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明細書 :3-クロロ-3-ブテン酸エステル誘導体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4156857号 (P4156857)
公開番号 特開2003-292475 (P2003-292475A)
登録日 平成20年7月18日(2008.7.18)
発行日 平成20年9月24日(2008.9.24)
公開日 平成15年10月15日(2003.10.15)
発明の名称または考案の名称 3-クロロ-3-ブテン酸エステル誘導体及びその製造方法
国際特許分類 C07C  69/65        (2006.01)
A61K  31/6615      (2006.01)
A61P   9/00        (2006.01)
A61P  17/06        (2006.01)
A61P  29/00        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  35/04        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
C07C  67/347       (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 69/65
A61K 31/6615
A61P 9/00
A61P 17/06
A61P 29/00
A61P 35/00
A61P 35/04
A61P 43/00 123
C07C 67/347
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2002-099783 (P2002-099783)
出願日 平成14年4月2日(2002.4.2)
審査請求日 平成14年4月2日(2002.4.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
発明者または考案者 【氏名】田中 正人
【氏名】華 瑞茂
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】山田 泰之
参考文献・文献 特開平05-221917(JP,A)
特開昭55-051039(JP,A)
米国特許第05525731(US,A)
Synthesis,米国,2001年,No.5,713-730
Tetrahedron Letters,米国,1998年,39(35),6331-6334
J.Org.Chem.,米国,1998年,63(13),4522-4523
J.Org.Chem.,米国,1996年,(61)6,2031-2037
J.Org.Chem.,米国,1986年,51(19),3643-3652
Chem.Ber.,ドイツ,1986年,119(4),1196-1207
J.Org.Chem.,米国,1965年,30(11),3978-3980
Aust.J.Chem.,1999年,52(11),1013-1020
調査した分野 C07C 69/65
A61K 31/6615
A61P 9/00
A61P 17/06
A61P 29/00
A61P 35/00
A61P 35/04
A61P 43/00
C07C 67/347
C07B 61/00
特許請求の範囲 【請求項1】
遷移金属を含んでなる触媒の存在下に、一般式[2]
C=C=CH [2]
(式中、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、同アルケニル基、同アルキニル基、同アリール基、同アラルキル基、同複素環基、同シリル基、同アルコキシカルボニル基又は同アリーロキシカルボニル基を示す。)
で表される末端アレン化合物を、一般式[3]
ClCOOR [3]
(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同アリール基又は同アラルキル基を示す。)
で表されるクロロギ酸エステルと反応させることを特徴とする一般式[1]
C=CClCHCOOR [1]
(式中、R、R、Rは前記と同じ。)
で表される3-クロロ-3-ブテン酸エステル誘導体の製造方法。
【請求項2】
遷移金属を含んでなる触媒が、ロジウム錯体触媒である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ロジウム錯体触媒が、低原子価のロジウム錯体触媒である請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
ロジウム錯体触媒が、3級ホスフィンや3級ホスファイト等の3価のリン化合物を配位子とする低原子価の錯体である請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
ロジウム錯体触媒が、反応系中で容易に低原子価錯体に変換し得る前駆体錯体である請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
ロジウム錯体触媒が、3級ホスフィン、3級ホスファイト等の3価のリン化合物を配位子として含まない同金属錯体と、3級ホスフィンや3級ホスファイト等の3価のリン化合物とを併用し、反応系中で形成させた3級ホスフィンや3級ホスファイト等の3価のリン化合物を配位子とする低原子価錯体である請求項2に記載の製造方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬等のファインケミカルズの合成に有用な3-クロロ-3-ブテン酸エステル誘導体、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
