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明細書 :機能性を付与した多孔質構造体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4328052号 (P4328052)
公開番号 特開2003-213352 (P2003-213352A)
登録日 平成21年6月19日(2009.6.19)
発行日 平成21年9月9日(2009.9.9)
公開日 平成15年7月30日(2003.7.30)
発明の名称または考案の名称 機能性を付与した多孔質構造体の製造方法
国際特許分類 C22C   1/08        (2006.01)
C22C  32/00        (2006.01)
FI C22C 1/08 E
C22C 1/08 F
C22C 32/00 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2002-017453 (P2002-017453)
出願日 平成14年1月25日(2002.1.25)
審査請求日 平成15年8月19日(2003.8.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
発明者または考案者 【氏名】山内 五郎
【氏名】中嶋 英雄
【氏名】平 博仁
【氏名】馬渕 守
個別代理人の代理人 【識別番号】100105050、【弁理士】、【氏名又は名称】鷲田 公一
審査官 【審査官】河野 一夫
参考文献・文献 特開平08-218135(JP,A)
調査した分野 C22C 1/00 - 49/14
特許請求の範囲 【請求項1】
元素Z,マトリックスとなる元素Yからなり、前記元素Zは前記元素Yよりも元素Xと反応しやすい元素であって、元素Zの濃度が0.0001~70原子%であり、かつ空隙率30~85%の多孔体を用意し、元素Xを含む雰囲気下で多孔体を加熱し、元素Zと元素Xとの化合物を粒子状又は平板状に多孔体の表面及び/又は内部に析出させる、機能性を付与した多孔質構造体の製造方法であって、
元素Xが酸素Oであるとき、Si,Mn,P,Al,Zn,Ti,Ni,Cr,Co,Fe,Be,Mg,Cd,In,Zr,Sn,Ce,Ca,Ga,B,Sb,Tl,Pb,Nb,Ta,Bi,Li,Mo,W,V,Pb.Hfから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Zに、元素Zと異なりAg,Cu,Ni,Fe,Pd,Co,Au,Pt,Cr,Mo,W,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Ge,Sn,Pbから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Yに使用する、製造方法
【請求項2】
元素Z,マトリックスとなる元素Yからなり、前記元素Zは前記元素Yよりも元素Xと反応しやすい元素であって、元素Zの濃度が0.0001~70原子%であり、かつ空隙率30~85%の多孔体を用意し、元素Xを含む雰囲気下で多孔体を加熱し、元素Zと元素Xとの化合物を粒子状又は平板状に多孔体の表面及び/又は内部に析出させる、機能性を付与した多孔質構造体の製造方法であって、
元素Xが窒素Nであるとき、Ti,Zr,Al,Fe,Cr,Mo,V,Siから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Zに、元素Zと異なりAg,Cu,Ni,Fe,Pd,Co,Au,Pt,Cr,Mo,Wから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Yに使用する、製造方法。
【請求項3】
元素Z,マトリックスとなる元素Yからなり、前記元素Zは前記元素Yよりも元素Xと反応しやすい元素であって、元素Zの濃度が0.0001~70原子%であり、かつ空隙率30~85%の多孔体を用意し、元素Xを含む雰囲気下で多孔体を加熱し、元素Zと元素Xとの化合物を粒子状又は平板状に多孔体の表面及び/又は内部に析出させる、機能性を付与した多孔質構造体の製造方法であって、
