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明細書 :新規な1,3-セレナゾリン誘導体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4016098号 (P4016098)
公開番号 特開2003-192678 (P2003-192678A)
登録日 平成19年9月28日(2007.9.28)
発行日 平成19年12月5日(2007.12.5)
公開日 平成15年7月9日(2003.7.9)
発明の名称または考案の名称 新規な1,3-セレナゾリン誘導体及びその製造方法
国際特許分類 C07D 293/06        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
A61K  31/41        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
FI C07D 293/06
C07B 61/00 300
A61K 31/41
A61P 35/00
A61P 43/00 111
請求項の数または発明の数 2
全頁数 16
出願番号 特願2001-392861 (P2001-392861)
出願日 平成13年12月25日(2001.12.25)
審査請求日 平成15年7月22日(2003.7.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
発明者または考案者 【氏名】纐纈 守
【氏名】石原 秀晴
個別代理人の代理人 【識別番号】100068755、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 博宣
【識別番号】100105957、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 誠
審査官 【審査官】早乙女 智美
参考文献・文献 米国特許第03811896(US,A)
COMRIE, A. M., et al.,Tautomerism of 2-iminoselenazolidin-4-ones,Journal of the Chemical Society,1963年,pp. 5713-5717
COMRIE, A. M., et al.,Some 2-iminoselenazolidin-4-ones and related compounds,Journal of Pharmacy and Pharmacology,1964年,16,pp. 268-272
GIUDICELLI, J. F., et al.,Tautomerism of 5-phenyl-2-amino- or 2-methylamino-4-selenoazolinones to 5-phenyl-2-imino- or 2-methylimino-4-selenoazolidinones,Comptes Rendus des Seances de l'Academie des Sciences, Serie C: Sciences Chimiques,1966年,262(3),pp. 285-288
GIUDICELLI, J. F., et al.,Tautomerism of 5-phenyl-2-amino-4-selenazolinones<->5-phenyl-2-imino-4-selenazolidinones,Bulletin de la Societe Chimique de France,1968年,(3),pp. 1099-1106
TAKAMIZAWA, A., et al.,Studies on Pyrimidine Derivatives and Related Compounds. LXII. Cycloadditions of Alkyl Isothiocyanates with Thiamine and Related Thiazolium Ylids and Facile Conversions of the Adducts to Dihydroimidazo[4,5-d]thiazole Derivatives,Chem. Pharm. Bull.,1969年,17(5),pp. 910-919
調査した分野 C07D 293/06
REGISTRY(STN)
CAplus(STN)
CASREACT(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記化学構造式(4)、(7)及び(10)のいずれかで表される1,3-セレナゾリン誘導体。
【化1】
JP0004016098B2_000028t.gif

【請求項2】
下記一般式(2)で表されるセレノ尿素と下記一般式(3)で表されるα-ハロアシルハライド類とを触媒の存在下に、水を除く溶媒中、かつ-100~30℃の反応温度で反応させることを特徴とする下記一般式(1)で表される1,3-セレナゾリン誘導体の製造方法。
【化2】
JP0004016098B2_000029t.gif
(式中、R1,2,3及びR4は水素原子、炭素数1~30のアルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシド基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はアルコキシカルボニル基を表す。)
【化3】
JP0004016098B2_000030t.gif
上記式(2)中、R1及びR2は水素原子、炭素数1~30のアルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシド基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はアルコキシカルボニル基を表す。上記式(3)中、Xはハロゲン原子を表し、R3及びR4は水素原子、炭素数1~30のアルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシド基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はアルコキシカルボニル基を表す。)
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬などの原料として利用可能な新規化合物である1,3-セレナゾリン誘導体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セレン元素を含有する複素環状化合物は、多くの生理活性が確認されており、非常に重要な化合物である。従来、セレノ尿素を用いたセレン含有複素環状化合物の製造方法は、例えば以下に示すような文献に記載されている。
a) Maslankiewicz, A.; Skrzypek, L.; Niedbala, A. Pol. J. Chem. 1996, 70, 54.、b) Keil, D.; Hartmann, H., Phosphorus, Sulfur Silicon Relat. Elem. 1999,152, 169.、c) Shafiee, A.; Ebrahimzadeh, M. A.; Maleki, A. J. Heterocycl. Chem. 1999,36, 901.、d) Koketsu, M.; Suzuki, N.; Ishihara, H. J. Org. Chem., 1999, 64, 6473.、e) Zhou, Y.; Linden, A.; Heimgartner, H., Helv. Chim. Acta 2000, 83, 1576.、f) Attanasi, O. A.; Filippone, P.; Guidi, B.; Perrulli, F. R.; Santeusanio,S. Synlett, 2001, 144.
