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明細書 :Al-N系光吸収体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3880845号 (P3880845)
公開番号 特開2002-277627 (P2002-277627A)
登録日 平成18年11月17日(2006.11.17)
発行日 平成19年2月14日(2007.2.14)
公開日 平成14年9月25日(2002.9.25)
発明の名称または考案の名称 Al-N系光吸収体
国際特許分類 G02B   5/22        (2006.01)
C23C  14/34        (2006.01)
G02B   5/00        (2006.01)
FI G02B 5/22
C23C 14/34 N
G02B 5/00 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 14
出願番号 特願2001-367081 (P2001-367081)
出願日 平成13年11月30日(2001.11.30)
優先権出願番号 2000369995
優先日 平成12年12月5日(2000.12.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成15年8月20日(2003.8.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】石黒 孝
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】柏崎 康司
参考文献・文献 特開平10-298753(JP,A)
特開2000-171601(JP,A)
特許第2816786(JP,B2)
調査した分野 G02B 5/00.5/20-5/22
特許請求の範囲 【請求項1】
Alをターゲット材とする平行平板型スパッタリング装置を用いて、Ar,N2 の混合ガスをスパッタガスとし、形成されるAl-N系膜であって、AlとAlNの混合状態となし、成長に伴いAl-N系膜の表面の凹凸を増大させ、該Al-N系膜の表面の反射率を著しく低下させ、紫外・可視・近赤外波長領域の光の殆どを吸収する1μm以下の膜厚の膜からなるAl-N系光吸収体。
【請求項2】
請求項1記載のAl-N系光吸収体において、前記スパッタリング装置はRFスパッタリング装置であることを特徴とするAl-N系光吸収体。
【請求項3】
請求項1記載のAl-N系光吸収体において、前記スパッタリング装置はDCスパッタリング装置であることを特徴とするAl-N系光吸収体。
【請求項4】
請求項1記載のAl-N系光吸収体において、前記作製されたAl-N系光吸収体の膜は、基板側では金属光沢を有し、膜表面側では黒色となっており、前記膜表面で吸収しきれなかった光を再び前記膜基板側で反射し戻す傾斜機能膜であることを特徴とするAl-N系光吸収体。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Al-N系光吸収体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般に光吸収膜には“金黒”で知られたAu原子の煤状体がある。
【0003】
また、この種の膜に類似する研究はDao-yuang et al.:J.Vac.Sci.Technol.A14(6),(1996)3092に見られるが、これは窒素ガス濃度のみに着目し、膜中窒素濃度のみが膜特性を決定すると結論付けている。また、光学特性評価も0.2~1.1μmの範囲でしか成されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したAu原子の煤状体は、指でなぞれば直ぐ取れてしまうような固定性がよくないものであった。
【0005】
また、Dao-yuang et al.もいまだ技術的に満足のいくものではなかった。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みて、固定性がよく、材料のコストが低く、しかも広帯域の光の大きな吸収を示すことができる、Al-N系光吸収体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕Alをターゲット材とする平行平板型スパッタリング装置を用いて、Ar,N2 の混合ガスをスパッタガスとし、形成されるAl-N系膜であって、AlとAlNの混合状態となし、成長に伴いAl-N系膜の表面の凹凸を増大させ、該Al-N系膜の表面の反射率を著しく低下させ、紫外・可視・近赤外波長領域の光の殆どを吸収する1μm以下の膜厚の膜からなる。
【0008】
〔2〕上記〔1〕記載のAl-N系光吸収体において、前記スパッタリング装置はRFスパッタリング装置であることを特徴とする。
【0009】
〔3〕上記〔1〕記載のAl-N系光吸収体において、前記スパッタリング装置はDCスパッタリング装置であることを特徴とする。
