TOP > 国内特許検索 > 前駆脂肪細胞株 > 明細書

明細書 :前駆脂肪細胞株

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5055611号 (P5055611)
公開番号 特開2000-083656 (P2000-083656A)
登録日 平成24年8月10日(2012.8.10)
発行日 平成24年10月24日(2012.10.24)
公開日 平成12年3月28日(2000.3.28)
発明の名称または考案の名称 前駆脂肪細胞株
国際特許分類 C12N   5/0775      (2010.01)
FI C12N 5/00 202H
請求項の数または発明の数 4
全頁数 18
出願番号 特願平10-378013 (P1998-378013)
出願日 平成10年9月9日(1998.9.9)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成10年3月10日 社団法人日本畜産学会発行の「1998年度(平成10年)第94回日本畜産学会大会講演要旨」に発表
特許法第30条第1項適用 平成10年3月31日 1998年度(平成10年)第94回日本畜産学会大会で文書をもって発表
審判番号 不服 2008-023281(P2008-023281/J1)
審査請求日 平成17年7月14日(2005.7.14)
審判請求日 平成20年9月11日(2008.9.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】加野 浩一郎
【氏名】橋本 光一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】110000774、【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
参考文献・文献 病態生理,Vol.6,No.5,1987,P.393-395
臨床医,Vol.23,No.9,1997,P.1296-1299
Lipid,Vol.9,No.3,1998.4.10,P.218-224
ホルモンと臨床,Vol.45,No.2,1997,P.129-136
In Vitro Cell.Dev.Biol.Animal,Vol.32,No.9,1996,P.564-572
調査した分野 C12N5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
動物の単胞性脂肪細胞を天井培養し、天井面に細胞が接着した段階で、通常の培養法に戻して培養を継続し、細胞質に脂肪滴を有さない線維芽細胞様脂肪細胞となった段階で、遠心分離し、沈殿画分に分離された脂肪滴をまったく有さない線維芽細胞様脂肪細胞のみを継代培養することによって得られる該動物由来の前駆脂肪細胞株であって、細胞質に脂肪滴を持たず、また自発的な分化を起こさない、長期継代培養可能でありかつ長期継代培養後も増殖および分化特性を維持している前駆脂肪細胞株。
【請求項2】
動物がヒトである請求項1に記載の前駆脂肪細胞株。
【請求項3】
動物がブタである請求項1に記載の前駆脂肪細胞株。
【請求項4】
動物がニワトリである請求項1に記載の前駆脂肪細胞株。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は動物の単胞性脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞株の樹立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
白色脂肪組織の大部分を占有する成熟脂肪細胞は、生体が摂取した余剰エネルギーを中性脂肪に変換して貯蔵するだけでなく、生体維持に必要なエネルギー収支の調節機能においても主要な役割を果たすことが明らかにされている。このため脂肪細胞では、脂質代謝ならびに種々の生理活性物質の生成および分泌が活発に行われている。成熟脂肪細胞の直径は、10~200μmと多様であるが、細胞質内に一つの大きな脂肪滴と周辺部に押しやられた核を有する典型的な形態から単胞性脂肪細胞と呼ばれている。脂肪細胞の形成過程は、まず多能性中胚葉細胞から前駆脂肪細胞となり、活発に増殖する。ついで、前駆脂肪細胞はコミットメントされたのち、増殖停止して脂肪細胞へと終末分化するとされている。この一連の分化過程において脂肪細胞特異的な遺伝子が整然と発現されることが知られている。最近、脂肪細胞の分化に関与する転写因子(核内受容体)の研究が急速に進展し、脂肪細胞特異的な遺伝子群の発現誘導および抑制を調節するマスターレギュレーターとして、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(PPARγ)が発見された。PPARγは脂肪細胞にのみ特異的に発現し、栄養素である脂肪酸をリガンドとする核内受容体である。また、PPARγはレチノイドX受容体と補因子二量体を形成して、標的遺伝子の応答配列(PPRE)に結合して転写調節することも明らかにされた。
【0003】
これと並行して、PPARγはインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)に対する治療薬であるチアゾリジン誘導体の細胞内標的タンパク質であることが示され、肥満症、糖尿病、および、高脂血症などの成人病と、脂肪細胞分化を支配する転写調節の研究との緊密な接点が明らかにされつつある。成人病との関連性では、脂肪細胞が種々の生理活性物質を生成および分泌する内分泌細胞としての側面が注目されている。インスリン抵抗性は、肥満症および糖尿病において最も頻繁に認められる病態である。肥満を伴う糖尿病におけるインスリン抵抗性は、脂肪細胞から分泌されるTNFαによって惹起されると考えられている。実際、肥満のヒトあるいは動物では、内臓に形成された脂肪細胞からTNFα分泌が亢進されており、インスリン抵抗性の指標と相関することが示されている。また、PAI-1(plasminogen activator inhibitor 1)は血液線溶系における最も重要な物質であり、線溶性を低下させ血栓形成を促進し、心筋梗塞などの原因となることが知られている。肥満症およびNIDDM患者では血中PAI-1が上昇するが、それらは主に内臓脂肪細胞由来であることも明らかにされている。さらに、肥満遺伝子の産物であるレプチンは脂肪細胞で産生され、中枢に作用して摂食抑制およびエネルギー消費を促進して体脂肪を一定に調節する新しいホルモンであるが、これも肥満症およびNIDDM患者において高く、またTNFαによって産生が亢進されることも明らかにされている。肥満症あるいはNIDDMにおける血中のTNFα、PAI-1およびレプチンの上昇は、チアゾリジン誘導体によって強く改善されることから、それら脂肪細胞由来の生理活性物質の生成および分泌は脂肪細胞分化に直接関係すると考えられる。しかし、疾患についての知見はヒトにおいて、また脂肪細胞分化の機構についてはマウス前駆脂肪細胞株を用いた体外培養における知見がほとんどであり、それらの疾患と脂肪細胞分化の関連性については未だ不明な点が多く残されている。
