のベンゼン溶液(0.15 mL)に、室温でSc(OTf)3(1.9 mg, 3.9 μmol)を加えた。室温で3時間撹拌後、反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO3水溶液を加え、さらに酢酸エチルで3回抽出した。あわせた有機相を飽和食塩水で洗い、MgSO4上で乾燥した。濃縮後、フラッシュカラムで精製し、化合物37を1:1のジアステレオマー混合物として得た(10.1 mg, 6.4 μmol, 48%)。ABCDE環ジオール32(3.3 mg, 5.7μmol) とHJKLM環アルデヒド36(10.7 mg, 10.5 μmol)はそれぞれ43%、60%の収率で回収した。化合物37の物性を表12に示す。

【52】

【表12】
JP0003525132B2_000026t.gif【0053】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のシガトキシン中間体化合物によれば、前記従来のBn保護基を用いた場合に比べて、最終工程において3つの保護基を温和で基質特異的な酸化条件脱保護が可能であることが推測され、優れた効果がもたらされることが容易に推測できる。

【7】
そこで、本発明者らはp-メトキシベンジル基(MPM)と2-ナフチルメチル基(NAP)に着目した。どちらの保護基を用いてもBn基より酸化的脱保護が容易なため、前記A環部アリルエーテルが酸化されるなどの副反応は抑制可能であると予想した。しかしながら、前記文献1の図3に示す各反応に対して化学的に安定性であることが保護基採用の必要条件となる。本発明者らは、前記文献1の図3に示す反応でもっとも強い酸条件である化合物20から化合物21へのアセタール開裂に各保護基が安定であるかをモデル化合物(M1、M2)を用いて判断することにした。

【8】

【化5】
JP0003525132B2_000006t.gif【0009】化合物M1をアセタール開裂の条件に供すると、MPM基の除去が進行するのみならず、望みのO,S-アセタールは全く得られずに、ジチオアセタール(化合物M1‘)のみが得られた。
図面
【図1】
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