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明細書 :可逆的に水素を吸蔵放出する材料及び該材料を充填した水素吸蔵装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3747243号 (P3747243)
公開番号 特開2003-277026 (P2003-277026A)
登録日 平成17年12月9日(2005.12.9)
発行日 平成18年2月22日(2006.2.22)
公開日 平成15年10月2日(2003.10.2)
発明の名称または考案の名称 可逆的に水素を吸蔵放出する材料及び該材料を充填した水素吸蔵装置
国際特許分類 C01B   3/00        (2006.01)
C01B  21/082       (2006.01)
FI C01B 3/00 B
C01B 21/082 K
請求項の数または発明の数 11
全頁数 12
出願番号 特願2002-084935 (P2002-084935)
出願日 平成14年3月26日(2002.3.26)
審査請求日 平成14年3月26日(2002.3.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】斎藤 秀俊
【氏名】伊藤 治彦
【氏名】大塩 茂夫
【氏名】大河原 吉明
【氏名】赤坂 大樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100102299、【弁理士】、【氏名又は名称】芳村 武彦
審査官 【審査官】大工原 大二
参考文献・文献 特開2002-038269(JP,A)
特開平11-229147(JP,A)
Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,1998年,Vol.498,p277-282
調査した分野 C01B 3/00
C01B 21/082
CA(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
水素、炭素及び窒素を構成原子とし、材料中に3~60原子%の窒素を含有するアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素からなる、可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
【請求項2】
前記材料中に3~60原子%の結合水素を含有することを特徴とする請求項1に記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
【請求項3】
前記材料が水素終端構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
【請求項4】
前記材料中のsp炭素とsp炭素の存在比が、〔sp〕/(〔sp〕+〔sp〕)=0~1.0であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
【請求項5】
前記材料が10MPaの水素加圧により、室温で前記材料の0.5重量%以上の水素を吸蔵するものであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
【請求項6】
前記材料が粉末乃至フレーク状の形状を有するものであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
【請求項7】
前記材料がプラズマCVD法により形成されたものであることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
【請求項8】
前記材料が熱分解重合法により形成されたものであることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料を容器内に充填した水素吸蔵装置。
【請求項10】
該容器が耐圧容器であることを特徴とする請求項9に記載の水素吸蔵装置。
【請求項11】
可逆的に水素を吸蔵放出する材料を容器内に充填した後に、加圧下に水素を吸蔵させたことを特徴とする請求項9又は10に記載の水素吸蔵装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可逆的に水素を吸蔵放出する材料、詳しくはアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素からなる可逆的に水素を吸蔵放出する材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、可逆的に水素を吸蔵放出する材料(以下、単に「水素吸蔵材料」ということがある)としては、水素吸蔵合金や、活性炭、或る種の処理を施した炭素繊維、カーボンナノチューブ等種々の材料が提案されている。
しかしながら、これら従来の水素吸蔵材料は、水素吸蔵合金では単位重量当りの吸蔵量が小さい、吸蔵・放出の繰り返しにより劣化(合金の微粉化や構造変化)が生じる、希少金属を含む合金では原料の確保が困難である等の問題があった。