元素Xがフッ素Fであるとき、Be,Mg,Ca,Al,Ti,Si,Crから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Zに、元素Zと異なりAg,Cu,Ni,Fe,Pd,Co,Au,Pt,Cr,Mo,W,Ti,Zrから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Yに使用する、製造方法。
【請求項4】
元素Z,マトリックスとなる元素Yからなり、前記元素Zは前記元素Yよりも元素Xと反応しやすい元素であって、元素Zの濃度が0.0001~70原子%であり、かつ空隙率30~85%の多孔体を用意し、元素Xを含む雰囲気下で多孔体を加熱し、元素Zと元素Xとの化合物を粒子状又は平板状に多孔体の表面及び/又は内部に析出させる、機能性を付与した多孔質構造体の製造方法であって、
元素Xが水素Hであるとき、La,Ca,Li,Ti,K,Na,U,Mg,Ni,Co,V,Fe,Mn,Ce,Al,Y,Zrから選ばれた1種又は2種以上を元素Zに、元素Zと異なりAg,Cu,Ni,Fe,Pd,Co,Au,Pt,Cr,Mo,W,Ti,Zr,Mgから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Yに使用する、製造方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、各種機能を発現する微粒子状や平板状の化合物を多孔質体の内部や表面に分散析出させた多孔質構造体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微粒子分散複合機能材料は、マトリックスを構成する金属又は合金粉末に所定の機能を呈する微粒子を配合し、得られた混合物を所定形状に成形した後、焼成することによって製造している。しかし、この製造方法によるとき、機能性微粒子をマトリックスに均一分散させることが困難である。
因みに、大きな比表面積が要求される触媒粒子を分散させた複合機能材料では機能性微粒子の粒径が小さなほど触媒反応に有効に寄与するが、極微細粒径の微粒子は凝集しやすい。そのため、マトリックスを構成する金属又は合金粉末と混合した状態で機能性微粒子が大径の凝集粒子として分布し、極微細粒化に由来する反応活性の向上が期待できない。
【0003】
粉末混合-焼結法における機能性微粒子の凝集を避けるため、酸化物(機能性微粒子)となる金属元素を含む合金を内部酸化する方法がある。本発明者も、特定条件下での内部酸化により酸化物粒子をマトリックスに分散析出させることにより、導電材料,接点材料,高強度材料等の機能材料が得られることを紹介した(JEMS NEWS,第28号(1986)第1~5頁)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
内部酸化法によるとき、微粒子状の機能性酸化物をマトリックスに分散できる。しかし、平坦な形状をもつ金属材料を内部酸化させると、機能性微粒子を生成する反応が金属材料の表層に限られ、金属材料内部にまで機能性微粒子を析出させることができない。そのため、金属材料の内部にある添加元素が未反応のまま残留しやすい。しかも、生成反応時の加熱により機能性微粒子が大粒径に成長しやすく、機能性微粒子の実効比表面積が予定値ほど大きくならない。その結果、付与可能な機能性に限りがあり、極微細粒径の機能性微粒子に起因した機能性向上にも限度がある。