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明細書 :平坦化トンネル磁気抵抗素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4304568号 (P4304568)
公開番号 特開2003-318465 (P2003-318465A)
登録日 平成21年5月15日(2009.5.15)
発行日 平成21年7月29日(2009.7.29)
公開日 平成15年11月7日(2003.11.7)
発明の名称または考案の名称 平坦化トンネル磁気抵抗素子
国際特許分類 H01L  43/08        (2006.01)
H01L  21/8246      (2006.01)
H01L  27/105       (2006.01)
FI H01L 43/08 Z
H01L 27/10 447
請求項の数または発明の数 7
全頁数 10
出願番号 特願2002-121121 (P2002-121121)
出願日 平成14年4月23日(2002.4.23)
審判番号 不服 2006-007890(P2006-007890/J1)
審査請求日 平成14年5月8日(2002.5.8)
審判請求日 平成18年4月25日(2006.4.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】湯浅 新治
【氏名】長濱 太郎
【氏名】鈴木 義茂
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
参考文献・文献 特開平10-275722(JP,A)
特開2002-026420(JP,A)
特開2001-102656(JP,A)
特開2002-084016(JP,A)
特開2003-051411(JP,A)
Phsical Review Letters,米国、The American Physical Letters,1999年10月11日、Vomune 83,Number 15,p.3029-3032
Physical Review B,米国、The American Physical Society、 2001年、Volume 63,p.220403
特許請求の範囲 【請求項1】
アモルファス基板又は多結晶配線上にMgOアモルファス層とMgO(001)結晶層の二重層からなる下地層を有することを特徴とする平坦化トンネル磁気抵抗素子。
【請求項2】
請求項1記載の平坦化トンネル磁気抵抗素子において、前記MgOアモルファス層の膜厚を3から10nm、前記MgO(001)結晶層の膜厚を3から10nmとすることで表面の凹凸を小さく抑えることを特徴とする平坦化トンネル磁気抵抗素子。
【請求項3】
請求項1記載の平坦化トンネル磁気抵抗素子において、前記MgO下地層を用いることで強磁性層の凹凸を小さくし、強磁性層間の静磁的結合を小さくすることを特徴とする平坦化トンネル磁気抵抗素子。
【請求項4】
請求項1記載の平坦化トンネル磁気抵抗素子において、前記MgO下地層を用いることで15原子層以下の超薄強磁性電極層の凹凸を小さくし、磁気抵抗効果を大きくすることを特徴とする平坦化トンネル磁気抵抗素子。
【請求項5】
請求項1記載の平坦化トンネル磁気抵抗素子において、前記MgO下地層を用いることで20原子層以下の平坦な非磁性層をバリヤ層と強磁性電極層の間に挿入して、磁気抵抗効果のバイアス依存性を制御することを特徴とする平坦化トンネル磁気抵抗素子。
【請求項6】
請求項1記載の平坦化トンネル磁気抵抗素子において、前記MgO下地層を用いることで強磁性電極層を体心立方格子、面心立方格子あるいは正方格子の(001)方位に配向させ、バリヤ層としてMgO(001)結晶層を用いて大きな磁気抵抗効果を得ることを特徴とする平坦化トンネル磁気抵抗素子。
【請求項7】
請求項1記載の平坦化トンネル磁気抵抗素子において、前記MgO下地層と磁気抵抗素子の間にAu,Ag,Cu,Al,Pt,Ir,Pd,Mo,W,Ta,Cr,Ru,Rh,Mn,Fe,Co,Niを組み合わせた(001)配向層を挟むことによって平坦性を改善し、かつ電極抵抗を低減することを特徴とする平坦化トンネル磁気抵抗素子。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル磁気抵抗素子および巨大磁気抵抗効果素子に関し、特にその素子の結晶方位を体心立方格子、面心立方格子あるいは正方格子の(001)方向に制御したトンネル磁気抵抗素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネル磁気抵抗効果とは、絶縁体を強磁性金属の電極で挟んだトンネル接合において、その電気抵抗が二つの強磁性電極の磁化の相対的な向きによって変化する現象である。また、巨大磁気抵抗効果とは、非磁性層を強磁性層で挟んだ多層構造において、その電気抵抗が二つの強磁性電極の磁化の相対的な向きによって変化する現象である。
