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明細書 :超電導加速度計

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3205773号 (P3205773)
公開番号 特開2001-004651 (P2001-004651A)
登録日 平成13年7月6日(2001.7.6)
発行日 平成13年9月4日(2001.9.4)
公開日 平成13年1月12日(2001.1.12)
発明の名称または考案の名称 超電導加速度計
国際特許分類 G01P 15/105     
G01R 33/035     
FI G01P 15/08 ZAAC
G01R 33/035
請求項の数または発明の数 2
全頁数 4
出願番号 特願平11-180139 (P1999-180139)
出願日 平成11年6月25日(1999.6.25)
審査請求日 平成11年6月25日(1999.6.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】円居 繁治
個別代理人の代理人 【識別番号】100092200、【弁理士】、【氏名又は名称】大城 重信 (外2名)
審査官 【審査官】石井 哲
参考文献・文献 特開 昭64-47957(JP,A)
特開 平8-50140(JP,A)
特開 平1-209378(JP,A)
特開 昭63-317776(JP,A)
特開 平1-134266(JP,A)
調査した分野 G01P 15/08 ZAA - 15/18 ZAA
G01R 33/035 ZAA
特許請求の範囲 【請求項1】
揺動可能に支持された超電導体からなる慣性質量、磁界発生手段、磁束計測手段が磁気シールドされた慣性空間に配置されてなる超電導加速度計において、前記慣性質量は超電導転移温度が液体窒素沸点温度以上の酸化物高温超電導体からなり、前記磁界発生手段は永久磁石からなり、且つ前記慣性空間には液体窒素が充填されていることを特徴とする超電導加速度計。

【請求項2】
前記磁束計測手段が超電導量子干渉素子(SQUID)磁束計である請求項1に記載の超電導加速度計。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、超電導加速度計、特に磁石を用いた高温超電導加速度計に関する。

【10】
5は超電導量子干渉素子磁束計であり、該超電導量子干渉素子磁束計は従来公知のものを採用することができる。

【11】
本実施形態では、上記超電導体は全て液体窒素沸点温度で超電導現象を示すイットリウム系酸化物高温超電導体(YBCO)を採用したが、特にそれに限定されるものでなく、例えばタリウム系酸化物高温超電導体等他の高温超電導体を採用しても良い。そして、図1に模式的に示すように、少なくとも慣性質量、永久磁石及び超電導量子干渉素子磁束計は、液体窒素沸点温度に冷却されるように、超電導磁気シールドに充填されている液体窒素6内に完全に浸漬するように配置されている。前記磁気シールド1は、液体窒素6の気化による内圧の上昇を防ぐために、図示しない圧力調整バルブを介して大気に解放され、ヘッドスペースの内圧は常時大気圧に保たれており、圧力変化による加速度への影響を回避している。

【12】
本実施形態の高温超電導加速度計は、以上のように構成され、加速度が作用すると完全反磁性の性質をもつ慣性質量2と永久磁石4との間隔が変化して磁束密度が変化する。その変化分をジョセフソン効果を利用した超電導量子干渉素子磁束計5で計測して加速度量を得ることができる。特に、本発明では超電導コイルに代えて永久磁石を使用したので、高温超電導体をコイルに成形する必要もなく、所定強さの磁場を安定して正確に発生させることができ、加速度を10-12g程度の高分解能で計測することが可能となった。

【13】
本発明の高温超電導加速度計は、10-12gの極端に高い分解能を得ることができるセンサーであるため、先進慣性航法の関連要素技術としての重力傾斜計として利用できる。重力傾斜計は、距離をおいて複数個の加速度計を配置して、その加速度量の差を検出し、重力分布を計測するものであり、その応用として慣性航法の高精度化はもとより、重力異常、地殻変動、地球の重力分布計測等がある。このような装置に内蔵される加速度計は、2点間の重力加速度の差異と同程度の極めて微小な出力(10-10g~10-13g程度)が精度良く検出可能であることが要求される。従来の加速度計の分解能は、10-7gが限界であったため、このような要求を満たすことができなかったが、本発明の高温超電導加速度計によればこのような高精度の要求を満たすことができ、重力傾斜計はもとより地震予知、資源探査、重力波検出にも有効である。

【14】

【実施例】上記実施形態に係る高温超電導加速度計と同構造の高温超電導加速度計を製作し、その作用効果を確認するため、次のような評価試験を行った。また、比較例として、実施形態で使用した材質と同様なイットリウム系酸化物高温超電導体を使用して、高温超電導コイルを製作し、該高温超電導コイルを使用して従来の低温型超電導加速度計と同型の超電導加速度計を作り、同様な評価試験を行った。

【15】
以上のようにして得られた実施例及び比較例の高温超電導加速度計について、その内部磁界の強さを計測した結果、実施例のものは比較例のものと比べて約1000倍に増加していることが確認された。

【16】
また、実施例の加速度計に大きさの異なる加速度を与えてその出力を計測した。その結果を図3に示す。その結果、図から明らかなように、加速度の変化に対して、出力(mV)は線形に変化し、加速度の変化が正確に計測できることが確認された。これに対し、比較例の場合は、加速度計に10-2gの加速度を連続して与えたところ、図4に示すように、時間に対して出力が不規則に変化し、加速度の計測結果を得るまでに到らなかった。

【17】
この実験結果から、高温超電導コイルを使用した従来の低温型の高温超電導加速度計では、正確な加速度測定は困難であり、その実用化は難しいが、本発明の永久磁石を使用した高温超電導加速度計は超電導加速度計が要求される高分解能で加速度を計測することが可能であり、実用的な高温超電導加速度計を得ることができるのが確認された。

