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明細書 :光連結性ヌクレオシド含有DNAを用いて塩基を点変異する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3753938号 (P3753938)
公開番号 特開2002-179696 (P2002-179696A)
登録日 平成17年12月22日(2005.12.22)
発行日 平成18年3月8日(2006.3.8)
公開日 平成14年6月26日(2002.6.26)
発明の名称または考案の名称 光連結性ヌクレオシド含有DNAを用いて塩基を点変異する方法
国際特許分類 C07H  21/04        (2006.01)
C12N  15/01        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI C07H 21/04 B
C12N 15/00 X
C12N 15/00 ZNAA
請求項の数または発明の数 6
全頁数 16
出願番号 特願2000-382283 (P2000-382283)
出願日 平成12年12月15日(2000.12.15)
審査請求日 平成13年1月17日(2001.1.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】齋藤 烈
【氏名】藤本 健造
【氏名】松田 成夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】中木 亜希
参考文献・文献 特開2001-348398(JP,A)
Tetrahedron Letters,2000年12月 2日,Vol.41, No.49,p.9437-9440
J.Am.Chem.Soc.,2000年 6月14日,Vol.122, No.23,p.5646-5647
調査した分野 C07H 21/00-21/04
C12N 15/00-15/90
REGISTRY(STN)
CA(STN)
CAOLD(STN)
BIOSIS(DIALOG)
WPI(DIALOG)
JICSTファイル(JOIS)
特許請求の範囲 【請求項1】
変換したい塩基としてシトシンを有する核酸類を、
次式I:
【化1】
JP0003753938B2_000012t.gif
(式中、ZはO又はNHを示し、X及びYの少なくとも一方は電子吸引性基を示し、X及びYの残りの基は水素原子を示す。)
で表される基を有する光連結性ヌクレオシドを末端に含有するDNAの存在下で、光照射して変換したい塩基と前記光連結性ヌクレオシドとを結合させ、変換したい塩基を化学的に変性させた後、光照射して変換したい塩基と光連結性ヌクレオシドとを開裂させることからなる、核酸類中の塩基が点変異した核酸類を製造する方法。
【請求項2】
電子吸引性基が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基又はシアノ基である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ZがOで、Xが水素原子で、Yがカルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基又はシアノ基である請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
化学的に変性させる方法が、脱アミノ化である請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
核酸類の一部を固定化させるためのテンプレートを用いる請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
核酸類が、DNA、RNA、又はPNAである請求項1~5のいずれかに記載の方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DNA、RNA、PNAなどの核酸類中の特定の位置の塩基を、他の塩基に点変異させる方法、及びその方法により点変異した核酸類を製造する方法に関する。より詳細には、本発明は、核酸類中の特定の位置の塩基を、光連結性ヌクレオシドを含有するDNAの存在下で、光化学反応を利用して酵素の不存在下で他の塩基に変換することからなる核酸類中の特定の位置の塩基を点変異させる方法、及びその方法により点変異した核酸類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
DNAやPNA(ペプチド核酸)などの核酸類中の特定の位置の塩基を他の塩基に変換する方法は、点変異(ポイントミューテーション)として変異した核酸類を調製したり、核酸類の機能解析のための技術として重要視されてきている。
しかし、従来の点変異の技術は酵素反応を用いるために特異性や確実性の点において充分ではなく、その効率も必ずしも充分ではなかった。また、酵素反応を用いた方法では、後処理の必要な化学活性化剤を使用しなければならず、コストがかかり、かつ反応条件の至適化や制御が難しく、実用化が困難であった。
