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明細書 :融合型化学・物理現象検出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4133028号 (P4133028)
公開番号 特開2004-028723 (P2004-028723A)
登録日 平成20年6月6日(2008.6.6)
発行日 平成20年8月13日(2008.8.13)
公開日 平成16年1月29日(2004.1.29)
発明の名称または考案の名称 融合型化学・物理現象検出装置
国際特許分類 G01N  27/414       (2006.01)
H01L  27/146       (2006.01)
H01L  27/14        (2006.01)
FI G01N 27/30 301U
H01L 27/14 A
H01L 27/14 K
G01N 27/30 301Y
G01N 27/30 301X
請求項の数または発明の数 9
全頁数 13
出願番号 特願2002-183980 (P2002-183980)
出願日 平成14年6月25日(2002.6.25)
審査請求日 平成17年2月8日(2005.2.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】澤田 和明
【氏名】石田 誠
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】柏木 一浩
参考文献・文献 特開平11-201775(JP,A)
特開2002-098667(JP,A)
特開2002-077730(JP,A)
特開2002-221435(JP,A)
特開2002-221510(JP,A)
特開平10-332423(JP,A)
特開2002-027331(JP,A)
調査した分野 G01N 27/414
H01L 27/14
H01L 27/146
特許請求の範囲 【請求項1】
同一センシング領域に入ってくる、光情報と化学ポテンシャル情報を同時に取得して、前記光情報と化学ポテンシャル情報をその素子内で分離し、外部にそれぞれ出力する融合型化学・物理現象検出装置において、
一センシング領域を有するセンシング部(101)と、該センシング部(101)の一方側に配置されるセパレートゲート(102)と、該セパレートゲート(102)に接続される光電荷蓄積部(103)と、該光電荷蓄積部(103)に接続される第1の出力用MOSFET(104)及び第1のリセット用MOSFET(105)と、前記センシング部(101)のもう一方側に配置されるトランスファーゲート(106)と、該トランスファーゲート(106)に接続される化学ポテンシャル情報電荷蓄積部(107)と、該化学ポテンシャル情報電荷蓄積部(107)に接続される第2の出力用MOSFET(108)及び第2のリセット用MOSFET(109)とを備え、前記光情報は光量であり、該光量を電荷に変換し前記第1の出力用MOSFET(104)のゲートを介して光電荷蓄積用拡散部となるドレイン領域に出力し、前記化学ポテンシャル情報は水素イオン量であり、該水素イオン量を記第2の出力用MOSFET(108)のゲートを介して水素イオン量蓄積用拡散部となるドレイン領域に出力し、前記同一センシング領域に入ってきた水素イオン量を前記第1の出力用MOSFET(104)と第2の出力用MOSFET(108)に読み出して同時に出力することを特徴とする融合型化学・物理現象検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の融合型化学・物理現象検出装置において、前記第1及び第2の出力用MOSFET(104,108)のゲートを介した出力操作を複数回行い、光及び水素イオン量の電荷をそれぞれのドレイン領域に累積する手段を具備することを特徴とする融合型化学・物理現象検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の融合型化学・物理現象検出装置において、前記光量と水素イオン量の出力を第1及び第2の出力用MOSFET(104,108)のゲートに入力して、該MOSFET(104,108)の電流変化に変換する手段を具備することを特徴とする融合型化学・物理現象検出装置。
【請求項4】
