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明細書 :微細パターンの作製方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4811543号 (P4811543)
公開番号 特開2002-080973 (P2002-080973A)
登録日 平成23年9月2日(2011.9.2)
発行日 平成23年11月9日(2011.11.9)
公開日 平成14年3月22日(2002.3.22)
発明の名称または考案の名称 微細パターンの作製方法
国際特許分類 C23C  18/31        (2006.01)
C23C  18/50        (2006.01)
G11B   5/31        (2006.01)
H01F  10/16        (2006.01)
H01F  41/24        (2006.01)
FI C23C 18/31 A
C23C 18/50
G11B 5/31 M
H01F 10/16
H01F 41/24
請求項の数または発明の数 9
全頁数 13
出願番号 特願2000-272664 (P2000-272664)
出願日 平成12年9月8日(2000.9.8)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成12年3月10日 社団法人表面技術協会発行の「創立50周年記念第101回講演大会講演要旨集」に発表
審査請求日 平成19年7月24日(2007.7.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
発明者または考案者 【氏名】逢坂 哲彌
【氏名】横島 時彦
【氏名】清水 さなえ
【氏名】田中 厚志
個別代理人の代理人 【識別番号】100079304、【弁理士】、【氏名又は名称】小島 隆司
【識別番号】100103595、【弁理士】、【氏名又は名称】西川 裕子
【識別番号】100107733、【弁理士】、【氏名又は名称】流 良広
審査官 【審査官】伊藤 寿美
参考文献・文献 特開平04-196402(JP,A)
特開平08-232073(JP,A)
特開昭55-102297(JP,A)
特開平06-010146(JP,A)
特開平05-065661(JP,A)
特開平04-225826(JP,A)
特開昭63-119512(JP,A)
特開平08-311656(JP,A)
特開昭58-202595(JP,A)
調査した分野 C23C 18/00-20/08
G11B 5/31
H01F 10/16,41/24
特許請求の範囲 【請求項1】
基板上にジメチルアミンボランを還元剤とし、金属イオンと錯化剤とを含み、上記金属イオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン、鉄イオンの2種以上を含む無電解めっき浴を用いて軟磁気特性を有する所用の微細パターンめっき膜を形成する方法において、上記所用のパターン部分に選択的に均質な無電解めっき膜を形成するように上記無電解めっき浴に有機安定剤として分子中に硫黄を含む有機化合物を0.01~10ppmの範囲で上記所用のパターン部分に対する選択析出性を与える効果量添加すると共に、このめっき浴中の不純物を除去し、かつ連続的に攪拌を行うことを特徴とする微細パターンの作製方法。
【請求項2】
上記金属イオンとしてコバルトイオン及び鉄イオンの2種を含む請求項1記載の微細パターンの作製方法。
【請求項3】
上記分子中に硫黄を含む有機化合物としてチオジグリコール酸1~1.5ppmを添加したものである請求項1又は2記載の微細パターンの作製方法。
【請求項4】
上記分子中に硫黄を含む有機化合物としてチオ尿素0.2~0.3ppmを添加したものである請求項1又は2記載の微細パターンの作製方法。
【請求項5】
上記分子中に硫黄を含む有機化合物として2-アミノチアゾール0.3~0.5ppmを添加したものである請求項1又は2記載の微細パターンの作製方法。
【請求項6】
攪拌を、基板の揺動、回転ディスク電極、パドルめっき装置、循環めっき液攪拌装置の少なくともいずれかを用いて、軟磁気特性を劣化させない速度で行うようにした請求項1乃至5のいずれか1項記載の微細パターンの作製方法。
