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明細書 :繊維状固体炭素集合体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3876313号 (P3876313)
公開番号 特開2004-161521 (P2004-161521A)
登録日 平成18年11月10日(2006.11.10)
発行日 平成19年1月31日(2007.1.31)
公開日 平成16年6月10日(2004.6.10)
発明の名称または考案の名称 繊維状固体炭素集合体の製造方法
国際特許分類 C01B  31/02        (2006.01)
D01F   9/127       (2006.01)
FI C01B 31/02 101Z
D01F 9/127
請求項の数または発明の数 5
全頁数 10
出願番号 特願2002-328231 (P2002-328231)
出願日 平成14年11月12日(2002.11.12)
審査請求日 平成14年11月12日(2002.11.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人 北海道大学
発明者または考案者 【氏名】武笠 幸一
【氏名】綱渕 輝幸
【氏名】末岡 和久
個別代理人の代理人 【識別番号】100078134、【弁理士】、【氏名又は名称】武 顕次郎
審査官 【審査官】大工原 大二
参考文献・文献 特開昭57-117623(JP,A)
特開昭58-156512(JP,A)
特表2003-535802(JP,A)
特開2001-196064(JP,A)
特表2003-510462(JP,A)
特開2002-141633(JP,A)
特開2000-090809(JP,A)
特許請求の範囲 【請求項1】
繊維状体の表面、繊維状体の内部ならびに繊維状体と繊維状体の隙間に触媒微粒子を付着する工程と、
その触媒微粒子付きの繊維状体を無酸素の高温下で炭化水素ガスと接触させることにより、前記繊維状体を炭化するとともに、繊維状体の表面、繊維状体の内部ならびに繊維状体と繊維状体の隙間に無数の超微小グラファイトフィラメントを生成・成長させる工程と
を含むことを特徴とする繊維状固体炭素集合体の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の繊維状固体炭素集合体の製造方法において、
前記グラファイトフィラメントを成長させた繊維状体にバインダーを混合または含浸してフィラメント集合層を形成する工程と、
そのフィラメント集合層の表面を研磨してグラファイトフィラメントを露出する工程と
を含むことを特徴とする繊維状固体炭素集合体の製造方法。
【請求項3】
繊維状体を炭化する工程と、
その炭化した繊維状体の表面、繊維状体の内部ならびに繊維状体と繊維状体の隙間に触媒微粒子を付着する工程と、
その触媒微粒子付きの繊維状体を高温下で炭化水素ガスと接触させることにより、炭化した繊維状体の内部ならびに繊維状体と繊維状体の隙間に無数の超微小グラファイトフィラメントを生成・成長させる工程と、
前記グラファイトフィラメントを成長させた繊維状体にバインダーを混合または含浸してフィラメント集合層を形成する工程と、
そのフィラメント集合層の表面を研磨してグラファイトフィラメントを露出する工程と
を含むことを特徴とする繊維状固体炭素集合体の製造方法。
【請求項4】
請求項2または3記載の繊維状固体炭素集合体の製造方法において、
前記フィラメント集合層を形成する工程でサポート部材上にフィラメント集合層を形成し、
そのフィラメント集合層の表面を研磨した後にサポート部材をフィラメント集合層から剥離する工程を含むことを特徴とする繊維状固体炭素集合体の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の繊維状固体炭素集合体の製造方法において、
前記サポート部材上に水溶性接着剤層を形成し、その水溶性接着剤層の上に前記フィラメント集合層を形成し、
前記サポート部材をフィラメント集合層から剥離する工程で、前記水溶性接着剤層を水で溶解してサポート部材をフィラメント集合層から剥離することを特徴とする繊維状固体炭素集合体の製造方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電界放出電子源(具体的には電子銃の針)、各種ガスの吸着材、電池の電極材、超微小緩衝材、超微小弾性体など広い技術分野で適用が可能な繊維状固体炭素集合体製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電界放出する電子銃などの針は、1本の形状になっていた。そのため使用途中で電子銃の針が破損すると、針の交換を余儀なくされていた。
【0003】
