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明細書 :射出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3726104号 (P3726104)
公開番号 特開2003-236395 (P2003-236395A)
登録日 平成17年10月7日(2005.10.7)
発行日 平成17年12月14日(2005.12.14)
公開日 平成15年8月26日(2003.8.26)
発明の名称または考案の名称 射出装置
国際特許分類 B01L 11/00      
B64G  7/00      
FI B01L 11/00
B64G 7/00 A
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2002-040210 (P2002-040210)
出願日 平成14年2月18日(2002.2.18)
審査請求日 平成14年2月18日(2002.2.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503361400
【氏名又は名称】独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】澤井 秀次郎
【氏名】橋本 樹明
【氏名】久保田 孝
【氏名】川口 淳一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦
【識別番号】100091351、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 哲
【識別番号】100088683、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 誠
【識別番号】100108855、【弁理士】、【氏名又は名称】蔵田 昌俊
【識別番号】100075672、【弁理士】、【氏名又は名称】峰 隆司
【識別番号】100109830、【弁理士】、【氏名又は名称】福原 淑弘
【識別番号】100084618、【弁理士】、【氏名又は名称】村松 貞男
【識別番号】100092196、【弁理士】、【氏名又は名称】橋本 良郎
審査官 【審査官】山田 充
調査した分野 B01L 11/00
B64G 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
重量状態から無重量状態になったときに供試体を射出する射出装置であって、
供試体を付勢する付勢手段と、
一端が供試体に固定されていて、前記付勢手段により供試体が付勢されるよう供試体を引っ張るロープと、
互いに上下に対向し、前記ロープの他端に設けられた被挟持部を上下から挟持する上側部材及び下側部材と、
前記上側部材の上に取り付けられている重量体と、
を備えており、
重量状態のときには、供試体がロープに引っ張られていて付勢手段により付勢されている状態で、重量体により上側部材が下方に押されていて被挟持部が上側部材及び下側部材により挟持されており、
重量状態から無重量状態になったときに、重量体により上側部材が押されなくなり、被挟持部での挟持が解除され、供試体は付勢手段により押されて射出されることを特徴とする射出装置。
【請求項2】
前記射出装置は、供試体が射出される方向が所望の方向に向くよう、前記付勢手段を方向付ける配向機構をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の射出装置。
【請求項3】
重量状態から無重量状態になったときに供試体を射出する射出装置であって、
供試体を付勢する付勢手段と、
前記付勢手段により供試体が付勢された状態になるよう、供試体に力を加えて保持する保持部材と、
重量体と、
前記重量体が固定されており、重量状態のときに前記重量体により下方に力を加えられる作用部材と、
前記作用部材に加えられる力を前記保持部材に伝達して、保持部材に供試体を保持させる伝達機構と、
を備えており、
重量状態のときには、重量体により作用部材に加えられる力が伝達機構により保持部材に伝達されていて、供試体は付勢手段により付勢された状態で保持部材により保持されており、
重量状態から無重量状態になったときに、重量体から保持部材に伝達されていた力がなくなり、供試体は付勢手段により押されて射出されることを特徴とする射出装置。
【請求項4】