【請求項7】
めっき浴中の不純物の除去を、めっき浴作製時のめっき浴の濾過及びめっき時のめっき浴の濾過のいずれか又は両方にて行うようにした請求項1乃至6のいずれか1項記載の微細パターンの作製方法。
【請求項8】
めっき浴を連続濾過し、かつパドルめっき装置にて60~80rpmの速度で攪拌を行いながら無電解めっきを行って、所用のパターン部分に均質な軟磁気特性を有する無電解めっき膜を形成するようにした請求項1乃至5のいずれか1項記載の微細パターンの作製方法。
【請求項9】
レジストパターンを作製した基板上に上記微細パターンめっき膜を形成する請求項1乃至8のいずれか1項記載の微細パターンの作製方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジメチルアミンボランを還元剤とする無電解めっき浴を用いて基板上に軟磁気特性を有する所用の微細パターンを形成する微細パターンの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
軟磁性薄膜は、薄膜磁気ヘッドや薄膜インダクタ、薄膜トランスなどの工業分野などで広く用いられている。薄膜磁気ヘッドにおいては、高密度磁気記録を行うために、ますます強くかつ高速に変化する書き込み磁界を発生させる必要がある。特に高記録密度を達成するためには、ヘッドにはヘッドそのものの微細化とヘッドコア先端の書き込み部の微細化が必要とされている。また、微細なヘッドでは、そのコア材料からの書き込み能力が減少するため、高い書き込み能力を得るためには高飽和磁束密度が必要である。無電解めっき法は、現行の電気めっき法に比べ、外部電源を用いず、成膜が可能という特徴から、微細で複雑なパターンにおいても均一な膜厚、均一な組成が得やすい成膜方法である。そのために、無電解めっき法による磁気ヘッドコアの作製が期待される。また、薄膜インダクタ、薄膜トランスなどにおいても、ヘッド同様に高飽和磁束密度を有する軟磁性薄膜が求められており、より微細なパターンが求められている。
【0003】
無電解めっき法による軟磁性薄膜の作製は、NiFeB、NiFeP、CoNiP、CoNiB、CoP、CoB、CoFeP、CoFeB、CoNiFeBなどが知られている。たとえば、還元剤に次亜リン酸ナトリウムを用いたNiFePめっき浴として、特開平7-066034号公報が知られており、また還元剤にジメチルアミンボランを用いたCoNiBめっき浴として、特開平6-108259号公報が知られている。
【0004】
湿式法により作製された膜中にPを含む軟磁性薄膜と湿式法により作製されたBを含む軟磁性薄膜では、一般に同じ金属組成ではPを含む軟磁性薄膜の方が飽和磁束密度が低くなる。たとえば、特開平2-70085号公報に示されているCoFePめっき膜は0.87~1.23Tを示すのに対し、特開平7-220921号公報に示されているCoFeBめっきでは1.6~1.8Tと高い飽和磁束密度を示す。
【0005】
還元剤にジメチルアミンボラン(DMAB)を用いたNiFeB、CoNiB、CoB、CoFeBめっき膜は、還元剤に次亜リン酸ナトリウムを用いたNiFeP、CoNiP、CoP系に比べ、非常に高い飽和磁束密度を示すとされる。
【0006】
次世代ヘッドコアの作製には高い飽和磁束密度を有する軟磁性材料が必要である。このため、高飽和磁束密度を有する軟磁性薄膜の作製には還元剤にDMABを用いる必要がある。つまり還元剤にDMABを用いた微細パターンの作製技術の確立が必要である。
【0007】
しかしながら、還元剤に次亜リン酸ナトリウムを用いたリン系めっき浴に比べ、還元剤にDMABを用いたホウ素系めっき浴は選択析出性に乏しく、析出させる基板面と析出反応が本来起こらないフォトレジスト上においても、めっき膜の析出がみとめられる。たとえば、還元剤にDMABを用いた無電解めっき浴の選択析出性の乏しさは、表面技術48巻1号、98-99ページに示されている。
【0008】
