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明細書 :動物の糞尿収集方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3820564号 (P3820564)
公開番号 特開2003-180181 (P2003-180181A)
登録日 平成18年6月30日(2006.6.30)
発行日 平成18年9月13日(2006.9.13)
公開日 平成15年7月2日(2003.7.2)
発明の名称または考案の名称 動物の糞尿収集方法及び装置
国際特許分類 A01K   1/01        (2006.01)
FI A01K 1/01 F
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2001-382576 (P2001-382576)
出願日 平成13年12月17日(2001.12.17)
審査請求日 平成16年11月18日(2004.11.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】502248614
【氏名又は名称】北海道開発局長
【識別番号】500453980
【氏名又は名称】財団法人日本グラウンドワーク協会
発明者または考案者 【氏名】堀 井 清 之
【氏名】金▲蔵▼法 義
個別代理人の代理人 【識別番号】100071696、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 敏忠
【識別番号】100090000、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 敏邦
審査官 【審査官】坂田 誠
参考文献・文献 特開平3-166408(JP,A)
特開平11-128902(JP,A)
特開昭62-236431(JP,A)
実開昭59-159263(JP,U)
調査した分野 A01K 1/01
B09C
E01C
E02B 11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
動物が飼育される牧場に貯蔵部を形成し、その貯蔵部と連絡するように透水性のパイプを貯蔵部に向って下方に傾斜するよう地中に形成すると共に、その透水性パイプの少なくとも上部に所定巾の透水剤の透水ラインを形成し、もって、牧場内の動物の糞尿の液体分を前記貯蔵部に収集することを特徴とする動物糞尿収集方法。
【請求項2】
動物が飼育される牧場に貯蔵部を形成し、その貯蔵部に連絡するよう透水性のパイプを立坑に向って下方に傾斜するように地中に形成し、牧場の面積部分に透水剤の透水ラインを形成し、それらの透水ラインは前記パイプと交差しており、もって牧場内の動物の糞尿の液体分を貯蔵部に収集することを特徴とする動物の糞尿収集方法。
【請求項3】
動物が飼育される牧場に形成された貯蔵部を備え、その貯蔵部には地中に設置した複数の透水性パイプが貯蔵部に向って下方に傾斜して当該貯蔵部に連絡されており、その透水性パイプの少なくとも上部に所定巾の透水剤の透水ラインが設けられていることを特徴とする動物の糞尿収集装置。
【請求項4】
動物が飼育される牧場に形成された貯蔵部を備え、その貯蔵部には地中に設置した複数の透水性パイプが貯蔵部に向って下方に傾斜して放射状に連結されており、牧場の面積部分に設けた透水剤の透水ラインが少なくとも1つの前記透水性パイプと交差して設けられていることを特徴とする動物の糞尿収集装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば、牛、馬、羊その他の動物を放牧する際の糞尿の収集方法及びその方法を実施するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば牛舎等の建造物内で牛を飼育する場合、飼育面積が比較的に限定されているので、糞尿の処理は容易に行うことができる。しかしながら、放牧場のように比較的に広い面積部分に対しては特別な対策はなされていない。
【0003】
最近、生産性の向上のために一頭当りの面積が小さくなり、例えば牛の場合は移動が限られているが、それでも過密な状態となると、動物が排出する糞尿によって地下水が汚染されたり、悪臭等の公害問題を発生するおそれがある。
【0004】
特に糞尿による液体分は放牧場等で地中に浸透すると従来は対処できなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、放牧場等の屋外において、動物の糞尿の液体分を比較的容易に収集できる方法及び装置を提供するにある。
本発明の他の目的は放牧場等の屋外において地下に糞尿から液体の収集場を作る方法及び装置を提供するにある。
また本発明の別の目的は、動物の糞尿が河川に流入して河川が富栄養化することを防止することにある。
【0006】
そして本発明は、開放系(オープンスペース)の環境保全に有効なシステムを提案することを企図しているのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による動物の糞尿収集方法によれば、動物が飼育される牧場に貯蔵部を形成し(例えば立坑を立設し)、その貯蔵部(あるいは貯溜部、例えば立坑1)と連絡するように透水性のパイプを貯蔵部に向って下方に傾斜するよう地中に形成すると共に、その透水性パイプの少なくとも上部に所定部の透水剤の透水ラインを形成し、もって、牧場内の動物の糞尿の液体分を貯蔵部に収集するように構成されている。