【0003】
磁気抵抗の大きさは以下の式で表される。
【0004】
【数1】
JP0004304568B2_000002t.gif【0005】
この現象は、ハード磁気ディスクの読み出し用ヘッドのセンサーとして、また、磁気ランダムアクセスメモリの磁気記録セルの読み出しのために用いられる。高速で信頼性の高い読み出しを実現するためには、大きな磁気抵抗効果を得ることが重要である。
【0006】
これまでに、大きな磁気抵抗効果を得るために、巨大磁気抵抗効果素子では、界面を平滑にし、その電子に対する反射率を増大することが有効であることが分かっている。しかし、これまでの素子は多結晶であるために界面を平滑にすることが困難だった。これまでは、面心立方格子の(111)面および体心立方格子の(110)面を配向させることが使われていたがその配向性は必ずしも完全ではなかった。
【0007】
一方、トンネル磁気抵抗素子では、強磁性電極を(001)方位の単結晶にし、その膜厚を15原子層以下にするとトンネル磁気抵抗が増大すること(特願2001-163757)、また、20原子層以下の平坦な単結晶非磁性層をバリヤ層と単結晶強磁性電極層の間に挿入すると、磁気抵抗効果のバイアス依存性を制御出来ること(特願2001-279289)が分かっている。
【0008】
しかし、これらの素子の作製にはMgOやGaAsといった単結晶基板が不可欠であり、シリコンLSI上へのトンネル磁気抵抗素子の作製が不可能であった(T.Nagahama,et al.,Applied Physics Letters,volume 79,number 26(2001),page 4381-4383)。
【0009】
さらに、バリヤ層としてMgO(001)単結晶を用いると、巨大なトンネル磁気抵抗効果が得られることが理論的に指摘され〔J.Mathon,et al.,Physical Review B,volume 63(2001)、page 220403(R)-1-4〕、実験的にも60%を超える大きなトンネル磁気抵抗効果が得られている(M.Bowen et al.,Applied Physics letters,volume 79,number,11(2001),page 1655-1657)。
【0010】
しかし、この場合にも、素子の作製にはMgOやGaAsといった単結晶基板が不可欠であり、シリコンLSI上へのトンネル磁気抵抗素子の作製不可能であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、磁気抵抗素子を記録担体として用いる磁気ランダムアクセスメモリ(M-RAM)の実現には大きな磁気抵抗効果を示す磁気抵抗素子、バイアスに対して非線形な応答をすることにより素子選択性を確保できる素子などが必要である。
【0012】
これまで、単結晶電極を有するトンネル磁気抵抗素子では、トンネル磁気抵抗が膜厚を薄くすると大きくなる効果(特願2001-163757)や、非磁性層の挿入により磁気抵抗効果のバイアス電圧依存性を制御した素子の作製(特願2001-279289)が可能であることが示され、M-RAMへの応用が期待されている。
【0013】
しかしながら、これらの素子は、単結晶基板を必要とするのでシリコンLSI上への作製が困難である。そこで、単結晶トンネル磁気抵抗素子をSiO2 などのアモルファス基板および多結晶配線上に作製できるようにする必要がある。
【0014】
そこで、SiO2 のようなアモルファスや金属配線のような多結晶体の上に高配向で平坦性のよい磁気抵抗素子を開発することが望まれる。
【0015】
本発明は、上記状況に鑑みて、適当な種物質を探し、その結晶を高配向、かつ平坦に成長する技術を開発することにより、アモルファスや多結晶体などの下地の構造や凹凸にとらわれることなく、高配向で平坦な界面を持つ平坦化トンネル磁気抵抗素子を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕平坦化トンネル磁気抵抗素子において、アモルファス基板又は多結晶配線上にMgOアモルファス層とMgO(001)結晶層の二重層からなる下地層を有することを特徴とする。
【0017】
〔2〕上記〔1〕記載の平坦化トンネル磁気抵抗素子において、前記MgOアモルファス層の膜厚を3から10nm、前記MgO(001)結晶層の膜厚を3から10nmとすることで表面の凹凸を小さく抑えることを特徴とする。