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれの方法も出発原料に塩化酢酸が用いられていることから、得られる生成物は本発明で得られる1,3-セレナゾリン誘導体とは構造が異なるものである。また、塩化酢酸は上記文献記載のように、α-ハロアシルハライド類と比べて明らかに反応性が低く、生成物を容易かつ高収率で製造することはできないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、従来知られていなかった化学構造を有し、良好な生理活性を発揮することができる新規な1,3-セレナゾリン誘導体及び反応性が高く、1,3-セレナゾリン誘導体を容易かつ高収率で製造することができる1,3-セレナゾリン誘導体の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の新規な1,3-セレナゾリン誘導体は、下記化学構造式(4)、(7)及び(10)のいずれかで表されるものである。
【0006】
【化4】
JP0004016098B2_000002t.gif 求項2に記載の発明の1,3-セレナゾリン誘導体の製造方法は、下記一般式(2)で表されるセレノ尿素と下記一般式(3)で表されるα-ハロアシルハライド類とを触媒の存在下に、水を除く溶媒中、かつ-100~30℃の反応温度で反応させることを特徴とするものである。
【0007】
【化5】
JP0004016098B2_000003t.gif(式中、R1及びR2は水素原子、炭素数1~30のアルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシド基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はアルコキシカルボニル基を表す。)
【0008】
【化6】
JP0004016098B2_000004t.gif(式中、Xはハロゲン原子を原子を表し、R3及びR4は水素原子、炭素数1~30のアルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシド基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はアルコキシカルボニル基を表す。)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の新規な1,3-セレナゾリン誘導体は、下記一般式(1)で表されるものである。
【0010】
【化7】
JP0004016098B2_000005t.gif(式中、R1,R2,R3及びR4は水素原子、炭素数1~30のアルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシド基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はアルコキシカルボニル基を表す。)
一般式(1)において、R1,R2,R3及びR4は全て水素原子であってもよく、また少なくとも1個が水素原子以外の官能基に置換されていてもよい。2個以上が水素原子以外の官能基に置換される場合には、それらの置換基は同じでも異なっていてもよい。また、R1,R2,R3及びR4は水素原子、炭素数2~8のアルキル基又はシクロアルキル基であることが、1,3-セレナゾリン誘導体の製造の容易性の点から好ましい。
【0011】
上記の1,3-セレナゾリン誘導体は、下記一般式(2)で表されるセレノ尿素と下記一般式(3)で表されるα-ハロアシルハライド類とを触媒存在下に、溶媒中で反応させることにより製造される。
【0012】
【化8】
JP0004016098B2_000006t.gif(式中、R1及びR2は水素原子、炭素数1~30のアルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシド基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はアルコキシカルボニル基を表す。)
一般式(2)において、R1及びR2は全て水素原子であってもよく、また少なくとも1個が水素原子以外の官能基に置換されていてもよい。2個が水素原子以外の官能基に置換される場合には、それらの置換基は同じでも異なっていてもよい。
【0013】
【化9】
JP0004016098B2_000007t.gif(式中、Xはハロゲン原子を表し、R3及びR4は水素原子、炭素数1~30のアルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシド基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はアルコキシカルボニル基を表す。)
一般式(3)において、R3及びR4は全て水素原子であってもよく、また少なくとも1個が水素原子以外の官能基に置換されていてもよい。2個が水素原子以外の官能基に置換される場合には、それらの置換基は同じでも異なっていてもよい。
【0014】
上記の反応は、次の反応式に従って進行する。この場合、副生物としてハロゲン化水素(HX)が生成する。
【0015】
【化10】