請求項3記載の融合型化学・物理現象検出装置において、前記第1の出力用MOSFET(104)および第2の出力用MOSFET(108)に流れる電流の変化を電圧値で出力するソースフォロア回路を具備することを特徴とする融合型化学・物理現象検出装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の融合型化学・物理現象検出装置であって、前記融合型化学・物理現象検出装置の発生するリセット雑音を除去する回路を具備することを特徴とする融合型化学・物理現象検出装置。
【請求項6】
請求項3、4又は5記載の融合型化学・物理現象検出装置であって、前記融合型化学・物理現象検出装置を複数個、少なくとも1次元以上に並べたことを特徴とする融合型化学・物理現象検出装置。
【請求項7】
請求項6記載の融合型化学・物理現象検出装置において、前記リセット雑音を除去する回路は各検出装置毎に1個、または列に1個取り付けるようにしたことを特徴とする融合型化学・物理現象検出装置。
【請求項8】
請求項6記載の融合型化学・物理現象検出装置において、前記融合型化学・物理現象検出装置の出力を、前記第1の出力用MOSFET(104)および第2の出力用MOSFET(108)で時間的に切り替えて、出力することを特徴とする融合型化学・物理現象検出装置。
【請求項9】
請求項8記載の融合型化学・物理現象検出装置において、前記融合型化学・物理現象検出装置の切り替え用のMOSFETの駆動回路が内蔵されていることを特徴とする融合型化学・物理現象検出装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物理化学現象の検出を行う検出装置の分野に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本願発明者らが先に提案した特許出願(特願2000-293669、特願2001-18904、特願2001-18905)においては、検出できる情報は1種類のみであり、複種類の物理化学現象を検出することはできなかった。特に光情報を検出することは不可能であった。
【0003】
従来の化学ポテンシャルセンサは、1種類の物理化学現象を測定するために考えられたものであり、1つのセンシング領域で、複種類の物理化学現象を測定することはできなかった。
【0004】
しかしながら、様々な現象を計測するためには複種類の現象を同時に計測することが必要になる。たとえば、DNAチップにおいては、計測対象のDNAが相補的にDNAチップ上でプローブDNAと反応を起こすと化学ポテンシャルが変化するため、これを計測することができ、同時に計測対象のDNAに蛍光ラベルをハイブリダイゼーションしておくことで、蛍光が観察できる。
【0005】
従来はこのような化学ポテンシャル情報と光情報のうち、片方しか利用していなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本願発明者らはDNAなどの生化学計測の場合、CCDデバイスを用いて検出感度を遙かに上げることにより、同一場所の複数の情報を同時に取得することができると考えた。
【0007】
また、第18回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム(平成13年5月30日:論文集発行日:5月29日)において、光信号とイオン信号を同時に取得できる構造を発表した。これはセンシングした光信号強度により発生した電荷、およびpHの値に相当する電荷を、CCD(電荷転送デバイス)により取り出す構造となっていた。
【0008】
図9は従来の融合型化学・物理現象検出装置の模式図である。
【0009】
図9において、401はセンシング部、402はイオン電荷注入部、403は光信号とイオン信号の分離を行う第1のセパレートゲート、404は光電荷蓄積部、405は遮光用アルミ部、406はCCDからなる光電荷出力部、407は光信号とイオン信号の分離を行う第2のセパレートゲート、408はCCDからなる化学ポテンシャル情報電荷蓄積部及びその出力部である。
【0010】
ここでは、光で発生した電荷をCCDからなる光電荷出力部406に運び、電荷を電圧に変換して出力するものである。一方、化学ポテンシャル情報は、CCDからなる化学ポテンシャル情報電荷蓄積部及びその出力部408に運び、出力するようにしている。つまり、光とイオンの測定を同時に行うことが出来るようにしている。
【0011】
しかし、CCDで単体センサ、1次元、2次元のアレイデバイスを製作することは、技術上多くのノウハウを必要とするため、様々な半導体製造メーカでの製作は技術的に困難であり、CCDデバイスを製作するには製作コスト、製造装置など大きな投資を必要としていた。
