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明細書 :空気圧縮機能を有する記録装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3891921号 (P3891921)
公開番号 特開2004-152428 (P2004-152428A)
登録日 平成18年12月15日(2006.12.15)
発行日 平成19年3月14日(2007.3.14)
公開日 平成16年5月27日(2004.5.27)
発明の名称または考案の名称 空気圧縮機能を有する記録装置
国際特許分類 G11B  21/02        (2006.01)
FI G11B 21/02 610A
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2002-318020 (P2002-318020)
出願日 平成14年10月31日(2002.10.31)
審査請求日 平成15年8月21日(2003.8.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】森 英季
個別代理人の代理人 【識別番号】100103034、【弁理士】、【氏名又は名称】野河 信久
【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦
【識別番号】100113099、【弁理士】、【氏名又は名称】和田 祐造
【識別番号】100117547、【弁理士】、【氏名又は名称】須田 浩史
審査官 【審査官】渡邊 聡
参考文献・文献 特開平03-040275(JP,A)
特開昭59-210575(JP,A)
特開平04-341982(JP,A)
特開昭63-308773(JP,A)
調査した分野 G11B 21/02
特許請求の範囲 【請求項1】
情報を記録するディスクを回転自在に支持しているとともに、このディスクを駆動するモータと、
上記ディスクの表面に情報を記録、再生するヘッドと、
上記ヘッドを支持したサスペンション、および上記サスペンションを移動可能に支持した静圧軸受を有し、上記ヘッドを上記ディスクの表面に対して任意の位置へ駆動するヘッドアクチュエータと、
上記ディスクの表面の少なくとも一部に隙間を置いて対向配置され、上記ディスクの回転に伴いディスク表面との間に圧縮空気を発生させるスクイズ板、および上記スクイズ板とデイスクとの間に発生した圧縮空気を上記静圧軸受に導く配管を有する圧縮機構と、
を備えた記録装置。
【請求項2】
情報を記録するディスクを回転自在に支持しているとともに、このディスクを駆動するモータと、
上記ディスクの表面に情報を記録、再生するヘッドと、
上記ヘッドを支持したサスペンション、および上記サスペンションを移動可能に支持した静圧軸受を有し、上記ヘッドを上記ディスクの表面に対して任意の位置へ駆動するヘッドアクチュエータと、
回転中心部を除いて、上記ディスクの両表面および周縁に隙間を置いて対向配置され、上記ディスクの回転に伴いディスクとの間に圧縮空気を発生させるシュラウドケース、および上記シュラウドケースとデイスクとの間に発生した圧縮空気を上記静圧軸受に導く配管を有する圧縮機構と、
を備えた記録装置
【請求項3】
上記ヘッドアクチュエータは、上記静圧軸受により直線移動が可能に支持されたスライダと、上記スライダに固定されているとともに上記サスペンションを含んだヘッドジンバルアッセンブリと、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
上記ヘッドアクチュエータは、上記スライダを直線的に移動させる駆動部を備えていることを特徴とする請求項に記載の記録装置。
【請求項5】
上記ヘッドアクチュエータは、上記静圧軸受により回動自在に支持された回転軸と、上記回転軸に取り付けられたアームと、上記アームから延出しているとともに上記サスペンションを含んだヘッドジンバルアッセンブリと、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項6】
