TOP > 国内特許検索 > フェムト秒レーザー照射による分極反転構造の作成方法 > 明細書

明細書 :フェムト秒レーザー照射による分極反転構造の作成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4578710号 (P4578710)
公開番号 特開2002-287191 (P2002-287191A)
登録日 平成22年9月3日(2010.9.3)
発行日 平成22年11月10日(2010.11.10)
公開日 平成14年10月3日(2002.10.3)
発明の名称または考案の名称 フェムト秒レーザー照射による分極反転構造の作成方法
国際特許分類 G02F   1/377       (2006.01)
FI G02F 1/377
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2001-094346 (P2001-094346)
出願日 平成13年3月28日(2001.3.28)
審査請求日 平成19年9月18日(2007.9.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
発明者または考案者 【氏名】細野 秀雄
【氏名】河村 賢一
【氏名】平野 正浩
【氏名】市川 潤一郎
【氏名】永田 裕俊
【氏名】八木 美紀
個別代理人の代理人 【識別番号】100108671、【弁理士】、【氏名又は名称】西 義之
審査官 【審査官】佐藤 宙子
参考文献・文献 特開平05-127207(JP,A)
特開平06-043511(JP,A)
Optics Communications,1999年 5月15日,163,310-316
科学と工業,2001年 1月20日,Vol.75,No.1,23-29
調査した分野 G02F 1/35
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
0.1TW/cm2以上の高エネルギー密度を有し、互いに干渉した2つのフェムト秒レーザーパルスを強誘電体結晶のz面に、干渉レーザー光の電気ベクトルが該結晶の分極方向に平行になる様に照射することにより該強誘電体結晶表面に5~0.5μmの間隔を持つ短周期ドメイン反転構造を強誘電体結晶表面に形成された回折格子の下側に作成することを特徴とするフェムト秒レーザー照射による分極反転構造の作成方法。
【請求項2】
強誘電体結晶に光導波路を形成し、該光導波路上に該レーザーパルスを照射することを特徴とする請求項1記載の分極反転構造の作成方法。
【請求項3】
強誘電体として、LiNbO3、MgドープLiNbO3、LiTaO3、KTiOPO4(KTP)、β—Ba223(BBO)、またはLiB25(LBO)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載するフェムト秒レーザー照射による分極反転構造の作成方法。
【請求項4】
請求項記載の方法で作成された短周期ドメイン反転構造を用いることを特徴とする高調波発生素子、和周波発生素子、または差周波発生素子。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高エネルギー密度を有する干渉したフェムト秒レーザーパルス光により、強誘電体中に周期分極反転構造、特に、微細な周期間隔を有する分極反転構造を作成する方法、およびその周期分極反転構造を応用した波長変換光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
非線形光学効果を利用した波長変換では、基本波と波長変換波の間の位相整合を取る必要があるが、強誘電体中のドメインの分極方向を周期的に反転させることにより、擬似的に位相整合させ、波長変換を行うこともできる。こうした擬似位相整合素子では、適用できる材料や基本波波長に関する制限を取り除くことができる。
【0003】
また、導波路型素子では、長い伝播距離に亘って、光密度を高く保つことができるので、「導波路型擬似位相変換素子」は、高効率で波長変換を実現することができる。
【0004】
ドメイン分極反転周期をΛ としたとき、第二高調波が発生するための擬似位相整合条件は、(1)式で与えられる。
【0005】
Λ =(2m+1)λp/2(n(λp)-n(λsh)) (1)
ここで、λp:基本波の波長、λsh:第二高調波の波長、n(λp)、n(λsh)は、各波長に対する実効屈折率、m:整数である。
【0006】
周期反転構造を強誘電体に作製する方法として、
