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明細書 :水産物または農産物の光処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3727560号 (P3727560)
公開番号 特開2002-142665 (P2002-142665A)
登録日 平成17年10月7日(2005.10.7)
発行日 平成17年12月14日(2005.12.14)
公開日 平成14年5月21日(2002.5.21)
発明の名称または考案の名称 水産物または農産物の光処理方法
国際特許分類 A23B  4/03      
A23G  3/00      
A23L  1/212     
A23L  1/29      
A23L  1/305     
A23L  1/325     
A23L  1/33      
A23L  1/333     
FI A23B 4/04 501A
A23G 3/00 104
A23L 1/212 101
A23L 1/29
A23L 1/305
A23L 1/325 A
A23L 1/33 C
A23L 1/333 Z
請求項の数または発明の数 9
全頁数 11
出願番号 特願2001-258826 (P2001-258826)
出願日 平成13年8月28日(2001.8.28)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成12年2月29日 社団法人化学工学会発行の「化学工学会第65年会(2000)研究発表講演要旨集」に発表
優先権出願番号 2000257958
優先日 平成12年8月28日(2000.8.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成15年1月7日(2003.1.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】青木 秀敏
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】内田 淳子
参考文献・文献 特開昭60-234541(JP,A)
特開平11-089510(JP,A)
特開平10-127263(JP,A)
特開平06-343385(JP,A)
特開平09-322705(JP,A)
特開2001-252061(JP,A)
乾燥時における水産物のアミノ酸含量変化に及ぼす光の影響,化学工学会第65年会(2000)研究発表講演要旨集,日本,社団法人化学工学会,2000年 2月29日,714頁
調査した分野 A23B 4/03
A23G 3/00 104
A23L 1/212 101
A23L 1/29
A23L 1/305
A23L 1/325
A23L 1/33
A23L 1/333
特許請求の範囲 【請求項1】
アミノ酸含有の水産物または農産物の乾燥時もしくは加温時に、UV-A域の紫外線を照射してアミノ酸含量を増大させることを特徴とする水産物または農産物の光処理方法。
【請求項2】
平均アミノ酸量もしくは特定アミノ酸量を増大させることを特徴とする請求項1の水産物または農産物の光処理方法。
【請求項3】
UV-A域の紫外線の照射を温風乾燥時に行うことを特徴とする請求項1または2の水産物または農産物の光処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかの方法による干しイカの製造方法であって、生イカの乾燥時にUV-A域の紫外線を照射することを特徴とする旨味が増強された干しイカの製造方法。
【請求項5】
請求項4の干しイカの製造方法であって、生イカの乾燥時にUV-A域の紫外線とともに、赤(中心波長650nm)、緑(中心波長550nm)、および青(中心波長450nm)の1種以上の光を照射することを特徴とする旨味が増強された干しイカの製造方法。
【請求項6】
旨味成分であるグルタミン酸が生イカの5倍以上であることを特徴とする旨味が増強された干しイカ。
【請求項7】
請求項6の干しイカであって、総アミノ酸量が生イカの3倍以上であることを特徴とする旨味が増強された干しイカ。
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれかの方法によりアミノ酸含量が増大されていることを特徴とする加工もしくは半加工の魚介類。
【請求項9】
請求項1ないし3のいずれかの方法によりアミノ酸含量が増大されていることを特徴とする加工もしくは半加工の農産物。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、アミノ酸含量を増大させることのできる水産物または農産物の光処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、イカは生で食用にするほかスルメや一夜干しなど乾燥した干物として広く食用に供されているもので、わが国では身近にある食品である。そして、干しイカとするための乾燥法としては、天日干しや温風乾燥、赤外線乾燥など、いろいろな方法がとられている。だが、実際的には、天日干しは気候条件に左右され手間隙のかかり生産性に劣るため、人工的な温風乾燥、赤外線乾燥などで製造されることが多い。しかし、一方で、干しイカとしての旨味は天日干しに劣るという問題がある。
