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明細書 :分子認識機能を有する光触媒及びそれを用いた有害物質除去方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4063553号 (P4063553)
公開番号 特開2003-245558 (P2003-245558A)
登録日 平成20年1月11日(2008.1.11)
発行日 平成20年3月19日(2008.3.19)
公開日 平成15年9月2日(2003.9.2)
発明の名称または考案の名称 分子認識機能を有する光触媒及びそれを用いた有害物質除去方法
国際特許分類 B01J  35/02        (2006.01)
B01J  31/02        (2006.01)
B01J  37/00        (2006.01)
C02F   1/30        (2006.01)
C02F   1/32        (2006.01)
C02F   1/72        (2006.01)
FI B01J 35/02 J
B01J 31/02 M
B01J 37/00 A
C02F 1/30
C02F 1/32
C02F 1/72 101
C02F 1/72 ZAB
請求項の数または発明の数 8
全頁数 9
出願番号 特願2002-047523 (P2002-047523)
出願日 平成14年2月25日(2002.2.25)
審査請求日 平成16年7月23日(2004.7.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】犬丸 啓
【氏名】山中 昭司
【氏名】村嶋 美香
個別代理人の代理人 【識別番号】100085464、【弁理士】、【氏名又は名称】野口 繁雄
審査官 【審査官】岡田 隆介
参考文献・文献 特開平08-266898(JP,A)
特開2000-129176(JP,A)
特開昭61-205224(JP,A)
特開2001-214150(JP,A)
高井 利浩 他,表面修飾酸化チタンの親疎水性と光反応性との相関,日本化学会第79春季年会 講演予稿集,2001年,第438頁
Koodali Thazhathaveetil RANJIT et al.,Enhanced photocatalytic degradation of π-donor organic compounds by N,N′-dialkyl-4,4′-bipyridinium-modified TiO2 particles,Journal of Photochemistry and Photobiology A: Chemistry,1996年,Volume 99, Issues 2-3,pp. 185-189
Tadahiro MURAKATA et al.,Preparation of Ultra Fine TiO2 Particles Dispersible in Organic Solvents and Their Photocatalytic Properties,Journal of Chemical Engineering of Japan,1998年,Vol. 31, No. 1,pp. 21-28
和田 雄二 他,半導体超微結晶の特殊反応サイトの設計制御,特殊反応場の触媒化学 平成8年度 極限環境触媒,1997年,第99-102頁
調査した分野 B01J 21/00-38/74
B01D 53/86、53/94
WPI
JST7580(JDream2)
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
光触媒活性をもつ無機光触媒物質の表面が塩基性又は酸性になるように処理が施されており、かつ前記表面に有機基としてアルキル基が固定されていることを特徴とする光触媒。
【請求項2】
前記無機光触媒物質は粒状であり、前記有機基は前記無機光触媒物質粒子の表面に隙間をもった状態に固定されている請求項1に記載の光触媒。
【請求項3】
前記無機光触媒物質は遷移金属の酸化物又は硫化物である請求項1又は2に記載の光触媒。
【請求項4】
前記無機光触媒物質は二酸化チタンである請求項1から3のいずれかに記載の光触媒。
【請求項5】
前記アルキル基は炭素数が2から18の飽和アルキル基である請求項1に記載の光触媒。
【請求項6】
前記飽和アルキル基はn-オクチル基である請求項5に記載の光触媒。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の光触媒を試料水と接触させ、前記光触媒にその光触媒を活性化する波長領域の光を照射することにより、前記試料水中の有害物質として一分子中に親水基と疎水基を併せ持ち水中に溶解している分子を分解する有害物質除去方法。