JP0004016098B2_000008t.gifα-ハロアシルハライド類は、α位にハロゲン原子を有するアシルハライドであり、α位に各種置換基を導入した化合物である。ハロゲン原子としては、反応性の点から塩素又は臭素が好ましい。ハロゲン原子は2個結合されているため、反応性をより高めることができる。
【0016】
上記のセレノ尿素とα-ハロアシルハライド類は、工業原料として容易に入手できるものである。
一般式(3)で表されるα-ハロアシルハライド類に対する一般式(2)で表されるセレノ尿素のモル比は、1.5~2.0であることが好ましい。このモル比が1.5未満の場合、セレノ尿素が不安定な化合物であるため1,3-セレナゾリン誘導体の収率が低下する。一方、モル比が2.0を越える場合、反応率がほぼ100%に達し、それ以上反応を進行させることは困難である。
【0017】
反応の触媒として用いられるものは、一般的にこの種の有機合成化学で使用される触媒であれば問題なく用いられる。触媒を加えない場合、ほとんど反応は進行せず、触媒は本発明において必須の条件である。従って、特に限定されるものではないが、例えば金属触媒、ルイス酸触媒、塩基触媒、酵素などが用いられる。これらのうち、ピリジン、トリエチルアミンなどの塩基触媒が、生成するハロゲン化水素を捕捉できる点から好ましい。
【0018】
溶媒として用いられるものは、一般的に有機合成化学で用いられる反応溶媒であれば問題なく用いられる。従って、特に限定されるものではないが例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロフォルム、四塩化炭素など)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテルなど)、アルカン類(ヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタンなど)、エステル類(酢酸エチル、プロピオン酸メチルなど)などが用いられる。溶媒として好ましくは、エーテル系溶媒、アルコール類、ハロゲン系溶媒、アルカン類が用いられ、反応を抑制しない点からエーテル系溶媒がより好ましく用いられる。水では、原料の溶解性が悪いことから好ましくない。
【0019】
反応温度は、-100~30℃が好ましく、-100~10℃がより好ましい。反応温度が-100℃未満の場合、反応の進行が遅いことから好ましくない。一方、30℃を越える場合、反応速度が速くなり過ぎて副反応が起き易く、1,3-セレナゾリン誘導体の収率が低下するおそれがある。
【0020】
このようにして得られる1,3-セレナゾリン誘導体は生理活性が強く、抗ガン剤、プロテインキナーゼ阻害剤、抗酸化剤、神経細胞増殖剤(アルツハイマー防止剤)などの医薬、防虫剤、除草剤などの農薬、その他写真の感光剤などとして利用することができる。
【0021】
以上の実施形態により発揮される効果を以下にまとめて記載する。
・ 実施形態で説明した1,3-セレナゾリン誘導体は、これまで報告のなされていない新規な化学構造を有する化合物であり、良好な生理活性を発揮することができる。従って、例えば抗ガン剤、抗酸化剤などの医薬、防虫剤、除草剤などの農薬として利用することができ、工業的に非常に有用である。
【0022】
・ また、1,3-セレナゾリン誘導体は、前記一般式(2)で表されるセレノ尿素と一般式(3)で表されるα-ハロアシルハライド類とを触媒の存在下に、溶媒中で反応させることにより製造される。セレノ尿素とα-ハロアシルハライド類とは、工業原料として容易に入手し得るものであり、ともに反応性が高い。従って、1,3-セレナゾリン誘導体を容易かつ高収率で製造することができる。
【0023】
・ 上記の反応は、常温、常圧という穏和な条件で行うことができ、反応操作が容易で、反応装置も簡易な構成のものでよい。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
テトラヒドロフラン20mLに溶かしたN,N'-ジイソプロピルセレノ尿素 0.42 mL( 2.0 mmol) にクロロアセチルクロリド0.08 mL(1.0 mmol) を加え、よく撹拌後、0℃で1時間反応させた。反応混合物にピリジン 0.09 mL (1.0 mmol) を加えさらに0℃で2時間攪拌した。反応混合物は、常法により抽出、水洗、乾燥を行い、溶媒留去し、3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オン 0.25 g を得た。純度は98.7 % であり、収率は100 % であった。
【0025】
この3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オンの元素分析値、核磁気共鳴吸収スペクトル、質量分析(マススペクトル)及び赤外吸収スペクトルは次の通りであった。
JP0004016098B2_000009t.gif核磁気共鳴吸収スペクトル (CDCl3 溶媒、TMS 内部標準):
1H-NMR; 1.18 (6H, d, J = 6.4 Hz, CH3), 1.41(6H, d, J = 7.6 Hz, CH3), 3.14 (1H, m, CH), 3.78 (2H, s, CH2, 2J (77Se-1H) = 12.4 Hz), 4.79 (1H, m, CH).