上記ヘッドアクチュエータは、上記回転軸を上記アームと共に回動させる駆動部を備えていることを特徴とする請求項に記載の記録装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、記録媒体として回転するディスクを備えているとともに、空気圧縮機能を有する記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスク状の記録媒体を用いた記録装置として、磁気ディスク装置、光ディスク装置等が広く実用化されている。一般に、これらの記録装置は、ディスクを支持および回転駆動するスピンドルモータと、ディスクに対して情報の記録、再生を行う磁気ヘッドあるいは光学ヘッドと、この磁気ヘッドあるいは光学ヘッドをディスクに対して任意の位置へ移動させるヘッドアクチュエータと、を備えている。ヘッドアクチュエータとしては、ヘッドをディスクの半径方向に沿って直線的に移動させる直動式、あるいは回転軸を中心としてヘッドを回動させるロータリ式とが知られている。また、ヘッドアクチュエータは、可動部の支持機構としてリニアガイド、ピボットベアリング、すべり軸受などを用いている。
【0003】
しかしながら、これらの支持機構はボールによる転がりやすべりを用いるため、接触又は摺動による摩擦が存在している。潤滑剤の使用や摺動材料の工夫により摩擦の低減が図られてはいるが、摺動摩擦を完全に無くすことは実質困難となっている。そして、摺動摩擦による非線形性は、記録装置のトラッキング精度を損なうとともに高速で安定なシーク動作を妨げ、記録密度を向上する上で大きな障害となる。
【0004】
すなわち、記録装置において、ディスクのトラックに対するヘッドシーク速度の高速化やトラック・フォロー精度の向上は、高記録密度化に伴って重要な課題となっている。しかし、上述した従来のヘッドアクチュエータの支持機構では、摩擦の存在により、トラック・フォロー動作等では、常に静摩擦から動摩擦へ移行するような非線形な動作の連続となる。更に、軸受が有する機械的な遊びも加わって、ヘッドの位置決め精度の向上を図る上で大きな妨げとなっている。
【0005】
また、支持機構の磨耗を抑えるために用いられる潤滑剤の粘性は、上記の非線形性を更に増長してしまう。支持機構に封入されている潤滑剤のガス化や装置内部への漏洩により、記録装置が内部汚染され故障の原因となる可能性もある。
【0006】
このような問題を解決する手段として、非接触で摩擦が介在しない静圧空気軸受や磁気軸受の使用が考えられる(例えば、特許文献1および2参照)。例えば、動作流体に空気を用いる静圧空気軸受は、記録装置内部を汚染することもなく、同時に摩擦磨耗も排除できるため、高密度な記録装置において理想的な軸受け機構と考えられる。
【0007】
【特許文献1】
特開昭61-10115号公報
【0008】
【特許文献2】
特開昭63-302477号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヘッドアクチュエータの支持機構に静圧空気軸受を用いる場合、外部から圧縮空気を供給するポンプ等の圧力供給源を別途設ける必要があり、装置全体が大型化してしまう。そのため、一部のサーバ向け機器を除き、携帯機器や省スペース化が進むパーソナルコンピュータ、小型、軽量化を目指すラップトップコンピュータ等の装置への搭載を目的として小型化が進む記録装置において、静圧軸受を搭載することは現実的に不可能であった。
【0010】
また、磁気軸受では、可動部の浮上量を常に制御する必要があり、強力な磁場を制御するコイルや常時電流を供給する電源が必要となる。そのため、軸受を含む装置全体が大型化するとともに、省エネルギー化の観点からも問題がある。また、磁気軸受により、磁気ヘッドが磁気的な悪影響を受ける可能性もある。
【0011】
一方、ヘッドアクチュエータの支持機構として、外部から圧縮空気の供給を受けずに自らの動作で内部の油や気体に圧力を発生させ、可動部を非接触で支持する動圧軸受の適用も考えられる。しかしながら、安定した動圧を発生するには、例えば2つの部材を一定の相対速度を持って連続的に移動させる必要がある。そのため、ロータリ式、直動式を問わず、回転または移動方向が随時変化するヘッドアクチュエータにおいては、安定した動圧を発生することが出来ず、動圧軸受を適用することは困難となっている。
