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明細書 :電気自動車の駆動装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3720316号 (P3720316)
公開番号 特開2004-120821 (P2004-120821A)
登録日 平成17年9月16日(2005.9.16)
発行日 平成17年11月24日(2005.11.24)
公開日 平成16年4月15日(2004.4.15)
発明の名称または考案の名称 電気自動車の駆動装置
国際特許分類 B60L 11/18      
B60L  7/16      
B60L  9/18      
FI B60L 11/18 A
B60L 7/16
B60L 9/18 L
請求項の数または発明の数 6
全頁数 8
出願番号 特願2002-277030 (P2002-277030)
出願日 平成14年9月24日(2002.9.24)
審査請求日 平成14年9月24日(2002.9.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】清水 浩
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】長馬 望
参考文献・文献 特開平07-298418(JP,A)
特開平10-295004(JP,A)
調査した分野 B60L 11/00- 11/18
B60L 9/00- 9/32
B60L 15/00- 15/38
特許請求の範囲 【請求項1】
4輪以上の車輪を有する電気自動車において、
全ての車輪に駆動及び回生制動可能な駆動用モーターを装着し、走行状態に応じて、前記車輪の内の複数の車輪を駆動輪あるいは回生制動輪として選択するとともに、平坦路及び登坂路走行時には後輪又は後輪群を駆動輪として選択し、降坂時には前輪又は前輪群を駆動輪として選択することを特徴とする電気自動車の駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の電気自動車の駆動装置において、旋回時には半径方向外側の車輪を駆動輪として選択することを特徴とする電気自動車の駆動装置。
【請求項3】
請求項1記載の電気自動車の駆動装置において、制動時には全ての車輪を回生制動輪として選択することを特徴とする電気自動車の駆動装置。
【請求項4】
4輪以上の車輪を有する電気自動車の駆動装置において、全ての車輪に駆動及び回生制動可能な駆動用モーターを装着し、走行状態に応じて、前記車輪の内の複数の車輪を駆動輪あるいは回生制動輪として選択し、旋回時には半径方向外側の車輪を駆動輪として選択するとともに、半径方向内側の車輪を回生制動輪として選択することを特徴とする電気自動車の駆動装置。
【請求項5】
4輪以上の車輪を有する電気自動車の駆動装置において、全ての車輪に駆動及び回生制動可能な駆動用モーターを装着し、走行状態に応じて、前記車輪の内の複数の車輪を駆動輪あるいは回生制動輪として選択し、旋回時には半径方向外側の車輪を駆動輪として選択するとともに、駆動輪を選択する走行状態の判断情報としてサスペンションのストローク量を用いることを特徴とする電気自動車の駆動装置。
【請求項6】
請求項記載の電気自動車の駆動装置において、平坦路及び登坂路走行時には後輪又は後輪群を駆動輪として選択し、降坂時には前輪又は前輪群を駆動輪として選択することを特徴とする電気自動車の駆動装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動用モーターを装備した電気自動車に係り、特に電気自動車の走行状況に応じて駆動輪・回生制動輪を選択できるようにした駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の駆動装置としては、全ての車輪に駆動装置を備え、それぞれの車輪にかかる荷重に応じて駆動力を制御することが最も好ましい。すなわち、各車輪に加わる荷重に比例した駆動を行うことにより、タイヤと路面との摩擦力を最大に利用することができ、加速時のスピンを最小に抑えることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電気自動車の全輪駆動の場合、必要とされる駆動力は全ての車輪で分担するため各モーターの出力は比較的小さく、特に走行の大半を占める一般走行時にはモーターの出力は最大出力の数分の一となり、モーターを効率の悪い領域で使用することにならざるを得ないといった問題があった。
【0004】
本発明は、上記状況に鑑みて、道路の状況に応じて、電気自動車の駆動輪を的確に選択できる電気自動車の駆動装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕4輪以上の車輪を有する電気自動車において、全ての車輪に駆動及び回生制動可能な駆動用モーターを装着し、走行状態に応じて、前記車輪の内の複数の車輪を駆動輪あるいは回生制動輪として選択するとともに、平坦路及び登坂路走行時には後輪又は後輪群を駆動輪として選択し、降坂時には前輪又は前輪群を駆動輪として選択することを特徴とする。
【0006】