【0004】
一方、家畜あるいは家禽など産業動物の体脂肪蓄積の制御および脂肪交雑肉の作出は、これまで飼料エネルギーあるいは栄養素の調節によっておこなわれきた。しかし、経済効果優先の育種目標として、増体量の向上が優先されたことから飼料摂取量の多い個体が必然的に選抜されてきた。それにより、飼料摂取量が多い個体ではエネルギー過剰に陥りやすく、脂肪として過剰に蓄積する傾向を有する。これに反して、ヒトでは肥満症の増加から低脂肪の畜肉が嗜好され、生産される大部分の脂肪は食されることなく廃棄されているのが現状である。同時に、家畜あるいは家禽においても体脂肪の過剰蓄積に起因する代謝障害による疾病の増加も問題になっている。これらの解決策として、飼料成分の調整等による従来の間接的な方法によって高い生産性を維持しつつ、体脂肪の過剰蓄積を抑制することはすでに限界に達していると思われる。そこで、根本的なテーマとして、脂肪組織を構成する脂肪細胞の増殖および分化機構を直接的に制御することができれば、体脂肪蓄積のより効果的な制御を可能にすると考えられる。しかし、家畜あるいは家禽の脂肪組織を構成する脂肪細胞の増殖および分化に関する細胞レベルでの知見の集積はほとんどなされていないのが現状であり、またそれを調べるための優れた実験系も未だ確立されていない。
【0005】
これまで脂肪細胞の増殖および分化に関する研究は、主に、Swiss-3T3由来の前駆脂肪細胞株(3T3-L1や3T3-F443A)、或いは、脂肪組織を酵素処理することによって得られる間質-血管画分に含まれる前駆脂肪細胞(S-V細胞)の初代培養系を用いて行われてきた。しかし、Swiss-3T3由来の前駆脂肪細胞株には、1)パターンが異なった染色体をもつ変異細胞が混入している、2)妊娠17~19日の胚由来であるため、アダルト由来の前駆脂肪細胞とは分化特性が異なる、3)血清添加培地で培養すると自発的に分化誘導されるので、本質的に分化誘導する物質を特定できない、等の解決すべき課題がある。一方、S-V細胞は、1)前駆脂肪細胞以外の細胞、たとえば、血管内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞などが混入しているため、前駆脂肪細胞自体の分化特性を調べることができない(他の細胞群の影響を無視できない)、2)脂肪組織中には、中胚葉性の多能性細胞から前駆脂肪細胞へと分化したばかりの細胞から、既にコミットメントされ脂肪細胞への分化途上の細胞に至る、種々の段階の分化過程にある細胞が存在する、3)初代培養系であるため、同一材料を用いて複数回の実験ができない、4)前記2)及び3)の理由から細胞を調製する個体間の差が大きいため、再現性の高いデータが得られない、等の解決すべき課題がある。
【0006】
これらの課題は、対象とする動物の前駆脂肪細胞を限界希釈法などによってクローニングして、前駆脂肪細胞株を樹立することにより解決できる可能性があるが、この様な操作は煩雑であり、且つ成功率が低い。
【0007】
【発明が解決しょうとする課題】
そこで、本発明は、動物の単胞性脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞の新たな樹立方法及び該方法により得られる前駆脂肪細胞株を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、すでに、終末分化を遂げている動物由来の単胞性脂肪細胞を天井培養し、得られる線維芽細胞様脂肪細胞が、前駆脂肪細胞と同様な増殖及び分化特性を有し、分化誘導により、形態学的にも、分化特性においても脂肪細胞へ分化することを確認し、さらに、該線維芽細胞様脂肪細胞を長期間継代培養しても形質転換なしに、かつ、均一な増殖及び分化能を保持して継代培養ができることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、1)動物の単胞性脂肪細胞を天井培養して形成される線維芽細胞様脂肪細胞を継代培養し、脱分化することによって得られる該動物由来の前駆脂肪細胞株、2)動物がヒトである1)に記載の前駆脂肪細胞株、3)動物がブタである1)に記載の前駆脂肪細胞株、4)動物がニワトリである1)に記載の前駆脂肪細胞株、に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
動物の脂肪組織は、形成される部位(腸間膜、腎臓周囲、皮下、精巣上体、筋肉組織内など)ごとに異なる特性を有することが明らかにされつつある。そこで、前駆脂肪細胞の樹立目的によって、動物の年齢あるいは性別など、採取する脂肪組織を選択することができる。例えば、家畜では、商品価値の高い畜肉(例えば、霜降り肉)生産を目的として、筋肉組織内脂肪細胞の形成機構解明のための筋肉組織由来の前駆脂肪細胞株の樹立、肉用家畜あるいは家禽の枝肉率の向上を目的として、腹腔内脂肪細胞の形成機構およびその特性解明のための腹腔内脂肪由来の前駆脂肪細胞株の樹立、乳脂肪と脂肪酸組成との関連の調査を目的とした乳腺組織由来の前駆脂肪細胞株の樹立、或いはヒトにおいて、特に肥満症あるいは成人病に深く関与する生理活性物質(TNFα、レプチン、PAI-1など)の生成および分泌の調節機構解明のための内臓脂肪組織由来の前駆脂肪細胞株の樹立、などが考えられる。
【0010】
1)単胞性脂肪細胞の分離
単胞性脂肪細胞の分離は、基本的には、Rodbelの方法(Rodbel M.: J. Biol. Chem., 239: 173-181, 1964)に準じて行うことができる。外科手術中のヒト、或いは家畜・家禽から目的とする脂肪組織をすばやく採取する。太めの血管および結合組織を除去する。抗生物質を含む基礎培地(例えばダルベッコー変法イーグル培地)、或いはリン酸緩衝生理食塩水に脂肪組織を入れ、緩やかに脂肪組織を洗浄する。次いで、脂肪組織を、ウシ血清アルブミンおよびコラゲナーゼ、トリプシン、プロナーゼ、ディスパーゼ、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼ、などの酵素を含む培地中に入れ、外科用ハサミで細胞が挫滅しないよう細切した後、45~60分間震盪して細胞を分散する。分散操作後、細胞懸濁液をナイロンメッシュで濾過して未消化組織を除去する。濾液を緩やかに遠心分離すると、単胞性脂肪細胞は上層に浮遊して集まる。一方、間質血管細胞(前駆脂肪細胞を含む)は、沈殿に集まる。単胞性脂肪細胞をピペットで吸引採取する。採取した単胞性脂肪細胞は、さらに培地(例えば血清あるいはBSAを含むダルベッコー変法イーグル培地)に移し、数回遠心洗浄する。
【0011】
2)単胞性脂肪細胞の培養
