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明細書 :人体等価誘電体ゲル、その製造方法及び使用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4129524号 (P4129524)
公開番号 特開2004-236876 (P2004-236876A)
登録日 平成20年5月30日(2008.5.30)
発行日 平成20年8月6日(2008.8.6)
公開日 平成16年8月26日(2004.8.26)
発明の名称または考案の名称 人体等価誘電体ゲル、その製造方法及び使用
国際特許分類 A61B   5/055       (2006.01)
FI A61B 5/05 390
請求項の数または発明の数 11
全頁数 8
出願番号 特願2003-029562 (P2003-029562)
出願日 平成15年2月6日(2003.2.6)
審査請求日 平成16年9月24日(2004.9.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】池平 博夫
【氏名】古川 重夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100059959、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 稔
【識別番号】100067013、【弁理士】、【氏名又は名称】大塚 文昭
【識別番号】100082005、【弁理士】、【氏名又は名称】熊倉 禎男
【識別番号】100065189、【弁理士】、【氏名又は名称】宍戸 嘉一
【識別番号】100074228、【弁理士】、【氏名又は名称】今城 俊夫
【識別番号】100084009、【弁理士】、【氏名又は名称】小川 信夫
【識別番号】100082821、【弁理士】、【氏名又は名称】村社 厚夫
【識別番号】100086771、【弁理士】、【氏名又は名称】西島 孝喜
【識別番号】100084663、【弁理士】、【氏名又は名称】箱田 篤
審査官 【審査官】右▲高▼ 孝幸
参考文献・文献 特開平2-4358(JP,A)
特開平5-76519(JP,A)
特開平10-57336(JP,A)
特開2000-245363(JP,A)
特開2002-1096(JP,A)
特開2003-24297(JP,A)
L. D. Brown,A study of gonad doses in X-ray radiographic examinations of the abdomen,Radiation Protection (ISBN: 0-08-025912-X),1980年,vol.1,165-168
H. Fujita et al,,A Novel Quadrature Birdcage Coil for a Vertical BO Field Open MRI System,Proc. Intl. Sot. Mag. Reson. Med. 8,2000年 4月 1日,561
調査した分野 A61B 5/055
H05K 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
ゼラチン10~30質量%、蜂蜜15~70質量%、食塩5質量%以下、残分水からなり、10KHz~3GHzの交流電磁界に対して、人体に近似した誘電特性を有する人体等価誘電体ゲルを含む高周波エネルギー吸収体。
【請求項2】
60~400MHzの交流電磁界に対して、人体に近似した誘電特性を有する請求項1記載の高周波エネルギー吸収体。
【請求項3】
200~400MHzの交流電磁界に対して、人体に近似した誘電特性を有する請求項1又は記載の高周波エネルギー吸収体。
【請求項4】
蜂蜜22~55質量%、ゼラチン12~15質量%、食塩4質量%以下、及び残分水からなる請求項1~のいずれか1項記載の高周波エネルギー吸収体。
【請求項5】
蜂蜜が、純粋な蜂蜜50質量%、オリゴ糖30質量%、及びグルコース及び/又はフルクトース20質量%からなる請求項1~のいずれか1項記載の高周波エネルギー吸収体。
【請求項6】
さらにグルコマンナン2~5質量%を含む請求項1~のいずれか1項記載の高周波エネルギー吸収体。
【請求項7】
