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明細書 :輸送活性を増強するポリペプチド及びこれをコード化する遺伝子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3706912号 (P3706912)
公開番号 特開2004-008055 (P2004-008055A)
登録日 平成17年8月12日(2005.8.12)
発行日 平成17年10月19日(2005.10.19)
公開日 平成16年1月15日(2004.1.15)
発明の名称または考案の名称 輸送活性を増強するポリペプチド及びこれをコード化する遺伝子
国際特許分類 C12N 15/09      
C07K 14/47      
FI C12N 15/00 ZNAA
C07K 14/47
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2002-164694 (P2002-164694)
出願日 平成14年6月5日(2002.6.5)
審査請求日 平成14年6月5日(2002.6.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人 北海道大学
発明者または考案者 【氏名】三輪 聡一
【氏名】滝川 修
【氏名】長井 和彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100100125、【弁理士】、【氏名又は名称】高見 和明
【識別番号】100101096、【弁理士】、【氏名又は名称】徳永 博
【識別番号】100107227、【弁理士】、【氏名又は名称】藤谷 史朗
【識別番号】100114292、【弁理士】、【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100119530、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 和幸
【識別番号】100123652、【弁理士】、【氏名又は名称】坂野 博行
審査官 【審査官】阪野 誠司
参考文献・文献 Wu et al.,J. Pharmacol. Exp. Ther. ,1999年,290,p.1482-1492
Rattus norvegicus organic cation/carnitine transporter (OCTN2) mRNA, complete cds, [online],NCBI Entrez nucleotide,1999年 9月10日,Accession AF110416,URL,http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?db=nucleotide&val=5852403
調査した分野 C12N 15/00-15/90
C07K 14/00-16/46
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
PubMed
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)又は(b)のDNAからなる遺伝子。
(a)配列表の配列番号1に示す、塩基配列234-671で示される塩基配列からなることを特徴とするDNA。
(b)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、OCTN2のカルニチン又はアシルカルニチン輸送活性を増強させるタンパク質をコード化するDNA。
【請求項2】
配列表の配列番号1に示す、塩基配列234-671で示される塩基配列の10個以下の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ、OCTN2のカルニチン又はアシルカルニチン輸送活性を増強させるタンパク質をコード化することを特徴とするDNA。
【請求項3】
以下の(a)又は(b)に示すアミノ酸配列からなることを特徴とする、ポリペプチド。
(a)配列表の配列番号2に示す、アミノ酸番号1-146で示されるアミノ酸配列からなることを特徴とする、ポリペプチド。
(b) OCTN2のカルニチン又はアシルカルニチン輸送活性を増強させる能力を有し、かつ、(a)のアミノ酸配列の数個以下のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなることを特徴とする、ポリペプチド。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規ポリペプチド及びそれをコード化する遺伝子に関し、特に、カルニチン及び/又はアシルカルニチン輸送分子である有機性陽イオン輸送分子(OCTN2)を活性化する新規ポリペプチド及びそれをコード化する遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】
