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明細書 :高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3773824号 (P3773824)
公開番号 特開2002-338539 (P2002-338539A)
登録日 平成18年2月24日(2006.2.24)
発行日 平成18年5月10日(2006.5.10)
公開日 平成14年11月27日(2002.11.27)
発明の名称または考案の名称 高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン
国際特許分類 C07C 313/04        (2006.01)
B01J  31/06        (2006.01)
C07C  29/44        (2006.01)
C07C  33/30        (2006.01)
C07C  41/50        (2006.01)
C07C  43/303       (2006.01)
C07C  45/72        (2006.01)
C07C  49/83        (2006.01)
C07C  67/08        (2006.01)
C07C  69/78        (2006.01)
C08F   8/34        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 313/04
B01J 31/06 Z
C07C 29/44
C07C 33/30
C07C 41/50
C07C 43/303
C07C 45/72
C07C 49/83 Z
C07C 67/08
C07C 69/78
C08F 8/34
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 18
全頁数 25
出願番号 特願2001-283218 (P2001-283218)
出願日 平成13年9月18日(2001.9.18)
優先権出願番号 2001068985
優先日 平成13年3月12日(2001.3.12)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成13年10月15日(2001.10.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】石原 一彰
【氏名】山本 尚
個別代理人の代理人 【識別番号】100107984、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 雅紀
審査官 【審査官】前田 憲彦
参考文献・文献 特表平11-501909(JP,A)
特公昭47-036507(JP,B1)
化学総説 No.34 触媒設計,1982年,p.176-180
調査した分野 C07C313/00
B01J 31/00
C07C 29/00
C07C 33/00
C07C 41/00
C07C 43/00
C07C 45/00
C07C 49/00
C07C 67/00
C07C 69/00
C08F 8/00
CA(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式[1]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンが、塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーとの反応により、有機高分子に担持されたことを特徴とする高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタン。
【化1】
JP0003773824B2_000015t.gif
(式[1]中、R1は、求電子性置換基(該置換基は、C1~4のハロゲン化低級アルキル、ハロゲン原子、アンモニオ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アセチル基、エトキシカルボニル基、カルボキシル基、メチルスルホニル基又はスルホナト基を示す)を有するアリール基(該アリール基は、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基を示す)、Rf1及びRf2は互いに独立してC1~8のパーフルオロアルキル基を示す。)
【請求項2】
塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーが、分子内に置換又は非置換のアリール基を有する樹脂ポリマーであることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン。
【請求項3】
分子内に置換又は非置換のアリール基を有する樹脂ポリマーが、ポリスチレン樹脂であることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン。
【請求項4】
一般式[1]におけるRf1及びRf2が共にトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン。
【請求項5】
一般式[1]におけるR1が、4-(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、又はパーフルオロビフェニル基であることを特徴とする請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン。
【請求項6】
アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンが、4-(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフリル)メタン、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフリル)メタン、ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタン、又は{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタンであることを特徴とする請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン。
【請求項7】
請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法であって、塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーと、一般式[2]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩とを反応させることを特徴とする高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。
【化2】
JP0003773824B2_000016t.gif
(式[2]中、R2前記Rの定義と同義を示し、Rf1及びRf2は互いに独立してC1~8のパーフルオロアルキル基を示す。)
【請求項8】
塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーとして、ハロアルキル樹脂ポリマーを用いることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。
【請求項9】
ハロアルキル樹脂ポリマーとして、ハロゲノポリスチレン樹脂を用いることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。
【請求項10】
ハロゲノポリスチレン樹脂として、4-ブロモポリスチレン樹脂を用いることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。
【請求項11】
アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩が、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、スズ、亜鉛又はビスマスから選ばれるいずれかの金属塩であることを特徴とする請求項10のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。
【請求項12】
遷移金属元素が、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド、銅、銀、チタン、ジルコニウム又はハフニウムから選ばれるいずれかの金属元素であることを特徴とする請求項11記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。
【請求項13】
アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩が、ペンタフルオロビス(トリフルオロメチルスルホン)のリチウム塩であることを特徴とする請求項12のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。
【請求項14】
塩基性反応剤としてブチルリチウムを用いることを特徴とする請求項13のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。
【請求項15】
溶媒としてベンゼンとテトラヒドロフランの混合物を用いることを特徴とする請求項14のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。
【請求項16】
請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩を有効成分とする触媒。
【請求項17】
ブレンステッド酸触媒であることを特徴とする請求項16記載の触媒。
【請求項18】
請求項16又は17記載の触媒を用いる有機化合物の合成方法であって、前記触媒の存在下、アセタール化反応、アルコールのアシル化反応、アルドール型反応、アリル化反応、ディールス-アルダー反応、フリーデル-クラフツ型反応、マンニッヒ型反応、グリコシル化反応、エステル化反応、エン反応又はカチオン重合反応から選ばれる触媒反応を溶媒中で行うことを特徴とする有機化合物の合成方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリスチレン樹脂等の高分子に担持させたアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン、すなわち高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンや、かかる化合物の製造方法や、かかる化合物を有効成分とするブレンステッド酸触媒等の触媒や、かかる触媒を用いた有機化合物の合成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トリフルオロメタンスルホニル(-SO2CF3;トリフリル,Tf)基は最も強い電子求引性基の一つとして知られており、そのα位のプロトン酸性を高める働きがある(J. Am. Chem. Soc. 96, 2275, 1974、Synthesis, 691, 1997、J. Fluorine Chem. 66, 301, 1994)。例えば、ビス(トリフリル)メタン(CH2Tf2;pKa(H2O)=-1)(J. Am. Chem. Soc. 106, 1510, 1984)やフェニルビス(トリフリル)メタン(PhCHTf2;pKa(MeCN)=7.83)(J. Org. Chem. 63, 7868, 1998)は酸化力のない強酸である。Koppelらによって見積もられた固有酸性度ΔGacid(気体状態)は次のようになっている(J.Am. Chem. Soc. 116, 3047, 1994):MeSO3H(315.0)<CH2Tf2(310.5)<PhCHTf2(310.3)<TfOH(299.5)<NHTf2(291.8)<CHTf3(289.0)。これらの揮発性の結晶性固体は有機金属ヒドリドをプロトン化してカチオン性有機金属ジヒドリドを調製する際の反応剤となることが知られている(J. Am. Chem. Soc. 106, 1510, 1984、J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1675, 1987、Inorg. Chem. 27, 1593, 1988、Inorg. Chem. 27, 2473, 1988、Organometallics 9, 1290, 1990)。これらのことから、上記フェニルビス(トリフリル)メタン等のアリールビス(トリフリル)メタンにおける芳香族基の立体及び電子的効果は、そのブレンステッド酸性やそれらの有機金属錯体の特性に大きな影響を与えることが期待される。
【0003】
上記フェニルビス(トリフリル)メタンの合成法としては、従来、二つの方法が知られている(J. Org. Chem. 38, 3358, 1973、Heteroatom Chem. 5, 9, 1994、J. Fluorine Chem. 64, 47, 1993、J. Fluorine Chem. 106, 139, 2000)。1つの方法は、ベンジルマグネシウムクロリドとトリフリルフルオリドとの反応によりフェニルビス(トリフリル)メタンを合成する方法であり(40%収率)(J. Org. Chem. 38, 3358, 1973)、もう一つの方法は、ヨードベンゼンビス(トリフリルメチド)とベンゼンとの光反応である(61%収率)(Heteroatom Chem. 5, 9, 1994)。前者は入手困難なトリフリルフルオリドガス(bp=-21℃)をトリフリル源として必要とし、後者は反応剤であるベンゼンを溶媒として大過剰に必要とする。また、後者の場合、フルオロベンゼンのような電子求引基をもつアレンとの光反応ではアリールビス(トリフリル)メタンは形成されない。
【0004】
他方、Hendricksonらによりベンジルトリフロンの合成方法が報告されている(J. Am. Chem. Soc. 96, 2275, 1974、Synthesis, 691, 1997、J. Fluorine Chem. 66, 301, 1994)が、芳香族基が電子求引基で非活性化されている場合にはアリールメチルトリフロンを収率よく合成できないという問題点があった(Synthesis, 691, 1997)。
【0005】
