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明細書 :カンプトテシン生産植物の育成方法及びカンプトテシンの生産方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3870234号 (P3870234)
公開番号 特開2004-065030 (P2004-065030A)
登録日 平成18年10月27日(2006.10.27)
発行日 平成19年1月17日(2007.1.17)
公開日 平成16年3月4日(2004.3.4)
発明の名称または考案の名称 カンプトテシン生産植物の育成方法及びカンプトテシンの生産方法
国際特許分類 A01H   1/00        (2006.01)
C07D 491/22        (2006.01)
A61K  31/4745      (2006.01)
FI A01H 1/00 Z
C07D 491/22
A61K 31/4745
請求項の数または発明の数 6
全頁数 8
出願番号 特願2002-225617 (P2002-225617)
出願日 平成14年8月2日(2002.8.2)
審査請求日 平成14年8月2日(2002.8.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】須藤 浩
【氏名】山崎 真巳
【氏名】相見 則郎
【氏名】斉藤 和季
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】中村 正展
参考文献・文献 特開平03-258727(JP,A)
Lloydia,1976年,Vol. 39,261-262
Tetrahedron Lett.,1997年,Vol. 38,8997-9000
Biotechnol. Lett.,2002年 3月,Vol. 24 No. 5,359-363
Tetrahedron Lett.,1985年,Vol. 26,5299-5302
Plant Cell Rep.,2001年,Vol. 20,267-271
調査した分野 A01H 1/00-17/00
C07D491/22
A61K 31/47-31/535
JSTPlus(JDream2)
BIOSIS/AGRICOLA/WPI(DIALOG)
医学・薬学予稿集全文データベース
特許請求の範囲 【請求項1】
チャボイナモリ(Ophiorrhiza pumila)とリュウキュウイナモリ(Ophiorrhiza kuroiwai)を人工交配し、
カンプトテシンの成分含有量が高く、生育の旺盛な雑種個体を選抜する、
ことを特徴とする、親植物であるチャボイナモリよりもカンプトテシンの高い生産性を有する、カンプトテシン生産植物の育成方法。
【請求項2】
チャボイナモリ(Ophiorrhiza pumila)とリュウキュウイナモリ(Ophiorrhiza kuroiwai)を人工交配し、
カンプトテシン、チャボサイド(10-グルコピラノシルオキシ-9-メトキシカンプトテシン)及び/又は9-メトキシカンプトテシンの成分含有量が高く、生育の旺盛な雑種個体を選抜し、
親植物であるチャボイナモリよりもカンプトテシン、チャボサイド(10-グルコピラノシルオキシ-9-メトキシカンプトテシン)及び/又は9-メトキシカンプトテシンの高い生産性を有する、得られた雑種個体を増殖、栽培し、
生長した植物から抽出することを特徴とする、カンプトテシン、チャボサイド(10-グルコピラノシルオキシ-9-メトキシカンプトテシン)及び/又は9-メトキシカンプトテシンの生産方法。
【請求項3】
チャボイナモリ(Ophiorrhiza pumila)とリュウキュウイナモリ(Ophiorrhiza kuroiwai)を人工交配することにより得られた雑種植物の中から、カンプトテシン、チャボサイド(10-グルコピラノシルオキシ-9-メトキシカンプトテシン)及び/又は9-メトキシカンプトテシンの成分含量が高く、生育の旺盛な雑種個体を選別し、増殖、栽培し、
生長した、親植物であるチャボイナモリよりもカンプトテシン、チャボサイド(10-グルコピラノシルオキシ-9-メトキシカンプトテシン)及び/又は9-メトキシカンプトテシンの高い生産性を有する植物から抽出することを特徴とする、カンプトテシン、チャボサイド(10-グルコピラノシルオキシ-9-メトキシカンプトテシン)及び/又は9-メトキシカンプトテシンの生産方法。
【請求項4】