また、任意の位置のシトシンのみをウラシルへと点変異させることは従来はできなかった。シトシンからウラシルへの変換は、任意の位置ではないが、同じ鎖内でピリミジンダイマー生成、デアミネーション、及びフォトリアーゼによる光解裂によりシトシンをウラシルへと変異させた例があるが、この方法では酵素を用いる点、他のサイトとの競争反応がある点、及び効率が低い点等において改良の余地があった。
【0003】
一方、本発明者らは、先に光化学反応により光連結性ヌクレオシドを含有するDNAと、炭素-炭素二重結合を有する塩基を有する核酸類(DNAやPNAなど)を光化学反応により連結と開裂を特異的に行うことができることを見出してきた(特願2000-67519号参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、簡便で確実でかつ特異的であって、さらに低コストで無公害の点変異法を提供するものであり、低コスト、無公害、簡便性、正解性を併せ持った新技術を用いた実用化可能な遺伝子操作法の開発を目指している。
すなわち、本発明は、光化学反応を利用した新規な点変異技術を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために光化学反応により光連結性ヌクレオシドを含有するDNAと、炭素-炭素二重結合を有する塩基を有する核酸類(DNAやPNAなど)を光化学反応により連結と開裂を特異的に行うことができることに着目し、これを利用して酵素反応を利用すること無く光化学反応により特異的な点変異を行うことができることを見出した。より詳細には、5位にビニル誘導体置換基を導入したピリジミンを有する核酸に対して光照射を行い、対象DNA、及びRNA上の任意のシトシンに対し光連結を行い枝分かれ核酸構造を形成させることで、他のシトシンとの分別化を行い、加熱処理を用いてデアミネーションを促進させ、最終的には短波長光照射による解裂によってウラシルへと特異的、高効率で点変異させることに成功した。
【0006】
すなわち、本発明は、変換したい塩基を有する核酸類を、光連結性ヌクレオシドを含有するDNAの存在下で、光照射して変換したい塩基と光連結性ヌクレオシドとを結合させ、変換したい塩基を化学的に変性させた後、光照射して変換したい塩基と光連結性ヌクレオシドとを解裂させることからなる核酸類中の特定の塩基を点変異させる方法、及びその方法により点変異した核酸類を製造する方法に関する。
また、本発明は、核酸類中の特定の位置の塩基を、光連結性ヌクレオシドを含有するDNAの存在下で、光化学反応を利用して酵素の不存在下で他の塩基に変換することからなる核酸類中の特定の位置の塩基を点変異させる方法、及びその方法により点変異した核酸類を製造する方法に関する。
【0007】
より詳細には、本発明は、前記した本発明の方法において、光連結性ヌクレオシドとして、ビニル基を導入したピリジミンを有する核酸、好ましくは5位にビニル誘導体置換基を導入したピリジミンを有する核酸を含有するものを用いる方法に関する。さらに詳細には、本発明は前記した本発明の方法において、光連結性ヌクレオシドとして、
【0008】
【化2】
JP0003753938B2_000002t.gif
【0009】
(式中、ZはO又はNHを示し、X及びYの少なくとも一方は電子吸引性基を示し、X及びYの残りの基は水素原子を示す。)
で表される基を有するヌクレオシドを用いる方法に関する。
【0010】
また、本発明は、前記した本発明の方法において、核酸類中の変換したい塩基として炭素-炭素二重結合、好ましくは非縮合環系の炭素-炭素二重結合を有する塩基、例えばシトシンを点変異させる方法に関する。
本発明の方法を核酸類中の変換したい塩基としてシトシンを例にして具体的に説明する。図1は本発明の方法によりシトシンをウラシルに変換する方法を例示したものである。
まず、ステップ1においてシトシンを含有する核酸類のシトシンの直前までをテンプレートにハイブリダイズさせて固定し、ビニル基含有の光連結性ヌクレオシドを含有するDNAを同様にテンプレートに固定する。ステップ2においてこれに光(例えば、波長366nmの光)を照射してシトシンと光連結性ヌクレオシドのビニル基とでシクロブタン環を形成させる。ステップ3において、水などの酸素を含有する物質の存在下に加熱処理してシトシンの脱アミノ化を行う。脱アミノ化が終了したら、ステップ4においてシクロブタン環を解裂させるための光(例えば、波長302nmの光)を照射して両者を切り放すとシトシンがウラシルに変換された核酸類を得ることができる。
【0011】
本発明の方法をシトシンからウラシルへの変異を例としてさらに具体的に説明する。
シトシンを含有するTGTGCの部分配列を有する核酸(ODN 1)を、その相補配列であるACACG及びACGCACの塩基配列を有するテンプレート(ODN 2)に配置する。次にビニル基含有の光連結性ヌクレオシドを含有するDNAとして5-カルボキシビニルウラシルを塩基(下記化学式中ではXで示されている。)を有するXGCGTG・・・の塩基配列を有するDNA(ODN3)を配置する(ステップ1)。このときの各DNAの配置を次の化学式、
【0012】
【化3】
JP0003753938B2_000003t.gif
【0013】
に示す。式中のODN1、ODN2及びODN3は前記したDNAである。
