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明細書 :果樹根切り方法及びアタッチメント

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3598376号 (P3598376)
公開番号 特開2003-125650 (P2003-125650A)
登録日 平成16年9月24日(2004.9.24)
発行日 平成16年12月8日(2004.12.8)
公開日 平成15年5月7日(2003.5.7)
発明の名称または考案の名称 果樹根切り方法及びアタッチメント
国際特許分類 A01G  7/00      
A01G 23/00      
FI A01G 7/00 602D
A01G 23/00 551B
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2001-330189 (P2001-330189)
出願日 平成13年10月29日(2001.10.29)
審査請求日 平成13年10月29日(2001.10.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
発明者または考案者 【氏名】角川 修
【氏名】藤川 益弘
【氏名】松崎 健文
【氏名】猪之奥 康治
【氏名】岡戸 敦史
【氏名】田中 宏明
個別代理人の代理人 【識別番号】100063565、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 信淳
【識別番号】100118898、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 立昌
審査官 【審査官】郡山 順
参考文献・文献 特開平07-000060(JP,A)
実開平04-106957(JP,U)
実開平04-103451(JP,U)
調査した分野 A01G 7/00 602
A01G 23/00 551
特許請求の範囲 【請求項1】
成木果樹(7)の根(8)を切断する根切り方法において、
果樹(7)の前後、あるいは左右から、移動車体(5)に設けた操作アーム(6)を介して、複数の縦刃(2)間の先端側に根を切断する根切り刃(3)を設けた根切用のアタッチメント(1)を、地表付近の細根(9)を残したまま地中深く差し込んで地中の根(8)を所定範囲で切断し、該アタッチメント(1)により果樹(7)を上下移動させることを特徴とする果樹根切り方法。
【請求項2】
地表付近の細根(9)を残したまま地中深く根切用のアタッチメント(1)を差し込んで地中の根(8)を所定範囲で切断して後、該アタッチメント(1)により根(8)の下方から土と共に果樹(7)10~20cm上方に持ち上げて降ろし、該アタッチメント(1)を抜き取ることを特徴とする請求項1記載の果樹根切り方法。
【請求項3】
移動車体(5)に設けた操作アーム(6)に取り付けられるバックホーのバケットに代えて取り付けられ、成木果樹(7)の根(8)を切断する機能を備える根切用のアタッチメント(1)であって、
前記アタッチメント(1)は、側面形状がバケットの底面形状と同様に弯曲したホーク状の複数の縦刃(2)を有し、各縦刃(2)間の先端側に果樹(7)の根(8)を切断する根切り刃(3)を架設し、該アタッチメント(1)操作アーム(6)を介して、果樹(7)の前後、あるいは左右から、地表付近の細根(9)を残した状態で地中深く差し込んで地中の根(8)を根切り刃(3)により切断し、該アタッチメント(1)によって果樹(7)を上下移動させることを特徴とする果樹根切り用アタッチメント。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、果樹成木の地中根をバックホーに装着したアタッチメントにより切断し、該アタッチメントにより果樹を上下移動させて果実の品質向上を図る果樹根切り方法、及びその方法を実施するアタッチメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
柑橘類の高品質(高糖度)果実生産には、土壌管理が重要な技術となっている。高品質果実を生産する柑橘類果樹の根域調査によると、地上付近に細根が多く発生しており、約30cm程度までの表層土に根群が集中していることが望ましい、という報告がある。一方、果実肥大時期の土壌水分が果実の品質に大きく影響しており、適正な時期に水分を制限すると、果実の糖度が高くなることも報告されている。これらを栽培技術に生かす方法として、畝を高くして土壌の乾燥を図り、地上部を被資材でマルチングする栽培法や、根域を制限する栽培としてコンテナに果樹を定植する方法、防根布の袋で根域を覆う方法等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、いずれの方法も苗の定植(移植)が必要で、新たに改植する場合に利用できる技術であり、既存の成木を対象としたものではない。改植すると収穫までの一定期間の収入が減少することから、果樹栽培現場では既存の成木を改植せずに高品質化したい、という要望があり、トレンチャーやバックホーで排水溝(明渠)を形成する栽培法も提案されている。しかし、この方法は、地表面の土壌を容易に乾燥させることはできるが、水分を求めて根が地中深く伸び、水分吸収のコントロールが困難となってしまう。