チャボイナモリ(Ophiorrhiza pumila)とリュウキュウイナモリ(Ophiorrhiza kuroiwai)を人工交配することにより得られた、カンプトテシン、チャボサイド(10-グルコピラノシルオキシ-9-メトキシカンプトテシン)及び/又は9-メトキシカンプトテシンの成分含量が高く、増殖の旺盛な雑種個体を無菌培養し、
得られた、親植物であるチャボイナモリよりもカンプトテシン、チャボサイド(10-グルコピラノシルオキシ-9-メトキシカンプトテシン)及び/又は9-メトキシカンプトテシンの高い生産性を有する培養細胞から抽出することを特徴とする、カンプトテシン、チャボサイド(10-グルコピラノシルオキシ-9-メトキシカンプトテシン)及び/又は9-メトキシカンプトテシンの生産方法。
【請求項5】
サイトカイニンを添加した培地で培養する請求項4に記載の生産方法。
【請求項6】
人工交配することにより得られた雑種個体の中からカンプトテシン、チャボサイド(10-グルコピラノシルオキシ-9-メトキシカンプトテシン)及び/又は9-メトキシカンプトテシンの成分含量の高い個体を選別し、無菌培養する請求項4又は5に記載の生産方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗癌剤カンプトテシン誘導体の原料であるカンプトテシンとその類縁体を効率的に生産するための材料植物の育成方法、及びこの植物を用いたカンプトテシンとその類縁体の生産方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カンプトテシンは、制癌剤、抗ウイルス剤等の医薬品原料として有用な化合物で、インドールアルカロイドを経て生合成されるキノリンアルカロイドの一種である。
カンプトテシンの製造法としては、圃場で栽培したキジュまたはクサミズキを収穫し、抽出、精製する方法が一般的であるが、キジュ、クサミズキは木本植物であり、急速な繁殖が難しく、また収穫までに長期間の年限を要するという問題点を有する。
また、有機合成による方法も提案されているが、多段階の反応を要するため収率が低く、実用化には至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、カンプトテシン等の成分含有量が高く、生育が旺盛で、栽培が容易であって、且つ生産性が高いカンプトテシン生産植物の育成方法と、この植物を用いたカンプトテシンとその類縁体の生産方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、チャボイナモリ(Ophiorrhiza pumila)とリュウキュウイナモリ(Ophiorrhiza kuroiwai)を人工交配することを特徴とする、カンプトテシン生産植物の育成方法に関する。
【0005】
また、本発明は、チャボイナモリ(Ophiorrhiza pumila)とリュウキュウイナモリ(Ophiorrhiza kuroiwai)を人工交配することにより得られた雑種植物を増殖、栽培し、生長した植物から抽出することを特徴とする、カンプトテシン及び/又はその類縁体の生産方法に関する。
【0006】
更に、本発明は、チャボイナモリ(Ophiorrhiza pumila)とリュウキュウイナモリ(Ophiorrhiza kuroiwai)を人工交配することにより得られた雑種植物を無菌培養し、その培養細胞から抽出することを特徴とする、カンプトテシン及び/又はその類縁体の生産方法に関する。
【0007】
即ち、本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究の途上、Ophiorrhiza 属植物に着目した。即ち、Ophiorrhiza 属植物は約150種が熱帯及び亜熱帯アジアを中心に分布し、種々のインドールアルカロイドを含有することから、材料植物として適当と考えられた。そこで、我が国に自生するOphiorrhiza pumila、Ophiorrhiza kuroiwai、Ophiorrhiza japonica の3種及びその変種を収集し、RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)分析による分子生物学的系統解析及び成分分析を行ったところ、日本産 Ophiorrhiza 属植物はO.pumila 及びO.kuroiwai グループと、O.japonica 系3種(品種)グループの2つのクラスターを形成し、カンプトテシンの有無と一致した。このことは、カンプトテシン生合成系が共通の祖先から進化したことを示唆すると考えられた(図1)。