【0012】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、装置の大型化、消費エネルギーの増大を伴うことなく、ヘッドの位置決め精度を向上し、記録密度の向上を図ることが可能な記録装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係る記録装置は、情報を記録するディスクを回転自在に支持しているとともに、このディスクを駆動するモータと、上記ディスクの表面に情報を記録、再生するヘッドと、上記ヘッドを支持したサスペンション、および上記サスペンションを移動可能に支持した静圧軸受を有し、上記ヘッドを上記ディスクの表面に対して任意の位置へ駆動するヘッドアクチュエータと、上記ディスクの表面の少なくとも一部に隙間を置いて対向配置され、上記ディスクの回転に伴いディスク表面との間に圧縮空気を発生させるスクイズ板、および上記スクイズ板とデイスクとの間に発生した圧縮空気を上記静圧軸受に導く配管を有する圧縮機構と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
上記のように構成された記録装置によれば、ディスクを回転させるモータに圧縮機構を組み込むことにより、モータの回転力を利用して空気を加圧し、ヘッドアクチュエータの静圧軸受に圧縮空気を供給することができる。そのため、独立した圧縮空気供給源を別途設ける必要がなくなり、小型の装置内でも静圧軸受の使用を実現することができる。また、記録装置で用いられる軸受に必要とされる軸受剛性は、ヘッドなどの軽荷重を支持する程度で良いため、静圧軸受に必要とされる大気圧との差圧は然程高い必要はない。また、この際、ロータリ式、直動式のヘッドアクチュエータを問わず空気静圧軸受の利用が可能となる。
【0015】
そして、ヘッドアクチュエータの支持部に静圧軸受を用いることによって非接触で、かつ、不用なガタのない支持が可能となり、摩擦の影響を生じない理想的な支持構造とすることができる。これにより、接触や摺動摩擦に起因するヘッドアクチュエータ動作における非線形性が解消され、ヘッドの位置決め精度を向上することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明の記録装置をハードディスクドライブ(以下、HDDと称する)に適用した実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
図1および図2に示すように、HDDはほぼ矩形板状の基台10を備えている。基台10上には、スピンドルモータ14およびヘッドアクチュエータ18が取り付けられている。スピンドルモータ14は、記録媒体としての磁気ディスク12を支持しているとともに、この磁気ディスクを高速で回転駆動する。また、ヘッドアクチュエータ18は、磁気ディスク12の記録面に対して情報の記録、再生を行なう磁気ヘッド16を磁気ディスク12の記録面に対して移動自在に支持し、この磁気ヘッドを磁気ディスクの任意のトラック上に移動、位置決めし、トラック追走する。基台10上に設けられた構成要素は、通常、基台に取り付けられた図示しないカバーにより覆われている。
【0018】
図1ないし図3に示すように、ヘッドアクチュエータ18は、直動型のアクチュエータとして構成され、ヘッドジンバルアッセンブリ20、支持機構22、および駆動部24を備えている。支持機構22は、例えば、アルミ合金、チタン合金等の金属により形成された静圧軸受26と、この静圧軸受により直線的に往復動自在に支持された角柱状のスライダ28と、を有している。可動部材として機能するスライダ28は、支持機構22と同種材料、あるいは、熱膨張率の低い材料、例えば、低熱膨張ガラスにより形成されている。
【0019】
図3に示すように、静圧軸受26は、スライダ28を非接触な状態で支持した空気軸受として構成されている。すなわち、静圧軸受26は例えば4つの板材を用いてほぼ角筒状に形成されている。静圧軸受26の内側に形成されている軸受案内孔27は、スライダ28の断面に対応した矩形の断面形状を有し、この軸受案内孔27にスライダ28が挿通されている。静圧軸受26の壁部には多数の給気路30が形成され、これらの給気路は軸受案内孔27の内面に開口した多数の給気孔32に連通している。