前記射出装置は、供試体が射出される方向が所望の方向に向くよう、前記付勢手段を方向付ける配向機構をさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の射出装置。
【請求項5】
前記保持部材は、重量状態のときに供試体に接していて、重量状態から無重量状態になったときに供試体から離間し、
前記射出装置は、重量状態から無重量状態になった後に保持部材を供試体から離間した状態に維持する離間手段をさらに備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載の射出装置。
【請求項6】
前記離間手段は、第1の磁性体と、この第1の磁性体と引き合う第2の磁性体とをさらに備えており、
前記第1の磁性体は、前記保持部材、前記伝達機構及び前記作用部材の内の少なくとも1つに設けられた作用部に固定されており、
この作用部は、重量状態から無重量状態になって保持部材が供試体から離間すると、保持部材に連動して接合位置に移動し、
前記第2の磁性体は、前記作用部が接合位置に位置しているときに前記第1の磁性体と接触する位置に配置されており、
重量状態から無重量状態になると、供試体から離間する保持部材に連動して作用部が接合位置に移動し、そして第1の磁性体と第2の磁性体が磁気的に接合し、この結果、保持部材が供試体から離間した状態に維持されることを特徴とする請求項5に記載の射出装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、供試体を射出する射出装置に関する。特に、無重量環境下で供試体を所望の初期速度で射出する射出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
無重量環境下、例えば落下塔などを利用した無重量実験で実現される環境下では、供試体を所望の初期速度で射出する射出装置がしばしば用いられる。このような実験では、落下塔内で実験室を落下させ、無重量状態の実験室内で供試体を射出し、無重量状態での供試体の軌跡などを観測する。無重量状態が維持される時間は短いので、重量状態から無重量状態になると同時に供試体が射出されることが必要とされている。
【0003】
従来の射出装置は、重量状態から無重量状態になったときに信号を発信するセンサーを有している。センサーからの信号は処理部に送られ、処理部はこの信号に応じて射出装置に供試体を射出させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の射出装置は、無重量状態を検知するための構成が複雑であり、コストが高い。
【0005】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、簡単で安価な構成で無重量状態を検知することができる射出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係わる射出装置は、重量状態から無重量状態になったときに供試体を射出する射出装置であって、
供試体を付勢する付勢手段と、
一端が供試体に固定されていて、前記付勢手段により供試体が付勢されるよう供試体を引っ張るロープと、
互いに上下に対向し、前記ロープの他端に設けられた被挟持部を上下から挟持する上側部材及び下側部材と、
前記上側部材の上に取り付けられている重量体と、
を備えており、
重量状態のときには、供試体がロープに引っ張られていて付勢手段により付勢されている状態で、重量体により上側部材が下方に押されていて被挟持部が上側部材及び下側部材により挟持されており、
重量状態から無重量状態になったときに、重量体により上側部材が押されなくなり、被挟持部での挟持が解除され、供試体は付勢手段により押されて射出される。
【0007】
本発明の請求項2に係わる射出装置では、前記射出装置は、供試体が射出される方向が所望の方向に向くよう、前記付勢手段を方向付ける配向機構をさらに備えている。
【0008】
本発明の請求項3に係わる射出装置は、重量状態から無重量状態になったときに供試体を射出する射出装置であって、
供試体を付勢する付勢手段と、
前記付勢手段により供試体が付勢された状態になるよう、供試体に力を加えて保持する保持部材と、
重量体と、
前記重量体が固定されており、重量状態のときに前記重量体により下方に力を加えられる作用部材と、
前記作用部材に加えられる力を前記保持部材に伝達して、保持部材に供試体を保持させる伝達機構と、
を備えており、
重量状態のときには、重量体により作用部材に加えられる力が伝達機構により保持部材に伝達されていて、供試体は付勢手段により付勢された状態で保持部材により保持されており、