単胞性脂肪細胞の培養は、杉原らの方法(Sugihara, H.et al.: Differentiation,31: 42-49, 1986)に準じて行うことができる。すなわち、単胞性脂肪細胞は、細胞質内に含まれる中性脂肪によって培養液中で浮遊するが、この浮遊性を逆に利用して、培地を100%充満させたフラスコの内側上面(天井面)に該細胞を接着させて培養する方法(天井培養)である。この方法で、単胞性脂肪細胞を数日間天井培養すると、大部分の細胞は細胞質の一部を伸長あるいは拡張させ、フラスコ天井面にしっかりと接着し、大型の脂肪滴の周辺に種々の大きさの脂肪滴を有する多胞性脂肪細胞へと形態変化する。この時点で、フラスコ内の培地を適量の培地に交換し、通常の培養法に戻して培養を継続する。多胞性脂肪細胞に含まれる脂肪滴はさらに分割され、小さくなるにつれて、多胞性脂肪細胞は細胞質をさらに伸長させ、線維芽細胞様の形態に変化する細胞が観察される。さらに培養を継続すると、線維芽細胞様の形態を呈する多胞性脂肪細胞の周辺部には、脂肪滴を僅かに、あるいはまったく持たない線維芽細胞様脂肪細胞(FA)が多数観察されるようになる。 FAは活発に増殖する一方で、多胞性脂肪細胞は徐々に観察されなくなる。その後、フラスコ内の細胞はFAのみとなりコンフルエントに達する。ブタ、ニワトリ、ラットあるいはヒトなど、いずれの種から採取した単胞性脂肪細胞を天井培養した場合においても、上記に示した形態変化したのち、活発に増殖するが、年齢、採取した組織の部位(例えば、皮下あるいは内臓脂肪組織)および性別などによって若干異なる。
【0012】
3)線維芽細胞様脂肪細胞(FA)の増殖および分化
上記2)において形成されたFAの採取および継代培養は以下に示す方法を用いて行う。天井培養後、フラスコ内にFAが形成され、活発に増殖することが確認されたら、フラスコ内の培地を除去し、フラスコ内の細胞をトリプシン処理および遠心分離する。この操作により、脂肪滴を有する多胞性脂肪細胞を上層画分に、脂肪滴をもたないFAを沈殿画分に分離することができる。この単胞性脂肪細胞由来のFAを継代培養すると、培養24時間後に、殆どの細胞は培養皿底面に接着し、線維芽細胞様の形態を示しながら活発に増殖し、数日後には、ほぼコンフルエントに達する。この培養期間における増殖曲線を作成することによって該動物あるいは組織由来のFAの増殖特性を調べる。動物種(ヒトあるいはラット)によっては、細胞質内に微小な脂肪滴が観察されるが、この場合は脂肪細胞の脱分化誘導作用を有するTNFα添加した培地を用いるなど適宜に行う。細胞質内の脂肪滴の有無の確認は、オイルレッドO染色法を用いて行う。なお、ブタあるいはニワトリのFAでは、脂肪滴は観察されない。
【0013】
FAの分化特性については、以下に示す方法を用いて行う。FAの培地を分化誘導剤を添加した培地(動物種で若干異なる)に交換し、数日間培養培養して分化誘導を行う。分化誘導後、通常の培地に戻し、さらに培養を継続する。一般的に、FAを分化誘導後数日経過すると、FAは星状あるいは敷石状に形態変化し、細胞質内に小さな脂肪滴を有する細胞が観察されるようになる。さらに培養を継続すると、細胞質は拡張し、細胞質内に種々の大きさの脂肪滴が観察されるようになる。分化誘導後におけるFA細胞質内の脂肪滴蓄積の確認は、オイルレッドO染色法を用いて行う。また、脂肪細胞の分化の後期マーカーであるglycerol-3-phosphate-dehydrogenase(GPDH)活性を分化の指標として測定し、分化誘導後の培養期間中における活性の変化を観察する。以上の結果として、該動物あるいは組織のFAが活発な増殖および分化能を有することが示されれば、FAは単胞性脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞であることが示される。
【0014】
4)前駆脂肪細胞株の樹立
単胞性脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞の継代培養を行い、各継代ごとの増殖および分化能を調べることによって前駆脂肪細胞株の樹立を試みる。例えば、ブタおよびニワトリの単胞性脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞では、それぞれ37および33代目においても、継代初期と同様の均一な増殖能力および分化能が維持されており、かつ、染色体異常などの形質転換も観察されないことが確認されている。
【0015】
以上のように、本発明は4行程からなる。本発明では、実施例として以下にブタ皮下脂肪組織およびニワトリ腹腔内脂肪組織由来の前駆脂肪細胞株の樹立を示したが、その他の家畜、例えばウシやヒツジ、或いは家禽のアヒル、ウズラ、さらにはヒトなどにも、本発明で開示された技術を用いて、或いは当業者であるならば、必要な変更を加えて、目的の動物および組織由来の前駆脂肪細胞株を樹立することが可能である。例えば培養条件における培地、血清濃度、分化誘導剤などの選択は、当業者であるならば、簡単な試行錯誤の結果、適宜に最適条件を設定することが可能である。例えば、14日齢ニワトリ腹腔脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞の場合では、血清添加添加濃度は10%、分化誘導剤は脂肪酸を用い、また、6~7ヶ月齢ブタ皮下脂肪組織由来の前駆脂肪細胞の場合では20%血清添加で分化誘導剤にはインスリン、デキサメタゾンおよびイソブチルメチルキサンチンの同時添加が適当である。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0017】
[実施例1]単胞性脂肪細胞の増殖特性
ブタ単胞性脂肪細胞の増殖特性を明らかにする目的で行った。すなわち、天井培養法を用いて単胞性脂肪細胞を培養し、増殖様式を観察した。ついで、単胞性脂肪細胞から形成されるFAの増殖状況を調べることによって、それらの効率的な採取が可能であるかについても検討した。
【0018】
1)材料および方法
(1) 脂肪組織の採取
と畜場において、6~7ヶ月齢の雄あるいは雌ブタの皮下脂肪組織を採取し、約37℃に調整しておいた保温瓶に入れて1時間以内に実験室に持ち帰った。
【0019】
(2) 単胞性脂肪細胞の単離および培養
単胞性脂肪細胞の単離および培養方法の概略を図1に示す。0.08mg/mlカナマイシン一硫酸塩(SIGMA)および0.5mg/mlポリビニールアルコール(SIGMA)添加のリン酸緩衝食塩水(PBS-PVA)に、0.1%(v/v)セチルトリメチルアンモニウムブロミドを添加した溶液で脂肪組織を洗浄した。さらに、PBS-PVAで組織を3回洗浄した。25mM HEPES、1.8mg/ml NaHCO3および0.08mg/mlカナマイシン一硫酸塩を添加したダルベッコ変法イーグル培地(HEPES-DMEM;日水製薬)に、さらに2%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.1%コラゲナーゼ(Type II; SIGMA)を添加した培地(pH7.4)中に約4gの脂肪組織を移し、外科用ハサミを用いて細切した。ついで遠沈管に移したのち、39℃の培養装置内で60分間震盪培養した。コラゲナーゼ処理後、細胞懸濁液を口径250および150μmのナイロンメッシュ(共進理工)を用いて濾過したのち、3%(v/v)ウシ胎子血清(FCS; Filtron)を添加したHEPES-DMEMでメッシュに付着した細胞を洗い流し、未消化組織と細胞を分別した。細胞懸濁液を遠沈管に移し、3分間、106Gで遠心分離するこによって、上層に単胞性脂肪細胞からなる画分を得た。単胞性脂肪細胞画分をピペットで吸引採取し、それを新鮮な3%FCS添加HEPES-DMEM中に移した。さらに、106G、3分間の遠心洗浄を3回繰り返したのち、血球計算盤を用いて細胞数を測定した。