また、有機合成の面において最もよく使用されている触媒として、ルイス酸触媒が知られている。このルイス酸触媒は有機化合物の特定の官能基と会合し、複合体を作り、そして特定の反応だけを行うように仕立て上げることが出来る。ルイス酸とは反応する相手から電子対を受容するものをいう。有機化合物には一般に官能基を有し、かかる官能基は大抵がルイス塩基であり、ルイス酸とお互いに引きつけあう。このようにしてデザインされたルイス酸触媒は有機化合物の官能基とコンプレックスを作って、起こって欲しい反応へとまっすぐに導いて行く。このような点からして、ルイス酸触媒は人工の酵素にもたとえられるが、従来のルイス酸触媒は酵素を用いた場合のように反応性や選択性はそれ程高くはなく、充分なものではなかった。そのため、優れた選択性や反応性を有し、さらには温和な条件下で反応が可能であり、且つ、回収率がよく再利用可能なルイス酸触媒が求められていた。
【0006】
従来、ルイス酸触媒としては、一般式M[RfSO2-N-SO2Rf’]nあるいはM[RfSO2-N-SO2Rf’]n・mH2O(Rf及びRf’は、炭素原子数1~8のペルフルオロアルキル基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類、アルミニウム、ガリウム、イリジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、セレン、テルルから選ばれた元素を表し、nは該当する金属の原子価と同数の整数を表し、mは0.5~20の自然数を表す)で示される化合物からなるルイス酸触媒(特開平7-246338号公報)や、次式
【0007】
【化3】
JP0003773824B2_000002t.gif
【0008】
[式中、Xは-N(Tf1)Tf2[Tf1は-SO2Rf1を表し、Tf2は-SO2Rf2(Rf1およびRf2はそれぞれ独立にフッ素原子またはパーフルオロアルキル基を表す。)を表す。]を表し、R1は置換もしくは非置換のシクロペンタジエニル基、-OR3または-N(Tf3)R4を表し、R2は置換もしくは非置換のシクロペンタジエニル基、-OR5または-N(Tf4)R6[Tf3は-SO2Rf3を表し、Tf4は-SO2Rf4(Rf3およびRf4はそれぞれ独立にフッ素原子またはパーフルオロアルキル基を表す。)を表し、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に低級アルキル基を表すか、または、R3およびR5、R3およびR6、R4およびR5、あるいは、R4およびR6がいっしょになって2価の基を形成する。]を表し、Mはアルカリ土類金属、希土類元素、遷移金属、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、セレンまたはテルルから選ばれる元素を表し、nは該当するMの原子価-2の整数を表し、-N(Tf1)Tf2、-N(Tf3)R4または-N(Tf4)R6の少なくとも1つを有する。]で示されるルイス酸触媒(特開平9-57110号公報)などが知られている。
【0009】
また上記の他、一般式M+(X1-)q(式中、Mは周期律表IIIA族からVB族の元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を表し、X1はハロゲン原子を表し、qはMの原子価数と同一の整数を表す。)で示される金属ハロゲン化物と四級塩型陰イオン交換樹脂とから成る、水共存下でも使用できる高活性なルイス酸触媒(特開平9-262479号公報)や、次式 [(RfSO2)3C]n2(但し、Rfは炭素数1以上のパーフルオロアルキル基を、M2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類を含む遷移金属、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、セレン、テルルから選ばれる元素を表す。nはM2の原子価と同数の整数を表す。)で示される、トリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドの金属塩からなる酸触媒(特開2000-219692号公報)も高活性な酸触媒として開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
超強酸性を有する固体触媒としてはナフィオン(デュポン社製)が知られているが、このものは水やアルコール等優れた膨潤能を示すものの、有機反応によく用いられる非プロトン性有機溶媒には余り膨潤しない。超強酸性を有する固体触媒を膨潤した状態で触媒として用いることができれば、ナフィオンを超える優れた固体触媒といいうることから、有機溶媒(例えば、芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒等)に対し優れた膨潤能を示す固体触媒が求められていた。本発明の課題は、ブレンステッド酸やルイス酸触媒で進行する殆どの反応に利用でき、回収率が高く、再利用が容易であって、汎用性があり、金属を含まないことから環境にも優しい、固体触媒として有用な高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンや、かかる化合物の製造方法や、かかる化合物からなるブレンステッド酸触媒等の触媒や、かかる触媒を用いての有機化合物の合成方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、トリフリル源としての求電子反応剤にトリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム(TfNa)とトリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)を用いることによりペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンを合成し、このペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンとLiOH・H2Oとをジエチルエーテル中で反応させることによりリチウムペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドを合成し、このリチウムペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドと4-ブロモポリスチレン樹脂を、ブチルリチウムの存在下、ベンゼンとTHFの混合溶媒中で反応させ、ポリスチレン樹脂のフェニルアニオンをペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンのパラ位に特異的に求核置換反応をさせることにより得られるポリスチレン担持ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンが、ブレンステッド酸やルイス酸触媒としてアルコールのアシル化反応や、アルドール反応、アリル化反応等の優れた酸触媒となることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、一般式[1]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンが、塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーとの反応により、有機高分子に担持されたことを特徴とする高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタン
【0013】
【化1】
JP0003773824B2_000003t.gif
【0014】
(式[1]中、R1は、求電子性置換基(該置換基は、C1~4のハロゲン化低級アルキル、ハロゲン原子、アンモニオ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アセチル基、エトキシカルボニル基、カルボキシル基、メチルスルホニル基又はスルホナト基を示す)を有するアリール基(該アリール基は、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基を示す)、Rf1及びRf2は互いに独立してC1~8のパーフルオロアルキル基を示す。)(請求項1)や、塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーが、分子内に置換又は非置換のアリール基を有する樹脂ポリマーであることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタン(請求項)や、分子内に置換又は非置換のアリール基を有する樹脂ポリマーが、ポリスチレン樹脂であることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタン(請求項)や、一般式[1]におけるRf1及びRf2が共にトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタン(請求項)や、一般式[1]におけるR1が、4-(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、又はパーフルオロビフェニル基であることを特徴とする請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタン(請求項)や、アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンが、4-(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフリル)メタン、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフリル)メタン、ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタン、又は{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタンであることを特徴とする請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタン(請求項)に関する。
【0015】
また本発明は、請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法であって、塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーと、一般式[2]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩とを反応させることを特徴とする高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法
【0016】
【化2】
JP0003773824B2_000004t.gif
【0017】
(式[2]中、R2前記Rの定義と同義を示し、Rf1及びRf2は互いに独立してC1~8のパーフルオロアルキル基を示す。)(請求項)や、塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーとして、ハロアルキル樹脂ポリマーを用いることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法(請求項)や、ハロアルキル樹脂ポリマーとして、ハロゲノポリスチレン樹脂を用いることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法(請求項)や、ハロゲノポリスチレン樹脂として、4-ブロモポリスチレン樹脂を用いることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法(請求項10)や、アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩が、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、スズ、亜鉛又はビスマスから選ばれるいずれかの金属塩であることを特徴とする請求項10のいずれか記載の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法(請求項11)や、遷移金属元素が、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド、銅、銀、チタン、ジルコニウム又はハフニウムから選ばれるいずれかの金属元素であることを特徴とする請求項11記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法(請求項12)に関する。
【0018】
さらに本発明は、アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩が、ペンタフルオロビス(トリフルオロメチルスルホン)のリチウム塩であることを特徴とする請求項12のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法(請求項13)や、塩基性反応剤としてブチルリチウムを用いることを特徴とする請求項13のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法(請求項14)や、 溶媒としてベンゼンとテトラヒドロフランの混合物を用いることを特徴とする請求項14のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法(請求項15)や、請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩を有効成分とする触媒(請求項16)や、ブレンステッド酸触媒であることを特徴とする請求項16記載の触媒(請求項17)や、請求項16又は17記載の触媒を用いる有機化合物の合成方法であって、前記触媒の存在下、アセタール化反応、アルコールのアシル化反応、アルドール型反応、アリル化反応、ディールス-アルダー反応、フリーデル-クラフツ型反応、マンニッヒ型反応、グリコシル化反応、エステル化反応、エン反応又はカチオン重合反応から選ばれる触媒反応を溶媒中で行うことを特徴とする有機化合物の合成方法(請求項18)に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンとしては、一般式[1](式[1]中、R1は置換又は非置換のアリール基、Rf1及びRf2は互いに独立してパーフルオロアルキル基を示す。)で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンが有機高分子樹脂に化学的及び/又は物理的に担持されたものであれば特に制限されるものではないが、アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンが、塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーに化学的に担持されたもの、例えば、アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンのアリール基の求電子性置換基と有機高分子のアニオンとの反応により化学的に担持されたものが好ましく、また、塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーとしては、分子内に置換又は非置換のアリール基を有する樹脂ポリマー、分子内に水酸基を有する樹脂ポリマー等を挙げることができ、より具体的には、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、ポリエチレングリコールが担持されたポリスチレン(商品名:テンタゲル;TENTAGEL)等に担持されたものを例示することができる。これらアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを担持する担体としてのポリスチレン樹脂等の高分子樹脂は、ホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよい。