また、他の水素吸蔵材料では、高価な原料や特殊な処理工程を必要としコストが高くなる、水素の吸蔵量が小さく実用的でない等の欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明はこれら従来技術の問題を解消して、特別な材料や特殊な工程、装置等を必要とせずに安価に製造することができ、しかも水素吸蔵量の大きい可逆的に水素を吸蔵放出する材料、及び該材料を充填した水素吸蔵装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討した結果、或る種のアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素が好ましい水素吸蔵性能を有することを発見し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は次のような構成をとるものである。
1.水素、炭素及び窒素を構成原子とし、材料中に3~60原子%の窒素を含有するアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素からなる、可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
2.前記材料中に3~60原子%の結合水素を含有することを特徴とする1に記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
3.前記材料が水素終端構造を有することを特徴とする1又は2に記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
4.前記材料中のsp炭素とsp炭素の存在比が、〔sp〕/(〔sp〕+〔sp〕)=0~1.0であることを特徴とする1~3のいずれかに記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
5.前記材料が10MPaの水素加圧により、室温で前記材料の0.5重量%以上の水素を吸蔵するものであることを特徴とする1~4のいずれかに記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
6.前記材料が粉末乃至フレーク状の形状を有するものであることを特徴とする1~5のいずれかに記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
7.前記材料がプラズマCVD法により形成されたものであることを特徴とする1~6のいずれかに記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
8.前記材料が熱分解重合法により形成されたものであることを特徴とする1~6のいずれかに記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料。
9.1~8のいずれかに記載の可逆的に水素を吸蔵放出する材料を容器内に充填した水素吸蔵装置。
10.該容器が耐圧容器であることを特徴とする9に記載の水素吸蔵装置。
11.可逆的に水素を吸蔵放出する材料を容器内に充填した後に、加圧化に水素を吸蔵させたことを特徴とする9又は10に記載の水素吸蔵装置。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明では、可逆的に水素を吸蔵放出する材料(水素吸蔵材料)を、水素、炭素及び窒素を構成原子とし、3~60原子%の窒素を含有するアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素により構成したことを特徴とする。
本発明の水素吸蔵材料を構成するアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素は、例えば(1)プラズマCVD法や(2)熱分解重合法により製造することができる。
【0006】
(1)プラズマCVD法により本発明で使用するアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素を製造するには、反応室内に導入した原料ガスを、例えばマイクロ波プラズマ、電子サイクロトン(ECR)共鳴プラズマ等によって活性化し、分解、重合させる。
水素化窒化炭素を形成する原料としては特に制限はなく、原理的には、ガス化可能な水素、窒素及び炭素を含有する化合物はいずれも使用することができる。好ましい原料としては、シアン化ハロゲンや有機ニトリル化合物等のシアン化合物;脂肪族、脂環式、芳香族等の炭化水素;窒素、アンモニア、各種有機アミン等の含窒素化合物等が挙げられる。
【0007】
具体的な原料ガスの例としては、例えばBrCN+Arのようなシアン化ハロゲンと希ガスの混合物、気化可能な炭化水素と窒素又はアンモニアとの混合ガス、CHCN+Arのような有機ニトリル化合物と希ガスの混合物等が挙げられる。希ガスとしては、全ての希ガスを使用することができるが、工業的にはアルゴン又はヘリウムを使用することが経済的に好ましい。
【0008】
一方、本発明で使用するアモルファス乃至微結晶炭化水素を熱分解重合法によって製造するには、例えば500℃程度に加熱することにより、CHCNのような有機ニトリル化合物を直接熱分解重合させればよい。
