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明細書 :接ぎ木器具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3627013号 (P3627013)
公開番号 特開2002-125463 (P2002-125463A)
登録日 平成16年12月17日(2004.12.17)
発行日 平成17年3月9日(2005.3.9)
公開日 平成14年5月8日(2002.5.8)
発明の名称または考案の名称 接ぎ木器具
国際特許分類 A01G  1/06      
FI A01G 1/06 A
請求項の数または発明の数 3
全頁数 12
出願番号 特願2001-282211 (P2001-282211)
分割の表示 特願平11-156563 (P1999-156563)の分割、【原出願日】平成11年6月3日(1999.6.3)
出願日 平成13年9月17日(2001.9.17)
審査請求日 平成13年9月17日(2001.9.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
発明者または考案者 【氏名】飯泉 斗志雄
【氏名】萩原 利喜一
【氏名】横田 武
【氏名】潮田 伸雄
【氏名】稲葉 伸一
【氏名】小松崎 昭男
【氏名】岩瀬 茂夫
【氏名】土居 克人
【氏名】宮本 和美
【氏名】飯島 正博
【氏名】石井 健一
【氏名】青葉 裕二
【氏名】寺田 恒夫
【氏名】鈴木 勝征
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100099128、【弁理士】、【氏名又は名称】早川 康
審査官 【審査官】坂田 誠
参考文献・文献 特開平7-312977(JP,A)
調査した分野 A01G 1/06
特許請求の範囲 【請求項1】
穂木が摺動自在に乗せられる摺動面を有する乗せ台、前記摺動面上に乗せられた穂木を上から押圧しながらその長さ方向に沿って摺動させる手押しスライダ、及び、前記穂木の摺動方向とは反対方向に傾斜せしめられるとともに、その刃の部分を前記摺動面より上側に突出させた状態で配設された固定刃物を有する、穂木切削用の接ぎ木器具。
【請求項2】
穂木の切削長さを調節するための切削長さ調節手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の接ぎ木器具。
【請求項3】
前記手押しスライダに、穂木における切削されるべき部分を突出させた状態でその大半を収容する収容溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の接ぎ木器具。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、根を持つ台木に枝や芽等からなる穂木(接ぎ穂)をつぎ合わせて増殖する接ぎ木操作に使用する接ぎ木器具に係り、特に、切り接ぎ法で使用するのに好適な穂木切削用の接ぎ木器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
果樹栽培において接ぎ木技術は必須である。その栽培現場では、数多くの品種更新や苗木生産に関わる場面があり、経営的にも、また試験研究の場面でも優良供試樹を多量に増殖する必要がある。
かかる優良品種の増殖にあたっては、果樹の場合には栄養繁殖法により増殖する必要がある。この栄養繁殖法には、接ぎ木法や挿し木法があるが、果樹の場合、ブドウなどの一部の樹種を除けば、挿し木繁殖が難しく、それが容易なブドウですらフィロキセラ抵抗性の見地からもっぱらその増殖は接ぎ木法に頼っているのが現状である。
この接ぎ木法には種々の方法があるが、苗木生産や品種更新で用いられる接ぎ木法としては、切り接ぎ法が主体であり、一部、割り接ぎ法、剥ぎ接ぎ法、腹接ぎ法なども利用される。
【0003】
