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明細書 :顕微鏡及び表面観察方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3837531号 (P3837531)
公開番号 特開2004-219148 (P2004-219148A)
登録日 平成18年8月11日(2006.8.11)
発行日 平成18年10月25日(2006.10.25)
公開日 平成16年8月5日(2004.8.5)
発明の名称または考案の名称 顕微鏡及び表面観察方法
国際特許分類 G01N  13/10        (2006.01)
H05H   1/00        (2006.01)
FI G01N 13/10 H
H05H 1/00 A
請求項の数または発明の数 11
全頁数 7
出願番号 特願2003-004364 (P2003-004364)
出願日 平成15年1月10日(2003.1.10)
審査請求日 平成15年1月10日(2003.1.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
発明者または考案者 【氏名】白井 肇
【氏名】長谷川 靖洋
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100100125、【弁理士】、【氏名又は名称】高見 和明
【識別番号】100101096、【弁理士】、【氏名又は名称】徳永 博
【識別番号】100086645、【弁理士】、【氏名又は名称】岩佐 義幸
【識別番号】100107227、【弁理士】、【氏名又は名称】藤谷 史朗
【識別番号】100114292、【弁理士】、【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100119530、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 和幸
審査官 【審査官】野田 洋平
参考文献・文献 特開2004-128257(JP,A)
特開2000-100370(JP,A)
特開2003-234335(JP,A)
特開2000-164395(JP,A)
特開2004-77146(JP,A)
特開平8-330282(JP,A)
特開2000-183045(JP,A)
特開平11-64349(JP,A)
調査した分野 G01N 13/10-13/24
H05H 1/00
G01B 7/28
G01N 23/00-23/227、27/60-27/70、27/92
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の基板上において複数のプローブ深針を立設してなるマイクロプラズマアレイと、
前記マイクロプラズマアレイの近傍にプラズマ生成ガスを導入するためのガス導入手段と、
前記マイクロプラズマアレイに対して高周波を印加することにより、前記プラズマ生成ガスをプラズマ化してプラズマジェットを生成するための高周波印加手段と、
前記マイクロプラズマアレイと観察すべき試料との間に生成されたプラズマ誘導電流を計測するための誘導電流計測手段と、
を具えることを特徴とする、顕微鏡。
【請求項2】
前記複数のプローブ探針は、前記基板上において、前記マイクロプラズマアレイに対して前記高周波を導入するための導電板を介して設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記プローブ探針の内径が100μm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の顕微鏡。
【請求項4】
前記プローブ探針の立設密度が100×100個/mm~1000×1000個/mmであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一に記載の顕微鏡。
【請求項5】
前記試料の表面においてマイクロメータ領域の観察を行うことを特徴とする、請求項1~4のいずれ一に記載の顕微鏡。
【請求項6】
プラズマ探針近傍にプラズマ生成ガスを導入するとともに、前記プラズマ探針に高周波を印加することにより、プラズマジェットを生成し、所定の試料へ向けて発射する工程と、
前記プラズマ探針と前記試料との間に生成したプラズマ誘導電流を計測し、前記プラズマ誘導電流の大きさから、前記試料表面における凹凸を観察する工程と、
を具えることを特徴とする、表面観察方法。
【請求項7】
前記プラズマ探針は、所定の基板上において複数のプローブ深針を立設してなるマイクロプラズマアレイを含むことを特徴とする、請求項6に記載の表面観察方法。
【請求項8】
前記複数のプローブ探針は、前記基板上において、高周波を導入するための導電板を介して設けられたことを特徴とする、請求項7に記載の表面観察方法。
【請求項9】
前記プローブ探針の内径が100μm以下であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の表面観察方法。
【請求項10】
前記プローブ探針の立設密度が100×100個/mm~1000×1000個/mmであることを特徴とする、請求項7~9のいずれか一に記載の表面観察方法。
【請求項11】