【0008】
また本発明の動物の糞尿収集方法によれば、動物が飼育される牧場に貯蔵部を形成し(立坑を立設し)、その貯蔵部(あるいは貯溜部、例えば立坑1)に連絡するように透水性のパイプを貯蔵部に向って下方に傾斜するように地中に形成し、牧場の面積部分に透水剤の透水ラインを形成し、それらの透水ラインは前記パイプと交差しており、もって牧場内の動物の糞尿の液体分と貯蔵部に収集するようになっている。
【0009】
本発明の動物の糞尿収集装置によれば、動物が飼育される牧場に形成された貯蔵部(牧場に立設された立坑)を備え、その貯蔵部(あるいは貯溜部、例えば立坑1)には地中に設置した複数の透水性パイプが貯蔵部に向って下方に傾斜して貯蔵部に連絡されており、その透水性パイプの少なくとも上部に所定巾の透水剤の透水ラインが設けられている。
【0010】
さらに本発明の動物の糞尿収集装置によれば、動物が飼育される牧場に形成された貯蔵部(牧場に立設された立坑)を備え、その貯蔵部(あるいは貯溜部、例えば立坑1)には地中に設置した複数の透水性パイプが貯蔵部(立坑)に向って下方に傾斜して放射状に連結されており、牧場の面積部分に設けた透水剤の透水ラインが少なくとも1つの前記透水性パイプと交差して設けられている。
【0011】
かかる構成を具備する本発明によれば、動物の糞尿中の液体分は地中に浸み込み、そして透水ラインに流れ込む。そして透水ラインは透水パイプと一致しているか又は交差しているので、透水ラインに流れた液体分は透水パイプに流入し、この透水パイプは貯蔵部(あるいは貯溜部、例えば立坑)に向って傾斜しているので最終的に前記貯蔵部に収集できる。
【0012】
このように牧場内の動物の糞尿の液体分は実質的に貯蔵部(あるいは貯溜部、例えば立坑)に集められ、貯蔵部に集められた液体分は例えばバキュームカーで吸引して外部で処理すればよい。
【0013】
例えば牛の牧場の場合、牛の飼料を与える場所に牛が集まる傾向があるので、その付近は透水ラインを比較的に密に形成するのがよい。
【0014】
ここで、前記透水剤としては、粒状、チップ状、その他の透水剤を用いることが出来る。例えば、モミガラや木片チップ、木材のおがくず、砂等を、透水剤として利用することが可能である。
【0015】
本発明の実施に際して、透水性のパイプは公知の装置を用いてシート状のものからパイプ状に形成すると同時に作業機械で地中に埋設することができる。
【0016】
また透水剤の透水ラインは暗渠でも開渠でも、掘削と同時に粒状透水剤を作業機械から透水ラインに充填することができる。したがって収集装置の構築も容易にできる。
そして本発明によれば、放牧場のようなオープンスペースの環境保全に極めて有効なシステムが提供されるのである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明を実施した牧場を一部断面で示しており、牧場Fには多数の牛Cが放牧されている。そして牧場Fの適所(ほぼ中央が好ましい)に貯溜部を構成する立坑1が地表面Sから下方に穿設されている。そして立坑1の下部には例えばモルタル基礎のような非透水部材2が設けられている。
【0018】
なお、土質によっても異なるが、この立坑1には必要に応じて図示しないパイプを挿入してもよい。
【0019】
この立坑1に対して放射状に複数の透水ライン3が構成され、連絡している。この透水ライン3は立坑1に向って透水性を向上させるために若干傾斜している。この透水ライン3の平面配置の一例は図2に示されており、その断面形状の一例は図3に示されている。
【0020】
図3に示す透水ライン3は暗渠として実施された例であり、後述のように地中に掘削したチューブ状の空間5とその空間5内に設けた透水パイプ4とその透水パイプ4と空間5の壁との間に設けた粒状透水剤6とで構成されている。このパイプ4は液体は通すが固形物は通さない透水性材料、例えばネット、不織布、織布等の任意適宜の公知の材料を用いることができる。また、粒状透水剤6としてはモミガラ、木材(例えば、木材のおがくず)、各種チップ、砂等を用いることができる。
【0021】
このように構成された透水ライン3は図2に示すように立坑1を中心として放射状に配置されている。
【0022】
透水ライン3は図3に示す暗渠ではなくて図4に示す開渠として実施できる。図4において、地表面Sから断面V字形の穴7を掘削し、その底部7aにパイプ4を設置し、穴7内に粒状透水剤6を充填したものである。しかしながら、この穴7は必ずしも断面V字状に掘削する必要はなく、U字状、四角形状等掘削しやすい任意の形状でよく、またパイプ4も複数本設置してもよい。すなわち穴7が開渠としての透水ラインを形成している。
【0023】
以上はパイプ4が粒状透水剤6のラインの中に設けられた例であるが、本発明の実施に際して必ずしも両者を一致させる必要がない。図5、図6には粒状透水剤6のラインがパイプ4とは別個に配置され両者は少なくとも1ケ所で交差している。
【0024】
図5に示す例では立坑1に対して放射状にパイプ4が連絡している点は図2の例と同じであるが、粒状透水剤6の透水ライン8が碁盤目状に配置されている。この粒状透水剤6は図3のように暗渠として構成してもよく、あるいは図4のように開渠として単に穴7内に充填させてもよい。そしてこのライン8は必ずパイプ4と交差している。
【0025】