【0020】
単胞性脂肪細胞の培養は、Sugiharaら(Sugihara, H.et al.: Differentiation, 31: 42-49, 1986)の方法に準じて行った。すなわち、3~6×105個の単胞性脂肪細胞を組織培養フラスコ(FALCON, 3107)に移し、20%FCS、1.8mg/ml NaHCO3および0.08mg/mlカナマイシン一硫酸塩を添加したDMEMでフラスコ内を完全に満たした。37℃、5%CO2、95%空気の気相下の炭酸ガス培養装置内に、フラスコ底面が上となるように静置して6日間培養した。培養6日後、フラスコ内の培地を除去したのち、20%FCS添加DMEMに交換し、細胞接着面が底面となるようにして炭酸ガス培養装置内でさらに16日間培養を続けた。なお、天井培養後の培地交換は4日毎に行った。単胞性脂肪細胞の増殖状況については、倒立顕微鏡下で毎日観察を行った。
【0021】
(3)FA数の測定
培養6、10、14、18および22日後に、単胞性脂肪細胞から増殖したFAを以下に示す方法で測定した。フラスコ内の培地を除去したのち、PBS-PVAで4回洗浄した。ついで、0.1%(w/v)トリプシン(Difco)、0.1%(w/v)エチレンジアミン四酢酸(EDTA; ナカライテスク)を添加したPBS(トリプシンEDTA-PBS)をフラスコ内に加えたのち、炭酸ガス培養装置内に5分間静置した。培養後、3%FCS添加DMEMを加えたのち遠沈管に移し、さらに同培地でフラスコ内を2回洗浄して細胞を回収した。その後、165G、3分間遠心洗浄し、20%FCS添加DMEMで細胞を再浮遊させたのち、血球計算盤を用いて細胞数を計算した。
【0022】
(4) 組織化学的検索
細胞質内における脂肪蓄積の組織化学的検索には、オイルレッドO染色(Hausman, G. J.: Stain Technology, 56: 149-154, 1981)を用いた。すなわち、10%ホルマリン(v/v)添加PBS(ホルマリン-PBS)をフラスコ内の培地に加えて20分間室温下で前固定した。さらに、フラスコ内の培地を除去し、再び10%ホルマリン-PBSを加えて1時間室温下で後固定した。その後、フラスコ内のホルマリン-PBSを除去し、蒸留水で2~3回洗浄した。0.5%(w/w)オイルレッドO-イソプロピルアルコール溶液と蒸留水を3:2で混合したのち、定性濾紙(No. 2、Advantec)で濾過して作成したオイルレッドO染色液をフラスコに入れ、1時間室温下で染色した。染色後、蒸留水で2~3回洗浄し、風乾させたのち倒立顕微鏡下で単胞性、多胞性およびFAの脂肪蓄積状況を観察した。
【0023】
2)結 果
コラゲナーゼ処理後の遠心分離操作によって、単胞性脂肪細胞からなる単一な細胞画分が得られた(図2-a)。皮下脂肪組織から採取された単胞性脂肪細胞数は、4g当たり約3×106個であった。
【0024】
フラスコ内に導入された全ての単胞性脂肪細胞は、フラスコ天井面(底面)に浮き上がり、細胞質に含まれる一つの大きな脂肪滴に押し出されて細胞の周辺部に移動した核を有する典型的な形態を呈した。天井培養2~3日後、一部の単胞性脂肪細胞は不完全ではあるが、フラスコ天井面に接着した。培養4日後には、大部分の細胞は細胞質の一部を伸長あるいは拡張させフラスコ天井面にしっかりと接着し、大型の脂肪滴の周辺に種々の大きさの脂肪滴を有する多胞性脂肪細胞へと形態変化した。多胞性脂肪細胞に含まれる脂肪滴はさらに分割され、小さくなるにつれて、多胞性脂肪細胞は細胞質をさらに伸長させ、線維芽細胞様の形態に変化する細胞が観察された。培養6日後には、線維芽細胞様の形態を呈する多胞性脂肪細胞の周辺部には、脂肪滴をまったく持たないFAが多数観察された(図2-a)。 その後、脂肪滴を持たないFAは活発に増殖したが、多胞性脂肪細胞は徐々に観察されなくなった(図2-b)。培養14日後、フラスコ内の細胞はFAのみとなり外観上コンフルエントに達した(図2-c)。
【0025】
天井培養終了後(培養6日後)には、フラスコ内の細胞をトリプシン処理および遠心分離することによって、脂肪滴を有する多胞性脂肪細胞を上層画分に、脂肪滴をもないFAを沈殿画分に分離することができた。天井培養後におけるFAの増殖曲線を図3に示した。培養6日後に採取されたFAは、約6×104個/25cm2であったが、急速に増加しコンフルエントに達した。例えば、培養18日後では、約1.4×106個/25cm2と約23倍にまで増加した。以上の結果から、ブタ単胞性脂肪細胞は多胞性脂肪細胞へ、さらにはFAへと形態変化したのち、活発に増殖し、コンフルエントにまで達することが示された。したがって、ブタ単胞性脂肪細胞を天井培養すれば、前駆脂肪細胞株樹立のための有用な材料であるFAを簡便かつ効率的に採取できることが明らかとなった。
【0026】
[実施例2]ブタFAの増殖および分化特性
ブタ単胞性脂肪細胞を天井培養すると細胞質に脂肪滴を持たないFAの効率的な採取が可能であることを実施例1で示した。もし、採取されたFAが継代培養後においても活発な増殖能および脂肪細胞への再分化能を有するとすれば、それらの細胞は、前駆脂肪細胞である。本実施例では、単胞性脂肪細胞から得られたFAが前駆脂肪細胞にまで脱分化するか、すなわち、FAは前駆脂肪細胞であるかを調べる目的で行った。まず、FA細胞が前駆脂肪細胞と同様な増殖および分化特性を有するかを、脂肪組織から採取したS-V細胞を対照区として比較検討した。さらに、FAの増殖および分化における至適条件についても調べた。
【0027】
1)材料および方法
(1) FAの増殖特性
FAの採取は、実施例1の(1)と同様の方法で行った。天井培養14日後、フラスコ内の培地を除去したのち、PBS-PVAで4回洗浄した。トリプシンEDTA-PBSをフラスコ内に加えたのち、炭酸ガス培養装置内に5~8分間静置した。培養後、3%FCS添加DMEMを加えたのち遠沈管に移し、さらに同培地でフラスコ内を2回洗浄して細胞を回収した。その後、165G、3分間遠心洗浄し、20%FCS添加DMEMで細胞を再浮遊させたのち、血球計算盤を用いて細胞数を測定した。
【0028】
一方、対照区であるS-V細胞の採取は、細胞懸濁液を遠心後、上層画分をピペットで吸引除去し、沈殿層のS-V画分を採取した以外は、実施例1の(2)と同様に行った。
【0029】