【請求項8】
光触媒活性をもつ無機光触媒物質としての二酸化チタン粉末の表面に有機基として飽和アルキル基を固定した光触媒を試料水と接触させ、
前記光触媒にその光触媒を活性化する波長領域の光として紫外線を照射し、
前記試料水中の有害物質として一分子中に親水基と疎水基を併せ持つ化合物を分解除去することを特徴とする有害物質除去方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は分子認識機能を有する光触媒及びそれを用いた有害物質除去方法に関し、特に環境浄化や水中の有害物質除去に有用な光触媒とその利用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題への関心が高まり、地球規模での環境保全が叫ばれる中、環境技術に求められる性能、要求はますます難度の高いものになっている。
産業活動に伴い種々の化学物質が使用され廃棄されているが、廃水処理、浄化プロセスにおいてもますます高い性能が要求されてきている。例えば、近年問題になっている内分泌攪乱物質(以下、環境ホルモンという。)や有機塩素化合物などの難分解性物質が河川等の水環境から検出されている。河川を汚染している代表的な環境ホルモンとしては、ノニルフェノールなどのアルキルフェノール群が挙げられる。これらは微量でも発ガン性や内分泌攪乱性を有する有害化学物質で、生態系、さらには人体に対する影響が懸念されており、環境保全の観点からこれらの物質の除去法が下排水処理の新たな課題となっている。
【0003】
従来の浄化技術としては、活性汚泥を用いる方法、触媒を用いた湿式酸化法、オゾンによる酸化除去法、光触媒による浄化が挙げられる。
活性汚泥法は、汚泥中の微生物の作用を利用して有機物を分解し除去する方法である。
【0004】
湿式酸化法は、貴金属触媒などの共存下、酸素又は他の酸化剤を用いて有機物を酸化し分解するものである。
オゾン酸化法は、オゾンの酸化力を利用して有機物を水中で酸化し分解して除去する。
光触媒法は、半導体系の光触媒に光を照射し触媒表面で水から生成するヒドロキシラジカル等の作用により有機物を分解して除去する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年問題となっている環境ホルモン等の除去対象物質は微量低濃度であり、環境中にはその何千倍、何万倍もの高濃度の他の有機物や阻害物質が共存する。しかも、要求される除去後の到達濃度はppbレベル以下というような極低濃度の場合が多い。
【0006】
しかし、上述のような従来の方法では、除去目的物質に比べて、より高濃度で存在する他の有機物の分解除去が先行するため、系の分解除去機能が飽和してしまい、目的物質の完全な除去は困難となる。このような状況下において極めて低い濃度の当該物質をさらに極低濃度まで分解除去することは、従来技術ではほとんど不可能である。この困難は従来技術による分解では目的物質と他の有機物とで選択性に大きな差がないことに起因しており、従来技術においては本質的なものである。そのため、その延長線上においてその分解除去機能を向上させたとしても、目標達成は原理的に極めて困難である。
【0007】
さらに他の方法として、水中の有害分子を単に吸着して除去する方法は多数提案されているが、一定時間使用後に吸着飽和した吸着剤を高温加熱処理などにより再生する必要があり、多量のエネルギー消費、コスト増、設備の複雑化が避けられない。
【0008】
例えば、環境ホルモンであるノニルフェノールを吸着する材料として、有機物の低濃度分析のために利用されている種々の高分子系固相抽出材料が実験室における小規模レベルでは使用可能であるが、大量の水処理は不可能である。また吸着剤の再生は有機溶媒洗浄により行われるが、そのような吸着剤再生も大規模な実施は極めて困難である。
【0009】
さらに他の方法として、有機物で修飾した無機物による吸着除去も提案されている。その1つの方法は、シリカ多孔体に界面活性剤ミセルを内包させた吸着剤による水中クロロフェノールの吸着除去方法である(R. Denoyelら、Langmuir, 1998年14巻7321ページ)。他の方法は、ノニルフェノールを分子認識的に除去するために、シリカ多孔体表面に有機物により修飾を施し吸着除去する方法である(Inumaru ら、Chemical Communication 2000年, 903ページ)。しかし、これらの方法においても吸着剤の再生は困難である。
【0010】