13C-NMR; 18.6, 23.6, 24.8 (1J (77Se-13C) = 60.2 Hz), 48.8, 57.5, 143.2, 173.0.
77Se NMR (78.2 MHz, CDCl3) δ 226.8.
MS (CI): m/z = 249 [M+ + 1].
赤外吸収スペクトル (KBr 錠剤):
1698, 1644 cm-1.
従って、3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オンは、次の化学構造式(4)を有する化合物であることが確認された。
【0026】
【化11】
JP0004016098B2_000010t.gif(実施例2)
テトラヒドロフラン 20 L に溶かしたN,N'-シクロヘキシルセレノ尿素 0.58 L ( 2.0 mol) にクロロアセチルクロリド 0.08 L ( 1.0 mol) を加え、よく撹拌後、0 ℃で1時間反応させた。反応混合物にトリエチルアミン (1.0 mol) を加え、さらに0 ℃で2時間攪拌した。反応混合物は、常法により抽出、水洗、乾燥を行い、溶媒留去し、3-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オン 0.33 kg を得た。純度は99.7 % であり、収率は、100 % であった。
【0027】
この3-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オンの元素分析値、核磁気共鳴吸収スペクトル、質量分析(マススペクトル)及び赤外吸収スペクトルは次の通りであった。
JP0004016098B2_000011t.gif核磁気共鳴吸収スペクトル (CDCl3 溶媒、TMS 内部標準):
1H-NMR; δ 1.18 (6H, d, J = 6.4 Hz, CH3), 1.1-1.82 (18H, m), 2.38 (2H, qd, J = 12.8 Hz, 3.2 Hz, CH2), 2.84 (1H, m, CH), 3.78 (2H, s, CH2, 2J (77Se-1H) = 16.0 Hz), 4.3-4.42 (1H, m, CH).
13C-NMR; δ24.2, 24.8, 25.3, 25.7, 26.2, 28.0, 33.4, 57.0, 64.9, 142.9, 173.1.
77Se NMR (78.2 MHz, CDCl3) δ 224.0.
MS (CI): m/z = 329 [M+ + 1]
従って、3-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オンは、次の化学構造式(5)を有する化合物であることが確認された。
【0028】
【化12】
JP0004016098B2_000012t.gif(実施例3)
α-ハロアシルハライド類として、クロロアセチルクロリドに代えてクロロメチルアセチルクロリド(1.0 mmol) を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-5-メチル-1,3-セレナゾリジン-4-オン を得た。収率は100 % であった。
【0029】
この3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-5-メチル-1,3-セレナゾリジン-4-オンの元素分析値、核磁気共鳴吸収スペクトル、質量分析(マススペクトル)及び赤外吸収スペクトルは次の通りであった。
JP0004016098B2_000013t.gif核磁気共鳴吸収スペクトル (CDCl3 溶媒、TMS 内部標準):
1H NMR: d 1.17, 1.18 (6H, d, J = 6.4 Hz, CH3), 1.40, 1.41 (6H, d, J = 6.8 Hz, CH3), 1.74 (3H, d, J = 7.0 Hz, CH3), 3.11 (1H, m, CH), 4.12 (1H, q, J = 7.0 Hz, CH), 4.79 (1H, m, CH).
13C NMR: d 18.7, 20.5, 23.6, 36.2 (1J (77Se-13C) = 62.3 Hz), 48.6, 57.6, 142.4, 176.5.
77Se NMR (78.2 MHz, CDCl3) d 330.7.
MS (CI): m/z = 263 [M+ + 1].
赤外吸収スペクトル (KBr 錠剤):
1706, 1633 cm-1.