【0004】
また、成木果樹の根を切る機械として根切り用チェーンソーがあり、地面に垂直に刃を挿入し樹幹から放射状に伸びた根を切断するために使われており、地中に深く伸びた根を切ることは困難である上、機体振動による作業者への負担が大きく、チェーンの磨耗が激しいのでコストが高くなる。さらに、前記トレンチャーによる掘削作業も、地中に深く伸びた根を切ることは困難である。通常の土木工事用のバックホーのバケットで掘削すると、地表付近の細根を残そうとしても、バケットの側面が地表付近の土壌を破壊し、太い根から細根が取り去られてしまう。また、螺旋掘進刃をもつ果樹移植装置は、作業スペースが広く必要で、比較的平坦地であれば利用できるが、構造も複雑で高価な装置となっている。
【0005】
そこで本発明者らは、既存の成木の根域を制御する方法として、地表付近の細根を残したまま地中深くの根を切断(断根)する技術を検討し、バックホーのバケットに代えて取り付けられる根切り用アタッチメントを開発した。本発明は、既存の成木の根域を制御するために、地表付近の細根を残したまま地中深くに伸びた根を断根する方法と、そのためのアタッチメントを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の手段、構成を有することを特徴としている。
【0007】
A.成木果樹7の根8を切断する根切り方法において、
果樹7の前後、あるいは左右から、移動車体5に設けた操作アーム6を介して、複数の縦刃2間の先端側に根を切断する根切り刃3を設けた根切用のアタッチメント1を、地表付近の細根9を残したまま地中深く差し込んで地中の根8を所定範囲で切断し、該アタッチメント1により果樹7を上下移動させる。
B.地表付近の細根9を残したまま地中深く根切用のアタッチメント1を差し込んで地中の根8を所定範囲で切断して後、該アタッチメント1により根8の下方から土と共に果樹7を10~20cm上方に持ち上げて降ろし、該アタッチメント1を抜き取る。
【0008】
C.移動車体5に設けた操作アーム6に取り付けられるバックホーのバケットに代えて取り付けられ、成木果樹の根を切断する機能を備える根切用のアタッチメントであって、
前記アタッチメントは、側面形状がバケットの底面形状と同様に弯曲したホーク状の複数の縦刃を有し、各縦刃間の先端側に果樹の根を切断する根切り刃を架設し、該アタッチメント操作アーム6を介して、果樹の前後、あるいは左右から、地表付近の細根を残した状態で地中深く差し込んで地中の根を根切り刃により切断し、該アタッチメントによって果樹を上下移動させる。
【0009】
【作用】
上記A.ないしC.(請求項1ないし)の手段、構成を有することによって本発明の果樹根切り方法及び装置は、以下の作用を行う。
【0010】
成木果樹の前後、あるいは左右から、地表付近の細根を残したまま地中深くアタッチメントが差し込まれ、地中の根を所定範囲で切断し、その後、アタッチメントにより根の下方から土と共に果樹を所定範囲で上方に持ち上げて降ろすことで、地中深くにある水分を吸収する根が減少し、果実の品質を向上させる。
【0011】
アタッチメントは、複数の縦刃間に根切り刃を架設した簡単な構成であり、低コストで生産でき、果樹の前後、あるいは左右から、地表付近の細根を残した状態で地中深く差し込んで地中の根を所定範囲で根切り刃により効率よく切断し、その後、アタッチメントにより果樹を10~20cm上方に持ち上げて降ろし、地中深くにある水分を吸収する根の量を減少させ、果実の品質を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
図1及び図2において、符号1は本発明による根切り用アタッチメントであり、このアタッチメント1は、従来のバックホーのバケットの縦刃(櫛刃)と同様に複数(この実施例では5本)の縦刃(櫛刃)2を有し、該複数の縦刃2,2…間の刃先に近い位置に、後述するように果樹7の根8を切断するための根切り刃3を架設している。これら根切り刃3は、縦刃2,2…が横方向に曲がらないようにする補強材を兼ねているが、さらに、縦刃2,2…間の根切り刃3の後方の所定間隔開けた2個所に補強材4,4…が架設され、縦刃2が補強されている。根切り刃3及び補強材4は、縦刃2,2…を貫通してそれぞれの縦刃2と固着する構造にしてもよい。
【0014】