(1)LiNbO3結晶にTiないしLi2Oを拡散させ、1000~1100℃で熱処理する方法[非特許文献1、2]、
(2)LiNbO3の-Zに、ピロ燐酸を用い、260℃程度の温度処理で、プロトン交換を行い、その後、500~600℃で熱処理する方法[非特許文献3]、また、KTiOPO4(KTP)結晶をRb/Ba塩によりイオン交換する方法[非特許文献4]、
(3)LiNbO3、LiTaO3結晶の-z面上に室温で、収束電子ビームを照射する方法[非特許文献5]およびイオンビームを照射する方法[非特許文献6]、
(4)zカットLiNbO3、LiTaO3結晶の片面に周期電極、反対面に一様電極を設け、パルス電圧を印加する方法[非特許文献7]、
が報告されている。
【非特許文献1】
西原ほか Opt.Lett.16 (1991)375
【非特許文献2】
J.Webjornほか IEEE Photonics Tech Lett.1(1989)316
【非特許文献3】
K.Mizuuchiほか Appl.Phys.Lett. 60(1992) 1283
【非特許文献4】
C.van der Poel Appl.Phys.Lett. 57(1990) 2074
【非特許文献5】
M.Yamadaほか Electron.Lett.27(1991)1868
【非特許文献6】
K.MizuuchiほかElectron.Lett. 29(1993)2064
【非特許文献7】
M.Yamadaほか Appl.Phys.Lett.62(1993)435
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の(1)および(2)の方法は、結晶を高温処理する必要があり、また、化学的な反応を伴うため、プロセスが複雑であり、分極周期間隔を小さくすることが難しい。また、上記の(3)の方法では、電子およびイオンは電荷を有しているために、電気絶縁体である強誘電体を加工するためには、高電圧が必要となるし、ビームを走査するために、プロセスに長時間を要する。上記の (4)の方法は、電極を設ける必要があるために、プロセスが複雑となるし、分極反転周期は、電極の周期間隔で決まるので、最小周期として、1μm程度に限界があるなどの問題点がある。分極反転周期構造の作成には、多くの方法が開発されているが、光を用いた方法はこれまで開発されていなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、高密度のレーザーパルスの有する強い電場を利用して、強誘電体分極ドメインを反転させるものである。集光したレーザー光を用いれば、なんらの化学反応を伴うことなく、室温で、強誘電体中の分極を反転させることができる。光は電荷をもたないので、電気絶縁体である強誘電体の加工に適している。
【0009】
すなわち、本発明は、0.1TW/cm2以上の高エネルギー密度を有し、互いに干渉した2つのフェムト秒レーザーパルスを強誘電体結晶のz面に、干渉レーザー光の電気ベクトルが該結晶の分極方向に平行になる様に照射することにより該強誘電体結晶表面に5~0.5μmの間隔を持つ短周期ドメイン反転構造を強誘電体結晶表面に形成された回折格子の下側に作成することを特徴とするフェムト秒レーザー照射による分極反転構造の作成方法である。
【0010】
また、本発明は、強誘電体結晶に光導波路を形成し、該光導波路上に該レーザーパルスを照射することを特徴とする上記の分極反転構造の作成方法である。
【0011】
また、本発明は、強誘電体として、LiNbO3、MgドープLiNbO3、LiTaO3、KTiOPO4(KTP)、β—Ba223(BBO)、またはLiB25(LBO)を用いることを特徴とする上記のフェムト秒レーザー照射による分極反転構造の作成方法である。
【0012】
また、本発明は、上記の方法で作成された短周期ドメイン反転構造を用いることを特徴とする高調波発生素子、和周波発生素子、または差周波発生素子である。
【0013】
本発明者らは、先に、従来行われていた感光性材料を用いたレーザービームによる照射法に替えて、フェムト秒レーザーを用いた二ビームホログラム露光法を開発し、フェムト秒パルスの持つ高エネルギー密度とコヒーレンス性の特徴を利用して、本来は光感光性を持たない透明有機、無機材料、半導体材料、または金属材料に、一つのパルスから分岐した一対のパルス光で、ホログラムを記録できる方法を実現し、特許出願した(特願2000-312715)。
【0014】