3-クロロ-3-ブテン酸エステル誘導体の一般的な合成法は知られていない。一般的には、2-クロロ-2-プロペニルクロリド誘導体を一酸化炭素及びアルコールと反応させるカルボアルコキシ化反応が考えられるが、該原料クロリドの入手性に難があり、また、パイアリル中間体が関与した種々の副生成物の生成が予想されるため、工業的に有利且つ選択的な方法となるとは考えられない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規な3-クロロ-3-ブテン酸エステル誘導体、及び、容易に入手できる原料を用いた、該3-クロロ-3-ブテン酸エステル誘導体の新規且つ効率的な製造方法を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意研究の結果、遷移金属を含んでなる触媒、殊にロジウム錯体触媒の存在下に、クロロギ酸エステルが末端アレン結合に容易に付加する事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、一般式[1]
C=CClCHCOOR [1]
(式中、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、同アルケニル基、同アルキニル基、同アリール基、同アラルキル基、同複素環基、同シリル基、同アルコキシカルボニル基又は同アリーロキシカルボニル基を示し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同アリール基又は同アラルキル基を示す。)
で表される3-クロロ-3-ブテン酸エステル誘導体に関する。
【0006】
また、本発明は、遷移金属を含んでなる触媒の存在下に、一般式[2]
C=C=CH [2]
(式中、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、同アルケニル基、同アルキニル基、同アリール基、同アラルキル基、同複素環基、同シリル基、同アルコキシカルボニル基又は同アリーロキシカルボニル基を示す。)で表される末端アレン化合物を、一般式[3]
ClCOOR [3]
(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、同アリール基又は同アラルキル基を示す。)で表されるクロロギ酸エステルと反応させることを特徴とする一般式[1]
C=CClCHCOOR [1]
(式中、R、R、Rは前記と同じ。)で表される3-クロロ-3-ブテン酸エステル誘導体の製造方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記一般式[1]及び[2]において、R、Rが置換基を有していても良いアルキル基である場合のアルキル基としては、例えば、炭素数が1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~6の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基が挙げられ、より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第二級ブチル基、第三級ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
また、置換基を有していても良いアルケニル基である場合のアルケニル基としては、例えば、前記した炭素数2以上のアルキル基に1個以上の二重結合を有するものが挙げられ、より具体的には、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、2-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、2-ペンテニル基、2-ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
また、置換基を有していても良いアルキニル基である場合のアルキニル基としては、例えば、前記した炭素数2以上のアルキル基に1個以上の三重結合を有するものが挙げられ、より具体的には、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基等が挙げられる。
【0008】
更にまた、置換基を有していても良いアリール基である場合のアリール基としては、例えば、炭素数6~30、好ましくは6~20、より好ましくは6~14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基が挙げられ、より具体的には、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。
また、置換基を有していても良いアラルキル基のアラルキル基としては、例えば、炭素数7~30、好ましくは7~20、より好ましくは7~15の単環、多環又は縮合環式のアラルキル基が挙げられ、より具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
更に、置換基を有していても良い複素環基である場合の複素環基としては、環中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有し、1個の環の大きさが5~20員、好ましくは5~10員、より好ましくは5~7員であって、シクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基などの炭素環式基と縮合していてもよい飽和又は不飽和の単環、多環又は縮合環式のものが挙げられ、より具体的には、例えば、ピリジル基、チエニル基、フェニルチエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピペリジル基、ピペラジル基、ピロリル基、モルホリノ基、イミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、ピリミジニル基等が挙げられる。
【0009】
これらアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基及び複素環基の置換基としては、本発明に係る反応に支障を来さないものであればどのような置換基でも良いが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基、例えば、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフトキシ基、メチルナフチルオキシ基等のアリーロキシ基、シリル基、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等のトリ置換シリル基、例えば塩素、フッ素等のハロゲン原子、例えばビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基等のアルケニル基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、例えばフェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基等のアリーロキシカルボニル基、アミノ基、例えばN,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基等のN,N-ジ置換アミノ基、水酸基、シロキシ基、例えばメチルシロキシ基、エチルシロキシ基等の置換シロキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0010】
上記一般式[1]及び[2]において、R、Rが置換基を有していても良いシリル基である場合の置換シリル基としては、シリル基の水素原子の1~3個がアルキル基、アリール基等に置き換わったものが挙げられ、中でもトリ置換体が好ましく、より具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
また、R、Rが置換基を有していても良いアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ、R、Rが置換基を有していても良いアリーロキシカルボニル基である場合の具体例としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0011】
上記一般式[1]及び[3]において、Rが置換基を有していても良いアルキル基である場合のアルキル基、置換基を有していても良いアリール基である場合のアリール基及び置換基を有していても良いアラルキル基である場合のアラルキル基、並びにこれらアルキル基、アリール基及びアラルキル基の置換基としては、上記R、Rについて挙げたものと同じものが挙げられる。
【0012】
本発明の反応に好適な上記一般式[2]で表される末端アレン類の具体例としては、例えば、1,2-ペンタジエン、4-フェニル-1,2-ブタジエン、3-メチル-1,2-ブタジエン、3-エチル-1,2-ペンタジエン、ビニリデンシクロヘキサン等が挙げられる。
【0013】
また、本発明の反応に好適な上記一般式[3]で表されるクロロギ酸エステルの具体例としては、例えば、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸ナフチル、クロロギ酸ベンジル等が挙げられる。
末端アレン化合物に対するクロロギ酸エステルのモル比に特に制限はないが、通常、0.3~5.0の範囲から選ばれる。
【0014】
本発明に係る反応は、遷移金属を含んでなる触媒、就中、ロジウム錯体触媒の存在下において好ましい速度で進行する。
ロジウム錯体触媒としては、種々の構造のものを用いることが出来るが、好適なものは、いわゆる低原子価のロジウム錯体触媒である。
また、3級ホスフィンや3級ホスファイト等の3価のリン化合物を配位子とする低原子価のロジウム錯体も好ましく用いることが出来る。
更に、反応系中で容易に低原子価錯体に変換し得る前駆体錯体を用い、反応系中で低原子価ロジウム錯体を形成させて反応させることも好ましい態様である。更にまた、3級ホスフィン、3級ホスファイト等の3価のリン化合物を配位子として含まない同金属錯体と、3級ホスフィンや3級ホスファイト等の3価のリン化合物とを併用し、反応系中で3級ホスフィンや3級ホスファイト等の3価のリン化合物を配位子とする低原子価錯体を形成させて使用する方法や、3級ホスフィン、3級ホスファイト等の3価のリン化合物を配位子とする低原子価錯体に同種又は異種の3級ホスフィン、3級ホスファイト等の3価のリン化合物を更に添加して使用する方法等も好ましい態様である。
これらのいずれかの方法で有利な性能を発揮する配位子としては、種々の3級ホスフィンや3級ホスファイト等の3価のリン化合物、アミンやイミン等の3価の窒素化合物を挙げることが出来る。
【0015】
好適に用いることが出来る配位子を例示すると、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(p-メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、トランス-1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)シクロペンタン、トリメチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等が挙げられる。
【0016】
これに組み合わせて用いられる、3級ホスフィンや3級ホスファイト等を配位として含まない錯体としては、アセチルアセトナトビス(エチレン)ロジウム、クロロビス(エチレン)ロジウムダイマー、ジカルボニル(アセチルアセトナト)ロジウム、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル、クロロ(1,5-シクロオクタジエン)ロジウムダイマー、クロロ(ノルボルナジエン)ロジウムダイマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
また、上記のいずれかの方法で有利な性能を発揮するロジウム錯体としては、例えば、RhCl(PPh、RhCl(CO)(PPh、Rh(CN)(CO)(PPh、Rh(PPh)Br、RhCl(CO)(PPhMe)、RhCl(CO)(PCy(Cyはシクロヘキシル基を示す。)、RhCl(cod)(PPh)(codはシクロオクタジエンを示す。)、RhCl(cod)(PPhMe)、RhCl(cod)(PMe)、RhCl(acac)(PPh)(acacはアセチルアセトナトを示す。)、RhCl(CO)(dpppen)(dpppenは1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタンを示す)、RhCl(CO)(dpppr)(dppprは1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを示す)等が例示される。