炭素からなるナノチューブ状繊維の生成核となる例えば鉄などの金属を主成分とする金属基板に多数の貫通穴を形成し、その金属基板の表面ならびに貫通穴の周壁に、カーボンナノチューブ状繊維の被膜を形成したものを、電界放出電子源として用いることが提案されている(下記特許文献1参照)。またカーボンナノチューブ状繊維の製造方法については、下記特許文献2~4などに記載された提案がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001-229806号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2000-203820号公報
【0006】
【特許文献3】
特開2000-327317号公報
【0007】
【特許文献4】
特開2001-48510号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように金属基板の表面にカーボンナノチューブ状繊維を成長させたものは種々の優れた性能を有しているが、本発明はカーボンナノチューブ状繊維などの超微小グラファイトフィラメントの数をさらに増加した繊維状固体炭素集合体製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の第1の手段は、繊維状体の表面、繊維状体の内部ならびに繊維状体と繊維状体の隙間に例えばニッケルなどの触媒微粒子を例えば含浸法あるいはイオン交換法などで付着する工程と、
その触媒微粒子付きの繊維状体を無酸素の高温下で例えばメタンなどの炭化水素ガスと接触させることにより、前記繊維状体を炭化するとともに、繊維状体の表面、繊維状体の内部ならびに繊維状体と繊維状体の隙間に無数の超微小グラファイトフィラメントを生成・成長させる工程とを含むことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第2の手段は、前記第1の手段において、
前記グラファイトフィラメントを成長させた繊維状体にバインダーを混合または含浸してフィラメント集合層を形成する工程と、
そのフィラメント集合層の表面を研磨してグラファイトフィラメントを露出する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第3の手段は、繊維状体を炭化する工程と、
その炭化した繊維状体の表面、繊維状体の内部ならびに繊維状体と繊維状体の隙間に触媒微粒子を付着する工程と、
その触媒微粒子付きの繊維状体を高温下で炭化水素ガスと接触させることにより、炭化した繊維状体の内部ならびに繊維状体と繊維状体の隙間に無数の超微小グラファイトフィラメントを生成・成長させる工程と、
前記グラファイトフィラメントを成長させた繊維状体にバインダーを混合または含浸してフィラメント集合層を形成する工程と、
そのフィラメント集合層の表面を研磨してグラファイトフィラメントを露出する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第4の手段は、前記第2または第3の手段において、
前記フィラメント集合層を形成する工程でサポート部材上にフィラメント集合層を形成し、
そのフィラメント集合層の表面を研磨した後にサポート部材をフィラメント集合層から剥離する工程を含むことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第5の手段は、前記第4の手段において、
前記サポート部材上に水溶性接着剤層を形成し、その水溶性接着剤層の上に前記フィラメント集合層を形成し、前記サポート部材をフィラメント集合層から剥離する工程で、前記水溶性接着剤層を水で溶解してサポート部材をフィラメント集合層から剥離することを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図とともに説明する。図1は本発明の一実施形態に係る繊維状固体炭素の集合体を製造するための装置の断面図、図2ないし図4は本発明で使用する繊維基材の形態を説明するための図、図5はグラファイトフィラメントの成長過程を説明するための模式図、図6は繊維状体の表面にグラファイトフィラメントが成長した状態を示す模式図、図7は繊維状体の内部にグラファイトフィラメントが成長した状態を示す模式図、図8は繊維状体と繊維状体の隙間にグラファイトフィラメントが成長した状態を示す模式図、図9はフィラメント集合体層を形成した中間体の断面図、図10は繊維状固体炭素集合体を用いて構成した表示装置の断面図である。
【0020】
後述するグラファイトフィラメントの担体となる繊維基材1は、図2に示すように幅広のものを渦巻き状に巻いて、上下からプレスして全体的に平板状にしたもの、図3に示すように所定の広さにカットしたものを多数枚重ねて、上下からプレスして全体的に平板状にしたもの、図4に示すように幅広のものを交互に折り畳んで、上下からプレスして全体的に平板状にしたものなどが用いられる。
【0021】
この繊維基材1は、合成繊維、天然繊維あるいは無機繊維などの織布、不織布、紙、フエルト類、植毛体、ダンボール紙状などから構成されている。