【0020】
また、一般式[1]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンが、ペンタフルオロフェニルビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの場合は、そのパラ位において有機高分子樹脂に担持されたものが、また{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタンの場合は、その4′位において有機高分子樹脂に担持されたものが、それぞれ簡便に合成することができるので有利である。そしてまた、一般式[1]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンがポリスチレン樹脂に担持されたアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンとして、一般式[3]で表されるポリスチレン担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを例示することができる。
【0021】
【化6】
JP0003773824B2_000005t.gif
【0022】
(式[3]中、R3は置換又は非置換のアリレン基、Rf1及びRf2は互いに独立してパーフルオロアルキル基を示す。)
【0023】
上記一般式[1]及び一般式[3]におけるRf1及びRf2としては、互いに同一または相異なっていてもよいパーフルオロアルキル基、好ましくはトリフルオロメチル基等のC1~8のパーフルオロアルキル基を示し、これらを含む-SO2Rf1や-SO2Rf2としては、トリフルオロメチルスルホニル基、パーフルオロエチルスルホニル基、パーフルオロプロピルスルホニル基、パーフルオロイソプロピルスルホニル基、パーフルオロブチルスルホニル基、パーフルオロイソブチルスルホニル基、パーフルオロペンチルスルホニル基、パーフルオロイソペンチルスルホニル基、パーフルオロネオペンチルスルホニル基等を具体的に例示することができる。
【0024】
上記一般式[1]におけるR1としては、置換又は非置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基を挙げることができ、また、上記式[3]におけるR3としては、置換又は非置換のフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基を挙げることができ、これらの場合の置換基としては、メチル基等のC1~4の低級アルキル基、トリフルオロメチル基等のC1~4のハロゲン化低級アルキル基、フッ素等のハロゲン原子、アルコキシ基、スルホニル基、アミノ基などを例示することができる。かかるR1としては、フェニル基、ナフチル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、4-(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p-トリル基、m-トリル基、メシチル基、キシリル基、ビフェニル基、パーフルオロビフェニル基、p-クロロフェニル基、o-クロロフェニル基等を具体的に挙げることができる。
【0025】
本発明のポリスチレン樹脂等の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンにおけるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンとしては、フェニルビス(トリフリル)メタン、2-ナフチルビス(トリフリル)メタン、1-ナフチルビス(トリフリル)メタン、2,4,6-トリメチルフェニルビス(トリフリル)メタン、4-(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフリル)メタン、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフリル)メタン、ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタン、{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタン等を具体的に例示することができる。
【0026】
本発明の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法としては、塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマー、例えばハロアルキル樹脂ポリマーと、前記一般式[2](式[2]中、R2は求電子性置換基を有するアリール基、Rf1及びRf2は互いに独立してパーフルオロアルキル基を示す。)で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩とを反応させる方法であれば特に制限されるものではなく、アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩の求核置換反応により、樹脂ポリマー分子中のアニオンにアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン金属塩の求電子性置換基を反応させることにより、本発明の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを製造することができる。一般式[2]におけるR2は、-+NH3,-CF3,-CCl3,-NO2,-CN,-CHO,-COCH3,-COOC25,-COOH,-SO2CH3,-SO3等の求電子性置換基(電子求引性基)を有するフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基を示し、Rf1及びRf2は、前記と同様に互いに独立してパーフルオロアルキル基を示す。また、上記ハロアルキル樹脂ポリマーとしては、分子内に置換又は非置換のアリール基を有する樹脂ポリマー等を挙げることができ、中でも4-ブロモポリスチレン樹脂等のハロゲノポリスチレン樹脂を好適に例示することができ、特に、4-ブロモポリスチレン樹脂と、ペンタフルオロフェニルビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンや{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタンとを用いた場合、一段階の反応で担持させることができる。これらの樹脂ポリマーはホモポリマーであっても、コポリマーであってもよい。コポリマーとしては、例えば、スチレンとジビニルベンジルとの共重合体の架橋構造のものを好適に例示することができる。
【0027】
上記アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩としては、金属塩を構成する元素がアルカリ金属元素(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等)、アルカリ土類金属元素(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等)、遷移金属元素(スカンジウム、イットリウム、ランタノイド、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、ホウ素、アルミニウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀等)、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、スズ、亜鉛、ビスマス等からなる金属塩を例示することができ、中でもペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメチルスルホニル)メタンのリチウム塩、すなわち、リチウムペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドや{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタンのリチウム塩、すなわち、リチウム{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メチドを特に好適に例示することができる。
【0028】
このようなポリスチレン樹脂に担持されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩を製造するには、例えば、上記一般式[1]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンと、(1)金属の水酸化物との中和反応、(2)遷移金属の塩又は酸化物との加熱還流下での反応、(3)炭酸銀との遮光下での反応を挙げることができる。また、その他の製造方法としては、一般式[1]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの銀塩等の金属塩と、金属種の異なる金属のハロゲン化物とを反応させる金属種の交換反応を例示することができる。上記(1)の中和反応における金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物を具体的に例示することができ、これら金属の水酸化物をジエチルエーテル等の溶媒に溶解した溶液を用いて、10分~10数時間反応させる方法を例示することができる。上記(2)の加熱還流下での反応における遷移金属の塩又は酸化物としてはランタンやセリウムの塩化物等のランタノイド金属塩やSc23等のスカンジウム酸化物を具体的に例示することができ、水溶液中の加熱還流を10分~10数時間行う方法を例示することができる。
【0029】
上記一般式[1]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの具体例としては、フェニルビス(トリフリル)メタン、2-ナフチルビス(トリフリル)メタン、1-ナフチルビス(トリフリル)メタン、2,4,6-トリメチルフェニルビス(トリフリル)メタン、4-(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフリル)メタン、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフリル)メタン、ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタン、{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタン等のアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、TfOHより強い有機酸であることから{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタンやペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンを用いることが好ましい。
【0030】
また、上記一般式[1]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法としては、アリールハロメタンとパーフルオロアルキルスルフィン酸塩とを反応させ、次いで生成したアリールメチルパーフルオロアルキルスルホンを有機金属又は金属塩からなる脱プロトン化剤と反応させ、得られるアリールメチルパーフルオロアルキルスルホンの金属塩を無水パーフルオロアルキルスルホン酸と反応させる方法であれば特に制限されるものではない。この製造方法に用いられるアリールハロメタンとしては、置換又は非置換のアリール基とハロゲン原子により置換されたメタンであれば特に制限されるものではなく、具体的には、ベンジルブロミド、2-ブロモメチルナフタレン、1-クロロメチルナフタレン、2,4,6-トリメチルフェニルメチルクロリド、4-(トリフルオロメチル)フェニルメチルブロミド、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルメチルブロミド、ペンタフルオロフェニルメチルブロミド、4-(ブロモメチル)パーフルオロビフェニル(パーフルオロビフェニルメチルブロミド)等を挙げることができる。
【0031】
上記一般式[1]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法に用いられるパーフルオロアルキルスルフィン酸塩としては、トリフルオロメチルスルフィン酸、パーフルオロエチルスルフィン酸、パーフルオロプロピルスルフィン酸、パーフルオロイソプロピルスルフィン酸、パーフルオロブチルスルフィン酸、パーフルオロイソブチルスルフィン酸、パーフルオロペンチルスルフィン酸、パーフルオロイソペンチルスルフィン酸、パーフルオロネオペンチルスルフィン酸等のC1~8のパーフルオロアルキルスルフィン酸の金属塩を好適に例示することができ、また金属塩としてはアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を例示することができるが、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0032】