10%FCSおよび20%FCSを添加したDMEMのそれぞれに対して、FAおよびS-V細胞を104および105 個/mlとなるように播種したのち、35mmの培養皿(FALCON、 3001J)に播種した。5%CO2炭酸ガス培養装置内に静置して、培養16日後まで4日毎にそれぞれの細胞数を測定した。また、FAおよびS-V細胞の増殖状況の観察は、倒立顕微鏡を用いて毎日行った。
【0030】
(2) FAの分化特性
FAあるいはS-V細胞を、最終濃度1×104個/mlとなるように20%FCS添加DMEMで調整して培養皿に播種し、炭酸ガス培養装置内(37℃、5%CO2、95%空気)で10日間培養した。培養後、コンフルエント状態を確認したのち、FCSについては種々の濃度で、またデキサメタゾン(DEX; 0~2.5μM)、1-メチル-3-イソブチルキサンチン (IBMX; 0~5 mM)、あるいはインスリン (INS; 0~50μg/ml)などの分化誘導剤については、種々の濃度あるいは組み合わせで添加した分化誘導培地に交換して4日間培養した。培養後、再び20%FCS添加DMEMに交換し、さらに8日間培養した。分化状況は、グリセロール3リン酸デヒドロゲナーゼ (G3PDH) 比活性値およびオイルレッドO染色を指標として調べた。
【0031】
G3PDH活性測定に用いる細胞の調整は、PairaultとGreen (Pairault, J. and Green, H.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76: 5138-5142 ,1979)の方法に準じて行った。すなわち、培養12後まで4日毎、あるいは培養12日後に培養皿の培地を除去し、あらかじめ4℃に冷却しておいたPBSで細胞を2回洗浄したのち、1 mM EDTA添加した25 mMTris-HCl (pH 7.5) を加え、ラバーポリスマンで細胞をかき集めた。細胞塊を含むTris-HClをマイクロチューブに移し、150W、10秒間の超音波破砕処理して細胞を破壊した。ついで、4℃、12800 Gで5分間遠心分離したのち、上清を超遠心用チューブに移し、4℃、100000 G、60分間遠心分離した。遠心後に得られた上清(粗酵素液)をマイクロチューブに移し、G3PDH活性測定の直前まで-80℃で保存した。
【0032】
G3PDH活性の測定は、KozakとJensen (Kozak, L. P. and Jensen, J. T.: J. Biol. Chem., 249:7775-7781, 1974) の方法に従った。すなわち、0.5 Mトリエタノールアミン、10 mM EDTAおよび10 mMβ-メルカプトエタノールの混合溶液50μl、5mMジヒドロキシアセトンリン酸 (SIGMA) および0.5 mM NADH (オリエンタル酵母) を混合したものを反応液として用いた。融解直後の粗酵素液を反応液に加えて、攪拌したのち、ただちに分光光度計(25℃、340nm)を用いて、単位時間あたりの吸光度の変化を測定した。
【0033】
粗酵素液中のタンパク質濃度はLowryらの方法に従って測定した。すなわち、蒸留水で25倍希釈した粗酵素液に2%(w/v) Na2CO3と1%(w/v) CuSO4・5H2Oおよび2%(w/v)酒石酸カリナトリウムが50:1になるように混合したものを加えて10分間室温下に静置した。その後、1Nフェノール試薬を加えたのち、30分間静置した。発色反応後、分光光度計(750nm)を用いて吸光度を測定した。以上の操作によって得られたG3PDH活性値およびタンパク質含有量からG3PDH比活性値(units/mg protein) を以下に示す数式を用いて算出した。
G3PDH比活性値 (units/mg protein) =(100×t分間の吸光度変化量/1.25×t分)/粗酵素液中のタンパク質濃度(mg)
【0034】
2)結 果
(1) FAの増殖特性
継代培養したFAの増殖期における形態変化を調べた。培養24時間後、FAおよびS-V細胞にかかわりなく、播種されたほとんどの細胞は培養皿底面に接着した。その後、接着したFAおよびS-V細胞は伸長して線維芽細胞様の形態を示し、活発に増殖した。培養10日後には、いずれの細胞も培養皿一面に広がりほぼコンフルエントに達した。増殖期におけるFAおよびS-V細胞の形態的な差異は観察されなかった。FAおよびS-V細胞の増殖曲線を図4に示した。FAおよびS-V細胞の105個/ml播種区では、FCS濃度にかかわりなく急速に増殖し、培養8日後にはコンフルエントに達した。一方、104個/ml播種区においてもFAおよびS-V細胞は、FCS濃度にかかわりなく急速に増加し、培養12日後にはほぼコンフルエントに達した。しかし、FAの20%FCS添加区では培養12日後においても細胞数の増加が認められ、培養16日後には105個/ml播種区と同様の値を示した。
【0035】
(2) FAの分化特性
FAの分化にともなう形態変化を図5に示した。分化誘導直前のFAはコンフルエントに達しても線維芽細胞様の典型的な形態を示し、細胞質内に脂肪滴は観察されなかった(図5-a、 b)。0.25μM DEX、5μg/ml INS、0.5 mM IBMXおよび20%FCSを添加したDMEMを用いて分化誘導すると、分化誘導4日後には、FAは星状の形態を示し、細胞質内に小さな脂肪滴を有するものも観察された(図5-b)。分化誘導12日後には、細胞質は拡張し、細胞質内に種々の大きさの脂肪滴が多数観察された(図5-c)。また、図には示さなかったが、分化誘導後のS-V細胞においても一部が星状になったが、他のほとんどの細胞は線維芽細胞様の形態を維持した。しかし、培養12日後にはFAと同様に細胞質は拡張し、細胞質内に種々の大きさの脂肪滴を蓄積した細胞も観察された。
【0036】
分化誘導直前のコンフルエントに達したFAをオイルレッドO染色しても、染色された細胞は全く観察されなかった(図5-d)。しかし、分化誘導12日後のFAをオイルレッドO染色すると、培養皿底面のほぼ全体がオイルレッドO染色され(図5-f)、培養したFAのほとんどが成熟脂肪細胞へと分化することが示された。一方、S-V細胞では、コロニー状にオイルレッドO染色された部分が観察されたが、染色の程度はFAに比べて少なかった(図5-g)。また、分化誘導しないFAは、線維芽細胞様の形態が培養期間の全てにおいて維持され、培養12日後においてもオイルレッドO染色に陽性の細胞はほとんど観察されなかった(図5-e)。
【0037】
FAおよびS-V細胞の分化誘導後におけるG3PDH比活性値の変化を図6に示した。分化誘導剤無添加区では、FAおよびS-V細胞のいずれにおいてもG3PDH比活性値の上昇は培養12日後まで認められなかった。この結果は、FAが分化誘導剤によってのみ分化誘導され、自発的な分化を起こさないことを示している。一方、分化誘導剤添加区におけるFAおよびS-V細胞のG3PDH比活性値は、それぞれ分化誘導4および8日後から急速に上昇し、各培養日数間におけるその差は有意であった。分化誘導12日後におけるFAおよびS-V細胞のG3PDH比活性値は、それぞれ160および54 units/mg proteinであり、FAのG3PDH比活性値はS-V細胞に比べて約3倍高い値を示した。