【0022】
前記合成繊維としては、例えばポリアミド系、ポリエステル系、ポリエチレンテレフタレート系、アクリロニトリル系、ポリビニールアルコール系などの合成繊維が用いられる。前記天然繊維としては、例えば木綿、麻、絹、羊毛などが用いられる。前記無機繊維としては、例えばガラス繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、炭素繊維どが用いられる。
【0023】
その他に籾殻を炭化して粉砕した籾殻炭粉、またはセルロースのミクロフィブリル(微小セルロース分子結晶構造)を含んだ海藻類や細菌類などとのハイブリッド利用も可能である。
【0024】
この繊維基材1の表面ならびに内部に、グラファイトフィラメントの生成核となる触媒が担持される。この触媒には例えばニッケル、コバルト、鉄、銅、モリブデンの単独あるいはこれらの合金(例えばNi-Co,Ni-Fe-Co,Ni-Mo,Fe-Ni-Moなど)、あるいはこれらに白金、ロジウム、銀などの貴金属を添加したものが用いられる。
【0025】
具体的には、例えば低級アルコールと酢酸ニッケルの混合溶液などが用いられ、この溶液に繊維基材1を浸透させて乾燥することにより、含浸法またはイオン交換法で繊維基材1の表面ならびに内部のほぼ全体に微粒子状の触媒金属が担持される。
【0026】
この触媒付きの繊維基材1が図1に示す反応室2内にセットされる。反応室2内には、枠部材3と、その上に載置された金網やエキスパンデットメタルなどからなる通気性の良い支持部材4が多段に設けられ、各段に触媒付きの繊維基材1が載置される。
【0027】
反応室2の下部にガス導入口9が、上部にガス排出口10が、それぞれ設けられている。また反応室2の上部に、単一あるいは積層構造の磁石などからなる磁界発生手段5が設けられ、この磁界発生手段5により反応室2内の上下方向に磁界磁束が形成される。さらに反応室2内は加熱ヒータ(図示せず)によって高温状態に維持されている。反応温度は500℃~900℃が好ましく、特に650℃以上が好適である。
【0028】
ガス導入口5からは、ガス状の炭化水素あるいはそれを含む混合物が反応室2内に導入される。前記炭化水素としては、例えばアルカン、アルケン、アルキンの鎖式炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素などが用いられる。また炭化水素を含む混合物としては、例えば天然ガスや石油ガスなどが用いられる。さらに必要に応じてアルゴンや窒素などの不活性ガスを混合することもできる。
【0029】
炭化水素としてメタンガスを用いた場合、前記触媒の存在下で次の化学反応が起こり、六員環(グラフェン)の多層構造を有する単結晶、多結晶あるいは煤状のグラファイトフィラメントが生成・成長する。この化学反応はメタンの直接分解反応であるから、同時に純水素を副生する反応でもある。
【0030】
CH4 →C+2H2
図5は、グラファイトフィラメントが生成・成長する様子を模式的に示す図である。最初、微粒子状の触媒金属がグラファイトフィラメントの生成核として機能し、高温のため溶融状態に近い触媒7に炭素原子が取り込まれ、触媒7から炭素原子がチューブ状に押し出されて中空状のグラファイトフィラメント6の生成が始まる。このように触媒7を介しての炭素原子の取り込みと押し出しを繰り返すことにより中空状グラファイトフィラメント6が徐々に成長する。これ以外の形態を有するグラファイトフィラメントも成長する。
【0031】
触媒7として前述のようにNi,Co,Fe,Ni-Co,Ni-Fe-Co,Ni-Mo,Fe-Ni-Moなどのように磁性を有するものを用い、図1に示すように磁界発生手段5により一定方向に磁界が形成されていると、その磁界の影響でグラファイトフィラメント6は一定方向(磁界方向)に成長し、グラファイトフィラメント6の方向性を揃えるとともに、その成長を促進することができる。
【0032】
なお、金属は通常、キュリー温度(例えばFe:800℃、Ni:350℃)に達すると磁性を失う可能性があるとされている。しかし、物質は原子レベルでは微振動していることから磁気共鳴現象などが存在しており、このことから前述のような高温条件下にあっては金属微粒子からなる触媒7は磁界の影響を受け、そのためにグラファイトフィラメント6が一定方向に成長しているものだと考えられる。
【0033】
磁界のかけ方によっては、グラファイトフィラメント6をほぼ直線状に成長させたり、あるいはコイルバネ状、U字状、S字状、、W字状、9字状、円弧状などの非直線状に成長させたりすることが可能である。コイルバネ状などの非直線状に成長させたグラファイトフィラメント6の集合体は微小の弾性を有しているため、微小バネなどの微小緩衝材や微小弾性材として使用することが可能である。
【0034】
