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明細書 :歪曲収差の補正方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3668654号 (P3668654)
公開番号 特開2001-133223 (P2001-133223A)
登録日 平成17年4月15日(2005.4.15)
発行日 平成17年7月6日(2005.7.6)
公開日 平成13年5月18日(2001.5.18)
発明の名称または考案の名称 歪曲収差の補正方法
国際特許分類 G01B 11/00      
G06T  1/00      
FI G01B 11/00 H
G06T 1/00 500A
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願平11-311236 (P1999-311236)
出願日 平成11年11月1日(1999.11.1)
審査請求日 平成14年11月27日(2002.11.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
【識別番号】390001421
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
発明者または考案者 【氏名】畑 浩二
【氏名】大内 一
【氏名】橋本 周司
個別代理人の代理人 【識別番号】100087686、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 雅利
審査官 【審査官】岡田 卓弥
参考文献・文献 特開平9-61121(JP,A)
特開昭61-94013(JP,A)
特開平6-241724(JP,A)
調査した分野 G01B11/00-11/30
G01C11/00
G01C15/00
G06T 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
座標値が既知の複数のターゲットマークが表示されたキャリブレーション板をデジタルカメラにより撮像し、撮像された画面上の前記ターゲットマーク間の計測値と前記既知座標値とに基づいて、
前記デジタルカメラの光軸中心と、ピクセル中心との間のズレを補正するとともに、
多次元多項補正近似式のパラメータを決定し、得られた多次元多項補正近似式から、計測値に対する修正補正値を求める歪曲収差の補正方法であって、
前記多次元多項補正近似式は、h=ah’5+bh’5+ch’4+dh’3+eh’
からなる5次元の多項補正式とし、撮像画面上に5点以上の測点を設定して、各測点に置ける像高h1'~h5’を得、これに対応する実測像高h1~h5とに基づいて、最小二乗法を用いて、最も近似した値が得られるパラメータ(a~e)を決定することを特徴とする歪曲収差の補正方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、歪曲収差の補正方法に関し、特に、画像計測における計測精度を向上させる補正方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CCDなどのデジタルカメラを用いる画像計測は、工業製品の検査,加工管理などに用いられていて、主として、それほど高度の計測精度を要求されない分野に利用されている。
【0003】
ところで、この種の画像計測は、非接触での計測が可能なので、例えば、橋梁などの構造物の経時的な変位計測など、手の届かない部位や、危険な部位での高精度の計測に利用することが期待されている。
【0004】
しかしながら、従来のデジタルカメラを用いる画像計測を高度の計測精度が要求される分野に適用するには、以下に説明する技術的な課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、従来の画像計測では、撮像によって得られた撮像画像データから計測点を抽出し、計測点間の画素数を計数し、得られた計数値に画素の大きさを乗算することにより、計測点間の長さなどを求めている。
【0006】
ところが、CCDなどのデジタルカメラは、画素数の増大化などにより高精度化が図られているものの、レンズ系を有していて、撮像された画面は、レンズ系の収差の影響を受けて樽型ないしは糸巻型に屈曲しており、これをそのまま計数すると、収差による誤差を含んでいるので、高精度の計測値が得られないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高精度の画像計測を可能にする歪曲収差の補正方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、座標値が既知の複数のターゲットマークが表示されたキャリブレーション板をデジタルカメラにより撮像し、撮像された画面上の前記ターゲットマーク間の計測値と前記既知座標値とに基づいて、前記デジタルカメラの光軸中心と、ピクセル中心との間のズレを補正するとともに、多次元多項補正近似式のパラメータを決定し、得られた多次元多項補正近似式から、計測値に対する修正補正値を求める歪曲収差の補正方法であって、前記多次元多項補正近似式は、h=ah’5+bh’5+ch’4+dh’3+eh’からなる5次元の多項補正式とし、撮像画面上に5点以上の測点を設定して、各測点に置ける像高h1'~h5’を得、これに対応する実測像高h1~h5とに基づいて、最小二乗法を用いて、最も近似した値が得られるパラメータ(a~e)を決定するようにした。
このような構成を採用すると、デジタルカメラの撮像条件に依存しない歪曲収差補正が行える。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1から図4は、本発明にかかる歪曲収差の補正方法の一実施例を示している。
【0010】
図1には、本実施例の補正方法で用いるキャリブレーション板Cが示されている。同図に示したキャリブレーション板Cは、図示寸法の位置に、正確に描かれた合計5個のターゲットマークTA~TEを有している。このターゲットマークTA~TEは、白色板紙に所定直径の真円を黒色で描いたものであって、デジタルカメラ14により撮像可能な状態になっている。
【0011】
