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明細書 :NAP保護基を用いたシガトキシンCTX3C類の新規全合成方法および該合成に有用な新規化合物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4008765号 (P4008765)
公開番号 特開2004-018456 (P2004-018456A)
登録日 平成19年9月7日(2007.9.7)
発行日 平成19年11月14日(2007.11.14)
公開日 平成16年1月22日(2004.1.22)
発明の名称または考案の名称 NAP保護基を用いたシガトキシンCTX3C類の新規全合成方法および該合成に有用な新規化合物
国際特許分類 C07D 493/22        (2006.01)
FI C07D 493/22
請求項の数または発明の数 4
全頁数 16
出願番号 特願2002-175264 (P2002-175264)
出願日 平成14年6月17日(2002.6.17)
審査請求日 平成14年6月17日(2002.6.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】平間 正博
【氏名】井上 将行
個別代理人の代理人 【識別番号】100110168、【弁理士】、【氏名又は名称】宮本 晴視
審査官 【審査官】爾見 武志
参考文献・文献 特開2003-238568(JP,A)
特開2003-212878(JP,A)
SCIENCE,(2001), Vol.294, No.5548,p.1904-1907
調査した分野 C07D 493/22
C07D 519/00
CAplus(STN)
CAOLD(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
化合物1で表される、7位、29位および44位の水酸基の保護基をナフチルメチル(NAP)基としたアセタール原料化合物を用い、
工程1;のアセタール原料化合物1を2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルピリジン(DTBMP)の存在下において、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf)と,フェニルチオトリメチルシラン(TMSSPh)で処理して、NAP基の保護基を保持してO,S-アセタールル化合物2を得る工程、
工程2;化合物2の23位の一級水酸基をエトキシエチル基で保護し、31位の二級水酸基にα,β-不飽和エステルを導入して化合物3を得る工程からなる反応式1で表される反応、および
【化1】
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【化2】
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工程3;立体選択的ラジカル環化反応によりG環部を構築して化合物4を合成する工程、
工程4;化合物4のエステル部位を還元、ウィッティッヒ(Wittig)反応によりオレフィン化合物5を合成する工程、
工程5;化合物5を酸条件下処理して、エトキシエチル基を除去して化合物6を得る工程、
工程6;化合物6を酸化、ウィッティッヒ(Wittig)反応に供することで、閉環オレフィンメタセシス基質である化合物7を合成する工程、
工程7;化合物7に対して(PCyClRu=CHPh〔ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム〕で表されるGrubbs触媒を用い、F環部9員環を形成して、トリNAP-CTX3C である化合物8を合成する工程、および最後の
工程8;化合物8のNAP脱保護基を、DDQにより酸化条件下で進行させる工程からなる反応式2により、目的化合物であるCTX3C類を全合成する方法。
【化3】
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【請求項2】
式1で表される新規化合物。
【化4】
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式1中、RはHまたはEE、RはTIPSまたはCH=CHCOOMe
【請求項3】
式2で表される新規化合物。
【化5】
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式2中、RはCHOEE、CHOH、またはCH=CH
はCOOMe、またはCH=CH
【請求項4】
式3で表される新規化合物。
【化6】
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式3中、RはNA
