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明細書 :結合水を含む複合材料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3871999号 (P3871999)
公開番号 特開2004-155819 (P2004-155819A)
登録日 平成18年10月27日(2006.10.27)
発行日 平成19年1月24日(2007.1.24)
公開日 平成16年6月3日(2004.6.3)
発明の名称または考案の名称 結合水を含む複合材料
国際特許分類 C08L 101/14        (2006.01)
C08L  87/00        (2006.01)
C08G  77/06        (2006.01)
FI C08L 101/14
C08L 87/00
C08G 77/06
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願2002-320202 (P2002-320202)
出願日 平成14年11月1日(2002.11.1)
審査請求日 平成17年10月26日(2005.10.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390026387
【氏名又は名称】武蔵エンジニアリング株式会社
【識別番号】390001421
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
発明者または考案者 【氏名】由井 浩
【氏名】生島 和正
個別代理人の代理人 【識別番号】100102314、【弁理士】、【氏名又は名称】須藤 阿佐子
審査官 【審査官】大熊 幸治
参考文献・文献 特開2002-053762(JP,A)
調査した分野 C08L 1/00-101/16
特許請求の範囲 【請求項1】
吸水性ポリマーの存在下、次式()または()で示される金属アルコキシドを水とアルコールの溶媒に溶かし、触媒としての酸またはアルカリを添加して、室温~80℃の温度で撹拌しながら反応させて得た結合水を含む金属酸化物3次元架橋体由来の、結合水の形に固定した水を含むことを特徴とする金属酸化物3次元架橋体と水とから成る複合体の複合材料。
(OR)a ()
(OR)n()a-n ()
ここでMはSi、Al、Ti、Zr、Ca、Fe、V、Sn、Li、Be、BおよびPからなる群から選択される原子であり、Rはアルキル基であり、Xはアルキル基、官能基を含むアルキル基、またはハロゲンであり、aはMの原子価であり、nは1からaまでの整数である。上記Xとしては、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ビニル基、またはエポキシ基を有するアルキル基である。
【請求項2】
吸水性ポリマーの存在下、Si(OC25)4 、Si(OCH3)4、Al(-iso-37)3、およびTi(-iso-37)4からなる群から選ばれる金属アルコキシドを加水分解重縮合させて得た結合水を含むバルク体である請求項1の複合材料。
【請求項3】
請求項1または2の複合材料を粉砕して得た複合材料粉末。
発明の詳細な説明 【0001】
【産業の属する技術分野】
本発明は、結合水を含み、帯電防止性、埃付着防止性が格段に優れ、日用品、農業用資材、工業製品など広い範囲に利用できる材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックは優れた成形性、機械的性質があり、しかも安価であるので工業製品、日用品などに大量に使用されている。ガラスも優れた透明性などの特性によって装飾品、日用品、建材、工業製品などに大量に用いられている。
しかしながらプラスチック、ガラスは帯電しやすく、また埃付着汚染が日常的に起こる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、木材、貝殻などの自然界の材料は帯電しにくく、埃も付着しにくい。その理由として、自然界の材料に含まれている結合水が帯電を防ぐ作用をしていることが考えられる。結合水は水素結合などによって他の物質(セルロースやタンパク質など)と相互作用して固定されたもので、100℃でもかなりの部分が揮発せずに残存する。
【0004】
本発明は、水を基本的に結合水の形に固定して、帯電防止性、埃付着防止性など、自然界の材料の持つ長所を付与した新しい材料を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結合水を含む金属酸化物3次元架橋体由来の、結合水の形に固定した水を含むことを特徴とする複合材料を要旨としている。
【0006】
また本発明は、吸水性ポリマーの存在下、金属アルコキシドを加水分解重縮合させて得た結合水を含むバルク体、またはそれを粉砕して得た粉末である結合水を含む金属酸化物3次元架橋体由来の、結合水の形に固定した水を含むことを特徴とする複合材料を要旨としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
結合水を含む金属酸化物3次元架橋体について説明する。
本発明で用いる金属アルコキシドは、次式(1)または(2)で示される化合物である。
【化1】
M(OR)a (1)
【化2】
M(OR)n(X)a-n (2)