【0010】
〔4〕上記〔1〕記載のAl-N系光吸収体において、前記作製されたAl-N系光吸収体の膜は、基板側では金属光沢を有し、膜表面側では黒色となっており、前記膜表面で吸収しきれなかった光を再び前記膜基板側で反射し戻す傾斜機能膜であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本発明の実施例を示す平行平板型RFスパッタリング装置を用いたAl-N系光吸収体の製造方法を示す模式図である。
【0013】
この図において、1はAlターゲット、2はガラス基板、3はAr,N2 の混合ガスからなるスパッタガス、4はガラス基板2上に形成される紫外・可視・近赤外波長領域の光の殆どを吸収する1μm以下の膜厚の膜からなるAl-N系光吸収体である。
【0014】
AlNとAlは適当に混ざり合いながらガラス基板2上に堆積していく。堆積表面には膜厚の増加と共に凹凸が形成され、光を反射しなくなる(黒くなる)。この膜の特性は、スパッタガスのN2 濃度に左右される。
【0015】
なお、膜のガラス基板2側は、ガラス基板2が平滑なため当然平滑になり、この面が金属光沢を持つ。そのため表面で吸収しきれなかった光を再び膜基板側で反射し戻すことができる。つまり、スパッタガスのN2 濃度が一定であるにもかかわらず、傾斜機能膜となっている。
【0016】
このように、Alをターゲット材とする平行平板型RFスパッタリング装置を用いて、Ar,N2 の混合ガスをスパッタガスとし、その混合比及び堆積時間(膜厚)を制御することにより、紫外・可視・近赤外波長領域の光の殆どを吸収する1μm以下の膜厚の膜からなるAl-N系光吸収体を得ることができる。
【0017】
そのAl-N系光吸収体の膜は、AlとAlNの適度な混合状態にあり、成長に伴い膜表面の凹凸が増大し、膜表面側の反射率を著しく低下させることができる。
【0018】
また、作製されたAl-N系の光吸収体の膜は、基板側では金属光沢を有し、膜表面側で黒色となっており、膜表面で吸収しきれなかった光を再び膜基板側で反射し戻す傾斜機能膜である。
【0019】
このように構成したので、本発明により作製されたAl-N系光吸収体の膜は紫外・可視・近赤外波長領域で大きな光吸収率を有するため、例えば太陽光〔地上太陽光は波長0.25~2.35μmに分布(AM=1)〕の95%を吸収できるため、光熱エネルギー変換膜として利用できる。
【0020】
また、光ファイバー通信(0.85,1.3,1.55μm帯など)におけるターミネータとして利用することができる。この他上記波長範囲の光を利用するデバイス、機器における散乱光処理に適応可能である。
【0021】
さらに、本膜はスパッタ膜成長過程において自己傾斜機能構造を獲得しており、一成膜条件で一様な膜が形成されるという従来の発想を打破するドライプロセス技術であるため、現在の半導体デバイス等の製造工程に容易にとり入れることができる。
【0022】
図2は本発明にかかる説明における記号及びそれらの意味を示す図である。
【0023】
図中の記号は以下の意味を有する。
【0024】
0 :垂直入射透過率
d :拡散透過率
T :総透過率(TT =T0 +Td
0 :垂直入射反射率〔=R12:鏡面反射率(入射角度=12°)〕
d :拡散反射率
T :総反射率(RT =R0 +Rd
A:試料による吸収率
ここで、R0 は垂直入射反射率であるが、入射角度=12°の鏡面反射率R12として実験的に求めた。これらの定義を前提として、エネルギー保存則は次式で与えられる。
【0025】
1=(T0 +Td )+(R0 +Rd )+A=TT +RT +A
また、以下の記述において入射方向が膜側の場合はfilの上付き添え字を、入射方向が基板側の場合はsubの上付き添え字を用いて区別する。
【0026】
図3は本発明にかかる膜側垂直入射透過率(T0 fil )のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す。図4は図3における部分拡大であり、横軸に波長(μm)、縦軸に膜側垂直入射透過率(T0 fil )を示している。
【0027】
Ar/N2 混合スパッタガス中のN2 濃度を0.0から16.1%N2 まで変化させた場合の#7059ガラス上の膜(Al-N及びAl)膜の透過率波長依存性を示している。11.5%N2 、16・1%N2 の膜は透明膜となり干渉効果が現れている。0.0%N2 から9・4%N2 の膜の透過率は0.24~2.6μmの範囲ではほとんど0である。
【0028】
図5は本発明にかかる膜側入射総透過率(TT fil )のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す。図3と比較してTT fil =T0 fil であり、拡散透過率(Td fil =TT fil -T0 fil )は殆ど無視できることが分かる。
【0029】
図6は本発明にかかる膜側鏡面反射率(R0 fil =R12fil :入射角12°)のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す図であり、横軸に波長(μm)、縦軸に膜側鏡面反射率R0 fil を示している。
