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明細書 :アキシャル磁気浮上回転モータおよびこれを用いた回転機器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3808811号 (P3808811)
公開番号 特開2004-072879 (P2004-072879A)
登録日 平成18年5月26日(2006.5.26)
発行日 平成18年8月16日(2006.8.16)
公開日 平成16年3月4日(2004.3.4)
発明の名称または考案の名称 アキシャル磁気浮上回転モータおよびこれを用いた回転機器
国際特許分類 H02K   7/09        (2006.01)
F04D   7/00        (2006.01)
F04D  13/06        (2006.01)
H02K   7/14        (2006.01)
H02K  21/24        (2006.01)
A61M   1/10        (2006.01)
FI H02K 7/09
F04D 7/00 Z
F04D 13/06 H
H02K 7/14 B
H02K 21/24 M
A61F 2/22
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2002-228126 (P2002-228126)
出願日 平成14年8月6日(2002.8.6)
審査請求日 平成15年11月4日(2003.11.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】増澤 徹
【氏名】岡田 養二
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】川端 修
参考文献・文献 特開平11-218130(JP,A)
特開平08-322194(JP,A)
調査した分野 H02K 7/09
F04D 7/00
F04D 13/06
H02K 7/14
H02K 21/24
A61M 1/10
特許請求の範囲 【請求項1】
鉛直軸の軸方向に対向して配置された電磁石を備えた一対の上下ステータ間に磁気浮上回転自在に配設されたロータを備えたアキシャル磁気浮上回転モータにおいて、前記上部ステータに2組の対向するラジアル制御用電磁石を設置するとともにロータを上方へ吸引するバイアス吸引力を発生させる永久磁石を付設し、前記ラジアル制御用電磁石に電流を流して、一方の組の突極の磁束を強め、他方の組の磁束を弱めることで、ロータのラジアル方向の位置制御を行うとともに、前記下部ステータにロータの磁気浮上回転制御用コイルとロータの傾き制御用コイルを設置し、それぞれ各別に制御できるように構成したことを特徴とするアキシャル磁気浮上回転モータ。
【請求項2】
前記請求項1に記載のアキシャル磁気浮上回転モータを使用した回転機器であって、前記アキシャル磁気浮上回転モータのロータにターボポンプのインペラを設置し、ターボポンプを構成したことを特徴とする回転機器。
【請求項3】
前記回転機器が連続流型人工心臓ポンプであることを特徴とする請求項2に記載の回転機器。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉛直軸の軸方向に対向して配置された一対の上下ステータ間に磁気浮上回転自在に配設されたロータを備えたアキシャル磁気浮上回転モータに関する。特にインペラが回転するターボポンプ等の回転機器全般に応用が可能で、とりわけ、高耐久性が要求される連続流型人工心臓ポンプ用のモータとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
我が国において1997年10月に臓器移植法案が施行され、心臓移植が法律的に可能になったものの、移植が必要な患者に対して適正なドナー数が不足しているという現状がある。そこで、生体心臓移植に代わるもの、あるいは生体心臓の機能を長期間にわたって補助するものとして人工心臓の開発が熱望されている。従来の人工心臓は、ベットサイドの駆動装置からエアーチューブを用いて患者に接続されていたが、近年では、患者の療養生活レベル向上のために体内埋設型人工心臓へと移行し始めており、臨床応用例も増加している。
【0003】