このようにして、対象遺伝子のシトシン(C)の塩基までをテンプレート(ODN 2)に固定化し、当該シトシンに隣接して光連結性ヌクレオシドを含有するDNA(ODN3)を配置して光を照射すると、対象遺伝子と本発明の核酸が連結する(ステップ2)。この連結した状態のときに、シトシンの4位のアミノ基を酸素又は水などの酸素含有物の存在下の水酸基に置換することができる。例えば、連結した状態で空気中で穏やかに温度を上げてゆくと空気酸化されて、シトシンのピリミジン環の4位のアミノ基が水酸基に置換される(ステップ3)。そして、再度光を照射して、連結を開裂させると、シトシンがウラシルに変換されることになる(ステップ4)。
【0014】
図2はこの結果を示したHPLCのチャートである。図2の横軸はリテンション時間(分)であり、図2の最上段は光照射前のステップ1の段階のチャートであり、図2の最上段の左からODN3、ODN2、ODN1の各ピークが示されている。図2の上から2段目は波長366nmの光を1時間照射した後のチャートである。光を照射した後も図2の最上段の左から2番目のODN2のピーク(テンプレートのピーク)は光照射前と後で変化は無い。しかし図2の最上段の左側のODN3のピーク及び右側のODN1のピークは消失して新たにより右側にピークが出現してきている。この新たに出現したピークはODN1とODN3が連結した17量体のものであり、このピークのMALDI-TOF MASSによる測定値が5248.74(計算値5249.55(M-H))であったことにより確認された。
【0015】
得られた17量体をテンプレートから分離し、90℃で2時間加熱した後のチャートが図2の上から3段目のものである。最も左のピークは内部標準として用いたチミンのピークであり、右側のピークがデアミネーションされた17量体のものである。このものはMALDI-TOF MASSによる測定値が5252.1(計算値5250.5(M-H))であったことにより確認された。
得られたデアミネーションされた17量体に波長302nmの光を1時間照射し、ポリAを含む断片を酵素処理した結果のHPLCのチャートが図2の最下段に示されている。左側にdUのピークを確認することができた。dCのピークは消失し、dU:dG:dT:dA=1:2:2:6であった。
【0016】
シトシンがウラシルに変換されたDNAを、ウラシルDNAグリコシラーゼで処理すると、このウラシルの位置で特異的に切断することができる。したがって、DNAの任意のシトシンの位置を本発明の方法によりウラシル化することにより、DNAを任意の位置での特異的に切断することも可能となる。
前記の実験結果をウラシルDNAグリコシラーゼで処理により、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析した結果を図3に、図面に代わる写真で示す。
図3のAの位置はウラシルの位置で切断された断片を示している。レーン1は反応前のものである。レーン2は366nmの光照射を1時間行った後のものである。レーン3はレーン2の後に90度加熱を2時間行ったものである。レーン4はレーン3の後に302nmの光照射を1時間行ったものである。レーン5はレーン4の後にウラシルDNAグリコシラーゼで処理(37℃で1時間)して、ピペリジンで90度加熱を30分間行ったものである。
レーン6はレーン2の後に90度加熱を行わずに、302nmの光照射を1時間行ったものであり、シトシンはウラシルに変換されていないものである。レーン7はレーン6の後にウラシルDNAグリコシラーゼで処理(37℃で1時間)して、ピペリジンで90度加熱を30分間行ったものであり、ウラシルに変換されていないために切断された断片は得られていない。
レーン8は対照として5'-32P-TGTGUAAAAAAをウラシルDNAグリコシラーゼで処理(37℃で1時間)して、ピペリジンで90度加熱を30分間行ったものである。
【0017】
この結果、コントロールのレーン8と、光反応実験で得られたレーン5のバンド(ウラシルでの切断)が一致した。レーン6、7のように90度加熱を行わないと酵素で切断されないので、加熱によって、シトシンがウラシルに変換されていることがわかった。
このように90℃での加熱を行わないとデアミネーションが進行せず、シトシンがウラシルに変換されないことがわかった。
【0018】
そこで、デアミネーションの条件について検討した。
その結果のポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析を図4に、図面に代わる写真で示す。レーン1は反応前のものである。レーン2は366nmの光照射を1時間行った後のものである。
レーン3はレーン2の後に90度加熱を行わず、302nm光照射1時間、ウラシルDNAグリコシラーゼ処理(37度・1時間)、ピペリジン処理(90度加熱・30分)を行ったものである。
レーン4はレーン2の後に90度加熱を15分行い、それ以外はレーン3と同じものである。レーン5はレーン2の後に90度加熱を30分行い、それ以外はレーン3と同じものである。レーン6はレーン2の後に90℃加熱を45分行い、それ以外はレーン3と同じものである。レーン7はレーン2の後に90度加熱を60分行い、それ以外はレーン3と同じものである。レーン8はレーン2の後に90度加熱を75分行い、それ以外はレーン3と同じものである。レーン9はレーン2の後に90度加熱を90分行い、それ以外はレーン3と同じものである。レーン10はレーン2の後に90度加熱を105分行い、それ以外はレーン3と同じものである。レーン11はレーン2の後に90度加熱を120分行い、それ以外はレーン3と同じものである。
