TOP > 国内特許検索 > 乾式分離方法及び分離装置 > 明細書

明細書 :乾式分離方法及び分離装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3546235号 (P3546235)
公開番号 特開2004-000820 (P2004-000820A)
登録日 平成16年4月23日(2004.4.23)
発行日 平成16年7月21日(2004.7.21)
公開日 平成16年1月8日(2004.1.8)
発明の名称または考案の名称 乾式分離方法及び分離装置
国際特許分類 B07B  4/08      
FI B07B 4/08 ZABB
請求項の数または発明の数 14
全頁数 14
出願番号 特願2002-128007 (P2002-128007)
出願日 平成14年4月30日(2002.4.30)
審査請求日 平成14年4月30日(2002.4.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】394025980
【氏名又は名称】岡山大学長
発明者または考案者 【氏名】押谷 潤
【氏名】田中 善之助
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
審査官 【審査官】豊永 茂弘
参考文献・文献 特開2000-061398(JP,A)
特開平7-156148(JP,A)
特開昭62-186521(JP,A)
調査した分野 B07B 1/00-15/00
特許請求の範囲 【請求項1】
粉体を流動化させた固気流動層へ被分離対象物を投入し、固気流動層の見掛け密度を利用して、前記被分離対象物を成分毎に連続的に分離する乾式分離方法であって、u0/umf(但し、空塔速度をu0、粉体の最小流動化空塔速度をu mfとする。)値を制御しつつ、前記見掛け密度を変化させることによって、連続的に分離することを特徴とする乾式分離方法。
【請求項2】
前記見掛け密度の変化を、固気流動層に用いる粉体、粉体の粒径、及び粉体が複数ある場合には混合粉体の混合割合のうちいずれかを変化させることによって、連続的に分離する請求項1項に記載の乾式分離方法。
【請求項3】
粉体の流動化を、前記固気流動層の下部からの送風により行なう請求項1又は2項に記載の方法。
【請求項4】
通気性が5.0(cm/s)/cm以下の条件下で、送風を行なうことを特徴する請求項3記載の方法。
【請求項5】
空塔速度をu0として粉体の最小流動化空塔速度をu mfとした場合、u0/umf が1~4の範囲において前記送風を行なうことを特徴とする請求項1~4項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
複数の粉体を流動化させた場合に、当該複数の粉体が実質的に均一に混合するようなu0/umf値下で行なう請求項5記載の方法。
【請求項7】
固気流動層の見掛け密度を、分離しようとする被分離対象物中の各成分の最大密度と最小密度との間に設定することを特徴とする請求項1~6項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
粉体が、ユニビーズ、ガラスビーズ、ジルコンサンド、ポリスチレン粒子、スチールショット及びこれらと同程度の密度を有する粉体からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1~6項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
被分離対象物が、鉱石及び不純物を含む請求項1~8項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
鉱石が、珪石及びろう石である請求項9記載の方法。
【請求項11】
粉体の平均粒径が、100~500μmであることを特徴とする請求項1~10項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
粉体を流動化させる固気流動層を含んでおり、かつ、底面に多孔性分散板を設けた分離槽と、前記固気流動層内に少なくとも一部が入り込む複数の運搬手段と、を含む乾式分離装置であって、前記運搬手段の少なくとも1つが、前記固気流動層に浮揚した浮揚物を運搬し、分離槽外へ排出するものであり、
回転により前記固気流動層上面を傾斜させるとともに、傾斜により浮揚物を前記運搬手段へ誘導することを特徴とする乾式分離装置。
【請求項13】