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、効率的な、特に、7位、29位および44位の水酸基の脱保護基の効率を改善した新規なシガトキシン類の全合成ルートおよび前記ルートを構築する新規な中間体化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
本来無毒な魚類が毒化して起こる食中毒シガテラは、熱帯、亜熱帯の珊瑚礁域で広く発生し、年間の患者数は2万人を超える。死亡率は低いものの、知覚異常、下痢、倦怠感、関節痛、痒みなどの症状が場合によっては数ヶ月も続く。このシガテラの主要原因毒として単離・構造決定されたシガトキシン(CTX)類(化合物1など)は、13個のエーテル環が縮環する分子長3nmの巨大分子である。CTX類は渦鞭毛藻(Gambierdiscus toxcus)により生産され、食物連鎖を通じて魚類に蓄積する。400種類にも達する毒魚は、見た目、味、においなどが正常であることから、南方海域の魚類資源開発の大きな障害となっており、CTX類の簡便かつ高感度な免疫学的測定法による検出法の開発が待たれている。
【0003】
CTX類は神経興奮膜の電位依存性Naチャネルに特異的に結合し、これを活性化して毒性を発揮するが、その構造レベルでの活性発現機構は明らかにされていない。自然界のCTX類は微量成分であり、生産微細藻による培養生産も遅いことから、天然物による詳細な生物学的研究、抗CTX抗体調製は事実上不可能である。このような状況下、実用的な化学合成による天然物の量的供給が強く望まれている。
今までに、本発明者らは既にシガトキシンの全合成を提案している〔Masahiro Hirama et al.Science.Vol.294,p1904-1907(文献1)、特願2002-12460、2002年1月22日出願〕。しかしながら、前記全合成法において、最後のABCDE環部とHIJKLM環部との連結とFG環の形成反応による、シガトキシンCTX3Cの前駆体であるトリベンジル-CTX3Cを合成する方法を経由するシガトキシンCTX 3Cの全合成において、前記前駆体の3つのベンジル保護基を、前記完成したA~Mまでの環を維持しつつ取り除く工程の反応が難しく、かつ、厳しい条件のために収率が悪いという、不都合があった。しかしながら、前記全合成は、広く魚類に含まれる代表的なシガトキシンであるCTX3C(文献1、図3)の収束的全合成であり、最終脱保護が唯一の問題であった。
【0004】
本発明者は、前記最終脱保護の問題点を解決すべき手段を検討する中で、ベンジル保護基に代わり得る保護基を見出すことを発想し、多くの保護基を用いたモデル化合物を合成し、脱保護が比較的温和な条件において、基質特異的に脱保護基反応が進行する保護基の検討をし、前記化合物1に示す7位、29位および44位の水酸基の保護基をナフチルメチル基とする、シガトキシンCTX3C類の新規全合成ルートを構築するのに有用な中間体として有用な新規化合物を提案している(特願2002-35075、平成14年2月13日出願)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、前記提案した新ルートの発想を発展させ、シガトキシンCTX3C類の新規全合成ルートを確立することである。すなわち、最終脱保護の問題を解決した新ルートの化学合成法を確立することである。ところで、天然物の全合成において、中間化合物は最終化合物までの工程を想定しつつ設計しても、合成工程は最終段階に近づくほど、標的の反応位置へ影響する周辺の原子が多くなり、また、官能基の数や分子量が増すため、望む化学変換の条件設定には厳密さを要求される。とくに、合成過程に要求される様々な反応からある官能基を保護するために利用される保護基は、最終段階までの化学的安定性と最終段階での除去の容易さという2つの矛盾しうる性質を要求され、脱保護が全合成でもっとも困難な工程となる場合も多い。前記本発明者らが提案したNAP保護基を用いたCTX 3C類の合成に有用と思われる中間体も、従来のベンジル保護基を用いる場合に比べて有用であることが、モデル化合物を用いた実験で予想されていても、前記中間体以降、目的化合物であるシガトキシンCTX3C類までの合成工程において有効な保護基となるかどうかは、その工程を現実に構築して初めて確認できるというのが、技術的発展が進んだ現在の化学技術の現状にあっても存在する問題である。
【0006】
そこで、本発明者らは前記提案以降の工程の確立を、先ず本発明者らが開発した前記化合物1のNAP保護基をBn保護基とした化合物を出発原料として用いて、前記脱保護基前のCTX3C類の合成ルートが利用できないか検討し、化合物1を出発原料を用いてNAPを保護基とするCTX3Cの前駆体を合成する反応工程には、前記化合物1のNAP保護基をBn保護基とした出発原料を用いて、最終工程に於いて脱Bn保護基をしてCTX3Cを製造するする前のCTX3C前駆体を合成する反応までの工程をほぼ踏襲できること、および、脱NAP保護基の反応には、脱Bn保護基の反応より容易な酸化反応を利用でき、かつ、前記酸化反応は化学構造特異性が高いために、高収率でCTX3Cを得ることができることを見出し、前記課題を解決することができた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、前記化合物1で表される、7位、29位および44位の水酸基の保護基をナフチルメチル(NAP)基としたアセタール原料化合物を用い、