【0009】
図1~図3は、本発明の水素吸蔵材料を構成するアモルファス乃微結晶水素化窒化炭素の製造装置を例示する模式図である。
図1の製造装置1は、原料供給口2及び排気口3を有するガラスやステンレス鋼等の耐熱・耐圧性材料からなる減圧反応室4と、その両側に設置されたマイクロ波プラズマ誘導装置5、5を有する。
原料供給口2から反応室4内に供給された原料ガスは、マイクロ波プラズマ誘導装置5、5によって発生したマイクロ波プラズマ6によって活性化され、分解、重合して反応室4の内壁にアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜7を形成する。反応終了後に、反応室4の内壁に形成された水素化窒化炭素膜7を機械的手段により剥離させて回収し、必要に応じて粉末状乃至フレーク状に粉砕する。
【0010】
図2の製造装置11は、原料供給口12及び排気口13を有するガラスやステンレス鋼等の耐熱・耐圧性材料からなる減圧反応室14を有し、減圧反応室14の入口にはECRプラズマ生成室15が設けられている。
この装置11では、原料供給口12から反応室14内に供給された原料ガスは、ECRプラズマ生成室15で発生したECRプラズマ16によって活性化され、分解、重合して反応室14の内壁にアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜7を形成する。
【0011】
図3の製造装置21は、熱分解重合法に使用する装置の1例を示すもので、原料供給口22及び排気口23を有するガラスやステンレス鋼等の耐熱・耐圧性材料からなる減圧反応室24と、その両側に設置された加熱装置25、25を有する。
この装置21では、原料供給口22から反応室24内に供給された原料ガスは、加熱装置25、25により加熱されて分解、重合して反応室24の内壁にアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜7を形成する。
上記した図1~図3の例では、反応室の内壁に直接水素化窒化炭素膜を形成したが、反応室内に板状、ハニカム状等各種形状の基材や担体を配置し、基材や担体上に水素化炭化水素を形成するようにしてもよい。
【0012】
本発明では、反応室に供給する原料ガスの組成や流量、反応室内の温度や圧力、プラズマの発生条件等を調整することによって、アモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素中の窒素の含有量を3~60原子%、好ましくは10~40原子%に調整する。
窒素の含有量が3原子%未満の場合には、吸蔵した水素の放出性能が悪くなる。一方、窒素の含有量が60原子%を超えた場合には、生産性が急激に低下する。
【0013】
また、アモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素中の結合水素(吸蔵される水素を除いた共有結合している水素)の含有量を3~60原子%、特に20~50原子%とすることが好ましい。水素化窒化炭素中に、上記範囲の結合水素を含有させることによって、分子内の空間が拡がるので、水素の吸蔵量を大きくすることができる。
水素の含有量が3原子%未満の場合には、水素吸蔵性能が低下する。一方、水素の含有量が60原子%を超えた場合には、熱安定性の悪い構造となる。
アモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素は、N-H又はC-Hの水素終端構造を有するものとすることが好ましい。このような終端構造は、水素を吸蔵する空間を提供し、水素吸蔵性能が向上する。
【0014】
アモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素中には、sp炭素とsp炭が存在するが、sp炭素とsp炭素の存在比は、〔sp〕/(〔sp〕+〔sp〕)=0~1.0、好ましくは0~0.8とする。
アモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素の水素吸蔵量と組成の関係は、このsp炭素とsp炭素の存在比と密接な関係があり、例えば〔sp〕/(〔sp〕+〔sp〕)=0.8の場合には、窒素組成10原子%、水素組成30原子%、炭素組成60原子%のときに、水素吸蔵量が極大となる。また、〔sp〕/(〔sp〕+〔sp〕)=0.5の場合には、窒素組成17原子%、水素組成25原子%、炭素組成58原子%のときに、水素吸蔵量が極大となる。そして、〔sp〕/(〔sp〕+〔sp〕)=0.3の場合には、窒素組成25原子%、水素組成20原子%、炭素組成55原子%のときに、水素吸蔵量が極大となる。
【0015】
本発明のアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素からなる水素吸蔵材料は、10MPaの水素加圧により、室温で該材料の0.5重量%以上の水素を吸蔵し、さらに液体窒素温度では1.0重量%以上の水素を吸蔵することができる。
本発明の水素吸蔵材料は、安価な原料を使用し、特別な材料や特殊な工程、装置等を必要とせずに製造することができるので、従来の水素吸蔵材料に比較して、極めて低コストで水素吸蔵量の大きい水素吸蔵材料を製造することができる。
