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明細書 :不揮発性固体磁気メモリ、不揮発性固体磁気メモリの保磁力制御方法、及び不揮発性固体磁気メモリの記録方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3975268号 (P3975268)
公開番号 特開2004-055866 (P2004-055866A)
登録日 平成19年6月29日(2007.6.29)
発行日 平成19年9月12日(2007.9.12)
公開日 平成16年2月19日(2004.2.19)
発明の名称または考案の名称 不揮発性固体磁気メモリ、不揮発性固体磁気メモリの保磁力制御方法、及び不揮発性固体磁気メモリの記録方法
国際特許分類 H01L  21/8246      (2006.01)
H01L  27/105       (2006.01)
H01L  29/82        (2006.01)
FI H01L 27/10 447
H01L 29/82 Z
請求項の数または発明の数 10
全頁数 7
出願番号 特願2002-212000 (P2002-212000)
出願日 平成14年7月22日(2002.7.22)
審査請求日 平成14年7月22日(2002.7.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
発明者または考案者 【氏名】大野 英男
【氏名】松倉 文▲礼▼
【氏名】千葉 大地
個別代理人の代理人 【識別番号】100147485、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 憲司
【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100114292、【弁理士】、【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100107227、【弁理士】、【氏名又は名称】藤谷 史朗
【識別番号】100134005、【弁理士】、【氏名又は名称】澤田 達也
審査官 【審査官】川村 裕二
参考文献・文献 特開平11-345485(JP,A)
特開2003-174174(JP,A)
特開2004-039017(JP,A)
H.Ohno et. al.,Mganetotransport Properties of p-Type(in,Mn)As Diluted Magnetic III-V Semiconductors,PHYSICAL REVIEW LETTERS,米国,American Physical Society,1992年 4月27日,Volume68. Number17,P.2664-2667
調査した分野 H01L 27/105
H01L 29/82
H01L 43/08
G01R 33/09
G11B 5/39
特許請求の範囲 【請求項1】
基板と、
多層膜構造のバッファ層と、
キャリア誘起強磁性体によって構成した記録層と、
絶縁層と、
金属電極層と、
を順次に具えることを特徴とする、不揮発性固体磁気メモリ。
【請求項2】
前記キャリア誘起強磁性体は、キャリア誘起強磁性半導体であることを特徴とする、請求項1に記載の不揮発性固体磁気メモリ。
【請求項3】
前記キャリア誘起強磁性半導体は、(Ga,Mn)As及び(In,Mn)Asの少なくとも一つであることを特徴とする、請求項2に記載の不揮発性固体磁気メモリ。
【請求項4】
前記記録層の厚さが0.3nm~200nmであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一に記載の不揮発性固体磁気メモリ。
【請求項5】
前記基板はGaAs基板であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一に記載の不揮発性固体磁気メモリ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一に記載の不揮発性固体磁気メモリの保磁力制御方法であって、前記記録層に対して、前記記録層中の正孔濃度が減少するように前記金属電極層を介して所定の電界を印加することを特徴とする、不揮発性固体磁気メモリの保磁力制御方法。
【請求項7】
前記電界は、0.01MV/cm~10MV/cmであることを特徴とする、請求項記載の不揮発性固体磁気メモリの保磁力制御方法。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一に記載の不揮発性固体磁気メモリの記録方法であって、前記記録層に対し、所定の外部磁場を印加した状態において前記記録層中の正孔濃度が減少するように前記金属電極層を介して所定の電界を印加することにより、前記記録層に対して記録動作を実行するようにしたことを特徴とする、不揮発性固体磁気メモリの記録方法。
【請求項9】
前記電界は、0.01MV/cm~10MV/cmであることを特徴とする、請求項記載の不揮発性固体磁気メモリの記録方法。
【請求項10】
前記外部磁場の大きさが0.1mT~100mTであることを特徴とする、請求項8又は9に記載の不揮発性固体磁気メモリの記録方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不揮発性固体磁気メモリ、不揮発性固体磁気メモリの保磁力制御方法、及び不揮発性固体磁気メモリの記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