水とゼラチン粉末を混合し、混合物を5℃/分以下の昇温速度で60~90℃まで加熱し、この温度を維持しながら、ゼラチンを完全に溶解させた後、蜂蜜及び食塩を加え、溶解させることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項記載の高周波エネルギー吸収体の製造方法。
【請求項8】
水とゼラチン粉末を混合し、混合物を5℃/分以下の昇温速度で60~90℃まで加熱し、この温度を維持しながら、ゼラチンを完全に溶解させた後、蜂蜜食塩及びグルコマンナンを加え、溶解させることを特徴とする、請求項記載の高周波エネルギー吸収体の製造方法。
【請求項9】
加熱された溶液を所望の形状の容器に注ぎいれ、冷却、ゲル化する工程をさらに含む請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項記載の高周波エネルギー吸収体、又は請求項7~9のいずれか1項記載の方法により製造された高周波エネルギー吸収体を含む高周波電磁界被曝防護装置。
【請求項11】
請求項1~のいずれか1項記載の高周波エネルギー吸収体、又は請求項7~9のいずれか1項記載の方法により製造された高周波エネルギー吸収体を所望の形状に成形してなる人体等価ファントム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波電磁界に適する人体等価誘電体ゲル、その製造方法及び用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
NMR:(MRI,MRS、etc)により人体を診断する場合、皮膚と空気の境界面でアーチファクト(画像に機械的な信号のノイズが表示される現象)が発生し診断の妨げとなるという問題がある。
筋肉組織のファントムを作製するための模擬実験や試みが先に報告されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。また、本発明者らは、すでに200~400MHz帯域における皮膚の強電特性の評価を行った(非特許文献3参照)。
しかし、高周波に対する人体等価誘電体ゲルは、これまで携帯電話を中心として1GHz領域での等価性を有する誘電体ゲルの開発がなされ利用されてきたが、より低周波帯域での人体等価誘電体ゲルの開発はされていない。そこで新たにインピーダンスミスマッチによる高周波の不均一性を抑制する機能を有するファントムゲルの開発を行った。
【0003】
【非特許文献1】
Chou CK et al., Bioelectromagnetics 5:435-441 (1984)
【非特許文献2】
Hartsgrove G et al., Bioelectromagnetics 8:29-36 (1987)
【非特許文献3】
Sunaga T et al., Phys. Med. Biol. 47(1):N11-N15 (2002)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、10KHzの低周波帯域から3GHzの高周波帯域までの交流電磁界に対して、人体等価誘電体特性を有する誘電体ゲルを提供することである。
本発明の他の目的は、アーチファクトの発生を有効に防止し得る人体等価誘電体特性を有する誘電体ゲルを提供することである。
本発明の他の目的は、上記人体等価誘電体特性を有する誘電体ゲルの製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、上記人体等価誘電体特性を有する誘電体ゲルの用途を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の人体等価誘電体ゲル、その製造方法及び用途を提供するものである。
1.ゼラチン及び水を含む人体等価誘電体ゲル。
2.糖類、ゼラチン及び水を含む人体等価誘電体ゲル。
3.糖類が、蜂蜜、単糖類、二糖類及びオリゴ糖類からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記2記載の人体等価誘電体ゲル。
4.さらに電解質を含む上記1~3のいずれか1項記載の人体等価誘電体ゲル。
5.電解質が食塩である上記4記載の人体等価誘電体ゲル。
6.糖類22~55質量%、ゼラチン12~15質量%、食塩0~4質量%、及び残分水からなる上記2~5のいずれか1項記載の人体等価誘電体ゲル。
7.糖類が、蜂蜜である上記2~6のいずれか1項記載の人体等価誘電体ゲル。