【0018】
〔3〕上記〔1〕記載の平坦化トンネル磁気抵抗素子において、前記MgO下地層を用いることで強磁性層の凹凸を小さくし、強磁性層間の静磁的結合を小さくすることを特徴とする。
【0019】
〔4〕上記〔1〕記載の平坦化トンネル磁気抵抗素子において、前記MgO下地層を用いることで15原子層以下の超薄強磁性電極層の凹凸を小さくし、磁気抵抗効果を大きくすることを特徴とする。
【0020】
〔5〕上記〔1〕記載の平坦化トンネル磁気抵抗素子において、前記MgO下地層を用いることで20原子層以下の平坦な非磁性層をバリヤ層と強磁性電極層の間に挿入して、磁気抵抗効果のバイアス依存性を制御することを特徴とする。
【0021】
〔6〕上記〔1〕記載の平坦化トンネル磁気抵抗素子において、前記MgO下地層を用いることで強磁性電極層を体心立方格子、面心立方格子あるいは正方格子の(001)方位に配向させ、バリヤ層としてMgO(001)結晶層を用いて大きな磁気抵抗効果を得ることを特徴とする。
【0022】
〔7〕上記〔1〕記載の平坦化トンネル磁気抵抗素子において、前記MgO下地層と磁気抵抗素子の間にAu,Ag,Cu,Al,Pt,Ir,Pd,Mo,W,Ta,Cr,Ru,Rh,Mn,Fe,Co,Niを組み合わせた(001)配向層を挟むことによって平坦性を改善し、かつ電極抵抗を低減することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明にかかる平坦化トンネル磁気抵抗素子の模式図である。
【0025】
この図において、1は基板(SiLSI,SiO2 など)、4はMgOアモルファス層2とMgO(001)結晶層3の二重層からなる下地層、5は高配向で平坦な界面を持つ磁気抵抗素子である。
【0026】
かかる平坦化トンネル磁気抵抗素子を以下の手順で作製する。
【0027】
(1)基板(SiLSI,SiO2 など)1を超純水で洗浄する。
【0028】
(2)スパッタチャンバ内でアルゴン逆スパッタクリーニングにより、表面吸着水を飛ばす。
【0029】
(3)MgO(10nm)をスパッタ成膜する。
【0030】
これだけの手順により、MgOは初期にはアモルファスとして成長し、MgOアモルファス層2と、その後、MgO(001)配向の結晶層3となる。その膜厚はMgOアモルファス層2が3~10nm、MgO(001)結晶層3も3~10nmとすることが望ましい。
【0031】
このように、MgOアモルファス層2とMgO(001)結晶層3からなる下地層4を持つ高配向で平坦な強磁性トンネル磁気抵抗素子を形成することにより、これまで単結晶基板上にしか形成できなかった量子サイズ効果などの特性を示す平坦化トンネル磁気抵抗素子を、SiO2 などのアモルファス基板および多結晶配線上に作製することができる。
【0032】
図2は本発明の実施例を示す平坦化トンネル磁気抵抗素子の断面図である。
【0033】
この図において、11は酸化膜の付いたSi基板、12はMgO膜(10nm)、13はFe(001)層(20nm)、14はアモルファスAl-O層、15は上部電極(多結晶Ni-Fe)層、16はAuキャップ層である。
【0034】
かかる平坦化トンネル磁気抵抗素子の製造方法について説明する。
【0035】
(1)酸化膜の付いたSiウエハ(基板)11を超純水で洗浄する。
【0036】
(2)スパッタチャンバ内でアルゴン逆スパッタクリーニングにより、表面吸着水を飛ばす。
【0037】
(3)MgO12(10nm)をスパッタ成膜する。
【0038】
(4)一度大気中に出して、MBEチャンバに搬送する。
【0039】
(5)UHV中で加熱し、表面吸着水を飛ばす。
【0040】
(6)Fe13(20nm)を成膜する。
【0041】
(7)アニールし、表面を平滑化する。
【0042】
(8)基板温度を室温に戻してから、Alを成長・自然酸化してAl-Oトンネルバリヤ層(アモルファスAl-O層)14を作製する。
【0043】
(9)上部電極(多結晶Ni-Fe)層15、Auキャップ層16を成膜する。
【0044】
上記のようにして製造した平坦化トンネル磁気抵抗素子を、大気中に出して、X線回折(図3)、断面透過電子顕微鏡線像(図4、図5)、デバイスに加工して磁気抵抗効果を測定した。
【0045】
図3は本発明の実施例を示す酸化膜の付いたSi基板上にMgOアモルファス/(001)高配向複合下地層を成長し、その上に高品質トンネル磁気抵抗素子を作製した例のX線回折を示す図である。この図において、縦軸はX線回折強度(cps)を示し、試料表面に平行な結晶面が試料中に多く存在し、かつその結晶性よいほど回折強度は大きくなる。横軸は回折角度(度)を示しており、結晶面の間隔に対応するので、異なる結晶面は異なる回折角度にピークを作る。