【0038】
FAの分化に及ぼす血清濃度の影響を調べた。0.25μM DEX、5μg/ml INSおよび0.5 mM IBMX添加したDMEMに5、10、20あるいは40% (v/v) FCS添加した培地で分化誘導し、12日間培養した。その結果、G3PDH比活性値は、5~20%FCS添加区の間で濃度依存的に増加し、各区間に有意差が認められた。しかし、40%FCS添加区では、G3PDH比活性値は低下する傾向が認められた。これらの結果から、FAの分化誘導には分化誘導培地への20%FCS添加が至適濃度であることが示された。
【0039】
培地に添加するDEX、IBMXおよびINSなどの分化誘導剤の組み合わせがFAの分化に及ぼす影響を調べた(図7)。3種の分化誘導剤をそれぞれ単独あるいは組み合わせて添加し、培養12日後のG3PDH比活性値を測定した。その結果、IBMXおよびDEXのG3PDH比活性値は、INS添加区および対照区に比べて有意に高い値を示した。2種の分化誘導剤を組み合わせると、全ての区において対照区およびINS区と比べて有意に高い値を示した。特に、DEX+IBMX区では相乗効果が認められ、INS+IBMX区および全ての単独添加区と比べて有意に高い値を示した。さらに、3種を組み合せたDEX+IBMX+INS区の比活性値は、132 units/mg proteinと著しい相乗効果を示し、対照区および全ての実験区に比べて有意(p<0.001)に高い値を示した。ついで、DEX+IBMX+INS区に含まれる各分化誘導剤の至適濃度を調べた。その結果、DEX、IBMXおよびINSのいずれにおいても、それぞれ0.25μM、0.5 mMおよび5μ/mlまで濃度依存的に培養12日後におけるG3PDH比活性値を上昇させたが、それ以上の濃度では変化が認められなかった。以上の結果から、単胞性脂肪細胞由来のFAは、活発な増殖および分化能を有する前駆脂肪細胞であることが明らかとなった。
【0041】
[実施例3]ブタ前駆脂肪細胞の増殖および分化に及ぼす継代回数の影響
実施例2において、単胞性脂肪細胞から形成されるFAは前駆脂肪細胞であることが明らかとなった。したがって、この単胞性脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞(Porcine Peradipocytes derived from Matured Adipocytes : PPMA)が継代可能であり、また継代を繰り返しても安定した増殖および分化能が維持されるなら、PPMAはブタ前駆脂肪細胞株であることが明らかでる。本実施例では、ブタ前駆脂肪細胞株の樹立を目的として、PPMAを長期間にわたって継代培養し、継代間における増殖および分化能を比較検討した。
【0042】
1)材料および方法
(1) ブタ単胞性脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞の採取
と畜場において、6~7ヶ月齢の雄あるいは雌ブタ型5頭から皮下脂肪組織を採取し、約37℃に調整しておいた保温瓶に入れて1時間以内に実験室に持ち帰った。ついで、実施例1の方法で天井培養してPPMAを得た。
【0043】
(2) ブタ前駆脂肪細胞の継代培養および分化誘導
PPMAの継代培養法は前項に従って行われた。すなわち、トリプシンEDTA-PBSを用いてPPMAを培養皿底面から剥がし、遠心洗浄したのち、細胞数を血球計算盤を用いて算出した。ついで、最終濃度1×104個/mlとなるように20%FCS添加DMEMで再浮遊させ、細胞懸濁液2mlを培養皿に移し、37℃、5%CO2、95%空気の気相下の炭酸ガス培養装置内で10日間培養した。培地交換は4日毎に行い、以上の操作を継代毎に繰り返した。また、増殖状況の観察については、倒立顕微鏡を用いて毎日観察した。
【0044】
分化誘導については、継代培養10日後にコンフルエントに達しているPPMAの培地を0.25μM DEX、0.5mM IBMXおよび5μg/ml INSを含む20%FCS添加DMEMに交換し、4日間分化誘導した。その後、20%FCS添加DMEMに培地交換し5、さらに6日間培養した。培養10日後、PPMAをサンプリングし、前項2に示した方法にしたがってG3PDH比活性値を測定した。また、分化誘導後における細胞形態変化の観察は倒立顕微鏡を用いて毎日行った。
【0045】
2)結 果
増殖期におけるPPMAは線維芽細胞様の形態を示し、各継代間における形態的な違いは観察されなかった。PPMAの増殖に及ぼす継代回数の影響を図8-aに示した。5個体のうち4個体のPPMAでは、継代6~7代目において培養10日後における細胞数の減少が認められた。しかし、その後安定し、3個体由来のPPMAでは、継代37代目においても継代初期と同様の増殖能力が維持された。
【0046】
継代35代目におけるPPMAの染色体数の算定を分裂中期像の分析によって行った。PPMAの74%は2倍体(38染色体)であり、11%が39染色体であった。さらに、8%が38染色体以下であり、6%は構造異常および1%が58染色体以上であった。これらの結果は、PPMAが長期継代培養後においても正常な表現型が維持されること示している。
【0047】
PPMAの分化誘導後に観察される形態変化は、各継代間で違いは観察されなかった。また、3個体由来のPPMAでは、35代以上の継代を繰り返しても細胞質内に種々の大きさの脂肪滴を蓄積し、継代初期との形態的な違いは認められなかった。PPMAの分化に及ぼす継代回数の影響を図8-bに示した。3個体由来のPPMAでは、継代37代目までG3PDH比活性値は維持された。しかし、他の2個体由来のPPMAのG3PDH比活性値は、それぞれ継代3および16代目から急速に減少し、それぞれ継代12および22代目以降のG3PDH比活性値はいずれも分化誘導しない対照区(2~6units/mg protein)と同様の値まで低下した。以上の結果は、単胞性脂肪細胞由来のPPMAが、長期継代を経ても均一な増殖および分化特性を維持することを示しいる。したがって、PPMAは長期継代培養が可能なブタ前駆脂肪細胞株であることが明らかとなった。
【0048】
[実施例4]ニワトリFAの分化特性
本実施例では、ニワトリの腹腔脂肪組織から採取した単胞性脂肪細胞を天井培養し、得られたFAが前駆脂肪細胞にまで脱分化するかについて調べた。腹腔内脂肪組織から採取したS-V細胞を対照区とした。
【0049】
1)材料および方法