また、内部酸化によって機能性微粒子を生成させることから、酸化物以外の機能性微粒子を分散析出させることにも適用できない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、機能性微粒子となる成分を含んだ出発材料として多孔体を使用することにより、多孔体の表層部は勿論、内部にまで機能性微粒子の析出を可能とし、表面積が大きく機能性微粒子の効果を著しく向上させ、しかも軽量で分散強化機構に基づく高強度化も可能な多孔質構造体を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の多孔質構造体製造方法は、その目的を達成するため、常態が気相の元素Xとの親和力が大きな元素Z,マトリックスとなる元素Yからなり、元素Zの濃度が0.0001~70原子%で空隙率0.1~95.0%の多孔体を用意し、元素Yと元素Xとの化合物生成には不十分であるが元素Zと元素Xの化合物生成には十分な分圧の元素Xを含む雰囲気下で多孔体を加熱し、元素Zと元素Xとの化合物を粒子状又は平板状に多孔体の表面及び/又は内部に析出させることを特徴とする。
【0007】
機能性微粒子として酸化物を分散析出させた多孔質構造体では、酸素Oを元素Xに、Si,Mn,P,Al,Zn,Ti,Ni,Cr,Co,Fe,Be,Mg,Cd,In,Zr,Sn,Ce,Ca,Ga,B,Sb,Tl,Pb,Nb,Ta,Bi,Li,Mo,W,V,Pb.Hfから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Zに、元素Zと異なりAg,Cu,Ni,Fe,Pd,Co,Au,Pt,Cr,Mo,W,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Ge,Sn,Pbから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Yに使用する。
【0008】
機能性微粒子として窒化物を分散析出させた多孔質構造体では、窒素Nを元素Xに、Ti,Zr,Al,Fe,Cr,Mo,V,Siから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Zに、元素Zと異なりAg,Cu,Ni,Fe,Pd,Co,Au,Pt,Cr,Mo,Wから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Yに使用する。
【0009】
機能性微粒子としてフッ化物を分散析出させた多孔質構造体では、フッ素Fを元素Xに、Be,Mg,Ca,Al,Ti,Si,Crから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Zに、元素Zと異なりAg,Cu,Ni,Fe,Pd,Co,Au,Pt,Cr,Mo,W,Ti,Zrから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Yに使用する。
【0010】
機能性微粒子として水素化物を分散析出させた多孔質構造体では、水素Hを元素Xに、La,Ca,Li,Ti,K,Na,U,Mg,Ni,Co,V,Fe,Mn,Ce,Al,Y,Zrから選ばれた1種又は2種以上を元素Zに、元素Zと異なりAg,Cu,Ni,Fe,Pd,Co,Au,Pt,Cr,Mo,W,Ti,Zr,Mgから選ばれた1種又は2種以上の金属を元素Yに使用する。
【0011】
【作用】
親和力が大きな元素Z及びマトリックスとなる元素Yからなる多孔体を元素Xを含む雰囲気中で加熱すると、雰囲気中の元素Xが多孔体の表層にある元素Zと反応し、酸化物,窒化物,フッ化物,水素化物等の機能性微粒子が生成される。機能性微粒子の生成反応は、雰囲気の元素Xと多孔体との接触界面で進行するが、雰囲気ガスが侵入可能な多数の空隙を内部にもつ多孔体であることから多孔体の表層部は勿論、内部にまで機能性微粒子が析出する。そのため、機能性微粒子の比表面積が極めて大きな多孔質構造体が得られる。しかも、酸化物,窒化物,フッ化物,水素化物等、機能性微粒子の選択自由度も高い。
【0012】
常態が気相の元素Xには、酸素O,窒素N,フッ素F,水素H等がある。元素Xに応じてマトリックスとなる元素Y及び親和力が大きな元素Zが選択され、加熱処理後に生成する酸化物,窒化物,フッ化物,水素化物等の化合物Z-Xに由来する機能が付与された多孔質構造体が得られる。化合物Z-Xに由来する機能としては、光触媒,化学触媒,選択的物質分離能,導電性向上,絶縁性付与,磁気特性付与,機械的特性向上,耐熱性,耐食性,耐薬品性等、化合物Z-Xの種類に応じた種々の機能がある。