本発明は、触媒を用いて、共存物質の存在下においても有害分子を選択的に除去できるようにし、かつ触媒の再生処理を不要にすることを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこのような課題を解決する方策として、目的物質をさらに極低濃度まで除去するためには、目的物質に選択的に作用する機能、つまり分子認識機能を創出し、これと分解除去機能を複合化すればよいことに着眼して鋭意検討を行なった。すなわち、高濃度の阻害物質共存中の低濃度目的分子を選び出して吸着する機能と、その吸着した分子を分解除去する機能の両機能の創出に注力した。その結果、分子認識機能を有する光触媒の開発に成功した。
【0012】
すなわち、本発明の特徴とする点は、目的とする有機物を認識して吸着し、光触媒反応によりその有機物を分解する分子認識光触媒系の構築に存する。
本発明の光触媒は、光触媒活性をもつ無機光触媒物質の表面に有機基を固定したものである。
【0013】
また、本発明の有害物質除去方法は、本発明による光触媒を試料水と接触させ、その光触媒にその光触媒を活性化する波長領域の光を照射することにより、試料水中の有害物質を分解する除去方法である。
【0014】
分子認識機能と光触媒機能の複合化は、本発明では光触媒活性をもつ無機化合物粒子の表面に有機基を固定することにより実現される。
すなわち、表面に固定された有機基は光触媒表面にナノメートルレベルの厚さで、疎水性層を形成する。そして、この表面疎水層を形成する有機基の表面密度を制御して、分子が有機基の隙間に進入し光触媒表面に到達することができるようにする。これは、水中に溶解しているが疎水性を併せ持つ有機物との親和性を発現させる。
【0015】
一方、光触媒表面は無機物の表面の性質として一般に親水性を持つ。したがって、触媒表面に強く相互作用するのは、親水性を持つ分子である。最終的に触媒表面に強く相互作用する分子が光触媒により速く分解される。
【0016】
したがって、この触媒系は、ナノメートルレベルの有機層の疎水性と無機物表面の親水性の組合せにより分子認識機能が発現し、分子の疎水性と親水性のバランスに基づいて目的分子を識別できることになる。本発明では、このような分子認識機能を光触媒機能と一体化することにより目的の分子認識機能を有する光触媒系の創製に至った。
【0017】
【発明の実施の形態】
本分子認識光触媒系の分子認識特性は、無機光触媒物質の表面に固定する有機基の種類、長さ、表面密度(単位表面積あたりの有機基の数)により制御することが可能である。
【0018】
無機光触媒物質の表面に固定される有機基の表面密度の制御は、例えば無機光触媒物質の表面の水酸基密度を真空排気処理温度により調節しておき、その表面水酸基とアルキルシラン等の化合物を反応させることで可能である。
【0019】
選択的に分解したい目的分子の疎水基の大きさ、疎水性の強さによって、無機光触媒物質の表面に固定する有機基の種類、長さ、表面密度を最適化することが可能である。
【0020】
本発明の触媒により選択的に分解される分子は、親水性と疎水性を併せ持ち水中に溶解している分子ならば多様な分子に適用可能である。特に一分子中に親水基と疎水基を併せ持つ分子には高い分子認識性を発現する。この中には環境ホルモンとして問題になっているノニルフェノールなどのアルキルフェノール群やビスフェノールAを初め、一般に界面活性剤と呼ばれている物質群が含まれる。
【0021】
使用する無機光触媒物質としては、半導体としての特性を有し光触媒特性を持つとされるものであれば、あらゆるものが使用可能であり、光触媒作用を持つ物質は多数知られている。なかでも、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物などが好ましい。具体的なものとしては、TiO2,SrTiO3,WO3,Fe23,Bi23,MoS2,CdS,CdSe,GaP,GaAs,MoSe2,CdTe,Nb25,Ta25,NbとTaの複合酸化物の他、H3PW1240やH3PMo1240などのヘテロポリ酸及びそれらの塩などを挙げることができる。なかでも、光触媒活性が高いことが知られているTiO2(二酸化チタン)は好ましい材料である。
【0022】
選択的に分解される分子の親水基の認識は、用いた無機光触媒物質の表面の性質で決定される。例えば、アルキルフェノールの親水基はフェノール性水酸基であるが、これは酸性を示す。そのため、無機光触媒物質の表面が塩基性をもてば酸塩基の相互作用により目的分子と光触媒表面との相互作用が強くなり、その分子は効率的に吸着されて分解される。逆に、例えば、親水基が塩基性を有するアミン系の分子であれば、無機光触媒物質の表面を酸性にすればよい。
【0023】
無機光触媒物質の表面の酸塩基性を制御する1つの方法は、無機光触媒物質の表面にアルカリ金属、アルカリ土類金属、硫酸根などを導入することである。そのような物質を金属酸化物や金属硫化物の表面に導入してそれらの金属酸化物や金属硫化物の表面の酸塩基性を制御する方法は種々知られており、それらの方法は本発明に適用することができる。