選択析出性を改善する方法としては、浴中に安定剤を用いることが知られているが、機能性薄膜ではその薄膜が持つ機能性が失われる可能性が高い。たとえば、還元剤にDMABを用いた無電解ニッケルホウ素めっき浴の選択析出性の改善方法として浴中に安定剤を添加する方法が、Electrochemical Society Proceedings,1997年,DV97-27巻,“FUNDAMENTAL ASPECTS OF ELECTROCHEMICAL DEPOSITION AND DISSOLUTION AND INCLUDING MODELING”の358-373ページに示されているが、析出速度の大幅な減少が認められるため、めっき膜の組成が変化している可能性がある。
【0009】
還元剤にDMABを用いたCoFeBめっきによるヘッドコア作製の試みは、たとえば、日本応用磁気学会誌1999年,23巻,4-2号の1397-1400ページより報告されているが、完全なる均一なめっき膜が得られておらず、また組成については報告されていない。
【0010】
本発明は、上記事情を改善するためになされたもので、フォトレジスト膜に異常析出することなく、所用のパターンに選択的にめっきし得、かつ良好な軟磁気特性を有すると共に、組成変化の少ない無電解めっき膜を形成できる微細パターンの作製方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、選択析出性に乏しいジメチルアミンボラン(DMAB)を還元剤とする無電解めっき浴を用いた軟磁性薄膜のパターンめっきを行う際に、選択析出性の向上のために、微量の有機安定剤のめっき浴への添加、めっき浴の定量的かつ適度の攪拌、浴中不純物の除去を適宜組み合わせて用いることで、本来の軟磁性薄膜の有する軟磁気特性が劣化することなく、選択析出性を向上させることができ、軟磁気特性を有するパターンめっき膜を作製できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0012】
即ち、本発明は、基板上にジメチルアミンボランを還元剤とし、金属イオンと錯化剤とを含み、上記金属イオンとしてコバルトイオン、ニッケルイオン、鉄イオンの2種以上を含む無電解めっき浴を用いて軟磁気特性を有する所用の微細パターンめっき膜を形成する方法において、上記所用のパターン部分に選択的に均質な無電解めっき膜を形成するように上記無電解めっき浴に有機安定剤として分子中に硫黄を含む有機化合物を0.01~10ppmの範囲で上記所用のパターン部分に対する選択析出性を与える効果量添加すると共に、このめっき浴中の不純物を除去し、かつ連続的に攪拌を行うことを特徴とする微細パターンの作製方法を提供する。
【0013】
この場合、攪拌を、基板の揺動、回転ディスク電極、パドルめっき装置、循環めっき液攪拌装置の少なくともいずれかを用いて、軟磁気特性を劣化させない速度で行うようにすることが好ましい。更に、めっき浴中の不純物の除去を、めっき浴作製時のめっき浴の濾過及びめっき時のめっき浴の濾過のいずれか又は両方にて行うようにすることが好ましい。特に、有機安定剤としてチオジグリコール酸1~1.5ppm、チオ尿素0.2~0.3ppm又は2-アミノチアゾール0.3~0.5ppmを添加したジメチルアミンボランを還元剤とする浴を用いることが好ましく、また、めっき浴を連続濾過し、かつパドルめっき装置にて60~80rpmの速度で攪拌を行いながら無電解めっきを行って、所用のパターン部分に均質な軟磁気特性を有する無電解めっき膜を形成することが好ましい。
【0014】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0015】
本発明の微細パターンの作製方法は、基板上にジメチルアミンボラン(DMAB)を還元剤とする、軟磁気特性を有するめっき膜を析出することが可能な無電解めっき浴を用いてパターンめっきを行うものである。
【0016】
