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明細書 :高安定性光学顕微鏡

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4084061号 (P4084061)
公開番号 特開2003-270537 (P2003-270537A)
登録日 平成20年2月22日(2008.2.22)
発行日 平成20年4月30日(2008.4.30)
公開日 平成15年9月25日(2003.9.25)
発明の名称または考案の名称 高安定性光学顕微鏡
国際特許分類 G02B  21/00        (2006.01)
FI G02B 21/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2002-073455 (P2002-073455)
出願日 平成14年3月18日(2002.3.18)
審査請求日 平成16年12月7日(2004.12.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】木下 一彦
【氏名】塩 育
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】瀬川 勝久
参考文献・文献 特開2000-510606(JP,A)
特開平08-114750(JP,A)
特開2001-505654(JP,A)
特開昭61-173912(JP,A)
調査した分野 G02B21/00-21/36
特許請求の範囲 【請求項1】
光学顕微鏡において、光軸に対して形状重量ともに対称型に作られた直進案内機構及び支持体に対物レンズ、結像レンズ、映像光学系及び測光光学系を一直線上に配列し偏りなく支持したことを特徴とした安定性の高い光学顕微鏡の構造。
【請求項2】
映像光学系及び測光光学系の支持体は、温度変化、振動等による傾きの変位が起こらぬよう四角錐台または円錐台としたことを特徴とする請求項1記載の安定性の高い光学顕微鏡の構造。
【請求項3】
無限遠鏡筒長光学顕微鏡において、照明光学系(落射蛍光、全反射落射蛍光、透過蛍光、反射偏光、透過偏光、明視野落射、光ピンセット等)及びモニタ-光学系の導入部に半透過鏡(ダイクロイックミラ-も含む)と結像レンズをそれぞれに組み合わせ、前記映像光学系及び測光光学系には形状重量の非対称形が及ぼす不安定さや支持体(金物)の温度依存性による不安定さを望遠鏡に働く原理で免れることを特徴とする請求項1~2のうちの1記載の安定性の高い光学顕微鏡の構造。
【請求項4】
光軸に形状重量が対称に作られた試料台と対物レンズ(試料部)とは一体化し、すべての結像レンズと独立した支持体で切離して構成させ、しかも低重心位置に配置し、前記の構造と組み合わせたことを特徴とする請求項1~3のうちの1記載の安定性の高い光学顕微鏡の構造。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学機器、光学測定器、光学顕微鏡の長時間画像記録や計測に関するものである。特に光学顕微鏡等によって長時間の画像記録や計測を行なう場合光学顕微鏡が微小に変位し、物点(対象物)がずれたりピントが外れたりする(いわゆるドリフト現象)ことがある。本発明はこうしたドリフト現象が起きないようにして、長時間の画像記録や計測がナノメ-トル単位の精度で安定した記録と計測を可能にした高安定性光学顕微鏡の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来光学顕微鏡方式は柳の木に似た構造となっている。即ち、主柱(幹に相当)には試料位置決め装置のステ-ジや照明係、観察光学系等が光軸に重量的、形状的にもおいても非対象が著しく、バランスを欠いて取り付けられ、図1の如く不安定な構造となっていた。すなわち、図1における従来の光学顕微鏡は、ベ-ス及び照明装置の一端に、主柱を立設し、その主柱の上端側方にア-ムを設けたコ字型を基本構成としている。そして、前記主柱は、観察する試料を載置するステ-ジを上下動する上下動機構を支持し、ステ-ジの下方には、前記試料に対して前記照明装置からの照明光を導くためのコンデンサ-を設けている。