ここでMはSi、Al、Ti、Zr、Ca、Fe、V、Sn、Li、Be、BおよびPからなる群から選択される原子であり、Rはアルキル基であり、Xはアルキル基、官能基を含むアルキル基、またはハロゲンであり、aはMの原子価であり、nは1からaまでの整数である。上記Xとしては、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ビニル基、またはエポキシ基を有するアルキル基が好適である。
特に好ましい金属アルコキシドとしては、Si(OC25)4 、Si(OCH3)4、Al(O-iso-C37)3、Ti(O-iso-C37)4 などが挙げられる。
【0008】
金属アルコキシドの加水分解重縮合反応は一般にゾル・ゲル法と呼ばれる反応の常法に従って行う。すなわち、金属アルコキシドを水とエタノールなどのアルコールとの混合溶媒に溶かし、触媒としての塩酸などの酸、またはアンモニアなどのアルカリを添加して、室温~80℃の温度で撹拌しながら反応させる。
【0009】
本発明において、金属アルコキシドを加水分解重縮合させた反応生成物を得る際に吸水性ポリマーを存在させることによって、結合水を含むバルク体である複合材料を得ることができる。
【0010】
用いる吸水性ポリマーは、ポリアクリル酸系、ポリビニルアルコール系、ポリ(N-ビニルアセトアミド)系、ポリアミノ酸系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルピロリドン系、ポリヒドロキシエチルアクリレート系、ポリビニルメチルエーテル系、ポリ(イソブチレン-マレイン酸)系、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸)系、ポリアクロキシプロパンスルホン酸系、ポリビニルホスホン酸系、ポリビニルピリジン系、ポリエチレングリコール系、ポリエチレンイミン系などの化学合成によって得られる吸水性ポリマーおよびアルギン酸、ポリグルタミン酸、ヒアルロン酸、カゼイン、コラーゲン、デンプン、ヒドロキシルセルロース、カルゲナンおよびこれらの金属塩、エステルなどの天然物由来の吸水性ポリマーのうちいずれか一つまたはその組み合わせである。なかでもポリアクリル酸系、ポリアミノ酸系、ポリ(N-ビニルアセトアミド)系の吸水性ポリマーが好ましく、特に、ポリアクリル酸金属塩部分架橋体を主体とするポリアクリル酸系吸水性ポリマーが経済性の上でも好ましい。
【0011】
本発明において、金属アルコキシドを加水分解重縮合させた反応生成物を含む水溶液を長時間室温で放置することによって、結合水を含む複合材料を得ることができる。また、金属アルコキシドを加水分解重縮合させた反応生成物を含む水溶液を室温~600℃で加熱処理することによって、結合水を含む複合材料をより短時間で得ることができる。
【0012】
得られた複合材料バルク体を機械的に粉砕して結合水を含む複合材料の粉末を得ることができる。
【0013】
【作用】
プラスチック、ガラスは帯電しやすく、埃付着汚染が日常的に起こる。一方、木材、貝殻などの自然界の材料は帯電しにくく、埃も付着しにくい。その理由として、自然界の材料に含まれている結合水が帯電を防ぐ作用をしていることが考えられる。結合水は水素結合などによって他の物質(セルロースやタンパク質など)と相互作用して固定されたもので、100℃でもかなりの部分が揮発せずに残存する。本発明は、結合水を含む金属酸化物3次元架橋体を得て、帯電防止性、埃付着防止性が格段に優れた材料を提供するものであり、電気・電子機器、自動車、航空機などの工業製品や農業用資材、土木用資材、日用品など広い範囲に利用できる。
【0014】
【実施例】
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0015】
実施例1
100mlビーカーに純水11.75g(0.65mol)にポリアクリル酸金属塩部分架橋体を主体とするポリアクリル酸系吸水性樹脂0.02gを加え、常温で10分間撹拌した。ここにさらにエチルアルコール18.8g(0.41mol)、テトラエトキシシラン12.5g(0.06mol)、塩酸0.75g(0.0045mol)を加え、75℃のホットスターラーで撹拌した。撹拌開始から3.5時間後に溶液からゲル体を生じた。生じたゲル体を室温にて10日間、自然放置し、ガラス状の複合材料バルク体を得た。
【0016】
得られた複合材料バルク体の熱分析結果[TG・DTA曲線]を自由水と比較して図1に示した。TG曲線によって、自由水は約80℃でほとんど全部減量してしまうのに対して、本複合材料バルク体は100℃でも揮発せずに残存する水を含み、結合水を約20%含むものであることがわかった。
【0017】
得られた複合材料バルク体は優れた帯電防止性、埃付着防止性を示した。
【0018】
実施例2
実施例1で得られた複合材料バルク体を機械粉砕して平均粒径20μmの粉末を得た。この粉末をポリプロピレン100重量部に対して1重量部配合して2軸押出機を用いて280℃で混練してペレットを得た。得られたペレットを成形温度280℃で射出成形して平板状の試験片を得た。得られた試験片は優れた帯電防止性、埃付着防止性を示した。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、結合水を含む金属酸化物3次元架橋体を得て、帯電防止性、埃付着防止性が格段に優れた材料を提供するものであり、電気・電子機器、自動車などの工業製品や農業用資材、土木用資材、日用品など広い範囲に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得られた複合材料バルク体(a)の熱分析結果を自由水(b)と比較して示したTG・DTA曲線である。
図面
【図1】
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