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明細書 :液晶分散型簡易イオン選択性電極センサならびにそれを用いた素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3861198号 (P3861198)
公開番号 特開2003-149193 (P2003-149193A)
登録日 平成18年10月6日(2006.10.6)
発行日 平成18年12月20日(2006.12.20)
公開日 平成15年5月21日(2003.5.21)
発明の名称または考案の名称 液晶分散型簡易イオン選択性電極センサならびにそれを用いた素子
国際特許分類 G01N  27/333       (2006.01)
B01J  47/12        (2006.01)
G01N  27/414       (2006.01)
G01N  27/416       (2006.01)
G02F   1/13        (2006.01)
FI G01N 27/30 331A
G01N 27/30 331C
B01J 47/12 C
B01J 47/12 D
G01N 27/30 301G
G01N 27/46 351K
G01N 27/46 351A
G02F 1/13 500
請求項の数または発明の数 10
全頁数 14
出願番号 特願2001-352192 (P2001-352192)
出願日 平成13年11月16日(2001.11.16)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2001年5月18日 社団法人日本分析化学会発行の「第62回分析化学討論会 講演要旨集」に発表
審査請求日 平成15年6月24日(2003.6.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
【識別番号】501446206
【氏名又は名称】森内 隆代
【識別番号】502062711
【氏名又は名称】西村 弘
発明者または考案者 【氏名】杉野 卓司
【氏名】森内 隆代
【氏名】清水 洋
【氏名】西村 弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100065215、【弁理士】、【氏名又は名称】三枝 英二
審査官 【審査官】谷垣 圭二
参考文献・文献 特開平11-256058(JP,A)
特開2000-344779(JP,A)
特開平09-249670(JP,A)
特開平09-043193(JP,A)
西村弘等,液晶性金属ポルフィリン誘導体のアニオン選択性評価,日本分析化学会第50年会講演要旨集,2001年11月 9日,272
調査した分野 JMEDPlus(JDream2)
JST7580(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
イオノフォアとして、一般式(I):
【化1】
JP0003861198B2_000010t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なって水素原子、炭素数6~24のアルキル基、炭素数6~24のアルコキシ基、またはポリアルキレンオキシ基を示す。ただし、R1~R5の全てが水素原子である場合を除く。)
で表されるポルフィリン誘導体、又は一般式(II):
【化2】
JP0003861198B2_000011t.gif
(式中、Mは、Pt, Cu, Co, Ni, Zn, Pd, Fe, Mg, V=O又はMo(=O)Clを示し、R1、R2、R3、R4及びR5は、前記に同じ。)
で表されるポルフィリン誘導体の金属錯体を含むイオンセンサ。
【請求項2】
前記一般式(I)で表されるポルフィリン誘導体または前記一般式(II)で表されるポルフィリン誘導体の金属錯体が、液晶性を有する請求項1に記載のイオンセンサ。
【請求項3】
前記イオノフォアが、一般式(I)で表されるポルフィリン誘導体である請求項1又は2に記載のイオンセンサ。
【請求項4】
前記イオノフォアが、一般式(II)で表されるポルフィリン誘導体の金属錯体である請求項1又は2に記載のイオンセンサ。
【請求項5】
前記イオンセンサが、イオン選択性電極である請求項1~4のいずれかに記載のイオンセンサ。
【請求項6】
一般式(I):
【化3】
JP0003861198B2_000012t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なって水素原子、炭素数6~24のアルキル基、炭素数6~24のアルコキシ基、またはポリアルキレンオキシ基を示す。ただし、R1~R5の全てが水素原子である場合を除く。)
で表されるポルフィリン誘導体、又は一般式(II):
【化4】
JP0003861198B2_000013t.gif
(式中、Mは、Pt, Cu, Co, Ni, Zn, Pd, Fe, Mg, V=O又はMo(=O)Clを示し、R1、R2、R3、R4及びR5は、前記に同じ。)