また、ア-ムの下方には、対物レンズ、この対物レンズの倍率変換するためのレボルバを設け、上方には、落射蛍光装置、鏡筒、直筒、リレ-レンズ、TVカメラを設け、そして、前記落射蛍光装置の側方には照明光源が、前記鏡筒側方には、双眼部、接眼レンズが設けられ、この他に付属の計測装置やカメラ等が枝葉のように取り付けられている。このように、ベ-ス及び照明装置の一端に、主柱を立設し、た片持ち式構造すなわち、柳に風の如く枝葉だけが揺れるだけでなく、細い幹が揺れる構造のため、肝心の幹部分に相当する測光、映像光学系が不安定な状態となっていた。
また、従来の光学顕微鏡は、照明光学系(落射蛍光、全落射蛍光、透過蛍光、反射偏光、透過偏光、明視野落射、光ピンセット等)、モニタ-光学系の導入部に半透過鏡(ダイクロイックミラ-も含む)はそれぞれあるが、結像レンズはコストの制約からも1個の結像レンズを共用していた。これら照明系の支持金物が映像光学系及び測光光学系と一体化され、このため照明光学系やモニタ-光学系支持金物の形状重量の非対象性が及ぼす不安定さや支持金物の温度依存性による伸び縮みが映像光学系及び測光光学系に光軸の狂いとなり影響していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
タンパク質などの生体物質が働く様子を1分子単位で観察操作する「1分子生理学」と呼ばれる新しい研究分野が生まれつつある。この研究のためには光学顕微鏡が不可欠であり、生体物質の動きが非常に小さいため解析には数ナノメ-トルの精度が必要である。しかし現在の光学顕微鏡には安定性の問題があり、この為長時間の観察、記録、計測においてドリフト現象を起こし、常に発生する観測結果の誤差要因となっていた。そこで、本発明は、観測中に試料が焦点ボケを生じたり、物点(対象物)の移動(ドリフト)を起こさない安定性の高い光学顕微鏡の実現を図ったもので、また、全ての結像レンズとそれ以降の光学系には共用の結像レンズを使用することなく個々に結像レンズを配置したものである。結像レンズと例えばTVカメラを一体化することによって、対象物が結像レンズの中心と焦点位置が変位することの原理を、図2(a)、(b)に基づいて説明する。図2aの理想位置から支持金物の形状重量の非対象性が及ぼす不安定によって、図2bのようにX、Y方向に変位が起こっても、結像レンズTVカメラは一体化されているので、光束は若干偏るが、対象物は結像レンズの中心と焦点位置が変位することなく結像する。これは(天体)望遠鏡に働く原理(天体望遠鏡に働く原理とは、対象物(月や星)が無限遠に存在するため、望遠鏡の角度変位さえ(傾け)なければ、望遠鏡が平行移動する限り対象物の光軸移動(望遠鏡のスケール中心からの移動)を起こさないことを意味する。無限遠鏡筒長光学系の対物レンズからの光は天体の月や星からの光に相当し、映像光学系及び測光光学系及び結像レンズ、は望遠鏡に相当し、これらは結像レンズと検出部が一体化されているので傾きの変動を起こさない限り、平行移動は物点(対象物)の移動(ドリフト)を起こさないという望遠鏡の原理が働く)で、対象物との望遠鏡との角度変位さえなければ、望遠鏡が平行移動する限り対象物の光軸移動(光軸に直角な方向)と焦点移動(ドリフト)を起こさないことに等しい。
【0004】
このため、本発明が採用した技術手段は、
光学顕微鏡において、光軸に対して形状重量ともに対称型に作られた直進案内機構及び支持体に対物レンズ、結像レンズ、映像光学系及び測光光学系を一直線上に配列し偏りなく支持したことを特徴とした安定性の高い光学顕微鏡の構造である。
また、映像光学系及び測光光学系の支持体は、温度変化、振動等による傾きの変位が起こらぬよう四角錐台または円錐台としたことを特徴とする安定性の高い光学顕微鏡の構造である。
また、無限遠鏡筒長光学顕微鏡において、照明光学系(落射蛍光、全反射落射蛍光、透過蛍光、反射偏光、透過偏光、明視野落射、光ピンセット等)及びモニタ-光学系の導入部に半透過鏡(ダイクロイックミラ-も含む)と結像レンズをそれぞれに組み合わせ、前記映像光学系及び測光光学系には形状重量の非対称形が及ぼす不安定さや支持体(金物)の温度依存性による不安定さを望遠鏡に働く原理で免れることを特徴とする安定性の高い光学顕微鏡の構造である。