14日齢雄ニワトリを放血と殺した後、直ちに腹腔内脂肪を摘出し、重量を測定した。単胞性脂肪細胞およびFAの採取、ならびにそれらの培養法は、実施例1の(1)とほぼ同様の方法で行った。一方、S-V細胞の採取は、実施例2の(1)と同様の方法で行った。ニワトリの場合は、天井培養8日後に形成されるFAを継代培養したものを用いた。FAあるいはS-V細胞を、最終濃度1×105個/mlとなるように10%FCS添加DMEMで調整して培養皿に播種し、炭酸ガス培養装置内(37℃、5%CO2、95%空気)に静置して8日間培養した。培養後、コンフルエント状態を確認したのち、1μg/mlインスリン、10μg/mlトランスフェリンおよび12mg/ml BSAを含むDMEMに、0.1%脂肪酸濃縮液(GIBCO BRL)無添加あるいは添加した培地に交換して12日間培養した。培地交換は、4日毎に行った。分化状況は、G3PDH比活性値およびオイルレッドO染色を指標として調べた。G3PDH活性測定に用いる細胞の調整およびG3PDH比活性測定およびオイルレッドO染色の方法は、実施例2の(2)に従った。
【0050】
2)結果
ニワトリFAおよびS-V細胞の分化誘導後におけるG3PDH比活性値の変化を図9に示す。脂肪酸無添加区では、FAおよびS-V細胞のいずれにおいても培養4日後のG3PDH比活性値はやや上昇する傾向が認められたが、その後、培養12日後まで低下し、G3PDH比活性値の有意な上昇は認められなかった。また、脂肪酸無添加区においては、培養期間のいずれにおいても細胞質にオイルレッドO染色陽性の物質は観察されなかった。一方、脂肪酸添加区における分化誘導4日後のFAおよびS-V細胞のG3PDH比活性値は、無添加区と同様であり、有意な上昇は認められなかったが、分化誘導8日後におけるFAおよびS-V細胞のG3PDH比活性値はいずれも急速に上昇し、FAの比活性値はS-V細胞に比べて有意に高い値を示した。さらに、分化誘導12日後におけるG3PDH比活性値は、それぞれ79および60 units/proteinといずれも最高値を示した。これらの結果から、ニワトリFAは前駆脂肪細胞であることが示された。また、それらは脂肪酸によって分化誘導され、自発的な分化を起こさないことが示された。
【0051】
[実施例5]ニワトリ前駆脂肪細胞の増殖および分化に及ぼす継代回数の影響
実施例4において、ニワトリ単胞性脂肪細胞から形成されるFAが前駆脂肪細胞であることが明らかとなった。この単胞性脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞(Chick Preadipocyte drived from Matured Adipocytes:CPMA)が継代可能であり、また継代を繰り返しても安定した増殖および分化能が維持されるとすれば、CPMAはニワトリ前駆脂肪細胞株であると考えられる。本実施例では、ニワトリ前駆脂肪細胞株の樹立を目的として、CPMAを長期間にわたって継代培養し、継代間における増殖および分化能を比較検討した。
【0052】
1)材料および方法
CPMAの継代培養法は実施例3の(2)に従って行われた。すなわち、トリプシンEDTA-PBSを用いてCPMAを培養皿底面から剥がし、遠心洗浄したのち、細胞数を血球計算盤を用いて算出した。最終濃度1×105個/mlとなるように10%FCS添加DMEMで再浮遊させ、細胞懸濁液2mlを培養皿に移し、37℃、5%CO2、95%空気の気相下の炭酸ガス培養装置内で8日間培養した。培地交換は4日毎に行い、以上の操作を継代毎に繰り返した。増殖状況の観察については、倒立顕微鏡を用いて毎日観察した。分化誘導については、継代培養8日後にコンフルエントに達しているCPMAの培地を、実施例4の(2)に示した分化誘導培地に交換することによって行った。その後、さらに分化誘導培地中で12日間培養した。分化誘導12日後、CPMAをサンプリングし、実施例2の(2)に示した方法に従ってG3PDH比活性値を測定した。また、分化誘導後における細胞形態変化の観察は倒立顕微鏡を用いて毎日行った。
【0053】
2)結果
増殖期におけるCPMAは実施例3のブタ前駆脂肪細胞に比べるとやや平滑筋細胞様の形態を示したが、各継代間における形態的な違いについては観察されなかった。CPMAの増殖に及ぼす継代回数の影響を図10に示した。5例中2例のCPMAにおいてのみ、継代10~15代目の培養8日後における細胞数において減少が認められた。しかし、それ以外のCPMAでは、継代33代目においても継代初期と同様の増殖能力が維持された。
【0054】
分化誘導後に観察されるCPMAの形態変化は、各継代間で違いは観察されなかった。また、5例中2例のCPMAでは、33代以上の継代を繰り返しても、分化誘導後において細胞質内に種々の大きさの脂肪滴を蓄積し、継代初期との形態的な違いは認められなかった。CPMAの分化に及ぼす継代回数の影響を図11に示した。5例中2例のCPMAでは、継代33代目までG3PDH比活性値は維持された。しかし、他の3例のCPMAにおけるG3PDH比活性値は、それぞれ継代6、8および25代目から急速に減少し、それぞれ継代8、9および29代目以降のG3PDH比活性値はいずれも分化誘導しない対照区と同様の値(6~18 units/mg protein)まで低下した。以上の結果は、単胞性脂肪細胞由来のCPMAが、長期継代を経ても均一な増殖および分化特性を維持することを示しいる。したがって、CPMAは長期継代培養が可能なニワトリ前駆脂肪細胞株であることが明らかとなった。
【0055】
【発明の効果】
本発明により得られる効果を列記すると以下のようになる。
【0056】
1)終末分化を遂げた単胞性脂肪細胞は前駆脂肪細胞にまで脱分化することが明らかにされた。これは、脂肪細胞分化のモデルだけでなく、分化および脱分化の遺伝子レベルでの機構解明のための実験系となり得る。
【0057】
2)これらの前駆脂肪細胞は、形質転換(染色体レベルでの異常など)なしに長期継代可能である。すなわち、本発明により動物細胞由来の前駆脂肪細胞株を簡便にかつ短期間で再現性よく樹立することが可能となる。
【0058】
3)家畜あるいは家禽由来の前駆脂肪細胞株を用いて、増殖および分化を抑制する物質をスクリーニングすることができれば、それを家畜あるいは家禽に投与することによって、より効果的な体脂肪蓄積の制御が可能となる。この方法により現在行われている飼料エネルギーあるいは栄養素の調節による従来法の限界を解決するだけでなく、飼料効率のさらなる向上や、廃棄される脂肪を減少させ食料資源の効率化に貢献する。
【0059】
4)脂肪組織は形成される部位(腸間膜、腎臓周囲、皮下、精巣上体、筋肉組織など)ごとに異なる特性を有することが明らかにされつつある。本発明により各部位由来の前駆脂肪細胞が各個体ごとに採取されることから、各部位ごとの脂肪細胞分化の特性を個体差を含めて詳細に比較検討することが可能となる。
【0060】
5)筋肉組織内に交雑する脂肪(霜降り肉)は、食肉の商品価値を高めるが、本発明によって筋肉組織由来の前駆脂肪細胞株を樹立し、それらの特性を解明すれば、商品価値の高い畜肉生産を可能とする。
【0061】
6)内臓由来の前駆脂肪細胞を用いて、該細胞から生成および分泌される生理活性物質、特に肥満症あるいは成人病に深く関与するTNFα、レプチン、PAI-1などの生成機構を解明のための実験系となる。これによりインスリン抵抗性および肥満解消薬の開発あるいは動脈硬化の指標作りなどが可能となる。