工程1;のアセタール原料化合物1を2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルピリジンの存在下において、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf)とフェニルチオトリメチルシラン(TMSSPh)で処理して、NAP基の保護基を保持して前記O,S-アセタールル化合物2を得る工程、
工程2;前記化合物2の23位の一級水酸基をエトキシエチル基で保護し、31位の二級水酸基にα,β-不飽和エステルを導入して前記化合物3を得る工程からなる前記反応式1で表される反応、および
工程3;前記化合物3を立体選択的ラジカル環化反応によりG環部を構築して前記化合物4を合成する工程、
工程4;前記化合物4のエステル部位を還元、ウィッティッヒ(Wittig)反応により前記オレフィン化合物5を合成する工程、
工程5;化合物5を酸条件下処理して、エトキシエチル基を除去して前記化合物6を得る工程、
工程6;化合物6を酸化、ウィッティッヒ(Wittig)反応に供することで、閉環オレフィンメタセシス基質である前記化合物7を合成する工程、
工程7;化合物7に対してオレフィンメタセシス触媒である(PCyClRu=CHPhで表されるGrubbs触媒〔ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム〕を用い、F環部9員環を形成して、トリNAP-CTX3C である化合物8を合成する工程、
【0008】
【化7】
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【0009】
および最後の
工程8;化合物8のNAP脱保護基を、DDQ(2,3-dichloro-5,6-dicyano-1,4-benzoquinone)により酸化条件下で進行させる工程からなる反応式2により、目的化合物であるCTX3C類を全合成により合成する方法に関する。
【0010】
本発明の第2は、前記式1で表される新規化合物、特に新規ルートに基づいてCTX3C類を合成するのに有用な前記式1で表される新規化合物である。
本発明の第3は、前記式2で表される新規化合物、特に新規ルートに基づいてCTX3C類を合成するのに有用な前記式2で表される新規化合物である。
本発明の第4は、前記式3で表される新規化合物、特に新規ルートに基づいてCTX3C類を合成するのに有用な前記式3で表される新規化合物である。
【0011】
【本発明の実施の態様】
本発明をより詳細に説明する。
A.本発明の特徴は、本発明者らが先に提案(特願2002-35075、平成14年2月13日出願)したモデル実験に基づいて確認した、従来のシガトキシン類の全合成の反応条件をできるだけ維持しつつ脱保護基の問題を改善できるとの予想を実現するための新規ルートを確立することである。
そしてそのルートは請求項1に記載の反応式1および2によるルートを開発することにより、前記先の提案で予想した効果を確認することができた。
【0012】
B.ここで、本発明の理解を助けるために前記化合物1の合成工程を反応式3に示す。
【0013】
【化8】
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【0014】
化合物1の合成;
A-E環ジオール化合物B(15.3 mg,26.5μmol)とH-M環アルデヒド化合物A (29.0μmol)のベンゼン(0.3 mL)溶液に、Sc(OTf)(3.7 mg, 7.5 μmol)を加え室温で2時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO水溶液で洗った。水層をさらに酢酸エチルで2回抽出し、あわせた有機層を飽和食塩水で洗い、MgSOで乾燥させ、濃縮、シリカゲルカラムで精製し、化合物1のアセタール(29.0 mg、18.4μmol, 69%)が得られる。化合物1の物性を表1に示す。
【0015】
【表1】
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【0016】
【実施例】
NAP保護基に代えた中間化合物類、および該中間体の合成工程については、前記反応式1および2、並びに該反応式の説明の中に概略記載した。
本明細書における略号については略号の説明項参照。
【0017】
実施例1
化合物2.3の合成反応;