この方法は、パルス幅が900~10フェムト秒、ピーク出力が1GW以上で、フーリェ限界またはそれと近似できるフェムト秒レーザーを光源とし、該レーザーからのパルスをビームスプリッターにより二つに分割し、二つのビームを光学遅延回路を介して時間的に制御し、かつ微小回転する反射面が平面のミラーと凹面のミラーを用いて空間的に制御し、ホログラムを記録する基材表面または基材内部に、偏光面を平行にして、エネルギー密度100GW/cm2 以上で集光し、二つのビームの集光スポットを時間的および空間的に合致させることにより、高密度エネルギー照射によって生じる基材材料のアブレーションまたは基材材料の原子配列構造変化による基材表面の形状変化および/または基材材料の屈折率変化により、透明材料、半導体材料、または金属材料に不可逆的にホログラムを記録することを特徴とする二ビームレーザー干渉露光法によるホログラムの製造方法である。
【0015】
この二ビームレーザー干渉露光法によるレーザー光の干渉を利用すれば、直接、材料表面に周期凹凸構造を記録することができるが、本発明の方法によりその凹凸構造の下側に、周期分極反転構造が形成される。レーザー光の干渉の特性から、光の入射角度を変化させ、5~0.5μmの範囲で周期間隔を制御することができる。
【0016】
また、パルスの照射回数やパルスエネルギー密度を変化させて、分極反転の領域を制御することが出来る。波長変換効率は、反転ドメインと非反転ドメインの比に依存し、その値が1:1の時、最大になる。
【0017】
したがって、導波路に入射した基本波の第二高調波の強度をモニターし、その値が最大になるように、照射レーザーパルスの回数、パルスエネルギー密度を決めれば、最大波長変換効率を有する素子を製作することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の方法に用いるレーザー露光装置のシステム概念図である。このシステムにおいては、 フェムト秒レーザー光源、該レーザーからのパルスビームを二つに分割するためのビームスプリッター、パルス光の集光合致位置を時間的に制御するための光学遅延回路および空間的に制御するための平面ミラーと凹面ミラーと該ミラーを微回転するための機構からなる光学系とする。ミラーの位置を、ミラー面に垂直方向、入射ビームに対して平行および垂直方向に微移動させることにより、光学路長を変化させ、光学遅延回路とすることができる。対向して該基材に入射する二ビームの集光の合致位置および集光スポットのサイズを光学遅延回路およびミラーにより制御できる。
【0019】
二ビームレーザー露光装置は、ミクロンスケールで、位置が制御できる光学系が必要であり、それに対応できる高精度の位置制御性をもつ装置として、精細な制御が可能な光学遅延回路、微回転できる平面ミラーと凹面ミラー、および二ビームの集光合致の有無を検出できる機能を併せ持つ光学系により、二つのビームを基材上または基材内部に集光して、時間的および空間的に、二つの集光スポットを合致させることを可能としたものである。
【0020】
図1に示すシステムにおいて、チタンサファイヤモードロックレーザーのフェムト秒パルスレーザーを最大エネルギー~1mJ、時間幅~100f秒に再生増幅し、得られたフェムト秒レーザー光をLiNbO3結晶の表面に~100μm径程度に集光する(このレーザー光のエネルギー密度は、100TW/cm2である。)。
【0021】
単一ドメイン化したLiNbO3結晶のz面に、レーザー光の電気ベクトルを分極方向に平行にした配置で、レーザーパルスを照射したとき、エネルギー密度が100GW/cm2以上、好ましくは、10TW/cm2以上の時、一発のパルス照射で、分極反転が観測される。
【0022】
分極ドメインの大きさは、エネルギー密度が大きいほど、大きくなる。また、レーザーパルスを同じ場所に重ねて照射した場合、照射パルスの数が増加するほど、ドメインの大きさは大きくなる。
【0023】
反転構造は、弗硝酸混合液に浸したとき、-z面はエッチングされるが、+z面はエッチングされないことを利用して、確認することができる。z面以外にレーザー光を照射したときには、分極反転は観測されない。高密度エネルギーパルスの有する強電場により、逆方向の分極を持つドメインが誘起されたことを示している。
【0024】
上記の特願2000-312715に記載した方法と同様に、パルス幅が900~10フェムト秒、ピーク出力が1GW以上で、フーリェ限界またはそれと近似できるフェムト秒レーザーを光源とし、該レーザーからのパルスをビームスプリッターにより二つに分割し、二つのビームを光学遅延回路を介して時間的に制御し、かつ微小回転する反射面が平面のミラーと凹面のミラーを用いて空間的に制御し、基材表面または基材内部に、偏光面を平行にして集光し、二つのビームの集光スポットを時間的および空間的に合致させることにより、エネルギー密度0.1TW/cm2 以上の高密度エネルギーを強誘電体に照射する。
