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明細書 :コンバインタンクの流入穀量の計測法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3554823号 (P3554823)
公開番号 特開2003-000047 (P2003-000047A)
登録日 平成16年5月21日(2004.5.21)
発行日 平成16年8月18日(2004.8.18)
公開日 平成15年1月7日(2003.1.7)
発明の名称または考案の名称 コンバインタンクの流入穀量の計測法及び装置
国際特許分類 A01F 12/60      
G01F  1/00      
G01F 25/00      
G01G 17/04      
G01G 19/12      
FI A01F 12/60
G01F 1/00 J
G01F 25/00 R
G01G 17/04 Z
G01G 19/12 A
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2001-189704 (P2001-189704)
出願日 平成13年6月22日(2001.6.22)
審査請求日 平成13年6月22日(2001.6.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
発明者または考案者 【氏名】帖佐 直
【氏名】柴田 洋一
【氏名】大嶺 政朗
【氏名】小林 恭
個別代理人の代理人 【識別番号】100063565、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 信淳
【識別番号】100118898、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 立昌
審査官 【審査官】西田 秀彦
参考文献・文献 特開平05-316869(JP,A)
特開平10-164967(JP,A)
調査した分野 A01F 12/60
特許請求の範囲 【請求項1】
コンバインによる収穫作業において、収穫作業中に穀粒タンクに流入する穀粒連続的に計測する穀粒流量計測手段と、機体の停止中、または機体の旋回・移動中のような穀粒タンクに穀粒が流入しないときにタンク内の穀粒の総質量を間欠的に計測するタンク内穀粒総質量計測手段とを並して、収量をモニタリングすることを特徴とするコンバインタンクの流入穀量の計測法。
【請求項2】
コンバインによる収穫作業において、収穫作業中に穀粒タンクに流入する穀粒連続的に計測する穀粒流量計測手段と、機体の停止中、または機体の旋回・移動中のような穀粒タンク内の穀粒量が変化しないときにタンク内の穀粒の総質量を間欠的に計測するタンク内穀粒総質量計測手段とにより並列に計測し、タンク内穀粒総質量計測手段とによる計測の結果を、穀粒流量計測手段の検出出力を穀粒流量に変換する較正直線の決定に反映させることを特徴とするコンバインタンクの流入穀量の計測法。
【請求項3】
コンバインの穀粒タンク内部に、タンクに流入する穀粒を連続して計測する穀粒流量センサと、タンク内の穀粒の充填量によって変化する圧力からタンク内の穀粒の総質量を間欠的に測定するロードセルを取り付け、このロードセルの測定値により穀粒流量センサの測定値を補正してコンバインによる収量を計測することを特徴とするコンバインタンクの流入穀量の計測装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばコンバインのように、粉塵や振動の影響を受ける環境下における、コンバインタンクの流入穀量の計測法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンバインにおける収量モニタは、衝突板や光学式センサによる穀粒の流量計測について、古くから検討され一部は実用化されている。しかし、振動や粉塵の影響を受ける環境では、精度が劣る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年の稲作の省力化を目標とした、圃場の大区画化や直播など栽培様式の多様化に伴い、区画内の肥沃度、生育あるいは収量のばらつきが問題として指摘されてきている。その解決方法のひとつの糸口として、それらのばらつきに応じて、局所的な可変管理を行う技術が注目されている。収量モニタは、収穫作業時に圃場内の収量のばらつきを把握することが可能で、それにより得られる収量マップは、管理履歴の評価や次年度の栽培戦略の指針を示すのに有効である。しかし、これまでの収量のモニタリングでは、十分な精度が実現されていないため、細かな収量のばらつきを検出することができない。
本発明は、振動や粉塵の影響を受ける環境においても、穀粒の流量を安定した精度で計測する手法を提案するものであり、収量モニタの開発に貢献することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、以下の手段、構成を特徴としている。
A.従来のセンサによる穀粒流量の連続的なモニタリングと同時に、穀粒タンク内の穀粒量を間欠的にモニタリングする。
【0005】
B.穀粒の流量センサは振動や粉塵の影響を受ける環境下では精度が劣る。穀粒流量センサの精度を補うため、間欠計測される穀粒量を補正値として用い、較正直線を求める。
C.間欠計測は、コンバインの穀粒タンク内部に取り付けられたロードセルによる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、添付したグラフ、概略図を参照して説明する。
本発明の穀粒流量のハイブリッドモニタリングは、従来のセンサによる穀粒流量のモニタリングと同時に、間欠的な穀粒の総質量(重さ)の変化をモニタリングする点に特徴がある。
【0007】
本来ならば、穀粒流量センサのみで穀粒の流量がモニタリングできる。図1にコンバインに搭載された穀粒流量センサと実際の流量との関係を示す。振動や粉塵の影響を受ける環境下でも、穀粒流量とセンサ出力との間には、正の相関が認められるが、回帰直線はいずれも異なり、較正直線を一つに決定することはできない。そこで、穀粒流量センサの精度を補うため、間欠計測される穀粒量を補正値として用い、較正直線を求める。