前記運搬手段の少なくとも1つが、前記固気流動層に沈降した沈降物を運搬して、分離槽外へ排出する請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記運搬手段が、傾斜して配置された回転可能な収集手段である請求項12又は13記載の装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体を用いることなく被分離対象物の比重分離を行なう乾式分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の素材から構成される工業製品、鉱物資源、さらには、産業廃棄物等においては、種々の異なる成分を含んでいる。このような成分毎の分離は、鉱物資源の精製、資源のリサイクル等を行なう上で、必要である。
【0003】
現在までのところ、分離方法としては主として、湿式分離法及び乾式分離法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記乾式分離法はいずれも、装置コストが高く、効率も低いなどの問題がある。加えて、湿式分離法においては、廃液処理による環境汚染の問題や、水資源の少ないところでは利用できず、また、廃液処理や分離後の乾燥工程を必要とするなどの問題を抱えている。
【0005】
また、目的成分以外に、被分離対象物中に不純物を含んでいる場合が殆どである。しかし、当該不純物を除去しつつ、連続的に目的成分を回収する方法はこれまで知られていない。
【0006】
そこで、本発明は、連続的に被分離対象物を分離することが可能であり、かつ、低コストで、環境に優しい乾式分離方法及び装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、粉体を流動化させた固気流動層が密度や粘度などの液体に類似した性質を持つことに着目し、特に、流動化状態中の種々の密度を有する物体の挙動について検討した結果、本発明の乾式分離方法を見出すに至った。
【0008】
すなわち、本発明の乾式分離方法は、粉体を流動化させた固気流動層へ被分離対象物を投入し、固気流動層の見掛け密度を利用して、前記被分離対象物を成分毎に連続的に分離することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、前記見掛け密度を変化させることによって、連続的に分離することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、粉体の流動化を、前記固気流動層の下部からの送風により行なうことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、通気性が5.0(cm/s)/cm以下の条件下で送風を行なうことを特徴する。
【0012】
また、本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、空塔速度をu0として粉体の最小流動化空塔速度をu mfとした場合、u0/umf が1~4の間で前記送風を行なうことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、複数の粉体を流動化させた場合に、当該複数の粉体が実質的に均一に混合するようなu0/umf 値下で行なうことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、粉体が、ユニビーズ、ガラスビーズ、ジルコンサンド、ポリスチレン粒子、スチールショット及びこれらと同程度の密度を有する粉体からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、被分離対象物が、鉱石及び不純物を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、鉱石が、珪石及びろう石であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、粉体の平均粒径が、100~500μmであることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の乾式分離装置の好ましい実施態様において、粉体を流動化させる固気流動層を含んでおり、かつ、底面に多孔性分散板を設けた分離槽と、前記固気流動層内に少なくとも一部が入り込む複数の運搬手段と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の乾式分離装置の好ましい実施態様において、前記運搬手段の少なくとも1つが、前記固気流動層に沈降した沈降物を運搬して、分離槽外へ排出することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の乾式分離装置の好ましい実施態様において、前記運搬手段の少なくとも1つが、前記固気流動層に浮揚した浮揚物を運搬し、分離槽外へ排出することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の乾式分離装置の好ましい実施態様において、前記運搬手段が、傾斜して配置された回転可能な手段であることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の分離の原理について説明すると、以下のようになる。すなわち、粉体を流動化させ、液体系の比重選別と同様な粉体流動化媒体、すなわち固気流動層を利用して被分離対象物を主としてその密度によって、分離するものである。ここで、固気流動層とは、粉体を流動化させて液体に類似した性質を持つものを意図する。
【0023】
まず、固気流動層による分離の概念を以下に説明する。粉体に気体を送り浮遊流動化させた場合、粉体からなる流動層は、液体と同様の挙動を示す。従って、流動層の見掛け密度ρfbは下記の式で表される。
【0024】
ρfb=Wp /Vf =(1-εf )ρp
ここでWp は流動化媒体の粉体重量、Vf は流動化時の体積、εf は流動化時の空隙率、ρp は流動化媒体の粉体密度である。
【0025】
このような見掛け密度ρfbを有する流動層中に密度ρs の被分離対象物を混在させたとき、ρs <ρfbの被分離対象物成分は流動層上部に浮揚し、ρs >ρfbの当該被分離対象物成分は流動層下部に沈降する。そしてρs =ρfbの当該被分離対象物成分は流動層中間部を浮遊する。このことを利用して被分離対象物の比重選別を行なうのである。
【0026】
このようにして被分離対象物中の各成分を分離することが可能である。これによって、分離された各成分を容易にリサイクルすることも可能となる。
【0027】
このような分離原理に基づいて、本発明において分離可能な被分離対象物は特に限定されない。被分離対象物としては、各種鉱物資源、工業製品の他、シュレッダーダスト等を挙げる事ができる。各種鉱物資源としては、珪石、ろう石などの鉱石、炭鉱で採掘された原炭等が挙げられ、シュレッダーダストには、家庭用ごみ、自動車、家電製品等からのシュレッダーダスト等由来のものを挙げることができる。なお、このようにいずれか由来の被分離対象物であっても良いが、被分離対象物が汚れている場合は、洗浄した後に分離するのが好ましい。これは本発明の分離方法によれば、主として被分離対象物の成分をその比重差によって分離するため、被分離対象物が汚れていると比重が変動するおそれがあるからである。
【0028】
また、洗浄後に被分離対象物を乾燥させて分離することも必要である。リサイクル用に分離する場合、乾燥後は装置の大きさ等の関係から、被分離対象物をシュレッダー等で粉砕したものを分離に使用するのが好ましい。
【0029】
本発明において、成分毎に連続的に分離するには、例えば、固気流動層の見掛け密度を変化させるか、2つ以上からなる固気流動層を直列に配列すること等により行なう事ができる。
【0030】
固気流動層の見掛け密度を変化させるには、後述するu0/umfの値を変化させるか、固気流動層に用いる粉体を変化させるか、粉体の粒径を変化させること、混合粉体の混合割合を変化させること等により行なう事ができる。
【0031】
見掛け密度の変化は、被分離対象物の種類にも依存するので、u0/umfの値を上げれば、必ず見掛け密度が減少するとは限らない。一方、固気流動層に用いる粉体の密度が高いものを用いると、固気流動層の見掛け密度も一般に上昇する傾向がある。また、粉体の粒径を大きくすると、見掛け密度が大きくなるというという傾向がある。したがって、これらを考慮して、見掛け密度を変化させれば、連続的な各成分の分離が可能となる。
【0032】
また、本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、粉体の流動化を、前記固気流動層の下部からの送風により行なうことができる。分離することが可能な成分がより多くなるからである。但し、下部からの送風に限定される意図ではなく、たとえば、比較的比重が低い成分においては横風を送っても分離は可能である。明らかに比重が低い成分が存在する場合、横風でも飛散距離が大きいため高効率で分離可能である。したがって、まず、横風で比重が低い成分を除去した後、残存する被分離対象物の各成分を除去してもよい。
【0033】
