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明細書 :植物において脂肪酸合成を促進させる方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3656104号 (P3656104)
公開番号 特開2002-335786 (P2002-335786A)
登録日 平成17年3月18日(2005.3.18)
発行日 平成17年6月8日(2005.6.8)
公開日 平成14年11月26日(2002.11.26)
発明の名称または考案の名称 植物において脂肪酸合成を促進させる方法
国際特許分類 A01H  5/00      
C12N 15/09      
FI A01H 5/00 A
C12N 15/00 ZNAA
請求項の数または発明の数 17
全頁数 24
出願番号 特願2001-300038 (P2001-300038)
出願日 平成13年9月28日(2001.9.28)
優先権出願番号 2001070691
優先日 平成13年3月13日(2001.3.13)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成13年9月28日(2001.9.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明者または考案者 【氏名】佐々木 幸子
【氏名】横田 明穂
【氏名】円 由香
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100100125、【弁理士】、【氏名又は名称】高見 和明
【識別番号】100101096、【弁理士】、【氏名又は名称】徳永 博
【識別番号】100107227、【弁理士】、【氏名又は名称】藤谷 史朗
【識別番号】100114292、【弁理士】、【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100124280、【弁理士】、【氏名又は名称】大山 健次郎
【識別番号】100119530、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 和幸
審査官 【審査官】高堀 栄二
参考文献・文献 国際公開第94/029467(WO,A1)
国際公開第98/005758(WO,A1)
特表平11-511015(JP,A)
特開2001-046073(JP,A)
特表平11-511022(JP,A)
J.Biol.Chem.,Vol.268,No.33(1993)p.25118-25123
EMBO J.,Vol.5,No.9(1986)p.2043-2049
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.90,No.3(1993)p.913-917
Plant Physiol.,Vol.113,No.1(1997)p.75-81
Plant Physiol.,Vol.108,No.2(1995)p.445-449
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.91,No.9(1994)p.3598-3601
EMBO J.,Vol.16,No.13(1997)p.4041-4048
調査した分野 SwissProt/PIR/GeneSeq
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
BIOSIS/WPI(DIALOG)
特許請求の範囲 【請求項1】
植物の大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子配列を含むDNAにより植物の葉緑体形質転換を行なって、該大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子の発現量を増加させることにより、植物において脂肪酸合成を促進させる方法。
【請求項2】
前記accD遺伝子、葉緑体において高発現している遺伝子のプロモーター配列、及び葉緑体ゲノムでの相同組み換えを可能にする相同配列の3種類のDNA をプラスミドに導入したコンストラクトを作製し、当該コンストラクトにより植物の葉緑体を形質転換することにより、前記accD遺伝子の発現量を増加させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記葉緑体ゲノムでの相同組み換えを可能にする相同配列が配列表の配列番号2記載のRubisco large subunit 遺伝子とその3'下流配列からなる配列であり、前記葉緑体において高発現している遺伝子のプロモーター配列が配列表の配列番号3記載のribosomal RNA operon 16 プロモーター配列である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記accD遺伝子の発現量を増加させる事により、当該遺伝子によりコードされるカルボキシルトランスフェラーゼ(CT)βサブユニットの蛋白質量を増加し、同時に大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼを構成する他のサブユニットの蛋白質量もまた増加する事を特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼを構成する他のサブユニットが、ビオチンカルボキシラーゼ(BC)蛋白質、ビオチンカルボキシル担体蛋白質(BCCP)及びカルボキシルトランスフェラーゼ(CT)αサブユニット蛋白質である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つの請求項記載の方法により、植物において脂肪酸合成を促進させた、形質転換植物。
【請求項7】
植物の大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子配列を含むDNAにより植物の葉緑体形質転換を行なって、該大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子の発現量を増加させた、形質転換植物。
【請求項8】
植物の大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子、葉緑体において高発現している遺伝子のプロモーター配列、及び葉緑体ゲノムでの相同組み換えを可能にする相同配列の3種類のDNA を含むコンストラクトにより、植物において葉緑体の形質転換を行った、形質転換植物。
【請求項9】
前記葉緑体ゲノムでの相同組み換えを可能にする相同配列が配列表の配列番号2記載のRubisco large subunit 遺伝子とその3'下流配列からなる配列であり、前記葉緑体において高発現している遺伝子のプロモーター配列が配列表の配列番号3記載のribosomal RNA operon 16 プロモーター配列である、請求項記載の形質転換植物。
【請求項10】
対照株植物と比較して葉における脂肪酸含量が増加し、かつ澱粉含量が減少している事を特徴とする、請求項記載の形質転換植物。
【請求項11】
対照株植物と比較して植物体の葉の寿命が延びていることを特徴とする、請求項記載の形質転換植物。
【請求項12】
対照株植物と比較して種子あたりの脂肪酸含量が増加し、かつ澱粉含量が減少していることを特徴とする、請求項記載の形質転換植物。
【請求項13】
対照株植物と比較して植物体あたりの種子数が増加し、その結果植物体あたりの全脂肪酸含量が対照株植物と比較して増加している事を特徴とする、請求項記載の形質転換植物。
【請求項14】
対照株植物と比較して種子における脂肪酸と澱粉の比率が改善されていることを特徴とする、請求項記載の形質転換植物。
【請求項15】
前記植物がタバコである、請求項記載の形質転換植物。
【請求項16】
請求項6ないし請求項15のいずれか一つの請求項記載の形質転換植物より得られた、種子。
【請求項17】
植物の大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子、葉緑体において高発現している遺伝子のプロモーター配列、及び葉緑体ゲノムでの相同組み換えを可能にする相同配列の3種類のDNA をプラスミドに導入した、コンストラクト。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccDサブユニットの発現量をプラスチドにおいて増強することにより植物において脂肪酸合成を促進させる方法、及び当該方法により脂肪酸合成を促進させた形質転換植物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地球環境を汚染しない石油に変わる物質として、植物油の需要は年々増加している。光合成産物に固定された炭酸ガスは、その産物を燃やしたとき同じ量だけの炭酸ガスを放出し循環するので、石油とは異なり、地球環境を汚染しないクリーンなエネルギーとなる。特に、油は澱粉やセルロースと異なり、結晶水を含まないので、嵩低く且つエネルギー含量の高い物質で、付加価値が高い。すでに、植物油を改変し、これを潤滑油、界面活性剤など工業用に利用されている。これらの需要に応えるためには、大量に油をつくることが必要であり、これまでに分子育種により油の質と量を改変した形質転換植物が開発されている。