人工心臓には、拍動流型と連続流型とがある。拍動流型は、生体心臓のように脈を打つタイプで、ダイヤフラム等で仕切られ密閉されたポンプ室の一方の流体を出し入れすることでダイヤフラムを上下動させ、他方のポンプ室に満たされた血液を脈動を付けて送出する方式である。そのため、所定の流量を送出するには所定のポンプ室容量を必要として、小型化には限界があった。また、連続流型は、インペラを回転させて血液を連続的に送出するタイプで、一定方向に血液を送り込むので、効率よく運転が行える。しかも、ポンプ容積にそれほど制限されずに流量が確保できるため、小型化が容易であることから、次世代の人工心臓として注目されている。
【0004】
しかし、従来の連続流型人工心臓においては、シャフトを介してインペラをモータで回転させる構造のため、インペラにシャフトを通す孔のシールと軸受が必要となるが、これらのシール部材の耐久性が2、3日と短く、長期間使用は困難で実用性に乏しいものであった。また、シール部近傍での摩擦熱による血液の変性や、軸受隙間での血球破壊、シャフトや軸受部での流れの淀みによる血液凝固等の問題が発生した。そのようなことから、図4に示すような、径方向からの磁気吸引力によりインペラを浮上回転させることで、軸受によるシャフトの支持等の機械的接触部分を必要としない高耐久性能を発揮する磁気浮上回転モータを使用した連続流型人工心臓の開発がなされているところである。磁気浮上して回転するインペラの上部の流入口から軸流する血液が取り入れられ、インペラ内を放射方向の外側に遠心力にて放射され、円周上の流出口に集合して体内に流れていくものである。
【0005】
従来、前述した径方向磁気浮上回転モータと大別されるものとしてアキシャル磁気浮上回転モータの提案例がいくつかあり、例えば、フレームに対して永久磁石を備えた回転軸を、アキシャルおよびラジアル方向の磁気軸受けにより支持させて制御装置を簡素化させた特開平7-208470号公報に開示されたもの、回転子の位置を検出して設定値と比較し、回転子に対する固定子の回転磁界の振幅を制御する位置コントローラを備えて、浮上巻線を不要として位置制御を簡素化した特開平8-322194号公報に開示されたもの、あるいは、ロータの鍔部の上下にスラスト(アキシャル)制御固定子を配設し、鍔部の縁部の外側にラジアル制御固定子を配設し、回転角検出エンコーダおよびギャプセンサからの検出信号に基づいて、これらの制御固定子の電流値を独立して制御するように構成して、軸長を短くできるとともに、マイナストルクの発生を阻止した特開2001-124077号公報に開示されたもの等がある。
【0006】
また、本件発明者は、図5に示すようなアキシャル型磁気浮上回転モータを開発した。このモータは、上部ステータで傾き制御を、下部ステータで磁気浮上回転制御を行うものである。上部ステータに取り付けた傾き制御用コイルX、Yおよび永久磁石によって永久磁石によるバイアス吸引力に強弱を付けることでロータの傾きを制御し、下部ステータの電磁石U、V、Wにより3相4極あるいは8極の回転磁界を発生させて磁気浮上回転制御を行う。また、ラジアル方向のロータの振動については制御を行わず、受動安定性により抑制した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記本件発明者の提案になるアキシャル型磁気浮上回転モータでは、ラジアル方向のロータの振動については受動安定性のみに依存するため、高回転時にロータのラジアル方向の振動が大きくなり、その振動吸収は困難であった。また、前記各公報に記載された従来例のうち、制御系を簡素化したものでは、ラジアル方向、アキシャル方向の位置制御および回転制御の自由度のうちどれかを静的な安定性に頼らざるを得ない構造である。そのため、静的に安定している自由度の剛性が低く、高速回転になった場合、その静的な安定性を維持することが困難である、等の欠点を有している。また、制御系を簡素化しない5軸制御用軸受では装置全体が大型化する欠点を有していた。
【0008】
そこで、本発明では、磁気浮上制御と回転制御および傾き制御におけるラジアル方向とアキシャル方向の位置制御を有機的に連携して行うことにより、高速回転時にも軸振れ等の虞れのない安定した回転が維持される高精度のアキシャル型磁気浮上回転モータおよびこれを用いた回転機器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
鉛直軸の軸方向に対向して配置された電磁石を備えた一対の上下ステータ間に磁気浮上回転自在に配設されたロータを備えたアキシャル磁気浮上回転モータにおいて、前記上部ステータに2組の対向するラジアル制御用電磁石を設置するとともにロータを上方へ吸引するバイアス吸引力を発生させる永久磁石を付設し、前記ラジアル制御用電磁石に電流を流して、一方の組の突極の磁束を強め、他方の組の磁束を弱めることで、ロータのラジアル方向の位置制御を行うとともに、前記下部ステータにロータの磁気浮上回転制御用コイルとロータの傾き制御用コイルを設置し、それぞれ各別に制御できるように構成したことを特徴とするアキシャル磁気浮上回転モータである。