【0018】
これらのロジウム錯体の使用量はいわゆる触媒量で良く、末端アレン化合物に対して20モル%以下で十分である。
また、3価のリン化合物を配位子として用いる場合のこれらの使用量には厳密な制限はないが、リンや窒素原子のロジウムに対する原子比があまりに過剰であると触媒活性を低下させる傾向にあるので、一般的にはその原子比で50以下、好ましくは10以下に設定するのが好ましい。
【0019】
反応は特に溶媒を用いなくてもよいが、必要に応じて溶媒中で実施することもできる。溶媒としては、トルエン、キシレン、オクタン、デカリン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒等が一般的に用いられる。
反応温度は、末端アレン化合物の構造にもよるが、一般には室温以上に加熱するのが好ましく、通常は40~200℃の範囲から選ばれる。反応時間は、用いる末端アレン化合物及びクロロギ酸エステルの種類や反応温度その他の反応条件等により自ずから異なるが、通常数時間~数十時間である。
本反応は空気中等の酸素の存在下でも進行するが、反応中間体が酸素にやや敏感であるため、窒素やアルゴン、メタン等の不活性ガス雰囲気で反応させるのが好ましい。
反応混合物からの生成物の分離、精製は、各種クロマトグラフィー、蒸留、再結晶等によって容易に達成される。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0021】
実施例1
1,2-ノナジエン(0.5ミリモル)、クロロギ酸エチル(2.5ミリモル)、及びRhCl(CO)(PPh(5モル%)をトルエン(1ミリリットル)に加え、窒素雰囲気下、110℃で20時間加熱した。反応液を冷却後、トルエン(2ミリリットル)を加えて希釈し、エイコサンを内部標準物質として加え、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、3-クロロ-3-トランス-デセン酸エチル([1a])及び末端アレン結合への塩素原子とエステル基の付加の方向が逆の位置異性体が合計64%の収率で生成し、その両者の異性体比は91:9であった。ガスクロマトグラフィーによる分析の後、反応液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサンで溶出)で分離し、更に分取薄層クロマトグラフィーで分離精製(ヘキサン:エーテル=6:1の混合溶媒で展開)することにより、[1a]が無色液体として得られた。
【0022】
実施例2~16
RhCl(CO)(PPhに代えて他の種々の触媒を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行ない、ガスクロマトグラフィーにより、それぞれの収率及び選択率を測定した。ガスクロマトグラフィーによる分析結果を表1にまとめて示す。なお、表中の収率の値は、ガスクロマトグラフィーによる[1a]及び末端アレン結合への塩素原子とエステル基の付加の方向が[1a]とは逆の位置異性体の合計収率で、( )内の選択率の値は、[1a]とその位置異性体合計中の[1a]の選択率である。また、*1~*7はそれぞれ以下の通りである。
*1:dppe=1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン
*2:dpppr=1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン
*3:dppb=1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン
*4:dpppen=1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン
*5:dppd=1,10-ビス(ジフェニルホスフィノ)デカン
*6:dcpb=1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン
*7:dppf=1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
【0023】
【表1】
JP0004156857B2_000002t.gif【0024】
実施例17
溶媒をジオキサンに代えた以外は実施例1と同様にして反応を行ない、分析した結果、[1a]及びその異性体が合計63%の収率で生成し、[1a]の選択率は93%であった。
【0025】
実施例18
溶媒を1,2-ジクロロエタンに代えた以外は実施例1と同様にして反応を行ない、分析した結果、[1a]及びその異性体が合計33%の収率で生成し、[1a]の選択率は82%であった。
【0026】
実施例19
溶媒をオクタンに代えた以外は実施例1と同様にして反応を行ない、分析した結果、[1a]及びその異性体が合計33%の収率で生成し、[1a]の選択率は91%であった。
【0027】
実施例20~25
1,2-ノナジエンに代えて種々の末端アレン化合物を用い、実施例1と同様にして反応を行ない、分析した結果を表2にまとめて示した。また、反応溶液を実施例1と同様に後処理して、主生成物を分離した。
なお、表中の収率の値は、ガスクロマトグラフィーによる[1]及び末端アレン結合への塩素原子とエステル基の付加の方向が[1]とは逆の位置異性体の合計収率で、( )内の選択率の値は、[1]とその位置異性体合計中の[1]の選択率である。
【0028】
【表2】
JP0004156857B2_000003t.gif【0029】
実施例26
クロロギ酸エチルに代えてクロロギ酸メチルを用いた以外は実施例23と同様にして反応を行ない、分析した結果、(Z)-3-クロロ-4-メチル-3-ペンテン酸メチル([1e'])及び末端アレン結合への塩素原子とエステル基の付加の方向が[1e']とは逆の位置異性体が合計56%の収率で生成し、その両者の異性体比は98:2であった。反応溶液を実施例1と同様に後処理し、主生成物[1e']を分離した。