【0008】
較正直線の決定の流れを図2に示す。図2及び数式1、数式2に示すとおり、間欠的に計測される穀粒の総質量(重さ)の変化Wと、同変化時間中の穀粒流量センサによって計測される流量の積算値Σx の比を、較正直線の傾きaとする。これにより、振動や粉塵の影響によって、センサ出力に対する穀粒流量の較正直線の傾きが変化しても、安定して穀粒の流量をモニタリングすることが可能になる。
間欠的な穀粒の総質量(重さ)の変化は、コンバインの穀粒タンク内部に取り付けられたロードセルにより推定する。
【0009】
【数1】
JP0003554823B2_000002t.gif【0010】
【数2】
JP0003554823B2_000003t.gif【0011】
【実施例】
本発明による、収量モニタを実施例として取り上げる。収量モニタはコンバインによる収穫作業中にリアルタイムで収量をモニタリングする装置である。
図3に、コンバイン1の概略とセンサの配置を示す。本実施例では、穀粒流量センサ4として光学式のものを用いる。穀粒流量センサ4は、コンバイン1の穀粒タンク2上部の揚穀コンベヤ排出口3に取り付け、排出口3から穀粒タンク2への穀粒流量を検出する。間欠的に質量の変化を計測するセンサとしてはロードセル6を用いる。ロードセル6は、コンバイの穀粒タンク2、下部コンベヤ上のコンベヤカバー5に固定され、穀粒の充填量によって変化する垂直方向の荷重を計測する。
【0012】
図4にタンク2内の総穀粒質量(重さ)とロードセル6の出力の関係を示す。作業及び計測の概略を図5に示す。コンバイン1による収穫は、正味の収穫作業(実作業)の他に旋回や排出などによって行われる(以下、旋回や排出によって区切られる実作業単位を行程とする)。ロードセル6からの出力は、タンク2内の充填が変化する状態では、振動の影響があるため、連続的な計測には不適切である。そこで、旋回時や排出前など、タンク2内への穀粒流入が途切れる間に間欠的にタンク2内の穀粒質量(重さ)を計測する。これにより、ロードセル6からは、旋回や排出前に行程毎の合計収量が計測される。その間、穀粒流量センサ4によって計測される行程毎の穀粒流量の積算値を求める。ロードセル6から計測される行程毎の合計収量(W)と穀粒流量センサ4によって計測さる穀粒流量の積算値(Σx)の比を、較正直線の傾き(数式1:a)とする。較正直線の決定の流れは、図2に示したとおりである。これにより、行程中の振動や粉塵の状態が極端に変動しなければ、高い精度で穀粒の流量をモニタリングすることが可能になる。
【0013】
図6には、実施例に基づく収量モニタの精度を示す。実際の作業中にコンバイン1の走行10m毎にサンプリングした穀粒質量と、穀粒流量センサの出力結果から試算したものである。穀粒流量センサは光学式のものを用いた。作業中に全量サンプリングしたため、間欠的な総質量(重さ)の変化はロードセル6による推定結果ではなく、サンプリングした穀粒質量(重さ)の合計値とした。図6は間欠的な収量計測を併用すれば、連続的な穀粒の流量計測も90%以上の確率で±15%未満の誤差で計測されることを示している。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるタンク内の穀粒質量とタンクへの流入量の併用モニタリングにより、より精度の高い穀粒流量のモニタリングを実現する。また、本発明から波及して開発される収量計測コンバインは、精密農業を実現させるうえで重要な役割を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】行程毎のコンバインに搭載された穀粒流量センサと実際の穀粒流量との関係を示すグラフである。いずれも、それぞれの間には正の相関が認められるが、回帰直線はいずれも異なり、較正直線を一つに決定することはできない。
【図2】本発明による、穀粒流量センサの較正直線の決定方法を示す行程図及び計算式である。間欠的に計測される穀粒の総質量(重さ)の変化と、穀粒流量センサによって計測される流量の積算値の比を、較正直線の傾きとする。
【図3】本発明による収量計測のためのロードセル6のコンバインの穀粒タンクへの取り付け位置及び穀粒流量センサの取付け位置を示すコンバイン全体の概略側面図(a)、穀粒タンクの縦断面図(b)である。穀粒流量センサ4は、コンバイン穀粒タンク2上部の揚穀コンベヤ排出口3に取り付け、排出口から穀粒タンクへの穀粒流量を検出する。ロードセル6は、コンバイの穀粒タンク2、下部コンベヤ上のコンベヤカバー5に固定され、穀粒の充填量によって変化する垂直方向の荷重を計測する。
【図4】本発明による、タンク内の穀粒質量(重さ)とロードセル6からの出力の関係を示すグラフである。穀粒として籾を用いて実験を行った結果である。それぞれの関係は、圃場や品種が変わっても同じ直線で表される。
【図5】作業及び計測の概略を示す説明図である。コンバインによる収穫は、正味の収穫作業(実作業)の他に旋回や排出などによって行われる。実作業中は、穀粒流量センサ4により連続的に、穀粒の流量を計測する。ロードセル6では、旋回時や排出前など、タンク内への穀粒流入が途切れる時に間欠的に、総穀粒質量(重さ)を計測する。
【図6】本発明による、ハイブリッドモニタリングの精度の試算結果を示すグラフである。間欠的な収量計測を併用すれば、連続的な穀粒の流量計測も90%以上の確率で、±15%未満の誤差で計測さることを示している。
【符号の説明】
1 自脱型のコンバイン
2 穀粒タンク
3 揚穀コンベヤ排出口
4 穀粒流量センサ
5 下部コンベヤのカバー
6 ロードセル
7 排出コンベヤ
8 計測される荷重の向き
9 穀粒の流れ
a 較正直線の傾き
b 較正直線切片
W ロードセルで計測される一定時間の合計収量
位置iで計測される穀粒流量
位置iで計測される収量
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5