8.糖類が、純粋な蜂蜜50質量%、オリゴ糖30質量%、及びグルコース及び/又はフルクトース20質量%からなる上記2~6のいずれか1項記載の人体等価誘電体ゲル。
9.さらにグルコマンナン2~5質量%を含む上記1~8のいずれか1項記載の人体等価誘電体ゲル。
10.水とゼラチン粉末を混合し、混合物を5℃/分以下の昇温速度で60~90℃まで加熱し、この温度を維持しながら、ゼラチンを完全に溶解させることを特徴とする上記1記載の人体等価誘電体ゲルの製造方法。
11.水とゼラチン粉末を混合し、混合物を5℃/分以下の昇温速度で60~90℃まで加熱し、この温度を維持しながら、ゼラチンを完全に溶解させた後、糖類及び必要な場合にはさらに電解質及び/又はグルコマンナンを加え、溶解させることを特徴とする、上記2~9のいずれか1項記載の人体等価誘電体ゲルの製造方法。
12.加熱された溶液を所望の形状の容器に注ぎいれ、冷却、ゲル化する工程をさらに含む上記10又は11記載の方法。
13.上記1~9のいずれか1項記載の人体等価誘電体ゲル、又は上記10~12のいずれか1項記載の方法により製造された人体等価誘電体ゲルを含む高周波エネルギー吸収体。
14.上記1~9のいずれか1項記載の人体等価誘電体ゲル、又は上記10~12のいずれか1項記載の方法により製造された人体等価誘電体ゲルを含む高周波電磁界被曝防護装置。
15.上記1~9のいずれか1項記載の人体等価誘電体ゲル、又は上記10~12のいずれか1項記載の方法により製造された人体等価誘電体ゲルを所望の形状に成形してなる人体等価ファントム。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の人体等価誘電体ゲルは、水にゼラチン及び必要によりさらに蜂蜜等の糖類その他の成分を加えて加熱溶解後、冷却して得られるゲルであり、10KHzの低周波帯域から3GHzの高周波帯域までの交流電磁界に対してこれまでのゲルには見られない、人体に近似した誘電特性を有するゲル、すなわち人体等価誘電体ゲルである。
【0007】
本発明に使用するゼラチンは、ゲル化剤、起泡剤、増粘剤などとして食品等に使用されているものであり、本発明おいてはゲル化剤としての機能を奏するものである。本発明において、ゼラチン以外のゲル化剤として寒天やポリビニルアルコールも使用できるが、ゼラチンが、人体の誘電特性に一致するゲルが製造し易いという点で最も好ましいゲル化剤である。
本発明の人体等価誘電体ゲル中、ゼラチンの含有量は、ゲル全体の質量に対して好ましくは10~30質量%、さらに好ましくは12~20質量%、最も好ましくは12~15質量%である。ゼラチンの含有量がこの範囲より少ないと、ゲルが軟らかく、ゲルの誘電率が高くなり、この範囲より多いと、ゲルが硬く、ゲルの誘電率が低くなる。
【0008】
本発明に使用する糖類は、人体等価誘電体ゲルの軟化剤として機能する。糖類として好ましいものは、蜂蜜、単糖類、二糖類及びオリゴ糖類からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、特に蜂蜜が好ましい。蜂蜜はゲルの軟化剤として機能するとともに、ゲルの殺菌剤としても機能する。蜂蜜は、ミツバチが花から集めてきて巣に蓄えた蜜であり、その大部分が果糖(フルクトース)とぶどう糖(グルコース)である。本発明において糖類としては、純粋な蜂蜜の他、市販されている蜂蜜、例えば、純粋な蜂蜜50質量%と、オリゴ糖30質量%、及びグルコース又はフルクトース20質量%からなる混合物も使用できる。フルクトース、グルコース等の単糖類や、蔗糖等の二糖類も単独で又は適宜組み合わせて使用できる。
【0009】
本発明の人体等価誘電体ゲル中、糖類の含有量は、ゲル全体の質量に対して好ましくは15~70質量%、さらに好ましくは20~60質量%、最も好ましくは22~55質量%である。糖類として蜂蜜を使用する場合、その含有量は好ましくは22~55質量%、さらに好ましくは30~40質量%である。糖類の含有量がこの範囲より少ないと、ゲルの誘電率が高くなり、この範囲より多いと、ゲルの強度が低くなり、ゲルの誘電率も低くなる。
【0010】
