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明細書 :試料の搭載方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3896458号 (P3896458)
公開番号 特開2004-108889 (P2004-108889A)
登録日 平成19年1月5日(2007.1.5)
発行日 平成19年3月22日(2007.3.22)
公開日 平成16年4月8日(2004.4.8)
発明の名称または考案の名称 試料の搭載方法
国際特許分類 G01N  27/447       (2006.01)
G01N   1/28        (2006.01)
FI G01N 27/26 315Z
G01N 1/28 U
請求項の数または発明の数 8
全頁数 6
出願番号 特願2002-270433 (P2002-270433)
出願日 平成14年9月17日(2002.9.17)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成14年8月23日発行の「日本放射線影響学会第45回大会後援要稿集」に発表
審査請求日 平成16年7月27日(2004.7.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】原田 良信
【氏名】太田 美由紀
個別代理人の代理人 【識別番号】100077517、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 敬
【識別番号】100092624、【弁理士】、【氏名又は名称】鶴田 準一
【識別番号】100080919、【弁理士】、【氏名又は名称】田崎 豪治
【識別番号】100082898、【弁理士】、【氏名又は名称】西山 雅也
【識別番号】100081330、【弁理士】、【氏名又は名称】樋口 外治
審査官 【審査官】野村 伸雄
参考文献・文献 特開2002-357772(JP,A)
特開平01-248060(JP,A)
特開2001-165903(JP,A)
特開平06-3231(JP,A)
調査した分野 G01N 27/447
G01N 1/28
JST7580(JDream2)
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
スライドグラスおよびカバーグラスを用いてスライドグラス上に試料を載せる方法において、該スライドグラスと該カバーグラスの間に、複数の切欠きを有するインサートを挟み込み、その切欠きにゾルもしくはゲルである試料を表面張力により流し込み、ゾルもしくはゲルである試料をスライドグラス上に載せることを特徴とする試料の搭載方法。
【請求項2】
ゲルが、細胞と寒天ゲルの混合物である請求項記載の搭載方法。
【請求項3】
試料がコメットアッセイに供される請求項1記載の搭載方法。
【請求項4】
インサートが長手方向の一端もしくは両端に複数の切欠きを有する請求項1記載の搭載方法。
【請求項5】
複数の切欠きへの試料の流し込みが、マルチチャンネルピペットにより同時に行われる請求項1記載の搭載方法。
【請求項6】
切欠きに試料を表面張力により流し込んだ後に、該カバーグラスおよび該インサートが脱着される請求項1記載の搭載方法。
【請求項7】
スライドグラス;カバーグラス;ならびに該スライドグラスと該カバーグラスの間に挟み込むためのインサートを含み、該インサートは複数の切欠きを有し、その切欠きにゾルもしくはゲルである試料を表面張力により流し込み、スライドグラス上にゾルもしくはゲルである試料を搭載しうることを特徴とする試料の搭載キット。
【請求項8】
試料を流し込みためのマルチチャンネルピペットをさらに含む請求項記載の試料の搭載キット。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料の搭載方法に関し、さらに詳しくはコメットアッセイ法等に好適な測定試料に関する。
【0002】
【従来の技術】
コメットアッセイ法(Comet assay、別名 Single-cell gel electrophoresis)は動物の細胞に薬剤や放射線を与え、その影響による細胞核DNAの損傷を計測する方法で、薬剤などが細胞に及ぼす傷害の度合を簡便かつ安価に評価できる。新しく開発した医薬品や化学物質の毒性を初期段階で評価する方法として多く用いられている。
【0003】