【0003】
植物は光合成で炭酸ガスを有機化合物に変換後、過剰の産物を澱粉又は油に変え、主に種子に貯蔵し、次代のエネルギー源としている。種子には油性種子と澱粉種子とがあるが、有機物を油と澱粉への配分する量を決める仕組みはわかっていない。しかし、油の量の関しては、主成分である脂肪酸を合成する最初の反応に関与する鍵酵素である、アセチルCoA カルボキシラーゼの量により規定されると考えられている。アセチルCoA カルボキシラーゼが触媒する反応は、下記に示す通りである。
CH3COSCoA (アセチル-CoA)+ CO2 → HOOCCH2COSCoA (マロニル-CoA)
【0004】
この反応によって生じるマロニル-CoAは、主に脂肪酸の合成に使われる。炭素数16のパルミチン酸は脂肪酸合成酵素により、1分子のアセチル-CoAと7分子のマロニル-CoAとから作られ、順次二つずつ炭素数を伸ばし、その都度炭酸ガスを発生して生合成される。脂肪酸合成の律速段階はマロニル-CoA生成の段階で、アセチルCoA カルボキシラーゼの活性は厳密に調節されている。脂肪酸からは膜のグリセロリピド、種子の貯蔵リピド、表皮細胞からの水の蒸散を防ぐクチクラリピドをはじめとし、細胞の必須成分が合成される。アセチルCoA カルボキシラーゼは、細胞に必須なマロニル-CoAを必要に応じて供給する重要な酵素である。よって、この酵素に注目し、アセチルCoA カルボキシラーゼの量を増加させて脂肪酸合成を盛んにし、油を多量に作らせる試みがなされている。
【0005】
植物においてアセチルCoA カルボキシラーゼは、動物タイプと大腸菌タイプの2種類の酵素が存在していることが知られている。両酵素の構造を、図1に示す。本発明者らは、1993年に大腸菌タイプのアセチルCoA カルボキシラーゼを植物で初めて同定した (J. Biol. Chem. 268, 25118-25123, 1993)。大腸菌タイプのアセチルCoA カルボキシラーゼは、解離可能な4成分、即ちビオチンカルボキシラーゼ(BC)、ビオチンカルボキシル担体蛋白質(BCCP)、及びカルボキシルトランスフェラーゼ(CT)α及びβサブユニットからなり、これらを構成する4つの遺伝子は、それぞれaccC、accB、accA、accDと呼ばれている。大腸菌タイプのアセチルCoA カルボキシラーゼは、4種類の各サブユニットの二量体からなる分子量約27万の多酵素複合体である。それに対して、動物タイプのアセチルCoA カルボキシラーゼは、必要な3つの活性が分子量約24万の単一の多機能ポリペプチドにあり、このポリペプチドの二量体からなる。
【0006】
尚、動物タイプの酵素は細胞質ゾルに、大腸菌タイプは葉緑体に局在することが知られている。これまでの研究で、形質転換し易い動物タイプの酵素量を増加させ、これを葉緑体に移行させることにより、ナタネ種子の油含量を5%増加させた報告がある(Plant Physiol; 113, 75-81, 1997) 。この知見は動物タイプの酵素のものであるが、葉緑体内でアセチルCoA カルボキシラーゼ量を増加させて、油量を増加できることを示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、葉緑体に存在する大腸菌タイプの酵素量を増加させることにより、油含量を増加させた例はこれまでに存在しなかった。脂肪酸の合成は、主に葉緑体またはプラスチドで行われるので、上記の大腸菌タイプの酵素が脂肪酸合成量を支配していると考えられている。そこで、脂肪酸の合成を効率よく増加させる為に、大腸菌タイプのアセチルCoA カルボキシラーゼの量を増加させることを可能とする技術が求められていた。かかる課題を解決するために、葉緑体形質転換法により、大腸菌タイプのアセチルCoA カルボキシラーゼの量を、効率的に増加させる方法を提供することが、本発明の課題である。
【0008】
本発明の第一の観点は、植物の大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子配列を含むDNAにより植物の葉緑体形質転換を行なって、該大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子の発現量を増加させることにより、植物において脂肪酸合成を促進させる方法である。accD遺伝子、葉緑体において高発現している遺伝子のプロモーター配列、及び葉緑体ゲノムでの相同組み換えを可能にする相同配列の3種類のDNA をプラスミドに導入したコンストラクトを作製し、このコンストラクトにより植物の葉緑体を形質転換することにより、前記accD遺伝子の発現量を増加させることを特徴とする前記の方法もまた、本発明の更なる観点である。
【0009】
本発明の他の観点は、大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子の発現量を増加させる事により、その遺伝子によりコードされるカルボキシルトランスフェラーゼ(CT)βサブユニットの蛋白質量を増加し、同時に大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼを構成する他のサブユニットの蛋白質量もまた増加する事を特徴とする、前記の方法である。本発明の方法において、大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼを構成する他のサブユニットが、ビオチンカルボキシラーゼ(BC)蛋白質、ビオチンカルボキシル担体蛋白質(BCCP)及びカルボキシルトランスフェラーゼ(CT)αサブユニット蛋白質である前記の方法もまた、本発明の更なる観点である。
【0010】
本発明の更なる観点は、植物の大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子配列を含むDNAにより植物の葉緑体形質転換を行なって、該大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子の発現量を増加させた、形質転換植物である。また本発明の更なる観点は、大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子、葉緑体において高発現している遺伝子のプロモーター配列、及び葉緑体ゲノムでの相同組み換えを可能にする相同配列の3種類のDNA を含むコンストラクトにより、植物において葉緑体の形質転換を行った、形質転換植物である。対照株植物と比較して葉における脂肪酸含量が増加し、かつ澱粉含量が減少している事を特徴とする前記の形質転換植物、対照株植物と比較して植物体の葉の寿命が延びていることを特徴とする前記の形質転換植物もまた本発明の更なる観点である。更に、対照株植物と比較して種子あたりの脂肪酸含量が増加し、かつ澱粉含量が減少していることを特徴とする前記の形質転換植物もまた本発明の更なる観点である。更に、対照株植物と比較して植物体あたりの種子数が増加し、その結果植物体あたりの全脂肪酸含量が対照株植物と比較して増加している事を特徴とする前記の形質転換植物、対照株植物と比較して種子における脂肪酸と澱粉の比率が改善されていることを特徴とする前記の形質転換植物もまた本発明の更なる観点である。
【0011】
【発明の実施の形態】
大腸菌タイプのアセチルCoA カルボキシラーゼは、上記に述べた様に4種類のサブユニットからなり、1つのサブユニットの遺伝子(accD)だけが葉緑体ゲノムにあり、他は核ゲノムにコードされている、という知見に本発明者らは注目した。アセチルCoA カルボキシラーゼの発現量を増やすためには、これら4種類の遺伝子の発現量を増加させなければならない。しかし、核ゲノムにコードされた遺伝子の発現量を増加しても、アセチルCoA カルボキシラーゼ量は増加しないことが示されている。これらの結果より、葉緑体ゲノムにコードされた遺伝子の発現量が酵素量を規定していると推定される。すなわち、このaccDの発現量を増やすことにより酵素の発現量を増加させて、脂肪酸合成を促進できる可能性がある。そこで本発明者らは、アセチルCoA カルボキシラーゼaccD遺伝子の発現量のみを増加させ、その効果を検討した。
【0012】
即ち、下記の実施例で示される様に、タバコaccD遺伝子本来のプロモーターを除去して、ここに葉緑体において発現量の多いリボソーマルRNA (rRNA)のプロモーターをつなぎ、タバコ葉緑体へ形質転換した。Maligaにより開発された葉緑体形質転換法(Maliga et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA (1993) 90,913-917)は改良され、タバコで実用化されている。通常はaccD遺伝子の発現量は少ないが、上記のrRNAのプロモーターを使用することにより、accD遺伝子の発現量が増加することが示された。
