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明細書 :限流器及びこれを用いた電力システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3551316号 (P3551316)
公開番号 特開2002-281661 (P2002-281661A)
登録日 平成16年5月14日(2004.5.14)
発行日 平成16年8月4日(2004.8.4)
公開日 平成14年9月27日(2002.9.27)
発明の名称または考案の名称 限流器及びこれを用いた電力システム
国際特許分類 H02H  9/02      
H01F 27/06      
FI H02H 9/02 H
H01F 27/06
請求項の数または発明の数 6
全頁数 8
出願番号 特願2001-078514 (P2001-078514)
出願日 平成13年3月19日(2001.3.19)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用申請有り 平成12年11月11日電気学会東京支部新潟支所主催の「第10回電気学会東京支部新潟支所研究発表会」において文書をもって発表
審査請求日 平成13年3月19日(2001.3.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】596133441
【氏名又は名称】新潟大学長
発明者または考案者 【氏名】山口 貢
【氏名】野村 尚弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
審査官 【審査官】西山 昇
参考文献・文献 実開昭50-063138(JP,U)
特開平11-004542(JP,A)
特開平11-332090(JP,A)
特開2000-350357(JP,A)
米国特許第5812353(US,A)
米国特許第4438474(US,A)
調査した分野 H02H 9/00 - 9/08
H01F 27/06
特許請求の範囲 【請求項1】
整流性を有する複数の半導体素子と、コイルと、直流バイアス電源とを具え、前記複数の半導体素子、前記コイル、及び前記直流バイアス電源は、整流回路を構成するとともに、前記コイル及び前記直流バイアス電源は、前記整流回路中において並列に接続されていることを特徴とする、限流器。
【請求項2】
前記直流バイアス電源は、前記複数の半導体素子の少なくとも一つと直列に接続され、出力側からの逆電流が前記直流バイアス電源に流入するのを阻止するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の限流器。
【請求項3】
前記半導体素子は、ダイオード及びサイリスタの少なくとも一方から構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の限流器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一に記載の限流器と、この限流器と直列に接続されてなる交流電源とを具えることを特徴とする、電力システム。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一に記載の限流器と、この限流器と直列に接続されてなる交流電源とを具えることを特徴とする、三相電力システム。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一に記載の限流器と、この限流器に対して直列に接続された交流電源と、前記限流器と前記交流電源との間に直列変圧器を具えることを特徴とする、三相電力システム。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、限流器及びこれを用いた電力システムに関し、詳しくは送配電系統などの交流電力系統において好適に用いることのできる限流器及びこれを用いた電力システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
送配電系統の交流電力系統においては、事故電流の抑制を目的として従来から整流器を用いた直流限流器で限流することが行われていた。
【0003】
図1は、従来の直流限流器を含んだ電力システムの一例を示す回路図である。
図1に示す電力システムは、交流電源1と、限流器2と、電力負荷体3とが直列に接続されている。限流器2は、整流性を有する半導体素子としてのダイオード4-1~4-4と、例えば超電導材料より構成されるコイル6とを具えている。ダイオード4-1及び4-2と、ダイオード4-3及び4-4はそれぞれ直列に接続されて直列回路部を構成するとともに、これらの直列回路部とコイル6とが並列に接続されることにより、整流回路を構成している。
【0004】
図1に示すような電力システムにおいて、定常時においては、ほぼ一定の直流電流(リアクトル電流)が限流器2内を流れている。一方、短絡などの事故が発生すると巨大な事故電流が電力システム内を流れようとするが、この事故電流に起因した電力システム内の急激な電流増加は、コイル6によって抑制される。
すなわち、コイル6のインダクタンスをL、電流をi、時間をtとすると、コイル6に加わる電圧値はL(di/dt)で表されるので、コイル6のインダクタンスLを十分大きくとれば、di/dtを小さくすることができ、結果として、電力システム内における急激な電流増加を抑制することができる。
【0005】
事故発生後線路電流の2~3サイクル以内の電流増加を上記のようにして抑制した後、図示しない遮断機によって電力システムを遮断することによって、電力システム全体の事故を効果的に防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図2は、図1に示す電力システムにおけるリアクトル電流の電流波形、及び交流電源1からの電源電流の電流波形を示すグラフである。