前記記載のアキシャル磁気浮上回転モータを使用した回転機器であって、前記アキシャル磁気浮上回転モータのロータにターボポンプのインペラを設置し、ターボポンプを構成したことを特徴とする回転機器である。
また、前記回転機器が連続流型人工心臓ポンプであることを特徴とする回転機器である。
【0010】
【実施の形態】
以下、本発明のアキシャル磁気浮上回転モータおよびこれを用いた回転機器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1~図3は本発明の1つの実施の形態を示す図で、図1は本発明のアキシャル磁気浮上回転モータの基本概念図、図2はラジアル制御部の概念図、図3は磁気浮上および回転制御部の概念図である。本発明のアキシャル磁気浮上回転モータの基本的な構成は、図1に示すように、鉛直軸の軸方向に対向して配置された電磁石を備えた一対の上下ステータ1、7間に磁気浮上回転自在に配設されたロータ4を備えたアキシャル磁気浮上回転モータにおいて、上部ステータ1にてロータ4のラジアル制御を行うとともに、下部ステータ7にてロータ4の磁気浮上回転制御と傾き制御を行うように構成したことを特徴とする。
【0011】
以下に、本発明のアキシャル磁気浮上回転モータおよびこれを用いた回転機器を発明するに至った原理およびその理論解析ならびに試験結果についての考察を詳細に説明する。本発明の、好適には人工心臓ポンプに適用される回転機器として使用されるアキシャル磁気浮上回転モータの原理について述べる。本発明のアキシャル磁気浮上回転モータとしての基本構成は、図1に示すように、上部ステータ1、ロータ4および下部ステータ7の3つから構成される。上部ステータ1では、永久磁石2を用いることでバイアス吸引力を発生させている。また該上部ステータ1には2組の対向するラジアル制御用電磁石3を設置し、これらの電磁石に電流を流して、一方の組の突極の磁束を強め、他方の組の磁束を弱めることで、ロータ4のラジアル方向(回転軸に直交する径方向)の位置制御であるラジアル制御を行う。
【0012】
下部ステータ7では、浮上および回転制御用コイル6による3相8極(相数および極数は適宜変更可能で、3相4極等でもよい)の回転磁界を発生させることで、回転方向にトルクを与えて回転制御を行う。同時に、前記磁界が前記上部ステータ1の永久磁石によるバイアス吸引力と大きさの等しい逆向きの吸引力をロータ4に与えることで浮上制御がなされる。また、回転トルクと浮上の2つのベクトルを加えて実際に生み出される力を求めるDQ制御を用いることで、これらの2つのベクトル制御がなされる。また、下部ステータ7では、前記3相8極と独立した傾き制御用コイル5による2相6極の磁界を発生させることで、ロータ4の傾き制御がなされる。
【0013】
<ラジアル制御>
図2は、ロータ4と上部ステータ1とによりなされるラジアル制御についての説明図である。ラジアル制御は、図2(B)に示すように、永久磁石2によるバイアス磁束(黒矢印)に、電磁石3から発生する磁束(白矢印)によって、ロータ4と電磁石3の磁極間のギャップの磁束に強弱を付けることでなされる。まず、ロータ4のラジアル方向の距離をセンサによって求める。ロータ4の上部ステータ1に対する変位はd=d1-d2で表される。d=0へのロータの位置制御がラジアル制御によりなされる。ロータ4のずれを検出することによって、電磁石3にロータ4を中心に戻すための制御電流を流す。図2(A)に示すように、ロータ4が上部ステータ1(すなわち電磁石3の磁極)に対して図面右方向にずれた場合には、図2(B)のように、電磁石3から発生させる磁束を図のように流すことで、磁束は左側で強め合い、右側で弱め合う。これにより、ロータ4に左向きの力を付与する。このようにしてロータ4のラジアル制御がなされる。
【0014】
いま、電磁石3によって発生する磁束をφc 、コイルの巻数をN、電流をIとし、また磁気抵抗Rが左右とも等しいと仮定すると、φc は左右とも、
φc =NI/R
電磁石3による磁束と永久磁石2によって発生する磁束φm の和および差がギャップの断面積Sに通る磁束となるので、それぞれの磁束密度は、
1 =(φm +φc )/S
2 =(φm -φc )/S
よって、左右の突極で発生する吸引力F1 、F2 は、