被分離対象物中に目的成分以外に不純物として比重が低い成分が存在する場合も同様の手順で、不純物を除去することができる。
【0034】
そして、本発明においては、通気性が5.0(cm/s)/cm以下の条件下で、送風を行なうことができる。これは、通気性を制御することにより、浮沈の安定化を図る事ができるからである。被分離対象にもより、特に限定されないが、通気性を5.0(cm/s)/cm以下、好ましくは、3.0(cm/s)/cm以下、さらに好ましくは、1.0(cm/s)/cm以下とすることができる。
【0035】
本発明において、空塔速度をu0として粉体の最小流動化空塔速度をu mfとした場合、u0/umf が分離を制御する1つの要因となる。なぜなら、空塔速度を調節することにより、例えば、2つの非常に近接した密度差を有する成分を容易に除去できたり、逆に、密度差の大きい成分の分離には、空塔速度を上げることにより、短時間で分離することができるからである。
【0036】
一般に、空塔速度を最小流動化空塔速度以上で当該最小流動化空塔速度近傍に設定すると、固気流動層内に浮遊する被分離対象物の成分の密度分布は狭くなり、空塔速度をさらに上げていくと、固気流動層内に浮遊する被分離対象物の成分の密度分布は広がる。
【0037】
したがって、本発明においては、従来では分離が困難とされていた密度差の小さな2成分 (2物体)を分離することができるという利点を有する。このように微妙に空塔速度をコントロールするには、固気流動層下部の空気を分散させる部分に空気の通気性が低いものを用いることなどが挙げられる。
【0038】
大まかに成分を分離する場合は、基本的に、成分が浮揚、中層に位置、沈降の3種類に分けて分離可能である。しかしながら、最終的には、分離の困難な密度差の小さい成分同士の分離となる場合が多いので、中層に位置する成分の密度分布をできる限り小さくして成分が浮揚するか沈降するかのどちらかになるように上記u0/umfすれば、より分離精度及び回収率の高い分離を行なう事ができる。
【0039】
当該u0/umfの値としては、例えば、1~4の範囲とすることができる。かかる範囲であれば、安定した固気流動層を形成することができるからである。但し、かかる範囲に限定されるものではなく、密度差の大きい成分同士を迅速に分離する場合には、u0/umfの値が4以上であってもよい。
【0040】
単一の粉体を流動化させた場合において、密度差が小さい成分同士を分離するとき、使用する粉体にもよるが、u0/umfの値は、できるだけ1に近い値とするのが好ましい。u0/umfの値を、1~1.5、好ましくは、1~1.2、さらに好ましくは、1~1.1とすることができる。
【0041】
複数の粉体を流動化させた場合においては、当該複数の粉体が実質的に均一に混合するようなu0/umf 値下で行なうことが好ましい。これは、実質的に均一に混合していないと、固気流動層の上方ほど見掛け密度が小さくなり、下方ほど見かけ密度が大きくなるために、固気流動層内の中層に位置する成分の密度分布が大きくなる傾向があるからである。
【0042】
また、粉体の種類についても、分離する被分離対象物の種類により特に限定されないが、例えば、粉体を、ユニビーズ、ガラスビーズ、ジルコンサンド、ポリスチレン粒子、及びスチールショットからなる群から選択される少なくとも1種とすることができる。
【0043】
使用する粉体の平均粒径についても特に限定されないが、粉体の流動化を比較的小さな空塔速度で行うことと、付着性に起因する粉体の凝集を抑制するという観点から、100~500μmとするのが好ましい。
【0044】
以上のように分離された被分離対象物の各成分を、最終的に、浮揚させるか、沈降させることにより適当な方法によって、回収することができる。
【0045】
次に、本発明の乾式分離装置の一実施態様を添付図面に基づいて説明する。図1は、固気流動層内での物体の浮沈を示した図である。1は、流動層の見掛け密度より軽い物体である。2は、固気流動層である。3は、流動層の見掛け密度より重い物体である。4は、分離槽である。5は、気体分散板である。この図から明らかなように、粉体の流動化状態においては、固気流動層の見掛け密度によって、物体を分離できることが分かる。
【0046】
分離手順の一例を示すと、前記分離槽内に流動化媒体であるガラスビーズ、ユニビーズ、ジルコンサンド、ポリスチレン粒子などを仕込み、分離槽4の下面から気体分散板5を通して均一に分離槽4内に気体を送り込み粉体を流動化させ、流動層を形成する。そこで分離槽4の上面開口から被分離対象物を投入すると、使用する粉体よりも密度の大きい被分離対象物成分は沈降する。図2は、分離した被分離対象物成分を回収する装置の一例を示す。図2(A)は、概要を示し、図2(B)は、装置を横から見た図を示し、図2(C)は、装置を前から見た図を示す。