実際の方法は、以下の通りである。動物の細胞に評価したい薬剤等を与えた後、その細胞を寒天ゲルと混合、スライドグラス上に薄く広げる。薬液によって細胞膜を破壊した後、緩衝液(buffer)を満たした電気泳動槽中に沈め、電圧をかけることにより、電気泳動を行なう(これにより細胞中の壊れたDNAが引っ張られ、細胞の外に出てくる)。さらにゲルに部分に適当な染色液を振りかけ、DNAを染色し、流れ出たDNA(この形が彗星に似ていることからコメットアッセイと呼ばれる)の量や長さを計測し、細胞のDNAがどれほど破壊されたのかを計測する。
【0004】
寒天ゲルを載せたスライドを作成するに際しては、従来、細胞と混合したゲルをスライド上に垂らし、別のスライドグラス(カバーグラス)を押し付けることにより、ゲルを広げる。実際には細胞の存在するゲルを含めた3層構造にして行なう場合が多い。通常、1試料について1枚のスライドグラスを用いる。このような 従来の方法では、細胞を包埋するゲルの厚みが必ずしも一定ではなく、さらにスライド作成に多くの時間を要する。後者は非常に短い時間での実験が要求されるDNA修復の解析の場合に試料間のタイムラグ等の問題を生じ、試料間の誤差の原因となることも考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題を解決し、1枚のスライドグラス上に、処理にタイムラグがなく、しかもゲルを薄く、極めて均一になるように多数の試料を搭載しうる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、スライドグラスおよびカバーグラスを用いてスライドグラス上に試料を載せる方法において、該スライドグラスと該カバーグラスの間に、複数の切欠きを有するインサートを挟み込み、その切欠きにゾルもしくはゲルである試料を表面張力により流し込み、ゾルもしくはゲルである試料をスライドグラス上に載せることを特徴とする試料の搭載方法、ならびに、スライドグラス;カバーグラス;ならびに該スライドグラスと該カバーグラスの間に挟み込むためのインサートを含み、該インサートは複数の切欠きを有し、その切欠きにゾルもしくはゲルである試料を表面張力により流し込むことによりスライドグラス上にゾルもしくはゲルである試料を搭載しうることを特徴とする試料の搭載キット、にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、スライドグラスおよびカバーグラスを用いてスライドグラス上に試料を載せる方法において、該スライドグラスと該カバーグラスの間に、複数の切欠きを有するインサートを挟み込み、その切欠きに試料を表面張力により流し込む。これによりスライドグラス上に搭載された試料は、上述のコメットアッセイ法の測定に好適に供されるが、この測定方法に限定されず、さらには測定以外の目的にも適宜使用されうる。
【0008】
試料は、溶液、ゾルもしくはゲルでありうるが、特にゲルに好適に適用され、とくに細胞と寒天ゲルの混合物であるのが最適である。
【0009】
本発明の好適な1態様において、インサートは好適にはプラスチックス製であり、略スライドグラスの大きさを有するが、これらにこれに限定されない。インサートの厚みはコメットアッセイ法の測定には30~500μmであるのが好適である。さらにインサートの切欠きは、インサートの長手方向の一端もしくは両端に複数の切欠きを有するのが好適である。両端に複数の切欠きを有する場合、中央部に切欠きでない芯部が設けられる。試料の流し込み時に空気抜けをよくするために、インサートの外側端は切欠くのが好適であるが、それに限定されず、縁部を有するとして残されていてもよい。切欠きの形状は、略長方形(正方形を含む)であるのが一般的であるが、実質的に楕円形等の曲線部分を有することもできる。長方形の大きさは、通常、幅2~30×長さ5~20mm程度である。
【0010】
切欠きは、好適には一端に(両端に縁部を有する場合を含む)3~8個、もしくは両端に(両端および中央部に縁部を有する場合を含む)合計4~16個形成される。たとえば、図1および2において、このようなインサート1としては、6試料を同時処理するために片側に6つの切欠き4を有する6連タイプ(図1)、8試料を同時に処理するために片側にそれぞれ4つの切欠き4を有する8連タイプ(図2)等が好適に挙げられる。
【0011】