〕上記〔1〕記載の電気自動車の駆動装置において、旋回時には半径方向外側の車輪を駆動輪として選択することを特徴とする。
【0007】
〕上記〔1〕記載の電気自動車の駆動装置において、制動時には全ての車輪を回生制動輪として選択することを特徴とする。
【0008】
4輪以上の車輪を有する電気自動車の駆動装置において、全ての車輪に駆動及び回生制動可能な駆動用モーターを装着し、走行状態に応じて、前記車輪の内の複数の車輪を駆動輪あるいは回生制動輪として選択し、旋回時には半径方向外側の車輪を駆動輪として選択するとともに、半径方向内側の車輪を回生制動輪として選択することを特徴とする。
【0009】
4輪以上の車輪を有する電気自動車の駆動装置において、全ての車輪に駆動及び回生制動可能な駆動用モーターを装着し、走行状態に応じて、前記車輪の内の複数の車輪を駆動輪あるいは回生制動輪として選択し、旋回時には半径方向外側の車輪を駆動輪として選択するとともに、駆動輪を選択する走行状態の判断情報としてサスペンションのストローク量を用いることを特徴とする。
【0010】
〕請求項記載の電気自動車の駆動装置において、平坦路及び登坂路走行時には後輪又は後輪群を駆動輪として選択し、降坂時には前輪又は前輪群を駆動輪として選択することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の実施例を示す電気自動車の駆動システムの構成図、図2はその駆動機構の模式図である。
【0013】
図1において、1は右前輪、2は左前輪、3は右後輪、4は左後輪、5は右前輪駆動用モーター、6は左前輪駆動用モーター、7は右後輪駆動用モーター、8は左後輪駆動用モーター、9は右前輪駆動用モーター5に接続されるインバータ、10は左前輪駆動用モーター6に接続されるインバータ、11は右後輪駆動用モーター7に接続されるインバータ、12は左後輪駆動用モーター8に接続されるインバータ、13はインバータ9~12にそれぞれ接続される電池、14は右前輪ストロークセンサー、15は左前輪ストロークセンサー、16は右後輪ストロークセンサー、17は左後輪ストロークセンサー、18は操舵角センサー、19は前後減速度センサー、20は各センサー14~19からの情報を収集して各インバータ9~12を制御するコントローラである。
【0014】
図2において、21は各車輪、22は各車輪21に配置されるブレーキ機構、23はブレーキ機構22に連結されるモーター、24はアッパーアーム、25はローアーアーム、26は車体の一部(車体側)、27はローアーアーム25と車体の一部(車体側)26間に配置されるストロークセンサーである。
【0015】
次に、電気自動車の駆動用モーターの効率特性について説明する。
【0016】
図3は電気自動車の駆動用モーターの効率特性図である。
【0017】
図3から明らかなように、モーター、減速ギア、インバータを含めた電気自動車の総合効率は最大トルクの30~40%の領域で最も高く、トルクが低くなるほど効率は低下し、特に、低トルク域では急激に低下する。
【0018】
従って、モーターを効率の良い領域で使用するためには、極低トルク域での使用を避ける必要がある。
【0019】
そこで、本発明では、駆動用モーターを効率のよい領域で使用するために、車輪に加わる荷重状態に応じて、前輪駆動又は後輪駆動を選択し、駆動輪の数を1/2にする。すなわち、モーターの駆動トルクを2倍にすることにより、走行の大半を占める一般走行時においてもモータートルクを比較的高い値に保ち、モーターをより高い効率領域で使用することができるようにする。
【0020】
また、同時に2輪(あるいは半数輪)駆動の欠点である路面摩擦力の利用率低下を防止するため、前輪と後輪のうち車輪荷重の大きい側の車輪(又は車輪群)を駆動輪として選択するようにする。
【0021】
以下、その実施例を詳細に説明する。
【0022】
図4は電気自動車に印加される荷重を示す模式図である。
【0023】
図4に示すように、車両総重量をWt、前輪荷重をWf、後輪荷重をWr、タイヤと路面の摩擦係数をμとして後輪駆動の場合を考えると、最大駆動力はWr×μによって制限される。また、路面摩擦力の利用率はWr/Wtとなる。したがって、路面の摩擦力を有効に利用するためには、全車輪のうち車輪荷重の大きい車輪を選択することが望ましい。
【0024】
そこで、電気自動車の車輪荷重の検出について説明する。
【0025】
前・後輪荷重は常に一定ではなく、路面勾配、加速、減速によって変化する。その変化傾向を示すと表1のようになる。
【0026】
【表1】
JP0003720316B2_000002t.gif【0027】
上記車輪荷重変動の要因となる路面勾配あるいは加・減速を検知する手段としては、速度センサーなど種々のセンサーを用いる手段があるが、各車輪に加わる荷重および荷重変化を正確に検知するには、図2に示すように、各車輪のサスペンションの上下変化量を、ローアーアーム25と車体の一部(車体側)26間に配置されるストロークセンサー27で検出することが最も好ましい。サスペンションスプリングの撓み量は車輪荷重に比例して変化することから、ストロークセンサー27でサスペンションの上下変化を測定することにより、車輪荷重を正確に検出することができる。具体的には、図1に示されている、右前輪ストロークセンサー14、左前輪ストロークセンサー15、右後輪ストロークセンサー16、左後輪ストロークセンサー17によって各サスペンションの上下変化を測定することにより、各車輪荷重を正確に検出し、その検出値をコントローラ20に送り、コントローラ20からの出力信号により、インバータ9~12の制御を行い、各車輪1~4に装着されている駆動用モーター5~8の適切な駆動を行わせることができる。