リアクトル電流は、限流器2内のダイオード4-1~4-4を還流するが、ダイオード4-1~4-4の抵抗のために減衰する。この結果、限流器2の両端にはリップル電流が重畳されることになり、交流電源1からの電源電流の電流波形も図2に示すように歪んだ正弦波状を呈するようになる。したがって、電力負荷体3に対して、目的とする電力を正確に負荷することができない場合が生じていた。
【0007】
かかる観点より、限流器内に直流バイアス電源を加え、この直流バイアス電源と前記限流器内のコイルとを直列に接続して、前記直流バイアス電源より前記限流器に対して、電源電流の電流波形における波高値以上のバイアス直流電流を負荷することが試みられている。
【0008】
図3は、限流器内に直流バイアス電源を設けた電力システムを示す回路図である。また、図4は、図3に示す電力システムにおけるリアクトル電流の電流波形、及び電源電流の電流波形を示すグラフである。図3に示す電力システムにおいては、コイル6と直列に接続された直流バイアス電源8を具えている点を除き、図1に示す電力システムと同一の構成を有している。
【0009】
このような電力システムによれば、コイル6と直列に接続された直流バイアス電源より、交流電源1からの電源電流の波高値よりも大きいバイアス直流電流が限流器2に負荷され、その結果として、図4に示すような歪みのない正弦波状の電源電流を得ることができ、その結果として、電力負荷体3に対して目的とする電力を正確に負荷することができる。
【0010】
しかしながら、図3に示すような電力システムにおいては、前記コイルに対して電源電流の波高値以上のバイアス直流電源を負荷しなければならない。さらに、事故時において巨大な事故電流が流入するため、前記直流バイアス電源の電流容量を極めて大きく設定する必要があった。
【0011】
本発明は、巨大な事故電流による急激な電流増加を効果的に抑制することができるとともに、大きなバイアス電流を必要とすることなく、目的とする電力を電力負荷体に負荷することのできる限流器、及びこれを用いた電力システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明の限流器は、整流性を有する複数の半導体素子と、コイルと、直流バイアス電源とを具え、前記複数の半導体素子、前記コイル、及び前記直流バイアス電源は、整流回路を構成するとともに、前記コイル及び前記直流バイアス電源は、前記整流回路中において並列に接続されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の限流器においては、上述した従来の限流器と異なり、直流バイアス電源とコイルとを並列に接続している。このため、前記直流バイアス電源から、交流電源からの電源電流の波高値と比較して十分に小さいバイアス直流電流を前記限流器に負荷するのみで、歪みのない正弦波状の電源電流を得ることができる。したがって、目的とする電力を電力負荷体に効率よく負荷することができるようになる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様においては、前記直流バイアス電源を、前記複数の半導体素子の少なくとも一つと直列に接続し、出力側からの逆電流が前記直流バイアス電源に流入するのを阻止するように構成する。これによって、上記限流器を含む電力システムにおいて短絡などの事故が発生した場合においても、巨大な事故電流が前記直流バイアス電源の流入するのを防止することができる。
さらに、本発明は、上述した限流器と、交流電源とを含む電力システムに関する。以下、本発明の限流器及び電力システムについて詳述する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図5は、本発明の電力システムの一例を示す回路図であり、図6は、図5に示す電力システムにおける、リアクトル電流、バイアス直流電流、及び電源電流それぞれの電流波形を示すグラフである。なお、図5において、図1及び図3に示す電力システムと類似の構成要素に対しては同一の参照数字を用いて表している。
【0016】
図5に示す電力システムにおいては、交流電源1と、本発明に従った限流器2と、所定の電力を負荷すべき電力負荷体3とが設けられている。限流器2は、整流性を有する半導体素子としてダイオード4-1~4-5と、例えば超電導材料から構成されるコイル6と、バイアス直流電源8とを具えている。
ダイオード4-1及び4-2と、ダイオード4-4及び4-5とは、それぞれ直列に接続されて直列回路部を構成している。また、ダイオード4-3及び直流バイアス電源8とは直列に接続されて直列回路部を構成している。そして、これらの直列回路部が並列に接続されることにより整流回路を構成している。
【0017】
図5に示す電力システムにおいて、例えば、短絡などの事故が発生した場合においては、上述したように、巨大な事故電流がコイル6によって減衰、抑制された後、図示しない所定の遮断機によって遮断され、電力システム全体が破壊されないように構成されている。
【0018】
図5に示す電力システムにおいては、定常時、図6に示すようなリアクトル電流が限流器2内を還流している。そして、電力負荷体3に対して所定の電力を負荷しようとする場合は、直流バイアス電源8から限流器2に対して、交流電源1からの電源電流が歪みのない正弦波となるように、所定のバイアス直流電流を流す。
【0019】
図5に示す電力システムの限流器2においては、コイル6と直流バイアス電源8とが並列に接続されているため、図6に示すように、目的とする電源電流と比較して極めて小さいバイアス直流電流を流すのみで、歪みのない正弦波の電流波形を有する電流電源を得ることができる。したがって、直流バイアス電源の電流容量を拡大することなく、電力負荷体3に対して目的とする電力を効率よく負荷することができる。