上記一般式[1]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法における、アリールハロメタンとパーフルオロアルキルスルフィン酸塩との求核置換反応は、触媒存在下又は非存在下で溶媒を用いて加熱還流するなど、アリールメチルパーフルオロアルキルスルホンを高効率に合成できる条件で行うことが好ましい。上記反応系におけるアリールハロメタンのモル濃度としては、0.2~0.4Mが好ましく、またトリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム塩等のパーフルオロアルキルスルフィン酸塩は、アリールハロメタンの1.0~1.5当量、特に1.3当量程度使用することが好ましい。また、触媒を使用する場合は、テトラブチルアンモニウムヨウ化物、ヨウ化カリウム等のヨウ化物からなる触媒を好適に用いることができ、これら触媒の使用量はアリールハロメタンに対して2~20mol%、好ましくは5~10mol%を例示することができる。また、溶媒としてはアセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、ニトロプロパン等の溶媒を挙げることができるが、極性と沸点が適しているという点でプロピオニトリルを用いることが好ましい。上記反応は、乾燥不活性ガス雰囲気中、例えば、アルゴン又は窒素雰囲気中の加熱還流下で行うことが好ましく、80~150℃、特に100~120℃で12~48時間加熱還流下で反応を行うことが好ましい。これらの合成反応によって得られるアリールメチルトリフロンの精製方法としては、例えば、上記の条件下で反応して得られた反応溶液を濾過することにより塩を取り除き、展開溶媒としてヘキサンと酢酸エチル(EtOAc)とを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーや、ヘキサンとトルエンとを用いた再結晶操作等の方法を挙げることができる。
【0033】
次に、アリールハロメタンとパーフルオロアルキルスルフィン酸塩との求核置換反応により生成したアリールメチルパーフルオロアルキルスルホンを有機金属又は金属塩からなる脱プロトン化剤と反応させ、得られるアリールメチルパーフルオロアルキルスルホンの金属塩をパーフルオロアルキルスルホン酸無水物と反応させることにより、一般式[1]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを製造することができるが、上記脱プロトン化剤としては脱プロトン化作用を有する有機金属又は塩基性反応剤であれば特に制限されず、低級アルキルのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、具体的にはt-BuLiやt-BuMgClを好適に例示することができる。また上記パーフルオロアルキルスルホン酸無水物としては、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)、パーフルオロエタンスルホン酸無水物、パーフルオロプロパンスルホン酸無水物、パーフルオロイソプロパンスルホン酸無水物、パーフルオロブタンスルホン酸無水物、パーフルオロイソブタンスルホン酸無水物、パーフルオロペンタンスルホン酸無水物、パーフルオロイソペンタンスルホン酸無水物、パーフルオロネオペンタンスルホン酸無水物等のC1~8のパーフルオロアルキルスルホン酸無水物を好適に例示することができるが、特にTf2Oが好ましい。上記アリールメチルパーフルオロアルキルスルホンを、アルキルリチウム、アルキルマグネシウムクロリド等の脱プロトン化剤とTf2O等のパーフルオロアルキルスルホン酸無水物と反応させる方法としては、高収率でアリールビス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン等のアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを生成できる方法であれば特に制限されるものではなく、例えばアリールメチルトリフロン等のアリールメチルパーフルオロアルキルスルホンをジエチルエーテル等の溶媒に溶解した後アルキルリチウム等を-78℃で加え、5~10分間反応させ、反応後にTf2Oを加えて室温で1~2時間反応させる方法や、アルキルマグネシウムクロリドを-78℃で加え30分間、0℃で30分間反応させ、反応後に-78℃でTf2Oを加えて室温で1~2時間反応させる方法などを具体的に挙げることができるが、収率を向上させるという点から、かかる操作を複数回繰り返すことが好ましい。
【0034】
また、高収率でアリールビス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン等のアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを得るため、アリールメチルトリフロン等のアリールメチルパーフルオロアルキルスルホンに対して、1.7~2.4当量のアルキルリチウム等の有機金属や1.0~1.2当量のTf2O等のパーフルオロアルキルスルホン酸無水物を反応させることが好ましい。例えば、ベンジルトリフロンに対しt-BuLi(1.2当量)を使用すると、フェニルビス(トリフリル)メタンはベンジルトリフロンより遥かに強い酸であるため、生成するフェニルビス(トリフリル)メタンはベンジルトリフロンのリチウム塩によってすぐに脱プロトン化を受け、フェニルビス(トリフリル)メタンはリチウム塩となり、得られたフェニルビス(トリフリル)メタンのリチウム塩はTf2Oとの反応によってフェニルトリス(トリフリル)メタンに変換され、ベンジルトリフロンとフェニルトリス(トリフリル)メタンのモル比がほぼ1:1となり、フェニルビス(トリフリル)メタンはほんのわずかしか合成されないが、ベンジルトリフロンに対し2.2当量のt-BuLiを使用すると、生成するフェニルビス(トリフリル)メタンはt-BuLiによって脱プロトン化を受け、ベンジルトリフロンが定量的にフェニルビス(トリフリル)メタンのリチウム塩に変換される。しかし、ペンタフルオロメチルブロミドを用いてペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンを製造する場合、1:1の割合でペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンと4-tert-ブチル-2,3,5,6-テトラフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンが共に得られる(収率はそれぞれ45%)ことから、この場合は、1.0当量のt-BuLiと0.5当量のTf2Oとを用いると、4-tert-ブチル-2,3,5,6-テトラフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンの生成が完全に抑制され、ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンがTf2Oをベースに高収率で得ることができる。
【0035】
本発明の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法における樹脂ポリマーとアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩との反応は、例えば、樹脂ポリマーをトルエン、ベンゼン等の溶媒に膨潤させ、不活性ガス雰囲気中で塩基性反応剤を添加し20~80℃の範囲、好ましくは60℃に加熱し、攪拌した後、室温に戻し溶液部分を除去した樹脂に、反応溶媒を加え一旦、-10~25℃の範囲、好ましくは0℃に冷却し、アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩を加えて室温とし攪拌した後、25~85℃の範囲、好ましくは70℃に加熱して、樹脂ポリマーにアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを担持させ、冷却、洗浄、乾燥して高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを得ることができる。上記塩基性反応剤としては、樹脂ポリマーにアニオンを発生させ得るものであれば特に制限されないが、ブチルリチウム等のアルキルリチウムが好ましく、反応溶媒としてはベンゼンとテトラヒドロフランの混合液が反応収率の点で好ましい。ベンゼンはトルエンと異なり、上記ブチルリチウム等と反応することがなく、収率が低下しない。
【0036】
本発明の触媒としては、上記本発明の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを有効成分として含有している固体酸触媒であればどのようなものでもよく、例えば、上記一般式[2]で表されるポリスチレン担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンからなるブレンステッド酸触媒を好適に例示することができる。本発明の触媒は、回収や再利用が簡単であり、また、製造が容易であることから、きわめて実用的であるといえる。本発明の固体酸触媒は、アルコールのアシル化反応、向山アルドール反応、桜井-細見アリル化反応、ケトンのアセタール化反応等に有利に用いることができ、特に上記一般式[2]で表されるポリスチレン担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン等からなるブレンステッド酸触媒を用いたアルコールのアシル化反応においては、アセチル化はもちろん、反応性の低いベンゾイル化も容易に進行させることができる。高分子担持型ブレンステッド酸の中でも酸触媒となりうる強い酸性プロトンを有するものとしては、現在までのところナフィオン(デュポン社製)以外殆ど知られていないが、かかるナフィオンを触媒として上記ベンゾイル化を試したが全く反応は進行しなかったことからしても、本発明の触媒の有用性が明らかである。
【0037】
このように、本発明のポリスチレン担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン等の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを触媒として用いることにより、医薬品、農薬、不斉触媒、各種機能性材料などの有機化合物を合成することができる。かかる合成方法としては、上記高分子担持型担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを有効成分とする触媒の存在下、水溶液中、有機溶媒中、又は水と有機溶媒との混合系溶媒中で触媒反応を行う方法を具体的に挙げることができ、上記触媒反応としては、前記アルコールのアシル化反応(アセチル化、ベンゾイル化反応)、アルドール型反応、アリル化反応、アセタール化反応の他、ディールス-アルダー反応、フリーデル-クラフツ型反応、マンニッヒ型反応、グリコシル化反応、エステル化反応、エン反応、カチオン重合反応、エステル交換反応、マンニッヒタイプ反応、マイケル付加反応、共役付加反応、脱水反応、脱水縮合反応、重合反応などを具体的に例示することができる。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例を揚げてこの発明を更に具体的に説明するが、この発明の範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1[分析方法及び材料]
赤外線スペクトルは、Shimadzu FTIR-9100で測定した。1HNMRスペクトルは、Varian Gemini-300(300MHz)核磁気共鳴装置で測定した。1H NMRの化学シフトは、内部標準(0ppmにおけるテトラメチルシラン)としての溶剤を使用したppmで表わした。分裂パターンは、一重項をs、二重項をd、三重項をt、四重項をq、多重項をm、ブロードピークをbrとして示した。13C NMRスペクトルは、Varian Gemini-300(125MHz)核磁気共鳴装置で測定し、内部標準(77.0ppmにおけるCDCl3)としての溶剤を使用したppmで表わした。19FNMRスペクトルは、Varian Gemini-300(282MHz)核磁気共鳴装置で測定し、内部標準(-64.0ppmにおけるCF365)としての溶剤を使用したppmで表わした。高度液体クロマトグラフィ(HPLC)分析は、Shimadzu LC-10AD機器とSPD-M10A UV検出器でキラルカラム(Daicel,AS又はOD-H)を使用して行った。以下の実施例は全てオーブンで乾燥させたガラス機器中でマグネチックスターラーを用いて行った。反応生成物は、シリカゲルE.Merck9385又はシリカゲル60エキストラピュア上でフラッシュクロマトグラフィにより精製した。
【0039】
実施例2[アリールメチルトリフロンの合成]
表1に示す各種アリールハロメチル(10mmol)、トリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム(2.0g:13mmol)、プロピオニトリル(30mL)、テトラブチルアンモニウムヨウ化物(0.37g:1mmol)の混合溶液を約1日間アルゴン雰囲気下で加熱還流した。加熱還流後、反応溶液を室温に冷やし、濾過によって塩を取り除いた後濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン-EtOAc)あるいは再結晶操作(ヘキサン-トルエン)によって精製し、アリールメチルトリフロンを得た。各アリールメチルトリフロンの収率を表1に示し、各アリールメチルトリフロンの物性を以下に示す。表1から、トリフリル源としての求電子反応剤にトリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム(TfNa)を用いて、テトラブチルアンモニウムヨウ化物触媒存在下でプロピオニトリルを溶媒に用いてアリールハロメタンと加熱還流させることにより、Hendricksonらの方法(Synthesis, 691, 1997)より高収率でアリールメチルトリフロンを得ることができることがわかった。また表1から、ペンタフルオロフェニルメチルトリフロンが、収率89%で得られたことがわかる。
【0040】
【表1】
JP0003773824B2_000006t.gif
【0041】
ベンジルトリフロン(2-Benzyl Triflone;J. Fluorine Chem. 66, 301, 1994):IR (KBr) 1362, 1347, 1223, 1198, 1188, 1125, 776, 698, 640, 525, 507cm-1; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 4.48 (s, 2H), 7.42-7.47 (m, 5H); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -77.6 (s, 3F, CF3).