【0016】
また、本発明の水素吸蔵材料は、粉末乃至フレーク状としたものを、水素ボンベのような耐圧容器内に充填することによって、容易に水素を吸蔵させることができ、かつ加熱、減圧等の処理により繰り返し水素の吸蔵、放出が可能な水素吸蔵装置とすることができる。
このような装置は、実用化が検討されている燃料電池自動車等の、軽量化と高容量化が求められる用途に、好適に使用することができる。
【0017】
【実施例】
つぎに実施例により、本発明をさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
(実施例1)
アセトニトリル(CHCN)を原料とし、図1に示す製造装置1を使用して、アモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜の製造を行なった。本装置では、マイクロ波プラズマ誘導装置5を備えた減圧反応室4で発生するマイクロ波プラズマ6を用いて、原料供給口2から供給されたアルゴンガスを励起し、さらに励起されたアルゴンイオンやラジカルによって、原料供給口2から供給されたアセトニトリルを分解し、反応室4の内壁面に分解物を重合・析出させてアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜7を形成する。
その手順として、まず排気口3から反応室4内の空気を排気して、内部の圧力を1×10-4Paにした。つぎに、アルゴンを原料供給口2から10sccmの流量で反応室4に導入した。排気口3からの排気を制限して反応室4内の圧力を200Paに保ち、ついでマイクロ波プラズマ誘導装置5から2.45GHz、250Wのマイクロ波を反応室4に投入して、反応室4内にマイクロ波プラズマ6を発生させた。マイクロ波プラズマ6が安定した後に、アセトニトリルを反応室4内の圧力が250Paになるまで導入すると、反応室4の内壁面にアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜7が、毎時100mgの速度で得られた。
得られたアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素のラマン散乱スペクトルを図4に、また赤外線吸収スペクトルを図5に示す。これらの図において、(a)は水素吸蔵測定前のスペクトルを、また(b)は水素吸蔵測定後のスペルトルを表す。
【0018】
(実施例2)
臭化ニトリル(BrCN)を原料とし、図2示す製造装置11を使用して、アモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜の製造を行なった。本装置では、ECRプラズマ生成室15を備えた減圧反応室14で発生するECRプラズマ16を用いて、原料供給口12から供給されたアルゴンガスを励起し、さらに励起されたアルゴンイオンやラジカルによって、原料供給口12から供給された臭化ニトリルを分解し、反応室14の内壁面に分解物を重合・析出させてアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜7を形成する。
その手順として、まず排気口13から反応室14内の空気を排気して、内部の圧力を1×10-4Paにした。つぎに、アルゴンを原料供給口12から10sccmの流量で反応室14に導入した。排気口13からの排気を制限して反応室14内の圧力を2Paに保ち、ついでECRプラズマ生成室15から2.45GHz、250Wのマイクロ波で発生したECRプラズマ16を反応室14に投入した。ECRプラズマ16が安定した後に、臭化ニトリルを反応室14内の圧力が3Paになるまで導入すると、反応室14の内壁面にアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜7が、毎時80mgの速さで得られた。
得られたアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素のラマン散乱スペクトルを図6に、また赤外線吸収スペクトルを図7に示す。これらの図において、(a)は水素吸蔵測定前のスペクトルを、また(b)は水素吸蔵測定後のスペルトルを表す。
【0019】
(実施例3)
アセトニトリルを原料とし、図3に示す製造装置21を使用して、アモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜の製造を行なった。本装置では、加熱装置25を備えた反応室24で発生する熱を用いて、原料供給口22から供給されたアセトニトリルを熱分解し、反応室24の内壁面に分解物を重合・析出させて、アモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜7を形成する。
その手順として、まず排気口23から反応室24内の空気を排気して、内部の圧力を1×10-4Paにした。つぎに、アルゴンを原料供給口22から10sccmの流量で反応室24に導入した。排気口23からの排気を制限して反応室24内の圧力を常圧に保ち、ついで加熱装置25で反応室24内を500℃に加熱した。温度が安定した後に、アセトニトリルを反応室24内に導入すると、反応室24の内壁面にアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜7が、毎時10gの速さで得られた。