化合物1(16.8mg、10.7μmol)、TMSSPh (10μL、50μmol)、DTBMP (22mg、110μmol)と活性化MS4A (~10mg)のCHCl(0.5mL)溶液を0℃に冷却し、TMSOTf (17μL、90μmol)を加えた。室温で2時間撹拌後、35℃で4時間撹拌した。反応溶液にメタノール(1 mL)とKCO(80mg)を室温で加え、混合液を終夜撹拌し、酢酸エチルで希釈した。有機層を飽和食塩水で洗い、MgSOで乾燥させ、濃縮、フラッシュカラムで精製し、化合物2O,S-アセタール(6.9 mg,4.1μmol,38%)を得、原料化合物1(3.9 mg, 2.5μmol, 23%)を回収した。化合物2の物性を表2に示す
【0018】
【表2】
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【0019】
化合物2(14.0mg、8.3μmol)とエチルビニルエーテル(EVE)(80μL、800μmol)のCHCl溶液にPPTS (2.3mg、9.2μmol)を加え、室温で1.5時間撹拌し、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を停止した。この溶液を酢酸エチルで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗い、MgSO4で乾燥した。濃縮とフラッシュカラムで精製し、EEエーテル(10.7mg、6.1μmol)を得た。
EEエーテル(10.7mg、6.1μmol)のTHF (0.2mL)溶液に、TBAF (61μL、 1.0 M THF溶液, 61μmol)を加え、40℃で15時間撹拌した。反応溶液を直接シリカゲルカラムで精製し、アルコール(10.6mg)を得た。
アルコール(10.6mg)のCHCl(0.4mL)溶液に、メチルプロピオレート(11μL, 120μmol)とNMM (3μL、30μmol)を加え、室温で9時間撹拌した。反応溶液を直接シリカゲルカラムで精製し、化合物3のアクリレート(9.1mg、5.4μmol、前記2工程合計の収率は89%)を得た。化合物3の物性を表3に示す。
【0020】
【表3】
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【0021】
化合物4、5,および6の合成;
化合物3(9.1mg、5.4μmol)、BuSnH (43μL、160μmol)とAIBN (4.8mg、29μmol)のトルエン(1.8mL)を凍結脱気した後、85℃に加熱し、2.5時間撹拌した。反応液を直接フラッシュカラムで精製し、化合物4のエステルを得た。化合物4は、これ以上の精製をせずに、次の反応に使用した。
【0022】
化合物4のCHCl(0.5mL)溶液を、-80℃に冷却し、DIBAL(18μL、0.93Mヘキサン溶液, 17μmol)を加えた。原料の化合物4が消失するまで、さらにDIBAL(95μL、0.93Mヘキサン溶液、90μmol)を導入した。-80℃で2時間撹拌後、酢酸エチルを加え、反応を停止した。この混合物を、酢酸エチルと飽和NHCl水溶液で希釈し、ロッシェル塩を加え室温で2時間撹拌した。この溶液を酢酸エチルで3回抽出し、あわせた有機層を飽和食塩水で洗い、MgSOで乾燥し、濃縮した。粗アルデヒドをフロリジルパッドで精製し、次の反応に使用した。
トリフェニルホスホニウムブロミド(24mg、67mmol)のTHF (0.2 mL)をNaHMDS(60μL、1M THF溶液, 60μmol)で、0℃で処理し、混合物を0℃で15分間撹拌した。この溶液に、アルデヒドのTHF (0.6 mL)を導入し、0℃で1時間撹拌した。飽和NH4Cl水溶液を加え反応を停止し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。あわせた有機層を飽和食塩水で洗い、MgSO4で乾燥した。この溶液を濃縮し、フラッシュカラムで精製して、化合物5のテトラエンを得た。化合物5はこれ以上の精製はせずに、次の反応に使用した。
【0023】
EEエーテル化合物5のメタノール(1mL)-THF (0.5mL)溶液に、CSA (1.0mg、4μmol)を加え、室温で3時間撹拌した。溶液にさらにCSA (1.6 mg、7μmol)を導入し、反応溶液を室温で6時間撹拌した。この混合物に、飽和NaHCO3水溶液を加え、反応を停止し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。あわせた有機層を飽和食塩水であらい、MgSO4で乾燥した。濃縮、フラッシュカラムにより化合物6のアルコール(3.3 mg、2.2μmol、前記4工程合計の収率は41%であった。)を得た。化合物6の物性を表4に示す。
【0024】
【表4】
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【0025】
化合物7の合成;