【0030】
ここでは、図3に対応する膜の膜側反射率〔R0 fil (λ)〕を示しており、2.6%N2 から7.3%N2 の膜は、紫外、可視領域でほとんど反射せず、近赤外領域の増加が見られる。
【0031】
図7は、本発明にかかる基板(#7059)側の鏡面反射率(R0 sub =R12sub :入射角12°)N2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す図であり、横軸に波長(μm)・縦軸に基板側鏡面反射率(R0 fil )を示している。
【0032】
ここでは、図3に対応する膜の基板側反射率〔R0 sub (λ)〕を示す。11.5%N2 、16.1%N2 の膜は透明膜となり干渉効果が現れている。図6の膜側鏡面反射率と比較して、ガラス基板の影響を考慮したとしても明らかな膜の表裏の差異が有る事が分かる。従って2.6%N2 から7.3%N2 の膜は膜表面側では光を吸収し、基板側では反射するという傾斜機能を有している事が分かる。
【0033】
図8は本発明にかかる膜側拡散反射率〔Rd fil (λ)〕のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す。図9は図8における部分拡大であり、横軸に波長(μm)、縦軸に膜側拡散反射率Rd fil を示している。N2 ガス濃度0%のAl膜から窒素ガス濃度増加とともに拡散反射率(鏡面反射を除く)は徐々に減少し、9.4%N2 以上では殆ど無視できる程度まで変化している。
【0034】
図10には本発明にかかる膜側総反射率〔RT fil (λ)=R0 fil +Rd fil 〕のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す。これは図6の膜側鏡面反射率〔R0 fil (λ)〕と図8及び図9に示した膜側拡散反射率〔Rd fil (λ)〕の和として計算されている。N2 ガス濃度増加とともに全波長領域で膜側総反射率〔RT fil (λ)〕は減少し、7.3%N2 で最小値を示し、9.4%N2 で一旦増加し、その後、透過に伴い減少している。
【0035】
図11には本発明にかかるエネルギー吸収率〔A(λ)〕のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す。ここで、〔TT fil (λ)〕を測定し、〔A(λ)=1-TT fil (λ)-RT fil (λ)〕により計算した。A(λ)は7.3%N2 で全波長領域にわたり最大のエネルギー吸収率を示している。
【0036】
図12は本発明にかかるAM=1太陽光に対する吸収率(α)のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す図であり、横軸はN2 濃度(%)、縦軸は太陽光(AM=1)エネルギー吸収率αを示している。
【0037】
Al-N膜(400nm)と#7059ガラス基板全体による膜側吸収率はA(λ)=1-TT fil (λ)-RT fil (λ)で与えられる。これにAM=1の地上太陽スペクトル〔K.W.Boer,So1ar Energy 19,525(1977)〕を乗じて波長に対して積分することで太陽光エネルギー吸収率を算出した。この図によると、2.6%N2 から7.3%N2 においてαは0.8を越える高い吸収率を示している。
【0038】
図13は本発明にかかる7.3%N2 膜側垂直入射透過率〔T0 fil (λ)〕の膜厚依存性を示し、図14は膜側入射総透過率〔TT fil (λ)〕を示している。横軸は波長(μm)、縦軸はそれぞれの透過率を示している。図13と図14には殆ど差異が見られない。これは〔TT fil (λ)-T0 fil (λ)=Td fil (λ)〕であるので拡散反射が殆ど無視できる事を意味している。
【0039】
図13及び図14では、7.3%N2 膜のそれぞれの透過率の膜厚依存性を示す。膜厚はAl-N膜成膜後に膜厚既知のMgOを被覆し、表面粗さ計にて測定した。膜厚増加とともに透過率は減少し、400nm以上の膜ではほとんど透過しない膜となっている。
【0040】
図15は本発明にかかる7.3%N2 膜の膜側鏡面反射率R0 fil (λ)〔=R12fil (λ)〕の膜厚依存性を示す図であり、横軸は波長(μm)、縦軸は反射率R0 fil を示している。
【0041】
ここでは、7.3%N2 膜の膜側鏡面反射率の膜厚依存性を示しており、膜厚増加とともに反射率は減少している。
【0042】
図16は本発明にかかる7.3%N2 膜の膜側拡散反射率〔Rd fil (λ)〕の膜厚依存性を示す図であり、横軸は波長(μm)、縦軸は反射率(Rd fil )を示している。膜厚増加とともに反射率の極大値は長波長側に移行しつつ増大し500nm以上では近赤外領域に広がっている。
【0043】