従って、3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-5-メチル-1,3-セレナゾリジン-4-オンは、次の化学構造式(6)を有する化合物であることが確認された。
【0030】
【化13】
JP0004016098B2_000014t.gif(実施例4)
α-ハロアシルハライド類として、クロロアセチルクロリドに代えてブロモエチルアセチルブロミド(1.0 mmol) を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-5-エチル-1,3-セレナゾリジン-4-オン を得た。収率は100 % であった。
【0031】
この3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-5-エチル-1,3-セレナゾリジン-4-オンの元素分析値、核磁気共鳴吸収スペクトル、質量分析(マススペクトル)及び赤外吸収スペクトルは次の通りであった。
JP0004016098B2_000015t.gif核磁気共鳴吸収スペクトル (CDCl3 溶媒、TMS 内部標準):
1H NMR : d 1.01 (3H, t, J = 7.2 Hz, CH3), 1.17, 1.19 (6H, d, J = 6.0 Hz, CH3), 1.40 (6H, d, J = 6.8 Hz, CH3), 1.92 (1H, m, CH2), 2.23 (1H, m, CH), 3.15 (1H, m, CH), 4.12 (1H, q, J = 4.8 Hz, CH), 4.79 (1H, m, CH).
13C NMR: d 11.8, 18.6, 18.8, 23.6, 27.4, 45.1 (1J (77Se-13C) = 62.2 Hz), 48.5, 57.6, 142.8, 175.7.
77Se NMR (78.2 MHz, CDCl3) d 288.5.
MS (CI): m/z = 277 [M+ + 1].
赤外吸収スペクトル (KBr 錠剤):
1702, 1644 cm-1
従って、3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-5-エチル-1,3-セレナゾリジン-4-オンは、次の化学構造式(7)を有する化合物であることが確認された。
【0032】
【化14】
JP0004016098B2_000016t.gif(実施例5)
α-ハロアシルハライド類として、クロロアセチルクロリドに代えてブロモジメチルアセチルブロミド(1.0 mmol) を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-5,5-ジメチル-1,3-セレナゾリジン-4-オン を得た。収率は98% であった。
【0033】
この3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-5,5-ジメチル-1,3-セレナゾリジン-4-オンの元素分析値、核磁気共鳴吸収スペクトル及び質量分析(マススペクトル)は次の通りであった。
JP0004016098B2_000017t.gif核磁気共鳴吸収スペクトル (CDCl3 溶媒、TMS 内部標準):
1H NMR: d 1.17 (6H, d, J = 5.6 Hz, CH3), 1.41(6H, d, J = 6.8 Hz, CH3), 1.74 (6H, s, CH3), 3.08 (1H, m, CH), 4.80 (1H, m, CH).
13C NMR: d 18.8, 23.6, 30.0, 47.8, 48.5, 57.7, 141.8, 179.5.
77Se NMR (78.2 MHz, CDCl3) d 429.1.
MS (CI): m/z = 277 [M+ + 1].
従って、3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-5,5-ジメチル-1,3-セレナゾリジン-4-オンは、次の化学構造式(8)を有する化合物であることが確認された。
【0034】
【化15】
JP0004016098B2_000018t.gif(実施例6)
α-ハロアシルハライド類として、クロロアセチルクロリドに代えてクロロフェニルアセチルクロリド(1.0 mmol) を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-5-フェニル-1,3-セレナゾリジン-4-オン を得た。収率は98% であった。
【0035】
この3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-5-フェニル-1,3-セレナゾリジン-4-オンの元素分析値、核磁気共鳴吸収スペクトル及び質量分析(マススペクトル)は次の通りであった。
JP0004016098B2_000019t.gif核磁気共鳴吸収スペクトル (CDCl3 溶媒、TMS 内部標準):
1H NMR: d 1.21, 1.22 (6H, d, J = 10.0 Hz, CH3), 1.44, 1.45 (6H, d, J = 6.8 Hz, CH3), 3.17 (1H, m, CH), 4.87 (1H, m, CH), 5.21 (1H, s, CH, 2J (77Se-1H) = 13.6 Hz), 7.25-7.36 (5H, m, Ar).
13C NMR: d 18.7, 18.9, 23.6, 23.7, 45.7 (1J (77Se-13C) = 62.2 Hz), 49.2, 57.6, 128.1, 128.3, 129.0, 138.3, 142.5, 174.3.
77Se NMR (78.2 MHz, CDCl3) d 381.9.
MS (CI): m/z = 325 [M+ + 1].