化合物6のアルコール(3.3mg、2.2μmol)とEtN(60μL、450μmol)のCHCl(0.2 mL)-DMSO(0.2mL)を、0℃に冷却し、SOピリジン錯体(11mg、70μmol)を加えた。反応溶液を室温で2時間撹拌し、酢酸エチルと飽和NHCl水溶液で希釈した。水層を酢酸エチルで2回抽出し、あわせた有機層を飽和食塩水で洗い、MgSOで乾燥した。濃縮後、粗アルデヒドをフロリジルパッドで精製し、次の反応に使用した。
トリフェニルホスホニウムブロミド(20mg、56mmol)のTHF(0.2mL)をNaHMDS(55μL、1M THF溶液、55μmol)で、0℃で処理し、混合物を0℃で20分間撹拌した。この溶液に、アルデヒドのTHF(0.8mL)を導入し、0℃で1時間撹拌した。反応溶液にさらに、同様に調製したイリド(56μmol)のTHF(0.4mL)溶液を導入し、0℃で30分間撹拌した。これに飽和NHCl水溶液を加え反応を停止し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。あわせた有機層を飽和食塩水で洗い、MgSOで乾燥した。この溶液を濃縮し、フラッシュカラムで精製して、化合物7のペンタエン(3.2mg、2.2μmol)を得た。化合物7の物性を表5に示す。
【0026】
【表5】
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【0027】
化合物8のトリス-NAP CTX3C 44の合成;
凍結脱気した化合物7のペンタエン(3.2mg、2.2μmol)のCHCl (2.2 mL)溶液に、(PCyClRu=CHPh(Grubbs触媒, 65μL、10 mMCHCl 溶液, 0.7μmol)を加え、40℃で13時間撹拌した。この溶液に2滴のEt3Nを導入し反応を停止し、濃縮し、フラッシュカラムで精製して、化合物8のトリス-NAP CTX3C (2.8mg、1.9μmol、90%)を得た。化合物8の物性を表6に示す。
【0028】
【表6】
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【0029】
目的化合物であるCTX3Cの合成;
化合物8のトリス-NAP CTX3C(1.4mg、1.9μmol)の(CHCl (0.8mL)-HO(40μL)溶液に、DDQ(1.1mg、5.0μmol)を加え、室温で3時間撹拌した。この溶液に、飽和Na水溶液を加え、反応を停止し、酢酸エチルと飽和NaHCO水溶液で希釈した。水層を酢酸エチルで3回抽出し、あわせた有機層を飽和食塩水で洗い、MgSOで乾燥した。溶液を濃縮し、フロリジルカラムを通した後、粗CTX3CをHPLCで精製し、合成CTX3C(0.53mg、0.52μmol、54%)を得た。目的化合物CTX3Cの物性を表7に示す。
【0030】
【表7】
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【0031】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の新規ルートのシガトキシン合成法法によれば、前記従来のBn保護基を用いた場合に比べて、最終工程において3つの保護基を温和で基質特異的な酸化条件脱保護が可能であることにより、効率的なCTX3C類の合成が可能となり、種々の生理学的研究の活性化と、これに伴う新規技術の発展の可能性が推測され、優れた効果がもたらされることが推測できる。
【0032】
略号の説明;
NAP 2-naphthylmethyl
DTBMP 2,6-di-butyl-4-methylpyridine
TMSOTf phenylthiotrimethylsilane
TMSSPh trimethylsilyl trifluoromethanesulfonate
Me methyl
TIPS triisopropylsilyl
Ph phenyl
EE ethoxyethyl
EVE ethylvinyl ether
PPTS pyridinium p-toluenesulfonate
TBAF tetrabutylammonium fluoride
NMM 4-methylmorphorine
PMBM 4-methoxybenzyloxymethyl
AIBN α、α’-azobis(isobutyronitrile)
DIBAL diisobutylaluminum hydride
NaHMDS sodium bis(trimethylsilyl)amide
CSA 10-camphorsulfonic acid
THF tetrahydrofuran
DMSO dimethylsulfoxide
Cy cyclohexyl
DDQ 2,3-dichloro-5,6-dicyano-1,4-benzoquinone
Grubbs触媒 benzylidene-bis(tricyclohexylphosphine)dichlororuthenium
Tf trifluoromethanesulfonyl