ここで、前記切り接ぎ法による接ぎ木操作を図12~図15を参照しながら簡単に説明する。切り接ぎ法による接ぎ木には、根11を持つ台木10を掘り上げて行う揚げ接ぎとすえ置きのまま行う居接ぎの二通りあり、いずれの場合も、台木10を適当な長さ(例えば5~10cm程度)に切断してそれ以上伸長している部分を取り除き、通常は、上面から見て外周部(皮層部13)から木質部12に少しかかるところを、切り込み位置として、切り出しナイフ100を最初は斜めにあてがって押し下げ、所定の深さに達するまでに徐々にナイフ100の刃の部分100aを水平にするように回動させながら切り下げ、刃元100aが所定の深さに達する時点ではナイフが略水平になるように操作する(図12)。また、台木10につぎ合わせる穂木としては、図15に示される如くに、好ましくは、芽21、21を持つ枝を適当な長さに切り取ったものを使用し、その穂木20の基部(下部)の一面側外周部(皮層部23)を木質部22に少しかかるように、前記台木10の切り下げ長さに準ずる長さにナイフで削り取り(削り面25)、その背面側を斜めに切り落とし(削り面26)、下端27が略水平になるようにしておく。そして、図13に示される如くに、台木10の切削面15と切り離された舌状部16との間に、前記穂木20を挿入し、互いの形成層を合わせた状態(図14)にし、この状態でそれらの外周を接ぎ木用ビニールテープ等で巻縛する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記のようにして行う一連の接ぎ木操作において、台木10及び穂木20の削り面15、25は、所要の寸法に切削することに加えて、できるだけ平滑に切削する必要がある。つまり、削り面15、25が所要の寸法になっていなかったり、波状等となって粗くなっていると、台木10と穂木20とが適正に活着せず、養水分の補給が行われなくなり、穂木20が枯死する。
【0005】
しかしながら、ナイフを用いて手作業で台木及び穂木を所要の寸法に平滑に切削するには、習熟、熟練を要し、誰もが容易に行えるとはいえなかった。本発明は、上述の如くの問題を解消すべくなされたもので、その目的とするところは、台木及び穂木を所要の寸法に平滑に切削する操作を、誰もが習熟、熟練を要することなく、安全かつ容易に行うことができるようにした接ぎ木器具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成すべく、本発明に係る接ぎ木器具は、穂木切削用のもので、基本的には、穂木が摺動自在に乗せられる摺動面を有する乗せ台、前記摺動面上に乗せられた穂木を上から押圧しながらその長さ方向に沿って摺動させる手押しスライダ、及び、前記穂木の摺動方向とは反対方向に傾斜せしめられるとともに、その刃の部分を前記摺動面より上側に突出させた状態で配設された固定刃物を有する。
好ましい態様では、穂木の切削長さを調節するための切削長さ調節手段が設けられ、また、前記手押しスライダに、穂木における切削されるべき部分を突出させた状態でその大半を収容する収容溝が形成される。
【0007】
このような構成とされた穂木切削用の接ぎ木器具の好ましい態様においては、切り接ぎ法による接ぎ木を行うにあたっては、穂木を手押しスライダに設けられた収容溝に、切削されるべき部分を突出させた状態で収容して乗せ台上の所定位置に置く。この場合、穂木の基端(下端側)は前記収容溝の後端に当て、削り開始部位(前記台木の切り下げ長さに準ずる長さ位置)を前記固定刃物上に位置させる。この位置決めは、例えば、前記乗せ台を基台に対して長手方向に移動可能に保持固定する構成の切削長さ調節手段を使用すれば簡単に行える。そして、手押しスライダを上から押さえながら穂木の長さ方向に摺動させる。これにより、穂木は、固定刃物により所定長さ分だけ削られる。この操作を必要に応じて複数回繰り返しておこなうことにより、前述した図15に示される如くの削り面25が形成される。このようにされることにより、従来のように、ナイフを用いて手作業で行う場合に比して、穂木切削作業を極めて簡単かつ迅速に行え、誰もが習熟、熟練を要することなく、安全かつ容易に、穂木を所要の寸法に平滑に切削することが可能となる。
【0008】
本発明に係る接ぎ木器具は、下記の台木切削用の接ぎ木器具と共に好適に用いることができる。すなわち、台木切削用の接ぎ木器具は、基本的には、台木を保持する保持部材、台木を切削するためのナイフ、及び、前記ナイフを垂直面に沿って移動させるための案内手段を有する。