また、光軸に形状重量が対称に作られた試料台と対物レンズ(試料部)とは一体化し、すべての結像レンズと独立した支持体で切離して構成させ、しかも低重心位置に配置し、前記の構造と組み合わせたことを特徴とする安定性の高い光学顕微鏡の構造である。
【0005】
【発明実施の形態】
以下、本発明の高安定性光学顕微鏡を図3に基づいて説明する。
無限遠鏡筒長光学顕微鏡において、映像光学系(測光用絞りps17、リレ-レンズ支持金物pk18、リレ-レンズpr19、テレビカメラ支持金物20、テレビカメラ21からなる)と、測光光学系(直筒28、測光用絞りms29、リレ-レンズ金物mk30、リレ-レンズml31、測光装置支持金物32、測光装置33からなる)と、照明光学系(落射蛍光照明装置12、全反射落射蛍光、透過蛍光、反射偏光、透過偏光、明視野落射、光ピンセット10、11等)と、照明光学系内に設けられた無限遠鏡筒長対物レンズ2と結像レンズpl16と、からなる。 そして、支脚38に支持された防振台15には、中空状且つ円錐台の支持台7が固定され、該支持台7の下方の拡大部には、光ピンセット導入光学系10、落射蛍光照明装置12、モニタ-光学系(a)13が、中心方向に向かって設けられている。
また、前記光ピンセット導入光学系10には、防振台15に設けられた光ピンセット照明系11が連結されている。また、前記支持台7の中空部の下方には、中心部に結像レンズpl16を有する基台14が設けられ、その、基台14の平坦部39は防振台15の表面に載置され、脚部40は、防振台7の中心部に挿入される。前記基台14上には、支柱9が立設され、支柱9の上端の基板8上には、固定台6、Y軸粗動移動台5、X軸粗動移動台4、XYZ軸微動付き試料台3と、順次設けられ、該XYZ軸微動付き試料台3に、観察する試料1を載置し、前記照明装置によって照射され観察される。
【0006】
また、前記支持台7の上方の縮小部(細くなった部分)には、透過照明装置23、暗視野照明装置26、モニタ-光学系(b)27が、中心方向に向かって装着され、更に、支持台7に固定されたコンデンサ-レンズ支持金物24の先端部には、コンデンサ-レンズ22が、更に、前記支持台7の先端部の平坦中央部には、照明系結像レンズ25がそれぞれ設けられている。前記支持台7の先端部の平坦部に固定された中空状且つ台形状の直筒28には、測光用絞りms29、リレ-レンズ支持金物mk30、リレ-レンズml31、測光装置支持金物32、測光装置33と、順次設けられ、測光側第一次像36、測光側第二次像37が形成される。前記防振台15の下面には、中空状且つ倒立台形状の支持体41が装着され、該支持体41の中空部には、測光用絞りps17、リレ-レンズ支持金物pk18、リレ-レンズpr19、テレビカメラ支持金物20、テレビカメラ21と、順次設けられ、映像側第一次像34、映像側第二次像35が形成される。前記したように、無限遠鏡筒長対物レンズ2、結像レンズ16pl、照明系結像レンズ25、映像光学系(測光用絞り17ps、リレ-レンズ支持金物pk18、リレ-レンズpr19、テレビカメラ支持金物20、テレビカメラ21からなる)、測光光学系(直筒28、測光用絞りms29、リレ-レンズ金物mk30、リレ-レンズ金物ml31、測光装置支持金物32、測光装置33からなる)を、光軸に形状重量ともに対称型に作られた直線案内機構上に一直線上に配列し偏りなく支持したことを特徴とした安定性の高い光学顕微鏡の構造とした。また、無限遠光学系を使用し、映像光学系、測光光学系は、結像レンズと一体化されているので傾きの変動を起こさない限り、平行移動は全く焦点ボケを生じたり、物点(対象物)の移動(ドリフト)を起こさない望遠鏡の原理が働くものである。この直進案内機構の一例は円筒と円柱から構成し、円筒部は光軸方向に移動が可能となっている試料のフォ-カス機構は、XYZ軸微動付き試料台3で行ない、このXYZ軸微動付き試料台3は光軸中心に対称なだけでなく、静電容量型センサ-を内蔵し、ピエゾ駆動機構に変位量をフィ-ドバックされ、焦点位置も保持される構造になっている。