ここで、この無電解めっき浴としては、コバルトイオン、ニッケルイオン、鉄イオンの2種以上の金属イオン、DMAB、上記金属イオンの錯化剤を含むものが用いられる。この場合、金属イオンの供給源としては、硫酸コバルト、硫酸ニッケル、硫酸鉄等の水溶性コバルト塩、ニッケル塩、鉄塩が挙げられ、その組成比(Co、Ni、Feの組成比)は、所用の軟磁気特性が得られるように選択すればよく、まためっき浴中の金属塩の濃度も適宜選定されるが、総金属塩濃度を0.01~3.0モル/dm3、特に0.05~0.3モル/dm3とすることが好ましい。また、DMAB濃度も適宜選定されるが、めっき浴中0.01~0.5モル/dm3、特に0.02~0.2モル/dm3とすることが好ましい。錯化剤としては、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等のカルボン酸塩、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩など、上記金属イオンの公知の錯化剤が使用され、その濃度は、めっき浴中0.05モル/dm3以上が好ましく、0.1~1.0モル/dm3とすることがより好ましい。
【0017】
上記の高飽和磁束密度を有する軟磁性薄膜が成膜可能な、還元剤にDMABを用いたホウ素系めっき浴には、異常析出の抑制を目的として、有機安定剤を添加する。この場合、有機系安定剤の添加は、一般的に軟磁気特性の劣化などの機能性を劣化させることが多いが、本発明においては、安定剤による軟磁気特性の劣化を、攪拌を行うことにより防止することを可能としている。
【0018】
ここで、安定剤としては、チオ尿素、チオジグリコール酸、アミノチアゾールなど分子内に硫黄を含む有機系安定剤を用いる。その添加濃度は所用パターン部分に対する選択析出性を与える効果量であり、0.01~10ppmであり、0.1~10ppmがさらに望ましい。最も好ましくは、チオジグリコール酸の場合は1~1.5ppm、チオ尿素の場合は0.2~0.3ppm、2-アミノチアゾールの場合は0.3~0.5ppmである。
【0019】
なお、上記めっき浴には、亜リン酸等、従来公知の添加剤を添加することができる。
【0020】
このように、本発明は、コバルトイオン、ニッケルイオン、鉄イオン2種以上の金属イオンを含み、還元剤としてのジメチルアミンボラン、錯化剤などを含み、軟磁性薄膜が作製可能な一般に広く知られている無電解めっき浴中に、有機系安定剤としてチオ尿素、チオジグリコール酸、アミノチアゾールなどの分子中に硫黄を含む添加剤を選択析出性の向上のために浴中に0.01ppm~10ppmの範囲で有効量添加することで、還元剤にジメチルアミンボランが用いられており、非常に選択析出性に乏しいめっき浴において、その選択析出性を向上させたものである。
【0021】
また、本発明は、めっき浴作製時のめっき浴の濾過、めっき時のめっき浴の濾過、活性炭を用いることなどによる浴中不純物の除去を、還元剤にジメチルアミンボランが用いられており、非常に選択析出性に乏しいめっき浴において、その選択析出性の向上のために行うものである。
【0022】
即ち、本発明においては、フォトレジスト膜への異常析出を防止するため、上記めっき浴から不純物を除去するもので、その方法として、上記めっき浴の調製時には、高純度の純水を用いたり、不純物を除去するために活性炭吸着したり、精密濾過を行うことが好ましい。この精密濾過としては、1μm以下、特に0.5μm以下のポア径のフィルターを用いることができる。
【0023】
また、上記めっき浴を用いてパターンめっきする場合も、連続濾過を行って不純物を除去することが好ましい。なお、この場合も、ポア径1μm以下、特に0.5μm以下のフィルター、たとえばメンブレンフィルターを用いることができ、あるいは活性炭カラム中に通して活性炭濾過を行うこともできる。
【0024】
なお、このようにめっき浴の調製時及びめっき時の両方において、濾過等により不純物除去を行うことが推奨される。
【0025】
更に、本発明は、基板の揺動、回転ディスク電極、パドルめっき装置、循環めっき液攪拌装置などを用いて、軟磁気特性の劣化が認められない定量的な攪拌を、還元剤にジメチルアミンボランが用いられており、非常に選択析出性に乏しいめっき浴において、その選択析出性の向上のために行う。
【0026】
即ち、上記めっき浴を用いてパターンめっきする方法としては、常法が採用し得、40~95℃のめっき浴に基板を浸漬すればよいが、この場合、めっき浴を攪拌するものである。
【0027】