従って、3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-5-フェニル-1,3-セレナゾリジン-4-オンは、次の化学構造式(9)を有する化合物であることが確認された。
【0036】
【化16】
JP0004016098B2_000020t.gif(実施例7)
セレノ尿素として、N,N'-ジイソプロピルセレノ尿素に代えてN,N'-t-ブチルセレノ尿素 ( 2.0 mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、3-t-ブチル-2-t-ブチルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オン を得た。収率は88% であった。
【0037】
この3-t-ブチル-2-t-ブチルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オンの元素分析値、核磁気共鳴吸収スペクトル及び質量分析(マススペクトル)は次の通りであった。
JP0004016098B2_000021t.gif核磁気共鳴吸収スペクトル (CDCl3 溶媒、TMS 内部標準):
1H NMR: d 1.32 (9H, s, CH3), 1.62 (9H, s, CH3), 3.69 (2H, s, CH2, 2J (77Se-1H) = 12.0 Hz).
13C NMR: d 26.1 (1J (77Se-13C) = 52.2 Hz), 28.8, 29.1, 55.6, 62.2, 136.4, 172.6.
77Se NMR (78.2 MHz, CDCl3) d 247.9.
MS (CI): m/z = 277 [M+ + 1].
従って、3-t-ブチル-2-t-ブチルイミノ-5-フェニル-1,3-セレナゾリジン-4-オンは、次の化学構造式(10)を有する化合物であることが確認された。
【0038】
【化17】
JP0004016098B2_000022t.gif(実施例8)
セレノ尿素として、N,N'-ジイソプロピルセレノ尿素に代えてN,N'-4-メチルフェニルセレノ尿素 ( 2.0 mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、3-p-トルイル-2-p-トルイルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オン を得た。収率は100% であった。
【0039】
この3-p-トルイル-2-p-トルイルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オンの元素分析値、核磁気共鳴吸収スペクトル及び質量分析(マススペクトル)は次の通りであった。
JP0004016098B2_000023t.gif核磁気共鳴吸収スペクトル (CDCl3 溶媒、TMS 内部標準):
1H NMR: d 2.31 (3H, s, CH3), 2.37 (3H, s, CH3), 3.96 (2H, s, CH2, 2J (77Se-1H) = 12.8 Hz), 6.79 (2H, d, J = 7.8 Hz, Ar), 7.10 (2H, d, J = 7.8 Hz, Ar), 7.22 (2H, d, J = 8.0 Hz, Ar), 7.30 (2H, d, J = 8.0 Hz, Ar).
13C NMR: d 20.9, 21.2, 25.1 (1J (77Se-13C) = 70.3 Hz), 120.2, 127.7, 129.7, 130.1, 133.7, 134.3, 138.9, 146.9, 151.0, 173.1.
77Se NMR (78.2 MHz, CDCl3) d 264.9.
MS (CI): m/z = 345 [M+ + 1].
従って、3-p-トルイル-2-p-トルイルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オンは、次の化学構造式(11)を有する化合物であることが確認された。
【0040】
【化18】
JP0004016098B2_000024t.gif(実施例9)
セレノ尿素として、N,N'-ジイソプロピルセレノ尿素に代えてN,N'-2-メチルフェニルセレノ尿素 ( 2.0 mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、3-o-トルイル-2-o-トルイルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オン を得た。収率は92% であった。
【0041】
この3-o-トルイル-2-o-トルイルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オンの元素分析値、核磁気共鳴吸収スペクトル及び質量分析(マススペクトル)は次の通りであった。
JP0004016098B2_000025t.gif核磁気共鳴吸収スペクトル (CDCl3 溶媒、TMS 内部標準):
1H NMR: d 2.09 (3H, s, CH3), 2.29 (3H, s, CH3), 3.97 (2H, d, J = 1.2 Hz, CH2, 2J (77Se-1H) = 35.6 Hz), 6.80 (1H, dd, J = 8.0, 1.2 Hz, Ar), 7.01 (1H, td, J = 7.2, 1.6Hz, Ar), 7.13 (2H, m, Ar), 7.23 (1H, m, Ar), 7.35 (3H, m, Ar).
13C NMR: d 17.6, 17.7, 32.9, 119.7, 124.6, 126.4, 127.2, 128.5, 129.4, 129.7, 130.5, 131.2, 134.0, 136.0, 146.7, 153.8, 171.1.
MS (CI): m/z = 345 [M+ + 1].