本発明の人体等価誘電体ゲルにおいて電解質は任意成分である。電解質はゲルの導電率を上昇させ、より人体の導電率に近くすることができる。本発明に使用される電解質としては、塩化ナトリウム(食塩)、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の塩化物、あるいは他の水溶性の塩、例えば、硫酸ナトリウム等の硫酸塩、硝酸ナトリウム等の硝酸塩、有機酸塩等が挙げられる。人体への安全性及び適合性という点から、食塩が最も好ましい。
本発明の人体等価誘電体ゲル中、電解質の含有量は、ゲル全体の質量に対して好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは0~4%である。電解質の含有量がこの範囲より多いと、ゲルの導電率が高くなり過ぎる傾向がある。
【0011】
本発明の人体等価誘電体ゲルに、安定剤として、例えば、グルコマンナンを微量、好ましくは2~10質量%、さらに好ましくは2~5質量%加えると、80℃程度の人体温をはるかに越える温度域までゲルの安定性を保つ事が可能となる。グルコマンナンは本発明の人体等価誘電体ゲルにおいて高温時におけるゲルの形状を安定に保持する安定剤としての機能を有する。一方、グルコマンナンの含有量がこれ以下であると、ゲルが体温で融解する傾向がある。
【0012】
本発明の人体等価誘電体ゲルは、ゲル全体に対して、好ましくは、蜂蜜22~55質量%、ゼラチン12~15質量%、食塩0~4質量%、及び水を含む。特に好ましい本発明の人体等価誘電体ゲルは、蜂蜜50質量%、ゼラチン13.5質量%、食塩1.7質量%、及び水34.8質量%からなるものである。
【0013】
本発明の人体等価誘電体ゲルは、水とゼラチン粉末を混合し、混合物を5℃/分以下、好ましくは3℃/分以下の昇温速度で60~90℃、好ましくは75~85℃まで加熱し、この温度を維持しながら、ゼラチンを完全に溶解させた後、蜂蜜等の糖類を加え、溶解させることにより容易に製造できる。溶解温度が60℃より低いと溶解が不十分となり、一方90℃より高いと、気泡等の生成が生じる傾向があり好ましくない。
本発明の人体等価誘電体ゲルには電解質を含有させてもよいが、電解質は上記の方法において、いずれの段階においても加えることができる。
本発明の人体等価誘電体ゲルにはグルコマンナンを含有させてもよいが、グルコマンナンも、上記の方法において、いずれの段階においても加えることができる。
上記加熱された溶液を所望の形状の容器に注ぎいれ、冷却、ゲル化することにより、所望の形状の本発明の人体等価誘電体ゲルを製造することができる。
【0014】
本発明の人体等価誘電体ゲルは、高周波エネルギーの吸収体として働くので、高周波発生装置などからの人体への高周波電磁界被曝防護として利用できる。
また、多核種多次元NMRにより人体を診断する場合、皮膚と空気の境界面でアーチファクトが発生し診断の妨げとなるという問題があるが、本発明の人体等価誘電体ゲルを、皮膚と空気との間に存在させて診断を行うとこの問題を解決することができる。すなわち、あらかじめ人体の測定部位(磁界影響部位)に本発明の人体等価誘電体ゲルを密着させておき、MRIにより人体を診断すると、人体の画像上で生じるアーチファクトの発生を著しく軽減する事が可能で、特に7T(テスラ)を越える装置での診断に特に有効である。この場合、人体の測定部位への適用は、部位により違いはあるがゲルの厚みが20~100mm程度となるようにすればよい。
【0015】
本発明の人体等価誘電体ゲルは、画像診断以外にも、高周波電磁界の人体への照射が問題となる事例に関して、人体等価のファントムを作成し、これを用いて高周波電磁界の被曝評価を行う事に有効である。さらに、そのような高周波発生装置からの人体への被曝を軽減するためにも有効である。
【0016】
以下、実施例を示し本発明の人体等価誘電体ゲルをさらに詳細に説明する。
実施例1
以下のようにして、本発明の人体等価誘電体ゲルを作製した。
(1) 13gのゼラチン・パウダーと蒸留水35ccとをビーカーに入れて、低い温度でマントル・ヒーターをコントロールすることにより、80±5℃までゆっくり加熱した。80±5℃に達したら、この温度を20分あるいはそれ以上維持して、ゼラチン・パウダーが完全に溶解したゼラチン溶液を得た。この間、温度を一定に保ち恒温溶解することが重要である。
(2) 次に、50gの市販の蜂蜜(純粋な蜂蜜25g、オリゴ糖15g、及び果糖(フルクトース)及びぶどう糖(グルコース)10gを含んでいる)を、ゼラチン溶液にゆっくり加えた。