カルニチンはミトコンドリア内における長鎖脂肪酸の代謝に必須の分子である。細胞内の脂肪酸(アシルCoA)は、カルニチンと結合してアシルカルニチンとなって初めてミトコンドリア内膜を通過できるようになり、ミトコンドリア内においてβ酸化を受け、エネルギーが産生される[Bremer,J., Carnitine-Metabolism and Functions. Physiol. Rev., 63,1420-1480 (1983)]。
【0003】
また、カルニチンが全身性に欠乏すると、低血糖や高アンモニア血症などReye症候群症状や心肥大を来たす[Wang, Y., et al., Mutations in the organic cation/carnitine transporter OCTN2 in primary carnitine deficiency. Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 96, 2356-2360 (1999)]。一方、長期にわたる原因不明の強い全身疲労・倦怠感を主訴とする慢性疲労症候群の患者では、血清アシルカルニチンレベルが低下し、同時に脳へのアセチルカルニチン取り込みも低下しており、アセチルカルニチンの投与でその症状が改善する。
【0004】
さらに、アセチルカルニチンは興奮性の神経伝達物質の生合成にも利用される[倉恒弘彦 慢性疲労症候群の病因と治療, 111-118頁,疲労の科学(井上正康,倉恒弘彦,渡辺恭良編),講談社サイエンティフィク,(2001)]。
【0005】
このように細胞のエネルギー代謝や神経伝達物質生合成において重要なカルニチンやアセチルカルニチンは、有機性陽イオン輸送分子(以下OCTN2ともいう。)で輸送される[Tamai, I. et al., Molecular and functional identification of sodium ion-dependent, high affinity carnitine transporter OCTN2. J. Biol. Chem., 273, 20378-20382 (1998)]。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、有機性陽イオン輸送分子(OCTN2)は、その活性調節機構が不明であるため、OCTN2を標的にした医薬品開発の障害となっている。
【0007】
すなわち、カルニチン又はアセチルカルニチン欠乏は重篤な病態を惹起し、これらを補うことで症状が著しく改善されるが、その活性調節機構が不明であるため、有用な治療薬の提供を困難としているという問題を有する。それゆえ、活性調節機構を明らかにできれば、カルニチンおよびアセチルカルニチン輸送増強遺伝子治療薬、疲労回復剤のスクリーニングシステム、及び神経伝達物質生合成促進剤のスクリーニングシステムの構築に多大な利益をもたらす。しかし、かかる有機性陽イオン輸送分子(OCTN2)の活性増強手段について、有効な結果が得られていない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、カルニチンおよびアシルカルニチン(アセチルカルニチンなどを含む。)を細胞内へ輸送するOCTN2の活性を増強させる有効な手段を提供することにある。本発明は、カルニチンおよびアシルカルニチンの細胞内への取り込みを効率的に促進させる薬剤の開発など、カルニチン欠乏症や慢性疲労症候群に対する新治療法の開発に有用である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、発明者らは、カルニチンおよびアシルカルニチンを輸送するOCTN2の活性を増強する分子に着目して鋭意検討した結果、OCTN2に部分的に相同性を有する小分子をコード化する新規遺伝子を単離し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の遺伝子は、以下の(a)又は(b)のDNAからなることを特徴とする。すなわち、(a)配列表の配列番号1に示す、塩基配列1-2928で示される塩基配列からなることを特徴とするDNA。
(b)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、OCTN2のカルニチン又はアシルカルニチン輸送活性を増強させるタンパク質をコード化するDNA。
【0011】
また、本発明の遺伝子は、配列表の配列番号1に示す、塩基配列1-2928で示される塩基配列の一部を化学的に修飾して得られる塩基配列からなり、かつ、OCTN2のカルニチン又はアシルカルニチン輸送活性を増強させるタンパク質をコード化することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の遺伝子は、配列表の配列番号1に示す、塩基配列1-2928で示される塩基配列の一部が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ、OCTN2のカルニチン又はアシルカルニチン輸送活性を増強させるタンパク質をコード化することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のポリペプチドは、以下の(a)又は(b)に示すアミノ酸配列からなることを特徴とする。すなわち、(a)配列表の配列番号2に示す、アミノ酸番号1-146で示されるアミノ酸配列からなることを特徴とする、ポリペプチド。(b)OCTN2のカルニチン又はアシルカルニチン輸送活性を増強させるポリペプチド。