【0047】
図2(A)において、6は収集手段、7は運搬手段、8は保護板、9は誘導板、10は気体室である。図2において収集手段6は、矢印(図2(C)中のc)の方向へ可動しており、ゆっくりした速度で回転し、沈降してくる被分離対象物中の重い成分3を回収し、分離槽4外へ排出する。即ち、誘導板9が被分離対象物中の重い成分3を、前記収集手段6へ誘導し、それによって、収集手段中に設置されたバスケット11内へ重い成分3を収集する。バスケット11内の重い成分3は、収集手段の回転と共に分離槽上部へ移動し、上部において、重い成分3の自重によって排出口12へ移動する。
【0048】
一方、運搬手段7は矢印(図2(C)中のd)の方向へ稼動しており、ゆっくりした速度で回転し、浮揚する被分離対象物中の軽い成分1を回収し、分離槽4外へ排出する。この時、保護板8が被分離対象物中の軽い成分1を前記運搬手段へ誘導を容易にする。すなわち、この保護板は特に設置しなくとも軽い成分を回収することができるが、回収率を上げて効率的に回収するのに必要である。このように誘導された軽い成分1は、例えばコンベアーのような運搬手段7によって、分離槽4外へ排出される。
【0049】
なお、図2中の5は、気体分散板であり、金網等の多孔性材料より成るが、分離しようとする被分離対象物成分が通過しない程細かいメッシュにしておく必要がある。なお、流動層を形成するための気体は空気に限らず、他のものでもよい。
【0050】
保護板、誘導板は、それぞれ、軽い成分、重い成分を運搬手段、収集手段へ誘導しやすくするような作用を有していれば、図2の形態に限定されるものではなく適宜変更可能である。例えば、複数の多孔板を設けて、浮揚する成分と沈降する成分とが回収途中で混在しない様にすることもできる。また、保護板の代わりに、浮揚成分用にプロペラを設けてもよく、誘導板の代わりに、固気流動層の底にプロペラを設けて沈降成分を効率よく収集手段に誘導するようにしても良い。
【0051】
また、別の回収方法を一例として説明すれば、図3のようになる。図3は、例えば、分離したシュレッダーダスト成分を回収する装置の一例を示す。図3において、運搬手段7bは、矢印の方向へ可動しており、ゆっくりした速度で回転し、沈降してくるシュレッダーダスト中の重い成分を回収し、分離槽4外へ排出する。
【0052】
一方、運搬手段7aは矢印の方向へ稼動しており、ゆっくりした速度で回転し、浮揚するシュレッダーダスト中の軽い成分を回収し、分離槽4外へ排出する。
【0053】
なお、図2中の13は、多孔板であり、金網等の多孔性材料より成るが、分離しようとするシュレッダーダスト成分が通過しない程細かいメッシュにしておく必要がある。気体分散板5も同様である。なお、流動層を形成するための気体は空気に限らず、他のものでもよい。
【0054】
また、多孔板13は、浮揚する成分と沈降する成分とを別々のコンベアーなどの運搬手段に誘導することが可能であれば、図3のような構成に限定されることはなく、適宜変更可能である。例えば、複数の多孔板を設けて、浮揚する成分と沈降する成分とが回収途中で混在しない様にすることもできる。また、図3では、浮揚成分用にプロペラを設けているが、固気流動層の底にプロペラを設けて沈降成分を効率よくコンベアーに誘導することもできる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定して解釈される意図ではない。
【0056】
実施例1
まず、混合粉体の混合割合と見掛け密度の関係を調べるために、図4に示すような分離システムを用いた。分離層底部には、穴径0.2cm、ピッチ0.3cm、開孔率40.3%のステンレス多孔板2枚で布を挟んだ空気分散板を設けた。分離槽に層高が40cmとなるように粉体を仕込み、ブロワーにより空気を送り込んで流動化させ、モーターバルブの開閉により空塔速度を微調整した。分離槽は、大型の装置(横60cm×奥行き45cm×粉体高さ40cm)を用いたので、気体分散板下の気体室を6つに分割させて、装置の大型化に伴い断面積も大きくなったため各部分で精度良く空塔速度をコントロールした。
【0057】
なお、図4中、4は分離槽、15は気体、16はオリフィス流量計、17は圧力センサー、18はデータロガー、19はパーソナルコンピューター、20はブロワー、21はモーターバルブ、22は電気信号である。
【0058】