【0003】
干物としての魚介類の旨味は、温風乾燥や赤外線乾燥等による人工乾燥による場合よりも、天日干しの場合がより優れているとのことは、各種の魚介類について知られていることでもある。
【0004】
このような従来の知見を踏まえ、人造乾燥であっても天日干しと同様の旨味を持ち、変色を抑えるための方法として、シラス等の魚介類の乾燥中、あるいは乾燥後に紫外線を照射することが提案されてもいる(特開平11-89510号公報)。
【0005】
しかしながら、この提案されている方法においては、シラスが対象とされていて干しイカについては検討されていないし、干物の旨味と紫外線照射との関係や、さらには、干物の旨味を増強させることの可能性については全く考慮されていないのが実情である。
【0006】
また、この出願の発明者により得られている知見によれば、紫外線の照射については、イカ干物に限られずに、各種の水産物、さらに農産物について紫外線照射によりアミノ酸増大との特異的関係が見出されており、しかもこの関係は、紫外線の特有波長域のものにより実現されるとのことも、上記の従来例によっては全く開示も示唆されていないのである。
【0007】
この出願の発明は、以上のとおりの従来の事情に鑑みてなされたものであって、生イカよりもその旨味が増強された干しイカと、そのための干しイカの製造方法を提供することをはじめ、各種の水産物や農産物についての新しい光照射による処理方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記のとおりの課題を解決するものとして、第1には、アミノ酸含有の水産物または農産物の乾燥時もしくは加温時に、UV-A域の紫外線を照射してアミノ酸含量を増大させることを特徴とする水産物または農産物の光処理方法を提供し、第2には、平均アミノ酸量もしくは特定アミノ酸量を増大させることを特徴とする上記の水産物または農産物の光処理方法を、第3には、UV-A域の紫外線の照射を温風乾燥時に行うことを特徴とする水産物または農産物の光処理方法を提供する。
【0009】
そして、この出願の発明は、第4には、前記第1ないし第3のいずれかの発明の方法による干しイカの製造方法として、生イカの乾燥時にUV-A域の紫外線を照射することを特徴とする旨味が増強された干しイカの製造方法を提供し、第5には、生イカの乾燥時にUV-A域の紫外線とともに、赤(中心波長650nm)、緑(中心波長550nm)、および青(中心波長450nm)の1種以上の光を照射することを特徴とする旨味が増強された干しイカの製造方法を、第6には、これらの光の照射に際し、生イカの温風乾燥を行うことを特徴とする旨味が増強された干しイカの製造方法を提供する。
【0010】
第6には、旨味成分であるグルタミン酸が生イカの5倍以上であることを特徴とする旨味が増強された干しイカを提供し、第7には、この干しイカについて、総アミノ酸量が生イカの3倍以上であることを特徴とする旨味が増強された干しイカを提供する。
【0011】
さらにこの出願の発明は、第8には、第1ないし第3のいずれかの方法によりアミノ酸含量が増大されていることを特徴とする加工もしくは半加工の魚介類を提供し、第9には、上記のいずれかの方法によりアミノ酸含量が増大されていることを特徴とする加工もしくは半加工の農産物を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0013】
まず、なによりも、この出願の発明においては、これまで全く報告されていない、UV-A域の紫外線照射による含有アミノ酸の増大の方法が提供される。
【0014】
この含有アミノ酸増大の対象となる水産物、農産物は、採取時あるいはそして光処理前の状態としてアミノ酸を含有しているものであって、各種のものであってよい。水産物では、たとえば海、湖、河川等より得られる魚介類や海藻類が例示される。また農産物では、米、麦をはじめ、天然あるいは栽培により得られる各種のものが対象となる。これら対象物は、採取後のものでも、半加工や加工されて乾燥や加温処理される状態のものでもよい。UV-A域の紫外線は、乾燥時もしくは加温時に照射されることになる。温風乾燥、すなわち、一般的にはたとえば25℃以上の温度で温風乾燥する場合に照射されること等が考慮される。
【0015】
UV-A域の紫外線の照射によって、この出願の発明では、含有されているアミノ酸量を増大させることが、このアミノ酸含量の増大については、総アミノ酸あるいは平均アミノ酸含有量を増大させること、もしくは対象とする水産物や農産物の種類に応じて、特定種のアミノ酸を顕著に増大させることの少くともいずれかの特定アミノ酸の増大は、たとえば旨味成分としてのグルタミン酸の増大として、あるいは旨味に反映されるにがみを強くする場合、身体の健康調整を促すアミノ酸等を増大させる場合等として非常に大きな効果をもたらすことになる場合として実現されている。