【0014】
また、本発明のポリペプチドは、配列表の配列番号2に示す、アミノ酸番号1-146で示されるアミノ酸配列の一部を、化学的に修飾して得られるポリペプチドからなり、かつ、OCTN2のカルニチン又はアシルカルニチン輸送活性を増強させる能力を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の遺伝子は、配列表の配列番号1において塩基配列1-2928で示される塩基配列からなるDNA、又は当該塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、OCTN2のカルニチン又はアセチルカルニチンなどのアシルカルニチン輸送活性を増強させるタンパク質をコード化するDNA、からなる。本発明の遺伝子は、適当な発現ベクターに結合させることによって、OCTN2のカルニチン又はアセチルカルニチンなどのアシルカルニチン輸送活性を増強させるタンパク質を発現し得る。さらに、本発明の遺伝子は、OCTN2のカルニチン又はアシルカルニチン輸送活性を増強させる類似タンパク質を探索するプローブとして使用することができる。
【0016】
本発明の遺伝子を得るには、まず、脊椎動物等の脳、腎臓、睾丸等より、RNAを抽出し、アフィニティークロマトグラフィーなどの常法を用いて該RNAからmRNAを精製することから始まる。
【0017】
得られたmRNAを逆転写酵素で逆転写することによりcDNAを得ることができる。当該cDNAから目的とするタンパク質(OCTN2のカルニチン又はアセチルカルニチンなどのアシルカルニチン輸送活性を増強させるタンパク質)を発現し得る遺伝子をスクリーニングするには、例えば、短時間に探索することができるという観点から、PCR法等の増幅法を利用するのが好ましい。
【0018】
PCR法に用いるプライマーは、既知のOCTN2に共通する配列を参考にして設計、合成することができる。逆転写酵素により得たcDNAを鋳型として上記プライマーにより、目的とするcDNA断片を増幅することができる。
【0019】
また、cDNAからのスクリーニングを常法のコロニー又はプラークハイブリダイゼーション等により行うこともできる。
【0020】
目的とするcDNAの配列決定は、ターミネータ法等の常法を利用して行うことができる。
【0021】
また、遺伝子組み換え技術によれば、基本となるDNAの特定の部位に、当該DNAの基本的な特性を変化させることなく、人為的に変異を起こすことができる。本発明により提供される天然の塩基配列を有する遺伝子に関しても、同様に人為的に挿入、欠失、置換を行うことにより、天然の遺伝子と同様の或いは改善された特性を有するものとすることが可能であり、本発明は、そのような変異遺伝子を含むものである。
【0022】
すなわち、本発明の遺伝子は、配列表の配列番号1に示す遺伝子の一部が欠失、置換若しくは付加された遺伝子であってもよい。
【0023】
遺伝子の一部が欠失、置換若しくは付加された遺伝子とは、配列番号1に示す塩基配列において10個以下、好ましくは7個以下、更に好ましくは3個以下の塩基が欠失、置換若しくは付加された配列を有する遺伝子である。また、そのような遺伝子は、配列表の配列番号1に示す遺伝子と90%以上、好ましくは、95%以上、更に好ましくは99%以上の相同性を有する。また、当該遺伝子は、ストリンジェントな条件下で、配列表の配列番号1に示す遺伝子とハイブリッドを形成する。こうした遺伝子もOCTN2のカルニチン又はアセチルカルニチンなどのアシルカルニチン輸送活性を増強させる限り、本発明の遺伝子に含まれる。
【0024】
また、本発明の遺伝子は、配列表の配列番号1に示す、塩基配列1-2928で示される塩基配列の一部又は全部を、化学又は物理的に修飾して得られる塩基配列からなり、かつ、OCTN2のカルニチン又はアセチルカルニチンなどのアシルカルニチン輸送活性を増強させるタンパク質をコード化することを特徴とする。
【0025】
かかる遺伝子であっても配列番号1に示す遺伝子同様に、OCTN2のカルニチン又はアシルカルニチン輸送活性を増強させるからである。化学又は物理的修飾としては、塩基のメチル化等を挙げることができる。これらの修飾は、常法に従って行うことができる。
【0026】
また、本発明のポリペプチドは、以下の(a)又は(b)に示すアミノ酸配列からなることを特徴とする。すなわち、(a)配列表の配列番号2に示す、アミノ酸番号1-146で示されるアミノ酸配列からなることを特徴とする、ポリペプチド。(b)OCTN2のカルニチン又はアシルカルニチン輸送活性を増強させて、(a)のアミノ酸の一部が欠失、置換若しくは付加された、ポリペプチド。
【0027】
アミノ酸の一部が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸とは、配列番号に示すアミノ酸配列において10個以下、好ましくは7個以下、更に好ましくは3個以下のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された配列を有するアミノ酸である。また、そのようなアミノ酸は、配列表の配列番号に示すアミノ酸と90%以上、好ましくは、95%以上、更に好ましくは99%以上の相同性を有する。