レーン12は対照として5'-32P-TGTGUAAAAAAをウラシルDNAグリコシラーゼで処理(37度・1時間)して、ピペリジンで90度加熱を30分間行ったものである。
【0019】
この結果を定量化して示したものが図5である。図5の横軸は時間(分)であり、縦軸はデアミネーションされていないシトシンタイプの残量を%で示している。このデアミネーションされていないシトシンタイプの半減期は40分(90℃)であることがわかった。
このように、本発明の方法によれば、光連結性ヌクレオシド含有DNAの光照射により、対象シトシンに対するシクロブタン反応を行い枝分かれ核酸を形成させ、加熱処理、及び化学反応処理を行うことでシトシンの脱アミノ化を促進し、最終的に光解裂を行い、DNA、及びRNA上の任意のシトシンをウラシルへと誘導が可能になる。この技術はフォトブランチング技術との組み合わせにより、i)光転写制御、ii)光翻訳制御、iii)光誘導型変異蛋白の生産等への利用が期待される。
【0020】
本発明の方法は、後処理の必要な化学活性化剤や使用条件に制限がかかる酵素を全く用いずに、光をトリガーとして用いるシトシンからウラシルへの点変異技術であり、環境にやさしい21世紀型のバイオテクノロジー技術である。任意の位置のシトシンをウラシルへと点変異させる技術としても有用である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の光連結性ヌクレオシドは、塩基部分に次式、
【0022】
【化4】
JP0003753938B2_000004t.gif
【0023】
(式中、ZはO又はNHを示し、X及びYの少なくとも一方は電子吸引性基を示し、X及びYの残りの基は水素原子を示す。)
で表される基を有することが好ましい。
置換基X、Yにおける電子吸引基としては、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられるがこれらの例示したものに限定されるものではなく、細胞系への適合を考慮して適宜電子吸引基を選択することができる。好ましい電子吸引基としては、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基などが挙げられる。アルコキシカルボニル基におけるアルキル基としては、炭素数1から10、好ましくは1から5の低級アルキル基が挙げられる。
置換基X、Yは、両方が同時に同一または異なる電子吸引基であってもよく、また置換基X、Yの一方だけが電子吸引基であり、他方が水素原子であってもよい。
【0024】
本発明の核酸類としては、DNA、RNA、PNAなどのいずれであってもよく、天然又は合成のDNAやRNAなどと塩基対を形成し得るものが好ましい。
また、本発明の核酸類は、変換させる塩基だけを有するモノヌクレオチドであってもよいが、他の核酸と共にオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドになっているものが好ましい。オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドにおける塩基数は特に制限はないが、好ましくは1から10000、より好ましくは1から3000、さらに好ましくは1から1000程度である。
また、本発明の光連結性ヌクレオシドを含有するDNAは、DNAであっても、RNAであっても、またPNAであってもよいが、その鎖中に少なくとも1個の光連結性ヌクレオシドを含有するものである。光連結性ヌクレオシドを含有する位置としては反応性に影響が無ければ特に制限は無いが、通常は5’又は3’末端が好ましい。本発明の光連結性ヌクレオシドを含有するDNAの長さも特に制限はないが、入手のし易さや取扱いの簡便さから、余り長くないのが好ましい。好ましい長さとしては、例えば、塩基数で1~50、1~25、5~15程度である。
【0025】
本発明の光連結性ヌクレオシドは、通常の核酸の製造方法に準じて製造することができる。例えば、5-置換ビニルウリジンのDMTr体にアミダイド化剤を作用させてアミダイド化し、次いで保護基を切断して、これを通常のDNA合成法によりオリゴヌクレオチドとすることができる。
5-置換ビニルシトシン誘導体又は5-置換ビニルウラシル誘導体は、以下に示す具体例の方法によってもよいが、他の通常の有機合成法によっても製造することができる。
【0026】
本発明の方法における、変換させる塩基としては、炭素-炭素二重結合を有する塩基であるが、縮合環を形成している炭素-炭素二重結合は好ましくなく、単環式の炭素-炭素二重結合又は環に置換している炭素-炭素二重結合が好ましい。好ましい炭素-炭素二重結合を有する塩基としては、天然のものではシトシン、チミン又はウラシルなどが挙げられる。
炭素-炭素二重結合を有する塩基を有する核酸類としては、DNA、RNA、PNAなどのいずれのものであってもよい。
【0027】
本発明の方法における光としては、反応に必要なエネルギーを有する波長のものであればよいが、紫外線が好ましい。一般に、連結させるときは、比較的長波長側でよく、開裂させる場合には比較的短波長側の光が好ましい。より具体的には、連結させるときの波長としては、330nm以上、好ましくは350nm以上、より好ましくは360nm以上の波長が好ましい。また、開裂させるときの波長としては、320nm以下、好ましくは310nm以下の波長が好ましい。好ましい波長としては、連結させるときの波長が366nmで、開裂させるときの波長が302nmである場合が挙げられる。