図17は本発明にかかる膜側総反射率〔RT fil (λ)〕の膜厚依存性を示す図であり、横軸は波長(μm)、縦軸は反射率(RT fil =R0 fil +Rd fil )を示している。これは図15のR0 fil (λ)及び図16のRd fil (λ)より、RT fil (λ)=R0 fil (λ)+Rd fil (λ)より計算した。
【0044】
T fil (λ)の膜厚依存性はR0 fil (λ)と同様である。
【0045】
図18は本発明にかかる7.3%N2 膜の膜側エネルギー吸収率:A(λ)の膜厚依存性を、図14、図17の結果を基にA(λ)=1-TT fil (λ)-RT fil (λ)より求めたものである。膜厚の増加とともに長波長領域においてエネルギー吸収率は増大し、500nm以上では波長に対してほぼ一定の高い値を示している。
【0046】
図19は本発明にかかる7.3%N2 膜の太陽光エネルギー吸収率(α)の膜厚依存性を示す。これは図18のA(λ)にAM=1のスペクトルを乗じ、積分して求めた7.3%N2 膜の太陽光吸収率の膜厚依存性を示しており、膜厚の増加とともに吸収率は増大し、飽和している。
【0047】
図20は本発明にかかる7.3%N2 膜の表面AFM観察(膜厚50nm)結果を示す図であり、図20(a)はそのAFM像を示す図、図20(b)はその断面プロファイル〔ただし、図20(a)の白線部〕を示す図、図20(c)はその鳥瞰図である。
【0048】
この図から明らかなように、7.3%N2 膜(膜厚50nm)の表面は面内方向100nm程度、膜法線方向10nm程度の凹凸が観察されている。
【0049】
図21は本発明にかかる7.3%N2 膜の表面AFM観察(膜厚150nm)結果を示す図であり、図21(a)はそのAFM像を示す図、図21(b)はその断面プロファイル〔ただし、図21(a)の白線部〕を示す図、図21(c)はその鳥瞰図である。
【0050】
この図から明らかなように、7.3%N2 膜(膜厚150nm)の表面は面内方向200nm程度、膜法線方向80nm程度の凹凸が観察されている。図20と比較すると、膜表面の凹凸は増幅されている。
【0051】
図22は本発明にかかる7.3%N2 膜の表面AFM観察(膜厚200nm)結果を示す図であり、図22(a)はそのAFM像を示す図、図22(b)はその断面プロファイル〔ただし、図22(a)の白線部〕を示す図、図22(c)はその鳥瞰図である。
【0052】
この図から明らかなように、7.3%N2 膜(膜厚200nm)の表面は面内方向400nm程度、膜法線方向100nm程度の凹凸が観察されている。
【0053】
図20、図21、図22と比較すると、膜表面の凹凸は膜厚の増加とともに増幅されており、この様な形態が膜厚増加とともに誘起される事が、広い波長範囲で高い吸収率を実現する一因となっていると考えられる。
【0054】
また、波長0.25~2.35μmに分布する太陽光の照射に対し、その95%が吸収され、光熱エネルギー変換膜として有用である事が確かめられた。
【0055】
これらの機能は膜が成長する(膜厚増加)とともにAl-N物質の突起状ないしは壁状の凹凸が形成され、凹部(谷)には大気または真空(屈折率=1)領域が存在し、この大気または真空部を一部残しつつ膜が堆積することにより、膜側基板表面からの膜表面に向かっての標高を長さとしたときの単位長さあたりの平均屈折率が、基板から表面に向かって変化することを一因とする傾斜機能を有する構成であることに由来しており、一つの成膜プロセス中にこの傾斜構造膜を形成することができる。
【0056】
また、上記実施例では、平行平板型RFスパッタリング装置を用いたが、平行平板型DCスパッタリング装置を用いるようにしてもよい。
【0057】
例えば、Alをターゲット材とする平行平板型DCマグネトロンスパッタリング装置を用いてAr,N2 の混合ガスをスパッタガスとし、その混合比、堆積時間(膜厚)、基板温度を制御することにより、Al-N系光吸収膜を作製した。DCマグネトロンスパッタリング装置では混合比0%N2 から2%N2 まで安定した放電成膜が実現された。3%N2 以上では不安定な放電状態となった。また、RFに比較して、混合比の範囲は狭くなった。これは相対的にプラズマ密度が高くなり、窒化反応が促進されるためと考えられる。
【0058】
膜厚50nm/7059ガラスでは0%N2 ,1%N2 ,2%N2 ,3%N2 でそれぞれ太陽光エネルギー(AM1)吸収率(1が100%の吸収に対応)は、0.40,0.39,0.43,0.52であった。そこで、2%N2 で基板温度室温(25℃)とし、膜厚800nmで太陽光エネルギー(AM1)吸収率0.94を得た。また基板温度70℃とし、2%N2 において、膜厚400nmで0.95の太陽光エネルギー(AM1)吸収率を得た。
【0059】
このように、DCスパッタリングでもN2 ガス混合比を少なく抑えたり、基板温度を制御することにより、RFスパッタリング同様に波長0.25~2.35μmに分布する太陽光でその95%が吸収されることが明らかになり、膜構成は表面から基板に向かって膜成分比が傾斜し、且つ表面側が突起状ないしは壁状の凹凸をなし、DCスパッタリングの場合と同様の特徴があることが確認された。