【0042】
2-ナフチルメチルトリフロン(2-Naphthylmethyl Triflone):IR (KBr) 1358, 1345, 1221, 1194, 1125, 831, 756, 658, 608, 486 cm-1;1H NMR (CDCl3,300 MHz) δ 4.65 (s, 2H), 7.50 (dd, J=1.8, 8.4 Hz, 1H), 7.54-7.58 (m, 2H), 7.86-7.94 (m, 4H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 56.3, 119.8 (q, JCF=326 Hz, 1C), 120.3, 126.9, 127.4, 127.5, 127.8, 128.1, 129.2, 131.5, 133.1, 133.6; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -77.6 (s, 3F, CF3). Anal. Calcdfor C12H9O2F3S: C, 52.55; H, 3.31; F, 20.78; S, 11.69. Found C, 52.51;H, 3.33; F, 20.81; S, 11.65.
【0043】
1-ナフチルメチルトリフロン(1-Naphthylmethyl Triflone):IR (KBr) 1510, 1358, 1223, 1200, 804, 776, 658, 486 cm-1;1H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ 4.99 (s, 2H), 7.53 (dd, J=7.8, 8.4 Hz, 1H), 7.62 (d, J=7.8 Hz, 1H), 7.58 (ddd, J=0.9, 6.9, 8.3 Hz, 1H), 7.65 (ddd, J=1.5, 6.9, 8.4 Hz, 1H), 7.93 (dd, J=1.5, 8.3 Hz, 1H), 7.98 (dd, J=8.4 Hz, 1H), 8.04 (dd, J=0.9, 8.4 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 53.0, 119.2, 120.0 (q, JCF=326 Hz, 1C), 123.3, 125.3, 126.5, 127.5, 129.0, 131.1, 131.5, 132.3, 134.0; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -78.1 (s, 3F, CF3). Anal. Calcd for C12H9O2F3S: C, 52.55; H, 3.31; F, 20.78; S, 11.69. Found C, 52.53; H, 3.29; F, 20.75; S, 11.73.
【0044】
2,4,6-トリメチルフェニルメチルトリフロン(2,4,6-TrimethylphenylmethylTriflone):IR (KBr) 1358, 1206, 1117, 864, 619, 550, 500, 469 cm-1; 1HNMR (CDCl3, 300 MHz) δ 2.29 (s, 3H), 2.43 (s, 6H) 4.62 (s, 2H), 6.96 (s, 2H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 20.3, 21.0 (2C), 49.8, 117.0, 120.0(q, JCF=326 Hz, 1C, CF3), 129.9 (2C), 139.7 (2C), 139.8; 19F NMR (CDCl3,282 MHz) δ -79.7 (s, 3F, CF3). Anal. Calcd for C11H13O2F3S: C, 49.62; H, 4.92; F, 21.40; S, 12.04. Found C, 49.58; H, 4.53; F, 21.35; S, 12.06.
【0045】
4-(トリフルオロメチル)フェニルメチルトリフロン(4-(Trifluoromethyl)phenylmethyl Triflone;Synthesis, 691, 1997):IR (KBr) 1356, 1341, 1227, 1210, 1144, 1121, 855, 658, 513 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 4.53(s, 2H), 7.58 (d, J=8.0 Hz, 2H), 7.72 (d, J=8.0 Hz, 2H); 19F NMR (CDCl3,282 MHz) δ -77.5 (s, 3F, CF3), -64.3 (s, 3F, CF3).
【0046】
3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルメチルトリフロン(3,5-Bis(trifluoromethyl)phenylmethyl Triflone):IR (KBr) 1376, 1362, 1277, 1175,1117, 918, 910, 669 cm-1;1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 4.60 (s, 2H), 7.91(s, 2H), 8.01 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 55.0, 119.6 (q, JCF=326 Hz, 1C, CF3), 122.6 (q, JCF=272 Hz, 2C, 2CF3), 124.2 (septet, JCF=4 Hz, 1C), 126.1, 131.3 (2C), 132.9 (q, JCF=34 Hz, 2C); 19F NMR (CDCl3, 282MHz) δ -77.4 (s, 3F, CF3), -64.3 (s, 6F, 2CF3). Anal. Calcd for C10H3O2F9S: C, 33.53; H, 0.84; F, 47.74; S, 8.95. Found C, 33.48; H, 0.91;F, 47.87; S, 8.89.
【0047】
ペンタフルオロフェニルメチルトリフロン(Pentafluorophenylmethyl Triflone):IR (KBr) 1509, 1374, 1210, 1121, 995 cm-1; 1HNMR (CDCl3, 300 MHz)δ 4.64; 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 44.3, 100.0 (dt, JCF=4, 17 Hz, 1C,ipso-C), 119.5 (q, JCF=326 Hz, 1C, CF3), 137.9 (d, JCF=251 Hz, 2C, 2m-C), 142.8 (d, JCF=258 Hz, 1C, p-C), 145.9 (d, JCF=252 Hz, 2C, 2o-C);19FNMR (CDCl3, 282 MHz) δ -160.0 (d, J=15.2 Hz, 2F, 2m-F), 149.0 (s, 1F, p-F), 139.4 (d, J=15.2 Hz, 2F, 2o-F), -78.3 (s, 3F, CF3). Anal. Calcd for C8H2O2F8S: C, 30.59; H, 0.64; F, 48.38; S, 10.21. Found C, 30.49; H, 0.73; F, 48.37; S, 10.18.
【0048】
実施例3[アリールビス(トリフリル)メタンの合成]
実施例2により得られた各アリールメチルトリフロン(0.5mmol)をジエチルエーテル(3mL)に溶解してそれぞれの溶液を調製した。これらの溶液を-78℃まで冷却してから1.1当量(0.55mmol)のt-BuLi(0.34mL,1.6Mのペンタン溶液)を加え、10分間撹拌した後、続いてTf2O(46μL,0.275mmol)を加え、反応溶液を室温まで上げて更に1時間撹拌した。再び-78℃に冷却した後、1.1当量(0.55mmol)のt-BuLi(0.34mL,1.6Mのペンタン溶液)を加え、10分間撹拌した後、Tf2O(46μL,0.275mmol)を加え、反応溶液を室温まで上げて更に1時間撹拌した。その後、水を加えて反応を止め、中和した後、ヘキサンで洗浄した。これら水相を4Mの塩酸で酸性にし、ジエチルエーテルで2回抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮してアリールビス(トリフリル)メタンを固体として得た。更なる精製は必要としなかった。各アリールメチルトリフロンの収率を表2に示し、各アリールメチルトリフロンの物性を以下に示す。
【0049】
【表2】
JP0003773824B2_000007t.gif
【0050】
フェニルビス(トリフリル)メタン(Phenylbis(triflyl)methane;J. Org. Chem. 38, 3358, 1973、Heteroatom Chem. 5, 9, 1994):IR (KBr) 2950, 1381,1242, 1219, 1184, 1102, 806, 695, 660, 608, 585, 507 cm-1;1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 5.97 (s, 1H), 7.54-7.68 (m, 5H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz)δ 80.7, 119.3, 119.3 (q, JCF=329 Hz, 2C, 2CF3), 130.0 (2C), 131.8 (br), 132.9 (2C); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) -73.8 (s, 6F, 2CF3).