【0013】
アセチルCoA カルボキシラーゼの酵素量が増加する為には、葉緑体に存在するaccD遺伝子がコードするカルボキシルトランスフェラーゼ(CT)βサブユニットの蛋白質量のみならず、他のサブユニットであるビオチンカルボキシラーゼ(BC)、ビオチンカルボキシル担体蛋白質(BCCP)、及びカルボキシルトランスフェラーゼ(CT)αサブユニットの、他の3つのサブユニットの蛋白質量もまた、増加することが必要である。
【0014】
これらの3つのサブユニットの遺伝子は、上記で述べた様に、核ゲノムに存在することが知られている。検討の結果、得られた形質転換植物ではaccDサブユニットだけではなく、他の3つのサブユニットの発現量も増え、アセチルCoA カルボキシラーゼ量が増加したことが示された。更に、種子当たりの油量を増加させることに成功し、油量を改変する新方法を確立することができた。将来、分子育種により、大量に簡単に油糧作物から植物油が得られるようになれば、石油に変わる炭化水素として幅広く利用され、社会に貢献すると考える。この様な現象の原因は以下のように考えている。核ゲノムに存在する3つの蛋白質はaccDサブユニットよりも多く生産され、葉緑体に移動する。これらの蛋白質は葉緑体でaccDサブユニットと会合し、この分子数に見合った量の酵素を形成し、過剰のサブユニットは直ちに分解される。形質転換体ではaccDサブユニットの分子数が増加し、上記の過剰のサブユニットとも会合するため、酵素量が増加する。これまで分解されていたサブユニットが安定な酵素を形成するので、他のサブユニット量も増加して見えるのである。すなわち、他のサブユニットの増加は分解の減少による。
【0015】
本発明の方法において、大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼのaccD遺伝子、葉緑体において高発現している遺伝子のプロモーター配列、及び葉緑体ゲノムでの相同組み換えを可能にする相同配列の3種類のDNA をプラスミドに導入したコンストラクトを作製する。ここで、葉緑体において高発現しているプロモーター配列はaccD遺伝子の上流に挿入され、それによりaccD遺伝子の発現を活性化する機能を有する。尚、下記の実施例においては、形質転換体の選抜のために薬剤耐性遺伝子であるスペクチノマイシン耐性遺伝子(aadA:aminoglycoside3"-adenylyltransferase遺伝子)を、共にプラスミドに挿入している。この様に、選抜に役立つ遺伝子を共にコンストラクトに導入する事は、本発明の実施において好ましい態様である。作製した上記コンストラクトにより、植物の葉緑体を形質転換する。目的遺伝子を導入したコンストラクトの作製は、適切なプラスミドと制限酵素等を用いて、本技術分野において汎用される技術を採用することにより行う事ができる。ここで使用するプラスミドは特に限定される物ではなく、pZErO2.1,pUC18,pBluescript等、本技術分野で一般的に使用されているプラスミドを使用することができる。
【0016】
ところで、これまでに知られた先行技術は、全て核コード遺伝子を形質転換したものであり、カリフラワーモザイクウイルス35S プロモーター、ノパリンシンターゼターミネーターなどの構成的に発現するプロモーターが用いられ、いわゆるペナルテイーが懸念される。そのために、このような懸念のない別の方法による分子育種が必要とされる。
【0017】
一方、本発明の方法の特徴の一つは、葉緑体に存在するaccD遺伝子の発現量を増加するために、葉緑体形質転換の方法を用いていることである。葉緑体の形質転換法に関する教示は、Maligaらの文献(Maliga et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA (1993) 90,913-917)に記載されている。本発明において用いている方法は、葉緑体ゲノムのaccD遺伝子により形質転換する方法であり、本発明において用いている葉緑体形質転換法はこれに応える形質転換法である。実施例においては、上記の選抜の目的で、スペクチノマイシン耐性遺伝子もまた挿入しているが、ペナルテイーは少ないと予測される。
【0018】
本発明において用いられている葉緑体形質転換法は、相同組み換えにより起こるので、特定の位置に遺伝子を挿入できるため、得られた転換体は斉一である。尚、相同組み換え(homologous recombination)とは、ほぼあるいは全く同一の塩基配列間に起こる組み換えのことをいう。なお相同組み換えは、DNA の特定の塩基配列において起こる、部位特異的組み換え(site-specific recombination)や、相同性のないDNA どうしで起こる非相同組み換え(non-homologous recombination)とは異なった遺伝子組み換えの態様である。従来用いられてきたアグロバクテリウムを用いた形質転換方法では、導入した遺伝子は予期出来ない位置に入る、という欠点がある。その点、葉緑体では相同組み換えにより遺伝子を導入するので、上記の相同組み換えの特質より判る様に所定の位置に入り、得られた形質転換体は斉ーであり、トラブルの可能性をはらむようなことはない。
【0019】
上記の様に、本発明で用いている葉緑体の形質転換は、相同組み換えで起こるために、相同配列として用いることが可能な配列を同時に導入する必要がある。下記の実施例においては、accD遺伝子の隣にあるRubisco large subunit (rbcL)遺伝子とその3'下流配列からなる配列を、相同配列として用いている。accD遺伝子の上流にrbcL遺伝子が存在するので、このaccD遺伝子とrbcL遺伝子の配列を使って相同組み換えを行うことに成功した。原理的には、導入をしようとする目的配列(下記の実施例においてはribosomal RNA operon 16 プロモーター)の前後に、宿主植物体の葉緑体遺伝子において組み換えようとする場所の相同配列(下記の実施例accD遺伝子とrbcL遺伝子)が存在する構造のコンストラクトを作製することにより、相同組み換えを起こすことが可能である。よって、相同配列としてはrbcL遺伝子とその3'下流配列に限定されるものではなく、相同組み換えに使用する事ができる限り、他の配列を使用する事も可能である。よって、本願明細書において「葉緑体ゲノムでの相同組み換えを可能にする相同配列」とは、相同組み換えを起こしてプロモーターを導入することを可能とする、任意の塩基配列を意味するものである。
【0020】
宿主として用いる植物種という点では、下記の実施例においては、タバコを用いて形質転換を行っているが、使用する植物はそれに限られるものではない。葉緑体形質転換の技術は、タバコにおいて最も成功し、実用化されている。また、シロイヌナズナ、ポテトやトマトにおいても成功しているという報告もある。本発明の方法は、原理的にはナタネ、ダイズ、イネなど種々の植物において適用することが可能である。その様な植物も、本発明の方法により葉緑体形質転換を行ってaccD遺伝子の発現を誘導することができる限り、本発明の目的に使用することが可能である。
【0021】
accD遺伝子の発現を増強するためのプロモーターとしては、実施例で使用したribosomal RNA operon 16 プロモーターが最も好ましい。しかし、それに限定されるものではなく、葉緑体においてaccD遺伝子の発現を増加させる事が可能である限り、他のプロモーターを使用することが可能であり、例えばPSII 32kDa protein(psbA), ribosomal protein S16(rps16)等のプロモーターを使用することが可能である。よって、本願明細書において「葉緑体において高発現している遺伝子のプロモーター配列」とは、葉緑体においてaccD遺伝子の発現を増加させる活性を有する、任意のプロモーターの塩基配列を意味するものである。
【0022】
形質転換を行う方法としては、下記の実施例においてはパーティクルガン法を使用している。葉緑体の形質転換を行う方法としては、パーティクルガン法が簡便かつ確実であるので、最も好ましいが、それに限定されるものではない。PEGを用いてプロトプラストに遺伝子を導入し、葉緑体の形質転換に成功した例もあり、例えばPEG を用いた方法等も使用可能であり、その様な方法で葉緑体形質転換を行ってaccD遺伝子の発現を増強することも、本発明の実施態様の一つであるである。
【0023】
また本発明の方法によりaccD遺伝子の発現が増加する様に形質転換した植物体もまた、本発明の範囲内である。下記の実施例において本発明者らは実際に形質転換した植物体の株を作製している。そして、形質転換を行った株より得られた種子において、明らかに種子の油量が増加していることを確認している。今後、更に改良をおこなうことにより、更に油の産生を促進させる事が可能と思われる。なお、本願明細書において「対照株植物」とは、accD遺伝子の発現を増強させていない植物を意味するものであり、下記の実施例においてはカセット導入株がそれに相当する。また、「脂肪酸と澱粉の比率が改善されている」とは、脂肪酸の比率が増加して澱粉の比率が減少することを意味する。