【0060】
また、用途としては、光熱変換装置、光通信分野、光電変換素子の電極層等の光熱吸収ないしは光吸収と電導とが要求される分野等にある。
【0061】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0062】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば以上のような効果を奏することができる。
(A)固定性がよく、材料のコストが低く、しかも紫外、可視、近赤波長におよぶ広帯域の光の吸収を示すことができる。
(B)膜表面の凹凸は増幅されており、この様な形態が膜厚増加とともに誘起されることで、広い波長範囲で高い吸収率を実現することができる。
(C)波長0.25~2.35μmに分布する太陽光の照射に対し、その95%が吸収され、光熱エネルギー変換膜として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す平行平板型RFスパッタリング装置を用いたAl-N系光吸収体の製造方法を示す模式図である。
【図2】 本発明にかかる説明における記号及びそれらの意味を示す図である。
【図3】 本発明にかかる膜側垂直入射透過率(T0 fil )のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す図である
【図4】 図3における部分拡大図である。
【図5】 本発明にかかる膜側入射総透過率(TT fil )のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す図である。
【図6】 本発明にかかる膜側鏡面反射率(R0 fil =R12fil :入射角12°)のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す図である。
【図7】 本発明にかかる基板(#7059)側の鏡面反射率(R0 sub =R12sub :入射角12°)N2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す図である。
【図8】 本発明にかかる膜側拡散反射率〔Rd fil (λ)〕のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す図である。
【図9】 図8における部分拡大図である。
【図10】 本発明にかかる膜側総反射率〔RT fil (λ)=R0 fil +Rd fil 〕のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す図である。
【図11】 本発明にかかるエネルギー吸収率〔A(λ)〕のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す図である。
【図12】 本発明にかかるAM=1太陽光に対する吸収率(α)のN2 ガス濃度依存性(膜厚400nm/#7059)を示す図である。
【図13】 本発明にかかる7.3%N2 膜の膜側垂直入射透過率〔T0 fil (λ)〕の膜厚依存性を示す図である。
【図14】 本発明にかかる7.3%N2 膜の膜側入射総透過率〔TT fil (λ)〕を示す図である。
【図15】 本発明にかかる7.3%N2 膜の膜側鏡面反射率R0 fil (λ)〔=R12fil (λ)〕の膜厚依存性を示す図である。
【図16】 本発明にかかる7.3%N2 膜の膜側拡散反射率〔Rd fil (λ)〕の膜厚依存性を示す図である。
【図17】 本発明にかかる膜側総反射率〔RT fil (λ)〕の膜厚依存性を示す図である。
【図18】 本発明にかかる7.3%N2 膜の膜側エネルギー吸収率〔A(λ)〕の膜厚依存性を示す図である。
【図19】 本発明にかかる7.3%N2 膜の太陽光エネルギー吸収率(α)の膜厚依存性を示す図である。
【図20】 本発明にかかる7.3%N2 膜の表面AFM観察(膜厚50nm)結果を示す図である。
【図21】 本発明にかかる7.3%N2 膜の表面AFM観察(膜厚150nm)結果を示す図である。
【図22】 本発明にかかる7.3%N2 膜の表面AFM観察(膜厚200nm)結果を示す図である。
【符号の説明】
1 Alターゲット
2 ガラス基板
3 Ar,N2 の混合ガスからなるスパッタガス
4 Al-N系光吸収体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
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【図19】
18
【図20】
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【図21】
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【図22】
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