【0051】
2-ナフチルビス(トリフリル)メタン(2-Naphthylbis(triflyl)methane):IR (KBr) 1393, 1381, 1244, 1213, 1103, 646, 586 cm-1; 1HNMR (CDCl3,300 MHz) δ 6.10 (s, 1H), 7.61-7.71 (m, 3H), 7.92-7.99 (m, 2H), 8.03 (d,J=8.4 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 75 MHz) δ 80.9, 116.3, 119.3 (q, JCF=329 Hz, 2C, 2CF3), 127.7, 128.0, 128.8, 129.1, 130.1, 132.8, 133.4, 134.7;19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -73.6 (s, 6F, 2CF3); HRMS (EI) calcd for C13H8O4F6S2[M]+ 405.9768, found 405.9761.
【0052】
1-ナフチルビス(トリフリル)メタン(1-Naphthylbis(triflyl)methane):IR (KBr) 1389, 1383, 1215, 1111, 770, 650, 504 cm-1; 1HNMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.87 (s, 1H), 7.62-7.80 (m, 4H), 8.02 (d, J=8.4 Hz, 1H), 8.16(d, J=8.4 Hz, 1H), 8.37 (d, J=7.5 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 75 MHz) δ 74.6, 114.1 (s, 1C, ipso-C), 119.4 (q, JCF=328 Hz, 2C, 2CF3), 119.9, 125.4, 127.0, 128.9, 130.1, 131.5, 131.7, 133.8, 134.0; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -74.2 (s, 6F, 2CF3); HRMS (EI) calcd for C13H8O4F6S2[M]+ 405.9768, found 405.9761.
【0053】
2,4,6-トリメチルフェニルビス(トリフリル)メタン(2,4,6-Trimethylphenylbis(triflyl)methane):IR (KBr) 1397, 1383, 1217, 1119, 1107, 642, 590 cm-1; 1HNMR (CDCl3, 300 MHz) δ 2.33 (s, 3H), 2.35 (s, 3H), 2.61(s, 3H), 6.48 (s, 1H), 7.00 (s, 1H), 7.08 (2, 1H); 13C NMR (CDCl3, 75 MHz) δ 20.2, 21.1, 22.2, 77.7, 115.9, 119.4 (q, JCF=328 Hz, 2C, 2CF3), 130.4, 132.2, 140.0, 142.2, 142.6; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -76.3 (s, 6F, 2CF3); HRMS (EI) calcd for C12H12O4F6S2[M]+ 398.0081, found 398.0089.
【0054】
4-(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフリル)メタン(4-(Trifluoromethyl)phenylbis(triflyl)methane):IR (KBr) 1393, 1383, 1327, 1231, 1171, 1136, 1111, 860, 671, 610 cm-1;1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 5.98 (s,1H), 7.84 (s, 4H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 80.4, 120.0 (q, JCF=329Hz, 2C, 2CF3), 123.8 (q, JCF=271 Hz, 1C, CF3), 124.2, 127.6 (q, J=4 Hz,2C), 133.0 (2C), 135.6 (q, JCF=33 Hz, 1C); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -73.5 (s, 6F, 2CF3), -64.7 (s, 3F, CF3); HRMS (EI) calcd for C10H5O4F9S2[M]+423.9486, found 423.9471.
【0055】
3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフリル)メタン(3,5-Bis(trifluoromethyl)phenylbis(triflyl)methane):IR (KBr) 1395, 1374,1285, 1223, 1194, 1179, 1144, 1105, 936, 909, 629, 519 cm-1;1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.05 (s, 1H), 8.13 (s, 2H), 8.18 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 78.9, 119.2 (q, JCF=329 Hz, 2C, 2CF3), 122.2 (q, JCF=272 Hz, 2C, 2CF3), 122.9, 126.7 (septet, JCF=4 Hz), 131.6 (s, 2C), 133.8 (q,J=35 Hz, 2C); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -73.2 (s, 6F, 2CF3), -64.3 (s,6F, 2CF3); HRMS (EI) calcd for C11H4O4F12S2 [M]+472.9375, found 472.9372.
【0056】
ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタン(Pentafluorophenylbis(triflyl)methane):Mp. 86~87℃;IR (KBr) 1522, 1501, 1347, 1321, 1198, 1127, 1024, 988, 613 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 6.21 (brs, 1H);13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 70.4, 98.0 (s, 1C, ipso-C), 119.2 (q, JCF=330 Hz, 2C, 2CF3), 137.8 (d, JCF=258 Hz, 1C, m-C), 138.6 (d, JCF=257 Hz,1C, m-C), 144.7 (d, JCF=264 Hz, 1C, p-C), 145.4 (d, JCF=262 Hz, 1C o-C),147.2 (d, JCF=262 Hz, 1C, o-C); 13C NMR (CD3OD (δ 49.0), 125 MHz) δ 56.2, 109.1 (dt, J=6, 19 Hz, 1C, ipso-C), 122.4 (q, JCF=324 Hz, 2C, 2CF3), 138.5 (d, JCF=250 Hz, 2C, 2m-C), 143.0 (d, JCF=251 Hz, 1C, p-C), 150.0(d, JCF=245 Hz, 1C, o-C), 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -157.9 (dt, J=6.2, 21.5 Hz, 1F, m-F), -156.8 (dt, J=6.2, 21.5 Hz, 1F, m-F), -142.6 (tt, J=5.9, 21.5 Hz, 1F, p-F), -140.3 (br, 1F, o-F), -127.7 (ddd, J=5.9, 15.2,21.5 Hz, 1F, o-F), -75.2 (s, 6F, 2CF3); HRMS (EI) calcd for C9HO4F11S2[M]+445.9141, found 445.9137.
【0057】
実施例4[ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンのパラ位特異的な求核置換]
また、表2にペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンの収率が45%と記載されているように、ペンタフルオロフェニルメチルトリフロンを用いてペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンを製造する場合、1:1の割合でペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンと4-tert-ブチル-2,3,5,6-テトラフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンが共に得られることがわかった(収率はそれぞれ45%)。しかし、1.0当量のt-BuLiと0.5当量のTf2Oとを用いた場合では、4-tert-ブチル-2,3,5,6-テトラフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンの生成が完全に抑制され、ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンはTf2Oをベースに95%の収率で得られることがわかった。そこで、ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンのパラ位特異的な求核置換の一般性と範囲を調べるために、ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンと種々のアルキルリチウム試薬との反応について調べた。アルキルリチウム試薬の種類と反応条件とペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンのパラ位置換体の収率を表3に示す。なお、表3に示されたペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンのパラ位置換体は、ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンとアルキルリチウム試薬との反応生成物を塩酸溶液で洗浄することにより得られ、また、表3中「Bn」はベンジル基を表す。
【0058】
【表3】
JP0003773824B2_000008t.gif
【0059】
実施例5[{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタンの合成]
4-メチルパーフルオロビフェニルの合成;パーフルオロビフェニル(10g,30mmol)のTHF(50mL)溶液にアルゴン雰囲気下、-78℃でメチルリチウムのジエチルエーテル溶液(13mL,15mmol)を0.5時間かけて滴下した。さらに、同温で2時間撹拌した後、室温でさらに2時間撹拌した。水を加えて反応を停止した後、ジエチルエーテルを用いて抽出し、その有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、溶媒を減圧除去して、4-メチルパーフルオロビフェニル、4,4′-ジメチルパーフルオロビフェニル、パーフルオロビフェニルの混合物(モル比、30:3:67)を粗生成物として得た。
【0060】
4-(ブロモメチル)パーフルオロビフェニルの合成;上記4-メチルパーフルオロビフェニルを含む混合物、N-ブロモ琥珀酸イミド(NBS)(26.7g,150mmol)、AIBN(0.99g,6mmol)、四塩化炭素(100mL)の混合溶液を1週間加熱環流した。その間、反応の進行状況をTLCで確認し、適時、NBSとAIBNを追加した。最終的に、285mmolのNBS、15mmolのAIBNを加えた。反応終了後、室温まで冷却し、溶媒を減圧除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサンー酢酸エチル=100:1)により精製し、4-(ブロモメチル)パーフルオロビフェニル(7.36g,18mmol,メチルリチウムからの総収率60%)を単離した。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ 4.58 (s, 2H, CH2Br); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz)δ -138.02 (dd, J=10.6, 19.8 Hz, 2F), -138.56 (dt, J=9.1, 20.3 Hz, 2F),-142.36 (dd, J=10.6, 19.8 Hz, 2F), -150.59 (t, J=20.3 Hz, 1F), -161.08 (dt, J=7.1, 20.3 Hz, 2F).