【0016】
たとえば以下に、この出願の発明において顕著な作用効果を奏することが確認される。イカの例について説明する。
【0017】
この出願の発明によれば、旨味が増強された干しイカが提供される。この場合の旨味の増強は、
1)旨味成分であるグルタミン酸が生イカの5倍以上であること、
として規定される。さらにまた、このグルタミン酸についての規定とともに、
2)総アミノ酸量が生イカの3倍以上であること
として規定される。
【0018】
グルタミン酸の増加率、そして総アミノ酸の増加率が2倍未満の場合には、官能試験においてもほとんど変わらないこと、並びに、天日乾燥の場合でも、せいぜい2倍程度までであることからすると、この発明の提供する干しイカは画期的なものである。
【0019】
以上のような旨味の増強された干しイカの提供は、この出願の発明者による旨味成分としてのグルタミン酸やアミノ酸と乾燥時の光照射との関係についての詳細な検討の結果を踏まえて可能とされている。
【0020】
この出願の発明の旨味の増強された干しイカの提供は、イカが含有するアミノ酸に着目し、イカを温風乾燥する際に各種の光源からいろいろな波長の光線を照射して乾燥前後で(生イカと干しイカとで)のアミノ酸変化量と波長との相関を検討し、図1に示すように旨味成分であるグルタミン酸がUV-A領域(中心波長350nm)の紫外線により約生イカの7倍程度増加することおよび苦味成分を呈するアミノ酸であるバリンは2.6倍程度増加することが見出され、一方、より短波長のUV-C領域(中心波長250nm)の紫外線を照射すると干しイカに含まれるグルタミン酸は3.6倍程度増加するが同時に苦味成分のバリンも3.2倍程度増加したことが見出されたことを具体的な契機としている。UV-C領域の紫外線は大気中のオゾン層で吸収され地表には殆ど届いていないことを考えると天日干しのイカが旨いのは太陽光に含まれるUV-A領域の紫外線が旨味成分であるグルタミン酸を増加させているためであると結論でき、このような知見から、人工乾燥においても天日干し以上のイカの旨味を持つ人工乾燥による干しイカを製造することが可能とされる。
【0021】
そこで、この出願の発明である旨味の増強された干しイカの製造方法について説明すると、生イカの乾燥時にUV-A領域の紫外線を照射することが必須の要件となる。この場合のUV-A域の紫外線は、中心波長が350nmの光として考慮されるが、波長の範囲としては、300nmを超えて430nm程度として、より好ましくは、波長が320~380nmの範囲にある紫外線として考慮される。
【0022】
旨味成分としてのグルタミン酸の増強は、UV-A域の紫外線が酵素を活性化することによるものと考えられる。この酵素の活性化による増強効果はUV-A域の紫外線の作用として選択的である。
【0023】
また、旨味成分としてのグルタミン酸の増大の効果は、図1にも示されているように、赤(中心波長650nm)、緑(中心波長550nm)、および青(中心波長450nm)の光の照射によっても認められることから、これらの光の1種または2種以上をUV-A域の紫外線と併用することも有効である。旨味成分のグルタミン酸はより効果的に増強されることになる。
【0024】
なお、UV-C(中心波長250nm)の紫外線もある程度グルタミン酸を増大させるが、苦味成分のバリンをも増大させるため、この発明においては使用しないこととする。
【0025】
そして、この出願の発明においては、UV-A(中心波長350nm)の紫外線を単独で、あるいは、前記のとおりの赤、緑、青の光とともに照射する場合、乾燥は、乾燥時に行うこととする。乾燥処理前、あるいは乾燥処理後の照射では、前記のとおりに規定される旨味の増強された干しイカを製造することはできない。
【0026】
乾燥は、温風乾燥とすることが好ましい。その例としては、対象とするイカの温度(品温)を、27℃~35℃程度の範囲に保ち、温風の絶対湿度を、0.01kgH2 O/kgDryAir以下に保ち、2~10時間程度乾燥処理することが挙げられる。
【0027】
UV-A域等の光は、この乾燥時間に対応して照射されることが望ましい。
【0028】
また、乾燥の対象とする生イカは、あらかじめ臓物を除去し、水洗いした後のものとする。この場合、適宜な大きさに切断しておいてもよい。
【0029】
以上のような干しイカの製造だけではなく、この出願の発明によるUV-A域紫外線照射の効果は、たとえば以下に実施例として説明する、イカの場合をはじめ、ホタテ、かつお、タコ、アワビ等の魚介類、そして、せんべい(米菓)、椎茸等の農産物においても顕著である。
【0030】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。