図6ないし図8は、グラファイトフィラメント6の生成、成長の様子を模式的に示す図である。グラファイトフィラメント6の担体として使用される繊維基材1は、反応室2内の高温と無酸素状態によってすでに炭化されている。そして図6に示すように繊維基材1を構成している炭化した1本1本の繊維状体8の表面、図7に示すように繊維状体8の内部、ならびに図8に示すように繊維状体8と繊維状体8の隙間などに無数のグラファイトフィラメント6が生成、成長している。
【0035】
これらの図ではほぼ直線状に成長したグラファイトフィラメント6を示しているが、磁界のかけ方を工夫することにより、直線状に成長したグラファイトフィラメント6の中に非直線状に成長したグラファイトフィラメント6を混在させたり、非直線状に成長したグラファイトフィラメント6を主体とすることも可能である。
【0036】
図6ないし図8では繊維状体8の表面、内部、繊維状体8の隙間の状態を別々に描いたが、実際には同じ繊維基材1のいたるところに図6ないし図8に示す状態で無数のグラファイトフィラメント6が成長している。
【0037】
このグラファイトフィラメント6の長さはおおよそ1μm~100μm程度、太さはおおよそ10nm以上で1μm未満程度である。
【0038】
本実施形態では繊維基材1を反応室2内で炭化させたが、反応室2内にセットする前に別の工程または同一反応炉内の前処理工程で予め無酸素の高温状態で繊維基材1を炭化させてもよい。
【0039】
一回目の反応後、前述と同様の触媒処理をして、二回目の成長反応を行なう。グラファイトフィラメント6は長さ方向の成長を続けながら、同時に全体を太らせる成長も起こる。このような成長が必要ならば、前述の触媒処理とグラファイトフィラメント6の生成反応を複数回繰り返せばよい。反応回数は、グラファイトフィラメント6の最終状態に依存するが、通常、1~2回が適当である。
【0040】
グラファイトフィラメント6の生成反応によって出た水素ガスは、図1に示すガス排出口10から取り出される。水素ガスによる爆発を防止するため、原料として供給される炭化水素ガスに予め適当量の不活性ガス(Ar.N2 など)を混入しておくとよい。
【0041】
次に、このようにして無数のグラファイトフィラメントを成長・担持した繊維基材を用いて表示装置用電子銃の針を作成する方法を説明する。
【0042】
前述のグラファイトフィラメントを成長・担持した繊維基材を機械的に押し潰し粉砕して微細粒子とし、これにバインダーとして高分子(例えばエポキシ樹脂や紫外線硬化性樹脂など)あるいはガラス物質を含浸または混練する。後述の研磨工程に耐えられるように金属板やセラミック板などからなる板状のサポート部材を用い、そのサポート部材の上に前述の混練物をシート状に引き延ばして固化し、フィラメント集合体層を形成する。このときサポート部材の表面に予めポリビニールアルコール(PVA)やカルボシキメチルセルロース(CMC)などの水溶性接着剤を塗布して乾燥し、その上にフィラメント集合体層を塗布して固化する。
【0043】
図9は、このフィラメント集合体層を形成した中間体を示す断面図である。同図に示すようにサポート部材11の上に水溶性接着剤層12を介して、所定の厚さを有するフィラメント集合体層13が形成されている。
【0044】
前述の例ではグラファイトフィラメントを成長・担持した繊維基材を粉砕して使用したが、この他に、グラファイトフィラメントを成長・担持した繊維基材を機械的に押し潰して板状など所定の形状にして、それの内部ならびに表面にバインダーとして高分子あるいはガラス物質を含浸または混練し、それを前記サポート部材の表面に固着することも可能である。
【0045】
また、水溶性接着剤層12の代わりに両面粘着テープを使用することも可能である。
【0046】
次にフィラメント集合体層13の表面を砥石で研磨し、表面にバインダーで覆われていないグラファイトフィラメントを露出させる。このように露出した無数のグラファイトフィラメントが、電子銃の針となる。このとき表面粗度は、数十μmの粗い精度で十分である。これは電子銃の針(露出したグラファイトフィラメント)の先端部が収まる真空層の厚さが約100μm前後であるからである。このように真空層を比較的厚くしたのは、真空層を形成するためにスペーサとして介在するセラミックボール(例えばガラス中空ボール)のコスト低減を図るためである。
【0047】
本実施形態では砥石によりフィラメント集合体層13を研磨したが、ダイシングソーなど他の手段を用いることも可能である。さらにフィラメント集合体層13を研磨するのに、例えば半導体関連研磨技術のCMP(Chemical MechanicalPolishing )などの超精密研磨法を使用して精密加工を行ない、前述の真空層をもっと薄くすることも可能である。
【0048】
電極とのコンタクトが必要なため、図9に示す中間体のサポート部材11を剥離し、フィラメント集合体層13の裏面を軽く研磨して、裏面にもグラファイトフィラメントを露出させる。前述のようにサポート部材11とフィラメント集合体層13は水溶性接着剤層12で一体化されているから、水で水溶性接着剤層12を溶解することにより容易にサポート部材11を剥離することができる。