一方、自生地調査(石垣島)の結果、形態的にO.kuroiwai に酷似した複数の不稔性個体が発見された。HPLC分析、フローサイト分析、RAPD分析の結果、この不稔性個体はO.kuroiwai とO.pumila の自然交雑種(O.xkuroiwai と仮称する。なお、O.kuroiwai は東京都立大・牧野標本館に収蔵されている正基準標本に与えられた学名であるが、本発明者らの研究により、この標本植物個体も不稔性、即ち雑種個体であることが明らかになった。従って、現時点で稔性個体を示す学名が無い。このため、本明細書中では、不稔性個体をO.xkuroiwai とする。)と考えられた。この個体は、O.pumila に比較して大型で、O.kuroiwai よりもカンプトテシン含有率が高いことから、新規なカンプトテシン生産資源として期待出来るのではないかと考えられた。
本発明者らは、上記知見に基づき更に研究を重ねた結果、形態的に全く異なる2種の植物、チャボイナモリとリュウキュウイナモリの雑種を育成することが可能であることを見出し、栽培が困難であるがカンプトテシン含量が高い植物であるチャボイナモリと、栽培が容易であるがカンプトテシン含量が低い植物であるリュウキュウイナモリを人工交配し、得られた雑種個体の中から成分含量が高い個体を選抜し、増殖、栽培して、カンプトテシンとその類縁体を抽出した。
また、別に、人工交配により得られた雑種植物を無菌培養し、その培養細胞からカンプトテシンとその類縁体を抽出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係るカンプトテシン生産植物の育成方法は、O.kuroiwai を母本にして、これにO.pumilaの花粉を人工授粉することにより、或いは、O.pumila を母本にして、これにO.kuroiwaiの花粉を人工授粉することにより、人工種間雑種の育成が行われる。
即ち、上記2種の植物を人工気象室内で栽培し、母本となる個体の開花前日の蕾から開葯前の雄蕊を花冠ごと除去(除雄)する。除雄後の蕾は1日放置した後、花粉種より採取した花粉を用いて人工交配する。交配から90日後に採種し、適当な培地、例えばバーミキュライト培地に播種すると、高い発芽率(約90%)で発芽する。このようにして得られた人工雑種個体は、自生地において観察された不稔性個体同様、リュウキュウイナモリと区別がつきにくい外部形態を有している。
【0009】
上で得られた雑種個体は不稔となり、通常行われる種子繁殖が不可能であるため、栄養繁殖が必要となる。「挿し木」でも繁殖可能であるが、より安定で効率的な繁殖のためには、組織培養による増殖が望ましい。組織培養による増殖は、例えば次のように行う。
常法により無菌化した雑種植物の頂芽及び腋芽を1/2濃度のMS固形培地(ショ糖濃度1%)に置床し、25℃、4000luxの照明下で培養する。継代及び増殖は、伸長した茎を節毎に切り分け、同一組成の新しい培地に置床することにより行う。このとき、より効率的な増殖を行うために、培地にベンジルアデニン、イソペンテニルアデニン、ゼアチン、ゼアチンリボシド等のサイトカイニンを適量(0.1μM~10μM)添加しても良い。
【0010】
このような雑種は、遺伝的に不安定なためか、カンプトテシン含量に変異があり、高含量の個体を選抜することにより、高い生産性が達成出来る。また、この雑種植物は粗放的栽培が可能であり、大規模な栽培が可能である。
チャボイナモリとリュウキュウイナモリの2種の植物の交配によって作出されたこの雑種植物は、5000Lux以下の低照度と高湿度下でのみ栽培が可能であるチャボイナモリに比較して、5000Lux以上の照度と低湿度に耐え、チャボイナモリと同程度のカンプトテシン含有率(新鮮重量当り1×10-4%~1×10-3%、乾物重量比0.01%~0.1%)を示す。また、チャボイナモリが播種から6ヶ月で、草丈10cm前後にしか生長しないのに対し、雑種植物では草丈50cm以上に生育し、1個体当たりのカンプトテシン生産量が約50倍となる。
また、この雑種植物を用いることにより、現在カンプトテシン抽出材料として用いられているキジュ、クサミズキ等には含有されない、チャボサイド(10-グルコピラノシルオキシ-9-メトキシカンプトテシン)やキジュには含有されない、9-メトキシカンプトテシンのようなカンプトテシン類縁化合物を生産することが可能となった。
【0011】