【0030】
実施例1(~19)及び20~26の生成物は何れも文献未収載の新規物質であり、その性状、物性値及び/又はスペクトルデータ等は以下の通りであった。
【0031】
(Z)-3-クロロ-3-デセン酸エチル[1a]
無色液体。H NMR(300MHz,C)δ 5.33(t,1H,J =7.0Hz),3.93(q,2H,J=7.1Hz),3.06(s,2H),2.13(m,2H),1.35-1.10(m,8H),0.92(t,3H,J=7.1Hz),0.86(t,3H,J=7.0Hz)。13CNMR(75.4MHz,C)δ 168.7,130.0,126.9,60.8,45.1,31.9,29.1,29.0,28.6,22.9,14.2,14.1。IR(液膜):1744cm-1(C=O)。元素分析;C1221ClOとしての計算値:C,61.94;H,9.03。実測値:C,62.25; H,9.27。
【0032】
(Z)-3-クロロ-3-ヘキセン酸エチル[1b]
無色液体。H NMR(300MHz,C)δ 5.24(t,1H,J=6.8Hz),3.91(q,2H,J=7.1Hz),3.03(s,2H),2.04(m,2H),0.91(t,3H,J=7.1Hz),0.77(t,3H,J=7.5Hz)。13C NMR(75.4MHz,C)δ 168.7,131.7,126.4,60.8,45.0,22.3,14.0,12.8。IR(Z/E混合物、液膜):1744cm-1(C=O)。Z/E混合物の元素分析;C13ClOとしての計算値:C,54.39;H,7.36。実測値:C,54.35;H,7.43。
【0033】
(Z)-3-クロロ-5-フェニル-3-ペンテン酸エチル[1c]
無色液体。H NMR(300MHz,CDCl)δ 7.33-7.1(m,5H),5.84(t,1H,J=7.1Hz),4.20(q,2H,J=7.1Hz),3.58(d,2H,J=7.1Hz),3.37(s,2H),1.29(t,3H,J=7.1Hz)。13C NMR(75.4MHz,CDCl)δ 169.3,139.0,129.0,128.5,128.4,127.2,126.3,61.2,45.0,35.0,14.1。IR(液膜):1742cm-1(C=O)。元素分析;C1315ClOとしての計算値:C,65.41;H,6.29。実測値:C,65.81;H,5.98。
【0034】
(Z)-3-クロロ-4-フェニル-3-ブテン酸エチル [1d]
無色液体。H NMR(300MHz,CDCl)δ 7.63-7.6(m,2H),7.39-7.21(m,3H),6.62(s,1H),4.2(q,2H,J=7.1Hz),3.52(s,2H),1.30(t,3H,J=7.1Hz)。13C NMR(75.4MHz,CDCl)δ 169.2,134.0,129.1,128.6,128.2,128.0,126.1,61.3,46.6,14.1。IR(液膜):1742cm-1(C=O)。元素分析;C1213ClOとしての計算値:C,64.14;H,5.79。実測値:C,64.65;H,5.37。
【0035】
(Z)-3-クロロ-4-メチル-3-ペンテン酸エチル [1e]
無色液体。H NMR(300MHz,C)δ 3.92(q,2H,J=7.1Hz),3.18(s,2H),1.65(s,3H),1.37(s,3H),0.92(t,3H,J=7.1Hz)。13C NMR(75.4MHz,C)δ 169.0,131.5,120.4,60.8,41.4,21.7,20.2,14.1。IR(液膜):1744cm-1(C=O)。元素分析;C13ClOとしての計算値:C,54.39;H,7.37。実測値:C,54.19;H,7.40。
【0036】
(Z)-3-クロロ-4-メチル-3-ペンテン酸メチル [1e']
無色液体。H NMR(300MHz,C)δ 3.28(s,3H),3.15(s,2H),1.64(s,3H),1.34(s,3H)。13C NMR(75.4MHz,C)δ 169.4,131.6,120.0,51.5,41.2,21.6,20.2。IR(液膜):1746cm(C=O)。 HRMS;C11ClOとしての計算値:162.0447。実測値:162.0429。
【0037】
(Z)-3-クロロ-3-シクロヘキシリデンプロピオン酸エチル [1f]
無色液体。H NMR(300MHz,C)δ 3.92(q,2H,J=7.1Hz),3.25(s,2H),2.34(t,2H,J=6.0Hz),1.92(t,2H,J=6.0Hz),1.41-1.23(m,6H),0.92(t,3H,J=7.1Hz),0.86(t,3H,J=7.0Hz)。13C NMR(75.4MHz,C)δ 169.1,139.0,117.6,60.7,41.1,31.8,31.2,27.6,27.1,26.3,14.1。IR(液膜):1744cm-1(C=O)。元素分析;C1117ClOとしての計算値:C,60.97;H,7.85。実測値:C,60.89;H,7.97。
【0038】
(Z)-3-クロロ-4-ブチル-3-オクテン酸エチル[1g]
無色液体。H NMR(300MHz)δ 4.17(q,2H,J=7.1Hz),3.39(s,2H),2.23(t,2H,J=7.6Hz),2.08(t,2H,J=7.6Hz),1.40-1.23(m,11H),0.93-0.87(m,6H)。13C NMR(75.4MHz,C)δ 169.4,140.4,120.5,61.0,41.2,33.0,32.3,30.5,29.5,22.7(2C),14.1,14.0,13.9。
IR(液膜):1743cm-1(C=O)。HRMS;C1425ClOとしての計算値:260.1542。実測値:260.1541。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、医薬、農薬等のファインケミカルズの合成に有用な新規な3-クロロ-3-ブテン酸エステル誘導体とその製造方法を提供するものであり、本発明の製造方法によれば、新規な3-クロロ-3-ブテン酸エステル誘導体が、入手容易なクロロギ酸エステルと末端アレンから効率的且つ安全に製造でき、その分離精製も容易である。従って、本発明は工業的に多大の効果をもたらす。