オリフィス流量計16の圧力及び流動層底部と大気間の圧力差を圧力センサー17により電圧値として読み取り、あらかじめ得られている電圧-空塔速度及び電圧-圧力損失の関係式を用いて空塔速度uと圧力損失ΔPを求めた。ここで、圧力損失ΔPとは、気体が粉体を流動化させる際に、気体が粉体に応じて受ける圧力をいう。例えば、下方から気体を送風すると、気体は粉体の重さに相当する圧力を受けるが、この場合に圧力を圧力損失ΔPという。ある空塔速度以上になると、粉体が流動化し始め、圧力損失が一定となる。言い換えると、圧力損失が一定の場合が粉体の流動化状態を示す。
【0059】
を徐々に減少させる過程でΔPを測定し、ΔPが一定値から減少し始めるuを最小流動化空塔速度umfとした。
【0060】
実際に、層内に様々なかさ体積割合V..で混合したスチールショット(S.S.)とガラスビーズ(G.B.)の2成分粉体を層高が約40cmとなるように仕込み流動化させ、空塔速度uと最小流動化空塔速度umfとの関係、u/umf=1.7として試験を行なった。また、通気性を、0.3(cm/s)/cmに設定した。なお、最小流動化空塔速度は2成分粉体が完全に混合しているuから、偏析が起こらないようにuを下げる過程で得られた空塔速度-圧力損失の関係より求めた。表1に用いた粉体の物性を示す。
【0061】
【表1】
JP0003546235B2_000002t.gif【0062】
図5に実験結果を示す。図5は、通気性の低い(0.3(cm/s)/cm)気体分散板での各密度球の層内での浮沈を示す。S.S.が少ない場合(0.35)では、より軽い球が沈み、多い場合(0.45)では、より重い球が沈む傾向を示した。浮沈境界の球密度が流動層の見掛け密度を表し、G.B.よりも重いS.S.の割合が大きくなるにつれて、見掛け密度も増加することを示した。なお、粉体混合割合について、VS.S.=0.35とは、S.S.:G.B.=35:65であることを、VS.S.=0.40とは、S.S.:G.B.=40:60であることを、VS.S.=0.45とは、S.S.:G.B.=45.55であることを示す。
【0063】
この結果、混合粉体中の重い粉体の割合が増加するにつれて見掛け密度が増加することが判明した。
【0064】
実施例2
次に、被分離対象物として、鉱石、特に珪石及びろう石を用いた分離試験を行なった。実施例1と同様の装置を用いて分離を行なった。珪石は2300~2550kg/m3にピークを持つ一方、ろう石は、2650~2750kg/mの狭い範囲に分布し、2700kg/m3にピークを持つ。球相当径は共に10~50mmの範囲にあり、珪石は30.5±8.6mm、ろう石は30.3±8.1mmであった。
【0065】
図6は、各条件での珪石とろう石の層内での浮沈を示す。図6Aは、条件が、通気性=8.13(cm/s)/cm、Vs.s.=0.40の場合であり、図6Bは、条件が、通気性=0.30(cm/s)/cm、Vs.s.=0.35の場合であり、図6Cは、条件が、通気性=0.30(cm/s)/cm、Vs.s.=0.40の場合であり、図6Dは、条件が、通気性=0.30(cm/s)/cm、Vs.s.=0.45の場合である。
【0066】
実験に用いた石は両石から平均密度を持つ石をピックアップした。各気体室の上に10回ずつ石を層内に投入し(10×6=計60回)、1分後の層内での高さを測定した。得られた結果から各高さに存在した石の割合をプロットした。通気性の高い気体分散板の場合は、各高さにほぼ同割合で存在し、安定した浮沈とはならなかった。一方、通気性の低い場合、VS.S.=0.35の場合は、流動層の見掛け密度が小さすぎて両石ともに沈降し、反対にVS.S.=0.45の場合は、見掛け密度が大きすぎて両石とも浮揚した。その中間のVS.S.=0.40の場合は、珪石が上、ろう石が下とほぼ完全に分離した。
【0067】
以上の結果、通気性を8.13(cm/s)/cmとしたものに比較して、浮沈がかなり安定し、より正確に分離可能である事が判明した。
【0068】
実施例3
次に、連続的に不純物を除去しつつ目的成分の分離を試みた。内径25.4cm、高さ52cm、厚さ0.5cmのアクリル円筒管で分離槽を作製した。槽底部には、穴径0.2cm、ピッチ0.3cm、開孔率40.3%のステンレス多孔板2枚で布を挟んだ空気分散板を設けた。通気性を、0.3(cm/s)/cmに調節し、層高が10cmとなるように粉体を仕込み、それ以外は、実施例1と同様の要領で試験を行なった。
【0069】
被分離対象となる目的成分として、珪石、ろう石を用いた。不純物として、木片、石炭、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)、鉄くずを用いた。
【0070】