【0024】
選択的に分解される分子の親水基に対する認識性は、また、無機光触媒物質表面の酸塩基性のほか、無機光触媒物質表面の金属イオン等、無機光触媒物質表面の周りに存在する電場の勾配などによっても制御することができる。
【0025】
光触媒を二酸化チタン、有機基をアルキル基とした場合には、アルキルフェノール系の分子を選択的に認識し、除去することができる。アルキル基の炭素数は除去しようとする目的化合物のアルキル基の炭素数に応じて設定することができる。一般的な有機物の除去には、炭素数2~18の範囲が好ましい。現在有害物質として特に問題となっているものを考えると炭素数4~14の飽和アルキル基が適当である。例えば、アルキル基を炭素鎖長が8のオクチル基とした場合、代表的な環境ホルモンである極低濃度のノニルフェノールを、極めて高い選択性で分解除去できる(後述の実施例の測定例1,3参照)。共存物質としてフェノールがその400倍存在する場合に、極低濃度ノニルフェノールをほぼ完全に分解除去できた(後述の実施例の測定例2参照)。フェノールがノニルフェノールの5000倍存在する場合にも極低濃度ノニルフェノールをほぼ完全な程度に分解除去できた。
【0026】
この分子認識光触媒系の分子認識機能を調べる目的で、光を照射せずに本発明の光触媒への分子吸着を測定すると、アルキル基をもたないフェノールは吸着がほとんど観測されなかった(後述の実施例の測定例5参照)。
【0027】
分子中の疎水部分であるアルキル基の炭素数が5であるp-tert-アミルフェノール、アルキル基の炭素数が8であるp-tert-オクチルフェノール、アルキル基の炭素数が9であるノニルフェノールと炭素数が増えるに従い、吸着量が増大する(後述の実施例の測定例6,7,1参照)。このことは、この分子認識光触媒系が、分子の疎水性を認識して吸着分子を取り込んでいることを示す。
【0028】
一方、対象となる分子の親水基の差異を認識することに関しては、本発明の分子認識光触媒で光触媒を二酸化チタン、有機基を飽和アルキル基とした場合において、親水基がアミンである分子には親和性をみせず、フェノール性水酸基である分子は効率よく本分子認識光触媒系に取り込まれる。例えば、アルキルフェノール系分子における水酸基をアミノ基に置き換えた分子であるp-トルイジン(p-メチルアニリン)、p-n-ヘプチルアニリンは本分子認識光触媒系への吸着が観測されなかった(後述の実施例の測定例8,9参照)。これは本発明の分子認識光触媒が対象となる分子における親水基の差異を反映して顕著な分子認識性を示していることを示す。
【0029】
【実施例】
以下に本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
(分子認識光触媒1の合成)
二酸化チタン粉末(P-25(商品名):アナターゼ型二酸化チタンとルチン型二酸化チタンの両方を成分として含む)0.6gをガラス真空系中で、400℃で1時間、排気加熱処理を施し脱水した。これに乾燥アルゴン下で乾燥トルエン12mlを入れて、さらにn-オクチルトリエトキシシラン2.64gを加えた。還流装置中で、アルゴン雰囲気下で48時間還流した。
【0031】
得られた混合物を遠心分離し、乾燥トルエン、乾燥メタノールで十分洗浄、風乾し、白色粉末状の触媒を得た。これを本発明の「触媒1」とする。
この光触媒1を熱天秤により空気気流中で加熱し、重量減少から酸化チタン表面の有機基の密度を求めると、1平方ナノメートルあたり3.3分子であった。
【0032】
(分子認識光触媒2の合成)
二酸化チタンの真空乾燥温度を200℃とした点以外は上記の触媒1の製造方法と同じ方法により、白色粉末触媒を得た。これを本発明の「触媒2」とする。
この光触媒2を、上記と同じ熱天秤による分析により、酸化チタン表面の有機基の密度を求めると、1平方ナノメートルあたり3.7分子であった。
【0033】
以下にこれらの触媒1,2を用いて有機物の分解除去の測定を行なった結果を測定1~9として示し、それらの要約を表1にまとめて示す。
【0034】
[測定1]
触媒1の6mgを3.7ppmノニルフェノール水溶液60mlに添加、攪拌し、ノニルフェノール濃度の変化を追跡した。30分後には濃度は平衡に達し、初期濃度の40%まで低下した。
この混合物に300Wキセノンランプにより光照射したとろ、10分間で分析限界(10ppb以下)以下まで完全に除去された。
【0035】
[測定2]
ノニルフェノール2.4ppm、阻害有機物としてフェノール1000ppmを含む水溶液60mlに触媒1を6mg添加、攪拌し、ノニルフェノール濃度の変化を追跡した。30分後にはすでに濃度は平衡に達しており、初期濃度の40%まで低下した。