【0013】
このような機能を付与する上では、出発材料に含まれる元素Zの濃度を0.0001原子%以上にすることが必要である。元素Zの濃度が0.0001原子%を下回ると、化合物Z-Xの作用が不十分になる。しかし、70原子%以上の濃度で元素Zを含ませると、加熱処理で生成する化合物Z-Xが凝集しやすくなり微粒子の均一分散に支障をきたす。また、加熱処理中に雰囲気中の元素Xと元素Zとの反応を効率よく進行させるためには、多孔体の空隙率を0.1%以上にすることが必要である。しかし、95.0%を超える空隙率では多孔体の骨格を維持できなくなる。
【0014】
出発材料に使用される多孔体は、一方向性凝固法,溶湯発泡法,粒子間浸透鋳造法,インベストメント鋳造法,めっき法,粉末冶金法,スパッタ堆積法等で製造される。
たとえば、一方向性凝固法では、冷却板を一部に備えた金型に溶湯を注入し、冷却板を介した一方向熱流路に沿って溶湯を冷却することにより、デンドライトの成長方向を揃え、デンドライトアーム間に無数の隙間を形成する。溶湯発泡法には不活性ガスや炭酸ガスを溶融金属中に注入・攪拌する物理的な方法と、チタン水素化物やジルコニウム水素化物等の発泡剤を溶融金属に添加し、水素化物の分解反応によって生ずる水素ガスを利用して発泡させる化学的な方法がある。後者では、鋳型に注入した溶湯の粘度を調整した後、発泡剤を添加して発泡させることにより、溶湯内部に無数の気泡を生成する。
【0015】
粒子間浸透法では、ガラスや塩化ナトリウムの小球を鋳型に詰め込み、その間隙に溶融金属をしみ込ませ、凝固した後、小球を除去する。インベストメント鋳造法では、ポリウレタンフォーム等の空隙に耐火物スラリーを充填し、乾燥・焼成後にポリウレタンフォームを除去して製作した鋳型に溶融金属を減圧鋳造した後、鋳型を除去して多孔体を得る。めっき法は、ポリウレタンフォーム等の骨格の表面にNi等を電気めっきする方法であり、めっきの後同様にポリウレタンを除去する。
【0016】
スパッタ堆積法では、水冷した基板上に不活性ガス中でスパッタ堆積させた金属薄膜を融点近くまで加熱し、混入していた不活性ガスが膨張して発泡することを利用する。粉末冶金法には、発泡剤を含む混合粉末スラリーを焼成するスラリー発泡法、熱間静水圧処理や冷間等方加工処理をせずに常圧で金属粉体を焼結する常圧焼結法、金属粉末スラリーをポリウレタンフォームにしみ込ませて乾燥・焼結させるスポンジ法等がある。
【0017】
【実施例1】
不活性雰囲気中でTiを2.0原子%添加したNi合金を高周波溶解した後、底面に水冷銅ハースを備えた鋳型に合金溶湯を鋳込み、水冷銅ハースを介した熱放散により合金溶湯を一方向凝固させた。凝固完了したNi合金は、デンドライトが水冷銅ハースから上方に延びた鋳造組織のため蓮根状の孔をもつ気孔率30%の多孔体であった。
酸化ニッケル粉末,ニッケル粉末,アルミナ粉末を等量混合した混合粉末ベッドにNi合金多孔体を埋め込み、Ar気流中で1050℃に2時間保持した後、550℃に10時間保持し、次いで室温まで徐冷した。
【0018】
加熱処理された多孔体を走査型電子顕微鏡で観察したところ、多孔体内部に均一分散している微細な粒子が検出された。X線回折の結果では、Niのピークの他にアナターゼ型,ルチル型TiO2のピークが検出された。アナターゼ型TiO2が析出していることから、当該多孔質構造体が光触媒作用を呈することが推測される。
【0019】
そこで、多孔質構造体にサラダオイルを0.1mg/cm2の割合で滴下し、1mW/cm2の紫外光で多孔体表面を6時間照射した。紫外光照射前後で重量測定した多孔体の重量変化からサラダオイルの減少量Aを求めた。比較のため、加熱処理を施していない多孔体についても同様にサラダオイル滴下,紫外光照射して紫外光照射前後の重量変化からサラダオイルの減少量Bを求めた。減少量A,Bを比較したところA/Bの比が59以上であり、アナターゼ型TiO2による光触媒作用が効率よく発現されていることを確認できた。
【0020】