【0012】
本発明は、上記状況に鑑みて、CMOS製造プロセスを用いて、安価に、しかも容易に製作ができる融合型化学・物理現象検出装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕同一センシング領域に入ってくる、光情報と化学ポテンシャル情報を同時に取得して、前記光情報と化学ポテンシャル情報をその素子内で分離し、外部にそれぞれ出力する融合型化学・物理現象検出装置において、
一センシング領域を有するセンシング部(101)と、このセンシング部(101)の一方側に配置されるセパレートゲート(102)と、このセパレートゲート(102)に接続される光電荷蓄積部(103)と、この光電荷蓄積部(103)に接続される第1の出力用MOSFET(104)及び第1のリセット用MOSFET(105)と、前記センシング部(101)のもう一方側に配置されるトランスファーゲート(106)と、このトランスファーゲート(106)に接続される化学ポテンシャル情報電荷蓄積部(107)と、この化学ポテンシャル情報電荷蓄積部(107)に接続される第2の出力用MOSFET(108)及び第2のリセット用MOSFET(109)とを備え、前記光情報は光量であり、この光量を電荷に変換し前記第1の出力用MOSFET(104)のゲートを介して光電荷蓄積用拡散部となるドレイン領域に出力し、前記化学ポテンシャル情報は水素イオン量であり、この水素イオン量を前記第2の出力用MOSFET(108)のゲートを介して水素イオン量蓄積用拡散部となるドレイン領域に出力し、前記同一センシング領域に入ってきた水素イオン量を前記第1の出力用MOSFET(104)と第2の出力用MOSFET(108)に読み出して同時に出力することを特徴とする。
【0014】
〔2〕上記〔1〕記載の融合型化学・物理現象検出装置において、前記第1及び第2の出力用MOSFET(104,108)のゲートを介した出力操作を複数回行い、光及び水素イオン量の電荷をそれぞれのドレイン領域に累積する手段を具備することを特徴とする。
【0015】
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の融合型化学・物理現象検出装置において、前記光量と水素イオン量の出力を第1及び第2の出力用MOSFET(104,108)のゲートに入力して、このMOSFET(104,108)の電流変化に変換する手段を具備することを特徴とする。
【0016】
〔4〕上記〔3〕記載の融合型化学・物理現象検出装置において、前記第1の出力用MOSFET(104)および第2の出力用MOSFET(108)に流れる電流の変化を電圧値で出力するソースフォロア回路を具備することを特徴とする。
【0017】
〔5〕上記〔3〕又は〔4〕記載の融合型化学・物理現象検出装置であって、前記融合型化学・物理現象検出装置の発生するリセット雑音を除去する回路を具備することを特徴とする。
【0018】
〔6〕上記〔3〕、〔4〕又は〔5〕記載の融合型化学・物理現象検出装置であって、前記融合型化学・物理現象検出装置を複数個、少なくとも1次元以上に並べたことを特徴とする。
【0019】
〔7〕上記〔6〕記載の融合型化学・物理現象検出装置において、前記リセット雑音を除去する回路は各検出装置毎に1個、または列に1個取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0020】
〔8〕上記〔6〕記載の融合型化学・物理現象検出装置において、前記融合型化学・物理現象検出装置の出力を、前記第1の出力用MOSFET(104)および第2の出力用MOSFET(108)で時間的に切り替えて、出力することを特徴とする。
【0021】
〔9〕上記〔8〕記載の融合型化学・物理現象検出装置において、前記融合型化学・物理現象検出装置の切り替え用のMOSFETの駆動回路が内蔵されていることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の実施例を示す融合型化学・物理現象検出装置の構成図である。
【0024】
