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明細書 :抗アレルギー剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3694733号 (P3694733)
公開番号 特開2002-012545 (P2002-012545A)
登録日 平成17年7月8日(2005.7.8)
発行日 平成17年9月14日(2005.9.14)
公開日 平成14年1月15日(2002.1.15)
発明の名称または考案の名称 抗アレルギー剤
国際特許分類 A61K 31/7024    
A61P 37/08      
C07H 13/08      
C12N 15/09      
FI A61K 31/7024
A61P 37/08
C12N 15/00 ZNAA
C07H 13/08
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2000-195672 (P2000-195672)
出願日 平成12年6月29日(2000.6.29)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成12年3月5日 社団法人日本農芸化学会発行の「日本農芸化学会誌 74巻臨時増刊号」に発表
審査請求日 平成12年6月29日(2000.6.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
発明者または考案者 【氏名】辻 顕光
【氏名】山本 万里
【氏名】川本 恵子
【氏名】立花 宏文
個別代理人の代理人 【識別番号】100074077、【弁理士】、【氏名又は名称】久保田 藤郎
【識別番号】100086221、【弁理士】、【氏名又は名称】矢野 裕也
審査官 【審査官】中木 亜希
参考文献・文献 特開平11-075770(JP,A)
特開平11-103817(JP,A)
特開2000-069938(JP,A)
特開昭58-038209(JP,A)
特開平09-059151(JP,A)
国際公開第99/058663(WO,A1)
国際公開第99/061013(WO,A1)
国際公開第99/061019(WO,A1)
国際公開第99/061020(WO,A1)
調査した分野 C07H 13/08
A61K 31/7024
A23L 1/29-1/308
A61K 7/00-7/50
REGISTRY(STN)
CA(STN)
CAOLD(STN)
JICSTファイル(JOIS)
特許請求の範囲 【請求項1】
ストリクチニン及びそのメチル化誘導体の中から選ばれた少なくとも1種のポリフェノールを有効成分として含有することを特徴とするIgEクラススイッチを抑制する抗アレルギー剤。
【請求項2】
抗アレルギー剤が経口抗アレルギー剤である請求項1記載のIgEクラススイッチを抑制する抗アレルギー剤。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ストリクチニン及びそのメチル化誘導体の中から選ばれた少なくとも1種のポリフェノールを有効成分として含有する医薬に関し、詳しくは即時型アレルギー改善を目的とする医薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、アレルギー疾患の増加がみられ、生まれる子供の1/3がアトピー性皮膚炎もしくは喘息を発症するとの報告がある。また、花粉症発症の劇的な増加も大きな社会問題となっている。
食習慣の欧米化、大気汚染、食品添加物、ストレス過多といった私たちを取り巻く環境の変化が、このようなアレルギー症状増加の原因であると考えられている。
【0003】
アレルギー反応は、関与する免疫担当細胞や免疫グロブリンによりI型からIV型に分けられている。アレルギー性鼻炎,気管支喘息に代表される疾患はI型アレルギー反応に属しており,アレルゲンに曝露されることによりIgE 抗体が多量に産生され、そのIgE 抗体を介してマスト細胞や好塩基球からヒスタミン,ロイコトリエン,プロスタグランジン等のケミカルメディエータが産生・放出され、血管拡張,血管透過性亢進,気管支平滑筋の収縮,神経末端の刺激等が引き起こされることによる。そのため、I型アレルギー疾患の治療には、抗ヒスタミン剤とマスト細胞からのケミカルメディエータ遊離抑制作用をもつ抗アレルギー薬が使われている。
しかし、抗ヒスタミン剤や塩基性抗アレルギー薬には眠気,口渇,胃腸障害等の副作用があり、長期間に渡る連用が問題となる。
【0004】
IV型アレルギー反応は、T細胞が関与する遅延型の反応で、ランゲルハンス細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞を介して抗原情報を受けたT細胞が、様々なサイトカインを産生・放出し、これにより好酸球やマクロファージの集積により遅延型の炎症反応が起こるものである。