【0028】
本発明の方法は、溶液中のように自由に流動できる状態で行うこともできるが、より選択性を挙げるためにはテンプレートに固定して反応させる方法が好ましい。テンプレートとしては、DNA、RNA、PNAなどの塩基対を形成し得るものであればよい。テンプレートの長さは特に制限はないが、3塩基以上、好ましくは5塩基以上がテンプレート上で塩基対を形成できる長さのものが好ましい。
テンプレートは1本鎖のものであってよいが、前述してきたようにテンプレートとして二本鎖DNAを使用することもできる。
【0029】
本発明の方法における、変換させる塩基を含有する核酸類としては、前記したテンプレートに固定化できるものであればどのようなものであってもよい。目的のシトシンの位置から上流又は下流側の3~10塩基程度の塩基配列を調べて、それの相補的な塩基配列を有するものをテンプレートとして使用することができる。
本発明の化学的に変性する方法としては、加水分解、酸化反応、還元反応、アミノ化反応などの各種の化学反応が挙げられる。例えば、シトシンのアミノ基を加水分解して水酸基にする方法などが挙げられる。
この方法における、酸素又は水などの酸素含有物としては、空気中の酸素や加水分解のための水などを使用することができる。
この方法によって得られたウラシル化されたDNAは、常法によるウラシルDNAグリコシラーゼ処理をすることができる。
【0030】
【実施例】
次に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
5-シアノビニルデオキシウリジンを含有する核酸の製造例の反応式を次に示す。以下の説明においては、この反応式に示される化合物番号を使用する。
【0031】
【化5】
JP0003753938B2_000005t.gif
【0032】
実施例1 5-シアノビニルデオキシウリジン(4)の製造
(1) 化合物(2)の製造
5-ヨード-デオキシウリジン(IDU)(1)をピリジン5mLと3回共沸し、TBDMS-Cl(1.717g,11.40mmol)と共に窒素置換し、ピリジン5mLを加え均一溶液とした。これにイミダゾール(0.776g,11.39mmol)のピリジン溶液(5mL)を加え、室温で12時間攪拌した。薄層クロマト(TLC)で原料の消失を確認後、ピリジンを減圧で留去し、残留物を酢酸エチル(20mLx3)と水(20mL)を用いて抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 ヘキサン/酢酸エチル=4:1)により目的の化合物(2)を白色固体(1.661g,96.5%)として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:
0.04-0.14 (m,12H,CH3Six4), 0.88 (s,9H,t-BuSi),
0.93(s,9H,t-BuSi), 1.96 (m,1H,H-2β'), 2.28 (m,1H,H-2α'),
3.74 (dd,J=11.2Hz,J=2.4Hz,1H,H-5'),
3.87 (dd,J=11.2Hz,J=2.4Hz,1H,H-5'),
3.97 (m,1H,H-4'), 4.38 (m,1H,H-3'), 6.25 (t,1H,H-1'),
8.07 (s,1H,H-6), 8.09(br,1H,NH)
【0033】
(2) 化合物(3)の製造
Pd(OAc)(0.019g,0.085mmol),PPh(0.045g,0.170mmol)を窒素雰囲気下で、DMF(2.5mL)中に加えた後、さらにNEt(0.93mL,6.672mmol)を加え、60℃の水浴中で攪拌した。溶液が濃赤色になった後に、前記(1)で得た化合物(2)(0.498g,0.854mmol)、アクリルニトリル(0.7mL,10.63mmol)をDMF溶液として加え一晩攪拌した。減圧でDMFを除去した後、酢酸エチル(15mLx3)、水(15mL)で抽出し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し再び溶媒を除去した。残留物に対してカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 ヘキサン/酢酸エチル=4:1)により目的の化合物(3)を黄色固体(0.434g,53.7%)として単離した。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:
0.03-0.14 (m,12H,CH3Six4), 0.88 (s,9H,t-BuSi),
0.91 (s,9H,t-BuSi), 2.00 (m,1H,H-2'β), 2.39 (m,1H,H-2'α),
3.76 (dd,1H,H-5'), 3.87 (dd,1H,H-5'), 4.00 (m,1H,H-4'),
4.37 (m,1H,H-3'), 6.23 (t,1H,H-1'),
6.67 (dd,J=16.4Hz,1H,vinylic H-1''),
6.85 (dd,J=16.2Hz,1H,vinylic H-2''), 7.96 (s,1H,H-6),
7.98 (br,1H,NH)
【0034】
(3) 化合物(4)の製造