で表されるポルフィリン誘導体の金属錯体と膜材料と膜電極可塑剤とを含むイオン感応膜。
【請求項7】
一般式(I)で表されるポルフィリン誘導体と膜材料と膜電極可塑剤とを含む請求項6に記載のイオン感応膜。
【請求項8】
一般式(II)で表されるポルフィリン誘導体の金属錯体と膜材料と膜電極可塑剤とを含む請求項6に記載のイオン感応膜。
【請求項9】
請求項6~8のいずれかに記載のイオン感応膜を用いたイオン選択性電界効果トランジスタ。
【請求項10】
請求項6~8のいずれかに記載のイオン感応膜を用いたイオン交換膜。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポルフィリン誘導体およびその金属錯体をイオノフォアとして用いたイオン感応膜、イオン選択性電極、液晶材料、イオン交換膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、PVC膜型イオン選択性電極は、カリウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン等のイオン全般に対するセンシングに優れ、その作成が簡単で膜電極が安定であること、また、迅速且つ簡便に測定できることから、医療分析現場でこれらイオンのセンサとして利用されている。
【0003】
一方、Rが長鎖アルキル基であるポルフィリン化合物(5,10,15,20-テトラキス(4-n-アルキルフェニル)ポルフィリン)のうち、Rが炭素数6~16程度のものが液晶性を有することが知られている(特開平06-204509参照)。また、このポルフィリンはセンサとして有望な多くのクラウン、アザクラウン化合物と同様の分子構造を有するばかりか、液晶故に、温度変化による分子配向制御が可能であり、これまで、ポルフィリンの中でも、液晶性ポルフィリン誘導体を用いたイオン選択性電極及びイオン選択性電界効果トランジスタの研究例はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポルフィリン化合物を用いた新規センシングデバイスの開発、設計に関する技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
項1. ポルフィリン誘導体またはその金属錯体をイオノフォアとして含むイオンセンサ。
項2. イオンセンサがイオン選択性電極である項1に記載のイオンセンサ。
項3. ポルフィリン誘導体またはその金属錯体が液晶材料であるイオンセンサ。
項4. ポルフィリン誘導体またはその金属錯体と膜材料を含むイオン感応膜。項5. 項4に記載されたイオン感応膜を用いたイオン選択性電界効果トランジスタ。
項6. 項4に記載されたイオン感応膜を用いたイオン交換膜。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明におけるイオン感応膜は、銀イオン、ヨウ素イオン、プロトン、アンモニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、マンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、鉛イオン、カドミウムイオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、臭素イオン、塩素イオンなどのイオン濃度測定器、好ましくは銀イオン、ヨウ素イオンのイオン濃度測定器、イオン選択性電界効果トランジスタのイオン選択性膜、またその他の用途としてH+やCl-等のイオン交換膜などに用いられる。なお、本発明のポルフィリン化合物で、液晶性のあるものは、単体で、エレクトロルミネッセンス現象により発光する発光デバイスにも用いられる。
【0007】
ポルフィリン誘導体とは、一般に、ウロポルフィリン、コプロポルフィリン、プロトポルフィリンなどの天然ポルフィリンや、フィッシャー番号法における1~8位および/又はα~δ位に置換基を有するものである。また、ピロール環部分が還元されたクロリンやジヒドロクロリン、置換基を有するクロリンやジヒドロクロリンでもよい。
【0008】
本発明におけるポルフィリン誘導体またはその金属錯体として、以下の化合物(I)および(II)などが挙げられる。
【0009】
本発明のポルフィリン(I)において、R1、R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なって水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはポリアルキレンオキシ基を示す。ただし、R1~R5の全てが水素原子である場合を除く。
【0010】
本発明において:アルキル基としては、へキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシルなど炭素数6~24のアルキル基が挙げられる。