この図において、100は電荷注入部(ID)、101は光情報と化学ポテンシャル情報のセンシングを行うセンシング部、102はそのセンシング部101に接続される光信号とイオン信号の分離を行うセパレートゲート、103は光電荷を蓄える光電荷蓄積部、104は第1の出力用MOSFETであり、この第1の出力用MOSFET104のゲートに光電荷蓄積部103が接続され、ソース領域に電源VDDが、ドレイン領域に出力Vout1がそれぞれ接続されている。また、光電荷蓄積部103には第1のリセット用MOSFET105が接続され、そのゲートにリセット信号Vrstが印加可能になっている。
【0025】
また、センシング部101にはトランスファーゲート106が接続され、このトランスファーゲート106に化学ポテンシャル情報を蓄積する化学ポテンシャル情報電荷蓄積部107が接続され、さらに、その化学ポテンシャル情報電荷蓄積部107は第2の出力用MOSFET108に接続されている。この第2の出力用MOSFET108には、上述のようにゲートに化学ポテンシャル情報電荷蓄積部107が接続され、ソース領域に電源VDDが、ドレイン領域に出力Vout2がそれぞれ接続されている。
【0026】
更に、化学ポテンシャル情報電荷蓄積部107には第2のリセット用MOSFET109が接続され、この第2のリセット用MOSFET109のゲートにリセット信号Vrstが印加可能になっている。
【0027】
ここでセンシング部101は光を透過し、かつ化学ポテンシャルを半導体表面のポテンシャル変化に変換できるように、たとえばシリコン基板上に酸化膜を堆積させ、その上に感応膜である窒化膜を堆積させたISMOS(Ion Sensitive Membrane/Oxide/Silicon)構造になっている。また、光電荷蓄積部103、及び化学ポテンシャル情報蓄積部107は、電子を蓄えるためにリンをドープしたn+ 拡散層になっており、電気的に浮いたフローティング状態にしてある。
【0028】
まず、第1のリセット用MOSFET105、第2のリセット用MOSFET109のそれぞれのゲートにリセット信号Vrstがパルス的に印加されることにより、それぞれの蓄積部103,107は、ある電位にリセットされる。
【0029】
次に、セパレートゲート102を開け、その状態で光がセンシング部101に入ることにより、光によって発生した電子である光電子が光電荷蓄積部103に蓄えられる。
【0030】
また、化学ポテンシャルの変化により、センシング部101のシリコン表面にはポテンシャル井戸が形成される。そこで、セパレートゲート102を閉じ、その状態でこのポテンシャル井戸分の電子をインプットダイオード(ID)より注入することで、イオンによるポテンシャル変化分を電子量に置き換える。そして、トランスファーゲート106を開けて、置き換えた電子量を化学ポテンシャル情報電荷蓄積部107に蓄える。それぞれの蓄積部103,107の電位変化量により、第1出力MOSFETおよび第2出力MOSFETに流れる電流の変化に変換され、その電流の変化はソースフォロアと呼ばれる回路で電圧値として出力される。
【0031】
図2は実際にその融合型化学・物理現象検出装置を作製した図である。
【0032】
このように、光電荷蓄積部103及び化学ポテンシャル情報電荷蓄積部107からの出力部をMOSFETで構成するようにしたので、CCDで構成する場合に比べて、以下のような利点を有する。
【0033】
ここで、MOSFETとCCDの違いを述べると、MOSFETは横方向から拡散層・ゲート・拡散層の順に構成される構造であるため、以下のセルフアラインのMOSプロセスで汎用的に作ることが出来る(このプロセスのために必ずゲートの両側は拡散層である)。
【0034】
基本的なMOSプロセスは
1.アクティブ領域形成
2.ゲート酸化、ゲートポリシリコン形成
3.ソースドレインイオン注入
4.パッシベーション・コンタクト
5.配線形成
である。
【0035】
一方、CCDプロセスは
1.アクティブ領域形成
2.第1ゲート領域酸化、第1層目ポリシリコン形成
3.ポリシリコンイオン注入
4.ポリシリコン酸化
5.第2ゲート領域酸化、第2層目ポリシリコン形成
6.拡散領域形成
7.パッシベーション
8.配線形成
の工程が必要である。
【0036】
また、一般的なMOSFETプロセスはマスク枚数が10枚前後だが、ゲートとゲートの間に拡散層を設けることができないCCDプロセスには20枚程度のマスクが必要である。
【0037】
以上のように、CCDプロセスでデバイスを作るには相当のリスクとノウハウが必要だが、その点CMOSは容易に製造することができる。
【0038】