【0031】
【実施例】
<実施例1>
生イカの臓物を除去して水で洗浄の後、半分に切り、一方は生の状態で、他方は以下に述べる方法で乾燥し干しイカにした上で、除タンパク処理をした後に高速液体クロマトグラフィを用いてそれぞれの遊離アミノ酸を測定した。測定したアミノ酸はプロリン、グリシン、バリン、セリン、タウリン、スレオニン、アラニン、シスチン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、イソロイシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、アルギニン、リジンの計18種である。図2、図3および図4はその結果を示したものである。増加率は干しイカに含まれる遊離アミノ酸量を生イカに含まれる遊離アミノ酸量で除し、1.0を差引いて100倍して%表示で示した。したがって増加率100%は干しイカの遊離アミノ酸量が生イカの2倍であることを示す。
【0032】
また、図1中の「温」の表示は、温風乾燥だけの場合を示している。
【0033】
イカの乾燥は先に述べた半分切の部分を図5に示した実験乾燥装置を用いて行った。この装置では、温風発生器(1)からの温風を木製の風洞(縦65×横94×長さ150cm)に導き、一様な流れで風洞を通りぬけ、ダクトから室外に排気される。風洞内は空気の流れに沿って二つに分けられ、実験能率を上げるように、それぞれ異なる波長の光を照射できるようにした。温風にさらし、イカ(3)の両側に、風洞内に設置した各種ランプ(2)で光照射しながら、イカの温度(品温)30℃、温風の絶対湿度を0.007kgH2 O/kgDryAirに一定に保ちながら6時間乾燥した。照射光の波長は、赤(中心波長650nm)、緑(中心波長550nm)、青(中心波長450nm)、UV-A紫外線(中心波長350nm)、UV-B紫外線(中心波長300nm)、UV-C紫外線(中心波長250nm)の6種類である。
【0034】
干しイカのアミノ酸増加率は先に述べた方法で求め、3回の実験の平均値として算出した。プロリン、グリシン、グルタミン酸(旨み成分)、バリン(苦味成分)の増加率を増加した波長に対して(参照として照射しないたんに温風乾燥の場合をあわせて)前記図1に示した。旨み成分のグルタミン酸はUV-A照射で最も増加し生イカの約7倍になったのに対しその他の波長では4倍程度しか増加しておらず単一波長域光で4倍以上の増加はUV-A照射でのみ得られた。苦味成分のバリンはUV-A照射では2.6倍程度増加しているがグルタミン酸の増加が大きいため旨みの増加がより顕著である。またUV-C照射ではグルタミン酸の増加と同等の増加が苦味成分(バリン)でも見られ、一般に苦味は旨みを損なうことが多く好ましくないことがわかる。
【0035】
さきに述べた18種のアミノ酸のすべてを加えた総アミノ酸量の比率を照射光波長に対して示すと図6となり、UV-A、UV-C照射は他の波長の光に対して遊離アミノ酸を増加させる効果が大きいことがわかる。ここで比率とは、干しイカに含まれる遊離アミノ酸量を生イカに含まれるアミノ酸量で除し、100倍して%表示で示した。比率100%は、干しイカのアミノ酸量が生イカと同じであることを示す。UV-A、UV-C照射が遊離アミノ酸を増加させる原因を見るため、生イカを酵素阻害剤(市販品、弗化フェニルメチルスルホニル:PMSF)で処理し酵素を失格させた上で同様な乾燥処理をしてその総アミノ酸量を測定し、アミノ酸量の比率を求めた。その結果は図7に示され、UV-C以外は生イカと大差なかった。酵素が有効に作用する図6の結果と図7の結果を比較すると、イカに含まれるタンパク分解酵素が活性化することにより遊離アミノ酸が増加しているのであり、紫外線のエネルギーでタンパクが直接分解される効果はUV-C以外では殆ど遊離アミノ酸増加には寄与しないと考えることができる。また、総アミノ酸量を酵素を失格させた場合と有効に作用する場合で比較すると図8のようになり、すべての波長域で100%下回ることが示される。以上のことから、太陽光照射のもとで乾燥される天日干しのイカがおいしい理由は太陽光に含まれる波長成分、特にUV-A成分によりタンパク分解酵素が活性化され、その結果遊離アミノ酸が増加するためであると考えられる。
<実施例2>
図9はイカ以外の水産物として、ホタテを選び,UV-A域の紫外線照射の効果が、イカの場合と同様にホタテの場合にも生じるかを示した結果である。縦軸は各アミノ酸の増加比率を示し、図6~図8と同じ指標である。各アミノ酸は図2~図4の18種類にタウリンを加えた19種類で、一番右端が19種類のアミノ酸を平均した値である。温風乾燥の場合、平均アミノ酸量の増加比率は128%で乾燥前より1.28倍増えているが、UV-A照射の場合は186%であり、温風乾燥の場合より1.44倍アミノ酸量が増えている。しかも19種類のアミノ酸のほとんどのアミノ酸が温風乾燥の場合より増加している。
【0036】
このように、ホタテでもイカと同様な効果が現れることが確認された。