強磁性体を記録層として用いた不揮発性固体磁気メモリにおいては、前記記録層に記録を行なうに際しては所定の外部磁場を印加しなければならない。一方で、前記不揮発性固体磁気メモリの集積密度の向上が望まれており、この目的のため前記不揮発性固体磁気メモリの、前記記録層などの構成要素の微細化が不可欠となっている。
【0003】
前記記録層を微細化すると、前記記録層を構成する強磁性体の反磁場が大きくなるため、前記不揮発性固体磁気メモリへの記録を行なうに際しては、前記反磁場に抗して前記記録層の磁化を反転しうる大きな外部磁場を印加しなければならない。このため、前記不揮発性固体磁気メモリに対する消費電力が増大してしまい、省電力で実用に供することのできる不揮発性固体磁気メモリを提供することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、省電力で実用に共することのできる不揮発性固体磁気メモリを提供することを目的とする。
【0005】
上記目的を達成すべく、本発明は、基板と、多層膜構造のバッファ層と、キャリア誘起強磁性体によって構成した記録層と、絶縁層と、金属電極層とを順次に具えることを特徴とする、不揮発性固体磁気メモリに関する。
【0006】
また、本発明は、本発明の不揮発性固体磁気メモリの保磁力制御方法であって、前記記録層に対して、前記記録層中の正孔濃度が減少するように前記金属電極層を介して所定の電界を印加することを特徴とする、不揮発性固体磁気メモリの保磁力制御方法に関する。
【0007】
さらに、本発明は、本発明の不揮発性固体磁気メモリの記録方法であって、前記記録層に対し、所定の外部磁場を印加した状態において前記記録層中の正孔濃度が減少するように前記金属電極層を介して所定の電界を印加することにより、前記記録層に対して記録動作を実行するようにしたことを特徴とする、不揮発性固体磁気メモリの記録方法に関する。
【0008】
キャリア誘起強磁性体は、光や電界によるキャリア数及びキャリアスピン偏極度の制御により磁性を制御できるという新たな機能を有する強磁性半導体である。そこで、本発明者らは、このようなキャリア誘起強磁性体を不揮発性固体磁性メモリの記録層として用いることを想到した。そして、前記記録層に対して、内部の正孔濃度が減少するように所定の電界を印加することによって、前記記録層の保磁力を制御でき、前記電界の大きさを調節することによって前記保磁力を低減することができるために、比較的小さい外部磁場によっても前記記録層中の磁化を反転させることができ、記録動作を実行できることを見出したものである。
【0009】
したがって、本発明によれば、省電力で実用に共することのできる不揮発性固体磁気メモリを提供することができる。
【0010】
なお、本発明の好ましい態様においては、前記不揮発性固体磁気メモリはキャリア濃度が制御できるような構成を呈していることが好ましい。具体的には、前記記録層は所定の基板の上方に形成されるとともに、前記記録層の上方には絶縁層を介して金属電極層が形成され、前記不揮発性固体磁気メモリが電界効果型のトランジスタ構造を呈する。この場合、前記記録層はチャネル層として機能し、前記金属電極層はゲート電極として機能する。したがって、保磁力を低減させるための前記電界を前記金属電極層を介して印加することができ、前記不揮発性固体磁気メモリに対する書き込み動作をより簡易に行なうことができるようになる。
【0011】
本発明のその他の特徴及び詳細については、以下の発明の実施の形態において詳述する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の不揮発性固体磁気メモリの一例を示す構成図である。図1に示す不揮発性固体磁気メモリ10は、所定の基板1上において、バッファ層2と、キャリア誘起強磁性体からなる記録層3と、絶縁層4を介して金属電極層5とを具え、いわゆる電界効果型トランジスタ構造を呈している。
【0013】
記録層3を構成する前記キャリア誘起強磁性体としては、キャリア強磁性半導体から構成することが好ましい。前記キャリア強磁性半導体としては(Ga,Mn)As及び(In,Mn)Asの少なくとも一つを用いることができる。これらの材料は優れた強磁性半導体であって、以下に示すような本発明の記録方法を用いて書き込み動作を良好に行なうことができるとともに、記録した情報を安定的に長期に亘って保持することができる。
【0014】
また、記録層3の厚さは0.3nm~200nmであることが好ましく、さらには3nm~10nmであることが好ましい。これによって、不揮発性固体磁気メモリの微細化の要請を満足するとともに、上述した記録した情報の安定的な長期保持、並びに書き込み動作を良好な状態の下に行なうことができる。
【0015】
なお、記録層3を上述したキャリア誘起強磁性半導体から構成した場合、基板1はGaAs単結晶から構成することが好ましい。これによって、記録層3を基板1上に良好な結晶性の下にエピタキシャル成長させることができ、優れた特性の不揮発性固体磁気メモリ10を簡易に得ることができる。
【0016】
図1においては、バッファ層2は3つの半導体層2A~2Cが積層されてなる多層膜構造として構成されている。この場合、基板1と記録層3との格子定数差をより効果的に補完することができ、記録層3のエピタキシャル成長をより促進することができる。したがって、不揮発性固体磁気メモリ10の特性をより向上させることができるようになる。
【0017】