さらに、CCDプロセスで製作したものは、メモリ、マイクロプロセッサとは同じチップ上に作ることができないが、CMOSはメモリ、マイクロプロセッサが作られているプロセスであるので、CMOSプロセスでセンサが製造できることは、今後、他の電子デバイスと融合するときに大きなメリットとなる。
【0039】
次に、本発明による融合型化学・物理現象検出装置を用いて、化学ポテンシャルおよび光量を同時に測定した結果を示す。実験では、化学ポテンシャル信号として、水素イオン量(pH値)を用いて測定した。
【0040】
図3は本発明の融合型化学・物理現象検出装置による光出力特性図であり、横軸に入力光強度(μW/cm2 )、縦軸に光出力(V)を示している。
【0041】
この図から明らかなように、光出力端子では、化学ポテンシャル〔この場合、水素イオン量(pH値)〕に依存せずに、光量が正確に測定できることを示している。
【0042】
図4は本発明の融合型化学・物理現象検出装置による化学ポテンシャル出力特性図であり、横軸に水素イオン量(pH)、縦軸にイオンH出力(V)を示している。
【0043】
その結果、化学ポテンシャル出力側においての信号特性(この場合pH値依存性)は、光強度に依存せず、正確に化学ポテンシャルの変化を得ることができることを示している。
【0044】
次に、上記した本発明の融合型化学・物理現象検出装置を2次元に並べて構成したアレイデバイスの構成例を示す。
【0045】
図5は本発明の実施例を示す2次元アレイ融合型化学・物理現象検出装置の全体構成図である。
【0046】
この図において、201は融合型化学・物理現象検出装置アレイ、202は雑音除去回路(コラムCDS回路)、203は水平選択器(H.SCANNER)、204は垂直選択器(V.SCANNER)、Vselはセレクト信号、Vsig1は光信号出力、Vsig2は化学ポテンシャル信号出力、Vresはリセット出力信号、VbN,VbPは低電流駆動用バイアス電圧である。
【0047】
上記した本発明の融合型化学・物理現象検出装置アレイ(以下、融合型センサアレイという)201の各センサは、MOSスイッチによりマトリックス駆動が可能になるように構成されており、さらにその駆動回路(水平選択器203,垂直選択器204)もCMOS構成して内蔵するようにしている。
【0048】
さらに、読み出し動作の時に生じるリセット雑音や固定パターン雑音を除去することが可能な雑音除去回路(コラムCDS回路)202(詳細には図8で詳述する)を各列に1個配置している。
【0049】
図6は本発明の実施例を示す2次元アレイ融合型化学・物理現象検出装置のCMOSで設計した全体レイアウトを示す図である。
【0050】
融合型センサアレイ201の1つのセンサ部の構成は図7に示した。その要素を縦、横に並べ、信号を順次得るために、水平選択器203、垂直選択器204が付加されている。雑音除去回路(コラムCDS回路)202は従来技術の1要素であるリセット雑音除去回路を、列状に並べたものであり、1つのセンサ部に1つ付加してもかまわない。
【0051】
この実施例では、雑音除去回路(コラムCDS回路)202を1列に1個入れたときの例を示す。出力は、リセット出力信号Vresと光信号出力Vsig1または化学ポテンシャル信号出力Vsig2との差をとることで得ることができる。
【0052】
単一融合型化学・物理現象検出装置の時と異なるところは、垂直選択器204により融合型センサアレイ201を順次駆動するために、セレクト信号Vselによりセンサ部を選択して出力を得るような構成になっている点である。つまり、セレクト信号Vselの信号が入ると、光および化学ポテンシャルの情報が同時に、雑音除去回路(コラムCDS回路)202に送られ出力される。列の切り替えは雑音除去回路(コラムCDS回路)202により行う。
【0053】
次に、2次元アレイ融合型化学・物理現象検出装置の構成を詳細に説明する。
【0054】
図7は本発明の実施例を示す2次元アレイ融合型化学・物理現象検出装置要素の構成図である。
【0055】
この図において、300は電荷注入部(ID)、301は光情報と化学ポテンシャル情報のセンシングを行うセンシング部、302はそのセンシング部301に接続される光信号とイオン信号の分離を行うセパレートゲート、303は光電荷を蓄える光電荷蓄積部、304は第1の出力用MOSFET(Vout1)であり、この第1の出力用MOSFET304のゲートに光電荷蓄積部303が接続され、この第1の出力用MOSFET304の電源VDD側には第1のセレクト用MOSFET(Tr sel1)305が接続されている。その第1のセレクト用MOSFET305のゲートにはセレクト信号(垂直選択信号)Vsel1が印加可能になっている。