【0028】
また、本発明のポリペプチドは、配列表の配列番号2に示す、アミノ酸番号1-146で示されるアミノ酸配列の一部又は全部を、化学的又は物理的に修飾して得られるポリペプチドからなり、かつ、OCTN2のカルニチン又はアシルカルニチン輸送活性を増強させることを特徴とする。化学的又は物理的に修飾した場合であっても、OCTN2のカルニチン又はアセチルカルニチンなどのアシルカルニチン輸送活性を増強させる限り、本発明のポリペプチドに含まれる。化学的又は物理的修飾の例としては、メチル化、アミド化などのN末端修飾、C末端修飾等を挙げることができる。これらの修飾を常法に従って行うことができる。
【0029】
また、本発明の活性化因子は、請求項4又は5項に記載のポリペプチドを含有することを特徴とする。本発明の活性化因子は、本発明のポリペプチドを有効的な量で含有する。
【0030】
【実施例】
ここで、本発明の一実施例を説明するが、本発明は、下記の実施例に限定して解釈されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であることは言うまでもない。
【0031】
実施例1
まず、本発明の配列番号1に示されるDNA、及び本発明の配列番号2に示されるポリペプチドの精製を試みた。7‐10週令の雄Wistarラットの脳から抽出精製して得られたploy(A)+ mRNAから、GIBCO BRL社のSuperscript plasmid system を使用してcDNAライブラリーを作製した。次にこのcDNAライブラリーをStratagene社のλZap express kitを使用して、ファージcDNAライブラリーを作製した。このcDNAライブラリーをラットOCTN2 cDNA[Wu et al., Functional characteristics and tissue distribution pattern of organic cation transporter 2 (OCTN2), an organic cation/carnitine transporter. J. Pharmacol. Exp. Ther. 290, 1482-1492 (199)]の部分塩基配列、すなわち、25から375番目の配列をプローブに用いたプラークハイブリダイゼーション法によりスクリーニングを行った。具体的には、5 x SSC、5 x デンハルト試薬、0.1 % SDS、 30% フォルムアミド、50 mM Na-リン酸緩衝液(pH 6.5、100 μg/ml 変成サケDNAを含む溶液中、55℃で16時間、ハイブリダイゼーションを行った。この条件下で、2x106 個のプラークから成るラット脳cDNAライブラリーのスクリーニングを行い、陽性プラークを得、各クローンについて更にハイブリダイゼーションを繰り返すことによりクローンを均一化した。最終的にヘルパーファージを反応させcDNAを組み込んだファージミドベクター(pBK-CMV)を切り出すことによりOCTN2と相同性を有するcDNAクローン、2b-1 を得た。2b-1cDNAクローンの塩基配列をABI PRISM310 Genetic Analyzer及びLi-COR DNAシクエンサー用いて決定したところ、本cDNAクローンは全長が2928kbからなる塩基配列(配列番号1)を有し、146個のアミノ酸配列(配列番号2)からなる新しいタンパク質をコードしていた。
【0032】
OCTN2はN末端およびC末端が細胞内に存在する12回膜貫通型構造をしていると推定されている[Tamai, I. et al., Molecular and functional identification of sodium ion-dependent, high affinity carnitine transporter OCTN2. J. Biol. Chem., 273, 20378-20382 (1998) ]。2b-1クローンがコードするタンパク質はOCTN2に共通のN末端側の第1膜貫通領域(-LIFFLLSASII-)を有していることから、1回膜貫通型の膜タンパク質として細胞膜に存在していると予想された。
【0033】