より具体的な好ましい態様では、台木を固定するための固定手段が設けられた保持部材、この保持部材にその先端部が揺動可能に連結された台木切削用のナイフ、及び、前記ナイフの幅方向の移動及び振れを規制しつつ垂直面に沿って揺動させる案内手段を有する。
【0009】
さらに好ましくは、前記保持部材に台木が遊挿される挿入穴又は溝が設けられるとともに、前記挿入穴又は溝に挿入された台木をその壁面部に押圧して固定する固定手段としての押圧固定具が設けられる。また、他の好ましい態様では、台木を所定の深さだけ切削できるように、前記ナイフの下方にストッパが配設される。
【0010】
このような構成とされた台木切削用の接ぎ木器具の好ましい態様においては、切り接ぎ法による接ぎ木を行うにあたっては、適当な長さに切断されている台木を保持部材に設けられた挿入穴又は溝に遊挿するとともに、押圧固定具により台木を所定位置にて壁面部に押し付けるようにして固定し、また、必要に応じてストッパの位置を調節した後、台木の上面から見て皮層部から木質部に少しかかるところを、切り込み位置として、ナイフを最初は斜めにあてがって押し下げ、所定の深さに達するまでに徐々にナイフの刃元を水平にするように回動させながら切り下げ、刃元が所定の深さ(ストッパに当たる位置)に達する時点ではナイフが略水平になるように操作する。
【0011】
この場合、前記ナイフは、好ましい態様では、保持部材にその先端部が揺動可能に連結されるとともに、案内手段によってその幅方向の移動及び振れを規制されながら垂直面に沿って揺動せしめられ、しかも、所定深さまで切り下げたときにはストッパにより止められるので、従来のように、ナイフを用いて手作業で行う場合に比して、台木切削作業を極めて簡単かつ迅速に行え、誰もが習熟、熟練を要することなく、安全かつ容易に、台木を所要の寸法に平滑に切削することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。最初に、本発明に係る穂木切削用の接ぎ木器具と共に好適に用いることができる台木切削用の接ぎ木器具を説明する。図1~図3は、上記台木切削用の接ぎ木器具の一実施形態を示している。図示実施形態の台木切削用の接ぎ木器具30は、切り接ぎ法のうちの、根11を持つ台木10を掘り上げて行う揚げ接ぎに使用するもので、基台部33と、この基台部33における開口35付きの中央凹部34に嵌着された、台木10を保持する直方体状の保持部材31と、台木10を切削するためのナイフ40と、を備えている。前記保持部材31は、左保持体31Aと右保持体31Bの二分割構成となっており、それらの上部間には、前記ナイフ40が挿入される間隙32が形成されている。
【0013】
前記ナイフ40は、その先端部が前記左保持体31Aにレバー42を介して揺動可能に連結されている。前記レバー42は、一端部が、前記左保持体31Aに立設された鍔状部付きピン軸44に軸支され、他端部にピン軸45が固着されており、このピン軸45に前記レバー40の先端部が軸支されている。前記ピン軸45の先端には前記ナイフ40の振れ止め板49が固着されている。前記左保持体31A及び右保持体31B、並びに、前記レバー42、ピン軸44、45、及び振れ止め板49は、前記ナイフ40の幅方向の移動及び振れを規制しつつ垂直面に沿って揺動させる案内手段を構成している。
【0014】
また、前記保持部材31には、前記左保持体31A側に偏って、台木10が遊挿される断面円形の挿入穴31a(上部は断面半円形の溝)が縦方向に貫設され、また、基台33の正面側には、取り付け部材36が配設され、この取り付け部材36に、前記挿入穴31aに挿入された台木10をその壁面部に押圧して固定する固定手段として蝶ねじ等からなる押圧固定具37が螺合せしめられている。
【0015】
さらに、前記挿入穴31aに挿入され、好ましくは前記押圧固定具37により押圧固定された台木10を所定の深さだけ切削できるように、前記ナイフ40の下方に矩形板状のゴム製のストッパ46が配設されている。このストッパ46には、高さ調節に供する左右一対の長穴48、48が形成され、この長穴48、48に通された止めねじ47、47により、該ストッパ46は前記保持部材31の正面部の所定高さ位置に押圧固定されている。