【0024】
更に、本発明の方法を用いることにより,植物において脂肪酸合成が促進されることに伴って、澱粉の合成が抑制されることが認められた。言い換えると、アセチルCoA カルボキシラーゼの発現量を増加させることにより、澱粉と脂肪酸の分配が変化するために、葉や種子あたりの脂肪酸含量が増加して澱粉含量が減少するという知見が得られた。この知見は、本発明の方法による脂肪酸合成の促進は本質的には、一定の光合成エネルギーから得られる産物の分配を改変することにより達成されることを意味している。
【0025】
更に、下記の実施例で示している様に、accD遺伝子の発現を増加させた形質転換植物において、葉の寿命が延びるという現象と植物体あたりの種子数が増加するという現象が認められた。得られる種子数が増加する原因については、アセチルCoA カルボキシラーゼが高発現した植物体において、葉の寿命が延びると光合成により得られるエネルギーの絶対量が増加することによるのではないかと考えられる。accD遺伝子が高発現した形質転換体においては種子当たりの脂肪酸含量も増加しているために、種子の数の増加も考慮すると、下記の実施例においては植物体あたりの脂肪酸含量は2倍以上に上昇している。
【0026】
【実施例】
(accD遺伝子及びrbcL遺伝子、rrn16 プロモーターの単離)
本研究では、葉緑体形質転換に実用化されているN.tabacum cv. Xanthiを用いるので、この栽培種の必要な断片をクローニングした。高発現させるaccD遺伝子、相同組み換えで相同配列として用いるaccD遺伝子の隣にあるrbcL(Rubisco large subunit )遺伝子、高発現プロモーターのrrn (ribosomal RNA operon)16プロモーターをクローニングした。
【0027】
Shinozaki 等(EMBO J.5,2043-2049,1986 )はN.tabacum cv. bright yellow4のDNA 配列を決定しているので、この情報からプライマーを作成し、XanthiのゲノムDNA を鋳型にしてPCR で各遺伝子及びプロモーターを増幅した。増幅断片はpZErO-2.1 (Invitrogen)のEcoRV 部位にサブクローニングし、配列を確認した。
【0028】
accD遺伝子の増幅断片の配列はbright yellow 4 と同じであった。accD遺伝子の配列を、図2及び配列表の配列番号1に示す。rbcL遺伝子の増幅断片の配列は2カ所異なっていた(□で囲んだ塩基)。rbcL遺伝子の配列を、図3及び配列表の配列番号2に示す。既知の報告と塩基配列は異なるが、コードするアミノ酸はbright yellow 4 と同じであり、この違いはタバコの栽培種が異なることによると思われる。
【0029】
rrn16 プロモーターは2種類存在することが報告されている(Curr.Genet.27,280-284,1995)。葉緑体にコードされるRNA ポリメラーゼ(PEP :plastid-encoded plastid RNA polymerase)と核にコードされるRNA ポリメラーゼ(NEP :nuclear-encoded plastid RNA polymerase)が結合するプロモーターである。rrn16 プロモーターの配列を、図4及び配列表の配列番号3に示す。accDはNEP 用のプロモーターを持つ遺伝子であることが知られている(Trends Plant Sci.4,169-170,1999 )。本実験では、rrn16 の両プロモーターを共に増幅した。増幅断片の配列はbright yellow 4 と同じであった。
【0030】
(コンストラクトの作製)
葉緑体形質転換に用いるコンストラクトを作製した。accD遺伝子の発現量は少ないので、本来のプロモーターを除去し、強いrrn16 プロモーターに組み換えた。また、形質転換体の選抜に葉緑体のタンパク質合成を阻害するスペクチノマイシンを用いるため、薬剤耐性遺伝子、aadA(aminoglycoside3"-adenylyltransferase)遺伝子を共に挿入した。更にコントロールとして、aadA遺伝子の挿入が植物体に害を与えないことを確認するため、aadA遺伝子のみを挿入するコンストラクトも作製した。
【0031】
accD遺伝子のプロモーターを組み換えるためのコンストラクトは図5である。accD遺伝子本来のプロモーターを除去し、rrn16 プロモーターに置き換えた。aadA遺伝子はrbcLとaccD遺伝子の間に挿入した。aadA遺伝子は上流にrrn16 のPEP用のプロモーター、下流にpsbA(PSII 32kDa protein)のターミネーターをつないだ(aadAカセットと呼ぶ)。aadA遺伝子のみを挿入するためのコンストラクトは図6である。本来のaccDプロモーターの上流にaadAカセットを挿入した。
【0032】
具体的な作製手順は次の通りである。rbcL遺伝子の構造遺伝子領域と3'下流領域を増幅した。Forward プライマー:5'-GTCGAGTAGACCTTGTTGTTGTGAG-3' :配列表の配列番号4)とReverse プライマー:5'-CCCGGGCGGCCGCGGAACCCCCTTTATATTAT-3':配列表の配列番号5)を用いた。Reverse プライマーは5'側にSmaI、NotI、SacII の制限酵素サイトを含む。プライマー増幅断片はpZErO-2.1 (Invitrogen)のEcoRV 部位にサブクローニングし、EcoRI とSmaIで消化した。DNA 断片を電気泳動で分離し、DNA 抽出キット(アマシャム・ファルマシア)により目的のDNA 断片を回収した。accD遺伝子は構造遺伝子領域と転写開始点を基準に-18 から+86 の領域を削除し、+87 から1674までを増幅した。Forward プライマー(5'-CCGCGGCCGCCCGGGGTCTGATAGGAAATAAG-3':配列表の配列番号6)とReverse プライマー(5'-GTCGACGTGCTCTACTTGATTTTGC-3' :配列表の配列番号7)を用いた。Forward プライマーは5'端にSacII 、NotI、SmaIを含み、Reverse プライマーは5'端にSalIサイトを含む。増幅断片はpZErO-2.1 (Invitrogen)のEcoRV 部位にサブクローニングし、SmaIとSalIで消化した。
【0033】
DNA 断片を電気泳動で分離し、DNA 抽出キットにより目的のDNA 断片を回収した。この断片をSmaIとSaI で消化したpUC18 と結合させた。次いで、このプラスミドをEcoRI とSmaIで消化し、上述のrbcL遺伝子の増幅、回収断片と結合させ、rbcL遺伝子とプロモーター領域の省かれたaccD遺伝子を含むプラスミドを作製した。rrn16 プロモーターはForward プライマー(5'-GTCGACGCTCCCCCGCCGTCGTTC-3':配列表の配列番号8)とReverse プライマー(5'-GGTACCCGGGATTCGGAATTGTCTTTC-3' :配列表の配列番号9)を用いて増幅した。Forward プライマーは5'端にSalIサイトを含み、Reverse プライマーは5'端にKpnIとSmaIサイトを含む。増幅断片はpZErO-2.1 のEcoRV 部位にサブクローニングし、SaIlとKpnIで消化した。DNA 断片を低融点のアガロースゲルで電気泳動して分離し、目的のDNA 断片をフェノール抽出後、回収した。この断片をSaIlとKpnIで消化したaadAカセットを含むpCT08 ベクターと結合させ、aadAカセットとrrn16 プロモーターを含むプラスミドを作製した。最後に、aadAカセットとrrn16 プロモーターを含むプラスミドをSmaIとNotIで消化し、DNA 断片を電気泳動で分離し、DNA 抽出キットによりDNA 断片を回収した。この断片をSmaIとNotIで消化したrbcL遺伝子とプロモーター領域の省かれたaccD遺伝子を含むプラスミドと結合させ、目的のコンストラクトを完成した(図5)。
【0034】
aadA遺伝子のみを挿入するコンストラクトは次のように作製した。Forward プライマー(5'-GTCGACAACATATTAATATATAGTG-3' :配列表の配列番号10)とReverse プライマー(5'-GTCGACGTGCTCTACTTGATTTTGC-3' :配列表の配列番号11)で本来のaccDプロモーターのついたaccD遺伝子を増幅した。Forward プライマーは5'端にSalIサイトを含み、Reverse プライマーは5'端にSalIサイトを含む。増幅断片はpZErO-2.1 のEcoRV 部位にサブクローニングし、SalIで消化した。DNA断片を電気泳動で分離し、DNA 抽出キットにより目的のDNA 断片を回収した。図5に示したドナーDNA をSalIで消化して、rrn16 プロモーターのついたaccD遺伝子を除去したプラスミドに、本来のプロモーターを持つaccDを結合させ、コンストラクトを完成した(図6)。各コンストラクトは全配列を確認後、キアゲンカラムで精製し、葉緑体の形質転換に用いた。