1 =(φc 2 +2φc φm +φm 2 )/2Sμ0
2 =(φc 2 -2φc φm +φm 2 )/2Sμ0
この2つの吸引力から、実際にロータ4にかかる吸引力は、
F=F1 -F2 =2φc φm /Sμ0
となり、ラジアル制御用電磁石3のコイル電流に比例したラジアル方向の吸引力を発生させることができる。
【0015】
<浮上回転制御>
図3は、ロータ4と下部ステータ7とによりなされる磁気浮上および回転制御についての説明図である。回転制御は、下部ステータ7に電磁石による3相8極(相数および極数は適宜変更可能)の回転磁界によって、図示のようなトルクを発生させて行う。磁気浮上制御は、図示のように、前記上部ステータ1による上向きのバイアス吸引力と大きさの等しい下向きの吸引力を発生させて行う。前記回転制御のためのトルクと、磁気浮上のためのバイアス吸引力に対抗する吸引力の2つのベクトルを加えて、実際に生み出される力(Resultant force)を求めるDQ制御がなされる。
【0016】
いま、ロータ磁束の方向を直軸(d軸)、それに直交する方向を横軸(q軸)と定義する。ロータに設置されている永久磁石を電磁石に置き換えて考え、その電磁石に流す電流をIf とする。磁気浮上・回転制御用のステータに流すd軸、q軸方向の電流をそれぞれ、Id 、Iq とすると、アキシャル方向の吸引力Fは次式のように決まる。
F=K1 {(Id +If 2 + Iq 2 }・・・・・・・・・・(1)
ここで、K1 は磁気回路形状から決まる係数である。
また、回転トルクTは、
T=K2 f q ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
となる。K2 は磁気回路形状から決まる係数である。
これにより、アキシャル方向の吸引力はd軸電流とロータ電流による力とq軸電流により発生する力の和となり、回転トルクはq軸電流に比例することが分かる。If は既知であるため、必要トルクが分かれば、上式(2)からq軸電流Iq が求められ、ロータの回転制御が可能となる。また、必要吸引力Fが求められ、回転制御からq軸電流Iq が求められれば、上式(1)からd軸電流Id が求められ、ロータの吸引制御(磁気浮上制御)が可能となる。実際には、3相8極(相数および極数は適宜変更可能)の回転磁界によりこれを実現する。
【0017】
図示しての説明は省略するが、前述の本発明のアキシャル磁気浮上回転モータを用いた回転機器としての人工心臓遠心ポンプの構成例としては、前記アキシャル磁気浮上回転モータにおける上部ステータの中心部を通して血液の流入管(静止側)を配設し、該流入管を密封摺接手段等を介してロータに固定されたインペラの遠心加圧室(回転側)に接続し、インペラの遠心加圧室の外周部にて集められた血液を流出すべく、インペラの遠心加圧室の外周部を密封摺接手段等を介して静止側の流出管に接続する構成が採用される。また、軸流ポンプ、斜流ポンプを人工心臓として採用する場合は、下部ステータの中心部を通して血液の流出管を配設し、遠心ポンプと同様の流入管、磁気浮上インペラ周りに構成したポンプ外周部、流出管を接続する構成が採用される。以上の構成により、軸受等による機械的な支持部を必要としない軽快な回転により耐久性が高く、かつ血液の変性や血球破壊、淀みによる血液凝固等の問題も解消される。
【0018】
前述したように、本発明のアキシャル磁気浮上回転モータは、上部ステータ1に永久磁石2を配置し、バイアス吸引力を発生させてロータ4を上方へ吸引させ、また、上部ステータ1に2組の対抗する電磁石3を配置し、ラジアル方向の位置制御をおこなった。12突極(極数は適宜変更可能、6突極や24突極であってもよい)の下部ステータ7には傾き制御用コイル5と浮上および回転制御用コイル6を別々に構成した。これにより、傾き制御と浮上および回転制御を独立して行うことができる。このモータを用いて水中での磁気浮上性能、およびポンプ性能の測定を行った。
【0019】
その結果、外径79mm、高さ80mmのモータで回転数とX方向およびY方向(いずれも回転軸に直交するラジアル方向)の振動振幅(mm)では、ラジアル方向のロータの振動は0.5mm以内に制御可能であった。また、回転数とZ方向(アキシャル方向)の振動振幅の関係では、アキシャル方向のロータの振動は0.65mm以内に制御可能であった。遠心ポンプとしては最大回転数1100rpmまで磁気浮上回転が可能であり、ポンプとしてのHQ(流量・揚程)特性では、最大流量4.3l/min、最大揚程48.6mmHgであった。以上の結果より、本発明のアキシャル磁気浮上回転モータおよびこれを用いた遠心ポンプ等の回転機器への応用についても所定の性能が確認できた。