【0020】
多数の給気路30は、静圧軸受26に接続された配管34に連通している。そして、後述する圧縮機構から配管34、給気路30および給気孔32を介して軸受案内孔27内に加圧空気を供給することにより、スライダ28は、空気の静圧で浮上し、静圧軸受26に対し非接触な状態で、かつ移動自在に支持される。なお、スライダ28の移動方向は、磁気ディスク12の表面と平行な方向に設定されている。
【0021】
図1ないし図3に示すように、ヘッドジンバルアッセンブリ20は、弾性変形可能な細長い板状のサスペンション36を備えている。サスペンション36は、複数の板ばねや、あるいは、板ばね表面または複数の板ばね間に配置された振動減衰材により構成されている。サスペンション36は、その基端がスライダ28の先端に固定され、スライダから磁気ディスク12方向へ延出している。サスペンション36の延出端には磁気ヘッド16が取り付けられている。磁気ヘッド16は、ほぼ矩形状のスライダと、このスライダに別々に形成された記録ヘッドおよびMR(磁気抵抗)あるいはGMR(巨大磁気抵抗)を応用した再生ヘッドと、を有している。そして、磁気ヘッド16は、サスペンション36の先端部に設けられ磁気ヘッドの姿勢を安定させるための図示しないジンバル部に固定されている。これにより、磁気ヘッド16は磁気ディスク12の表面と対向しているとともに、サスペンション36により所定の押付け圧が付加されている。
【0022】
図1および図2に示すように、ヘッドアクチュエータ18の駆動部24はボイスコイルモータによって構成されている。駆動部24の駆動軸38は、スライダ28と整列して配置されているとともに、スライダの基端に連結されている。従って、駆動部24を駆動することにより、スライダ28が直線的に往復移動される。これにより、磁気ヘッド16は、磁気ディスク12の表面上を径方向に沿って往復移動され、任意のトラック上に移動および位置決めされる。
なお、駆動部24は、ボイスコイルモータに限らず、3相同期モータ、ステッピングモータ等、種々の形態のモータを使用することができる。また、軸受および駆動部24の配置は必要に応じて変更可能である。
【0023】
一方、図1、図2、および図4に示すように、スピンドルモータ14は、回転軸40と、回転軸の下端部を回転自在に支持した軸受固定部42と、回転軸の中途部に設けられたモータ部44と、を備えている。軸受固定部42は、玉軸受又は流体軸受等の回転支持機構41を有している。モータ部44は、回転軸40に一体的に形成された図示しないロータと、同期型モータの場合、このロータに固定された磁石と、磁石に対向して配設されステータを構成した磁気コイルと、を備えている。そして、磁気ディスク12は、クランパ46によって回転軸40の上端部に同軸的に固定されている。従って、スピンドルモータ14を駆動することにより、磁気ディスク12は回転軸40と一体に所定の速度で回転駆動される。
【0024】
また、スピンドルモータ14は、回転軸40の回転力を利用して圧縮空気を発生させる圧縮機構50を一体に備えている。圧縮機構50はモータ部44と磁気ディスク12との間に配置されている。圧縮機構50は、回転軸40に取り付けられこの回転軸と一体に回転する複数のタービンブレード52と、タービンブレードの周囲を囲んで加圧室54を規定した外殻56と、を有している。
【0025】
タービンブレード52は、環状の支持板53上に所定のピッチで配置され、この支持板53が回転軸40に固定されている。そして、タービンブレード52は回転軸に対してほぼ放射状に延出している。
【0026】
外殻56には、加圧室54内に外気を導入する吸気ポート58、および加圧室内で加圧された空気を排気する排気ポート60が設けられている。排気ポート60は、配管34を介してヘッドアクチュエータ18の静圧軸受26に接続されている。なお、外殻56はタービンブレード52の外周を覆った筒状の周壁を有し、この周壁は回転軸40に対し僅かに偏心して設けられている。
【0027】