攪拌を行う方法としては、基板の揺動、めっき液循環、RDE、パドル装置など、定量的な方法が望ましい。攪拌装置により攪拌の効果は異なるため、攪拌速度を適宜選択する必要があるが、たとえばパドルめっき装置では、5~200rpmが望ましく、最も好ましくは60~80rpmである。一般に攪拌を行うと、析出速度の増加減少といった現象が認められ、その膜の持つ機能性が変化することが多いが、その機能性に影響を与えない攪拌速度を適宜選定し、用いることで、膜の持つ機能性に影響を与えることなく、選択析出性が向上する。
【0028】
以上のように、有機安定剤の使用、攪拌、浴中不純物の除去を行うことで、異常析出は減少し、また、これらの方法を組み合わせて相乗的な効果を発揮する。また、攪拌はウェハ内の均一析出性、パターンめっき膜内での均一析出性を促進する。従って、これらの手法を適宜用いることで、今までの機能性薄膜が作製可能な選択析出性が得られない無電解めっきにおいても、選択析出性に優れるパターンめっき膜の作製が可能である。
【0029】
なお、本発明において、パターンの作製は、基板上にフォトレジストなどでレジストパターンを作製した基板上に作製する。このパターン形状は非常に複雑な形状においても可能である。この場合、下地の基板としては、ガラス、シリコン、セラミックスなどが挙げられ、その上に金属の下地層を形成し、もしくは慣用の触媒化を行うことで、基板面のみを触媒化することができる。なお、下地の金属層に触媒化を用いてもよく、触媒化には公知のPd処理などが好ましい。
【0030】
本発明によれば、安定剤濃度を微量の添加濃度とし、また攪拌を行うことで、安定剤を添加しても、これを添加しない場合の本来の軟磁気特性と同様の軟磁気特性のめっき膜を得ることができ、軟磁気特性の劣化がないものである。また、ウェハレベルにてめっきを行うと、場所ごとに特性の異なるめっき膜が得られやすいが、攪拌を行うと、機能性が均一になるもので、本発明によれば、組成分散[(最大-最小)Fe組成]が1.5at%以下、特に1at%以下のめっき膜を得ることができる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0032】
[実施例1]
めっき浴は、表1に示す特開平7-220921号公報に示されているCoFeBめっき浴を用いた。基板には、Cu/Tiをスパッタしたガラスウェハもしくはシリコンウェハをポジ型フォトレジストを用いて紫外線露光により作製したパターン基板を用いた。前処理としては、パターン基板を10%硫酸に1分間浸漬した。攪拌方法としては、めっき液を1.6L/minで循環攪拌を行った条件下において、さらにパドルめっき装置を用いた。
【0033】
【表1】
JP0004811543B2_000002t.gif【0034】
まず、上記めっき浴について浴中不純物(濾過の有無)の影響を調べた。その結果、図1に示すように、浴中不純物濃度が高いと思われる濃度においては、レジスト上に析出が認められ、選択析出していない[図1(A)]。しかしながら、0.5μmの濾紙において、めっき浴を一回濾過しためっき浴を用いてめっきを行うことで、レジスト上への析出が減少し、選択析出性が改善する[図1(B)]。また、精密濾過を行ったイオン交換水を用い、さらに0.5μmの濾紙にてめっき液を濾過することで、さらにレジスト上への析出が減少し選択析出性の改善が認められる[図1(C)]。この効果は、ポア径0.2~0.5μmのメンブレンフィルターでも同様な効果が認められる。
【0035】
次に、安定剤としてチオジグリコール酸を用い、図2に示すようにパドル攪拌速度およびチオジグリコール酸濃度を変化させたところ、軟磁気特性の指標である保磁力は、高攪拌速度・高チオジグリコール酸濃度において増加する傾向が認められるものの、おおむね攪拌速度80rpm以下、安定剤濃度1.5ppm以下の領域において、保磁力2 Oe以下と良好な軟磁気特性が維持された。
【0036】
また、表2に示すように、選択析出性について、攪拌速度とチオジグリコール酸濃度を変化させて成膜したパターンの比較を行った。なお、めっき液は0.2μmのメンブレンフィルターで循環濾過を行っている。レジスト上へのめっき析出に対するパドル攪拌と有機安定剤添加、各々の抑制効果が確認され、攪拌速度および安定剤添加濃度の増加に伴い異常析出が減少する傾向が認められる。また、抑制手法を組み合わせたところ、抑制効果がみとめられ、おおむね攪拌速度80rpm以上、安定剤濃度1.0ppm以上、もしくは、40rpm以上、1.5ppm以上において選択析出性に優れるめっき膜の作製が可能である。代表的なSEM写真を図3に示す。
