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明細書 :超伝導体の均流化回路

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3706909号 (P3706909)
公開番号 特開2003-332121 (P2003-332121A)
登録日 平成17年8月12日(2005.8.12)
発行日 平成17年10月19日(2005.10.19)
公開日 平成15年11月21日(2003.11.21)
発明の名称または考案の名称 超伝導体の均流化回路
国際特許分類 H01F  6/06      
FI H01F 5/08 ZAAZ
H01F 5/08 ZAAC
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願2002-131574 (P2002-131574)
出願日 平成14年5月7日(2002.5.7)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成13年11月10日配布の「第11回電気学会東京支部新潟支所研究発表会予稿集」に発表
審査請求日 平成14年5月7日(2002.5.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
発明者または考案者 【氏名】山口 貢
【氏名】福井 聡
【氏名】佐藤 孝雄
【氏名】長澤 徹
【氏名】高畑 一也
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100100125、【弁理士】、【氏名又は名称】高見 和明
【識別番号】100101096、【弁理士】、【氏名又は名称】徳永 博
【識別番号】100086645、【弁理士】、【氏名又は名称】岩佐 義幸
【識別番号】100107227、【弁理士】、【氏名又は名称】藤谷 史朗
【識別番号】100114292、【弁理士】、【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100119530、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 和幸
審査官 【審査官】菊地 聖子
参考文献・文献 特開2001-333531(JP,A)
特開平09-140063(JP,A)
実開昭59-119791(JP,U)
調査した分野 H01B 12/00-12/16
H01B 13/00
H01F 6/00- 6/06
H01L 39/02-39/04
H01L 39/14-39/16
H01L 39/20
H02J 3/00- 3/50
H02J 4/00
H02J 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
Nを自然数とし、少なくとも1個の鉄心及びその鉄心に巻かれた2-1個のコイルによってN段のループを構成する相間リアクトルと、
前記コイルの両端に対となって並列接続された2個の超伝導体と、
N段目のループから引き出された中性線及びその中性線間に接続された交流電源又は可変の直流電源とを具え、
Nが2以上である場合、前記相間リアクトルの中点タップから引き出された一対の中性線が、前記相間リアクトルに接続され、
前記コイルの各々を、電流の相違に起因して前記鉄心に発生する磁束がそれぞれ打ち消されるように、極性に関連して配置したことを特徴とする超伝導体の均流化回路。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温超伝導材料又は高温超伝導から構成される超伝導体の均流化回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような超伝導体は、交流通電される送電用超伝導ケーブル、超伝導マグネット、限流器等の交流超伝導機器に利用されている。超伝導体を大電流化するためには、複数の超伝導線を束ねる必要がある。
【0003】
大電流化のために複数の超伝導線を束ねた場合、各超伝導線は並列接続されているが、各超伝導線のインダクタンスのばらつきや端部における接続抵抗の不揃いに起因して各超伝導線に均一な電流が流れない、いわゆる偏流が生じるおそれがある。このような偏流によって、超伝導体の通電能力の低下及び交流損失の増大が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、超伝導体の偏流を防止するために、成形撚線やスパイラル状ケーブルの構成が採用されている。しかしながら、超伝導体を撚ることによって超伝導体に過度の応力がかかり、機械的な歪みが原因で本来の超伝導性能が劣化するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、本来の超伝導性能を劣化させることなく通電能力及び交流損失に関する不都合を軽減することができる超伝導体の均流化回路を提供することである。
【0006】
本発明による超伝導体の均流化回路は、
Nを自然数とし、少なくとも1個の鉄心及びその鉄心に巻かれた2-1個のコイルによってN段のループを構成する相間リアクトルと、
前記コイルの両端に対となって並列接続された2個の超伝導体と、
N段目のループから引き出された中性線及びその中性線間に接続された交流電源又は可変の直流電源とを具え、
Nが2以上である場合、前記相間リアクトルの中点タップから引き出された一対の中性線が、前記相間リアクトルに接続され、