歪曲収差を求める際には、複数のキャリブレーション板Cを、図2に示すように、所定の間隔を隔てて、鉛直壁上にm列,n行になるように縦横に配置し、これを所定の撮影距離Zの地点からデジタルカメラ14で撮像する。
【0012】
壁上に配置した各キャリブレーション板Cの2次元位置は、図3に示すように、m列,n行に配置された中央のキャリブレーション板Ci,jのターゲットマークTAi,jを原点とするX,Y系の二次元座標値として、誤差が±1mm程度のレーザートランシットなどで計測されている。
【0013】
レーザートランシットは、水準器により計測して、地面と平行になるように三脚16上に設置して計測する。デジタルカメラ14は、同じ三脚16上に設置し、中央のキャリブレーション板Ci,jのターゲットマークTAi,jの方向に光軸が向くように調整して、同じ配列のキャリブレーション板Cを撮像する。
【0014】
図4にデジタルカメラ14によりターゲットCを撮像した際の撮像画面の要部が示されている。カメラ14による撮像画面では、ピクセルpijの中心を原点とするX',Y'系の二次元座標により各ターゲットマークTA'i,jなどの座標値が求められる。
【0015】
この場合、ターゲットマークTA~TEの撮像画面上での大きさは、例えば、600万画素のCCDカメラを用い、撮影距離が約15mで撮影すると、レンズの画角から、1画素の間隔は、撮像画面上で約4mmの換算になるので、例えば、ターゲットマークTA~TEの大きさが50mmの円形であると、約10~13画素の大きさを占める。
【0016】
そこで、ターゲットマークTA~TEの中心位置は、撮像画面上での円形の重心上に設定する。この場合、ターゲットマークTA~TEは、黒色で描かれているので、閾値処理を行うことにより、図形を明確にしてから重心位置を決定する。
【0017】
この場合、デジタルカメラ14を中央のキャリブレーション板Ci,jのターゲットマークTAi,jの方向に光軸が向くように調整配置したとしても、光軸の中心とピクセルpijの中心との間に、図4に示すようなズレTが生じ、このズレTは、座標系間の誤差となる。
【0018】
このズレTの大きさは、ピクセルpijの中心を原点として、キャリブレーション板C'i,jのターゲットマークTA'i,jの座標を求めれば決まり、ズレTの大きさが決定すると、ターゲットマークTA'i,jなどの各座標値をこれで補正する、座標系間の誤差補正を行う。
【0019】
このような座標系間の誤差補正が終了すると、図3に示す実測に基づく像高h1~h5と、これに対応する図4に示す撮像画面上の像高h1’~h5'をそれぞれ求め、これらの値に基づいて、歪曲収差率が以下の式で求められる。
【0020】
歪曲収差率(%)=100×(h'-h )/h
このような歪曲収差率をX',Y'軸ないしは放射方向などに沿って順次求めていくと、図5に示すような、歪曲収差率の補正曲線が得られる。図5には、キャリブレーション板Cを、撮影距離15m,10m,5mの地点でそれぞれ600万画素のCCDカメラで撮像して得られた3種類の補正曲線が示されている。
【0021】
なお、図5において、横軸は、歪み後の像高であって、撮影距離5mにおける像高11mmの以上の部分を除けば、理論値と比較して大きなずれがないことが判った。
【0022】
このような補正曲線をあらかじめ求めておくと、デジタルカメラ14により計測対象物を撮像した際の計測値を、この補正曲線に当てはめて修正することができ、このような修正補正値を用いると、画像計測の精度を向上させることができる。
ところで、以上のようにして求められる歪曲収差率の補正曲線は、デジタルカメラ14の撮像距離によって異なるし、また、デジタルカメラ14の画角の方向が異なった位置に向けられると変化し、実際の歪曲収差補正に採用すると、再現性に問題がある。
【0023】
そこで、これらの条件に左右されることなく、撮像距離による依存性のない歪曲収差の補正方法として、多次元多項式により補正曲線を近似することができる。
【0024】
本実施例では、歪み後の像高h’を歪み前の像高hに直す関数として、以下の5次元の多項補正式を設定した。
h=ah’5+bh’5+ch’4+dh’3+eh’
この補正式の各パラメータを求めるためには、図4に示す、撮像画面上に5点以上の測点を設定し、各測点に置ける像高h1'~h5’と、これに対応する図3に示す実測像高h1~h5とをそれぞれ求め、これらの値を代入した式を5以上得て、最小二乗法を用いて、最も近似した値が得られるパラメータ(a~e)を決定する。
【0025】
図6は、実際にキャリブレーション板Cを、撮影距離15mで、600万画素のCCDカメラで撮像し、上記方法によりパラメータ(a~e)を決定して、歪曲収差補正をした場合と、補正をしない場合との、実測値との間の誤差を示している。
【0026】
図6に示した結果からも明らかなように、歪曲収差補正をしないと、中心からの距離が約6m程度で、約100mmほどの誤差が生じているが、収差補正を行うと、±10mm以内に誤差が収まることが判る。
【0027】
以上のような、歪曲収差の補正方法によれば、撮像された画面上のターゲットマーク間の計測値と既知間隔値とに基づいて、予め、多次元多項補正近似式のパラメータを決定し、この多次元多項補正近似式から、歪曲収差補正を施した補正座標値を求めるので、デジタルカメラ14の撮像条件に依存しない、絶対的な歪曲収差補正が行える。
【0028】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる歪曲収差の補正方法によれば、高精度の計測が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる歪曲収差の補正方法で用いるキャリブレーション板の平面図である。
【図2】図1に示したキャリブレーション板をデジタルカメラで撮影する際の説明図である。
【図3】図2に示したキャリブレーション板の実測座標値の要部説明図である。
【図4】図2に示したキャリブレーション板の画像上の座標値の要部説明図である。
【図5】 本発明の歪曲収差補正に用いる補正曲線のグラフである。
【図6】本発明の歪曲収差補正を行った場合と、行わない場合の誤差を示すグラフである。
【符号の説明】
TA~TE ターゲットマーク
C キャリブレーション板
14 デジタルカメラ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5