<実施例3>
図10は水産物として、かつおを選び,UV-A域の紫外線照射の効果が、イカの場合と同様にかつおの場合にも生じるかを示した結果である。縦軸は各アミノ酸の増加比率を示し、図6~図8と同じ指標である。各アミノ酸は図2~図4の18種類にタウリンを加えた19種類で、一番右端が19種類のアミノ酸を平均した値である。温風乾燥の場合、平均アミノ酸量の増加比率は235%で乾燥前より2.35倍増えているが、UV-A照射の場合は335%であり、温風乾燥の場合より1.43倍アミノ酸量が増えており、ほたての場合の1.44倍と類似している。しかも19種類のアミノ酸のほとんどのアミノ酸が温風乾燥の場合より増加している。
【0037】
このように、かつおでもイカと同様な効果が現れることが確認された。
<実施例4>
図11は水産物として、あわびを選び、UV-A域の紫外線照射の効果が、イカの場合と同様にかつおの場合にも生じるかを示した結果である。縦軸は各アミノ酸の増加比率を示し、各アミノ酸は図2~図4の18種類にタウリンを加えた19種類で、一番右端が19種類のアミノ酸を平均した値である。温風乾燥の場合、平均アミノ酸量の増加比率は145%で乾燥前より1.45倍増えているが、UV-A照射の場合は186%であり、温風乾燥の場合より1.28倍アミノ酸量が増えている。しかも19種類のアミノ酸のすべてのアミノ酸が温風乾燥の場合より増加している。
【0038】
このように、あわびでもイカと同様な効果が確認された。
<実施例5>
せんべいにはもち米を原料としたものと、小麦粉を原料としたものの2種類がある。この実施例では、前者のもち米を原料としたものの例を示している。すなわち、せんべいはもち米を混練りし蒸したものを、乾燥させ、オーブンで焼くことにより作られる。その製造工程の中の乾燥工程に、UV-A域の紫外線を照射しながら温風乾燥させた後焼いた場合と、温風だけで乾燥後焼いた場合とを比較した結果を図12に示す。品温は30℃で、乾燥時間は4時間であり、他の条件については、イカと同様である。縦軸、横軸は図9と同じである。
【0039】
温風乾燥の場合、平均アミノ酸量の増加比率は229%で乾燥前より2.28倍増えているが、UV-A照射の場合は352%であり、温風乾燥の場合より1.54倍アミノ酸量が増えている。しかも19種類のアミノ酸のうち測定されなかったバリンを除いた18種類のアミノ酸すべてが温風乾燥の場合より増加している。
【0040】
このように、食品であるもち米せんべいでもイカと同様な効果が現れたことから、アミノ酸を含んでいる他の食品にも同様な効果が現れると判断される。
<実施例6>
図13は農産物として、椎茸を選び、乾燥過程におけるUV-A域の紫外線照射の効果が、イカ等の水産物の場合と同様に農産物の場合にも生じることを示した結果である。実験は生椎茸にイカの場合と同じ条件で6時間乾燥させ、乾燥前と乾燥後のアミノ酸含量を測定した。縦軸横軸は図9と同様である。温風乾燥の場合、平均アミノ酸量の増加比率は284%で乾燥前より2.84倍増えているが、UV-A照射の場合は322%であり、温風乾燥の場合より1.13倍アミノ酸量が増えている。増加率が他に比べて少ないが、19種類のアミノ酸のうち、一番含量の多いヒスジジンが1.67倍、3番目に含量が多いスレオニンが1.38倍、プロリンは4.51倍、タウリンが1.33倍と増加率が多いアミノ酸もある。
【0041】
このように、農産物である椎茸でもイカと同様な効果が現れることが確認された。
【0042】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、各種の水産物、さらには農産物について、UV-A域の紫外線照射により、含有アミノ酸を増大させることができ、たとえば旨味が増強された干しイカ等が実現されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】干しイカ製造時の4種のアミノ酸増加率に及ぼす光の影響を例示した図である。
【図2】アミノ酸の増加率に及ぼす光の影響を例示した図である。
【図3】図2と別の他のアミノ酸の増加率に及ぼす光の影響を例示した図である。
【図4】図2および図3とは別の他のアミノ酸の増加率に及ぼす光の影響を例示した図である。
【図5】実験装置を示した概要図である。
【図6】総アミノ酸量の増加に及ぼす光の影響を例示した図である。
【図7】総アミノ酸量に及ぼす光の影響を酵素失活した場合について例示した図である。
【図8】総アミノ酸量に及ぼす酵素失活の影響を例示した図である。
【図9】ホタテの場合の結果について例示した図である。
【図10】かつおの場合の結果について例示した図である。
【図11】アワビの場合の結果について例示した図である。
【図12】せんべい(米菓)の場合の結果について例示した図である。
【図13】椎茸の場合の結果について例示した図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12