上記のように構成されたHDDにおいて、作動時、スピンドルモータ14が駆動され、回転軸40および磁気ディスク12が高速で回転される。この際、圧縮機構50のタービンブレード52が回転軸40と一体的に高速で回転される。これにより、HDD内部の空気が吸気ポート58を介して加圧室54に導入される。導入された空気は、タービンブレード52の作用により加圧室54内で加圧された後、排気ポート60から配管34を通してヘッドアクチュエータ18の静圧軸受26に供給される。
【0028】
圧縮機構50から静圧軸受26に供給された圧縮空気は、給気路30および給気孔32を介して軸受案内孔27内に供給される。そのため、スライダ28は、空気静圧により静圧軸受26に対し非接触な状態で、かつ移動自在に支持される。この状態で、駆動部24によってスライダ28を直線的に往復移動させることにより、磁気ヘッド16は磁気ディスク12の所望のトラック上を高精度に移動および位置決めされ、磁気ディスク12に対して情報の記録、再生を行う。
【0029】
なお、ヘッドアクチュエータ18の静圧軸受26に必要とされる軸受剛性は、ヘッドジンバルアッセンブリ20などの軽荷重を支持する程度で良い。そのため、静圧軸受26に必要とされる大気圧との差圧は然程高い必要はない。従って、圧縮機構50により容易に、かつ、充分に圧縮空気を供給することができる。
【0030】
以上のように構成されたHDDによれば、磁気ディスク12を回転させるスピンドルモータ14に圧縮機構50を組み込むことにより、スピンドルモータの回転力を利用して空気を加圧し、ヘッドアクチュエータ18の静圧軸受26に圧縮空気を供給することができる。そのため、独立した圧縮空気供給源を別途設ける必要がなく、装置全体の大型化を招くことなく静圧軸受の使用を実現することが可能となる。そして、ヘッドアクチュエータ18の可動部材であるスライダ28を静圧軸受によって非接触で、かつ、不用なガタなく支持することにより、摩擦の影響を生じない理想的な支持構造とすることができる。これにより、摺動摩擦によるヘッドアクチュエータの動作における非線形性を解消し、磁気ヘッド16の位置決め精度を向上することが可能となる。その結果、装置の大型化、消費エネルギーの増大を伴うことなく、記録密度の向上したHDDが得られる。
【0031】
また、上記HDDによれば、装置内部の封入気体だけで静圧を発生して非接触な軸受を実現できるため、従来のヘッドアクチュエータ支持機構における潤滑剤等の使用が不要となる。同時に、装置外部から空気等の気体を導入する必要がない。従って、潤滑剤や導入気体等による装置内汚染を回避することが可能となる。
【0032】
なお、上述した実施の形態において、スピンドルモータ14の軸受固定部42には玉軸受を有した回転支持機構41を用いたが、これに代えて動圧軸受や静圧軸受を使用し、この静圧軸受に上記の圧縮機構50から圧縮空気を供給して静圧を得る構成としてもよい。
【0033】
スピンドルモータ14に組み込まれた圧縮機構50は、上述のタービンブレードを備えた構成に限らず、種々の構成を用いることができる。図5に示すこの発明の第2の実施の形態によれば、圧縮機構50は、スクロールコンプレッサとして構成され、ほぼ渦巻き状に形成された回転ブレード61および固定ブレード62と、これらのブレードの周囲を囲んで加圧室54を規定した外殻56と、を有している。回転ブレード61はその中心部付近が回転軸40に固定され、この回転軸40と一体的に回転駆動される。固定ブレード62は外殻56の底壁に固定され、回転ブレード61と噛み合って設けられている。
【0034】
外殻56の周壁には、加圧室54内に空気を導入する吸気ポート58がほぼ180度離間して2つ設けられている。回転軸40の上端部は中空に形成され、回転軸と同軸的に延びた排気通路64を規定している。排気通路64は、回転軸40に形成された複数、例えば、4つの吸入口63を介して加圧室54内に連通している。また、回転軸40の上端は、クランパ46を貫通して上方に延出し、この上端には、配管34の一端がラビリンスを用いた継手を介して相対的に回転自在に接続されている。これにより、加圧室54は、吸入口63および排気通路64を介して配管34に接続されている。更に、外殻56の上下面部は、それぞれラビリンスを用いた継手を介して回転軸40と非接触かつ回転自在に接合され、回転回動部からの圧力損失が防止されている。