アレルギー性接触皮膚炎は、IV型アレルギー反応に基づいて発症する代表的な疾患である。IV型アレルギー疾患の治療には、ステロイド剤が用いられるが、このステロイド剤は、T細胞のサイトカイン産生を抑制して、湿疹の治療では劇的な効果を示す。その反面、長期間の連用によって、副腎皮質機能の低下,皮膚紅潮,委縮,毛細血管拡張などの重篤な副作用を引き起こす可能性がある。
【0005】
一方、茶は代表的な嗜好飲料であり、2000年余にも渡り多くの人々に飲用されてきた。また、茶は様々な生理機能を有していることが判明しており、例えば抗酸化作用,抗腫瘍作用,発ガン抑制作用,抗菌作用,抗ウイルス作用,抗う触作用などが報告されている。
アレルギー作用に関しては、特開平3-258726号公報において、ウーロン茶抽出物を主成分とする抗アレルギー剤としてマスト細胞からのヒスタミン遊離抑制作用を指標としてI型アレルギー反応に対する治療薬の例が、特開平7-17865号公報において、天然カフェインのI型アレルギー症状の血管透過性亢進作用反応に有効な事例が、特開平10-77231号公報、特開平10-175874号公報において、ウーロン茶抽出物を有効成分とする抗アレルギー剤,抗炎症剤,抗アトピー性皮膚炎剤,抗乾癬剤とした治療薬の例が挙げられている。
さらに、エピガロカテキンガレート,エピカテキンガレートなどの緑茶カテキン類が、ラット腹腔内マスト細胞からのヒスタミン遊離を抑制することが報告されている(日本食品科学工学会誌,Vol.42, No.11, pp 952-958, 1995およびAllergy, Vol.52, No.1, pp 58-64, 1997)。しかし、ストリクチニン等のポリフェノール類がアレルギー反応の起源となるB細胞によるIgE 産生を抑制するとの報告は行われていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
アレルギー疾患に応じた医薬品が開発され、治療に用いられているが、これらは副作用を伴うため、長期連用が可能で、安全性が高く副作用のない、天然物由来の抗アレルギー剤の開発が強く望まれていた。
そこで、本発明の目的は、副作用がなく、長期連用においても安全性の高いアレルギー疾患の治療、予防剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、抗アレルギー作用を有する物質をIgE 産生抑制効果を指標にスクリーニングを行い、ストリクチニン等のポリフェノール類にこれらの効果があることを見出し、かかる知見に基づいて本発明に到達した。
【0008】
請求項1記載の本発明は、ストリクチニン及びそのメチル化誘導体の中から選ばれた少なくとも1種のポリフェノールを有効成分として含有することを特徴とするIgEクラススイッチを抑制する抗アレルギー剤である。
請求項2記載の本発明は、抗アレルギー剤が経口抗アレルギー剤である請求項1記載のIgEクラススイッチを抑制する抗アレルギー剤である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係るストリクチニンは、下記の構造式で表される化合物であり、本発明には当該化合物の他、そのメチル化誘導体ポリフェノール類あるいはこれらの混合物も使用することができる。ポリフェノール類としては、例えばグルコースのC1~C4及びC6の水酸基の少なくとも1つにガロイル基、ジガロイル基、トリガロイル基、ヘキサヒドロキシフェノイル基、3--メチルガロイル基、4--メチルガロイル基が導入されたもの等が挙げられる。
【0010】
【化1】
JP0003694733B2_000002t.gif
【0011】
茶 (camellia sinensis)は、古来より飲用され、長期にわたって常飲されているが、人体に悪影響はなく、非常に安全性の高い飲料であることが認められている。そのため、本発明で使用するストリクチニン等のポリフェノール類を主体とする茶葉抽出物も、安心して摂取することが受け入れられるものである。
【0012】
本発明に使用するストリクチニン等のポリフェノール類は、‘やぶきた’などの乾燥茶葉を水系溶剤で抽出して得られるポリフェノール画分から分離、採取することができる。抽出物が、最終的に飲食物や化粧料等に利用され、摂取されることを考えると、安全性の立場から、水,エタノールまたはこれらの混合物を溶剤として用いるのが好ましい。
【0013】
抽出に際して、茶葉と溶剤との比率(重量比)は、特に限定されないが、茶葉1に対して溶剤5から100倍の割合が好ましい。抽出温度についても、特に限定されるものではなく、通常は室温~常圧下で溶剤の沸点の範囲が作業上都合がよい。抽出時間は、10分から6時間の範囲とするのが好ましい。
【0014】