【0025】
この際、ホログラム回折格子が形成できる条件下で、強誘電体LiNbO3結晶のz面に、干渉レーザー光の電気ベクトルが結晶の分極方向に平行になる様に、干渉フェムト秒レーザーを照射すると、形成された表面凹凸型回折格子の下側に、深さ5μm程度の周期的な分極反転ドメインを形成することが出来る。
【0026】
すなわち、再生増幅したパルスを2本のビームに分離し、LiNbO3結晶表面で再び会合させ、レーザー光の電気ベクトルが分極方向に平行で、かつ二つのビームのエネルギー和が0.1TW/cm2以上のとき、回折格子の下側に、深さ5μm程度の周期的な分極反転ドメインが形成される。照射レーザー光の電場、局所的な熱、歪、ないし衝撃波が原因して、分極反転が生じると考えられる。
【0027】
干渉ホログラム回折格子のフリンジ間隔dは、d=λ/2sinθ(λは、レーザー波長=800nm、2θは、二つのビームのなす角度)で与えられる。したがって、dは、0.5~5μmの間で、制御することができる。
【0028】
強誘電体結晶として、MgドープLiNbO3、LiTaO3、KTiOPO4(KTP)、β—Ba223(BBO)、またはLiB25(LBO)を用いても同様の周期分極反転構造を形成することが出来る。
【0029】
本発明の方法によって、LiNbO3、LiTaO3、KTP、BBO、LBOなどの単分域された非線形光学結晶基板に、不純物の選択的拡散、あるいはイオン打ち込みやイオン交換等の周知の技術によって、光導波路を作製することができる。
【0030】
結晶基板の方位および光導波路の伝搬方向については、非線形結晶の分極方位と光の伝搬する方位、すなわち導波路の方位とが、一致しないかぎり、任意の方位で疑似位相整合が実現可能であるが、効率の点から最大の非線形定数を有する結晶主軸を導波路伝搬方向が直交するような組み合わせを取ることが望ましい。
【0031】
次に、導波路の伝搬方向とホログラムフリンジが直交するように、非線形光学結晶基板上に作製した光導波路に干渉フェムト秒レーザーを照射して、周期的ドメイン反転を形成する。フリンジの周期Λ を、(1)式と一致させれば、疑似位相条件を満たし、第2次数高調波発生による波長変換を行うことが出来る。結晶方位、波長、屈折率の組み合わせに応じて、フリンジの間隔を適切に選ぶことにより、和周波、差周波などの波長変換も可能である。導波路とフリンジのなす角度ψを変化させ、導波路伝播光が感ずる実効的な格子周期Λ/cos(ψ)を制御し、擬似位相整合条件を満足させることも出来る。
【0032】
また、誘電体結晶上に導波路を形成しなくとも、分極反転構造を形成した誘電体結晶基板に、レンズ等で集光ビームあるいは平行ビームを入射すれば、第2次高調波発生など波長変換を行うことが可能である。この場合も、干渉させる2ビームのなす角度を調整する方法、波長変換を行おうとするビームとフリンジの角度調整する方法のいづれでも、疑似位相整合を実現し、波長変換を行うことが可能である。
【0033】
導波路に基本波を導入し、波長変換された光強度をモニターし、その強度が最大になるように、レーザーパルスのエネルギー密度、パス数、導波路と回折格子フリンジのなす角度を微調整して、最適な周期分極反転構造を形成することができる。
【0034】
分極反転構造を作製した後、導波路を平行に起動させ、二つ目の分極反転構造を、最初の構造に隣接して作製する。この手順を繰り返すことにより、分極反転領域を拡大することができ、波長変換効率を向上させることができる。また、それぞれの分極反転構造のフリンジ間隔を微変化させれば、擬似位相整合する基本波の波長幅を広げることができる。
【0035】
【実施例】
[実施例1]
図1に示す2ビームレーザー干渉露光システムを用いた。すなわち、レーザーは、再生増幅チタンサファイヤレーザーで、発振中心波長は~800nm、パルス幅は~100フェムト秒、パルスエネルギーは~4mJ/パルスで、ピーク出力は~40GWと求められる。
【0036】
レーザービームは、ハーフミラーHF1で、二つに分けられ、レンズL1及びレンズL2により、サンプルS1表面ないし内部に集光される。ビームB1あるいはビームB2に対する光学路内に、光学回路を設置し、2つのビームの集光スポットを時間的、空間的に合致させた。
【0037】