【18】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、高温超電導体使用に伴うコイル整形の困難さ、臨界磁場の低さの問題点を克服して、液体窒素沸点温度で作動可能で且つ高分解能で加速度を計測でき、冷却設備の小型化・簡素化・低廉化を図ると共に希ガスの液体ヘリウムに代えて無尽蔵資源である液体窒素の使用を可能とする高温超電導加速度計を得ることができる。それにより、超電導加速度計のより小型化、軽量化ができ、航空・宇宙機に搭載しての慣性航法の高精度化はもとより、重力異常、地殻変動、地球の重力分布計測に有用な高温超電導加速度計を得ることができる。

【2】

【従来の技術】従来、加速度を検出するセンサとして動電型加速度計、圧電型加速度計、歪ゲージ型加速度計、サーボ型加速度計、静電支持型加速度計、超電導加速度計がある。その中で、超電導加速度計は、従来の高感度と言われているサーボ型加速度計と比べても極端に高い分解能を持つ加速度計であり、高精度の加速度検出が要求される例えば、慣性航法や重力分布計測等の分野への利用が期待されている。

【3】
従来提案されている超電導加速度計は、各構成要素に液体ヘリウムで冷却可能な低温超電導体(例えば、ニオブ、チタン、錫等、或いはこれらの合金系材料、化合物系材料等)を用いて、その特性であるゼロ抵抗(完全電導性)、完全反磁性(マイスナー効果)、ジョセフソン効果を利用して加速度計を構成したものであり、液体ヘリウム(4.2K以下)での冷却状態下で使用するものである。

【4】
超電導加速度計の原理の概要を図2に示す。慣性質量(プルーフ・マス)20は低温超電導体で作られ、液体ヘリウムが充填されている超電導磁気シールド21内に、ヒンジ22で支持されて慣性空間に静止している。低温超電導体で作られた超電導コイル23には、永久電流が流れて周囲には磁場が発生している。ここで加速度が作用すると、完全反磁性の性質を持っプルーフ・マス20と超電導コイル23の間隔が変化して磁束密度が変化する。その変化分をジョセフソン効果を利用したSQUID(超電導量子干渉素子)磁束計25で計測して加速度量を得るようにしたものてある。SQUID(超電導量子干渉素子)磁束計25は、通常ピックアップコイル26から超電導線を用いてSOUID27のある場所まで磁束を輸送して磁束密度の変化を検出している。

【5】

【発明が解決しようとする課題】液体ヘリウム温度で超電導を示す低温超電導体を使用する従来の低温超電導加速度計は、大型で且つ複雑な構造の冷却装置を必要とする問題があると共に、ヘリウムは地球上にわずかしか存在しない希ガスであり、資源の枯渇の点から回収に手間をかけて使用しなければならない問題点がある。一方、近時液体窒素沸点温度(77.4K)で作動する酸化物系の高温超電導体が見出されたのに伴い、高温超電導体を使用した高温超電導加速度計も試みられている。高温超電導体を使用すると、低温超電導体を使用した超電導加速度計に比べて温度管理が容易になり、冷却装置の小型化が可能となることが予測される。また、液体窒素は気化潜熱が液体ヘリウムの60倍もあり、密度も高く冷却能力が大きい利点がある。しかも液体窒素資源は、無尽蔵であり地球資源にも配慮したものとなる。

【6】
しかしながら、高温超電導体はセラミック系酸化物であり、硬度が高く脆い欠点がある。そのため、線材成形加工が極めて困難であり、超電導加速度計に必要な構成部材であるコイルへの加工に困難性があるという問題点がある。また、超電導体は環境磁場で超電導が崩壊する現象(臨界磁場)があり、高温超電導体は、その量が極端に低く数ガウス程度である。これでは、超電導加速度計の本来の高分解能を期待することが出来ないという問題点があり、未だ高温超電導加速度計の実用化が阻まれている要因となっている。

【7】
そこで、本発明は、従来の低温超電導加速度計に代わって、冷却設備を小型化簡素化できる共に希ガスの液体ヘリウムに代えて無尽蔵資源である液体窒素の使用を可能とする高分解能を有する高温超電導加速度計を得ようとするものであって、高温超電導体使用に伴うコイル整形の困難さ、臨界磁場の低さの問題点を克服して、高分解能が期待できる高温超電導加速度計を提供することを目的とするものである。

【8】

【課題を解決するための手段】本発明の超電導加速度計は、揺動可能に支持された超電導体からなる慣性質量、磁界発生手段、磁束計測手段が磁気シールドされた慣性空間に配置されてなる超電導加速度計において、磁界発生手段として永久磁石を採用することによって、上記問題点を一挙に解決できたものである。前記慣性質量は超電導転移温度が液体窒素沸点温度以上の酸化物高温超電導体であり、前記慣性空間には液体窒素が充填されている。また、前記磁束計測手段が超電導量子干渉素子磁束計を採用するのが望ましい。

【9】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る高温超電導加速度計の構成を示す模式図である。図中1、高温超電導体で形成された超電導磁気シールドであり、内部には液体窒素が充填できるように構成されている。2は、超電導磁気シールド内に揺動自在なヒンジ3を有する連結片で慣性空間に懸架支持された高温超電導体からなる慣性質量(プルーフマス)であり、4は慣性空間内に適宜支持された磁界発生手段である永久磁石である。永久磁石は、サマリウム・コバルトを採用し、磁束密度が2000ガウスのものを採用した。
図面
【図3】
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【図4】
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【図1】
2
【図2】
3