【0037】
【表2】
JP0004811543B2_000003t.gif【0038】
このように、攪拌を行うことで、膜面内のウェハ上の組成分散が減少する。攪拌を行わないと組成分布は約3at%程度認められるが、めっき液の1.6L/minの循環攪拌において、約1at%、パドル攪拌を20~80rpmで用いると、約0.8at%である。
【0039】
図4は、ヘッドコアパターン内の組成分布について示したもので、攪拌速度の増加と共にパターン内の組成分散が減少する傾向が認められ、パドル攪拌により均一な組成の磁性膜が得られる。なお、組成分散=(最大-最小)Fe組成である。
【0040】
図5は、上記の条件を図示したもので、パターンめっき可能な領域と、軟磁気特性が得られる領域と、組成分散が少ない領域が重なる部分が、チオジグリコール酸1ppm、攪拌速度80rpm、もしくは、チオジグリコール酸1.5ppm、攪拌速度60rpmの領域にて、デバイスへ利用可能なすべての条件を満たしているパターンめっき膜が得られている。
【0041】
[実施例2]
めっき浴は、表1に示す特開平7-220921号公報に示されているCoFeBめっき浴を用いた。基板には、Cu/Tiをスパッタしたガラスウェハもしくはシリコンウェハをポジ型フォトレジストを用いて紫外線露光により作製したパターン基板を用いた。前処理としては、パターン基板を10%硫酸に1分間浸漬した。攪拌方法としては、めっき液を1.6L/minで循環攪拌を行った条件下において、さらにパドルめっき装置を用いた。
【0042】
安定剤としてチオ尿素を用い、パドル攪拌速度およびチオ尿素濃度を変化させたところ、軟磁気特性の指標である保磁力は、高攪拌速度・高チオ尿素濃度において増加する傾向が認められるものの、おおむね攪拌速度80rpm以下、安定剤濃度0.3ppm以下の領域において、保磁力2 Oe以下と良好な軟磁気特性が維持された。
【0043】
選択析出性について、攪拌速度とチオ尿素濃度を変化させて成膜したパターンの比較を行った。その結果を表3に示す。なお、めっき液は0.2μmのメンブレンフィルターで循環濾過を行っている。レジスト上へのめっき析出に対するパドル攪拌とチオ尿素添加、各々の抑制効果が確認され、攪拌速度および安定剤添加濃度の増加に伴い異常析出が減少する傾向が認められる。また、抑制手法を組み合わせたところ、抑制効果がみとめられ、おおむね攪拌速度80rpm以上、安定剤濃度0.2ppm以上、もしくは、60rpm以上、0.3ppm以上において選択析出性に優れるめっき膜の作製が可能である。
【0044】
【表3】
JP0004811543B2_000004t.gif【0045】
攪拌を行うことで、膜面内のウェハ上の組成分散が減少する。攪拌を行わないと組成分布は約3at%程度認められるが、めっき液の1.6L/minの循環攪拌において約0.9at%、パドル攪拌を20~80rpmで用いると約0.7at%である。
【0046】
ヘッドコアパターン内の組成分布について検討を行ったところ、攪拌速度の増加と共にパターン内の組成分散が減少する傾向が認められ、パドル攪拌により均一な組成の磁性膜が得られる。めっき浴中のチオ尿素濃度にあまり依存せず、攪拌速度0~40rpmでは2~4at%であるのに対し、60rpmでは1~2at%、80rpmでは0.4at%、100rpmでは1.0at%である。
【0047】
図6は、上記の条件を図示したもので、パターンめっき可能な領域と、軟磁気特性が得られる領域と、組成分散が少ない領域が重なる部分が、チオ尿素0.2ppm、攪拌速度80rpm、もしくは、チオ尿素0.3ppm、攪拌速度60rpmの領域にて、デバイスへ利用可能なすべての条件を満たしているパターンめっき膜が得られている。
【0048】
[実施例3]