前記試料の表面においてマイクロメータ領域の観察を行うことを特徴とする、請求項7~10のいずれ一に記載の表面観察方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顕微鏡、及び前記顕微鏡の原理を利用した表面観察方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、原子間力顕微鏡(AFM)及び走査型トンネル顕微鏡(STM)などの原子及び分子レベルでの分解能を有する顕微鏡が開発され、広く用いられるようになってきている。これらの顕微鏡は、原子レベルでの分解能に優れていることから、試料表面の局所的な観察や局所的な改質には十分な効果を発揮する。しかしながら、上述したような顕微鏡では、マイクロメータ領域以上での表面観察や表面改質を行うことはできなかった。
【0003】
また、上記原子間力顕微鏡などを用いた表面観察や表面改質は、超高真空状態で行うため、作業が繁雑であるとともに、長時間の作業が要求されるという問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、マイクロメータ領域以上での表面観察及び表面改質などを、簡易かつ短時間で行うことができる装置及び方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、
所定の基板上において複数のプローブ深針を立設してなるマイクロプラズマアレイと、
前記マイクロプラズマアレイの近傍にプラズマ生成ガスを導入するためのガス導入手段と、
前記マイクロプラズマアレイに対して高周波を印加することにより、前記プラズマ生成ガスをプラズマ化してプラズマジェットを生成するための高周波印加手段と、
前記マイクロプラズマアレイと観察すべき試料との間に生成されたプラズマ誘導電流を計測するための誘導電流計測手段と、
を具えることを特徴とする、顕微鏡に関する。
【0007】
本発明の顕微鏡においては、複数のプラズマ探針が立設してなるマイクロプラズマアレイを用い、このマイクロプラズマアレイから試料へ向けてプラズマジェットを発射させ、これによって前記マイクロプラズマアレイと前記試料との間に生成されたプラズマ誘導電流を計測するようにしている。
【0008】
前記マイクロプラズマアレイを構成する各プラズマ探針中を流れるプラズマ誘導電流は、前記各プラズマ探針と前記試料表面との距離に依存して変化する。具体的には、前記各プラズマ探針中を流れるプラズマ誘導電流は、前記各プラズマ探針と前記試料表面との距離に対して指数関数的に変化し、前記距離の増大ととともに指数関数的に減少する。したがって、各プローブ探針を流れるプラズマ誘導電流値を測定することによって、前記各プローブ探針と前記試料表面との距離を間接的に計測することができる。
【0009】
上述したマイクロプラズマアレイは、上述したプローブ探針を複数配置しているので、前記マイクロプラズマアレイを構成する複数のプローブ探針のそれぞれを流れるプラズマ誘導電流を測定することにより、前記複数のプローブのそれぞれが位置する前記試料表面との距離を同時に計測することができるようになる。したがって、前記試料表面の凹凸状態などを観察することができ、マイクロメータ領域以上の表面観察を行うことができる。
【0010】
また、本発明の顕微鏡においては、プラズマ生成ガスを用いるため、その操作環境圧力は大気圧近傍の比較的高い状態に設定することができる。したがって、従来の原子間力顕微鏡などのような超高真空状態を実現する必要がないため、実際の作業が簡易になり、作業時間を短縮できるようになる。
【0011】
さらに、本発明の顕微鏡においては、試料に向けてプラズマジェットを照射するため、前記プラズマジェットの強度及び前記プラズマジェットを構成するガス種、並びに前記マイクロプラズマアレイと前記試料表面との距離などを適宜に制御することにより、前記試料の表面改質をマイクロメータ領域以上の大きさで行うこともできる。
【0012】
上述した表面観察と表面改質とは別個に行うこともできるが、同時に行うこともできる。
【0013】
なお、上記「表面改質」とは、試料表面の組成や構造を変化させるような本来的な改質の他に、エッチングや表面清浄などをも意味するものである。
本発明のその他の特徴については以下に詳述する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の顕微鏡を構成を概略的に示す図であり、図2は、図1におけるマイクロプラズマアレイの反転した状態を拡大して示す図である。
【0015】
図1に示す顕微鏡80は、マイクロプラズマアレイ10と、このマイクロプラズマアレイ10の下方領域にプラズマ生成ガスを導入するためのガス導入管20と、前記プラズマ生成ガスの供給源30と、マイクロプラズマアレイ10に対して高周波を印加するための高周波電源50及びマッチング回路系60と、生成したプラズマ誘導電流を検出するための誘導電流検出系70とを具えている。さらに、ガス導入管20の途中において、供給源30からマイクロプラズマアレイ10へ供給するプラズマ生成ガスの流量を制御するためのマスフローコントローラ40が設けられている。
【0016】
図1に示す顕微鏡80において、表面観察や表面改質を行うべき試料Xは、マイクロプラズマアレイ10の下方に配置する。
【0017】
図2に示すように、マイクロプラズマアレイ10は、所定の基板11上において導電板12を介して、複数のプローブ探針13が立設するようにして構成されている。さらに、プローブ探針13の周囲には遮蔽板14が設けられており、ガス導入管20を介して導入されたプラズマ生成ガスがプローブ探針13の近傍に閉じ込められるように構成されている。なお、図2は、マイクロプラズマアレイ10の反転した状態を示しているので、このマイクロプラズマアレイ10を図1に示す顕微鏡80内に配置した際には、プローブ探針13が試料X側へ向くようにして、下向きに取り付けられる。