本発明に用いるストリクチニン等のポリフェノール類を主体とする茶葉抽出物は、抽出物をそのまま、あるいは水等で適宜希釈して、経口的に投与することができる。さらに、これらを通常用いられる医薬用担体と共に製剤化して調製することができる。例えば、上記の抽出物等をシロップ剤などの経口液状製剤として、又はエキス,粉末などに加工し、薬学的に許容される担体と配合して錠剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤などの経口固形製剤とすることができる。ここで、薬学的に許容できる担体としては、製剤用素材として慣用されている各種の有機あるいは無機の担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤,滑沢剤,結合剤,崩壊剤や液状製剤における溶剤,賦形剤,懸濁化剤,結合剤等として配合される。また、必要に応じて防腐剤,抗酸化剤,着色料,甘味剤などの製剤添加物を用いることができる。
【0015】
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖,白糖,D-マンニトール,デンプン,結晶セルロース,軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸カルシウム,タルク,コロイドシリカなどが挙げられる。また、結合剤の好適な例としては、例えば結合セルロース,白糖,D-マンニトール,デキストリン,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
次に、崩壊剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール,プロピレングリコール,D-マンニトール,安息香酸ベンジル,エタノール,トリスアミノメタン,コレステロール,トリエタノールアミン,炭酸ナトリウム,クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。液剤として好適な例は、例えば精製水,エチルアルコール,プロピレングリコールなどが挙げられる。懸濁化剤として好適な例は、例えばステアリン酸エタノールアミン,ラウリル硫酸ナトリウム,ラウリルアミノプロピオン酸,レシチン,塩化ベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤や例えばポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子が挙げられる。
防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類,クロロブタノール,ベンジルアルコール,フェネチルアルコール,デヒドロ酢酸,ソルビン酸などが挙げられる。また、抗酸化剤として好適な例は、例えば亜硫酸塩,アスコルビン酸などが挙げられる。
【0016】
本発明において用いるストリクチニン等のポリフェノール類を主体とする茶葉抽出物は、抽出物そのままの形で、あるいは抽出物をエキス、粉末化して飲食物の形として投与できる。
【0017】
本発明に係るストリクチニン等のポリフェノール類を主体とする茶葉抽出物は、水等で希釈し、濃縮し、あるいは粉末化または顆粒化して、既知の医薬用担体等と共に製剤化することにより、エアゾール剤,液剤,エキス剤,懸濁剤,乳剤,軟膏剤,パップ剤,リニメント剤,ローション剤などの形態とすることができる。あるいは、公知の化粧品,医薬部外品,医薬品に用いられる水性成分,界面活性剤,油性成分,可溶化剤,保湿剤,粉末成分,アルコール類,pH調整剤,防腐剤,酸化防止剤,増粘剤,色素,顔料,香料などを必要に応じて適宜選択して目的とする形態に調製される。
【0018】
本発明において、ストリクチニン等のポリフェノール類は、使用目的などを考慮して適量を用いればよく、例えば抗アレルギー剤の場合は、1日に5~100mg/kg、好ましくは10~50mg/kgが適当であり、1日1回もしくは数回に分けて使用することができる。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を詳細に説明するための代表的な実施例等を示すが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例1 各種茶葉からのポリフェノール画分の抽出(茶葉抽出物)
マイクロ波にて乾燥した茶葉100gを50%メタノールで抽出し、抽出画分を30%クロロホルムで抽出した。その水相をさらに酢酸エチルで抽出した後の酢酸エチル層をODSカラムで分画した。ストリクチニンの精製方法の1例を図1に示す。分画したそれぞれの画分を、Fr.1~5とした。Fr.1~5は、すべて一度凍結乾燥し、それを各1mg/mLとなるように、Fr.1~2は水、Fr.3~4は0.2%DMSO、Fr.5は0.1%DMSOで溶解した。
【0020】
実施例2 活性画分の同定
実施例1のFr.1~5について、それぞれ in vitro での抗アレルギー作用をヒトB細胞でのIgE 産生抑制(IgE クラススイッチ抑制)を調べる IgE重鎖胚型転写物発現法で評価した。ヒトB細胞をIL-4で刺激して IgE産生を誘導すると、Ig遺伝子の定常部領域遺伝子のうちε領域(Cε)にあたる上流イントロンから転写が開始されて転写産物(CεGT:胚型転写物)が発現し、その後DNA組換えにより IgEのクラススイッチが引き起こされることを利用した方法である。CεGTは IgE産生が誘導される前に必ず発現するRNAであり、CεGT発現量と IgE遺伝子のクラススイッチ量は比例している。そのため、CεGT発現量の程度を検出することにより、 IgEクラススイッチ量を推定することができる。