めっき浴は、表1に示す特開平7-220921号公報に示されているCoFeBめっき浴を用いた。基板には、Cu/Tiをスパッタしたガラスウェハもしくはシリコンウェハをポジ型フォトレジストを用いて紫外線露光により作製したパターン基板を用いた。前処理としては、パターン基板を10%硫酸に1分間浸漬した。攪拌方法としては、めっき液を1.6L/minで循環攪拌を行った条件下において、さらにパドルめっき装置を用いた。
【0049】
安定剤として2-アミノチアゾールを用い、パドル攪拌速度および2-アミノチアゾール濃度を変化させたところ、軟磁気特性の指標である保磁力は、高攪拌速度・高2-アミノチアゾール濃度において増加する傾向が認められるものの、おおむね攪拌速度80rpm以下、安定剤濃度0.5ppm以下の領域において、保磁力2 Oe以下と良好な軟磁気特性が維持された。
【0050】
選択析出性について、攪拌速度と2-アミノチアゾール濃度を変化させて成膜したパターンの比較を行った。表4にその結果を示す。なお、めっき液は0.2μmのメンブレンフィルターで循環濾過を行っている。レジスト上へのめっき析出に対するパドル攪拌と有機安定剤添加、各々の抑制効果が確認され、攪拌速度および安定剤添加濃度の増加に伴い異常析出が減少する傾向が認められる。また、抑制手法を組み合わせたところ、抑制効果がみとめられ、おおむね攪拌速度80rpm以上、2-アミノチアゾール濃度0.3ppm以上、もしくは、60rpm以上、0.4ppm以上、もしくは、40rpm以上、0.5ppm以上において選択析出性に優れるめっき膜の作製が可能である。
【0051】
【表4】
JP0004811543B2_000005t.gif【0052】
攪拌を行うことで、膜面内のウェハ上の組成分散が減少する。攪拌を行わないと組成分布は約3at%程度認められるが、めっき液の1.6L/minの循環攪拌において約1.1at%、パドル攪拌を20~80rpmで用いると約0.8at%である。
【0053】
ヘッドコアパターン内の組成分布について検討を行った。攪拌速度の増加と共にパターン内の組成分散が減少する傾向が認められ、パドル攪拌により均一な組成の磁性膜が得られる。めっき浴中の2-アミノチアゾール酸濃度にあまり依存せず、攪拌速度0~40rpmでは2~4at%であるのに対し、60rpmでは0.6~2at%、80rpmでは0.6at%、100rpmでは0.7at%である。
【0054】
図7は、上記の条件を図示したもので、パターンめっき可能な領域と、軟磁気特性が得られる領域と、組成分散が少ない領域が重なる部分が、2-アミノチアゾール0.3ppm、攪拌速度80rpm、もしくは、2-アミノチアゾール濃度0.4ppm、攪拌速度60~80rpm、もしくは2-アミノチアゾール濃度0.5ppm、攪拌速度60rpmの領域にて、デバイスへ利用可能なすべての条件を満たしているパターンめっき膜が得られている。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、所用パターンに選択的に軟磁気特性を有する均質なめっき膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】選択析出性における不純物除去の効果についてのSEM写真で、(A)は濾過なし、(B)はめっき浴を濾過、(C)は建浴時イオン交換水を精密濾過して作製しためっき液を濾過したものである。
【図2】チオジグリコール酸濃度と攪拌速度と保磁力との関係を示したグラフである。
【図3】選択析出性におけるチオジグリコール酸濃度と攪拌速度について代表的な点におけるパターンめっきのSEM写真である。
【図4】チオジグリコール酸濃度と攪拌を行ったときのパターン内の組成分散について示したグラフである。
【図5】チオジグリコール酸を用いためっき浴における、軟磁性薄膜をデバイス化する事が可能な領域を示す図である。
【図6】チオ尿素を用いためっき浴における、軟磁性薄膜をデバイス化する事が可能な領域を示す図である。
【図7】2-アミノチアゾールを用いためっき浴における、軟磁性薄膜をデバイス化する事が可能な領域を示す図である。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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