【0016】
このような構成とされた本実施形態の台木切削用の接ぎ木器具30を用いて、切り接ぎ法による接ぎ木を行うにあたっては、適当な長さに切断されている台木10を保持部材31に設けられた挿入穴31aに下から遊挿するとともに、押圧固定具37により台木10を所定位置にて壁面部に押し付けるようにして固定し、また、必要に応じてストッパ46の位置を調節した後、図2に示される如くに、器具30全体を作業台Tに据え付ける。
【0017】
なお、押圧固定具37は省略することもでき、その場合には、作業者が手作業によりあるいは適宜の手段により、挿入穴31aに挿入された台木10をその壁面部に押圧すればよく、作業が迅速化する利点がある。また、押圧固定具37を備える場合であっても、それを使用せずに、作業者が手作業によって押圧することもできる。図示しないが、押圧固定具37を省略する場合には、基台部33に前記間隙32に達する開放縦溝を形成しておくことも可能であり、その場合に、前記ストッパ46を取り外しておくことにより、作業者は、接ぎ木器具30を台木10に対して上から挿入するのではなく、前記開放縦溝を通して側方から差し込み、それにより、台木10を所定位置にて壁面部に押し付けるようにすることもできる。それにより、接ぎ木器具30の台木10への位置決め作業は容易化する。その際に、後に図4~図6に示す実施態様で説明する緊締バンド56のような簡易押圧固定具を併用するようにしてもよい。
【0018】
続いて、図13に示すように、台木10の上面から見て皮層部13から木質部12に少しかかるところを切り込み位置として(前記のようにして台木10を押圧固定するとき位置調節を行う)、ナイフ40を最初は斜めにあてがって押し下げ、所定の深さに達するまでに徐々にナイフ40の刃の部分40aを水平にするように回動させながら切り下げ、刃の部分が所定の深さ(ストッパ46の上端に当たる位置)に達する時点ではナイフが略水平になるように操作する。
【0019】
この場合、前記ナイフ40は、保持部材31にその先端部が揺動可能に連結されるとともに、両保持体31A、31B、レバー42、振れ止め板49等からなる案内手段によってその幅方向の移動及び振れを規制されながら垂直面に沿って揺動せしめられ、しかも、所定深さまで切り下げたときにはストッパ46により止められるので、従来のように、ナイフを用いて手作業で行う場合に比して、台木切削作業を極めて簡単かつ迅速に行え、誰もが習熟、熟練を要することなく、安全かつ容易に、台木を所要の寸法に平滑に切削することが可能となる。
【0020】
図4~図6は、台木切削用の接ぎ木器具の他の実施形態を示している。図示実施形態の台木切削用の接ぎ木器具50は、切り接ぎ法のうちの、台木10を据え置いたまま行う居接ぎに使用するもので、左保持体51Aと右保持体51Bとを合体した二分割構成の保持部材51と、台木10を切削するためのナイフ40と、を備え、左保持体51Aと右保持体51Bの上部間には、前記ナイフ40が挿入される間隙52が形成されている。
【0021】
前記ナイフ40は、前記した揚げ接ぎ用の実施形態と同様に、その先端部が前記左保持体51Aにレバー42を介して揺動可能に連結されている。前記レバー42は、一端部が、前記左保持体51Aに立設された鍔状部付きピン軸44に軸支され、他端部にピン軸45が固着されており、このピン軸45に前記レバー40の先端部が軸支されている。前記ピン軸45の先端には前記ナイフ40の振れ止め板49が固着されている。前記左保持体51A及び右保持体51B、並びに、前記レバー42、ピン軸44、45、及び振れ止め板49は、前記ナイフ40の幅方向の移動及び振れを規制しつつ垂直面に沿って揺動させる案内手段を構成している。
【0022】
また、前記保持部材51には、前記左保持体51A側に偏って、台木10が遊挿される断面円形の挿入穴51a(上部は断面半円形の溝)が縦方向に貫設され、また、保持部材51の正面側下部には、前記挿入穴51aに挿入された台木10を壁面側に押圧して固定するための緊締バンド56が掛け回されるとともに、バンド掛け回し用の切欠開口66が形成されている。前記緊締バンド56は、ゴムバンドからなっており、一端部が左保持体51Aの左側面にビス57、57で固定され、右保持体51Bの右側面に、緊締バンド56の他端に取り付けられたU字状掛止具56aを掛止する係止ピン58が植設されている。