【0061】
{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}(トリフリル)メタンの合成;4-(ブロモメチル)パーフルオロビフェニル(3.68g,9mmol)とトリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム(1.69g,10.8mmol)をプロピオニトリル(30mL)に溶解し、12時間加熱環流した。反応後、室温まで冷却し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し濾過した後、溶媒を減圧除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサンー酢酸エチル=20:1~8:1~1:1)で精製し目的とする{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}(トリフリル)メタン(3.91g,8.46mmol,94%収率)を単離した。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 4.75 (s, 2H, CH2Tf); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz)δ -78.24 (s, 3F, CF3), -136.82~-136.62 (m, 1F), -137.72 (dd, J=10.7, 18.3 Hz, 2F), -138.84 (dd, J=10.7, 18.3 Hz, 2F), -149.69 (t, J=21.3 Hz, 1F), -160.63 (dt, J=6.1, 21.3 Hz, 2F).
【0061】
実施例9[スカンジウム(III)ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドの合成(その1)]
Sc23(21mg,0.155mmol)とペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタン(0.277g,0.62mmol)を水(0.5mL)中で12時間加熱還流した。その後、未反応のSc23を濾過によって除去し濃縮した。得られた粗生成物をクロロホルムで洗い、未反応のペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンを除去した後、真空ポンプで減圧にし、100℃で乾燥することによりスカンジウム(III)ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドの白色粉末を得た(50%収率)。
【0062】
{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタンの合成;{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}(トリフリル)メタン(4.6g,10mmol)を溶解したジエチルエーテル(120mL)の溶液に、アルゴン雰囲気下、-78℃でtert-ブチルマグネシウムクロリド(5mL,10mmol,2.0Mのジエチルエーテル溶液)を加えた。反応溶液を-78℃で0.5時間撹拌した後、さらに0℃で0.5時間撹拌した。再度、-78℃まで冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.84mL,5mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。引き続き、-78℃でtert-ブチルマグネシウムクロリド(3.75mL,7.5mmol,2.0Mのジエチルエーテル溶液)を加えた。反応溶液を-78℃で0.5時間撹拌した後、0℃で0.5時間撹拌した。再度、-78℃まで冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.84mL,5mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応終了後、水を加え、更に1Mの塩酸水で中和し、ヘキサンで水相を洗った。次に、その水相を4Mの塩酸水で酸性にし、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧除去した。粗生成物を昇華(8~9Pa,150℃)して、目的の{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタン(2.79g,4.7mmol,47%収率)を単離した。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ 6.32 (s, 1H, CH), 19F NMR (CDCl3, 282 MHz)δ -75.1 (s, 6F, 2CF3), -127.72~-127.58 (m, 1F), -133.43 (dt, J=10.2, 21.3Hz, 1F), -134.60 (dt, J=9.4, 21.3 Hz, 1F), -137.08~-137.35 (m, 2F), -140.07 (br, 1F), -148.38 (t, J=21.3 Hz, 1F), -160.01 (dt, J=6.2, 21.3 Hz,2F).
【0063】
実施例6[リチウムペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドの合成]
実施例3で得られたペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタン(1mmol)と、LiOH・H2O(1mmol)とをジエチルエーテル(10mL)に溶かし室温で12時間撹拌した後、濃縮乾燥して白い粉末のリチウムペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドを得た(100%収率)。この得られたリチウムペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドの物性を以下に示す。
【0064】
リチウムペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチド(Lithium Pentafluorophenylbis(triflyl)methide): 13C NMR (CD3OD, 125 MHz) δ 56.1, 109.0 (dt, J=4, 19 Hz, 1C, ipso-C), 122.3 (q, JCF=324 Hz, 2C, 2CF3), 138.5(d, JCF=247 Hz, 2C, 2m-C), 143.0 (d, JCF=251 Hz, 1C, p-C), 149.5 (d, JCF=245 Hz, 2C, 2o-C).
【0065】
実施例7[リチウム{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メチドの合成]
実施例5で得られた{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタン(1mmol)と、LiOH・H2O(1mmol)とをジエチルエーテル(10mL)に溶かし室温で12時間撹拌した後、濃縮乾燥して白色固体のリチウム{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メチドを得た(100%収率)。
【0066】
実施例8[銀(I)ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドの合成]
アルミニウムホイルで光を遮断した反応フラスコ内でペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタン(0.20g,0.40mmol)の水溶液(3mL)にAg2CO3(66mg,0.24mmol)を加え室温で12時間撹拌した後、固体が残っているようであれば濾過してから濃縮し、銀(I)ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンの白色固体を得た(収率99%以上)。この得られた銀(I)ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドの物性を以下に示す。
【0067】
銀(I)ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチド(Silver(I) Pentafluorophenylbis(triflyl)methide): 19F NMR (CDCl3, 282 MHz) δ -162.6 (dt, J=7.6, 21.4 Hz, 2F, 2m-F), -150.6 (t, J=21.4 Hz, 1F, p-F), -134.7-134.6 (m, 2F, 2o-F), -79.5 (s, 6F, 2CF3).
【0068】
実施例10[スカンジウム(III)ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドの合成(その2)]
実施例8により得られた銀(I)ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチド(0.19g,0.34mmol)とSc(III)Cl3・(H2O)6(29mg,0.11mmol)をジエチルエーテル(3mL)中、室温で12時間撹拌した。その後、塩化銀を濾過によって除去し濃縮した。未反応のペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンを除去し、真空ポンプで減圧にし、100℃で乾燥することによりスカンジウム(III)ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドの白色粉末を得た(50%収率)。本実施例や実施例9で得られたスカンジウム(III)ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドの物性を以下に示す。
【0069】
スカンジウム(III)ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチド(Scandium(III)Pentafluorophenylbis(triflyl)methide):Mp. >250℃(decomposed);13C NMR (CD3OD (δ 49.0), 125 MHz) δ 56.2, 109.0 (dt, JCF=2, 20 Hz,1C, ipso-C), 122.3 (q, JCF=324 Hz, 2C, 2CF3), 137.8 (d, JCF=247 Hz, 2C,2m-C), 142.3 (d, JCF=251 Hz, 1C, p-C), 148.9 (d, JCF=245 Hz, 2C, 2o-C);19F NMR (CD3OD, 282 MHz) δ -166.4 (dt, J=6.1, 21.3 Hz, 2F, 2m-F), -155.9 (t, J=21.3 Hz, 1F, p-F), -134.9~-134.9 (m, 2F, 2o-F), -80.9 (s, 6F,2CF3).