【0056】
また、光電荷蓄積部303には第1のリセット用MOSFET(Tr rst1)306が接続され、その第1のリセット用MOSFET306のゲートにはリセット信号Vrstが印加可能になっている。
【0057】
更に、センシング部301にはトランスファーゲート307が接続され、このトランスファーゲート307に化学ポテンシャル情報を蓄積する化学ポテンシャル情報電荷蓄積部308が接続され、さらにその化学ポテンシャル情報電荷蓄積部308には第2の出力用MOSFET309(Vout2)が接続されている。この第2の出力用MOSFET309のゲートは、上述のように、化学ポテンシャル情報電荷蓄積部308が接続され、その第2の出力用MOSFET309の電源VDD側には、第2のセレクト用MOSFET(Tr sel2)310が接続されている。その第2のセレクト用MOSFET310のゲートにはセレクト信号(垂直選択信号)Vsel2が印加可能になっている。
【0058】
また、化学ポテンシャル情報電荷蓄積部308には第2のリセット用MOSFET(Tr rst2)311が接続され、その第2のリセット用MOSFET311のゲートにはリセット信号Vrstが印加可能になっている。
【0059】
次に、この2次元アレイ融合型化学・物理現象検出装置要素に接続されるコラムCDS回路(列並列雑音除去回路)の詳細な説明を行う。
【0060】
図8はかかるコラムCDS回路(列並列雑音除去回路)の構成図である。
【0061】
この図において、Aは2次元アレイ融合型化学・物理現象検出装置要素(図6参照)、VbN,VbPは低電流駆動用バイアス電圧である。出力Voutは前述の単一融合型物理現象検出装置の構成と一致する。なお、融合型化学・物理現象検出装置にはVout1,Vout2の2つの出力が存在するので列並列雑音除去回路を2つ用意しておく。
【0062】
Crstはリセットレベル記憶用容量、Csigは信号レベル記憶用容量、Vrstはリセット信号、Vsigは信号の出力、RH(i)はi番目の容量リセット信号、SH(i)はi番目のセンサ出力信号である。
【0063】
以下、列並列雑音除去回路の動作の説明を行う。
【0064】
(1)雑音除去回路202に信号を導く前にRH(i)をONして、両容量Crst及びCsigの電位をそろえ、その後、RH(i)をOFFする。
【0065】
(2)融合型検出装置の第1、及び第2リセットトランジスタ306および311により、光電荷蓄積部303、および化学ポテンシャル蓄積部308をリセットした直後に、φRをONしてリセットレベル記憶用容量Crstに記憶し、その後、φRをOFFする。
【0066】
(3)融合型検出装置の光電荷蓄積部303、および化学ポテンシャル蓄積部308にそれぞれの信号を複数回信号を蓄積した後の信号を、φSをONして信号レベル記憶用容量Csigに記憶させて、その後φSをOFFする。
【0067】
(4)次いで、SH(i)をONにして、両容量Crst及びCsigからの信号を出力させる。
【0068】
(5)この両者の差分の信号を差動増幅器などで読みとることでリセットの雑音を除去した信号が得られる。
【0069】
(6)次に、上記(1)から(5)番目の動作をRH(i+1)の端子に与えて順次駆動する。
【0070】
本発明によれば、次のような応用が考えられる。
【0071】
(実施例1)ダイオキシン濃度測定チップ
ダイオキシンの濃度を測定するために、本発明の検出装置のセンシング領域上に抗体としてアンチダイオキシンを固定化しておく。その固定化された量に対応して、センシング領域の化学電位情報が変化して、検出装置からの出力が得られる。この出力によりセンシング領域上に固定化された抗体の数が把握できる。
【0072】
次に、HRPなどで発光ラベルを施した検体を、アンチダイオキシンが固定化されているセンシング領域に触れさせて抗原抗体反応を起こさせる。その後検出装置表面をバッファ液で置換してルミノールを入れると、検体にダイオキシンが存在する場合、発光現象が確認され、その発光輝度が検体中のダイオキシン濃度に対応する。ただし、あらかじめセンシング領域に固定化されている抗体の量が変化すると、発光輝度ももちろん変化する。固定化した抗体の量で発光輝度を規格化することにより、輝度の変化がダイオキシンの濃度で変化したものか、固定化された抗体の量で変化したものかが判別でき、信頼性の高いダイオキシン濃度検出チップが製作できる。