前記の(2)で得られた化合物(3)(0.233g,0.459mmol)にTBAF(in THF,1mmol/l)2.0mLを加え室温で45分攪拌した後、溶媒を除去した。残留物に対してカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 5%MeOH in CHCl)により目的の化合物(4)を淡黄色固体(0.128g,75%)として単離した。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ:
2.15 (m,2H,H-2'αβ), 3.57 (m,1H,H-5'), 3.65 (m,1H,H-5'),
3.80 (m,1H,H-4'), 4.23 (m,1H,H-3'), 5.10 (t,1H,OH-5'),
5.26 (d,1H,OH-3'), 6.08 (t,J=6.4Hz,1H,H-1'),
6.50 (dd,J=1.6Hz,J=14Hz,1H,vinylic H-1''),
7.22 (dd,J=1.6Hz,J=14Hz,1H,vinylic H-2''), 8.33 (s,1H,H-6),
11.72 (br,1H,NH)
【0035】
実施例2 5-シアノビニルデオキシウリジンを含有する核酸(7)の製造
(1) 化合物(5)の製造
前記した実施例1で得られた化合物(4)(0.096g,0.344mmol)をピリジン2mLとの供沸操作を3回行った後、DMTr-Cl(0.133g,0.392mmol)、DMAP(0.025g,0.203mmol)と共に窒素雰囲気下とした。ピリジン(1mL)を加え攪拌し、均一溶液とした。さらにここへNEt(0.05mL,0.359mmol)を加え室温で20時間攪拌した。減圧でピリジンを除去した後、クロロホルム(10mLx3)と水(10mL)で抽出し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した。残留物に対しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒3%MeOH in CHCl)により目的の化合物(5)を黄色固体(0.096g,47.9%)として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ:
2.38 (m,1H,H-2'β), 2.49 (m,1H,H-2'α),
3.43 (dd,J=10.4Hz,J=2.4Hz,1H,H-5'),
3.52 (dd,J=2.4Hz,J=10.4Hz,1H,H-5'), 3.80 (s,6H,OCH3x2),
4.11 (m,1H,H-4'), 4.68 (m,1H,H-3'),
6.50 (d,J=14Hz,1H,vinylic H-1''), 6.08 (t,J=6.4Hz,1H,H-1'),
7.22 (d,J=14Hz,1H,vinylic H-2''),
6.84-6.87 (m,4H,H-β to OCH3x4), 7.20-7.33 (m,9H,phenyl),
7.98 (br,1H,NH), 8.00 (s,1H,H-6)
【0036】
(2) 化合物(7)の製造
前記の(1)で得られた化合物(5)をアセトニトリルを用いてゴムシールドボトルへ移した後、減圧し溶媒を除去し、アルゴン雰囲気下とした。アセトニトリル(1mL)を加え固体を溶解させた後、アミダイト化剤(50uL)、テトラゾール(0.5M,360uL)を順に加え90分攪拌した。あらかじめNaHCO水溶液で洗浄した酢酸エチルと、飽和NaHCO水溶液を用いて抽出操作を行い、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を除去した。得られた固体をアセトニトリルを用いてゴムシールドボトルへ移し、減圧し溶媒を除去した。さらにアセトニトリルとの供沸操作を2回行った。これ以上の精製はせず、このままDNA合成機へ取り付けオリゴマー合成を行った。
DNA合成機を用いてオリゴマー(5’-CNUGC GTG)を合成し、HPLCを用いて精製を行った。
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【0037】
前記した実施例2と同様の方法により、次の反応式に示される化合物(9)~化合物(11)を製造した。以下の説明においては、この反応式に示される化合物番号を使用する。
【0038】
【化6】
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【0039】
実施例3 化合物(9)の製造
DNA自動合成機に市販のアミダイト(7)を装着しフォスフォロアミダイト法によりDNAを合成した。固相担体よりアンモニア処理を65℃、4時間の条件で行うことでDNAを切り出しかつ脱保護を行った。アンモニア留去後、HPLCにより精製を行い、目的のDNA(5’-VCUGCGTG-3’)を得た。
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【0040】
実施例4 化合物(10)の製造
DNA自動合成機に市販のアミダイト(7)を装着し、緩和条件で脱保護可能なアミダイトを用いて、フォスフォロアミダイト法によりDNAを合成した。固相担体よりアンモニア処理を37℃、1時間の条件で行うことでDNAを切り出しかつ脱保護を行った。アンモニア留去後、HPLCにより精製を行い、目的のDNA(5’-VMUGCGTG-3’)を得た。