【0021】
IgE 重鎖胚型転写発現法は、以下の手順で行った。
ヒトB細胞株DND39(林原生物化学研究所より入手)を1×105 個/mLに調製し、IL-4を終濃度25U/mLとなるように添加して刺激した。このとき、実験例1で得たFr.1~5を濃度10μg/mLにてIL-4と同時に添加した。
一方、上記ヒト細胞株にIL-4(終濃度25U/mL)と2ng/mLのトランスフォーミング成長因子β(TGF-beta、ペプロテック社製)を添加したものを、CεGTの発現を抑制するポジティブコントロールとした。
これらを48時間培養後、遠心分離(300×g、37℃)を行って細胞を集め、全RNAをRNA採抽出試薬(商品名:Trizol、ギブコ社製)1mLで抽出した。
【0022】
次いで、以下の手順によりcDNAライブラリーを作製した。まず、抽出した全RNAの濃度を吸光光度計で測定し、10μg分を0.6mLチューブに取り、水を加えて11.8μLとなるようにした。これに0.5μg/μLのオリゴdTプライマー及び20μMのCεGTアンチセンスプライマーをそれぞれ1.0μL加えた。このチューブを70℃で10分間インキュベートした後、続いて氷中で10分間急冷し、mRNAとオリゴdTプライマー、CεGTアンチセンスプライマーをアニールさせた。これにRNase-freeの10mM dNTP(アマシャム社製)2.0μLとMMLV-reverse transcriptase(アマシャム社製)に付属の5×buffer 4.0μL、RNase inhibitor(宝酒造製)0.1μL、MMLV-reverse transcriptase 0.1μL(終濃度20-200unit/チューブ)を混合した。これを37℃で1時間インキュベートし、cDNAを合成した。合成したcDNAは、PCRを行い増幅した。Gene bankに登録されているCεGT及びヒトGAPDHの塩基配列をもとにセンス並びにアンチセンスプライマーを作成した。その構造を配列表に示す。すなわち、CεGTセンスプライマーを配列番号1に、CεGTアンチセンスプライマーを配列番号2に、ヒトGAPDHセンスプライマーを配列番号3に、ヒトGAPDHアンチセンスプライマーを配列番号4に、それぞれ示す。
【0023】
当該プライマーを用いてポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)法によりCεGT-DNAを増幅させた。PCRの鋳型としてcDNA原液を1μL用い、CεGT検出の際には10mM dNTP 0.8μL、センスプライマー0.5μL、アンチセンスプライマー0.5μL、AmpliTaq Gold(パーキンエルマー社製)0.1μL、AmpliTaq Gold付属の10×buffer 1μLを混合し、蒸留水を加えて総量10μLとした。
GAPDHの検出の際には10mM dNTP 0.8μL、MgCl2 1μL、センスプライマー0.5μL、アンチセンスプライマー0.5μL、Taqポリメラーゼ(ファーメンタス社製)0.1μL、Taqポリメラーゼ付属の10×Taq buffer 1μLを混合し、蒸留水を加えて総量10μLとした。
PCRは、GeneAmp PCR System2400(パーキンエルマー社製)を用いて行い、その条件は次の通りである。CεGT検出の際には、95℃で30秒間、60℃で30秒間、72℃で30秒間を15サイクル行い、最後に72℃で7分間反応させた。GAPDH検出の際には、95℃で30秒間、60℃で30秒間、72℃で30秒間を10サイクル行い、最後に72℃で7分間反応させた。次に、得られたPCR産物について、分離用アガロースゲル(濃度1%、サワディーテクノロジー社製)で電気泳動を行った。電気泳動終了後、プラスチャージのナイロン膜(アマシャム社製)に転写した(サザントランスファー)。
【0024】
続いて、泳動パターンが転写したナイロン膜に、上記のPCRにおいて15回増幅したCεGT-DNAを蛍光標識したオリゴDNA(ヒトCεGTの塩基配列をもとに、PCRに用いた前述のセンス及びアンチセンスプライマーに挟まれる領域からオリゴヌクレオチド(配列表の配列番号5)を選びだし、このオリゴヌクレオチドをオリゴラベリングキット(アマシャム社製)を用いて調製したもの)をプローブとして用いて、ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション後、蛍光検出薬であるCDP-Star(アマシャム社製)と反応させ、その蛍光強度によりCεGTの発現量を測定した。図2は、ヒトB細胞株DND39におけるIL-4によるCεGT誘導発現に対する各フラクションの影響を表したものである。図中、GADPHはグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素を表し、□はコントロールを表している。