【0035】
上記のように構成された圧縮機構50によれば、スピンドルモータ14が駆動され回転軸40と共に回転ブレード61が回転すると、吸気ポート58を通してHDD内の空気が加圧室54内に導入される。導入された空気は、回転ブレード61と固定ブレード62との間に入り、これらブレードの作用により圧縮される。そして、圧縮された空気は、加圧室54から吸入口63、排気通路64および配管34を通してヘッドアクチュエータ18の静圧軸受26に供給される。
【0036】
なお、HDDの他の構成は上述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。そして、上記構成の圧縮機構50を用いてHDDを構成した場合でも、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
その他、圧縮機構50としては、ルーツ式、ヘリカル式、スクリュー式、ギヤ式等、一般的な種々の形式の圧縮機構を適用することができる。
【0037】
図6に示すこの発明の第3の実施の形態によれば、圧縮機構50は、磁気ディスク12の表面および周縁の一部に隙間を置いて対向配置されたほぼ扇状のスクイズ板66を備えている。また、スクイズ板66には、配管34の一端が接続され、磁気ディスク12表面とスクイズ板66との隙間に連通している。なお、スクイズ板66は、前述の基台10を覆ったカバーの一部によって構成してもよい。
【0038】
上記圧縮機構50によれば、スピンドルモータ14により磁気ディスク12が回転されると、磁気ディスク表面上に発生する空気流がスクイズ板66と磁気ディスク表面との隙間に流入する。すると、いわゆるスクイズ効果により、この隙間に大気圧に対して差圧が生じ圧縮空気が発生する。そして、この圧縮空気は、配管34を通してヘッドアクチュエータ18の静圧軸受26へ供給される。
【0039】
ディスク表面のフラッターや振動を減衰するために用いられるスクイズ効果は、回転するディスク表面の一部にスクイズ板を対向配置することで、ディスク表面の上下振幅で発生する圧力を用いて、ディスク振動を抑制するものである。ここで、スクイズ効果によって差圧を生じさせる場合、流体の粘性によりスピンドルモータ14の負荷トルクが僅かに増加する。しかし、本実施の形態では、このスクイズ効果を積極的に利用して静圧軸受へ差圧を供給することで、磁気ディスク表面のフラッターや振動を抑制することができると同時に、このフラッターや振動を抑制するために消費されるエネルギーを有効に活用することができる。
【0040】
図7に示すこの発明の第4の実施の形態によれば、圧縮機構50はシュラウドケース68を備えている。このシュラウドケース68は、回転中心部を除いて、磁気ディスク12の両表面および周縁に隙間を置いて対向配置されている。シュラウドケース68には、配管34の一端が接続され、磁気ディスク12表面とシュラウドケースとの隙間に連通している。また、シュラウドケース68の一部には開口71が形成され、ヘッドアクチュエータ18のスライダ28に固定されたヘッドジンバルアッセンブリ20が挿通されている。なお、シュラウドケース68は、独立したケースにより構成しても、あるいは、前述の基台10および基台を覆ったカバーの一部によって構成してもよい。
【0041】
上記圧縮機構50によれば、スピンドルモータ14により磁気ディスク12が高速で回転されると、磁気ディスク表面とシュラウドケース68との間にシュラウドが発生する。このシュラウドにより、磁気ディスク12表面とシュラウドケース68との隙間に大気圧に対して差圧が生じ圧縮空気が発生する。そして、この圧縮空気は、配管34を通してヘッドアクチュエータ18の静圧軸受26へ供給される。
【0042】
このように、磁気ディスク12の回転によって生じるシュラウドに起因した圧力変動を差圧として静圧軸受26に供給することで、磁気ディスク12にフラッタを発生させ、ヘッドジンバルアッセンブリ20を加振させるエネルギーを消費し、有効に相殺することができる。
【0043】