【0073】
また、発光ラベルの代わりに、蛍光ラベルを施した検体を用いてもよい。その場合には、センシング領域を蛍光の波長のみを透過させるような光学的フィルタ、もしくは蛍光の波長のみに感じるような光検出部にする。
【0074】
(実施例2)癌領域観察用イメージセンサ
本発明のアレイ化した検出装置のセンシング領域にビメンチンの抗体を固定化しておく。癌化した細胞表面にはビメンチンが現れることがあらかじめ分かっているため、本発明のセンサアレイを癌細胞に接触させることで、抗原抗体反応が起こり、化学的な電位が変化する。さらに光センサアレイにより、2次元の光情報、つまり画像が得られる。
【0075】
たとえば、この検出装置を内視鏡カメラのイメージセンサの代わりに用いることで、癌化した領域を可視化することができ、さらにその領域と一般的な画像の領域を対応付けすることができる。これを用いると癌化した領域のみを摘出できるなど、その効果は著大である。
【0076】
(実施例3)DNA試料の測定装置
本発明の融合型化学・物理現象検出装置をDNAチップとすると、計測対象のDNAがDNAチップ上で相補的にプローブDNAと反応を起こすと、化学ポテンシャルが変化するため、これを測定することができる。また、計測対象のDNAに蛍光ラベルをハイブリダイゼーションしておくことで、蛍光が観察できる。
【0077】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0078】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0079】
(A)同一場所の複種類の物理・化学現象を同時に取得し、高感度な計測が可能になる。さらにアレイ化することにより、その分布を同時に取得可能である。
【0080】
(B)さらに、ダイオキシン濃度測定チップ、癌領域観察用イメージセンサやDNA試料の測定装置としての適用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す融合型化学・物理現象検出装置の構成図である。
【図2】 本発明の実施例を示す実際に作製された融合型化学・物理現象検出装置を示す図である。
【図3】 本発明の融合型化学・物理現象検出装置による光出力特性図である。
【図4】 本発明の融合型化学・物理現象検出装置による化学ポテンシャル出力特性図である。
【図5】 本発明の実施例を示す2次元アレイ融合型化学・物理現象検出装置の全体構成図である。
【図6】 本発明の実施例を示す2次元アレイ融合型化学・物理現象検出装置の全体のCMOSで設計した全体のレイアウトを示す図である。
【図7】 本発明の実施例を示す2次元アレイ融合型化学・物理現象検出装置要素の構成図である。
【図8】 本発明の実施例を示す2次元アレイ融合型化学・物理現象検出装置のコラムCDS回路の構成図である。
【図9】 従来の融合型化学・物理現象検出装置の模式図である。
【符号の説明】
100,300 電荷注入部(ID)
101,301 センシング部
102,302 セパレートゲート
103,303 光電荷蓄積部
104,304 第1の出力用MOSFET
105,306 第1のリセット用MOSFET
106,307 トランスファーゲート
107,308 化学ポテンシャル情報電荷蓄積部
108,309 第2の出力用MOSFET
109,311 第2のリセット用MOSFET
Vres リセット出力信号
VbN,VbP 低電流駆動用バイアス電圧
201 融合型化学・物理現象検出装置アレイ(アレイ融合型センサ)
202 雑音除去回路(コラムCDS回路)
203 水平選択器(H.SCANNER)
204 垂直選択器(V.SCANNER)
Vsel,Vsel1,Vsel2 セレクト信号
Vsig1 光信号出力
Vsig2 化学ポテンシャル信号出力
VDD 電源
305 第1のセレクト用MOSFET
310 第2のセレクト用MOSFET
Crst リセットレベル記憶用容量
Csig 信号レベル記憶用容量
Vrst リセット信号
Vout1,Vout2 出力
A 2次元アレイ融合型化学・物理現象検出装置要素
Vsig 信号の出力
RH(i) i番目の容量リセット信号
SH(i) i番目のセンサ出力信号
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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