インサートの作成態様はとくに限定されず、プラスチックスの所定形状への成形、シート材のカット、スライドグラスまたはカバーグラス上への所定形状での印刷等が挙げられ、いずれの場合も得られたインサートは試料の流し込み後に脱着し得るが、印刷による場合は、脱着しないでそのままでもよい。印刷によるとインサートの厚みを極薄くでき、シート材によると少数でも容易に製造しうる。
【0012】
このような複数の切欠きへの試料の流し込みは、マルチチャンネルピペットにより同時に行われるのが好適である。これにより切欠き、すなわちこの切欠きの形状に対応するスライドグラス上、への試料の流し込みが均一かつ迅速に行われる。この流し込みに際しては、スライドグラス、インサートおよびカバーグラスをセットし、ついで切欠きに試料を表面張力により流し込んだ後に、該カバーグラスおよび該インサートが脱着される。この場合、カバーグラスのセットは、切欠きが一端にある場合には切欠きの一部が開口するようにして、そして切欠きが両端にある場合には後述のように両側の切欠きの一部が中央で開口するようにして行ない、流し込むのが好適である。更に好適には、このようなスライドグラス、インサートおよびカバーグラスのセットは、たとえばクリップ等で把持して流し込み時に固定される。
【0013】
本発明によれば、スライドグラス;カバーグラス;ならびに該スライドグラスと該カバーグラスの間に挟み込むためのインサートを含み、該インサートは複数の切欠きを有し、その切欠きに試料を表面張力により流し込むことによりスライドグラス上に試料を搭載しうる試料の搭載キットが提供される。そして、試料を同時に流し込みためのマルチチャンネルピペットをさらに含む試料の搭載キットが提供される。
【0014】
【実施例】
以下に、本発明の試料搭載方法をコメットアッセイに供する場合の好適な態様について図3とともに説明する。薄いプラスチック製の8連のインサート1を作製し、スライドグラス2と2枚のカバーグラス3の間にインサート1を挟み込む。2枚のカバーグラス3の間隔を開けて、両側の切欠き4の一部が中央で開口するようにして、スライドグラス2、インサート1およびカバーグラス3を、2つのクリップ(図示せず)でそれぞれ把持して固定する。ついで、マルチチャンネルピペット5を用いゲルを表面張力を利用して2枚のカバーグラス3の中央すき間にある両方の切欠き4に細胞と寒天ゲルの混合物の試料を流し込む。その後、カバーグラス3とインサート1を除去し、8試料を搭載されたスライドグラスは、通常の方法にしたがってコメットアッセイに供された。
【0015】
本発明の試料搭載方法によれば、いわばマルチレーン方式のコメットアッセイ法が提供され、1枚のスライドグラスで複数の検体を処理することができる(従来法は数千個程度の細胞を含むが、実際のカウントする細胞数は50~200個程度であり、ほとんどはカウントしないままである。本発明方法による各々のゲルでも2000個程度の細胞を包埋することが可能で、必要十分の細胞を搭載しうる。)。インサートの形状はマルチチャンネルピペットに合致するような切欠き間隔にするのが好適である、これによりマルチチャンネルピペットが使用可能である。マルチチャンネルピペットが使えることは、多くの検体を一度に処理し、ハイスル-プット化が必要な研究を行う上で重要なファクターである。
【0016】
【発明の効果】
本発明の搭載方法によれば、スライドグラス1枚で多数の試料を処理することができ、その1枚上の細胞については全く同じ条件で処理することができる(通常ではスライドと別のスライド間に差が見られる場合がある)。また、同一スライド上の試料は処理にタイムラグがなく、例えば薬剤投与後に細胞の回復力などを計算する場合などは分単位の実験が要求されるので、タイムラグがないことは極めて重要である。
【0017】
さらに、常法に比べゲルが薄く、極めて均一である。通常法ではゲルの厚さは偶然性に依存しており、また1枚のスライドグラス上で厚さに差が見られる。コメットアッセイの計測は顕微鏡を使用するが、ゲルが均一であることはフォーカスを調整する必要をなくさせる。また、ゲルが薄いことにより、ゲル内への液の浸透が速く、実験処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるインサートの1態様を示す。
【図2】本発明におけるインサートの1態様を示す。
【図3】本発明における試料の搭載方法の1態様を示す。
【符号の説明】
1…インサート
2…スライドグラス
3…カバーグラス
4…切欠き
5…マルチチャンネルピペット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2