雑種植物からのカンプトテシン等の抽出は、通常、収穫した植物の茎及び葉を風乾したものを乳鉢等で粉砕し、乾物重量10g当り、通常100~500mlの抽出溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)で、抽出を行う。抽出は多量の溶媒を用いて一回で行っても良いが、抽出溶媒を幾つかに分けて抽出を複数回行えば抽出効率が上がるのでより好ましい。抽出時の温度は、通常室温で充分であるが、必要に応じて加温する等は任意である。
また、上記以外の方法としては、収穫した植物の茎や葉を風乾する代りに凍結乾燥したものを抽出に供したり、或いは、乾燥せずに新鮮なままで抽出に供することも可能である。また、茎や葉から抽出する代りに、地下部を水洗して使用したり、或いは水耕栽培等により根を収穫し、抽出材料とすることも可能である。
【0012】
なお、雑種植物を材料に、カルス培養、毛状根培養等の組織培養によりカンプトテシン及びその類縁化合物を生産することも可能である。またこの時、培養液中に放出されたカンプトテシン及びその類縁化合物を回収することも可能である。
【0013】
【実施例】
以下、参考例、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら参考例、実施例により何ら限定されるものではない。
【0014】
参考例1 植物材料の分子生物学的系統分類
(1)植物材料
O.kuroiwai Makino(リュウキュウイナモリ、オキナワイナモリ、ヒロハイナモリ)は、草丈1mに達する亜低木で、琉球植物誌によれば沖縄本島、石垣島、西表島、与那国島、台湾(南部と紅頭嶼)及びフィリピンにかけて分布するとされる。
O.pumila Champ.(チャボイナモリ、ヤエヤマイナモリ)は、草丈5~15cmの多年生草本で、奄美大島、徳之島、沖縄本島、石垣島、西表島、屋久島、台湾、南中国に分布する。
O. japonica v. japonica Blume(サツマイナモリ、キダチイナモリソウ)は、草丈10~20cmの多年生草本で、本州では千葉県南部以西の暖地、四国、九州、徳之島、沖永良部島、沖縄本島、台湾、中国と幅広く分布している。
O.japonica f.tashiroi Ohwi(ナガバノシマイナモリ、ナガバイナモリ)は、基本種に比較して、葉が長く、長さ8~15cm、幅1~3cmの長楕円状倒披針形~線状倒披針形で、基本種の渓流型とされる。分布域は、石垣島、西表島及び台湾北部である。
O.japonica v.amamiana Hatsushima(アマミイナモリ)は奄美大島、沖縄本島に自生し、基本種に比べて草丈が低いとされる。実験に供した個体は、国立科学博物館筑波実験植物園より分与されたもので、沖縄本島国頭長尾橋付近で採集されたものである。
【0015】
(2)植物材料の分子生物学的系統分類
自生地より収集したサツマイナモリ属植物(Ophiorrhiza 属植物)の分子生物学的分類は、新鮮な葉から抽出した全ゲノムDNAを鋳型に、10merランダムプライマー用いたRAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)法により行った。17種類のランダムプライマーによって得られた約300本の電気泳動バンドからUPGMA法により遺伝的類似度を求め、樹形図を作成した。結果を図1に示す。
【0016】
RAPD分析の結果、Ophiorrhiza 属はO.pumila とO.kuroiwai からなるグループと、O.japonica 基本種及びその変種、品種からなるグループの、2つのグループに大別された。カンプトテシンを含有する2種が1つのクラスターを形成したことから、カンプトテシンの生合成経路が、同一の祖先種に由来すると考えられる。O.pumila とO.kuroiwai は、前者は多年生草本、後者は亜低木である他、形態的にも大きく異なるが、後述するとおり、これら2種の種間雑種(O. x kuroiwai と仮称)が存在することは、この2種の植物が、形態的な違い程には生殖的な種分化が進んでいないことを示すものと考えられる。
【0017】
実施例1 人工交配
石垣島で採集したO.kuroiwai を母本に、奄美大島産のO.pumila の花粉を人工授粉することにより、人工種間雑種の育成を試みた。
上記2種の植物を人工気象室内で栽培し、O.kuroiwai の開花前日の蕾より開葯前の雄蕊を花冠ごと除去(除雄)した。除雄後の蕾は1日放置した後O.pumilaより採取した花粉を用いて人工交配した。交配から90日後に採種し、バーミキュライト培地に播種したところ、高い発芽率(約90%)で発芽した。このようにして得られた人工雑種個体は、自生地において観察された不稔性個体同様、リュウキュウイナモリと区別がつきにくい外部形態を有していた。