(3) 蜂蜜が溶けた後、溶液を十分混合しながら、さらに2gの食塩を加えた。この間、水の温度は80±5℃に保った。この際、溶液は十分混合することが重要である。
(4)加熱された溶液をプラスチック容器(耐熱容器)へ注ぎ、室温で冷却、ゲル化した。この際、急速加熱と同様、急速冷却も避けることが重要である。また、剥離剤(例えば、植物油、ワセリン等)を用いると剥離が容易である。
(5) 冷蔵庫の中で保管することにより品質を長期保証することができる。
なお、上記一例では食塩は最後に添加したが、何時加えてもよい。またグルコマンナンを加える場合も、微量であるのでやはり何時加えてもよいが、食塩と同時に加えるのが好ましい。また、水は蒸留水が好ましいが、水道水でも差し支えない。
【0017】
実施例2
実施例1と同様にして、蜂蜜50質量%、ゼラチン13.5質量%、食塩1.7質量%、及び水34.8質量%からなる本発明の人体等価誘電体ゲルを作製した。このゲルは、表1に示すように、100~400MHz領域の周波数に対し人体(ヒトの乾燥皮膚)に極めて近い誘電特性を示す。
【0018】
【表1】
JP0004129524B2_000002t.gif
【0019】
実施例3
実施例1の方法と同様にして、ゼラチン濃度を28、40及び50質量%とした、ゼラチンと水だけからなる人体等価誘電体ゲルを作製した。図1に示すように、ゼラチン濃度が高くなるに従って誘電率が低くなる。ゼラチン濃度が40~50質量%のゲルは200~400MHz領域の周波数に対し人体(ヒトの乾燥皮膚)に極めて近い誘電特性を示すことがわかる。しかし、ゼラチン濃度が高いと微細な気泡を含むゲルとなる傾向がある。これはゼラチンの溶解が不完全になるためと考えられる。
【0020】
実施例4
実施例1と同様にして、ゼラチンの割合を少なくしたもの(水とゼラチンの割合でゼラチン28質量%のソフトゲル)と多くしたもの(同様に50質量%のハードゲル)をベースに、所定量の蜂蜜を加えて人体等価誘電体ゲルを作製した。これらのゲルの誘電特性を図2に示す。蜂蜜の割合は、水とゼラチンと蜂蜜の全質量に対する割合である。図2から、蜂蜜濃度が高くなるに従って誘電率が低くなることがわかる。しかし、蜂蜜濃度が高くなるとゲルの強度が低くなる。これはゲル化剤であるゼラチンの相対量が少なくなるためと考えられる。
蜂蜜を加えることにより、ゲルの誘電特性は、200~400MHz領域の周波数に対するだけでなく、60MHz領域の周波数に対しても、人体(ヒトの乾燥皮膚)の誘電特性により近づくことがわかる。
【0021】
実施例5
実施例1と同様にして、ゼラチンを種々の割合で含むベース(水とゼラチンの全質量に対するゼラチンの割合が51、68、76質量%のゲル)に、40質量%となるように蜂蜜を加えて人体等価誘電体ゲルを作製した。これらのゲルに食塩を0~4質量%加え、導電率を測定した。結果を図3に示す。食塩の割合は、水、ゼラチン、蜂蜜及び食塩の全質量に対する割合である。食塩の量が増加するに従って、導電率は高くなるが、ゲルは柔らかくなる。
【0022】
【発明の効果】
本発明の人体等価誘電体ゲルは、現在問題となっている交流電磁界、特に10KHzから3GHzという幅の広い周波数帯域において、人体への高周波電磁界の影響の評価ならびに防護あるいは核磁気共鳴映像措置におけるアーチファクトの軽減、その他に広く利用できる。
本発明の人体等価誘電体ゲルは、機械加工性及び溶融整形性が良好であることから、人体の形状に成形して人体等価ファントムとして利用できる。
また、高周波発生装置と人体との間に設けることにより、高周波エネルギーの吸収体として働くので、人体への高周波電磁界被曝防護に利用できる。
また、グルコマンナン2~5%を添加することで、高周波電磁界被曝により80℃まで体温が昇温する疑似実験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゼラチンと水からなる本発明の人体等価誘電体ゲルの誘電特性を示す図面である。
【図2】ゼラチン28質量%又は50質量%を含有するベースに、種々の量の蜂蜜を加えて作製した本発明の人体等価誘電体ゲルの誘電特性を示す図面である。
【図3】蜂蜜の割合を40質量%に調整した溶液をベースに、種々の量のゼラチンを含有するゲルに、種々の量の食塩を加えて作製した本発明の人体等価誘電体ゲルの導電率を示す図面である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2