【0070】
実施例11[ポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンの製造]
4-プロモポリスチレン樹脂にリチウムペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチドを担持させ、ポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンを次のようにして製造した(化7)。4-プロモポリスチレン樹脂(2%のジビニルベンゼンによる共重合体,200-400メッシュ,臭素担持率3.03mmol/g;東京化成社製)(0.33g,1mmol)をベンゼン(5mL)に膨潤させ、アルゴン雰囲気下、室温でブチルリチウムの1.6Mのヘキサン溶液(1.88mL,3mmol)を加えた。この混合溶液を60℃(バスの温度)に加熱し、3時間攪拌した後、一旦室温まで戻し、溶液部分のみをシリンジを用いて除去した。残った樹脂にベンゼン(1mL)とTHF(1mL)を加え、0℃まで冷却し、実施例5で得られたリチウムペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メチド(1.36g,3mmol)を加えた。次いで、反応溶液を室温まで昇温して2時間攪拌した後、更に70℃(バスの温度)で12時間攪拌した。次に、反応溶液を0℃まで冷却し、4M塩酸(10mL)を加えた。続いて、濾紙を用いた吸引濾過により樹脂を集め、その樹脂を蒸留水(10mL)、蒸留水(5mL)-THF(5mL)混合溶液、THF(10mL)、ジエチルエーテル(10mL)を用いて順次洗浄した。最後に1torrの減圧下、80℃で5時間乾燥し、固体触媒であるポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタン(0.413g)を得た。
【0071】
【化7】
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【0072】
得られたポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンの元素分析によるフッ素含有量から求めたブレンステッド酸担持率は1.06mmol/gであった。ポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンの物性を以下に示す。
【0073】
ポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタン(Polysthlene resin, cross-linked with 2% divinylbenzene with Pentafluorophenylbis(triflyl)methane):IR(KBr)1475, 1352, 1194, 1119, 1022, 976,700, 612cm-1
【0074】
実施例12[ポリスチレン担持型{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタンの製造]
4-プロモポリスチレン樹脂にリチウム{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メチドを担持させ、ポリスチレン担持型{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタンを次のようにして製造した(化8)。4-プロモポリスチレン樹脂(2%のジビニルベンゼンによる共重合体,200-400メッシュ,臭素担持率3.03mmol/g;東京化成社製)(0.33g,1mmol)をベンゼン(5mL)に膨潤させ、アルゴン雰囲気下、室温でブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(1.88mL,3mmol)を加えた。この混合溶液を60℃(バスの温度)に加熱し、3時間攪拌した後、一旦室温まで戻し、溶液部分のみをシリンジを用いて除去した。残った樹脂にベンゼン(3mL)とTHF(1mL)を加え、0℃まで冷却し、実施例7で得られたリチウム{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メチド(1.78g,3mmol)を加えた。次いで、反応溶液を室温まで昇温して0.5時間攪拌した後、更に70℃(バスの温度)で12時間攪拌した。次に、反応溶液を0℃まで冷却し、4M塩酸(10mL)を加えた。続いて、濾紙を用いた吸引濾過により樹脂を集め、その樹脂を蒸留水(10mL)、蒸留水(5mL)-THF(5mL)混合溶液、THF(10mL)、ジエチルエーテル(10mL)を用いて順次洗浄した。最後に1torrの減圧下、80℃で5時間乾燥し、固体触媒であるポリスチレン担持型{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタン(0.440g)を得た。
【0075】
【化8】
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【0076】
得られたポリスチレン担持型{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタンの元素分析によるフッ素含有量から求めたブレンステッド酸担持率は0.90mmol/gであった。
【0077】
実施例13[向山アルドール反応]
実施例11で得られたポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンを固体触媒として用い、トリメチルシリルエノールエーテルとベンズアルデヒドからアルドールを得る向山アルド-ル反応を次のように行った(化9)。上記固体触媒(16mg,ブレンステッド酸担持率1.06mmol/g)を1mLのトルエンに加え、-78℃に冷却した後、アセトフェノンのトリメチルシリルエノールエーテル(0.12mL,0.6mmol)とベンズアルデヒド(0.05mL,0.5mmol)を加えて、-78℃で7時間攪拌した。反応後、-78℃で2,3滴のトリエチルアミンを加えて室温に戻した。次に、減圧濾過によって樹脂を集めた。また、ろ液を濃縮し、室温で1Mの塩酸(1mL)とTHF(1mL)を加えて15分間攪拌し、アルドールのトリメチルシリルエーテルをアルコールに変換した。通常の後処理後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製(ヘキサン:酢酸エチル=8:1~4:1)することによってアルドールを得た。得られたアルドール(109.7mg,0.49mmol)の収率は97%であった。樹脂を4Mの塩酸(1mL)、蒸留水(1mL)、蒸留水(0.5mL)-THF(0.5mL)混合溶液、THF(1mL)、ジエチルエーテル(1mL)で順次洗浄した後乾燥し、固体触媒をほぼ100%回収した。
【0078】
【化9】
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【0079】
上記ポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンに代えて、従来公知の高分子担持型ブレンステッド酸触媒としてナフィオンSAC-13(デュポン社製)16mgを用いる以外は上記と同様に反応させたところ、アルドールの収率は上記固体触媒(16mg,ブレンステッド酸担持率1.06mmol/g)を用いた場合とほぼ同様な結果が得られた。また、触媒の回収率は100%であった。
【0080】
実施例14[桜井-細見アリル化反応]
実施例11で得られたポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンを固体触媒として用い、アリルトリメチルシランとベンズアルデヒドからアリルアルコールを得る桜井-細見アリル化反応を次のようにして行った(化10)。アリルトリメチルシラン(0.48mL,3mmol)と上記固体触媒(57mg,ブレンステッド酸担持率1.06mmol/g)を0.41mLのジクロロメタンに加え、室温で30分間攪拌した。それから-40℃に冷却し、ベンズアルデヒドのジクロロメタン溶液(0.2mL,2mmol)を30分間かけてゆっくり滴下した。滴下後、更に-40℃で1時間攪拌した。反応後、-40℃で2、3滴のトリエチルアミンを加えて室温に戻した。次に、減圧濾過によって樹脂を集めた。また、ろ液を濃縮し、室温で1M塩酸(2.5mL)とTHF(2.5mL)を加えて30分間攪拌し、ホモアリルアルコールのトリメチルシリルエーテルをアルコールに変換した。通常の後処理後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製(ヘキサン:酢酸エチル=10:1~5:1)することによってホモアリルアルコール(267mg、1.8mmol)を得た。得られたホモアリルアルコールの収率は90%であった。樹脂を4Mの塩酸(1mL)、蒸留水(1mL)、蒸留水(0.5mL)-THF(0.5mL)混合溶液、THF(1mL)、ジエチルエーテル(1mL)で順次洗浄した後乾燥し、固体触媒をほぼ100%回収した。
【0081】
【化10】
JP0003773824B2_000012t.gif
【0082】
上記ポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンに代えて、従来公知の高分子担持型ブレンステッド酸触媒としてナフィオンSAC-13(デュポン社製)57mgを用いる以外は上記と同様に反応させたところ、アリルアルコールの収率は2%にすぎなかった。また、触媒の回収率は100%であった。これらのことから、本発明のポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンは、既存の高分子担持型ブレンステッド酸触媒をはるかに上回る触媒活性を示すことがわかった。
【0083】
実施例15[アルコールのアシル化反応]
実施例11で得られたポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンを固体触媒として用い、メントールと安息香酸とからエステルを得るアシル化反応を次のようにして行った(化11)。l-メントール(157mg,1mmol)、安息香酸無水物(340mg,1.5mmol)、上記固体触媒(65mg,ブレンステッド酸担持率:1.06mmol/g)を4.8mLのアセトニトリルに加え、27℃で17時間攪拌した。反応後、減圧濾過によって樹脂を集め、ろ液は水(5mL)とヘキサン(10mL)を用いて分液抽出し、その有機相を通常の後処理した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)することによってエステル(260mg、1mmol)を得た。得られたエステルの収率は>99%であった。樹脂を4Mの塩酸(1mL)、蒸留水(1mL)、蒸留水(0.5mL)-THF(0.5mL)混合溶液、THF(1mL)、ジエチルエーテル(1mL)で順次洗浄した後乾燥し、固体触媒をほぼ100%回収した。
【0084】
【化11】
JP0003773824B2_000013t.gif
【0085】
上記ポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンに代えて、従来公知の高分子担持型ブレンステッド酸触媒としてナフィオンSAC-13(デュポン社製)57mgを用いる以外は上記と同様に反応させたところ、エステルの収率は0%であった。また、触媒の回収率は100%であった。これらのことから、本発明のポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンは、既存の高分子担持型ブレンステッド酸触媒では行えない反応を行うことができることがわかった。
【0086】
実施例16[ケトンのアセタール化反応]
実施例11で得られたポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンを固体触媒として用い、ベンジルアセトンとオルトギ酸メチルとからジメチルアセタールを得るセタール化反応を次のように行った(化12)。上記固体触媒(10.6mg、0.5mol%、1.06mmol/g)にトルエン(2mL)を加え室温で30分攪拌(膨潤)した後、0℃に冷却し、ベンジルアセトン(0.30mL、2.0mmol)及びオルトギ酸メチル(0.26mL、0.24mmol)を加えた。0℃で20分間攪拌した後、減圧濾過によって樹脂を集め、ろ液は水(5mL)とヘキサン(10mL)を用いて分液抽出し、その有機相を通常の後処理後、シリカゲルクロマトグラフィーで分離精製(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)することによってアセタール(388mg、2mmol)を得た。得られたアセタールの収率は>99%であった。樹脂を4M塩酸(1mL)、蒸留水(1mL)、蒸留水(0.5mL)-THF(0.5mL)混合溶液、THF(1mL)、ジエチルエーテル(1mL)で順次洗浄した後乾燥し、固体触媒をほぼ100%回収した。
【0087】
【化12】
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【0088】
上記ポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンに代えて、従来公知の高分子担持型ブレンステッド酸触媒としてナフィオンSAC-13(デュポン社製)10.6mgを用いる以外は上記と同様に反応させたところ、アセタールの収率は16%にすぎなかった。また、触媒の回収率は100%であった。これらのことから、本発明のポリスチレン担持型ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタンは、既存の高分子担持型ブレンステッド酸触媒をはるかに上回る触媒活性を示すことがわかった。
【0089】
【発明の効果】
本発明のポリスチレン担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン等の高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンは、超強酸であるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンをポリスチレン樹脂等の樹脂ポリマーに担持させたため、ブレンステッド酸やルイス酸触媒で進行するほとんどの反応に利用でき、従来の触媒では反応を進行させることが困難であった反応も容易に進行させることができる。しかも、触媒の回収率も高く、再利用も容易であることから非常に汎用性が高く、この触媒が金属を含まない有機酸であるため、毒性、環境等の点から優れたものである。本発明によると、均一触媒となる超強酸を有機溶媒(例えば、芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒等)に対し優れた膨潤能を示す高分子樹脂に初めて担持させることができ、これにより、様々な酸触媒による有機反応に対し、高い触媒活性を達成することができる。