【0062】
7)本発明によって単一な前駆脂肪細胞が得られることから、成熟脂肪細胞、血管上皮細胞あるいは血管周囲細胞、さらには筋細胞などとの共培養が可能となり、それらの細胞が脂肪細胞分化に及ぼす影響について調べることが可能となる。
【0063】
8)ダイオキシンあるいは合成樹脂などの内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)は脂溶性であり、脂肪組織に蓄積される。したがって、分化誘導した脂肪細胞を用いて、それらの物質の取り込みと排出のメカニズムを詳細に検討する実験系となる。
【0064】
9)脂肪細胞は分化過程において脂肪細胞特異的な遺伝子が整然と発現されることから、分化過程のどの位置にある細胞かを明確にとらえることが出来る。したがって、増殖期、分化前期、中期および後期さらには終末分化に至る任意の細胞を用意することができる。本発明をもちいれば、胎児期から成体由来の前駆脂肪細胞を容易に準備することが可能であり、また染色体異常を起こすことなく維持されることから体細胞クローン作成時のドナー細胞として使用できる。
【0065】
10)本発明は、成熟脂肪細胞が採取可能であれば前駆脂肪細胞を得られることを主に哺乳類および鳥類を対象として示した。このことは、爬虫類、両生類あるいは魚類、また、無脊椎動物例えば昆虫類などにおける脂肪細胞の分化特性等を調べるための実験系や物質生産系を構築することができる。
【0066】
【図面の簡単な説明】
【図1】単胞性脂肪細胞の天井培養法を示す図である。脂肪組織をコラゲナーゼ処理し、ろ過後に遠心分離して単胞性脂肪細胞(成熟脂肪細胞)群と間質血管系細胞群を分離した。培地を満たしたフラスコ内に単胞性脂肪細胞を播種し、6日間培養した。その間に単胞性脂肪細胞はフラスコ内において浮上し、天井面に接着する。培養6日後、フラスコ内の培養液を適量にし、接着面を底面に戻して培養を継続した。
【図2】ブタ単胞性脂肪細胞から形成された線維芽細胞様脂肪細胞(FA)の増殖。
a;培養6日後、多胞性脂肪細胞と脂肪滴を持たないFAが混在している。
b;培養10日後、多胞性脂肪細胞は減少し、FAの活発な増殖が観察される。
c;培養14日後、FAはほぼコンフルエントに達する。多胞性脂肪細胞は全く観察されない。
【図3】単胞性脂肪細胞から形成されたブタ線維芽細胞様脂肪細胞の増殖曲線(n=5)。
・20%FCS添加DMEM中で6日間天井培養した後、フラスコ内の培養液を適量にし、接着面を底面に戻してさらに16日間培養した。a~d:p<0.05。
【図4】ブタ線維芽細胞様脂肪細胞(FA)および間質血管系(S-V)細胞の増殖曲線。
・10%(●)あるいは20%(○)FCS添加したDMEMで細胞濃度104あるいは105個/mlで播種し、培養16日まで4日毎にFAおよびS-V細胞の細胞数を測定した。a~c:p<0.05。
【図5】ブタ線維芽細胞様脂肪細胞(FA)の分化に伴う形態変化およびオイルレッドO染色像。
a;培養10日後、コンフルエントに達したFAの細胞質には脂肪滴はまったく観察されない。
b;分化誘導4日後、FAは星状の形態を示し、細胞質内に小さな脂肪滴を有する細胞も観察される。
c;分化誘導12日後、FAの細胞質は拡張し、細胞質内に種々の大きさの脂肪滴が多数観察される。
d;分化誘導直前のコンフルエントに達しているFAのオイルレッドO染色像。培養皿に染色された部分は観察されない。
e;分化誘導しないFAは、培養12日後においても培養皿に染色された部分がほとんど観察されない。
f;分化誘導12日後におけるFAのオイルレッドO染色像。オイルレッドO染色されたFAが培養皿の全面に観察される。
g;分化誘導12日後におけるS-V細胞のオイルレッドO染色像。培養皿の底面にコロニー状に染色された部分が観察される。
【図6】分化誘導後におけるブタ線維芽細胞様脂肪細胞(FA)および間質血管系(S-V)細胞のグリセロール3リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)活性の変化(n=4)。
・0.25μMデキサメタゾン(DEX)、0.5mMイソブチルメチルキサンチン(IBMX)および5μg/mlインスリン(INS)を添加あるいは無添加した20%FCS添加のDMEMで4日間分化誘導したのち、20%FCS添加DMEMでさらに8日間培養した。分化誘導後、4日毎にG3PDH比活性値を測定した。a~c:p<0.05。
【図7】種々に分化誘導剤の組み合わせがブタ線維芽細胞様脂肪細胞の分化に及ぼす影響(n=6)。
・0.25μMデキサメタゾン(DEX)、0.5mMイソブチルメチルキサンチン(IBMX)、5μg/mlインスリン(INS)を種々の組み合わせで添加した20%FCS添加DMEMを用いて4日間分化誘導したのち、20%FCS添加DMEMでさらに8日間培養した。a~d:p<0.05。
【図8】ブタ線維芽細胞様脂肪細胞の増殖(a)および分化(b)に及ぼす継代回数の影響。
a)5個体由来のブタ前駆脂肪細胞を最終濃度1×104個/mlとなるように20%FCS添加DMEM中に播種したのち、培養10日後の細胞数を測定した。
b)コンフルエントに達した5個体由来のブタ前駆脂肪細胞の培地を、0.25μMデキサメタゾン、0.5mMイソブチルメチルキサンチンおよび5μg/mlインスリンを含む20%FCS添加DMEMで4日間分化誘導したのち、20%FCS添加DMEMでさらに6日間培養した。
【図9】分化誘導後におけるニワトリ線維芽細胞様脂肪細胞および間質血管系(S-V)細胞のG3PDH活性の変化(n=5)。
コンフルエントに達したニワトリ線維芽細胞様脂肪細胞の培地を、1μg/mlインスリン、10μg/mlのトランスフェリンおよび12mg/ml BSA添加DMEMに0.1%(v/v)脂肪酸濃縮液を添加、あるいは無添加の培地に交換し、12日間培養した。分化誘導後、4日毎にG3PDH比活性値を測定した。a~c:p<0.05。
【図10】ニワトリ単胞性脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞の増殖に及ぼす継代回数の影響(n=5)。 ニワトリ前駆脂肪細胞を最終濃度1×105個/mlとなるように10%FCS添加DMEM中に播種したのち、培養8日後の細胞数を測定した。
【図11】ニワトリ単胞性脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞の分化に及ぼす継代回数の影響(n=5)。
コンフルエントに達したニワトリ前駆脂肪細胞の培地を、0.1%(v/v)脂肪酸濃縮液、1μg/mlインスリン、10μg/mlのトランスフェリンおよび12mg/ml BSA添加DMEMに交換し、12日間培養した。分化誘導12日後にG3PDH比活性値を測定した。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10