従って、3-o-トルイル-2-o-トルイルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オンは、次の化学構造式(12)を有する化合物であることが確認された。
【0042】
【化19】
JP0004016098B2_000026t.gif(実施例10、複数のプロティンキナーゼに対する作用)
複数のプロティンキナーゼ活性を同一のゲル上で同時に検出する方法〔アナル・ビオケム(Anal. Biochem.) 212:106-110, 1993〕を用いて検討した。すなわち、v-srcでトランスフォームしたNIH3T3細胞を低張バッファーで破砕し、軽く遠心して除核した。その遠心上清に各種キナーゼのアクチベータ(activator)[1μM PMA(ホルボ-ルミリステ-トアセテ-ト), 20μM cAMP(サイクリックアデノシン-3′,5′-一リン酸),etc.]を加え、実施例1で得た3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オン〔化学構造式(4)〕とラベル化したATP(アデノシン三リン酸)を加えて反応させた。反応停止後リン酸化された蛋白をSDS-PAGE、オートラジオグラフィー(autoradiography)で解析した。
【0043】
その結果、3-イソプロピル-2-イソプロピルイミノ-1,3-セレナゾリジン-4-オンは、強い阻害活性を示し、従来プロテインキナーゼ阻害剤として用いられているロットレリンと比べて20倍以上の阻害活性を示した。
(実施例11、ヒトHT-1080線維肉腫細胞に対する増殖抑制作用)
37℃下、5% CO2 、95% Airインキュベータ内で10%の牛胎児血清を含むEMEM(Eagle's Minimum Essential Medium)培地で増殖しているHT-1080線維肉腫細胞を96-穴プレートに1×104 cells/穴の割合で播種した。48時間後、0.1%の仔牛血清アルブミンを含むDMEM(Dulbecco's Modified Eagle's Medium)/F12培地に切り替えるとともに、各種濃度(0.1μM、100μM)の被験薬を加え、さらに24時間培養した。ヒトHT-1080線維肉腫細胞の増殖抑制作用はクリスタル・バイオレット法を用いて染色された染色濃度から求めた。その結果を表1に示した。
【0044】
【表1】
JP0004016098B2_000027t.gif表1に示したように、HT-1080線維肉腫細胞に対して化学構造式(4)、(7)及び(10)の1,3-セレナゾリン誘導体が強い増殖抑制作用を示した。
【0045】
なお、前記実施形態又は実施例を以下のように変更して実施してもよい。
・ 前記各実施例では、溶媒中にセレノ尿素とα-ハロアシルハライド類を加えて反応させた後、触媒を加えてさらに反応を行ったが(2段階)、溶媒中にセレノ尿素とα-ハロアシルハライド類、さらに触媒を加えて反応を行ってもよい(1段階)。
【0046】
・ 1,3-セレナゾリン誘導体の生理活性に基づいて、1,3-セレナゾリン誘導体を殺菌剤、抗菌剤、抗ウィルス剤、抗生物質などとして利用してもよい。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
【0048】
・ 前記一般式(2)中のR1及びR2は水素原子、炭素数2~8のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である請求項2に記載の1,3-セレナゾリン誘導体の製造方法。この製造方法によれば、1,3-セレナゾリン誘導体を容易かつ確実に製造することができる。
【0049】
・ 前記一般式(3)で表されるα-ハロアシルハライド類に対する一般式(2)で表されるセレノ尿素のモル比は1.5~2である請求項2に記載の1,3-セレナゾリン誘導体の製造方法。この製造方法によれば、1,3-セレナゾリン誘導体の収率を向上させることができる。
【0050】
・ 前記一般式(3)中のXは塩素原子又は臭素原子である請求項2に記載の1,3-セレナゾリン誘導体の製造方法。この製造方法によれば、反応性を向上させることができる。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の新規な1,3-セレナゾリン誘導体によれば、従来知られていなかった化学構造を有し、良好な生理活性を発揮することができる。従って、抗ガン剤、抗酸化剤などの医薬、防虫剤、除草剤などの農薬などとして利用することができ、工業的に有用である。
【0052】
請求項2に記載の発明の新規な1,3-セレナゾリン誘導体の製造方法によれば、反応性が高く、1,3-セレナゾリン誘導体を容易かつ高収率で製造することができる。