【0007】
更に、照明光学系(落射蛍光照明装置12、全反射落射蛍光、透過蛍光、反射偏光、透過偏光、明視野落射、光ピンセット10、11等)の導入部に半透過鏡(ダイクロミラ-も含む)と結像レンズをそれぞれに組み合わせ、前述の映像光学系及び測光光学系とは独立した支持金物により支持され、映像光学系及び測光光学系には形状重量の非対称性が及ぼす不安定さを排除した構造となっている。仮に映像光学系、測光光学系及び照明光学系が変動したとしても、上述の望遠鏡に働く原理が適用されるし、傾きの変動は強固な台形型(ピラミット型)支持台7に取り付けられている。更に、光ピンセット照明系のように重量的に大きな物はさらに分離し、防振台15に直接取り付けているのでアンバランスな重りのような不安定要素とはならないし、傾きの要因にもならない。
したがって、仮に外部振動等によって、照明系が変位をおこしても試料や対物レンズにはその影響は受けない構造となっている。
更に不安定最大要因の試料と対物レンズとの相対的変動が大変重要である。
そこで、試料1、無限遠鏡筒長対物レンズ2、XYZ軸微動付き試料台3、X軸粗動移動台4、Y軸粗動移動台5、固定台6はそれぞれを真空吸着等により固定一体化を行なう。
この一体化によって試料と対物レンズとの相対的変動をなくすことは安定性確保に大変有効となる。更に、これらの部分を防振台15に直接取りつけ、重心の低い位置に配置したことによっても解決している。
(柳に風の如く細い幹がゆれる従来方式から東京タワ-と直下のビルの如き切離し構造とし、一体化された試料と対物レンズは重心の低いビルに相当する。)
【0008】
【発明の効果】
前記したように、光軸に対して形状重量ともに対称型に作られた直進案内機構及び支持体に対物レンズ、結像レンズ、映像光学系及び測光光学系を一直線上に配列し偏りなく支持したことを特徴とした安定性の高い光学顕微鏡としたので、極めて安定性の高い光学顕微鏡が実現し、分子生物学、生物物理学等における分子位置の距離計測や分子運動量計測がナノメ-トルオ-ダ-で容易に可能となる。また、ドリフトを起こさせず、長時間の画像記録も容易に可能になる。また、無限遠鏡筒長光学顕微鏡において、照明光学系(落射蛍光、全反射落射蛍光、透過蛍光、反射偏光、透過偏光、明視野落射、光ピンセット等)及びモニタ-光学系の導入部に半透過鏡(ダイクロイックミラ-も含む)と結像レンズをそれぞれに組み合わせることによって、それぞれの取りつけ位置や互換性に自由度が生まれ、システムとしての発展性があり、且つ安定性の高い光学顕微鏡が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光学顕微鏡の説明図である。
【図2】結像レンズと例えばTVカメラを一体化することによって、対象物が結像レンズの中心と焦点位置は変位することの原理を説明する図である。
(a)理想の位置(変位がない場合)を示す図である。
(b)映像光学系全体がX・Y方向に変位した場合を示す図である。
【図3】本発明により構成された光学顕微鏡の説明図である。
【符号の説明】
1 試料
2 無限遠鏡筒長対物レンズ
3 XYZ軸微動付き試料台
4 X軸粗動移動台
5 Y軸粗動移動台
6 固定台
7 台形型支持台
8 基板
9 支柱
10 光ピンセット導入光学系
11 光ピンセット照明系
12 落射蛍光照明装置
13 モニタ-光学系(a)
14 基台
15 防振台
16 結像レンズpl
17 測光用絞りps
18 リレ-レンズ支持金物pk
19 リレ-レンズpr
20 テレビカメラ支持金物
21 テレビカメラ
22 コンデンサ-レンズ
23 透過照明装置
24 コンデンサ-レンズ支持金物
25 照明系結像レンズ
26 暗視野照明装置
27 モニタ-光学系(b)
28 直筒
29 測光用絞りms
30 リレ-レンズ支持金物mk
31 リレ-レンズml
32 測光装置支持金物
33 測光装置
34 映像側第一次像
35 映像側第二次像
36 測光側第一次像
37 測光側第二次像
38 支脚
39 平坦部
40 脚部
41 支持体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2