【0020】
以上、本発明のアキシャル磁気浮上回転モータおよびこれを用いた回転機器についての実施の形態を説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、ロータと上部ステータおよび下部ステータとの配置関係、ラジアル制御用コイルおよび永久磁石の個数、極数や配設位置を含む上部ステータの形状、形式、ロータの形状、形式および材質、磁気浮上回転制御用コイルおよび傾き制御用コイルの極数や配設位置を含む下部ステータの形状、形式、ポンプ等の回転機器を構成する際のロータへのポンプ部の配設形態(ロータにポンプを付設する他、ロータ自身をインペラとすることもできる)、ポンプ等の回転機器の形状、形式(例えば、回転機器のなかでも、ポンプであれば、インペラが回転する遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ等のターボポンプ等の全てのポンプに適用が可能である)、前記各制御コイルの制御形態等については適宜選定することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、鉛直軸の軸方向に対向して配置された電磁石を備えた一対の上下ステータ間に磁気浮上回転自在に配設されたロータを備えたアキシャル磁気浮上回転モータにおいて、上部ステータにてロータのラジアル制御を行うとともに、下部ステータにてロータの磁気浮上回転制御と傾き制御を行うように構成したことにより、ロータの軸方向の両側に振り分けてラジアル方向の位置制御と傾き制御を行いつつ、下部ステータとの間で磁気浮上制御を行うので、機械的な支持に依らずとも、軸振れ等の振動が少なく円滑な回転が可能であり、しかも、下部ステータにおける磁気浮上力の一部を回転制御力として機能させることができて、効率的な制御が可能となる。
【0022】
また、前記下部ステータにロータの磁気浮上回転制御用コイルとロータの傾き制御用コイルを設置し、それぞれ各別に制御できるように構成した場合は、ロータの軸方向の両側にて、ラジアル制御と磁気浮上制御と回転制御を有機的に連携させて、機械的な支持を不要にしつつロータの安定した回転を可能にするとともに、さらにロータの傾き制御を各別に行えてきめ細かな制御が可能となる。
さらに、前記上部ステータに永久磁石を付設してロータを上方へ吸引するバイアス吸引力を発生させるように構成した場合は、下部ステータに配設した電磁石の吸引力との相互作用によって、ロータの軸方向の両側において互いに吸引するバイアス力により調芯機能が付与されつつ、磁気浮上制御がなされ、軸振れが少なく安定した回転が可能となる。
【0023】
さらにまた、前記いずれかに記載のアキシャル磁気浮上回転モータにおけるロータにターボポンプのインペラを設置し、ターボポンプを構成した場合は、前記アキシャル磁気浮上回転モータの特質をそのまま活用して、機械的な支持による回転の弊害を全て解消して高い耐久性と、軸振れのない安定した回転が可能なポンプ等の回転機器が実現される。
また、前記回転機器が連続流型人工心臓ポンプである場合は、機械的な支持部がないことによる、軽快な回転と耐久性、および血液の変性や血球破壊、淀みによる血液凝固等の問題の解消はもとより、軸振れのない安定した回転により、故障のない連続流型人工心臓ポンプがの実現でき、安定した血液の循環が確保される。
かくして、本発明によれば、磁気浮上制御と回転制御および傾き制御におけるラジアル方向とアキシャル方向の位置制御を有機的に連携して行うことにより、高速回転時にも軸振れ等の虞れのない安定した回転が維持される高精度のアキシャル型磁気浮上回転モータおよびこれを用いた回転機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態を示す図で、アキシャル磁気浮上回転モータの基本概念図である。
【図2】同、ラジアル制御部の概念図である。
【図3】同、磁気浮上および回転制御部の概念図である。
【図4】径方向支持方式磁気浮上回転モータの従来例を示す要部断面図である。
【図5】本発明の前提技術となった軸方向支持方式(アキシャル)磁気浮上回転モータの分解斜視図である。
【符号の説明】
1 上部ステータ
2 永久磁石
3 ラジアル制御用コイル(電磁石)
4 ロータ
5 傾き制御用コイル(電磁石)
6 磁気浮上回転制御用コイル(電磁石)
7 下部ステータ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4