次に2b-1遺伝子発現の組織分布を調べるためにノーザンハイブリダイゼーション分析とRT-PCRを以下にようにして行った。 全RNAをラットの組織からセパゾールRNAI(nacalai tesque社製)で抽出し、GENEELUTE mRNA Miniprep Kit (Sigma社製)を用いて得られたpoly(A)RNA (30μg)をホルムアルデヒドを含有するアガロースゲルで分離し、ニトロセルロース膜(Schleicher & Schuell社製)に転写した。プローブは2b-1cDNAの0.2kb PCR産物(18-212位)を使用した。32P標識は、DNA labelling kit (タカラ社製)を使用した。ハイブリダイゼーションは20 mM リン酸ナトリウム緩衝液 (pH 6.5)/5 x SSC/0.1 % SDS/5 x デンハルト試薬/ 0.01 % 超音波処理済鮭精子DNA/50 % フォルムアミド/10 % デ硫酸キストランを含有する溶液中、42 ℃で、16時間実施した。ハイブリダイゼーション後、膜を2 x SSC/0.1% SDSを用いて30分間、25 ℃で洗浄し、続けて、0.1 x SSC/0.1 % SDSを用いて1時間、65 ℃で洗浄した。放射能はBAS2000(フジ写真フィルム社製)で測定した。RT-PCRは、各1μgのpoly(A)RNAから逆転写酵素SuperScript II(GIBCO-BRM社製)を用いて合成したcDNAを、5’-CCTCACGCCCTGGGTGTCTTTG-3’(塩基配列1の18-41)のセンスプライマーと5’-CCCGCTGGGAATCTGAAGAC-3’(塩基配列1の193-212)のアンチセンスプライマーを用いて増幅した。増幅は、TaqDNA polymerase (Promega社製)を用い、94℃ 15秒間、 57℃ 30秒間、72℃ 45秒間で25回行った。増幅されたcDNAは2%のアガロースゲルで分離した後、エチジウムブロマイドで染色した。ノーザンブロット分析とRT-PCRの結果を図1に示す。2b-1mRNAは、脳、肺、心臓、小腸、大腸、腎臓、睾丸、副睾丸、筋肉などに発現していたが、肝臓、脾臓、胃のレベルは検出限界以下であった。
【0034】
次にOCTN2のアセチルカルニチン輸送活性に与える2b-1の影響を検討した。具体的には、COS-7細胞(培養液:90 % DMEM/10 % FCS)を24-ウェルプレートで、1ウェル当り、1 x 105個/mlの細胞密度で24時間培養した後、総量で0.3 μgのプラスミドを8 μlのPolyFect (QIAGEN社)と混合して添加してトランスフェクションした。48時間培養後、細胞を1 mlのNa含有OCTN2輸送活性測定用緩衝液[125 mM NaCl/4.8 mM KCl/5.6 mM D-glucose/1.2 mM CaCl2/1.2 mM KH2PO4/1.2 mM MgSO4/25 mM HEPES, pH 7.4(以下TBと略称)][Tamai, I. et al., Molecular and functional identification of sodium ion-dependent, high affinity carnitine transporter OCTN2. J. Biol. Chem., 273, 20378-20382 (1998) ]で洗浄した後、0.2 mlのTBを加えて、10分間37 ℃でプレインキュベーションした後、10 μM(最終濃度5 μM)の14C-アセチルカルニチンを含む0.2 mlのTBを加えて取り込み反応を開始した。37 ℃で1時間反応後、氷冷した1 mlのTBで細胞を2回洗浄して反応を停止させ、0.5 mlの0.2 N NaOH/1 % SDSで細胞を可溶化し、細胞内に取り込まれた14C-アセチルカルニチン量を液体シンチレーションカウンターで測定した。2b‐1単独では、アセチルカルニチンの輸送活性を示さなかったが、図2に示すようにOCTN2と同時に発現させると、その輸送活性は2倍以上に増強された。
【0035】
当該輸送活性の増強効果が、本発明の2b-1に起因するものであるか否かを確実にするためOCTN1を代わりに用いて比較実験を行った。その結果、図2に示すように、この増強活性は、2b-1に特異的であり、別の有機性陽イオン輸送分子、例えば、OCTN1[Wu et al.: Structural and functional characteristics and tissue distribution pattern of rat OCTN1, an organic cation transporter, cloned from placenta]には観察されなかったことが判明した。
【0036】
【発明の効果】
本発明のポリペプチド、遺伝子、及び活性化因子によれば、当該遺伝子等を、たとえば、アデノウィルスなど遺伝子治療で汎用されるベクターに組み込んで使用することにより、OCTN2の活性化を行うことが可能であるという有利な効果を奏する。これによって、カルニチン欠乏症や慢性疲労症候群を治療することが可能となるという有利な効果も奏する。
【0037】
また、本発明によれば、輸送活性因子のポリペプチド量を増大させ、その結果としてOCTN2活性が増加し、カルニチン欠乏症や慢性疲労症候群を治療する新規薬剤の開発も可能となるという有利な効果を奏する。
【0038】
【配列表】
JP0003706912B2_000002t.gifJP0003706912B2_000003t.gifJP0003706912B2_000004t.gif
【図面の簡単な説明】
【図1】 2b‐1遺伝子発現のノーザンブロット分析(A)とRT-PCR(B)の結果を示す。
【図2】 OCTN2のアセチルカルニチン輸送活性に対する2b‐1の効果を調べた結果を示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1