前記コイルの各々を、電流の相違に起因して前記鉄心に発生する磁束がそれぞれ打ち消されるように、極性に関連して配置したことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、電流の相違に起因して鉄心に発生する磁束をそれぞれ打ち消すことができるので、超伝導線のインダクタンスのばらつきや端部における接続抵抗の不揃いがある場合でも、各超伝導体に均一な電流を流すことができる。その結果、通電能力及び交流損失に関する不都合を軽減することができる。なお、超伝導体を撚る必要がないため、超伝導体に機械的な歪みが生じなくなり、本来の超伝導性能が劣化するおそれもない。
【0008】
なお、超伝導体は、並行導体、同軸導体等の構成をとり、超伝導材料としては、NbTiやNbSnのような低温超伝導材料又はBi系やY系のような高温超伝導材料を使用する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明による超伝導体の均流化回路の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による超伝導体の均流化回路の第1の実施の形態を示す図である。図1において、インダクタンスが互いに相違する超伝導体1,2の端部は、コイル3及び鉄心4を有する相間リアクトル5を経て、電流Iを発生する交流電源3に並列接続されている。
【0010】
この場合、超伝導体1,2のインダクタンスが互いに相違するので、これらに生じる電流I,Iによって鉄心4に発生する磁束が互いに相違し、これによってこれらの磁束が相殺されず、鉄心4に正味の磁束が生じる。このように生じた磁束が、コイル3に鎖交し、相間リアクトル5の両端に電圧が発生する。この電圧によって、超伝導体1,2及びコイル3によって構成された閉回路に循環電流Iが流れる。その結果、超伝導体1の電流Iには電流Iが加算され、超伝導体2の電流Iには電流Iが減算され、最終的には、超伝導体1,2に流れる電流は等しくなり、すなわち、いずれもI/2となる。その結果、2個の並列接続された超伝導体1,2は、インピーダンスが互いに相違しても、相関リアクトル5で流れる電流が等しくなり、すなわち、均流化される。
【0011】
次に、インピーダンスが互いに相違する4個の超伝導体に流れる電流を均流化する場合を、第2の実施の形態として図2及び3を参照して説明する。この場合、相間リアクトル11は、1個の鉄心12及びこれに巻かれた3個の巻線13,14,15を有し、巻線13,14が第1段を構成し、巻線14が第2段IR2を構成する。
【0012】
第1段IR1のコイル13,14では、超伝導体16,17,18,19がそれぞれ均流化され、第2段IR2のコイル15では、超伝導体16,17のグループと超伝導体18,19のグループとの均流化が行われる。結果的には、4個の並列な超伝導体16,17,18,19には、同一の負荷電流が流れる。
【0013】
単一の鉄心14の代わりに、第1段IR1と第2段IR2に別々の鉄心を使用する、すなわち2個の鉄心を使用し、又は、コイル13,14,15にそれぞれ対応する3個の鉄心を使用しても、同一の効果が得られる。しかしながら、図2及び図3に示すように、鉄心12に発生する磁束が相殺されるようにコイル13,14,15を結線することによって、鉄心14の断面積を小さくすることができ、装置の軽量化に有利になる。
【0014】
図4は、本発明による超伝導体の均流化回路の第3の実施の形態を示す図である。本実施の形態では、並列接続された8個の超伝導体の均流化のために、1個の鉄心21及び鉄心21に巻かれた7個のコイル22,23,24,25,26,27,28によって3段のループを構成する相間リアクトル29と、コイル22,23,24,25,26,27,28の両端に対となって並列接続された8個の超伝導体30,31,32,33,34,35,36,37と、3段目のループから引き出された中性線38及びその中性線38間に接続された交流電源39とを具える。
【0015】
次に、本発明による超伝導体の均流化回路の実験結果について、図5及び6を用いて説明する。図5に示す均流化回路では、液体窒素によって77Kに冷却されたBi2223系銀シーステープ線の超伝導コイルL1,L2のインダクタンスをそれぞれ、1.35mH及び6.15mHとする。
【0016】
交流電源Vによって発生する電流Iを1.2Aとすると、相間リアクトル40がない場合、超伝導コイルL1,L2に流れる電流I,Iはそれぞれ、0.99A及び0.22Aとなり、インダクタンスの相違に起因する偏流が生じる(図6(a)参照)。それに対して、相間リアクトル40がある場合、超伝導コイルL1,L2に流れる電流I,Iはそれぞれ、0.599A及び0.598Aとなり、均流化が行われる。
【0017】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
例えば、少なくとも1個の鉄心及びその鉄心に巻かれた2N-1個のコイルによって相関リアクトルのループをN(N:整数)段にすることができる。また、交流電源の代わりに可変の直流電源を用いることもできる。
【0018】
また、本発明を、複数の並列導体から構成される電力用超伝導ケーブル、バスバーのような電流供給線や電流リード、並列導体を巻線した超伝導マグネット等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による超伝導体の均流化回路の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】 本発明による超伝導体の均流化回路の第2の実施の形態の相間リアクタンスを示す図である。
【図3】 本発明による超伝導体の均流化回路の第2の実施の形態を示す図である。
【図4】 本発明による超伝導体の均流化回路の第3の実施の形態を示す図である。
【図5】 本発明による超伝導体の均流化回路の実験回路の図である。
【図6】 図5の実験結果を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5