集光スポットの大きさφは~100μmで、ピーク出力密度は~400TW/cm2と計算される。ビームB1及びビームB2のサンプルS1への入射角度θを調整して、回折格子のフリンジの間隔を変更した。サンプルS1をX-Yステージ上に置き、サンプルS1を微動して、サンプルS1の指定の位置に、微小面積のホログラムを記録できる。この2ビームレーザー干渉露光装置を用い、LiNbO3単結晶に透過型ホログラムを記録した。
【0038】
LiNbO3単結晶の大きさは10×10×1mmであり、レーザー光の電気ベクトル方向が結晶軸Z(分極軸)と平行になる配置で、レーザービームを入射した。レーザー出力は~200mJ/パルス、ビームB1を100mJ、ビームB2を100mJとし、ビーム径を約50μmに集光し(エネルギー密度:10TW/cm2)、1パルスでホログラムを記録した。ビームB1とビームB2のなす角度θは30度であった。図2に示すような、それぞれ1μmの格子間隔をもつ回折格子を得た。AFM測定から、表面に形成されたホログラムフリンジの深さは約200nmであった。
【0039】
また、フッ硝酸(フッ酸50%+硝酸50%)、60℃、1時間エッチングを行った試料の断面について、光学顕微鏡による観察を行った。表面グレーティングの下方に微細なエッチング痕が深さt=約5μmまで観察された。図3は、回折格子の下側に形成された分極反転構造を示す断面図である。これにより回折格子の下側にフェムト秒レーザーによる微細な周期をもつ分極反転構造の形成が確認された。
【0040】
[実施例2]
図4に示すように、LiNbO3結晶基板1のX面上に、Ti拡散法により、Y方向に光を伝搬する同一の幅、深さの光導波路2を複数本形成し、光の入出力用に導波路両端を研磨した。各導波路上に、ビーム径約50μmに集光したB1とB2の2ビームを1パルスづつ、ビーム交差角θ=5~80度に変化させながら照射を行った。
【0041】
これらの導波路端面から波長840nmの光源4からレーザーを偏光子5を介して入射したところ、ビーム交差角θ=17度にて照射した導波路においては、導波路端面6から出射した光を赤外カットフイルターを介して光パワーメーター8で測定したところ波長420nmの緑色光の出射が得られ、波長変換装置として機能していることを確認した。
【0042】
この導波路2上に形成されたドメイン反転を弗硝酸溶液に浸漬してエッチングすると、幅1μm弱、深さ約5μmの反転部位と幅約2μm弱の非反転部分からなる周期3μm弱の凹凸が観察され、実際に周期的ドメイン反転が形成されていることが確認された。
【0043】
[実施例3]
実施例2と同様に、LiNbO3基板のX面上に、Ti拡散法により、Y方向に光を伝搬する同一の幅、深さの光導波路を複数本形成し、光の入出力用に導波路両端を光学研磨した。これらの導波路に波長840nmの波長可変レーザーを入射して第二高調波出力光をモニターしながら、パルスの照射回数を変化させて、第二高調波発生素子の作成を行った。フェムト秒レーザービーム交差角θ=17度に設定し、各導波路上にビーム径約50μmに集光し、1~10回のパルスの照射を行ったところ、パルスの照射回数を増やすに従い、緑色光の出力強度が増大し、やがて減少に転じることが確認された。
【0044】
第二高調波の出射強度がほぼ最大となるパルスを3回照射した導波路Aと、パルスを10回照射した導波路Bを、弗硝酸溶液に浸漬してエッチングすると、反転部分と非反転部分の比率が、導波路Aではほぼ4:5であるのに対し、導波路Bでは、2:1であった。
【0045】
疑似位相整合においては、ドメイン反転周期が一定の場合、反転部位と非反転部位の比率(Duty比)は、第二高調波発生効率に影響し、Duty比=1:1の際に最大の第二高調波発生効率が得られることが知られている。上記の出力強度がパルス照射回数に依存する現象は、パルス照射回数とともにDuty比が増大するためと解釈できる。したがって、制御が容易な照射パルスの回数によってDuty比を調整可能であり、容易に良好な第二高調波発生効率を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法で用いる2ビームレーザー露光のシステム概念図である。
【図2】図2は、2ビームレーザー露光システムによって記録された回折格子の説明図である。
【図3】図3は、図2に示す記録された回折格子の下側に形成された分極反転構造を示す断面図である。
【図4】図4は、実施例2における2ビームフェムト秒レーザー光干渉法による導波路型擬似位相整合波長変換素子作製の概念図である。
【図5】図5は、実施例3における導波路型擬似位相整合波長変換素子のドメイン反転領域、結晶軸と導波光伝播方向の関係を示す概念図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4