図2から明らかなように、Fr.3の画分において、CεGTの発現量は他の画分よりも抑制されていた。このことから、Fr.3の画分に活性成分があることが判明し、その後、ODSカラムを用いて細かく分画し、その中の1つの画分がストリクチニンのみを含む画分であることを確認した。
【0025】
実施例3 ヒトB細胞株における抗アレルギー活性の測定
実施例2で活性成分と同定したストリクチニンを用いて、ヒトB細胞株における抗アレルギー活性の測定を、実施例2のIgE 重鎖胚型転写物発現法と同様に測定した。なお、ストリクチニンは、IL-4と同時に添加した。ストリクチニンの添加濃度は1,10,25μMである。図3は、ヒトB細胞株DND39におけるIL-4によるCεGT誘導発現に対するストリクチニンの影響を示したものである。図中、GADPHはグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素を表し、□はコントロールを表している。
図3に示した通り、ストリクチニンは、ヒトB細胞株においてIL-4添加によるIgE クラススイッチを強く抑制することが明らかとなった。IgE はアレルギー反応に深く関与する免疫グロブリンであるため、IgE クラススイッチを抑制することは抗アレルギー活性を有することを意味する。
【0026】
実施例4 ヒト末梢血正常細胞における抗アレルギー活性の測定
実施例3のヒトB細胞株DND39の代わりに、ヒト末梢血正常細胞(単核球:ヒト健常人ボランティアより採血し、その血液から分離した)を用いて、抗アレルギー活性を実施例2のIgE 重鎖胚型転写物発現法と同様に測定した。この例においても、実施例2と同様に、ストリクチニンはIL-4と同時に添加した。なお、ストリクチニンの添加濃度は25μMとした。図4は、ヒト末梢血正常細胞におけるIL-4によるCεGT誘導発現に対するストリクチニンの影響を表したものである。図中、GADPHはグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素を表し、□はコントロールを表している。
図4に示した通り、ストリクチニンはヒト末梢血正常細胞において、IL-4添加によるIgE クラススイッチを強く抑制する作用を有しており、抗アレルギー活性を有することが認められた。
【0027】
【発明の効果】
本発明の抗アレルギー剤は、アレルギー反応に基づく症状の予防,抑制又は軽減に有効である。さらに、この薬剤は、茶に含まれるストリクチニン等のポリフェノール類を有効成分としているため、安全性にも優れ、長期連用の場合にも人体に有害な副作用がなく、日常的に使用できる。また、ストリクチニン等のポリフェノール類を主体とする茶抽出物を含む飲食物を日常的に摂取することにより、アレルギー反応による症状の予防や軽減に役立てることができる。
【0028】
【配列表】
SEQUENCE LISTING
<110> 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
<120> 抗アレルギー剤
<130> P121115K
<160> 5
<210> 1
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 1
aggctccact gcccggcaca gaaat 25
<210> 2
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 2
acggaggtgg cattggaggg aatgt 25
<210> 3
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 3
gctcagacac catggggaag gt 22
<210> 4
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 4
gtggtgcagg aggcattgct ga 22
<210> 5
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 5
agctgtccag gaacccgaca gggag 25
【図面の簡単な説明】
【図1】 ストリクチニンの精製方法の1例を示したフローチャートである。
【図2】 分画した各画分のIL-4によるCεGT誘導発現に対する影響を表したものである。
【図3】 ヒトB細胞株DND39におけるIL-4によるCεGT誘導発現に対するストリクチニンの影響を表したものである。
【図4】 ヒト末梢血正常細胞におけるIL-4によるCεGT誘導発現に対するストリクチニンの影響を表したものである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3