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明細書 :電離放射線防護剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4269048号 (P4269048)
公開番号 特開2004-217561 (P2004-217561A)
登録日 平成21年3月6日(2009.3.6)
発行日 平成21年5月27日(2009.5.27)
公開日 平成16年8月5日(2004.8.5)
発明の名称または考案の名称 電離放射線防護剤
国際特許分類 A61K  31/513       (2006.01)
A61P  39/00        (2006.01)
C07D 405/04        (2006.01)
FI A61K 31/513
A61P 39/00
C07D 405/04
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願2003-006432 (P2003-006432)
出願日 平成15年1月14日(2003.1.14)
審査請求日 平成17年8月23日(2005.8.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】物部 真奈美
【氏名】安藤 興一
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】瀬下 浩一
参考文献・文献 特開2000-308490(JP,A)
特開平09-023882(JP,A)
物部真奈美,安藤興一,Drinking Beer Reduces Radiation-induced Chromosome Aberrations in Human Lymphocytes,日本放射線影響学会ニュース,2002年,No.152,p.237-245
YOSHIKAWA,T. et al,Pseudouridine, an antimutagenic substance in beer towards N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine (MNNG),Food and Chemical Toxicology,2002年,Vol.40, No.8,p.1165-1170
MONOBE,M. et al,β-Pseudouridine, a beer component, reduces radiation-induced chromosome aberrations in human lymphocytes,Mutation Research, Genetic Toxicology and Environmental Mutagenesis,2003年,Vol.538, No.1-2,p.93-99
YOSHIKAWA,T. et al,Study of the antimutagenicity properties of pseudouridine and other nucleoside and base analogs in the Ames test,Mutation Research,2001年,483(Suppl.1),S119-S120,P7-50
ARIMOTO-KOBAYASHI,S. et al,Pseudouridine, an antimutagenic component in beer toward N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine and N-methyl-N-nitrosourea,Mutation Research,2001年,483(Suppl.1),S106,O7-7
調査した分野 C07D 401/00-421/14
A61K 31/33-31/80
A61P 1/00-43/00
REGISTRY (STN)
CAplus (STN)
MARPAT (STN)
MEDLINE (STN)
EMBASE (STN)
BIOSIS (STN)
JSTPlus (JDream2)
JMEDPlus(JDream2)
JST7580 (JDream2)
化学書資料館
特許請求の範囲 【請求項1】
シュードウリジンを有効成分として電離放射線による生物障害を防護することを特徴とする電離放射線防護剤。
【請求項2】
血液中濃度が0.1mM以上となるようにシュードウリジンが投与されるようにした、請求項1の電離放射線防護剤。
【請求項3】
血液中濃度が1.6mM以上となるようにシュードウリジンが投与されるようにした、請求項1の電離放射線防護剤。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、X線やγ線、粒子線等の電離放射線による生物障害の防護剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電離放射線に被曝した場合に遺伝子障害あるいは致死などの生物障害が現れることが知られており、このような生物障害作用を防護するための方法がこれまでにも様々な観点により検討されている。
【0003】
例えば、具体的にも、電離放射線の生物障害作用の防護に関しては、これまでにも、鉛による防護や薬剤による防護方法が知られている。放射線の細胞障害はラジカル反応による間接作用が約75%を占めると考えられていることから、これまでの放射線防護剤はラジカルスカベンジャーが主な防護剤であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在までに多くのラジカルスカベンジャーが放射線障害防護剤として検討されているが、実用的薬剤とはなっておらず、安全性や有効性の面で問題があるとされている。また近年航空機や宇宙進出により直接作用が主体の放射線に対する防護が重要となってきたが、高LETのような直接作用の強い放射線に対する防護剤は副作用の強いものが多く、人に直接適応でき生命に安全な方法はないに等しく、外部被曝や内部被曝を少なくするよう努力する以外に防護する方法がないのが実情であった。すなわち、人に対して直接適応することのできる安全な方策はなかった。
【0005】
そこで、この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、電離放射線による生物障害の新しい防護剤を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この出願の発明の電離放射線防護剤においては、シュードウリジンを有効成分とする防護剤が提供され、これを経口、注射、液状吸入、食品への混合等により生体へ投与することにより、電離放射線による生物障害を防護する。
【0007】
人に対しての血液中濃度については、好ましくは0.1mM以上、より好ましくは1.6mM以上となるようにシュードウリジンを、経口、注射、液状吸入、食品に混合等により人体へ投与することにより、より効果的に電離放射線による障害を防護する。
【0008】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、その実施の形態としては、まず、前記の有効成分であるシュードウリジンは次式で示されるものである。
【0009】
【化1】
JP0004269048B2_000002t.gif
【0010】
この有効成分のシュードウリジンは、水や生理食塩水等により希釈し、防護剤として生体へ投与することができる。
【0011】
さらに糖分や栄養分を加えて防護剤を構成することもできる。
【0012】
実際の使用に関しては、経口投与、静脈注射、液状吸入、食品に混合する方法等が可能であり、対象者の体質や電離放射線による被曝環境、そして防護が必要とされる時間等に応じてその使用量を調整することができる。もちろん、生物の対象はヒトであってもよいが、これに限られることなしに、非ヒト動物、実験動物に対しても有効に適用される。
【0013】
以下に実施例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。以下の例においてはシュードウリジンをヒト末梢血液にX線、炭素イオン線を照射し、遺伝子障害についての染色体異常誘発頻度を測定することによりシュードウリジンの防護作用を確認している。もちろん、以下の例によってこの発明が限定されることはない。
【0014】
【実施例】
生理食塩水に溶解したシュードウリジンをヒト末梢血液に各濃度で添加し、X線(20mA、0.5mmCu+0.5mmAlフィルター、焦点・プローブ間距離55cm)、またはLET50keV/μmを4Gy照射した。シュードウリジンはSigma-Aldrich Co.の市販品β-Pseudouridine(Product Number:P1658)を使用した。X線または炭素イオン線で照射した群の障害の度合いを、染色体異常(Dicentric;二動原体染色体)出現頻度を測定することにより求め、シュードウリジンの電離放射線の生物障害に対する防護作用を調べた。結果は図1、図2に示すように細胞1個あたりの平均染色体異常出現頻度を調べると、シュードウリジン濃度の増加に伴い放射線誘発染色体異常が減少することが確認された。図において、縦軸は1細胞中の二動原体染色体異常数、横軸は血液中のシュードウリジン濃度mMを示す。
【0015】
この結果から、シュードウリジンの人に対する投与量は血液中濃度0.1mM(血液1リットル中にシュードウリジン24.42mg)以上となるのが好ましく、1.6mM以上であればさらに好ましいといえる。
【0016】
以上の結果により、シュードウリジンはX線または炭素イオン線による障害を抑制することが確認された。
【0017】
また、この結果から、シュードウリジンを有効成分とする電離放射線防護剤は、ヒトに対してだけでなく、ヒト以外の各種の哺乳動物にも有効に適用できることがわかる。
【0018】
【発明の効果】
この出願の発明により、電離放射線(高LET放射線を含む)による生物障害を防護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト末梢血液にシュードウリジンを様々な濃度で添加したときのX線4Gyによる遺伝子障害が減少することを例示した図である。
【図2】ヒト末梢血液にシュードウリジンを様々な濃度で添加したときの炭素イオン線4Gyによる遺伝子障害が減少することを例示した図である。
図面
【図1】
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【図2】
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