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【0041】
実施例5 化合物(11)の製造
DNA自動合成機に市販のアミダイト(7)を装着し、フォスフォロアミダイト法によりDNAを合成した。固相担体より2Nのトリメリレンジアミンのメタノール溶液で密封条件下65℃、4時間加熱することで、DNAを修飾、切り出しそして脱保護を行った。1N酢酸で中和後、メタノール及び水を留去し、HPLCにより精製を行い、目的のDNA(5’-VAUGCGTG-3’)を得た。
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【0042】
実施例6 枝分かれ構造の調製
20μMの5’-TGTGCAAAAAA-3’(ODN 1)及び、20μMの5’-VCUGCGTG-3’(ODN 3)を、20μMの鋳型DNA5’-CACGCAGGCACA-3’(ODN 2)の存在下に、366nmの光照射を0℃で1時間行い、目的の枝分かれ構造を有するDNAを98%の収率で得た。HPLCによって単離した枝分かれDNAを測定することで同定を行った。
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【0043】
実施例7 DNA鎖内部のシトシンをウラシルに変換(HPLC)
20μM ODN-1、20μM ODN-2、20μM ODN-3、50mMカコジル酸ナトリウム(pH7.0)、100mM NaClを含む水溶液50μLを石英チューブに加え、氷上で366nmの光照射を1時間行った後、HPLCで、新しく現れた連結体のピークを分離精製した(6-14% acetonitrile、60min、50mM ギ酸アンモニウムバッファー、5C18 MS column)。次に、この連結体8μM、50mMカコジル酸ナトリウム(pH7.0)を含む水溶液50μLを90℃で2時間加熱し、新しく現れた、デアミネーション生成物を分離精製した(6-14% acetonitrile、60min、50mM ギ酸アンモニウムバッファー、5C18-MS column)。このデアミネーションした連結体7μM、50mMカコジル酸ナトリウム(pH7.0)を含む水溶液20μLを石英チューブを用いて、室温で302nmの光照射を1時間行った後、HPLCでウラシルを含んだピークを分離精製した(6-14% acetonitrile、60min、50mM ギ酸アンモニウムバッファー)。単離したウラシルを含むDNA 7μMを5μLとって、ヘビ毒ホスホジエステラーゼ(snake venom phosphodiesterase)とアルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase)をそれぞれ1μL(1unit)加えて、37℃で1時間加温し、HPLCで分析した(3-20% アセトニトリル、20分、50mM ギ酸アンモニウムバッファー、5C18-MS column)。
【0044】
結果を図2に示す。図2の最上段は反応前のチャートであり、上から2段目は波長366nmの光を1時間照射した後のチャートであり、上から3段目は連結した17量体を分離して90℃で2時間加熱した後のものであり、最下段は波長302nmの光を1時間照射し酵素分解した後のチャートである。
【0045】
実施例8 DNA鎖内部のシトシンをウラシルに変換(ゲル電気泳動)
1μM ODN-1、7μM ODN-2、7μM ODN-3、50mMカコジル酸ナトリウム(pH7.0)、100mM NaClを含む水溶液50μLを石英チューブに加え、氷上で、366nmの光照射を1時間行った。次に、この反応液をエッペンドルフチューブに移し、90℃で2時間加熱した後、再度、石英チューブを用いて、室温で302nmの光照射を1時間行った。さらに、反応液にウラシルDNAグリコシラーゼを1μL(1unit)加えて、37℃で1時間加温した後、ピペリジンを5μL加えて90℃で30分加熱した。反応溶液をスピードバックで留去し、ローディングバッファーを加えて、7M 尿素(urea)を含んだ15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析した。泳動結果をX線フィルムで視覚化するため、-80℃で一晩保存した。
【0046】
結果を図3に示す。図3中の各レーンは次のとおりである。
レーン1:反応前
レーン2:366nmの光照射を1時間行った。
レーン3:レーン2の後に90度加熱を2時間行った。
レーン4:レーン3の後に302nmの光照射を1時間行った。
レーン5:レーン4の後にウラシルDNAグリコシラーゼで処理(37℃で1時間)して、ピペリジンで90度加熱を30分間行った。
レーン6:レーン2の後に90度加熱を行わずに、302nmの光照射を1時間行った。
レーン7:レーン6の後にウラシルDNAグリコシラーゼで処理(37℃で1時間)して、ピペリジンで90度加熱を30分間行った。
レーン8:5'-32P-TGTGUAAAAAAをウラシルDNAグリコシラー ゼで処理(37℃で1時間)して、ピペリジンで90度加熱を30分 間行った。
この結果、コントロールのレーン8と、光反応実験で得られたレーン5のバンド(ウラシルでの切断)が一致した。レーン6、7のように90度加熱を行わないと酵素で切断されないので、加熱によって、シトシンがウラシルに変換されていることがわかる。