【0020】
なお、図5に示す電力システムにおいては、直流バイアス電源8とダイオード4-3とが直列に接続され、短絡などの事故電流が直流バイアス電源8に流入するのを防止している。したがって、事故電流の逆流を考慮して、直流バイアス電源の電流容量を拡大する必要がなくなる。
また、コイル6は上述した超電導材料の他、常電導性の材料から構成することができる。
【0021】
図7は、本発明の電力システムの他の例を示す回路図である。なお、図7においても、上述した電力システムと類似の構成要素については、同一の参照数字を用いて表している。
図7に示す電力システムは、交流電源1-1~1-3と、限流器2-1~2-3と、電力負荷体3-1~3-3とを具えている。限流器2-1~2-3は、上述した図5に示す限流器2と同一の構成を有している。
【0022】
交流電源1-1~1-3は、限流器2-1~2-3のそれぞれと直列に接続されており、限流器2-1~2-3は、電力負荷体3-1~3-3のそれぞれと直列に接続されている。すなわち、電力負荷体3-1~3-3には、限流器2-1~2-3を介して交流電源1-1~1-3が直列に接続され、三直流リアクトル型の三相電力システムを構成している。
このような三相電力システムを用いることにより、電力負荷体3-1~3-3に対して、目的とする電力を効率よく負荷することができる。
【0023】
なお、図5における電力システムの場合と同様に、コイル6は超電導材料及び常電導材料から構成することができる。また、ダイオードの代わりにサイリスタを用いることもできる。
【0024】
図8は、本発明の電力システムにおけるその他の例を示す回路図である。なお、図8に示す電力システムにおいても、上述した電力システムと類似の構成要素については、同一の参照数字を用いて表している。
図8に示す電力システムにおいて、限流器2は、ダイオード4-1~4-7と、コイル6と、直流バイアス電源8とを具えている。ダイオード4-1及び4-2と、ダイオード4-3及び4-4と、ダイオード4-4及び4-5とは、それぞれ直列に接続されて直列回路部を構成している。また、ダイオード4-7と直流バイアス電源8とは直列に接続されて直列回路部を構成している。そして、これら直列回路部と、コイル6とは並列に接続されて整流回路を構成している。
【0025】
また、限流器2に対しては、直列変圧器9-1~9-3が直列に接続されており、一直流リアクトル型の三相電力システムを構成している。したがって、目的とする電力を効率よく負荷することができる。
【0026】
図8に示す電力システムにおいても、定常時には、ほぼ一定のリアクトル電流が限流器2内を流れている。そして、短絡などによって事故電流が発生した場合は、図5に示す電力システムにおいて説明したように、コイル6によって電力システム内の減衰、抑制された後、図示しない所定の遮断機によって遮断され、電力システム全体が破壊されないように構成されている。この際、直流バイアス電源8と直列接続されたダイオード4-7によって、逆流した事故電流が直流バイアス電源8に流入しないように構成されている。
【0027】
そして、電力を負荷する際には、直流バイアス電源8より限流器2に対して所定の直流バイアス電流を印加するようにし、負荷されるべき電源電流の波形が歪みのない正弦波となるようにする。
なお、図5における電力システムの場合と同様に、コイル6は超電導材料及び常電導材料から構成することができる。また、ダイオードの代わりにサイリスタを用いることもできる。
【0028】
図9は、図8に示す電力システムにおいて、正常時及び事故時における電源電流など各電流の波形を示したものである。図8から明らかなように、正常時において、電源電流及び各ダイオード中を流れる電流は正弦波状を呈するのに対し、事故時においては、歪んだ矩形状を呈する。しかしながら、本発明の限流器によって、事故電流に起因した電流の急激な増加が抑制されていることが分かる。
一方、直流バイアス電源からのバイアス直流電流は、正常時においては、一定の大きさで周期的に変化するが、事故時においては、零になる。また、リアクトル電流は、事故後において徐々に増加するようになる。
【0029】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、巨大な事故電流による急激な電流増加を効果的に抑制することができるとともに、大きなバイアス電流を必要とすることなく、目的とする電力を電力負荷体に負荷することのできる限流器、及びこれを用いた電力システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の直流限流器を含んだ電力システムの一例を示す回路図である。
【図2】図1に示す電力システムにおけるリアクトル電流の電流波形、及び交流電源からの電源電流の電流波形を示すグラフである。
【図3】従来の直流限流器を含んだ電力システムの他の例を示す回路図である。
【図4】図3に示す電力システムにおけるリアクトル電流の電流波形、及び交流電源からの電源電流の電流波形を示すグラフである。
【図5】本発明の電力システムの一例を示す回路図である。
【図6】図5に示す電力システムにおける、リアクトル電流、バイアス直流電流、及び電源電流それぞれの電流波形を示すグラフである。
【図7】本発明の電力システムの他の例を示す回路図である。
【図8】本発明の電力システムにおけるその他の例を示す回路図である。
【図9】図8に示す電力システムにおいて、正常時及び事故時における電源電流など各電流の波形を示すグラフである。
【符号の説明】
1、1-1~1-3 交流電源
2、2-1~2-3 限流器
3、3-1~3-3 電力負荷体
4-1~4-7 ダイオード
6 コイル
8 直流バイアス電源
9-1~9-3 直流変圧器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8