【0023】
さらに、前記挿入穴51aに挿入されて前記緊締バンド56により固定された台木10を所定の深さだけ切削できるように、前記保持部材51の正面側内部における前記ナイフ40下方に形成された断面矩形の穴63に、直方体状のストッパ61が上下方向に移動可能に配置されている。このストッパ61は、常時コイルばね62により上方に付勢されており、前記ナイフ40が台木10を切り下げたとき、ナイフ40を受け止めつつ過剰に下降するのを防止するようになっている。
【0024】
このような構成とされた本実施形態の台木切削用の接ぎ木器具50を用いて、居接ぎを行うにあたっては、植え込まれているままの台木10の上から保持部材51に設けられた挿入穴51aを外挿するとともに、地表面Gから所定の高さのところで、緊締バンド56を台木10に掛け回して引っ張るようにして、その一端側のU字状掛止具56aを係止ピン58に引っ掛けることにより、台木10を所定位置にて壁面部に押し付けるようにして固定する。図示しないが、接ぎ木器具50の下面に、固定脚あるいは伸縮自在の脚を固定的にあるいは着脱自在な態様で取り付けるようにしてもよく、それにより、前記固定作業及びその後の切り込み作業を安定化することができる。
【0025】
続いて、図1~図3の装置で説明したと同様にして、台木10の上面から見て皮層部13から木質部12に少しかかるところを切り込み位置として、台木10に対してナイフ40を最初は斜めにあてがって押し下げ、所定の深さに達するまでに徐々にナイフ40の刃の部分40aを水平にするように回動させながら切り下げ、刃の部分が所定の深さ(ストッパ56を多少押し下げた位置)に達する時点ではナイフが略水平になるように操作する。
【0026】
この場合も、前記ナイフ40は、保持部材51にその先端部が揺動可能に連結されるとともに、両保持体51A、51B、レバー42、振れ止め板49等からなる案内手段によってその幅方向の移動及び振れを規制されながら垂直面に沿って揺動せしめられ、しかも、所定深さまで切り下げたときにはストッパ56により止められるので、従来のように、ナイフを用いて手作業で行う場合に比して、台木切削作業を極めて簡単かつ迅速に行え、誰もが習熟、熟練を要することなく、安全かつ容易に、台木を所要の寸法に平滑に切削することが可能となる。
【0027】
次に、上記した台木切削用の接ぎ木器具と共に好適に用いられる、本発明に係る穂木切削用の接ぎ木器具の一実施形態を、図7~図11を参照しながら説明する。図示実施形態の穂木切削用の接ぎ木器具70は、切り接ぎ用に穂木20を切削するためのもので、基台71と、この基台71上に固定される傾斜面部72Aが設けられた乗せ台72と、この乗せ台72の摺動面72a(傾斜面部72Aを含む上面全部)上に乗せられる穂木20を上から押圧しながらその長さ方向(ここでは図8、図9において右から左)に沿って摺動させる手押しスライダ73、及び、前記穂木20の摺動方向とは反対方向に傾斜せしめられるとともに、その刃の部分90aを前記摺動面72aより上側に所定長だけ突出させた状態で固定ロッド92により前記乗せ台72内部の、上面が刃先突出口72bとなっている取付室72Bに配設固定された固定刃物90を有する。
【0028】
前記乗せ台72は、前記基台71上に移動可能に載置されており、切削長さ調節手段を構成するアーチ状押し付け部材76により基台71に押し付け固定されている。すなわち、前記アーチ状押し付け部材76は、図10に示される如くに、その両端上方から前記基台71にねじ込まれる締め付けボルト77、77により基台71に固定されており、前記乗せ台72は、前記締め付けボルト77、77を緩めて前記アーチ状押し付け部材76を浮かせるようにすれば、基台71上を長手方向に移動させることができ、前記締め付けボルト77、77を締め付けることで、前記基台71の任意の位置にて保持固定されるようになっている。
【0029】