重量状態から無重量状態になったときに、重量体から保持部材に伝達されていた力がなくなり、供試体は付勢手段により押されて射出される。
【0009】
本発明の請求項4に係わる射出装置は、前記射出装置は、供試体が射出される方向が所望の方向に向くよう、前記付勢手段を方向付ける配向機構をさらに備えている。
【0010】
本発明の請求項5に係わる射出装置では、前記保持部材は、重量状態のときに供試体に接していて、重量状態から無重量状態になったときに供試体から離間し、
前記射出装置は、重量状態から無重量状態になった後に保持部材を供試体から離間した状態に維持する離間手段をさらに備えている。
【0011】
本発明の請求項6に係わる射出装置は、前記離間手段は、第1の磁性体と、この第1の磁性体と引き合う第2の磁性体とをさらに備えており、
前記第1の磁性体は、前記保持部材、前記伝達機構及び前記作用部材の内の少なくとも1つに設けられた作用部に固定されており、
この作用部は、重量状態から無重量状態になって保持部材が供試体から離間すると、保持部材に連動して接合位置に移動し、
前記第2の磁性体は、前記作用部が接合位置に位置しているときに前記第1の磁性体と接触する位置に配置されており、
重量状態から無重量状態になると、供試体から離間する保持部材に連動して作用部が接合位置に移動し、そして第1の磁性体と第2の磁性体が磁気的に接合し、この結果、保持部材が供試体から離間した状態に維持される。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1~図4を参照して、本発明の実施の形態に係わる射出装置を説明する。先ず、図1及び図2を参照して本発明の第1の実施の形態の射出装置を説明する。射出装置は、無重量環境下、例えば落下塔などを利用した無重量実験で実現される環境下で供試体を射出するのに使用される。射出装置は重量状態から無重量状態になったときに供試体を射出する。落下塔内で実験室を落下させてこの実験室内に無重量環境を作り出す場合には、射出装置は、この実験室内に取り付けられる。
【0013】
図1は重量状態のときの射出装置の概略的な側面図である。実験室内で固定された基台10の下方に向いた面にはハウジング11が固定されている。ハウジング11は、所定の重量を有する重量体3を内蔵している。重量体3はハウジング11内で自由に動くことができる。射出装置はコイルバネ2を有している。コイルバネ2は供試体1を付勢する付勢手段として用いられている。コイルバネ2はハウジング11を囲むように配置されている。コイルバネ2の収縮する方向は上下に向けられている。コイルバネ2の一端はハウジング11に固定されている。
【0014】
本実施の形態では付勢手段としてコイルバネ2が用いられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、付勢手段として板バネ、ゴムで形成されたバネ、空気バネなどを用いても良い。コイルバネ2の他端には供試体1を押すための押し部材4が固定されている。
【0015】
供試体1にはロープ1aの一端が固定されている。ハウジング11の底を形成する下側部材12と、押し部材4とにはそれぞれロープ1aが通される通し孔12a,4aが形成されている。通し孔12a,4aは上下に並んでいる。ハウジング11内には下側部材12に対向している上側部材5が設けられている。上側部材5の上には重量体3が固定されている。通し孔12a,4aに通されてハウジング11内に導かれたロープ1aの他端は、上側部材5と下側部材12で上下から挟持される。尚、本実施の形態ではロープ1aの他端自体が、上側部材5と下側部材12で挟持される被挟持部として用いられている。
【0016】
挟持は重量状態のときに行われる。挟持の際、上側部材5は重量体3により下方に押されてロープ1aの他端に押し付けられる。上側部材5は柔軟性があり、摩擦係数の大きな材料、例えばスポンジ、フェルト、ゴムなどで形成されている。上側部材5がロープ1aの他端に押し付けられると、上側部材5は変形してロープ1aの他端にフィットする。この結果、ロープ1aの一端が比較的強い力で引っ張られる場合でも、ロープ1aの挟持が安定して強固になされる。尚、本実施の形態では上側部材5と重量体3は別の材料で形成されているが、同じ材料で一体的に形成されていても良い。
【0017】