【0047】
実施例9 デアミネーションの時間変化の実験
1μM ODN-1、7μM ODN-2、7μM ODN-3、50mMカコジル酸ナトリウム(pH7.0)、100mM NaClを含む水溶液50μLを石英チューブに加え、氷上で、366nmの光照射を1時間行った。次に、この反応液をエッペンドルフチューブに移し、90℃で15分間隔で2時間まで加熱した後、それぞれの時間の反応液を、石英チューブを用いて、室温で302nmの光照射を1時間行い、反応液にウラシルDNAグリコシラーゼを1μL(1unit)加えて、37℃で1時間加温し、ピペリジンを5μL加えて90℃で30分加熱した。反応溶液をスピードバックで留去し、ローディングバッファーを加えて、7M ureaを含んだ15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析した。泳動結果をX線フィルムで視覚化するため、-80℃で一晩保存し、デンシトメーターを用いてバンドを定量化した。
結果を図4及び図5に示す。図4の各レーンは次のとおりである。
レーン1:反応前
レーン2:366nmの光照射を1時間行った。
レーン3:レーン2の後に90度加熱を行わず、302nm光照射1時間、ウラシルDNAグリコシラーゼ処理(37℃で1時間)、ピペリジン処理(90度加熱・30分)を行った。
レーン4:レーン2の後に90度加熱を15分行った。それ以外はレーン3と同じ。
レーン5:レーン2の後に90度加熱を30分行った。それ以外はレーン3と同じ。
レーン6:レーン2の後に90℃加熱を45分行った。それ以外はレーン3と同じ。
レーン7:レーン2の後に90度加熱を60分行った。それ以外はレーン3と同じ。
レーン8:レーン2の後に90度加熱を75分行った。それ以外はレーン3と同じ。
レーン9:レーン2の後に90度加熱を90分行った。それ以外はレーン3と同じ。
レーン10:レーン2の後に90度加熱を105分行った。それ以外はレーン3と同じ。
レーン11:レーン2の後に90度加熱を120分行った。それ以外はレーン3と同じ。
レーン12:5'-32P-TGTGUAAAAAAをウラシルDNAグリコシラ ーゼで処理(37℃で1時間)して、ピペリジンで90度加熱を3 0分間行った。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、光による可逆的な核酸類の連結・解裂を利用した新規な点変異法を提供するものであり、本発明の方法は特定の位置の塩基を簡便な方法により特異的に点変異させることができる。本発明の方法は、酵素反応を使用する必要が無く、光を用いたユニークな構造を持つ核酸を合成するため、環境にもやさしい方法である。
また、本発明の方法によれば、光連結性ヌクレオシド含有DNAの光照射により、対象シトシンに対するシクロブタン反応を行い枝分かれ核酸を形成させ、加熱処理、及び化学反応処理を行うことでシトシンの脱アミノ化を促進し、最終的に光解裂を行い、DNA、及びRNA上の任意のシトシンをウラシルへと誘導することが可能になる。本発明の方法により得られたウラシル体は、ウラシルDNAグリコシラーゼ処理を行うことで任意の位置で特異的に切断することができる。このような変換はDNAのみならず、mRNA上のシトシンをウラシルへ特異的に変換し、mRNAの遺伝情報を特異的に変更することができる。さらに、本発明の方法は、フォトブランチング技術との組み合わせにより、i)光転写制御、ii)光翻訳制御、iii)光誘導型変異蛋白の生産等への利用が期待される。
このように本発明の方法は、後処理の必要な化学活性化剤や使用条件に制限がかかる酵素を全く用いずに、光をトリガーとして用いるシトシンからウラシルへの点変異技術であり、環境にやさしい21世紀型のバイオテクノロジー技術である。任意の位置のシトシンをウラシルへと点変異させる技術としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法によりシトシンをウラシルに変換する方法を化学反応式により具体的に説明するものである。
【図2】図2は、本発明の方法によりDNA中のシトシンをウラシルに変換したときの各ステップにおけるHPLCのチャートを示したものである。図2の上から、反応前のチャート、波長366nmの光を1時間照射した後のチャート、連結した17量体を分離して90℃で2時間加熱した後のチャート、最下段は波長302nmの光を1時間照射し酵素分解した後のチャートである。
【図3】図3は、本発明の方法によりDNA中のシトシンをウラシルに変換したときの各ステップにおける電気泳動の結果を示す、図面に代わる写真である。
【図4】図4は、本発明の方法によりDNA中のシトシンをウラシルに変換する際の、デアミネーション反応を種々の反応時間で行った場合の電気泳動の結果を示す、図面に代わる写真である。レーン3は0分、レーン4からレーン11はそれぞれ反応時間を15分ずつ長くしたものである。
【図5】図5は、本発明の方法によりDNA中のシトシンをウラシルに変換する際の、デアミネーション反応におけるシトシン体の減少率(%)とウラシル体の生成率(%)を時間(分)に対してプロットしたグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4