前記手押しスライダ73は、上片部73a及びその両端から垂直に立ち下がる横片部73b、73bからなる、乗せ台72に跨乗せしめられる横倒しコ字形構造になっており、前記上片部73a上にはノブ74が設けられ、前記上片部73aの下面側中央には、穂木20における切削されるべき部分を下方突出させた状態でその大半を収容する断面矩形で前面と下面とが開口した収容溝75が形成されている。
【0030】
このような構成とされた穂木切削用の接ぎ木器具70においては、切り接ぎ法による接ぎ木を行うにあたっては、穂木20を手押しスライダ73に設けられた収容溝75に、切削されるべき部分を突出させた状態で収容して乗せ台72上に置く(図8、図11参照)。この場合、穂木20の基端(下端側)は前記収容溝75の後端75aに当て、削り開始部位(前記台木の切り下げ長さに準ずる長さ位置)を前記固定刃物90の刃の部分90a上に位置させる。この位置決めは、前記したように乗せ台72をアーチ状押し付け部材76に対して長手方向に移動させて調節し、切削開始時に手押しスライダ73の後端をアーチ状押し付け部材76に当接させればよい。そして、手押しスライダ73を上から押さえながら穂木20の長さ方向に摺動させる。これにより、穂木20は、固定刃物90により所定長さ分だけ削られる(図9に削り屑20kが示されている)。この操作を必要に応じて複数回繰り返しておこなうことにより、前述した図15に示される如くの削り面25が形成される。
【0031】
このようにされることにより、従来のように、ナイフを用いて手作業で行う場合に比して、穂木切削作業を極めて簡単かつ迅速に行え、誰もが習熟、熟練を要することなく、安全かつ容易に、穂木を所要の寸法に平滑に切削することが可能となる。上記のようにして台木10及び穂木20の切削作業を行った後は、前述した図13に示される如くに、台木10の切削面15と切り離された舌状部16との間に、前記穂木20を挿入し、互いの形成層を合わせた状態(図14)にし、この状態でそれらの外周を接ぎ木用ビニールテープ等で巻縛する。なお、実際に接ぎ木作業を行う場合は、前記した台木10の切削を行う人と穂木20の切削及び挿入巻縛を行う人の二人一組で行うことで能率的となる。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明に係る接ぎ木器具によれば、台木及び穂木を所要の寸法に平滑に切削する操作を、誰もが習熟、熟練を要することなく、安全かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】台木切削用の接ぎ木器具の一実施形態(揚げ接ぎ用)を示す全体斜視図。
【図2】図1に示される接ぎ木器具の部分切欠側面図。
【図3】図1に示される接ぎ木器具のIII-III矢視線に従う水平断面図。
【図4】台木切削用の接ぎ木器具の他の実施形態(居接ぎ用)を示す全体斜視図。
【図5】図4に示される接ぎ木器具の部分切欠側面図。
【図6】図4に示される接ぎ木器具の部分切欠平面図。
【図7】本発明に係る穂木切削用の接ぎ木器具の一実施形態を示す全体斜視図。
【図8】図7に示される接ぎ木器具の横方向中央断面図。
【図9】図7に示される接ぎ木器具の操作説明に供される横方向中央断面図。
【図10】図8のA-A矢視線に従う断面図。
【図11】図8のB-B矢視線に従う断面図。
【図12】台木を切り接ぎ用に切削する場合のナイフ操作の説明に供される図。
【図13】切り接ぎ法による接ぎ木操作の説明に供される図。
【図14】切り接ぎ法による接ぎ木における台木と穂木の位置関係を示す水平断面図。
【図15】穂木を切り接ぎ用に切削する場合の削り面の説明に供される図。
【符号の説明】
10 台木
11 根
20 穂木
21 芽
30 台木切削用の接ぎ木器具
40 ナイフ
31 保持部材
31a 挿入穴
37 押圧固定具
42 レバー
46 ストッパ
50 台木切削用の接ぎ木器具
51 保持部材
51a 挿入穴
56 緊締バンド
61 ストッパ
70 穂木切削用の接ぎ木器具
71 基台
72 乗せ台
73 手押しスライダ
75 収容溝
76 アーチ状押し付け部材
90 固定刃物
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14