このようなバッファ層の多層膜化は、例えば記録層3を(In,Mn)Asから構成し、基板1を(001)GaAs単結晶などから構成した場合に、より効果を発揮する。すなわち、(In,Mn)Asと(001)GaAs単結晶との格子定数差は約7%にも達するため、バッファ層2を上述した多層膜構造とすることにより、前記格子定数差を補完して記録層3のエピタキシャル成長を良好な状態の下に行なうことができる。この場合、半導体層2AはAlSb層から構成し、半導体層2BはAlGaSb層から構成し、半導体層2CはInAsから構成する。
【0018】
なお、絶縁層4はSiO、SiN、及びAlなどの無機材料やポリイミドなどの高分子材料から構成することができる。また、金属電極層5はAl及びAuなどの導電性金属材料から構成することができる。
【0019】
次に、図1に示す不揮発性固体磁気メモリ10に対する記録方法について説明する。図1に示す不揮発性固体磁気メモリ10は、電界効果型トランジスタ構造を呈するので、金属電極層5はゲート電極として機能し、記録層3はチャネル層としても機能する。
【0020】
最初に、不揮発性固体磁気メモリ10を所定の外部磁場中に配置し、記録層3に所定の反転磁場が印加するようにしておく。次いで、記録層3に対し、記録層3中の正孔濃度が減少するように、金属電極層5から所定の電界を印加する。すると、記録層3中の保磁力が減少し、その保磁力の大きさが前記反転磁場の大きさよりも小さくなったときに、記録層3中の磁化が反転して書き込み動作が実行される。
【0021】
前記電界の大きさは上述した書き込み動作に基づいて記録が実行されれば、特には限定されないが、好ましくは0.01MV/cm~10MV/cmであることが好ましく、さらには0.01MV/cm~1MV/cmであることが好ましい。これによって、記録層3の厚さなどの諸特性に依存することなく、記録層3の保磁力を0.1mT~10mTまで低減することができ、比較的小さい外部磁場によって記録を実行できるようになる。
【0022】
また、上述したような大きさの電界を印加した場合、良好な書き込み動作を実行するためには、外部磁場を大きさを0.1mT~10mTとする。
【0023】
【実施例】
本実施例では図1に示すような不揮発性固体磁気メモリを作製した。基板は(001)GaAs単結晶から構成し、前記基板を550℃に加熱することにより、AlSb層及びAl0.82Ga0.18Sb層をMBE法により、それぞれ厚さ50nm及び300nmに形成した。次いで、前記基板の加熱温度を450℃に変更して、InAs層を同じくMBE法により厚さ5nmに形成して、バッファ層を形成した。
【0024】
次いで、前記基板の加熱温度を250℃に変更して記録層としての(In0.967Mn0.033)As層を同じくMBE法により厚さ4nmに形成した。次いで、SiO絶縁層を厚さ0.9μmにスピンコーティングによって形成するとともに、Cr(5nm)/Au(95nm)金属電極層を同じく蒸着法によって形成することにより、目的とする不揮発性固体磁気メモリを得た。
【0025】
図2は、上記のようにして得た不揮発性固体磁気メモリの前記記録層に対し、前記金属電極層から所定の電界を印加した場合の、32Kの温度における前記電界の強度と前記保磁力との関係を示すグラフである。図2から明らかなように、電界が上昇し、正孔濃度が減少するにつれて前記記録層の保磁力が減少し、正の電界領域においては前記保磁力が著しく低減されていることが分かる。したがって、比較的小さい外部磁場を反転磁場として印加するのみで、前記記録層中の磁化を反転することができ、記録動作を実行できることが分かる。
【0026】
例えば、-0.5MV/cm以上の電界を印加した場合において、前記記録層の保磁力は0.2mTより小さくなっているので、0.2mTの外部磁場を反転磁場として印加するのみで、前記記録層の磁化を反転することができ、記録動作を実行できることが分かる。したがって、上記不揮発性固体磁気メモリの消費電力を著しく低減できることが分かる。
【0027】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0028】
例えば、上記具体例においては、不揮発性固体磁気メモリを電界効果型トランジスタ構造を呈するように構成し、所定の電界を印加することによって、記録層3の正孔濃度を制御するようにした。しかしながら、金属電極層5の代わりに所定の保護層などを設け、外部光源からの励起光を記録層3に照射して正孔濃度を制御することもできる。または、記録層3を前述した(In,Mn)As強磁性半導体(p型)に対して所定のn型半導体などを接続してpn接合を形成し、これによって、記録層3の正孔濃度を制御することもできる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、記録時において保磁力を十分に低減し、比較的小さな外部磁場で記録動作を実行することのできる不揮発性固体磁気メモリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の不揮発性固体磁気メモリの一例を示す構成図である。
【図2】 本発明の不揮発性固体磁気メモリにおける、電界と保磁力との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板
2 バッファ層
2A~2C 半導体層
3 記録層
4 絶縁層
5 金属電極層
10 不揮発性固体磁気メモリ
図面
【図1】
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【図2】
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