従来のバックホーのバケットは、土を掘削し、すくい取る構造であるが、本発明のアタッチメント1は、果樹7の根8を切断するのが主目的であって土を取り去る必要がないので側板及び底板は必要とせず、縦刃2の基端側をバケットの底面と同じ曲線で弯曲させ、従来の縦刃(櫛刃)を延長させてフォーク状に並べている。そして、地中に挿入しやすい縦刃2の先端部分はそのままにして、先端から後方の所定位置に根切り刃3を設けて縦刃2と固定している。この根切り刃3は、縦刃2の間隔を所定間隔に維持し、前述のように縦刃2を補強する役目も併せ持っている。
【0015】
根切り用アタッチメント1は、従来のバックホーと同様の構成の移動車体5に、油圧シリンダなどにより作動するように設けられている操作アーム6の先端部に、バケットに代えて取り付けられ、従来のバックホーと同様の動作をする。そして、アタッチメント1により果樹7の根8を切断するときは、アタッチメント1の縦刃2の基端側が、従来のバケットの底面と同じ曲線で弯曲しているので、図2に示すようにアタッチメント1を、果樹7の前後、あるいは左右から、地表付近の細根9を残した状態で地中深く差し込んで、図3及び図4に示すように、地中の根8を根切り刃3により所定範囲で切断して後、アタッチメント1により果樹7を根8の下方から土と共に10~20cm上方に持ち上げて降ろし、アタッチメント1を抜き取る。
【0016】
このような果樹7の根切り作業を行うときに、果樹7の樹冠が大きいときには、予め枝を剪定して樹冠を小さくしておく。そして、アタッチメント1を操作アーム6により移動させ、根8の広がっている範囲を考慮して、樹幹から0.5~1mほど先に果樹7の頭越しにアタッチメント1を土中に差し込み、土中深くにある根8を根切り刃3により切りながらアタッチメント1全体を土中深くまで挿入する。このようにアタッチメント1を土中に挿入する位置を、果樹7の反対側から、あるいは横に順次移動させて、この操作を繰り返すことにより樹幹周辺に広がる根8の全体を円形状に切断する。およその深い根8が切断された後、アタッチメント1により果樹7をすくい上げるようにして10~20cmほど浮かして元に戻す。このとき地表面の土が動かないので、地表面付近の細根9を傷めることがない。
【0017】
このような果樹の根切り作業に従来のバケットを使用すると、掘削した土を移動させないと掘り進めないが、本発明によるアタッチメント1では、縦刃2の間から土がすり抜けるので、土を破砕しながら連続的に作業を行うことができる。また、本発明のアタッチメント1を使用すると、果樹の根8の掘上げ作業も容易に行える。特に、細根9の傷みが少ないので、移植用苗木の掘取りにも利用することができる。従来のバックホーと同じような動作で作業をするので、傾斜地での作業が可能になる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の果樹根切り方法及び装置によれば、請求項1~の手段、構成により、以下の効果を奏することができる。
【0019】
イ.果樹7の前後、あるいは左右から、移動車体5に設けた操作アーム6を介して、複数の縦刃2間の先端側に根を切断する根切り刃3を設けた根切用のアタッチメント1を、地表付近の細根9を残したまま地中深く差し込んで地中の根8を所定範囲で切断し、該アタッチメント1により果樹7を10~20cm上下移動させるので、果樹の根の周囲の水分の供給を一時的に制限し、果実の品質を向上させることができる。また、根の下側の土壌を膨軟にし、空気や水分の吸収を良好にし、切断された根の先端部からは新根が発生して果樹を活性化させることができる。
【0020】
.アタッチメントは、側面形状がバケットの底面形状と同様に弯曲したホーク状の複数の縦刃を有し、各縦刃間の先端側に果樹の根を切断する根切り刃を架設し、該アタッチメント操作アーム6を介して、果樹の前後、あるいは左右から、地表付近の細根を残した状態で地中深く差し込んで地中の根を根切り刃により切断し、該アタッチメントによって果樹を上下移動させるので、アタッチメントの構成は簡単であり、安価に提供することができる。また、従来のバックホーの操作と同様の操作により、果樹の地中の根を根切り刃により所定範囲で容易に切断することができる。そして、地中の根を切断した果樹をアタッチメントにより上方に持ち上げて降ろすことができ、果実の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による根切り用アタッチメントの斜視図である。
【図2】本発明による果樹根切り装置の概略側面図である。
【図3】本発明の果樹根切り装置による作業状態の左側面図である。
【図4】本発明の果樹根切り装置による作業状態の右側面図である。
【符号の説明】
1 果樹根切り用アタッチメント
2 縦刃(櫛刃)
3 根切り刃
4 補強材
5 移動車体
6 操作アーム
7 果樹
8 根
9 地表付近の細根
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3