【0046】
この図3から、MgOからの回折線は(002)ピークのみなので(001)配向が良好であることが分かる。また、Feの回折も(002)のみであり、かつその強度が大きいことから、良質の結晶が(001)方位に成長していることが分かる。
【0047】
回折角をFe(002)ピークのそれに合わせて、試料を回転させながらX線回折を測定することにより原子面の平行度を測定した結果、Fe層の原子面は、(001)面から±1度以内に揃っていることが分かった。このように本発明のMgO二重下地膜を用いることにより、強磁性電極層の面方位を(001)面から±1度以内に揃えることができる。さらに、この試料のFe層表面の凹凸を原子間力顕微鏡で評価した結果、凹凸はRMS値(有効平均偏差)にして、0.15nm以下であった。このように、本発明のMgO二重下地膜を用いることにより強磁性電極層表面の凹凸を小さく、即ち、0.15nm以下に抑えることができる。特に、MgOアモルファス層の膜厚を3から10nm、MgO高配向膜の膜厚を3から10nmとすることによりこの結果を得た。
【0048】
また、図4および図5に示す様に断面透過電子顕微鏡線像から、MgO層12の下部約4/10はアモルファス層12-1に、上部約6/10は(001)配向の結晶層12-2となっていることが分かる。また、MgO上に非常に平坦な表面を持つFe層13が形成されていることが分かる。また、上記の膜の平坦性の結果、凹凸に起因する静磁結合によるヒステリシス曲線のシフトを、特別なバイアス磁場を利用することなく、2Oe以下に抑えることができた。このように、MgO二重下地膜を用いて平坦なトンネル磁気抵抗素子を作製することにより静磁結合を小さくすることができた。
【0049】
本発明のMgO二重下地膜の上に、Cr(001)バッファー層20nmを成長させた後に、下部強磁性層としてFeCo合金強磁性層を電子層のオーダーで薄く成長させた。さらに、その上にアモルファスアルミナを成長させてバリヤとし、最後にFeCo多結晶合金を上部電極とした。その結果、単結晶下地の場合と同様に、磁気抵抗効果が増大した。特に、下部強磁性層の膜厚を15原子層以下にしたとき、磁気抵抗効果が厚膜の場合の二倍以上に増加した。特に、6原子層のものを、熱処理した結果、室温で70%を越える磁気抵抗効果を得た。
【0050】
このように、MgO二重下地膜を用いて15原子層以下の平坦な強磁性電極層を形成することにより、これまでにない大きな磁気抵抗効果を実現できた。
【0051】
本発明のMgO二重下地膜の上に、Pt(001)バッファ層、fcc-Co(001)バッファ層、Cu(001)バッファ層の順に成長した。その上にCo(001)下部強磁性電極、原子層オーダーの膜厚の非磁性挿入層、アモルファスアルミナバリヤ、FeCo上部強磁性電極からなるトンネル磁気抵抗素子を作製した。
【0052】
その結果、下地が単結晶の場合と同様に、Cu(001)非磁性挿入層の膜厚を20原子層以下で調整することにより、トンネル磁気抵抗効果のバイアス依存性を制御ことができた。特に、Cu(001)非磁性挿入層の膜厚を約3原子層とすると、130mVのバイアス電圧では磁気抵抗効果を示さないが、バイアス電圧が400mVでは130mVの場合に比べて10倍以上の大きな磁気抵抗効果を示す素子を作製することができた。このことより本発明の磁気抵抗効果素子はx,yマトリックス状に配線された強磁性ランダムアクセスメモリの配線の交点上に位置して、パストランジスタがなくても、その記憶内容を他の記憶セルとのクロストークなしに読み出すことに利用できる。
【0053】
このようにMgO二重下地膜を用いて20原子層以下の平坦な非磁性挿入層を強磁性電極層とバリヤ層の間に挿入することにより、磁気抵抗のバイアス依存性を制御することができた。
【0054】
本発明のMgO二重下地膜の上に、(001)高配向下部強磁性電極層、高配向バリヤ層としてのMgO(001)結晶層、(001)高配向上部強磁性電極層からなるトンネル磁気抵抗素子を作製した。
【0055】
その結果、熱処理との組み合わせにより、90%を超える非常に大きな、トンネル磁気抵抗効果を得た。このように、MgO二重下地膜を用いて、MgO(001)高配向バリヤ層を含むトンネル磁気抵抗素子を作製することにより大きな磁気抵抗効果を得た。
【0056】
図6は本発明の実施例を示す表面に凹凸のある多結晶金属電気配線上にMgOアモルファス(001)高配向複合下地膜を有する、高品質トンネル磁気抵抗素子の断面図である。
【0057】
この図において、21は下部電気配線、22はMgO二重下地層、23は下部強磁性電極、24はバリヤ層、25は上部強磁性電極、26は電気絶縁層、27は上部電気配線である。