【0018】
[雑種個体の成分分析]
得られた雑種個体の葉を材料にメタノール抽出し、逆相HPLC分析によりカンプトテシン含有量を測定したところ、新鮮重量あたり1×10-4%~1×10-3%と、カンプトテシン含有率に10倍の個体差がみられた。高含有率の個体を選抜し、25℃、5000lux(16時間明期、8時間暗期)で1年間栽培を継続したが、カンプトテシン含有率に変化は見られなかった。
一方、チャボイナモリの葉のカンプトテシン含有率は、新鮮重量あたり5×10-4%~1×10-3%と、2倍程度の個体差しかみられなかった。
【0019】
実施例2 雑種個体の増殖
組織培養による増殖を以下のようして行った。
常法により無菌化した雑種植物の頂芽及び腋芽を1/2濃度のMS固形培地(ショ糖濃度1%)に置床し、25℃、4000luxの照明下で培養した。継代及び増殖は、伸長した茎を節毎に切り分け、同一組成の新しい培地に置床することにより行った。この場合、より効率的な増殖を行うために、培地にベンジルアデニン等のサイトカイニンを適量(0.1μM~10μM)添加しても良い。
【0020】
実施例3 雑種個体の栽培とカンプトテシン生産
挿し木によって増殖したチャボイナモリ(対照区)及び雑種植物苗を鉢植えとして、6ヶ月間栽培した後、収穫し、新鮮重量及びカンプトテシン含有量を測定した。栽培面積は0.12mであった。
カンプトテシンの抽出は、収穫した植物の茎及び葉を風乾したものを乳鉢で粉砕し、乾物重量10g当り200mlのメタノールで行った。
(この抽出方法は一例であり、凍結乾燥や、新鮮なままでの抽出も可能である。また、地下部を水洗、或いは水耕栽培等により根を収穫し、抽出材料とすることも可能である。)
【0021】
[結果]
チャボイナモリ;新鮮重量295g、カンプトテシン含有量1.5mg
雑 種 植 物;新鮮重量520g、カンプトテシン含有量5.2mg
【0022】
チャボイナモリは、4000Lux、雑種植物は5000Luxの照明下で栽培した。チャボイナモリは、4000Lux以上の照度では葉が部分的に褐変枯死したが、雑種植物では10000Luxの照明下でも正常に生育した。
【0023】
[雑種植物の成分分析]
栽培した雑種植物の成分を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置(LC-MS)で分析したところ、カンプトテシン以外に、その類縁化合物であるチャボサイド(10-グルコピラノシルオキシ-9-メトキシカンプトテシン、含有率2×10-4%~2×10-3%)及び9-メトキシカンプトテシン(含有率2×10-5%~2×10-4%)が含有していることが判った。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、チャボイナモリ(Ophiorrhiza pumila)とリュウキュウイナモリ(Ophiorrhiza kuroiwai)を人工交配することにより、新規なカンプトテシン生産植物を育成する方法と、この方法によって得られた雑種植物を栽培又は組織培養して、カンプトテシンとその類縁体を生産する方法を提供するものであり、本発明によれば、以下の如き効果が得られる。
(i)カンプトテシン等の成分含有量が高く、生育の旺盛な雑種個体を選抜することにより、高い生産性が達成される。
(ii)従来から用いられているキジュ、クサミズキに含有されないカンプトテシン類縁化合物の生産がみられることから、現在医薬品として用いられているCPT-11のようなカンプトテシン誘導体の新規生産原料として大いに期待出来る。
(iii)雑種植物は栽培容易な草本植物で、また高密度栽培が可能であるため生産性が高く、また、短期間に多量の種子が得られるため、苗の供給も安定しており、更には、毛状根培養のような組織培養技術が確立しているため、自然条件に左右されない、より安定したカンプトテシンの生産が期待出来る。
(iv)低照度(10000Lux以下)での栽培が可能であるため、キジュ、クサミズキの栽培が困難な、例えば林床部や日陰地でのカンプトテシンとその類縁化合物の生産が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、RAPD法によるサツマイナモリ属植物の分子生物学的類縁関係を示す樹形図である。
図面
【図1】
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