【0018】
図2に示すマイクロプラズマアレイ10においては、高周波電源50からの高周波はマッチング回路系60を介して導電板12に導入するように構成されている。したがって、単一の導入端子を設けるのみで複数のプローブ探針13に対して前記高周波を均一かつ簡易に導入することができるようになる。なお、高周波電源50としては汎用のRF電源などを用いることができる。
【0019】
また、プローブ探針13の直径は100μm以下とすることが好ましい。これによって、微細なプラズマジェットを生成することができ、試料Xの表面の微小領域からのプラズマ誘導電流を得ることができる。したがって、プローブ探針13毎に、試料X表面の高精度な情報を得ることができ、マイクロプラズマアレイ10全体として、試料Xのマイクロメータ領域以上の表面状態を高精度に観察できるようになる。さらには、試料Xのマイクロメータ領域以上の表面に対して高精度な改質処理を施すことができるようになる。
【0020】
なお、プローブ探針13の直径の下限値については特に限定されるものではないが、好ましくは1μmに設定する。これ以上直径の小さいプローブ探針を入手することは困難であり、さらに前記下限値を超えてプローブ探針13の直径を小さくしても優位な結果を得ることはできない。
【0021】
また、プローブ探針13の立設密度は100×100個/mm~1000×1000個/mmであることが好ましい。これによって、隣接するプローブ探針13で生成されるプラズマジェットの干渉を抑制するとともに、微細なプラズマジェットを生成することができ、試料Xの表面のマイクロメータ領域以上の観察並びに表面改質を高精度に実行できるようになる。
【0022】
プローブ探針13は、ステンレス、タングステン及びタングステンカーバイドなどから構成することができる。また、導電板12は銅、及びステンレスなどの導電性材料から構成することができる。さらに、基板11は各種金属材料、シリコン及びガラスなどの導電性材料から構成することができる。
【0023】
また、プラズマ生成ガスの種類は行うべき表面観察及び表面改質に応じて選択する。表面観察を実行する場合は、アルゴンやヘリウムなどの反応性の低いガスから構成する。表面改質を行う場合は、酸素や窒素などの比較的反応性の強いガスから構成する。なお、アルゴンガスやヘリウムガスにおいても、これらのガスから生成するプラズマジェットの強度やマイクロプラズマアレイ10と試料Xとの距離を適宜に調節することによって、エッチングや清浄化などの表面改質を行うことができる。
【0024】
図1に示す顕微鏡80を用いた表面観察及び表面改質は以下のようにして実施する。最初に、供給源30より所定のガスをガス導入管20を介してマイクロプラズマアレイ10の下方領域に導入する。なお、前記ガスの供給量はマスフローコントローラ40で制御する。次いで、高周波電源50よりマッチング回路系60を介してマイクロプラズマアレイ10に対して高周波を導入し、マイクロプラズマアレイ10を構成する各プローブ探針13からプラズマジェットを生成し、試料Xへ向けて発射する。
【0025】
試料Xの表面に対して前記プラズマジェットが照射されると、試料Xの表面が励起されることにより、各プローブ探針13と、試料X表面の、プローブ探針13のそれぞれが位置する部分との間にはプラズマ誘導電流が生じるようになる。プラズマ誘導電流の大きさは、プローブ探針13と試料X表面との距離に依存し、前記距離の増大に伴って減少する。したがって、前述のようにして生成したプラズマ誘導電流を、各プローブ探針13を介して誘導電流検出系70によって検出することにより、試料Xの表面における凹凸状態をマイクロメータ領域以上で計測できるようになる。
【0026】
また、前記プラズマ生成ガスの種類や前記プラズマジェットの強度を適宜に設定したり、マイクロプラズマアレイ10と試料Xの表面との距離を適宜に設定したりすることによって、試料Xの表面改質をマイクロメータ領域以上で行うことができる。
【0027】
上述した表面観察方法及び表面改質方法はプラズマ生成ガスを用いるため、その操作環境圧力は大気圧近傍の比較的高い状態に設定することができる。したがって、従来の原子間力顕微鏡などのような超高真空状態を実現する必要がないため、実際の作業が簡易になり、作業時間を短縮できるようになる。
【0028】
なお、試料XをXYステージ上などの配置すれば、試料Xの表面全域に亘る表面観察及び表面改質を実施することができるようになる。また、上述した表面観察と表面改質とを同時に行うこともできる。
【0029】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マイクロメータ領域以上での表面観察及び表面改質などを、簡易かつ短時間で行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の顕微鏡を構成を概略的に示す図である。
【図2】 図1におけるマイクロプラズマアレイの反転した状態を拡大して示す図である。
【符号の説明】
10 マイクロプラズマアレイ
11 基板
12 導電板
13 プローブ探針
14 遮蔽板
20 ガス導入管
30 ガス供給源
40 マスフローコントローラ
50 高周波電源
60 マッチング回路系
70 誘導電流検出系
80 顕微鏡
図面
【図1】
0
【図2】
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