次に、射出装置の動作を説明する。初め重量状態のときに、図1に示されているように供試体1を付勢した状態でロープ1aの他端を上側部材5と下側部材12で挟持させる。詳細には、先ず押し部材4をコイルバネ2の弾性力に抗して押し上げ、押し上げた状態で保持する。次に、ロープ1aを通し孔4a,12aに通してロープ1aの他端をハウジング11内に導く。この後、ロープ1aの他端の上に上側部材5を介して重量体3を載置する。上述したように重量体3により上側部材5が下方に押され、この結果ロープ1aの他端は上側部材5と下側部材12により挟持される。挟持の際、供試体1が押し部材4に接近する、好ましくは供試体1が押し部材4に接触するとともに、ロープ1aが供試体1と下側部材12の間でほぼ直線状に延びるようにする。挟持の後、押し部材4の保持を解除する。解除すると、供試体1がロープ1aに引っ張られていてコイルバネ2により付勢されている状態が実現される。この状態で、重量体3により上側部材5が下方に押されていてロープ1aの他端が上側部材5及び下側部材12により挟持されている。
【0018】
このとき、ロープ1aにはロープ1aの他端を上側部材5と下側部材12の間から引き出そうとする力が働く。重量体3の重量は、この力に抗して強固にロープ1aの挟持がなされるよう、十分大きく設定されている。
【0019】
図2は無重量状態になったときの射出装置の概略的な側面図である。重量状態から無重量状態になった時点、即ち実験開始時に、重量体3により上側部材5が押されなくなり、ロープ1aの他端での挟持が解除され、供試体1はコイルバネ2により押し部材4を介して押されて下方に射出される。
【0020】
供試体1射出速度は、供試体1の質量などに基づいて、コイルバネ2のバネ定数、実験開始時間前のコイルバネ2の縮み量などを適切に選択することにより、任意に設定できる。
【0021】
上述したように構成された射出装置を用いれば、実験開始時に落下塔などの無重量試験設備側から、電気的信号を何ら受け取ることなく射出を実行できる。従って、簡単で安価な構成で無重量状態を検知することができる。また、実験開始時間を早められるのみならず、装置の信頼性を向上させることができる。
【0022】
本実施の形態の射出装置では、実験開始時と同時にロープ1aの挟持が解除される。即ち、本実施の形態の射出装置は重量の検知装置として機能することを意味する。そのため、本実施の形態の射出装置はある実験で無重量実験開始時に電気信号をONにしたい場合に使用するスイッチ装置などにも応用できる。
【0023】
次に、図3を参照して本発明の第2の実施の形態の射出装置を説明する。図3は射出装置の概略的な側面図である。落下塔内の実験室内で固定された基台20には上下に延びるシャフト21を介して平板状の下側部材22が取り付けられている。下側部材22はシャフト21を介して回転する。このとき、下側部材22の上面の向きは常に上方に維持される。下側部材22にはヒンジ23を介して回動部材24が取り付けられている。回動部材24にはコイルバネ2の一端が固定されている。コイルバネ2の他端には供試体1を押して射出するための押し部材4が固定されている。ヒンジ23周りに回動部材24が回動することで、コイルバネ2の収縮方向、即ち供試体1が射出される方向を下方から横方向を越えて上方まで向けることができる。さらに、下側部材22が回転できるので、供試体1が射出される方向を所望の方向に向けることができる。シャフト21とヒンジ23はコイルバネ2を方向付ける配向機構を形成している。
【0024】
供試体1にはロープ1aの一端が固定されている。押し部材4、回動部材24及び下側部材22にはそれぞれロープ1aが通される通し孔4a,24a,22aが形成されている。下側部材22の上面には重量体3が載置される。重量体3の下には上側部材5が固定されている。通し孔4a,24a,22aに通されて下側部材22の上面に導かれたロープ1aの他端は、上側部材5と下側部材22で上下から挟持される。上側部材5は、第1の実施の形態と同様に、柔軟性があり、摩擦係数の大きな材料で形成されており、挟持の際に変形してロープ1aの他端にフィットする。
【0025】
本実施の形態ではロープ1aの他端自体が、上側部材5と下側部材12で挟持される被挟持部として用いられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、被挟持部はロープ1aの他端に固定され、摩擦係数の大きな材料で形成された平板状部材で形成されていても良い。平板状部材が挟持されたときの接触面積はロープ1aの他端自体が挟持されたときの接触面積よりも大きい。従って、平板状部材を用いた場合、より安定して強固に挟持が行われる。平板状部材及び通し孔4a,24a,22aのサイズは、平板状部材が容易に通し孔4a,24a,22aを通過できるよう選択される。