【0011】
R1~R5で表されるアルコキシ基としては、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基等の炭素数6~24のアルコキシ基が挙げられる。
【0012】
ポリアルキレンオキシ基としては、-O-(CH2CH2-O-)nH(nは2~10の整数を示す。)で表される基、-O-(CH(CH3)CH2-O-)nH(nは2~10の整数を示す。)で表される基、-O-(CH2CH(CH3) -O-)nH(nは2~10の整数を示す。)で表される基が例示される。
【0013】
【化1】
JP0003861198B2_000002t.gif【0014】
ポルフィリン化合物中心に遷移金属を含む金属錯体(II)におけるR1~R5は上記と同じであり、M(金属)は、Pt, Cu, Co, Ni, Zn, Pd, Fe, Mg, V=O, Mo(=O)Clなどである。
【0015】
【化2】
JP0003861198B2_000003t.gif【0016】
本発明の式(I)又は(II)の化合物は好ましくは液晶性を有する。
【0017】
本発明において、化合物(I)および(II)がイオノフォアである。
【0018】
本発明のイオンセンサの好ましい具体例の1つであるイオン選択性電極の一例を以下に示す。
【0019】
比 較 電 極 /試料溶液/ イオン選択性電極
Ag-AgCl / 3.3 M KCl / 0.1 M CH3COOLi/試料溶液/感応膜/内部溶液/Ag-AgCl
該イオン選択性電極は、一般式(I)又は(II)のポルフィリン化合物であるイオノフォアを含む点を除いては公知のイオン選択性電極と同様であり、従来使用されているイオン検知材料に代えて該ポルフィリン化合物を用いることで容易に製造することができる。イオン選択性電極は、例えばイオン電極キット(DKK社製)を用いて容易に製造することができる。
【0020】
本発明における膜電極可塑剤として、特に限定されないが、4-ニトロフェニルフェニルエーテル(NPPE)、アジピン酸ビス(1-ブチルペンチル)(BBPA)、セバシン酸ジブチル(DBS)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、ジオクチルフェニルリン酸(DOPP)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、2-ニトロフェニルフェニルエーテル(NPPE)、2-ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)、ジベンジルエーテル(DBE)、デカノール、2-ニトロフェニルドデシルエーテル、2-フルオロ-2’-ニトロジフェニルエーテルなどが用いられ、好ましくはNPOEと4-ニトロフェニルフェニルエーテルである。
【0021】
本発明におけるイオン感応膜の膜材料は、イオン選択性電極の作用電極用の膜に使用されている各種の材料が可能であり、ポリ塩化ビニル、シリコンゴム、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタンウレア、フォトレジスト、漆などが挙げられる。
【0022】
本発明におけるイオン感応膜を得るには、上記イオノフォアを、膜材料および膜電極可塑剤及び必要に応じて、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒を用いて常法に従い製造できる。この時、イオノフォア/膜材料のポリマー/膜電極可塑剤からなる系の配合は、特に限定されないが、全体に対してイオノフォアを0.2~20重量%、好ましくは1~5重量%になるように配合する。また、膜電極可塑剤は、上記系の全体に対し、50~80重量%、好ましくは60~70重量%になるように配合する。また、この際、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸カリウム(KTFPB)、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム(NaTFPB)、テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウム(KTpClPB)、テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸ナトリウム(NaTpClPB)、テトラフェニルホウ酸カリウム(KTPB)、テトラフェニルホウ酸ナトリウム(NaTPB)、テトラキス〔3,5-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシ-2-プロピル)フェニル〕ホウ酸ナトリウムなどのような添加塩を加えても良い。
【0023】
内部溶液としては、特に限定されないが、例えば硝酸銀水溶液、塩化カリウム水溶液、硝酸カルシウム水溶液などの金属塩水溶液、及び、塩化カリウム水溶液と他の金属塩水溶液との混合溶液などが挙げられる。