また、粉体として、ガラスビーズ(粒径180-250μm)、及びスチールショット(鉄粉、粒径45-106μm)を用いた。
【0071】
まず、ガラスビーズのみを高さ10cm入れてu0/umf=1.1, 1.5, 2.0の3通りで流動化させた。実験手順および結果を以下に示す。ガラスビーズのみの場合で、6種類の物体を1個ずつ層内に投入し、1分後の層内での高さを3回測定した。
【0072】
結果を図7に示す。図7に示すように、u0/umf=1.1, 1.5の場合では木片・石炭・エンプラが浮揚、その他が沈降した。u0/umf=2.0では、風速の増加により流動層の見掛け密度が小さくなるのでエンプラも沈降した。以上の結果から、u0/umf=1.1, 1.5の場合に、6種類の物体から木片・石炭・エンプラを分離可能である事が分かった。
【0073】
実際に、図2の分離装置を用いて、不純物の木片、石炭、エンプラを、u0/umfの値を変化させる事により、連続的に分離除去した。なお、沈降物の珪石、ろう石、鉄くずについても、図2の分離装置を用いて、分離槽から一旦除去した。
【0074】
次に、スチールショットのみを高さ10cm入れてu0/umf=1.1, 1.5, 2.0の3通りで流動化させて、更なる不純物である鉄くずの除去を試みた。
【0075】
沈降した珪石・ろう石・鉄くずを流動層内に投入し、1分後の層内での高さを3回測定した。
【0076】
結果を図8に示す。図8に示すように、いずれのu0/umfにおいても鉄くずのみが沈降した。沈降した鉄くずを分離装置によって、分離回収した。浮揚した珪石とろう石も同様の要領で回収し、次の分離槽へ誘導した。
【0077】
最終的に、珪石とろう石の分離を試みた。ガラスビーズとスチールショットの混合粉体を使用して、浮揚した珪石とろう石を層内に投入し、1分後の層内での高さを3回測定した。具体的に、ガラスビーズとスチールショットを体積混合割合60:40で混合したものを高さ10cm入れてu0/umf=1.1, 2.0, 3.0の3通りで流動化流動化させた。
【0078】
結果を、図9に示す。図9に示すように、u0/umf=3.0の場合に珪石が浮揚し、ろう石が沈降した。その他のu0/umfで同様の結果とならなかった理由は、u0/umfが小さい場合は、ガラスビーズとスチールショットがうまく混ざらなかったり、流動化が穏やか過ぎるなどの要因が考えられる。
【0079】
同様に、図2に示す装置によって、浮揚した珪石と、沈降したろう石を回収した。
【0080】
以上により3種類の流動層を連続的に用いることで、上記の6種類の物体から不純物と見なせる木片・石炭・エンプラ・鉄くずを除去し、その後、珪石とろう石を分離する事ができた。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、装置コストが安価で、効率が高く、廃液処理や分離後の乾燥工程が不用であって、環境への影響もほとんどないという有利な効果を奏する。
【0082】
また、本発明によれば、いわゆる乾式分離であるため、水資源の少ないところでも利用することができる。
【0083】
この発明の装置によれば、ロータを分離槽内で回転させ、沈降した粉体を掻き上げて排出するようにできるので、簡単な機構で連続分離選別を自動的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被分離対象を分離する装置の一実施態様における概略図を示す。
【図2】被分離対象の成分を回収する一実施態様における概略図を示す。
【図3】被分離対象の成分を回収する一実施態様における概略図を示す。
【図4】本発明の一実施態様における分離システムの概要を示す。
【図5】種々のVs.s.の値における物体の密度分布を示す。
【図6】通気性を変化させた場合の珪石とろう石の浮揚及び沈降の様子を示す。
【図7】各分離対象物の流動層内での高さを示す。
【図8】各分離対象物の流動層内での高さを示す。
【図9】珪石とろう石の流動層内での高さを示す。
【符号の説明】
1 流動層の見掛け密度より軽い物体
2 固気流動層
3 流動層の見掛け密度より重い物体
4 分離槽
5 気体分散板
6 収集手段
7、7a、7b 運搬手段
8 保護板
9 誘導板
10 気体室
11 バスケット
12 排出口
13 多孔板
14 プロぺラ
15 気体
16 オリフィス流量計
17 圧力センサー
18 データロガー
19 パーソナルコンピューター
20 ブロワー
21 モーターバルブ
22 電気信号
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8