【0020】
上記実施例で得られたアモルファス乃至微結晶水素化窒化炭素膜を機械的に剥離後、粉砕した粉末乃至フレーク状の水素吸蔵材料を使用し、以下に記載の方法によって、その水素吸蔵量を測定した。比較のために、市販のカーボンファイバー及び活性炭についても水素吸蔵量を測定した。
(水素吸蔵量の測定)
図8は、吸蔵水素の測定に使用した装置の概略を示す模式図である。この測定装置31は、バルブ32を有する導入室33、恒温バス34内に設置した試料室35を有し、導入室33と試料室35はバルブ36を有する配管によって接続されている。
【0021】
サンプルの吸蔵水素量は、図8の吸蔵水素測定装置を使用し、JISH7201「水素吸蔵合金のPCT特性の測定方法」に準じた容量法によって、以下の手順で測定した。
0.4gのサンプルを試料室35に充填し、300℃で3時間脱気した後、試料室35ごと恒温バス34によって30℃又は-190℃に保持した。このときの、サンプルの吸蔵水素量を0重量%とした。バルブ36を閉じ、バルブ32により導入室33の圧力を、試料室35とは異なる圧力に調整した。その後、バルブ36を開けて圧力変化を観測し、吸蔵水素量を測定した。導入室33及び試料室35の平衡圧力は、0MPaから12MPaまでの範囲で変化させて、測定を行なった。
【0022】
実施例1で得られた水素吸蔵材料についての、30℃における測定結果を図9に、-190℃における測定結果を図10に示す。
図9にみられるように、実施例1の水素吸蔵材料は30℃では、水素吸蔵量は水素圧力の増加と共に線形的に増加し、12MPaで最大0.90重量%の水素を吸蔵した。その後、圧力が低下すると共に吸蔵水素量は減少し、1.0MPaでは0.75重量%まで減少した。
また図10にみられるように、-190℃では、水素吸蔵量は水素圧力の増加と共に線形的に増加し、12MPaで最大1.80重量%の水素を吸蔵した。その後、圧力が低下すると共に吸蔵水素量は減少し、1.0MPaでは1.50重量%まで減少した。
【0023】
つぎに、実施例2で得られた水素吸蔵材料についての、30℃における測定結果を図11に、-190℃における測定結果を図12に示す。
図11にみられるように、実施例2の水素吸蔵材料では、水素吸蔵量は水素圧力の増加と共に線形的に増加し、12MPaで最大0.78重量%の水素を吸蔵した。その後、圧力が低下すると共に吸蔵水素量は減少し、1.0MPaでは0.68重量%まで減少した。
また図12にみられるように、-190℃では、水素吸蔵量は水素圧力の増加と共に線形的に増加し、12MPaで最大1.50重量%の水素を吸蔵した。その後、圧力が低下すると共に吸蔵水素量は減少し、1.0MPaでは1.20重量%まで減少した。
【0024】
また、30℃における、比較試料としたカーボンファイバーについての測定結果を図13に、そして活性炭についての測定結果を図14に示す。
カーボンファイバーでは、図13にみられるように、12MPaで最大0.18重量%の水素を吸蔵し、その後圧力を2.7PMaまで低下させたときにも水素吸蔵量はそれほど減少せず、0.17重量%であった。また、活性炭では、図14にみられるように、12MPaで最大0.23重量%の水素を吸蔵し、その後圧力が低下すると共に吸蔵水素量は減少し、1.0MPaでは0.08重量%まで減少した。
これらの結果から、本発明の水素吸蔵材料は、優れた水素吸蔵性能を有するものであることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素吸蔵材料の製造装置の1例を示す図である。
【図2】本発明の水素吸蔵材料の製造装置の他の例を示す図である。
【図3】本発明の水素吸蔵材料の製造装置の他の例を示す図である。
【図4】実施例1で得られた水素化窒化炭素のラマン散光スペクトルを示す図である。
【図5】実施例1で得られた水素化窒化炭素の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図6】実施例2で得られた水素化窒化炭素のラマン散光スペクトルを示す図である。
【図7】実施例2で得られた水素化窒化炭素の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図8】吸蔵水素測定装置の概略を示す模式図である。
【図9】実施例1で得られた水素吸蔵材料についての、30℃における吸蔵水素の測定結果を示す図である。
【図10】実施例1で得られた水素吸蔵材料についての、-190℃における吸蔵水素の測定結果を示す図である。
【図11】実施例2で得られた水素吸蔵材料についての、30℃における吸蔵水素の測定結果を示す図である。
【図12】実施例2で得られた水素吸蔵材料についての、-190℃における吸蔵水素の測定結果を示す図である。
【図13】カーボンファイバーについての、30℃における吸蔵水素の測定結果を示す図である。
【図14】活性炭についての、30℃における吸蔵水素の測定結果を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13