【0024】
比較電極としては、公知の電極が制限なく用いられる。
【0025】
上記のようにして得られた膜を含むイオン選択性電極および比較電極を、従来より知られた方法に従って、試料溶液中に浸漬し、両電極間の電位差を測定する。
【0026】
複数のイオンが1溶液中に共存する場合、それらのイオン選択係数の差が大きいものや、それらイオンの大きさに差があるもの、ポルフィリン化合物との親和性に差があるものについては、同時にイオン濃度測定が可能である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明する。
【0028】
常法に従い、以下の22種類の10-1M標準溶液を調整した。
カチオン標準溶液:塩酸、硝酸銀、塩化銅(II)、硝酸鉛、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化コバルト(II)、塩化ナトリウム、硝酸カドミニウム、塩化マンガン(II)、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化ニッケル(II)、塩化カルシウム;および
アニオン標準溶液:ヨウ化カリウム、チオシアン酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム。
【0029】
実施例1
膜材料のPVC(分子量約1,100)(28.3重量%)、膜電極可塑剤の4-ニトロフェニルフェニルエーテル(68.2重量%)、添加塩のKTpClPB (テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウム) (0.8重量%)、および化合物(III)(化合物(I)において、R1, R2, R4, R5 = H, R3 = n-C12H25)(2.7重量%)を、任意量のテトラヒドロフラン(THF)中に混合溶解させ、任意時間撹拌した。イオン電極キット(DKK社製)付属のテフロン紙に調整したTHF溶液を含ませ、イオン電極キットの先端チップの溝に張り付けた。常法であるキャスティング法により、任意回数THF調整溶液の塗りつけ-乾燥操作を繰り返し、溝がなくなった時点で、PVC感応膜の作成を終了した。上記の方法で、イオン感応膜を有する電極チップを得た。なお、常法である型抜き法により作成したPVC感応膜も、全く同等のイオン選択性電極の性能を示した。
【0030】
PVC膜が完全に乾燥した後に、10-2M程度の硝酸銀水溶液に電極を一昼夜浸し、コンディショニングを行った。次に、コンディショニングを行ったときと同じ溶液を内部溶液とし、先端チップの中に充分に満たした。内部溶液で完全に満たされた状態で、電極チップをイオン電極キットに装着した。比較電極にはダブルジャンクション型の銀-塩化銀電極を用い、その内部溶液として3.3M飽和塩化カリウム溶液を、外部溶液として10-1M酢酸リチウム溶液を用いた。該測定装置の概略を図1に示す。
【0031】
上記の硝酸銀標準溶液10-6M~10-1Mを恒温槽で25℃一定に保ちながら、低濃度溶液から順番に測定を行った。溶液の濃度変化は、低濃度溶液に高濃度溶液を添加していくインジェクト法により行った。得られた電位を、銀イオンの25℃での電位とした。その銀イオンセンサ応答結果は、10-3.5M~10-1Mの広い範囲において直線応答であった。この電極は、銀イオンのイオン選択性電極として優れていることが明らかになった。
【0032】
上記の10-1Mカチオン標準溶液15種それぞれにおける、25℃でのセンサ応答を測定した。同様に、恒温槽で25℃一定に保ちながらイオン選択係数測定を行った。その結果を表1(25℃)に示す。
【0033】
【表1】
JP0003861198B2_000004t.gif【0034】
イオン選択係数は単独溶液法によって算出した。その際に必要となるイオン活量は、デバイ-ヒュッケルの理論による活量計数を用いて算出した。イオン活量aと濃度Cとの間には次のような関係(式1)がある。
【0035】
a=f・C (式1)
式1中、fは活量係数である。
ここで、活量係数fは、デバイ-ヒュッケルの式2により求めた。
【0036】
【数1】
JP0003861198B2_000005t.gif式2中、μはイオン強度である。
また、イオン強度μは、式3により求めた。
【0037】
μ=1/2ΣCiZi2 (式3)
式3中、Ciは溶液中の各イオンの濃度、Ziは溶液中の各イオンの電荷である。
【0038】
単独溶液法では、一般に同じ濃度のNイオン溶液およびMイオン溶液に対する電位差 EN , EM をそれぞれ測定することによってMイオンに対するNイオンの選択係数が求められる。従って、各イオンの10-1M標準溶液における電位差を求め、式4を用いて、各イオンに対する選択係数を算出した。
【0039】
【数2】
JP0003861198B2_000006t.gif同様に、40℃及び60℃における、それぞれのイオンに対するセンサ応答を測定した。その結果を表1(40℃及び60℃)に示す。表1から分かるように、液晶相転移温度変化に伴うセンシング特性の顕著な変化が見られた。