【0058】
多結晶金属配線上に本発明のMgO下地膜を有する高品位トンネル磁気抵抗素子を作製し、かつ、金属配線と下部強磁性電極の電気的接触が必要な場合は、図6に示すように、MgO下地膜22を加工した上で下部強磁性金属膜23を形成することにより、下部電気配線21との電気的接触を確保できる。
【0059】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0060】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0061】
(1)請求項1記載の発明では、下地層をMgOアモルファス層とMgO(001)結晶層の二重層とすることにより、アモルファス基板又は多結晶配線などの下地の構造や凹凸にとらわれることなく平坦化されたトンネル磁気抵抗素子を形成することができる。
【0062】
(2)請求項2記載の発明では、MgO下地層のMgOアモルファス層の膜厚を3から10nm、MgO(001)層の膜厚を3から10nmとすることにより表面の凹凸を特に小さく抑えることができる。
【0063】
(3)請求項3記載の発明では、下地層の上に磁気抵抗素子を作製することにより強磁性層の凹凸を小さくし、強磁性層間の静磁的結合を小さくすることができる。
【0064】
(4)請求項4記載の発明では、下地層の上に15原子層以下の膜厚の超薄強磁性電極層を有するトンネル磁気抵抗効果素子を作製し、その電極の凹凸を小さく、配向性を非常によくして磁気抵抗効果を大きくすることができる。
【0065】
(5)請求項5記載の発明では、下地層の上に20原子層以下の平坦な非磁性層をバリヤ層と強磁性電極層の間に挿入したトンネル磁気抵抗素子を作製することにより磁気抵抗効果のバイアス依存性を制御することができる。
【0066】
(6)請求項6記載の発明では、下地層の上に強磁性電極層を体心立方格子、面心立方格子あるいは正方格子の(001)方位に配向させ、さらにバリヤ層としてMgO(001)結晶層を用いることにより大きな磁気抵抗効果を得ることができる。
【0067】
(7)請求項7記載の発明では、前記のMgO下地層と磁気抵抗素子の間にAu,Ag,Cu,Al,Pt,Ir,Pd,Mo,W,Ta,Cr,Ru,Rh,Mn,Fe,Co,Niを組み合わせた(001)配向層を挟むことによって平坦性を改善し、かつ電極抵抗を低減することができる。
【0068】
したがって、MgOアモルファス層/MgO(001)結晶層の複合下地を持つ高配向で平坦な強磁性トンネル磁気抵抗素子を形成することにより、これまで単結晶基板上にしか形成できなかった、量子サイズ効果などの特性を示す高性能磁気抵抗素子をSiO2 などのアモルファス基板および多結晶配線上に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる平坦化トンネル磁気抵抗素子の模式図である。
【図2】 本発明の実施例を示す平坦化トンネル磁気抵抗素子の断面図である。
【図3】 本発明の実施例を示す酸化膜の付いたSi基板上にMgOアモルファス/(001)高配向複合下地層を成長し、その上に高品質トンネル磁気抵抗素子を作製した例のX線回折を示す図である。
【図4】 本発明の実施例を示す酸化膜の付いたSi基板上にMgOアモルファス/(001)高配向複合下地層を成長し、その上に高品質トンネル磁気抵抗素子を作製した例の断面電子顕微鏡像を示す図である。
【図5】 本発明の実施例を示す酸化膜の付いたSi基板上にMgOアモルファス/(001)高配向複合下地層を成長し、その上に高品質トンネル磁気抵抗素子を作製した例の高分解断面電子顕微鏡像を示す図である。
【図6】 本発明の実施例を示す表面に凹凸のある多結晶金属電気配線上にMgOアモルファス(001)高配向複合下地膜を有する、高品質トンネル磁気抵抗素子の断面図である。
【符号の説明】
1 基板(SiLSI,SiO2 など)
2 MgOアモルファス層
3 MgO(001)結晶層
4 MgOアモルファス層とMgO(001)結晶層からなる下地層
5 高配向で平坦な界面を持つ磁気抵抗素子
11 酸化膜の付いたSi基板
12 MgO膜(10nm)
12-1 アモルファス層
12-2 (001)配向の結晶
13 Fe(001)層(20nm)
14 アモルファスAl-O層
15 上部電極(多結晶Ni-Fe)層
16 Auキャップ層
21 下部電気配線
22 MgO二重下地層
23 下部強磁性電極
24 バリヤ層
25 上部強磁性電極
26 電気絶縁層
27 上部電気配線
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5