図6は粒状透水剤6の透水ラインの異なる例を示している。中心の立坑1に対して放射状にパイプ4が連絡している点は同じであるが、外側に円状の粒状透水剤6の透水ライン9aが設けられ、その円状の透水ライン9aの中に弦状に多数の透水ライン9bを設けてある。
【0026】
したがって、牧場F内の動物から排出された糞尿の液体分は粒状透水剤の透水ライン3、8、9、9aに流れ、そしてパイプ4に流入し、立坑1に流れて貯溜される。そして貯溜された液体分は例えば適時バキュームカー等で吸引して所定の処理を行って排出すればよい。
【0027】
粒状透水剤のラインは開渠の場合、動物の足が穴に落ち込むことがないように地表面と同一面に形成するのが好ましい。
暗渠の場合は土厚に耐えて空間5を維持するに足るように充填し、空間の直径を大きくすれば広範囲の集水効果を得ることができる。
【0028】
本発明の立坑1は任意の手段を用いて掘削することができるが、例えば図7に示す立坑掘削機Mを用い、クラブを円周方向に正転逆転を繰返すことにより地中に挿入し、その後クラブCrで内部の泥砂を取り除き、底面にコンクリート2を打設する。この掘削機Mは例えば特許第2920106号公報に記載のものを実施できる。
【0029】
図8は図3の透水ライン3を構築する態様を示している。あらかじめ立坑1から放射方向に一番離れた位置に図示しない穴を掘削しておき、パイプ4を形成するためのシートのロールRを設置しておく。このシートは公知の態様で引張ることによってパイプ状に形成されてパイプ4となる。したがってロールRの下端は実質的にパイプ4の埋設深さの所である。そしてパイプ4に傾斜をつけるためにアタッチメント11は作業車の進行に伴って下方に動かすようにする。
【0030】
地表面Sを走行する作業車10にはその進行方向後端に地中に挿入されて前記パイプ4を矢印方向に引張るアタッチメント11を有している。空間5を形成するには、例えば機械的な円形状の掘削機、例えばコーン状の刃を設けることもできるが、所定方向にウォータジェットを噴射して空間5を形成してもよい。また作業車には粒状透水剤、例えばモミガラの貯溜部12を備え、空間5内に粒状透水剤を充填するようになっている。
【0031】
そしてアタッチメント11の中間の巾だけ地表面Sに溝Gが形成されるが、巾が狭いのでそのままに残しておいても問題がなく、いずれ周囲の土砂で埋ってしまうが、必要があれば埋戻してもよい。
【0032】
図4に示す開渠の場合は、前記作業車10のアタッチメント11に所定の断面形状を有する掘削刃又は掘削手段を設ければよい。
【0033】
図9、図10は、図5又は図6に示す透水ライン8、9a、9bを地中に形成する装置を示している。作業車10から地中に延びるアタッチメント11の下端には進行方向Xの断面形状が図9に示されているように巾方向に延びる矩形状の掘削手段15が設けられている。
【0034】
この掘削手段15は図10に示すように進行方向Xの前方から掘削用のウォータジェットJwを噴射して土砂を掘削して進行し、後方から粒状透水剤6と空気との混合流のジェットJcを噴射して地中に透水ラインを形成するようになっている。
【0035】
このウォータジェットJwと混合流のジェットJcとは必ずしも同時に噴射させる必要はなく、例えばウォータジェットJwにより前方をあらかじめ掘削し、次いで混合流のジェットJcを噴射してもよく、この場合は混合流のジェットJcの反力で掘削手段15は進行するので、牽引力は少なくてすむ。
しかしながら両ジェットJw、Jcを同時に噴射するときは反力が相殺されるので、牽引力が必要となる。
【0036】
さらに、ウォータジェットJwの水を用いて、掘削手段15の側面(巾方向)から水流を流出させてもよい。このようにすると、掘削手段15と周囲の土砂との摩擦係数を小さくすることができる。
【0037】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、以下に列挙する優れた作用効果を奏する。
(a) 透水パイプと粒状透水剤の透水ラインとの組合せによって比較的広い範囲の動物の糞尿の液体分を収集できる。
(b) その結果、動物の密度が大であっても、糞尿の液体分が地下水を汚染したり、河川に流入することがない。
(c) 収集装置を比較的簡単に作ることができ、かつ動物の牧場内の移動を妨げない。
(d) 開放系(オープンスペース)の環境保全に有効なシステムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を牛の牧場に実施したところを示す全体説明図。
【図2】図1の実施例における透水パイプと粒状透水剤の透水ラインとの配置を示す平面図。
【図3】図2の透水パイプと透水ラインとの関係を示す断面図。
【図4】透水パイプと粒状透水剤の透水ラインの別の配置の関係を示す断面図。
【図5】透水パイプと透水ラインの他の配置を示す平面図。
【図6】透水パイプと透水ラインの別の配置を示す平面図。
【図7】本発明の立坑を掘削する一例を示す説明図。
【図8】図2の透水ラインを構築する装置の側面図。
【図9】図5、図6に示す透水ラインを構築する装置の正面図。
【図10】図9の装置の側面図。
【符号の説明】
1・・・立坑
3、8、9a、9b・・・透水ライン
4・・・透水パイプ
5・・・空間
6・・・粒状透水剤
7・・・穴
10・・・作業車
11・・・アタッチメント
15・・・掘削手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9