【0040】
以上より、化合物(III)をイオノフォアとして用いたイオン選択性電極は、銀イオンに対して最も高い選択性があり、温度可変型センシング機能を有するイオンセンサとして用いられることが明らかになった。
【0041】
実施例2
化合物(III)を用いる代わりに化合物(IV)(化合物(II)において、R1, R2, R4, R5 = H, R3 = n-C12H25, M = Co)を用いること以外は、実施例1と同様にして、イオン感応膜を有する電極チップを得た。
【0042】
カチオン標準溶液を用いる代わりに、上記7種類のアニオン標準溶液を用いる以外は、実施例1と同様にして、アニオン標準溶液7種類それぞれのイオン溶液における25℃でのセンサ応答を測定した。その結果を表2(25℃)に示す。
【0043】
【表2】
JP0003861198B2_000007t.gif【0044】
表2より、該電極は、ヨウ素イオンに対して最も高いイオン選択性を有するイオン選択性電極であることが明らかになった。
【0045】
同様に、40℃及び60℃における、それぞれのイオンに対するセンサ応答を測定した。その結果を表2(40℃及び60℃)に示す。表2から分かるように、液晶相転移温度変化に伴うセンシング特性の顕著な変化が見られた。
【0046】
以上より、化合物(IV)をイオノフォアとして用いたイオン選択性電極は、ヨウ素イオンに対して最も高い選択性を有し、温度可変型センシング機能を有するイオンセンサとして用いられることが明らかになった。
【0047】
実施例3
化合物(III)の代わりに、非液晶性である、長鎖アルキル基のない無置換ポルフィリン(V)を用い、4-ニトロフェニルフェニルエーテルの代わりに2-ニトロフェニルオクチルエーテルを用いる以外は実施例1と同様にして、25℃での応答電位、応答速度、及び電位安定性を測定した。その応答電位測定の結果を表3に示す。
【0048】
【化3】
JP0003861198B2_000008t.gif【0049】
【表3】
JP0003861198B2_000009t.gif【0050】
実施例1の場合と比較すると、実施例1のイオン選択性電極は、電位応答が速く、また電位安定性も優れていた。特に、イオンセンシングの場合に問題となる水素イオンに対する妨害効果が、実施例1において、100倍近く改善された。
【0051】
実施例4
5℃/minにて示差走査熱量(DSC)測定を行ない、化合物(III)及び化合物(IV)の相転移挙動を調べた。
【0052】
化合物(III)の相転移挙動は、「固相(31℃)ラメラ相1(52℃)ラメラ相2(155℃)液相」であった。
【0053】
化合物(IV)の相転移挙動は、「固相(28℃)ラメラ相1(50℃)ラメラ相2(161℃)液相」であった。
【0054】
【発明の効果】
本発明では、ポルフィリン液晶分散型イオン選択性電極が、銀イオンセンシングすることが見出された。また、ポルフィリンの中心にCoを含むものがヨウ素イオンに対して優れたセンシングを示すことが明らかになった。さらに、それらのセンシング特性は、分散した液晶ポルフィリンの相転移に伴い大きく変化することが明らかになった。
【0055】
本発明において、高分子化学や液晶化学の分野で材料の任意の機能を制御するためによく用いられるようなラビング処理や光照射による配向制御を特に行わずに、PVC、膜溶媒、および添加剤にイオンをセンシングする液晶性イオノフォアを混ぜ、分散させるだけで充分なセンシング能を有するイオン選択性電極を作成することができた。液晶材料をイオノフォアに用いた場合、今後、液晶の分子配向を制御できること、また、配向制御することによってセンシング特性の飛躍的な向上が期待されると考えられる。
【0056】
本発明による液晶性ポルフィリン分散型電極は、類似の構造を持つ非液晶性ポルフィリン(長鎖アルキル基のない無置換ポルフィリン)を用いて同様の電極を作成した場合に比べ、電位応答が速く、また電位安定性も優れていること、特に、イオンセンシングの場合に問題となる水素イオンに対する妨害効果が100倍近く改善された。
【0057】
本発明により、従来、常温(室温)でのみ用いられていたPVC膜電極イオンセンサに液晶化合物を混ぜることで温度可変型イオンセンサおよび温度変化に依存した新規センシングデバイスの開発が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明におけるイオン選択性電極の概略構成図である。
【符号の説明】
1. 比較電極
2. 指示電極
3. Ag-AgCl電極
4. Ag-AgCl電極
5. 3.3 M KCl溶液
6. 0.1 M CH3COOLi溶液
7. 内部溶液
8. PVC感応膜
9. 撹拌棒
10.試料溶液
図面
【図1】
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