なお、第3および第4の実施の形態において、HDDの他の構成は上述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。そして、第3および第4の実施の形態に係る圧縮機構50を用いてHDDを構成した場合でも、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
次に、この発明の第5の実施の形態に係るHDDについて説明する。本実施の形態によれば、HDDは、ロータリ式のヘッドアクチュエータ18を備えて構成されている。
【0045】
図8ないし図10に示すように、ヘッドアクチュエータ18は、基台10に固定された支持機構22と、支持機構により支持されキャリッジとして機能するアーム70と、を備えている。支持機構22は、ほぼ垂直に立設された回転軸72と、回転軸の下端部を回転自在に支持した静圧軸受26とを有している。
【0046】
可動部材として機能する回転軸72の下端部72aは、他の部分よりも大径に形成されている。静圧軸受26は、回転軸72を非接触な状態で支持する空気軸受として構成されている。すなわち、図10および図11に示すように、静圧軸受26は、回転軸72の下端部72aの周囲を覆った壁部を有し、この壁部により軸受案内孔27が規定されている。また、壁部には、多数の給気路30が形成されている。これらの給気路30は、回転軸72の下端部72a外面に向かって開口した多数の給気孔32に連通している。
【0047】
多数の給気路30は、静圧軸受26に接続された配管34に連通している。そして、後述する圧縮機構から配管34、給気路30および給気孔32を介して軸受案内孔27内に加圧空気を供給することにより、回転軸72は、空気の静圧により、静圧軸受26に対し非接触な状態で、かつ回転自在に支持される。
【0048】
図8ないし図10に示すように、アーム70は、その基端部が回転軸72に固定され、この回転軸から磁気ディスク12の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隔を置いて同一の方向へ延出している。また、ヘッドアクチュエータ18はヘッドジンバルアッセンブリ20を備えている。ヘッドジンバルアッセンブリ20は、板ばねにより形成された細長い板状のサスペンション36を備え、その基端がねじ止めあるいはかしめによりアーム70の先端に固定されている。
【0049】
各サスペンション36の延出端には磁気ヘッド16が取り付けられている。磁気ヘッド16は、ほぼ矩形状のスライダと、このスライダに別々に形成された記録ヘッドおよびMRあるいはGMRを応用した再生ヘッドと、を有している。そして、磁気ヘッド16は、サスペンション36の先端部に形成されたジンバル部に固定されている。磁気ディスク12の上下面に記録層が設けられている場合、サスペンション36に取り付けられた2つの磁気ヘッド16は、互いに向かい合って位置し、磁気ディスク12を両面側から挟むように配設されている。
【0050】
ヘッドアクチュエータ18は、回転軸72からアーム70と反対の方向へ延出した支持枠74を有し、この支持枠にボイスコイル78が取付けられている。支持枠74は、合成樹脂モールドによりボイスコイル78の外周に一体的に成形されている。ボイスコイル78は、基台10上に固定された一対のヨーク80間に位置し、これらのヨーク、および一方又は両方のヨークに固定された磁石82とともにボイスコイルモータ(以下、VCMと称する)76を構成している。そして、駆動部として機能するVCM76へ通電することにより、回転軸72の回りでヘッドアクチュエータ18が回動し、磁気ヘッド16は磁気ディスク12の所望のトラック上に移動および位置決めされる。
【0051】
一方、磁気ディスク12を支持および回転駆動するスピンドルモータ14は、基台10に固定されているとともに圧縮機構50を備えている。この圧縮機構50は、配管34を介してヘッドアクチュエータ18の静圧軸受26に接続されている。スピンドルモータ14の構成は前述した実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。また、圧縮機構50としては、上述した第1ないし第4の実施の形態で示した圧縮機構のいずれを用いてもよい。
【0052】