【0035】
(葉緑体の形質転換)
Maliga等(Proc. Natl. Acad. Sci. USA;90,913-917,1993)によって開発された系により葉緑体遺伝子の形質転換をした。滅菌処理したタバコ種子を薬剤を含まないRM培地(MS salts、30g/l sucrose 、6g/l Agar )で発芽させ、温度25℃、照度40μmol/m2・s 、16時間明所 / 8時間暗所の人工気象器で6-8 週間生育させた。アグリポットの丈ほどに生育した植物体の上部から3 、4 枚目の葉を形質転換に用いた。葉は濾紙をひいたRMOP培地(MS salts、0.005% FeEDTA 、1mg/lThiamine、0.1mg/l NAA 、1mg/l BAP 、100mg/l inositol、30g/l sucrose 、6g/l Agar )に背側を上部にしておき、葉脈や葉の周辺に切れ込みを入れて濾紙に完全に広げた。その状態で、25℃で一晩、クリーンベンチ内で放置した。パーティクルガンのボンバードメントで用いるタングステン粒子(1.1 μm )はエタノールで2 時間、95℃で処理後、超音波処理し、エタノールを除いて滅菌水に懸濁した。タングステン溶液50μl 、作製したコンストラクト10μg 分、2.5mM 塩化カルシウム50μl 、0.1mM スペルミジン20μl を混合し、4 ℃で30分間懸濁した。
【0036】
次いで、エタノールで3 回洗浄後、粒子を30μl のエタノールに懸濁した。これを5 回のボンバードメントに用いた。各コンストラクトは、一晩放置したタバコの葉10枚にボンバードメントした(1 回のボンバードメントに1 枚の葉を用いる)。パーティクルガンはBio-Rad のPDS1000He を使用した。サンプルは5 段目、ストッピングスクリーンは2 段目にセットした。27.5まで真空を引いた後、1100psi のラプチャーディスクを用いてボンバードメントした。ボンバードメント後、直ちに常圧に戻し、温度25℃、照度40μmol/m2・s 、16時間明所 / 8時間暗所の人工気象器で2 日間、葉をincubateした。その後、葉を5mm 四方に切り、500mg/l 濃度のスペクチノマイシンを含むRMOP培地に植えた。
【0037】
約1 ヶ月で緑色のシュートを形成した個体を500mg/l 濃度のスペクチノマイシンを含むRM培地に移植して発根させた。発根しなかったものは葉を切り、再びスペクチノマイシンを含むRMOP培地に植えて再分化を行った。形成されたシュートはスペクチノマイシンを含むRM培地に移植して発根させた。1-2 週間ほどで発根した個体はアグリポットの丈ほどに生育したところで数枚の葉をとり、ゲノムDNA を抽出、PCR によって挿入遺伝子を確認した。遺伝子が挿入された個体は腋芽をスペクチノマイシンを含むRM培地に移植して個体数を増やした。本研究ではaccDプロモーターを組み換えた形質転換株(accD高発現株)、aadA遺伝子のみを挿入した対照株(カセット導入株)ともに数系統の個体が得られた。
【0038】
(形質転換植物体のゲノミックサザン解析)
葉緑体ゲノムのコピー数は多く、細胞内で50から1 万コピーにもなる。葉緑体形質転換では、その全ての葉緑体ゲノムを組み換えることは困難で、形質転換体では野生型の葉緑体ゲノムと形質転換された葉緑体ゲノムの両方が混在することが多い。そこで、得られた形質転換体における野生型と形質転換型の葉緑体ゲノムの混在比をゲノミックサザンで調べた。
【0039】
アグリポットで生育した個体を土に移植し、薬剤の非存在下、温度25℃、照度300 μmol/m2・s 、12時間明所 / 12 時間暗所の温室で生育させた。3-4 枚の葉が形成されたところで、数系統の個体の葉、約500mg からCTAB(cetyltrimethylammonium bromide)法でゲノムDNA を抽出した。このゲノムDNA2μg をEcoRI で消化後、0.8%のアガロースゲルで電気泳動した。ゲルを酸処理、次いでアルカリ処理後、HybondN+膜(アマシャム・ファルマシア)に転写した。転写した膜は1%(w/v)PVP K30、1mM EDTA、500mM ナトリウムリン酸緩衝液(pH7.2) 、7%(w/v) SDS を含むハイブリダイゼイション溶液で1 時間、65℃で前処理後、32P で標識したプローブを2 ×106cpm/ml となるように溶液に加え、65℃で16時間ハイブリダイズした。プローブはaccD及びaadA遺伝子の全長を含む断片をBcaBest labeling kit(TAKARA)を用いて、α-32P dCTP で標識して作製した。ハイブリダイズ後、膜を0.1%SDS を含む2 ×SSPE(1 ×SSPE: 0.15M NaCl、10mM NaH2PO4[pH7.4]、1mM EDTA)で室温で15分、2 回洗浄後、Fuji Imaging Plateに一晩露出し、BAS2000 imaging analyzer(Fuji Film Co. )でシグナルを検出した。
【0040】
accD遺伝子は野生株では約4.3kbpに検出された(図7)。対照株(カセット導入株)、accD高発現株では薬剤遺伝子マーカーの挿入により野生株よりも約1.4kbp大きい、5.7kbpのバンドのみが検出され、目的の位置で相同組み換えが起こった遺伝子だけを確認した。更に、野生型の葉緑体ゲノムが増幅するプライマーを用いてPCR で確認しても増幅断片が検出されず、完全に葉緑体ゲノムが組み換わったことを確認した。aadA遺伝子は野生株では検出されない。対照株、accD高発現株では5.7kbpの位置に検出され、aadA遺伝子の挿入も確認した(図8)。
【0041】
(形質転換植物体のノザン解析)
accDのプロモーターが高発現のrrn16 プロモーターに置き換わったので、次にaccD遺伝子の発現量をノザン法で解析した。9 枚の葉をつけている植物体で解析した。野生株、対照株およびaccD高発現株の上部から2-4 枚目の葉を採取し、SDS-フェノール法により核酸を抽出した。得られた核酸画分からLiCl沈殿法により全RNA を回収した。各レーン1 μg の全RNA を0.66M ホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲルで電気泳動した。泳動後、ゲルをHybondN+膜に転写した。転写した膜は50%(v/v)ホルムアミド、6 ×SSPE、0.5%(w/v) SDS 、0.1mg/ml変性サケ精巣DNA 、5%(v/v) アイリッシュクリームを含むハイブリダイゼイション溶液で1時間、42℃で前処理後、32P で標識したプローブを2 ×106cpm/ml となるように溶液に加え、42℃で16時間ハイブリダイズした。プローブはaccD遺伝子の全長を含む断片をBcaBest labeling kitを用いて、α-32P dCTP で標識して作製した。ハイブリダイズ後、膜を0.1%SDS を含む2 ×SSPEで室温で15分、2 回、次いで0.1%SDS を含む2 ×SSPEで65℃、30分、2 回洗浄した。洗浄後、ハイブリダイズした膜は一晩、Fuji Imaging Plateに一晩露出し、BAS2000 imaging analyzer(Fuji Film Co. )でシグナルを検出した。
【0042】
野生株、対照株、accD高発現株すべてに2.3kb の転写産物が検出された(図9)。これは、すでに報告されているタバコaccD mRNA のサイズと一致している(EMBO J.16,4041-4048,1997)。野生株においてはmRNA量は少なく、対照株ではわずかに増加した。accD高発現株は発現量が莫大に増加した。accD遺伝子のプロモーターを高発現のプロモーターに組み換え、accD mRNA 量を増加させることに成功した。
【0043】
(形質転換植物体のウェスタン解析)
葉緑体ゲノムにあるaccD mRNA 量が増加したので、その翻訳産物CTβ(カルボキシルトランスフェラーゼβサブユニット)が増加するか調べた。同時に、核ゲノムにコードされる3 つのサブユニットであるCTα(カルボキシルトランスフェラーゼαサブユニット)、BC(ビオチンカルボキシラーゼ)及びBCCP(ビオチンカルボキシル担体タンパク質)も調べた。最終的にはアセチルCoA カルボキシラーゼ(ACCase)量を増加させなくてはならない。ACCaseが増加するには全てのサブユニットが増加しなければならない。ACCase活性を測定するのは難しいため、ここではウェスタンでACCaseの各サブユニット量について調べた。
【0044】