この混合物に300Wキセノンランプにより光照射したところ、1時間以内に分析限界(10ppb以下)以下まで完全に除去された。
【0036】
[測定3]
ノニルフェノール3.2ppmを含む水溶液60mlに触媒2を6mg添加、攪拌し、ノニルフェノール濃度の変化を追跡した。30分後には濃度はすでに平衡に達しており、初期濃度の40%まで低下した。
この混合物に300Wキセノンランプにより光照射したところ、30分以内に分析限界(10ppb以下)以下まで完全に除去された。
【0037】
[測定4]
ノニルフェノール2.3ppm、阻害物質としてフェノール2ppmを含む水溶液60mlに触媒を6mg添加、攪拌し、ノニルフェノール濃度の変化を追跡した。30分後にはノニルフェノール濃度はすでに平衡に達しており、初期濃度の40%まで低下した。
この混合物に300Wキセノンランプにより光照射したところ、30分以内に分析限界(10ppb以下)以下まで完全に除去された。
【0038】
この溶液に再びノニルフェノールとフェノールを同濃度まで追加した。1時間後にはノニルフェノール濃度は平衡に達しており、初期濃度の40%まで低下していた。この時点でフェノールの濃度低下は観測できず、フェノールは吸着していない。
ここでもう一度300Wキセノンランプにより光照射すると、ノニルフェノール濃度は1時間以内に検出限界以下に分解除去された。
フェノールの濃度が検出限界以下に達するには225分後までかかった。
【0039】
[測定5]
フェノール2.0ppmを含む水溶液60mlに触媒1を6mg添加、攪拌し、フェノール濃度の変化を追跡した。30分後にはフェノール濃度はすでに平衡に達しており、触媒への吸着による濃度低下は見られなかった。
この混合物に300Wキセノンランプにより光照射したところ、分析限界(10ppb以下)以下まで濃度が低下するのに70分かかった。
【0040】
[測定6]
p-tert-アミルフェノール1.9ppmを含む水溶液60mlに触媒1を6mg添加、攪拌し、p-tert-アミルフェノール濃度の変化を追跡した。20分後にはp-tert-アミルフェノール濃度はすでに平衡に達しており、初期濃度の80%まで低下した。
この混合物に300Wキセノンランプにより光照射したとろ、1時間後に分析限界(10ppb以下)以下まで濃度低下した。
【0041】
[測定7]
p-tert-オクチルフェノール2.1ppmを含む水溶液60mlに触媒1を6mg添加、攪拌し、p-tert-オクチルフェノール濃度の変化を追跡した。1時間後にはp-tert-オクチルフェノール濃度はすでに平衡に達しており、初期濃度の70%まで低下した。
この混合物に300Wキセノンランプにより光照射したとろ、30分後に分析限界(10ppb以下)以下まで濃度低下した。
【0042】
[測定8]
p-トルイジン(CH364NH2)2.5ppmを含む水溶液60mlに触媒1を6mg添加、攪拌し、p-トルイジン濃度の変化を追跡した。30分後にはp-トルイジン濃度はすでに平衡に達しており、触媒への吸着による濃度低下は見られなかった。
この混合物に300Wキセノンランプにより光照射したとろ、分析限界(10ppb以下)以下まで濃度が低下するのに45分かかった。
【0043】
[測定9]
p-n-ヘプチルアニリン(C71564NH2)2.1ppmを含む水溶液60mlに触媒1を6mg添加、攪拌し、p-n-ヘプチルアニリン濃度の変化を追跡した。30分後にはp-n-ヘプチルアニリン濃度はすでに平衡に達しており、触媒への吸着による濃度低下は見られなかった。
この混合物に300Wキセノンランプにより光照射したとろ、分析限界(10ppb以下)以下まで濃度が低下するのに45分かかった。
【0044】
【表1】
JP0004063553B2_000002t.gif
【0045】
(比較例)
有機修飾していない二酸化チタン粉末を触媒としてノニルフェノールの分解を試みた結果を比較例として示す。
二酸化チタン粉末(P-25)の6mgをノニルフェノール2.43ppm、阻害有機物としてフェノール1000ppmを含む水溶液60mlに添加、攪拌した。300Wキセノンランプにより光照射したところ、5.8時間照射したにもかかわらず、初期濃度の33%のノニルフェノールが残存していた。
【0046】
【発明の効果】
本発明の光触媒は、光触媒活性をもつ無機光触媒物質の表面に有機基を固定したものであるので、目的とする有機物を認識して吸着し、光触媒反応によりその有機物を選択的に分解することができる。
本発明の有害物質除去方法は、上記の光触媒を用い、光照射を行って試料水中の有害物質を分解するようにしたので、共存物質の存在下においても低濃度有害分子を選択的に除去することができる。