上記のように構成されたHDDにおいて、作動時、スピンドルモータ14が駆動され磁気ディスク12が高速で回転されると、その回転力を利用して圧縮機構50により圧縮空気が形成される。そして、この圧縮空気は、配管34を通してヘッドアクチュエータ18の静圧軸受26に供給される。
【0053】
圧縮機構50から静圧軸受26に供給された圧縮空気は、給気路30および給気孔32を介して軸受内部に供給される。これにより、回転軸72の下端部72aは、空気静圧により静圧軸受26の内部で非接触な状態で、かつ回転自在に支持される。この状態で、VCM76によってヘッドアクチュエータ18を回動させることにより、磁気ヘッド16は磁気ディスク12の所望のトラック上に移動および位置決めされ、磁気ディスク12に対して情報の記録、再生を行う。
【0054】
以上のように構成されたHDDによれば、磁気ディスク12を回転させるスピンドルモータ14に圧縮機構50を組み込むことにより、スピンドルモータの回転力を利用して空気を加圧し、ヘッドアクチュエータ18の静圧軸受26に圧縮空気を供給することができる。そのため、独立した圧縮空気供給源を別途設ける必要がなくなり、装置全体の大型化を招くことなく静圧軸受の使用を実現することが可能となる。そして、ヘッドアクチュエータ18の可動部材である回転軸72の支持機構に静圧軸受26を用いることにより、非接触で摩擦の影響がなく、不用なガタも生じない理想的な支持構造とすることができる。これにより、摺動摩擦によるヘッドアクチュエータ動作の非線形性を解消し、磁気ヘッド16の位置決め精度を向上することが可能となる。その結果、装置の大型化、消費エネルギーの増大を伴うことなく、記録密度が飛躍的に向上したHDDを実現することができる。
【0055】
その他、この発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、この発明に係る記録装置は、磁気ディスク装置に限らず、記録媒体として光ディスク、光磁気ディスク等を用いた記録装置にも適用することができる。この場合、ディスクに対して情報の記録、再生を行うヘッドとして、光磁気ヘッド、あるいは光ピックアップを有した光学ヘッドが用いられる。また、ディスクの枚数は必要に応じて増加可能である。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、装置の大型化、消費エネルギーの増大を伴うことなく、ヘッドの位置決め精度を向上し、記録密度の向上を図ることが可能な記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係るHDDを示す平面図。
【図2】上記HDDの側面図。
【図3】上記HDDにおける直動型アクチュエータを拡大して示す斜視図および静圧軸受を一部破断して示す斜視図。
【図4】上記HDDにおけるスピンドルモータおよび圧縮機構を示す断面図。
【図5】この発明の第2の実施の形態に係るHDDのスピンドルモータおよび圧縮機構を示す断面図。
【図6】この発明の第3の実施の形態に係るHDDのスピンドルモータおよび圧縮機構を示す断面図。
【図7】この発明の第4の実施の形態に係るHDDのスピンドルモータおよび圧縮機構を示す断面図。
【図8】この発明の第5の実施の形態に係るHDDを示す平面図。
【図9】上記第5の実施の形態に係るHDDの側面図。
【図10】上記第5の実施の形態に係るHDDのヘッドアクチュエータを一部破断して示す側面図。
【図11】図11(a)は、上記第5の実施の形態におけるヘッドアクチュエータの静圧軸受部分を拡大して示す断面図、図11(b)は図11(a)の線A-Aに沿った断面図、図11(c)は図11(a)の線B-Bに沿った断面図。
【符号の説明】
10…基台
12…磁気ディスク
14…スピンドルモータ
16…磁気ヘッド
18…ヘッドアクチュエータ
22…支持機構
24…駆動部
26…静圧軸受
30…給気路
32…給気孔
34…配管
40、72…回転軸
50…圧縮機構
76…VCM
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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