9 枚の葉をつけている植物体で解析した。野生株およびaccD高発現株の上部から2-4 枚目の葉を採取し、S-300 buffer(50mM Tris-HCl [pH8.0 ]、5mM アミノカプロン酸、1mM EDTA、1mM Benzamidine 、20mMβ-mercaptoethanol、1mM PMSF)で酸化アルミニウムを加えて粉砕し、タンパク質を抽出した。次いで、等量の2 ×SDS loading buffer(6% SDS、125mM Tris-HCl[pH6.8 ]、20% glycerol)を加えて、99℃、3 分間加熱後、遠心して上清を回収した。タンパク質の定量にはLowry 法に準じたDC Protein Assay(BIO-RAD )を用いた。SDS-PAGEの際にはβ-mercaptoethanol、BPB を加えて分離を行った(10% 分離ゲル濃度)。タンパク質は各レーン10μg を供した。泳動後、ゲルをニトロセルロース膜に転写、ブロッキングを行い、膜を各ポリクローナル抗体と反応させた(抗CTβ抗体は1000分の1 希釈、抗BC、CTα抗体は3000分の1 希釈で使用した)。反応後、膜を洗浄し、3000分の1 希釈した二次抗体(HRP 標識された抗ウサギ抗体)と反応させた。最後に膜を洗浄、ECL kit (アマシャム・ファルマシア)を用いてシグナルを検出した。BCCPは転写、ブロッキング後に1000分の1 希釈のHRP 標識されたストレプトアビジンと反応させ、洗浄した後、ECL kit を用いてシグナルを検出した。
【0045】
CTβは、accD高発現株で野生株よりも増加していることを確認した(図10)。また核ゲノムコードのサブユニットタンパク質(BC、BCCP、CTα)もすべてaccD高発現株で野生株よりも増加していることを確認した。accD高発現株ですべてのサブユニットが増加し、最終的に原核細胞型ACCase量を増加させることに成功した。
【0046】
(脂肪酸含量のガスクロマトグラフィー分析)
ACCase量の増加で脂肪酸合成が盛んになり、種子において油量が増加するか解析した。野生株、対照株およびaccD高発現株から得られた種子において、油の主成分である脂肪酸の量をガスクロマトグラフィーで分析した。
各株の種子50個に5%塩酸- メタノール250 μl を加え、80℃で1.5 時間処理して脂肪酸をメチルエステルにした。反応後、1.5ml の0.9%(w/v) 塩化ナトリウム、0.5ml のヘキサンを加えてメチル化された脂肪酸を抽出した。ヘキサン層を回収し、その溶液1 μl をガスクロマトグラフィー分析に用いた。機種はGL-353(GL Sciences Inc.)、キャピラリーカラムはCP-sil88(0.25mm×50m )を用いた。カラム圧160kPa、温度190 ℃、時間15分で分析した。
【0047】
タバコの種子において、C16:0 、C18:0 、C18:1 、C18:2 、c18:3 の脂肪酸を検出した。検出したピークから脂肪酸量を算出し、乾燥種子当たりの脂肪酸含量を比較した(表1)。野生株の種子における脂肪酸含量は平均42.5mg/g dry wt.であった。対照株の種子は平均43.3mg/g dry wt.で野生株と同等の値を示した。accD高発現株の種子は平均47.6mg/g dry wt.で、野生株よりも12% 程の脂肪酸含量の増加を確認した。最も脂肪酸含量の多かった株D では22% 増加した。これはナタネにおいて真核型ACCaseに葉緑体移行シグナルをつけて高発現させた植物体よりも高い数値である(5%の増加が確認されている)。よって、本発明において、ではaccDを高発現し、ACCase量が増加、そして種子油の蓄積量が増加する植物体が提供された。
【0048】
【表1】
JP0003656104B2_000002t.gif【0049】
(形質転換体の表現型)
accDプロモーターがrrn16 の両プロモーターに置き換わった植物体の表現型を観察した。成長速度、草丈、葉の大きさは野生株、対照株と同じであったが、葉の老化において違いが見られた(図11)。成長期(12週齢)の野生株、対照株では下部の葉が老化して黄色くなる(図11、野生株、対照株の矢印)。accD高発現株は緑色のまま(図11、accD高発現株の矢印)で、株の葉の老化は7日から10日程遅れて始まった。accD高発現株の葉は寿命が延びた。
【0050】
(形質転換植物体の葉緑体の観察)
accD高発現株でACCase量が増加し、また葉の寿命が延びるという現象が見られたので、この葉の葉緑体を電子顕微鏡で観察した。12週齢の植物体の成熟葉を5%(v/v) グルタルアルデヒドを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2) で8時間固定後、2%(v/v) 四酸化オスミウム溶液で後固定した。次いでアセトンシリーズで脱水後、Epon812 樹脂に包埋した。超薄切片は2%酢酸ウラシルとクエン酸鉛で染色し、電子顕微鏡で観察した。図12に野生株における結果、図13にaccD高発現株における結果を示す。accD高発現株の葉の葉緑体では、澱粉粒が小さくなり(図13、黒矢印)、多くの油滴(図13、白矢印)が観察された。ACCase量の増加により、葉の葉緑体で澱粉が減少し、油が増加することが分かった。
【0051】
(葉の脂肪酸含量および澱粉含量の分析)
accD高発現株の葉での澱粉の減少、油の増加を確認する為に、脂肪酸量と澱粉量の化学分析をした。油の主成分である脂肪酸の量は以下の様に分析した。各株の葉の組織片(直径 4.8mmの組織片を4枚)に5%塩酸- メタノール250 μl を加え、80℃で1.5 時間処理して脂肪酸をメチルエステルにした。反応後、1.5ml の0.9%(w/v) 塩化ナトリウム、0.5ml のヘキサンを加えてメチル化された脂肪酸を抽出した。ヘキサン層を回収し、その溶液1 μl をガスクロマトグラフィー分析に用いた。機種はGL-353(GL Sciences Inc.)、キャピラリーカラムはCP-sil88(0.25mm×50m )を用いた。カラム圧160kPa、温度190 ℃、時間15分で分析した。
【0052】
澱粉量は以下の様に分析した。各株の葉の組織片(直径4.8mm の組織片を1枚)を80% エタノール中で潰し、80℃で1時間加温した。この操作を2回繰り返した。残さに0.2N水酸化ナトリウム溶液を加え、95℃で1時間加温後、酢酸で中和し、上清を回収した(澱粉画分とする)。澱粉画分をα- アミラーゼ(pH5.2 、37℃、30分間)、アミログルコシダーゼ(pH4.6 、55℃、1時間)で処理して単糖に分解した。次いで、この単糖を反応バッファー(100mM イミダゾール、1.5mM 塩化マグネシウム、1.1mM ATP 、0.5mM β-NADP+)中、30℃でグルコース6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼと反応し、340nm の吸光度を測定し、その数値から澱粉量を算出した。検量線の作成にはグルコース溶液を用いた。脂肪酸、澱粉量共に4分析(2株から2分析)し、平均値を出した。
【0053】
タバコの葉において、C16:0 、C18:0 、C18:1 、C18:2 、C18:3 の脂肪酸が検出された。検出したピークから脂肪酸量を算出し、生重量あたりの脂肪酸含量を比較した。澱粉量も生重量当たりの含量で比較した。対照株の含量は脂肪酸含量:3.9 μg/mg fresh weight (新鮮重量)、澱粉含量:182 μg/mg fresh weight (新鮮重量)であった。これらの値を1.0 とし、相対値で表した。脂肪酸含量の結果を図14に、澱粉含量の結果を図15に示す。accD高発現株で脂肪酸含量は1割程増加、澱粉含量は0.7 割程減少した。ACCase量の増加により、葉において澱粉が減少し、脂肪酸が増加することを確認した。
【0054】
(種子の脂肪酸含量、澱粉含量の分析)
accD高発現株の葉で寿命が延びると、長い間光合成が行われ、貯蔵器官である種子の数の増加が期待される。更に、ACCase量の増加により種子においても澱粉含量が減少し、脂肪酸含量が増加する可能性がある。そこで種子あたりと植物あたりの脂肪酸、澱粉含量を分析した。
【0055】
株ごとに全ての種子を集め、その中から脂肪酸含量は種子50個を用い、葉と同様の方法で定量した。種子において、C16:0 、C18:0 、C18:1 、C18:2 、C18:3の脂肪酸を検出した。検出したピークから脂肪酸量を算出した。澱粉量は種子100 個を用い、Starch assay kit (Sigma)の手順に従って定量した。脂肪酸、澱粉量共に1株につき3分析した。対照株は3株、accD高発現株A は4株、accD高発現株B は3株分析し、平均値を出した。
【0056】
対照株の乾燥種子1000個当たりの脂肪酸は3.8mg 、澱粉は0.4mg であった。これらの値を1.0 として比較した。脂肪酸含量の結果を図16に、澱粉含量の結果を図17に示す。accD高発現株の種子で脂肪酸含量は4割程増加、澱粉含量は2割程減少した。葉と同様に、ACCase量の増加により、種子においても澱粉が減少し、脂肪酸が増加することを確認した。
【0057】