【0049】
図10は、この電子銃を用いた表示装置の断面図である。図中の14は所定の形状にパターンニングされた電極、13は電極14上に設置されたフィラメント集合体層で、表面には無数のグラファイトフィラメント6が露出しており、各グラファイトフィラメント6が電子銃の針として機能する。グラファイトフィラメント6は互いに接触したり、あるいは炭化した繊維状体8を介して電気的に接続されている。
【0050】
15は真空層、16は蛍光体層、17はガラス層である。フィラメント集合体層13と蛍光体層16の間にはスペーサとしてのセラミックボール(図示せず)が介在されており、それによって真空層15の厚みが確保されている。
【0051】
図11ないし図13は、本発明の他の実施形態を示す図である。本実施形態では例えばセラミックや金属などからなる基体18上に、図11と図12に示すように触媒インキ19で所望のパターンあるいは模様などを印刷によって描く。触媒インキ19は、例えばアルコール類などの有機液体あるいは(ならびに)水の溶媒に、例えば酢酸ニッケルなどの触媒成分を含んだ化合物を溶解したもので、溶液中の触媒含有率は5~30重量%程度が望ましい。
【0052】
触媒インキ19を付着した基体18を図1に示す支持部材4上に載置し、高温状態で炭化水素ガスと接触させることにより、図13に示すように基体18上にグラファイトフィラメント6を成長させてフィラメント集合体層13を形成する。成長したグラファイトフィラメント6は、磁界発生手段5により形成される磁界の影響でその成長方向がほぼ揃っている。また、形成されたフィラメント集合体層13の平面形状は、印刷された触媒インキ19のパターンと同一である。
【0053】
前記実施形態ではグラファイトフィラメントを成長・担持した繊維基材を粉砕して微粒子状にして、その微粒子とバインダーを混合して成形したが、用途によっては前述のグラファイトフィラメントを担持した繊維基材を粉砕しないでそのまま使用することも可能である。
【0054】
本発明に係る繊維状固体炭素集合体は、電界放出電子源の他に例えば水素ガスを始めとする各種ガスの吸着・吸蔵体、脱臭剤、フィルター、燃料電池や太陽電池などの電池用電極、電磁波吸収(あるいは遮蔽)体、プローブ、微小緩衝体、微小弾性体など各種産業分野に適用可能である。
【0055】
【発明の効果】
前述のように本発明は、繊維状体の表面、繊維状体の内部ならびに繊維状体と繊維状体の隙間に無数の超微小グラファイトフィラメントを成長させたことを特徴とするものである。この繊維状体はその表面、内部さらに隣接する繊維状体の隙間など、いたるところに触媒微粒子を担持することができるから、グラファイトフィラメントの数を莫大に増加することが可能となる。
【0056】
このようにグラファイトフィラメントの数が増えれば、それの機能の向上、例えば均一な電界電子放出、ガス吸着・吸蔵量の増加、電磁波吸収(あるいは遮蔽)機能の向上あるいは微小緩衝体や微小弾性体の実現を図ることができる。
【0057】
また磁界を与えることにより、グラファイトフィラメントを直線状あるいは非直線状などの任意の形態にコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る繊維状固体炭素の集合体を製造する装置の断面図である。
【図2】本発明で使用する繊維基材の形態を説明するための図である。
【図3】本発明で使用する繊維基材の形態を説明するための図である。
【図4】本発明で使用する繊維基材の形態を説明するための図である。
【図5】グラファイトフィラメントの成長過程を説明するための模式図である。
【図6】繊維状体の表面にグラファイトフィラメントが成長した状態を示す模式図である。
【図7】繊維状体の内部にグラファイトフィラメントが成長した状態を示す模式図である。
【図8】繊維状体と繊維状体の隙間にグラファイトフィラメントが成長した状態を示す模式図である。
【図9】フィラメント集合体層を形成した中間体の断面図である。
【図10】繊維状固体炭素集合体を用いて構成した表示装置の断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る触媒インキを印刷した基体の上面図である。
【図12】その触媒インキを印刷した基体の断面図である。
【図13】その基体上にグラファイトフィラメントを成長させた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1:繊維基材、2:反応室3:枠部材、4:支持部材、5:磁界発生手段、6:グラファイトフィラメント、7:触媒、8:繊維状体、9:ガス導入口、10:ガス排出口、11:サポート部材、12:水溶性接着剤層、13:フィラメント集合体、14:電極、15:真空層、16:蛍光体層、17:ガラス層、18:基体、19:触媒インキ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12