【0026】
ロープ1aの他端を挟持する上側部材5と下側部材12の構成は上記に限定されない。テコを介して重量体に働く重力を伝達し、これをロープ1aの他端を挟持する力として利用しても良い。例えば、互いにヒンジで結合された上側部材及び下側部材を用いても良い。ヒンジ周りに上側部材を回動させると、上側部材と下側部材が互いに上下に対向する。ヒンジの近傍でロープ1aの他端を上側部材と下側部材で挟持し、上側部材の上に重量体を取り付ける。このとき、重量体をヒンジから離れた場所に取り付ける。このように上側部材と下側部材を構成することにより、ロープ1aの他端はテコを用いない場合よりも強い力で挟まれるので、極めて強固に挟持がなされる。
【0027】
次に、射出装置の動作を説明する。初め重量状態のときに、シャフト21とヒンジ23を用いてコイルバネ2の収縮方向、即ち供試体1が射出される方向を所望の方向に向ける。供試体1が射出される射出方向を設定した後、ロープ1aの他端を通し孔4a,24a,22aに通して下側部材22の上面に導く。コイルバネ2を蓄勢した状態で保持する。ロープ1aの他端をたぐりよせると、供試体1が押し部材4に当接する。ロープ1aが張った状態でロープ1aの他端を上側部材5と下側部材12で挟持させる。コイルバネ2の保持を解除すると、供試体1が付勢された状態で挟持がなされる。
【0028】
重量状態から無重量状態になると、ロープ1aの他端での挟持が解除され、供試体1はコイルバネ2により押し部材4を介して押されて射出される。このとき、供試体1は上記のように設定された射出方向に射出される。
【0029】
本実施の形態の射出装置を用いれば、重量状態から無重量状態になった時点で供試体1を所望の初速度で所望の方向に射出することができる。
【0030】
次に、図4(A)及び図4(B)を参照して本発明の第3の実施の形態の射出装置を説明する。図4(A)は重量状態のときの射出装置の側面図である。落下塔内の実験室に固定された基台30の下面にはコイルバネ2の一端が固定されている。コイルバネ2の収縮方向は下方に向けられている。コイルバネ2の他端には押し部材4が固定されている。
【0031】
基台30には、コイルバネ2の縮み量を調節するためのストッパ2aが固定されている。ストッパ2aは基台30と押し部材4の間に配置されている。ストッパ2aの上下方向の長さは調節可能である。押し部材4を押してコイルバネ2を縮めると、押し部材4はストッパ2aに当接する。このとき、コイルバネ2の縮み量は、ストッパ2aの上下方向の長さに対応した量になる。
【0032】
押し部材4の両側には、重量状態のときに押し部材4の下に配置される供試体1を保持する保持部材6がそれぞれ1つずつ配置されている。それぞれの保持部材6は2つの支柱31に設けられたヒンジ31aにそれぞれ回動可能に取り付けられている。支柱31は基台30に固定されている。回動する2つの保持部材6は両開きの扉のように押し部材4を両側から覆うことができる。
【0033】
押し部材4の両側であって、2つの保持部材6のさらに外側には、重量体3が固定された作用部材7が1つずつ配置されている。それぞれの作用部材7は保持部材6から離間している。保持部材6と作用部材7は伝達部材8によりつながれている。保持部材6と作用部材7の間の距離、即ち伝達部材8の長さは適切に設定されている。作用部材7と伝達部材8は保持部材6とともにヒンジ31a周りに回動する。
【0034】
それぞれの作用部材7の上側に設けられた作用部32aには第1の磁性体32が1つずつ固定されている。それぞれの第1の磁性体32の上方には基台30に固定された第2の磁性体33が配置されている。第2の磁性体33は第1の磁性体32と引き合う。
【0035】
次に、射出装置の動作を説明する。初め重量状態のときに、両開きの扉を開くように保持部材6を回動させて押し部材4を露出させる。ストッパ2aの上下方向の長さを所定の長さに調節する。押し部材4を押してコイルバネ2を縮めると、上述したように押し部材4がストッパ2aに当接する。この結果、コイルバネ2は、所定の縮み量だけ縮む。次に、押し部材4の下に供試体1を位置させた後、扉を閉じるように保持部材6を回動させる。
【0036】