次に植物体当たりの含量を比較した。脂肪酸含量の結果を図18に、澱粉含量の結果を図19に、分配を検討した結果を図20に示す。植物体当たりの種子数の平均は、対照株は5200個(3株の平均)、accD高発現株A1は13000 個(4株の平均)、A2は9000個(3株の平均)であった。accD高発現株は種子数が1.7-2.5倍増加した。この数値から植物体当たりの含量を算出したところ、全脂肪酸量は2.3-3.3 倍増加した。全澱粉量も1.4-1.9 倍増加した。植物体全体で脂肪酸と澱粉の割合を比較すると、accD高発現株では脂肪酸の比率が大きくなることを確認した。ACCase量の増加により澱粉と脂肪酸の分配を変化させ、種子当たりの脂肪酸含量を増加させることに成功した。また、葉の寿命を延ばし、植物体の種子数を増加させ、最終的に植物体あたりの脂肪酸量を増加させることにも成功した。種子の脂肪酸は大部分油として存在するので、油含量が飛躍的に増加した。
【0058】
更に本発明において、accDを高発現してACCase量が増加した植物体の作出に成功した。そして、その植物体の葉は寿命が延び、長い間、光合成を行うことができるため、貯蔵器官である種子の数が増加した。また、ACCase量増加により脂肪酸合成が盛んになり、澱粉の割合が減少した。つまり光合成産物の分配が変化した。これらの成果により、植物体当たりの脂肪酸含量を増加させることに成功した。本発明は、今後の更なる改良で、より脂肪酸含量を増加させることが可能となると考えられる。また、作物、園芸植物、観葉植物などに応用可能な新技術である。
【0059】
【発明の効果】
本発明により、植物において脂肪酸合成を促進させるための、新規な方法が与えられた。大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼaccD遺伝子の上流に、葉緑体において高発現している遺伝子のプロモーター配列を葉緑体形質転換法により導入することにより、accD遺伝子がコードするカルボキシルトランスフェラーゼβサブユニット蛋白質の量を増強した。それに伴い、アセチルCoA カルボキシラーゼを構成する他のサブユニットの蛋白質量もまた増加した。アセチルCoA カルボキシラーゼは脂肪酸合成の鍵酵素であるため、本発明の方法により脂肪酸合成を促進させることが可能である。本発明の方法により作製された形質転換植物は顕著な脂肪酸合成の促進を示した。また葉の寿命が延び、多数の種子を結実し、植物体の生産力が向上した。
【0060】
【配列表】
<110>出願人氏名:奈良先端科学技術大学院大学長
<120>発明の名称:植物において脂肪酸合成を促進させる方法
<160>配列の数:11
<210>配列番号:1
<211>配列の長さ:1830
<212>配列の型:核酸
<213>起源:N.tabacum cv.Xanthi
<400>配列
CGAATTTGAC ACGACATAGG AGAAGCCGCC CTTTATTAAA AATTATATTA TTTTAAATAA 60
TATAAAGGGG GTTCCAACAT ATTAATATAT AGTGAAGTGT TCCCCCAGAT TCAGAACTTT 120
TTTTCAATAC TCACAATCCT TATTAGTTAA TAATCCTAGT GATTGGATTT CTATGCTTAG 180
TCTGATAGGA AATAAGATAT TCAAATAAAT AATTTTATAG CGAATGACTA TTCATCTATT 240
GTATTTTCAT GCAAATAGGG GGCAAGAAAA CTCTATGGAA AGATGGTGGT TTAATTCGAT 300
GTTGTTTAAG AAGGAGTTCG AACGCAGGTG TGGGCTAAAT AAATCAATGG GCAGTCTTGG 360
TCCTATTGAA AATACCAATG AAGATCCAAA TCGAAAAGTG AAAAACATTC ATAGTTGGAG 420
GAATCGTGAC AATTCTAGTT GCAGTAATGT TGATTATTTA TTCGGCGTTA AAGACATTCG 480
GAATTTCATC TCTGATGACA CTTTTTTAGT TAGTGATAGG AATGGAGACA GTTATTCCAT 540
CTATTTTGAT ATTGAAAATC ATATTTTTGA GATTGACAAC GATCATTCTT TTCTGAGTGA 600
ACTAGAAAGT TCTTTTTATA GTTATCGAAA CTCGAATTAT CGGAATAATG GATTTAGGGG 660
CGAAGATCCC TACTATAATT CTTACATGTA TGATACTCAA TATAGTTGGA ATAATCACAT 720
TAATAGTTGC ATTGATAGTT ATCTTCAGTC TCAAATCTGT ATAGATACTT CCATTATAAG 780
TGGTAGTGAG AATTACGGTG ACAGTTACAT TTATAGGGCC GTTTGTGGTG GTGAAAGTCG 840
AAATAGTAGT GAAAACGAGG GTTCCAGTAG ACGAACTCGC ACGAAGGGCA GTGATTTAAC 900
TATAAGAGAA AGTTCTAATG ATCTCGAGGT AACTCAAAAA TACAGGCATT TGTGGGTTCA 960
ATGCGAAAAT TGTTATGGAT TAAATTATAA GAAATTTTTG AAATCAAAAA TGAATATTTG 1020
TGAACAATGT GGATATCATT TGAAAATGAG TAGTTCAGAT AGAATTGAAC TTTTGATCGA 1080
TCCGGGTACT TGGGATCCTA TGGATGAAGA CATGGTCTCT CTAGATCCCA TTGAATTTCA 1140
TTCGGAGGAG GAGCCTTATA AAGATCGTAT TGATTCTTAT CAAAGAAAGA CAGGATTAAC 1200
CGAGGCTGTT CAAACAGGCA TAGGCCAACT AAACGGCATT CCCGTAGCAA TTGGGGTTAT 1260
GGATTTTCAG TTTATGGGGG GTAGTATGGG ATCCGTAGTC GGAGAGAAAA TCACCCGTTT 1320
GATTGAATAC GCTGCCAATC AAATTTTACC CCTTATTATA GTGTGTGCTT CTGGGGGGGC 1380
GCGCATGCAG GAAGGAAGTT TGAGCTTGAT GCAAATGGCT AAAATATCGT CTGCTTTATA 1440
TGATTATCAA TTAAATAAAA AGTTATTTTA TGTATCAATC CTTACATCTC CGACAACTGG 1500
TGGAGTGACA GCTAGTTTTG GTATGTTGGG GGATATCATT ATTGCCGAAC CCAACGCCTA 1560
CATTGCATTT GCAGGTAAAA GAGTAATTGA ACAAACATTG AATAAAACAG TACCCGAAGG 1620
TTCACAAGCA GCTGAATACT TATTCCAGAA GGGTTTATTC GACCTAATTG TACCACGTAA 1680
TCTTTTAAAA AGCGTTCTGA GTGAGTTATT TAAGCTCCAC GCCTTTTTTC CTTTGAATCA 1740
AAAGTCAAGC AAAATCAAGT AGAGCACTAA GTTCAATTAT TTTATTTGTG TTTGTAGCAA 1800
AAAAGTAGTT AGTTTGTCGG AATCAAAGTA 1830
<210>配列番号:2
<211>配列の長さ:2150
<212>配列の型:核酸
<213>起源:N.tabacum cv.Xanthi
<400>配列
GTCGAGTAGA CCTTGTTGTT GTGAGAATTC TTAATTCATG AGTTGTAGGG AGGGATTTAT 60
GTCACCACAA ACAGAGACTA AAGCAAGTGT TGGATTCAAA GCTGGTGTTA AAGAGTACAA 120
ATTGACTTAT TATACTCCTG AGTACCAAAC CAAGGATACT GATATATTGG CAGCATTCCG 180
AGTAACTCCT CAACCTGGAG TTCCACCTGA AGAAGCAGGG GCCGCGGTAG CTGCCGAATC 240
TTCTACTGGT ACATGGACAA CTGTATGGAC CGATGGACTT ACCAGCCTTG ATCGTTACAA 300
AGGGCGATGC TACCGCATCG AGCGTGTTGT TGGAGAAAAA GATCAATATA TTGCTTATGT 360
AGCTTACCCT TTAGACCTTT TTGAAGAAGG TTCTGTTACC AACATGTTTA CTTCCATTGT 420
AGGTAACGTA TTTGGGTTCA AAGCCCTGCG CGCTCTACGT CTGGAAGATC TGCGAATCCC 480
TCCTGCTTAT GTTAAAACTT TCCAAGGTCC GCCTCATGGG ATCCAAGTTG AAAGAGATAA 540
ATTGAACAAG TATGGTCGTC CCCTGTTGGG ATGTACTATT AAACCTAAAT TGGGGTTATC 600