【0028】
したがって、その各車輪荷重に応じたモーターの効率の高い駆動を行わせることができる。
【0029】
次に、電気自動車の回生ブレーキについて説明する。
【0030】
回生ブレーキは、駆動用モーター5~8を発電機として作用させ、発電した電気を電池13に送り込むことによって電池13を負荷とすることによりブレーキをかけるものである。
【0031】
従って、回生ブレーキが十分に働くか否かは、電池13の放電量によって異なり、電池13が満充電状態に近い時には、電池13はそれ以上の電気を蓄えることが難しいため、十分な回生ブレーキを働かすことができない。
【0032】
電池13が2系統に分割されている場合、それぞれの系統によって電池13の放電状態が異なるため、全ての駆動輪に回生ブレーキを作用させ、それぞれの充電状態に応じてエネルギーを回収することが、エネルギー回収上最も好ましい。
【0033】
そこで、本発明によれば、路面勾配に応じて前輪又は後輪の何れかを駆動輪として選択できるようにしているので、路面摩擦を有効に利用することができ、かつモーターを効率の良い中トルク領域で使用することができる。
【0034】
回生制動力の大きさは電源電池の放電深度によって大幅に制限されるという問題があるが、本発明では、全ての車輪を回生制動輪とすることにより、より効率的にエネルギーを回収することができる。
【0035】
また、本発明は、操舵角センサー18からの出力に基づいて、旋回時に半径方向外側の車輪を駆動輪とし、内側の車輪を回生制動輪として選択することにより、旋回をスムーズに行うことができる。
【0036】
さらに、旋回時に半径方向内側の車輪に回生制動を加えることで、より急激な旋回も可能になる。
【0037】
このように、4輪以上の車輪を有する電気自動車において、その全ての車輪に駆動及び回生制動可能な駆動用モーターを設けると共に、走行状態に応じて、それらの車輪の内から駆動輪及び回生制動輪を選択できるようにした。すなわち、
(1)路面勾配に応じて駆動輪を前輪又は後輪のいずれかに選択する。
(2)旋回時、外側車輪を駆動輪に、内側車輪を回生制動輪に選択する。つまり、路面勾配あるいは旋回方向に応じて駆動輪又は回生制動輪を選択するシステムであり、路面摩擦の利用効率及び走行安定性の点で利点を有する。
【0038】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0039】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0040】
(A)登坂路又は平坦路走行時には、路面勾配又は加速度により荷重の大きくなる後輪を駆動輪として選択することにより、また、降坂時には路面勾配により荷重の大きくなる前輪を選択することにより、効率のよい領域でモーターを使用でき、十分な駆動力を得ることができる。
【0041】
(B)また、全ての車輪を回生制動輪として利用することにより、エネルギーを効率的に回収することができる。
【0042】
(C)また、旋回時半径方向外側の車輪を駆動輪とすることにより、旋回をスムーズに行うことができ、更に内側車輪に回生制動を加えれば、より小さい回転半径で旋回が可能になる。
【0043】
(D)更に、サスペンションのストローク量を用いれば、路面勾配を容易に検出することができる。また、旋回の方向・大きさ等の旋回情報は、ステアリングの操舵角量を用いれば容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す電気自動車の駆動システムの構成図である。
【図2】 本発明の実施例を示す電気自動車の駆動機構の模式図である。
【図3】 電気自動車の駆動用モーターの効率特性図である。
【図4】 電気自動車に印加される荷重を示す模式図である。
【符号の説明】
1 右前輪
2 左前輪
3 右後輪
4 左後輪
5 右前輪駆動用モーター
6 左前輪駆動用モーター
7 右後輪駆動用モーター
8 左後輪駆動用モーター
9 右前輪駆動用モーターに接続されるインバータ
10 左前輪駆動用モーターに接続されるインバータ
11 右後輪駆動用モーターに接続されるインバータ
12 左後輪駆動用モーターに接続されるインバータ
13 インバータにそれぞれ接続される電池
14 右前輪ストロークセンサー
15 左前輪ストロークセンサー
16 右後輪ストロークセンサー
17 左後輪ストロークセンサー
18 操舵角センサー
19 前後減速度センサー
20 コントローラ
21 各車輪
22 各車輪に配置されるブレーキ機構
23 ブレーキ機構に連結されるモーター
24 アッパーアーム
25 ローアーアーム
26 車体の一部(車体側)
27 ストロークセンサー
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3