以上の動作が終了した時点で、保持部材6は供試体1に接しており、伝達部材8はほぼ水平に延びている。重量体3に重力が働くことで、作用部材7が重量体3により下方に力を加えられる。作用部材7に働く力は伝達部材8とヒンジ31aを介して保持部材6に伝達される。伝達部材8とヒンジ31aは伝達機構として用いられている。この力が保持部材6に伝達されると、保持部材6は供試体1に力を加えて保持する。この結果、供試体1はコイルバネ2により付勢された状態で保持される。
【0037】
コイルバネ2のバネ定数と、供試体1が付勢された状態で保持されたときのコイルバネ2の縮み量は、供試体1が射出されるときの初速度に基づいて設定されている。重量体3の重量、伝達部材8の長さは、保持部材6により供試体1が付勢された状態で適正に保持されるよう設定されている。
【0038】
重量状態から無重量状態になると、重量体3から保持部材6に伝達されていた力がなくなる。この結果、供試体1はコイルバネ2により押され、保持部材6を押しのけて下方に射出される。
【0039】
図4(B)は無重量状態になったときの射出装置の側面図である。押しのけられた保持部材6は供試体1から離間する。離間する供試体1に連動して、作用部32aは所定の位置(以降、接合位置とする)に移動する。第2の磁性体33は、作用部32aが接合位置に位置しているときに、第1の磁性体32と接触する位置に配置されている。作用部32aの移動の結果、第1の磁性体32と第2の磁性体33が磁気的に接合するので、作用部32aは接合位置に保持される。この結果、保持部材6は供試体1から離間した状態に維持される。第1の磁性体32と第2の磁性体33とは、保持部材6を供試体1から離間した状態に維持する離間手段を形成している。
【0040】
本実施の形態の射出装置を用いれば、上記第1及び第2の実施の形態のように、供試体1にロープなどの付属物を取り付ける必要がない。
【0041】
本実施の形態では、伝達機構は伝達部材8とヒンジ31aを有しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、伝達機構は1以上のリンク、1以上のカムなど有していても良い。
【0042】
また、本実施の形態では、コイルバネ2が伸びる方向は下方に向けられており、供試体1は下方に射出されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、コイルバネ2が伸びる方向は斜め下方に向けられていても良い。この場合も本実施の形態と同様の保持部材、伝達機構、作用部材及び重量体を用いることができる。また、コイルバネ2が伸びる方向は上方に向けられていても良い。この場合、重量体から伝達機構により保持部材に力が伝達されると、保持部材が供試体1を下方に押すように、保持部材、伝達機構、作用部材及び重量体は構成される。
【0043】
また、本実施の形態の射出装置は、第2の実施の形態と同様に、コイルバネ2を方向付ける配向機構を備えていても良い。例えば、基台30に取り付けられ、これを回動させる可動機構を備えていても良い。
【0044】
また、本実施の形態では、作用部32aは作用部材7に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、保持部材又は伝達機構に設けられていても良い。また、保持部材、伝達機構及び作用部材に複数設けられていても良い。
【0045】
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したことから明らかなように、本発明に従った射出装置においては、簡単で安価な構成で無重量状態を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における重量状態のときの射出装置の概略的な側面図。
【図2】無重量状態になったときの図1の射出装置の概略的な側面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態における射出装置の概略的な側面図。
【図4】(A)及び(B)は本発明の第3の実施の形態における射出装置の概略的な側面図。(A)は重量状態のとき。(B)は無重量状態になったとき。
【符号の説明】
1 供試体
1a ロープ
2 コイルバネ(付勢手段)
2a ストッパ
3 重量体
4 押し部材
5 上側部材
6 保持部材
7 作用部材
8 伝達部材(伝達機構)
12 下側部材
21 シャフト(配向機構)
22 下側部材
23 ヒンジ(配向機構)
31a ヒンジ(伝達機構)
32 第1の磁性体(離間手段)
32a 作用部
33 第2の磁性体(離間手段)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3