TGCTAAAAAC TACGGTAGAG CTGTTTATGA ATGTCTTCGC GGTGGACTTG ATTTTACCAA 660
AGATGATGAG AACGTGAACT CACAACCATT TATGCGTTGG AGAGATCGTT TCTTATTTTG 720
TGCCGAAGCA CTTTATAAAG CACAGGCTGA AACAGGTGAA ATCAAAGGGC ATTACTTGAA 780
TGCTACTGCA GGTACATGCG AAGAAATGAT CAAAAGAGCT GTATTTGCTA GAGAATTGGG 840
CGTTCCGATC GTAATGCATG ACTACTTAAC GGGGGGATTC ACCGCAAATA CTAGCTTGGC 900
TCATTATTGC CGAGATAATG GTCTACTTCT TCACATCCAC CGTGCAATGC ATGCGGTTAT 960
TGATAGACAG AAGAATCATG GTATCCACTT CCGGGTATTA GCAAAAGCGT TACGTATGTC 1020
TGGTGGAGAT CATATTCACT CTGGTACCGT AGTAGGTAAA CTTGAAGGTG AAAGAGACAT 1080
AACTTTGGGC TTTGTTGATT TACTGCGTGA TGATTTTGTT GAACAAGATC GAAGTCGCGG 1140
TATTTATTTC ACTCAAGATT GGGTCTCTTT ACCAGGTGTT CTACCCGTGG CTTCAGGAGG 1200
TATTCACGTT TGGCATATGC CTGCTCTGAC CGAGATCTTT GGGGATGATT CCGTACTACA 1260
GTTCGGTGGA GGAACTTTAG GACATCCTTG GGGTAATGCG CCAGGTGCCG TAGCTAATCG 1320
AGTAGCTCTA GAAGCATGTG TAAAAGCTCG TAATGAAGGA CGTGATCTTG CTCAGGAAGG 1380
TAATGAAATT ATTCGCGAGG CTTGCAAATG GAGCCCGGAA CTAGCTGCTG CTTGTGAAGT 1440
ATGGAAAGAG ATCGTATTTA ATTTTGCAGC AGTGGACGTT TTGGATAAGT AAAAACAGTA 1500
GACATTAGCA GATAAATTAG CAGGAAATAA AGAAGGATAA GGAGAAAGAA CTCAAGTAAT 1560
TATCCTTCGT TCTCTTAATT GAATTGCAAT TAAACTCGGC CCAATCTTTT ACTAAAAGGA 1620
TTGAGCCGAA TACAACAAAG ATTCTATTGC ATATATTTTG ACTAAGTATA TACTTACCTA 1680
GATATACAAG ATTTGAAATA CAAAATCTAG AAAACTAAAT CAAAATCTAA GACTCAAATC 1740
TTTCTATTGT TGTCTTGGAT CCACAATTAA TCCTACGGAT CCTTAGGATT GGTATATTCT 1800
TTTCTATCCT GTAGTTTGTA GTTTCCCTGA ATCAAGCCAA GTATCACACC TCTTTCTACC 1860
CATCCTGTAT ATTGTCCCCT TTGTTCCGTG TTGAAATAGA ACCTTAATTT ATTACTTATT 1920
TTTTTATTAA ATTTTAGATT TGTTAGTGAT TAGATATTAG TATTAGACGA GATTTTACGA 1980
AACAATTATT TTTTTATTTC TTTATAGGAG AGGACAAATC TCTTTTTTCG ATGCGAATTT 2040
GACACGACAT AGGAGAAGCC GCCCTTTATT AAAAATTATA TTATTTTAAA TAATATAAAG 2100
GGGGTTCCAA CATATTAATA TATAGTGAAG TGTTCCCCCA GATTCAGAAC 2150
<210>配列番号:3
<211>配列の長さ:220
<212>配列の型:核酸
<213>起源:N.tabacum cv.Xanthi
<400>配列
GCCCAATGTG AGTTTTTCTA GTTGGATTTG CTCCCCCGCC GTCGTTCAAT GAGAATGGAT 60
AAGAGGCTCG TGGGATTGAC GTGAGGGGGC AGGGATGGCT ATATTTCTGG GAGCGAACTC 120
CGGGCGAATA TGAAGCGCAT GGATACAAGT TATGCCTTGG AATGAAAGAC AATTCCGAAT 180
CCGCTTTGTC TACGAACAAG GAAGCTATAA GTAATGCAAC 220
<210>配列番号:4
<211>配列の長さ:25
<212>配列の型:核酸
<213>起源:人工的な配列
<400>配列
GTCGAGTAGA CCTTGTTGTT GTGAG
<210>配列番号:5
<211>配列の長さ:32
<212>配列の型:核酸
<213>起源:人工的な配列
<400>配列
CCCGGGCGGC CGCGGAACCC CCTTTATATT AT
<210>配列番号:6
<211>配列の長さ:32
<212>配列の型:核酸
<213>起源:人工的な配列
<400>配列
CCGCGGCCGC CCGGGGTCTG ATAGGAAATA AG
<210>配列番号:7
<211>配列の長さ:25
<212>配列の型:核酸
<213>起源:人工的な配列
<400>配列
GTCGACGTGC TCTACTTGAT TTTGC
<210>配列番号:8
<211>配列の長さ:24
<212>配列の型:核酸
<213>起源:人工的な配列
<400>配列
GTCGACGCTC CCCCGCCGTC GTTC
<210>配列番号:9
<211>配列の長さ:27
<212>配列の型:核酸
<213>起源:人工的な配列
<400>配列
GGTACCCGGG ATTCGGAATT GTCTTTC
<210>配列番号:10
<211>配列の長さ:25
<212>配列の型:核酸
<213>起源:人工的な配列
<400>配列
GTCGACAACA TATTAATATA TAGTG
<210>配列番号:11
<211>配列の長さ:25
<212>配列の型:核酸
<213>起源:人工的な配列
<400>配列
GTCGACGTGC TCTACTTGAT TTTGC
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、大腸菌型アセチルCoA カルボキシラーゼと動物型アセチルCoA カルボキシラーゼの構造を示す、模式図である。
【図2】 図2は、accDの構造遺伝子領域及び5’上流領域配列を示す図である。
【図3】 図3は、rbcLの構造遺伝子領域及び3’下流領域配列を示す図である。
【図4】 図4は、rrn16 プロモーター配列を示す図である。
【図5】 図5は、accD高発現株の作成に使用する、accDプロモーター改変用コンストラクトの構造を示す、模式図である。
【図6】 図6は、対照株の作成に使用する、コントロール用コンストラクトの構造を示す、模式図である。
【図7】 図7は、ゲノミックサザンブロット解析により、accD遺伝子の導入の検討を行った写真である。
【図8】 図8は、ゲノミックサザンブロット解析により、aadA遺伝子の導入の検討を行った写真である。
【図9】 図9は、ノザンブロット解析により、accD遺伝子の発現の検討を行った写真である。
【図10】 図10は、ウエスタンブロット解析により、アセチルCoA カルボキシラーゼの各サブユニットの発現の検討を行った写真である。
【図11】 図11は、形質転換植物体の表現型を示す、12週齢の植物体の写真である。
【図12】 図12は、野生株の葉緑体における澱粉粒と油滴の分布を示す、電子顕微鏡写真である。
【図13】 図13は、accD高発現株の葉緑体における澱粉粒と油滴の分布を示す、電子顕微鏡写真である。
【図14】 図14は、葉において脂肪酸含量の分析を行った結果のグラフである。
【図15】 図15は、葉において澱粉含量の分析を行った結果のグラフである。
【図16】 図16は、種子において脂肪酸含量の分析を行った結果のグラフである。
【図17】 図17は、種子において澱粉含量の分析を行った結果のグラフである。
【図18】 図18は、植物体あたり(全種子)の脂肪酸含量を示すグラフである。
【図19】 図19は、植物体あたり(全種子)の澱粉含量を示すグラフである。
【図20】 図20は、脂肪酸と澱粉の分配を、全脂肪酸含量と全澱粉含量の比率で示すグラフである。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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