サラダオイルの減少量が極めて大きいことから、当該多孔質構造体は優れた防汚作用を呈することが判る。また、水素化,脱水素反応,還元脱硫,還元アルキル化,還元アミノ化,レドックス反応等の化学反応に優れた触媒活性を呈するNiを磯多孔質構造体の基材に使用しているので、TiO2の光触媒作用と併せて優れた複合触媒としての使用も期待される。
【0021】
【実施例2】
不活性雰囲気中でFe-6.4原子%Ni-14.4原子%Cr-15.0原子%Pt-5.0原子%Ti合金を高周波溶解し、実施例1と同じ鋳型に合金溶湯を鋳込んで一方向凝固させた。得られた鋳塊は、Pt微粒子が分散している気孔率60%のFe-Ti合金多孔体であった。
酸化鉄粉末,鉄粉,アルミナ粉末を等量混合した混合粉末ベッドにFe-Ti合金を埋め込み、950℃に12時間保持する熱処理を施した。この熱処理によって酸化鉄が分解し、発生した酸素でFe-Ni合金に含まれている溶質Tiが酸化され、Fe-Ni合金の表層及び内部に微粒子状のTiO2が析出した。次いで、500℃に10時間保持した後、室温まで徐冷した。
【0022】
熱処理されたFe-Ti合金(多孔質構造体)をX線回折したところ、Ti,Cr等の溶質元素が光触媒作用のあるアナターゼ型酸化物微粒子になっていることが判った。
自動車の排ガス系に多孔質構造体を組み込み、排ガスに含まれているNOx成分を定量した。定量結果は、従来の触媒を組み込んだ排ガス系に比較してNOx濃度が17体積%減少した排ガスであった。
【0023】
更にPtの触媒作用を高めるため、出発合金に添加するPt15原子%に代え、内部酸化処理されたFe-Ti合金多孔体を粒径5~10nmのPt微粒子が懸濁しているエマルジョンに浸漬した。エマルジョン浸漬後のFe-Ti合金多孔体を乾燥させ、同様な熱処理を施したところ、多孔体の表面にPt微粒子及びアナターゼ型TiO2,Cr23が均一分散した多孔質構造体が得られた。この多孔質構造体を排ガス浄化用触媒に使用したところ、同様な試験条件下で排ガスのNOx濃度が27%減少した。この結果は、アナターゼ型TiO2,Cr23及びPt微粒子が複合して優れた排ガス浄化機能を発現させたことを示す。
【0024】
【実施例3】
Ag粉末にMg粉末を30.0原子%の割合で配合し、混合粉末を450℃で焼結することにより気孔率75%の多孔質Ag-Mg合金を用意した。このAg-Mg合金をフッ素ガス(F2)雰囲気下におき、700℃に2時間保持した。
室温まで冷却したAg-Mg合金を走査型電子顕微鏡で観察したところ、微細な粒子が合金内部に均一分散していた。X線回折の結果では、MgF2のピークが検出された。したがって、加熱処理されたAg-Mg合金は、MgF2微粒子の分散によって耐化学薬品性が改善された多孔質構造体といえる。また、殺菌作用や触媒活性に優れたAgを基材に使用しているので、苛酷な環境に曝されても長期間にわたって触媒活性を維持する触媒として使用できる。
【0025】
【実施例4】
Mg粉末にZr粉末を60.0原子%の割合で混合し、混合粉末を475℃で焼結することにより気孔率85%のMg-Zr合金多孔体を得た。Mg-Zr合金多孔体を水素気流中で530℃に1時間加熱した後、室温まで徐冷した。
作製された多孔質構造体を走査型電子顕微鏡で観察したところ、微粒子がMg-Zr合金内部に均一分散していた。X線回折の結果から、微粒子はZrH2であることが判った。当該多孔質構造体の水素放出圧を測定したところ、290℃で1気圧の水素放出圧であった。この結果は、Mg-Zr系多孔質構造体が優れた水素吸蔵材料であることを示している。
【0026】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、親和力が大きな元素Zを含む合金多孔体を元素X含有雰囲気下で加熱処理することにより、Z-Xの化合物を多孔質構造体に均一分散させている。O,N,F,H等を元素Xに使用し、それぞれ酸化物,窒化物,フッ化物,水素化物を分散析出させることにより、化合物Z-Xに由来する機能性が付与される。しかも、多孔体を出発材料として使用しているので、析出した化合物微粒子の比表面積が極めて大きくなり、化合物Z-Xの機能が遺憾なく発現されるため、高機能の多孔質構造体が得られる。